【解決手段】摺動機構1は、摺動面20を有する摺動部材2と、摺動部材2の摺動面20と摺動する対向面30を有する相手部材3を備える。摺動部材2は、金属で形成されたベース材4と、ベース材4に埋め込まれた固体潤滑剤5を備える。摺動面20を構成するベース材4の表面40には、固体潤滑剤5の配置のため複数の挿入孔41が対向面30との摺接位置に等間隔で形成される。固体潤滑剤5は、黒鉛の多孔質体を含み、潤滑油及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドをアニオンとし、炭素数4以上のアルキル基を有するイミダゾリウム系又はアンモニウム系を有機カチオンとするイオン液体が含浸される。相手部材3は金属で形成され、軸心回りに回転可能に取り付けられる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態に係る摺動機構1の概略構成図である。
【0011】
図示するように、本実施の形態に係る摺動機構1は、摺動面20を有する板状の摺動部材2と、摺動部材2の摺動面20と摺動する対向面30を有する筒状の相手部材3と、を備えている。
【0012】
摺動部材2は、金属で形成されたベース材4と、ベース材4に埋め込まれた円柱形状の固体潤滑剤5と、を備えている。摺動部材2の摺動面20を構成するベース材4の表面40には、円柱形状の固体潤滑剤5を配置するための複数の挿入孔41が相手部材3の対向面30との摺接位置に等間隔で形成されている。
【0013】
固体潤滑剤5は、一方の端面50がベース材4の表面40に露出するように、ベース材4の表面40に形成された挿入孔41に挿入されている。また、固体潤滑剤5は、円柱状に形成された黒鉛の多孔質体であり、潤滑油およびイオン液体が含浸されている。
【0014】
相手部材3の対向面30は、相手部材3の一方の端面31に形成される。また、相手部材3は、金属で形成され、軸心O回りに回転可能に取り付けられている。これにより、相手部材3は、対向面30を摺動部材2の摺動面20に接触させながら、摺動部材2に対して相対的に回転可能に配置される。
【0015】
本発明者は、固体潤滑剤5に含浸させるイオン液体毎に、以下の表1に示す条件において、軸心O方向の荷重Nを相手部材3の他方の端面32に加えて、相手部材3の対向面30を摺動部材2の摺動面20に押し当てながら、軸心O回りの回転方向Rに相手部材3を回転させ、そのときの摺動部材2の回転方向Rにおけるトルクを、図示していないロードセルで検出し、この検出トルクから、摺動面20および対向面30間の摩擦係数を測定する試験を行った。また、試験後に、摺動面20の矢印Aにおける摩耗痕深さ(摩耗痕断面曲線)を測定した。
【0017】
なお、摺動部材2の摺動面20は、フライス加工後、ハンドラッピングによる研磨仕上げとし、相手部材3の対向面30は、研削加工仕上げとした。また、ベース材4に炭素鋼(S45C)を用い、相手部材3に高炭素クロム鋼(SUJ2)を用いるとともに、固体潤滑剤5に含浸させる潤滑油として、工業用潤滑油を用い、固体潤滑剤5に含浸させるイオン液体として、[Bmim][BF4]、[Bmim][PF6]、[Hmim][PF6]、[C
10mim][BF4]、[Mpim][I]、[Emim][TFSA]、[Bmim][TFSA]、[Omim][TFSA]、[C
10mim][TFSA]、[BMPY][TFSA]、[MTOA][TFSA]の11種類を用いた。
【0018】
ここで、[Bmim][BF4]は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムを有機カチオンとし、テトラフルオロボラートをアニオンとするイオン液体であり、以下の化1に示す構造を有する。
【0020】
[Bmim][PF6]は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムを有機カチオンとし、ヘキサフルオロホスフェートをアニオンとするイオン液体であり、以下の化2に示す構造を有する。
【0022】
[Hmim][PF6]は、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムを有機カチオンとし、ヘキサフルオロホスフェートをアニオンとするイオン液体であり、以下の化3に示す構造を有する。
【0024】
[C
10mim][BF4]は、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムを有機カチオンとし、テトラフルオロボラートをアニオンとするイオン液体であり、以下の化4に示す構造を有する。
【0026】
[Mpim][I]は、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムを有機カチオンとし、ヨードをアニオンとするイオン液体であり、以下の化5に示す構造を有する。
【0028】
[Emim][TFSA]は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムを有機カチオンとし、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドをアニオンとするイオン液体であり、以下の化6に示す構造を有する。
【0030】
[Bmim][TFSA]は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムを有機カチオンとし、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドをアニオンとするイオン液体であり、以下の化7に示す構造を有する。
【0032】
[Omim][TFSA]は、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムを有機カチオンとし、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドをアニオンとするイオン液体であり、以下の化8に示す構造を有する。
【0034】
[C
10mim][TFSA]は、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムを有機カチオンとし、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドをアニオンとするイオン液体であり、以下の化9に示す構造を有する。
