特開2017-95026(P2017-95026A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-95026(P2017-95026A)
(43)【公開日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】スルーアクスルの装着装置
(51)【国際特許分類】
   B62K 25/02 20060101AFI20170428BHJP
【FI】
   B62K25/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-231372(P2015-231372)
(22)【出願日】2015年11月27日
(71)【出願人】
【識別番号】390007135
【氏名又は名称】株式会社三ケ島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】特許業務法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 敏行
【テーマコード(参考)】
3D014
【Fターム(参考)】
3D014DD05
3D014DE20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ネジの締結作業を行うことなくスルーアクスルを着脱することのできる、スルーアクスルの装着装置を提供すること。
【解決手段】スルーアクスル1の一端部に設けられた環状の係止溝11と、この係止溝11に係止される係止体21を備えたストッパー体2とで構成する。前記ストッパー体2は、前記係止体21と、前記スルーアクスル1の端部に着脱可能に嵌装される内筒と、この内筒に対して軸方向に移動可能に嵌装された外筒23とを備えている。前記内筒の透孔24にスルーアクスルの係止溝11に係脱自在に係止する係止体21が装着されている。前記外筒23は、前記係止体21を係止溝11への係止状態に保持する環状のストッパー凸部26を備え、前記内筒と外筒23との間にスプリング5が配設され、このスプリング5によって前記内筒と外筒23は離反方向又は引きつけ方向に付勢されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車フレームのフォーク及び/又はフレームエンドのスルーアクスル装着孔にスルーアクスルを着脱可能に装着する装置であって、
前記スルーアクスルの一端部に設けられた環状の係止溝と、この係止溝に係止される係止体を備えたストッパー体とで構成され、
前記ストッパー体は、前記係止体と、前記スルーアクスルの前記係止溝側端部に着脱可能に嵌装される内筒と、この内筒に対して軸方向に移動可能に嵌装された外筒とを備え、
前記内筒は、係止体装着用の透孔を有し、この透孔に前記スルーアクスルに形成した係止溝に係脱自在に係止する係止体が装着され、外周に前記フォークの外壁面に当接する当接凸部が設けられ、
前記外筒は、前記係止体を係止溝への係止状態に保持する環状のストッパー凸部を備え、
前記内筒と外筒との間にスプリングが配設され、このスプリングによって前記内筒と外筒が離反方向又は引きつけ方向に付勢された、
自転車のスルーアクスルの装着装置。
【請求項2】
内筒の係止体装着用の透孔及び外筒のストッパー凸部は、それぞれ内筒及び外筒の先端側に設けられ、内筒と外筒との間に前記外筒を内筒の先端側に付勢するスプリングが配設された、請求項1記載の自転車のスルーアクスルの装着装置。
【請求項3】
内筒の係止体装着用の透孔及び外筒のストッパー凸部は、それぞれ内筒及び外筒の基端側に設けられ、内筒と外筒との間に前記外筒を内筒の基端側に付勢するスプリングが配設された、請求項1記載の自転車のスルーアクスルの装着装置。
【請求項4】
係止体は球体とした、請求項1ないし3の何れかに記載の自転車のスルーアクスルの装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スルーアクスル(貫通軸)を用いて車輪を自転車フレームに取り付けるようにした構造において、スルーアクスルの着脱、すなわち車輪の着脱を容易に行えるようにした装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロードバイクやマウンテンバイクなど、通常の使用において車輪の着脱が行われる自転車においては、従来クイックリリース式のハブが使用されている。これは、自転車フレームのフォーク及びフレームエンドの先端に形成された溝にハブ軸を嵌め、ハブ軸に取付けられたロックナットの端面とフォーク、フレームエンドとを当接させ、クイックリリーススキュアー(串軸)両端のレバーと調整ナットにより締付けて固定する構造である。
【0003】
近年、自転車にディスクブレーキが採用されるようになり、クイックリリース式のハブでは着脱時のディスクブレーキの位置決め処理が難しいという問題が生じている。また、特にマウンテンバイクのようにハブに大きな負荷がかかる自転車においては、車輪の支持強度を高めることも要求される。
そこで、車輪のハブを装着する軸としてスルーアクスルを使用する構造が多用されるようになっている。
【0004】
スルーアクスルは、車輪のハブを装着するために左右のフォークの間に取り付けられる貫通軸である。スルーアクスルが装着される左右のフォークには先端の溝がなく、スルーアクスル装着用の孔が設けられている。一方の孔からスルーアクスルを挿入し、他方の孔に形成された雌ネジにスルーアクスルの端部に設けられた雄ネジを締め付けた後に、レバーを操作してスルーアクスルをフォークに固定するようになっている。
すなわち、レバーの操作のみで貫通軸を着脱することはできず、ネジの締結作業が必要とされている。スルーアクスルの一例として以下の特許文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−71406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、ネジの締結作業を行うことなくスルーアクスルを着脱することのできる、スルーアクスルの装着装置を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のスルーアクスルの装着装置は、以下のように、スルーアクスルの一端部に設けられた環状の係止溝と、この係止溝に係止される係止体を備えたストッパー体とで構成する。
前記ストッパー体は、前記係止体と、前記スルーアクスルの前記係止溝側端部に着脱可能に嵌装される内筒と、この内筒に対して軸方向に移動可能に嵌装された外筒とを備えている。
前記内筒は、係止体装着用の透孔を有し、この透孔に前記スルーアクスルに形成した係止溝に係脱自在に係止する係止体が装着され、外周に前記フォークの外壁面に当接する当接凸部が設けられている。
前記外筒は、前記係止体を係止溝への係止状態に保持する環状のストッパー凸部を備え、前記内筒と外筒との間にスプリングが配設され、このスプリングによって前記内筒と外筒は離反方向又は引きつけ方向に付勢されている。
【0008】
前記内筒の係止体装着用の透孔及び外筒のストッパー凸部の位置並びにスプリングの付勢方向は、スルーアクスルの係止溝に係止した係止体をストッパー凸部が押さえつけ、押さえつけられた状態が保持されるようにスプリングが作用する関係であればよい。
具体例としては、内筒の係止体装着用の透孔及び外筒のストッパー凸部は、それぞれ内筒及び外筒の先端側に設け、内筒と外筒との間に前記外筒を内筒の先端側に付勢するスプリングを配設する構成(請求項2)や、内筒の係止体装着用の透孔及び外筒のストッパー凸部は、それぞれ内筒及び外筒の基端側に設け、内筒と外筒との間に前記外筒を内筒の基端側に付勢するスプリングを配設する構成(請求項3)がある。
前記係止体は球体が適切であるが、これに限定されるものではない。
以下、フレームのフォーク(前輪)に適用した例を説明するが、フレームエンド(後輪)においても同様の構造を適用することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明において、ストッパー体はあらかじめフォーク及びフレームエンドのスルーアクスル装着用の孔に取り付けておく。
スルーアクスルと固定するとき(車輪を取り付けるとき)は、ストッパー体の外筒をフォーク側に押し込み、又は外側に引き出すことによって、外筒による係止体の押圧を解除した状態として、スルーアクスルの先端をストッパー体の内筒に挿入すると、係止体が係止溝に係止する。この状態で外筒をフリーにすると、外筒はスプリングの力によって移動し、外筒のストッパー凸部が係止体を押圧し、スルーアクスルの先端はフォークに固定される。
スルーアクスルを取り外すとき(車輪を取り外すとき)は、ストッパー体の外筒による係止体の押圧を解除してスルーアクスルを引き抜けば良い。
したがって、工具を用いることなく、スルーアクスルを着脱することができる。
また、スルーアクスルとストッパー体とは軸方向で係止されているので、自転車の走行時にスルーアクスルがはずれるおそれはない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施例1の断面図であり、上側は解除状態、下側は固定状態を示す。
図2】同じく一部拡大断面図
図3】同じく、一部を断面とした斜視図(スプリングは省略)
図4】同じく分解斜視図
図5】同じく固定状態の一部断面斜視図
図6】同じく解除状態のストッパー体を断面で示した分解斜視図
図7】この発明の実施例2の断面図であり、上側は解除状態、下側は固定状態を示す。
図8】同じく一部拡大断面図
図9】同じく、一部を断面とした斜視図(スプリングは省略)
図10】同じく分解斜視図
図11】同じく固定状態の一部断面斜視図
図12】同じく解除状態のストッパー体を断面で示した分解斜視図
【実施例1】
【0011】
図1ないし図6に基づいてこの発明の実施例1を説明する。
スルーアクスル1の先端部(レバー12のない側)に設けられた環状の係止溝11と、この係止溝に係止される金属球である係止体21を備えたストッパー体2とで、自転車のスルーアクスルの装着装置を構成する。
前記係止溝11は、スルーアクスル1を引き抜く際に係止体21がスムーズに移動できるよう、先端側を傾斜させた断面形状としてある。
前記ストッパー体2は、前記係止体21、前記スルーアクスル1の端部に着脱可能に嵌装される内筒22と、この内筒22に対して軸方向に移動可能に嵌装された外筒23とを備えている。
【0012】
前記内筒22は先端部に、係止体21が装着される透孔24を有し、この透孔24に前記スルーアクスル1に形成した係止溝11に係脱自在に係止する係止体21が装着されている。そして、外周に自転車フレームのフォーク4の外壁面に当接する当接凸部25が設けてある。
前記外筒23は、前記係止体21を係止溝11への係止状態に保持する環状のストッパー凸部26を備えている。このストッパー凸部26の先端側には大径部27が形成してあり、外筒23をフォーク側に移動させたときにストッパー凸部26による係止体21の押圧が解除されるようにしてある(図2の上側参照)。
前記内筒22の基部側と外筒23のストッパー凸部26の基部側との間にスプリング5が配設され、このスプリング5によって外筒23は内筒22の先端側に付勢され(外筒と内筒は離反方向に付勢される)、常態においてストッパー凸部26が係止溝11に対向するようにしてある(図2の下側参照)。
【0013】
前記内筒22は基端部に雄ネジ28を形成し、この雄ネジ28を前記フォーク4のスルーアクスル1の装着用の孔41にあらかじめ形成された雌ネジに締め付けて固定する。なお、ネジによる固定に代えて溶接などとすることもできる。
符号12はスルーアクスル1に両フォーク間のテンションを調節するレバーである。
【0014】
この実施例において、スルーアクスル1の固定時には、スルーアクスル1の先端部において、ストッパー体2の係止体21がスルーアクスル1の係止溝11に嵌まっている。また、この係止体2は外筒23のストッパー凸部26によって押さえられており、外筒23はスプリング5によって付勢されているので軸方向に移動することはできない。
このようにしてスルーアクスル1の端部は所定の位置に固定され、レバー12によってスルーアクスル1にテンションが加わることにより、スルーアクスル1はフォーク4に固定され、固定状態が維持される。
【0015】
スルーアクスル1を固定する作業は以下の通りである。
外筒23をスプリング5の付勢に対抗してフォーク方向へ押し込み
、ストッパー凸部26による係止体21の押圧を解除する。この状態でスルーアクスル1の先端を内筒22に挿入し、係止溝11を係止体21に対向させ、次いで外筒23をフリーにする。外筒23はスプリング5の力によって内筒22の先端側に移動し、係止体21はストッパー凸部26によって押し下げられ、スルーアクスル1は固定される。
ストッパー体2はあらかじめフォーク4の孔41に固定されているので、上記作業においてネジの締結は不要である。ストッパー体2にスルーアクスル1をはめ込む作業とレバー12の操作のみで、スルーアクスルの固定作業は完了する。
【0016】
スルーアクスルを取り外すときは、レバー12を操作してテンションを解除した後、ストッパー体2の外筒23をスプリング5の力に抗してフォーク4側へ押し込む。外筒23が軸方向に移動すると、ストッパー凸部26の位置がずれるので係止体21の押圧は解除される。この状態でスルーアクスル1をレバー12側へ引き抜くと、スルーアクスル1はストッパー体2から離脱し、引き抜くことができる。
【実施例2】
【0017】
図7ないし図12は、外筒を引き出すことによって係止体の押圧を解除するようにしたものであり、以下に記す構造以外は実施例1と共通である。
【0018】
内筒22は、基端側に金属球である係止体21が装着される透孔24を有し、この透孔24に前記スルーアクスル1に形成した係止溝11に係脱自在に係止する係止体21が装着されている。そして、外周に自転車フレームのフォーク4の外壁面に当接する当接凸部25が設けてある。
外筒23は基端側に、前記係止体21を係止溝11への係止状態に保持する環状のストッパー凸部26を備えている。このストッパー凸部26の基端側には大径部27が形成してあり、外筒26を反フォーク側に移動させたときにストッパー凸部26による係止体21の押圧が解除されるようにしてある。符号29は外筒23を内筒22の先端側に移動させるための指掛部である。
前記内筒22の先端部と外筒23のストッパー凸部26の先端側との間にスプリング5が配設され、このスプリング5によって外筒23は内筒22の基端側に付勢され(外筒と内筒22は引きつけ方向に付勢される)、常態においてストッパー凸部26が係止溝11に対向するようにしてある。
【0019】
内筒22の先端部には、前記スプリング5に対応するバネアンカー30がはめ込んであり、前記バネアンカー30の先端側に円周状の溝が設けられ、Cリング31がはめ込まれている。Cリング31の外周径はバネアンカーの内面最小径よりも大きくしてあり、バネアンカーは内筒の先端方向への移動が規制される。そして、バネアンカー30,スプリング5を介して位置決めされる外筒23の先端側への移動も規制され、外筒が脱落することはない。
【0020】
この実施例においても、スルーアスクル1の係止溝11に係止体21が係止し、ストッパー凸部26によって押圧されてスルーアクスル1が固定されることは、実施例1と同様である。
スルーアクスル1の着脱時には、実施例1と異なり、外筒23を内筒22の先端側へ引くことによって、ストッパー凸部26による係止体21の押圧を解除し、スルーアクスル1の移動を可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明によれば、工具を用いることなくスルーアクスルを着脱することができ、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0022】
1 スルーアクスル
11 係止溝
12 レバー
2 ストッパー体
21 係止体
22 内筒
23 外筒
24 透孔
25 当接凸部
26 ストッパー凸部
27 大径部
28 雄ねじ
29 指掛け部
30 バネアンカー
31 Cリング
4 フレームのフォーク
41 孔
5 スプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12