【0036】
[BMPY][TFSA]は、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムを有機カチオンとし、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドをアニオンとするイオン液体であり、以下の化10に示す構造を有する。
【0038】
[MTOA][TFSA]は、メチルトリオクチルアンモニウムを有機カチオンとし、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドをアニオンとするイオン液体であり、以下の化11に示す構造を有する。
【0040】
図2は、ベース材4に炭素鋼を用い、相手部材3に高炭素クロム鋼を用いて、上述の表1に示す条件にて、上述の11種類のイオン液体および潤滑油をそれぞれ固体潤滑剤5に含浸させた試験体における摺動部材2の摺動面20と相手部材3の対向面30との摩擦係数の測定結果を示している。なお、比較対象として、固体潤滑剤5に潤滑油のみ(イオン液体なし)を含浸させた試験体における摺動部材2の摺動面20と相手部材3の対向面30との摩擦係数の測定結果も示している。
【0041】
ここで、グラフ600は、イオン液体なし(潤滑油のみ)の試験体の測定結果を示している。また、グラフ601は、イオン液体に[Bmim][BF4]を用いた試験体の測定結果を示しており、グラフ602は、イオン液体に[Bmim][PF6]を用いた試験体の測定結果を示しており、グラフ603は、イオン液体に[Hmim][PF6]を用いた試験体の測定結果を示しており、グラフ604は、イオン液体に[C
10mim][BF4]を用いた試験体の測定結果を示しており、グラフ605は、イオン液体に[Mpim][I]を用いた試験体の測定結果を示しており、グラフ606は、イオン液体に[Emim][TFSA]を用いた試験体の測定結果を示しており、グラフ607は、イオン液体に[Bmim][TFSA]を用いた試験体の測定結果を示しており、グラフ608は、イオン液体に[Omim][TFSA]を用いた試験体の測定結果を示しており、グラフ609は、イオン液体に[C
10mim][TFSA]を用いた試験体の測定結果を示しており、グラフ610は、イオン液体に[BMPY][TFSA]を用いた試験体の測定結果を示しており、そして、グラフ611は、イオン液体に[MTOA][TFSA]を用いた試験体の測定結果を示している。
【0042】
また、
図3は、
図2に示す各試験体の摩擦係数の平均値を示す図である。
【0043】
ここで、グラフ620は、イオン液体なし(潤滑油のみ)の試験体の平均値を示している。また、グラフ621は、イオン液体に[Bmim][BF4]を用いた試験体の平均値を示しており、グラフ622は、イオン液体に[Bmim][PF6]を用いた試験体の平均値を示しており、グラフ623は、イオン液体に[Hmim][PF6]を用いた試験体の平均値を示しており、グラフ624は、イオン液体に[C
10mim][BF4]を用いた試験体の平均値を示しており、グラフ625は、イオン液体に[Mpim][I]を用いた試験体の平均値を示しており、グラフ626は、イオン液体に[Emim][TFSA]を用いた試験体の平均値を示しており、グラフ627は、イオン液体に[Bmim][TFSA]を用いた試験体の平均値を示しており、グラフ628は、イオン液体に[Omim][TFSA]を用いた試験体の平均値を示しており、グラフ629は、イオン液体に[C
10mim][TFSA]を用いた試験体の平均値を示しており、グラフ630は、イオン液体に[BMPY][TFSA]を用いた試験体の平均値を示しており、そして、グラフ631は、イオン液体に[MTOA][TFSA]を用いた試験体の平均値を示している。
【0044】
図2および
図3に示すように、イオン液体に[Bmim][BF4]、[Bmim][PF6]、[Hmim][PF6]、[C
10mim][BF4]、[Mpim][I]、[Emim][TFSA]を用いた試験体では、イオン液体なし(潤滑油のみ)の試験体(グラフ600、620)に比べて、摩擦係数に有意な差は見られなかった(グラフ601〜606、621〜626)。しかしながら、イオン液体に[Bmim][TFSA]、[Omim][TFSA]、[C
10mim][TFSA]、[BMPY][TFSA]、[MTOA][TFSA]を用いた試験体では、固体潤滑剤5のイオン液体含浸量が潤滑油含浸量に比べて極めて少量にもかかわらず(潤滑油約0.023〜0.030gに対してイオン液体0.004〜0.006g程度)、摩擦係数の平均値がいずれも0.02以下であり、イオン液体なし(潤滑油のみ)の試験体の摩擦係数の平均値0.071に比べて極めて良好な低摩擦特性を得られた(グラフ627〜631)。また、滑り距離1000m以降においては、試験終了となる滑り距離5700mに到達するまで、摩擦係数が急激に変化することもなく、長期間に亘り良好な低摩擦特性を得ることができた(グラフ607〜611)。
【0045】
[Bmim][TFSA]、[Omim][TFSA]、[C
10mim][TFSA]、[BMPY][TFSA]、[MTOA][TFSA]は、いずれも、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドをアニオンとし、炭素数4以上のアルキル基を有するイミダゾリウム系またはアンモニウム系を有機カチオンとするイオン液体である。このことから、潤滑油とともに固体潤滑剤5に含浸させるイオン液体として、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドをアニオンとし、炭素数4以上のアルキル基を有するイミダゾリウム系またはアンモニウム系を有機カチオンとするイオン液体を用いることが好ましいことが分かった。
【0046】
図4は、
図2に摩擦係数の測定結果を示した各試験体における摺動部材2の摺動面20の比摩耗量を示している。各試験体の比摩耗量は、試験終了後に、摺動面20の矢印Aにおける摩耗痕深さを測定し、その平均値に摩耗痕面積(ベース材4の表面40と相手部材3の対向面30との接触面積)を掛けて摩耗体積を求め、さらにこの摩耗体積を荷重Nおよび試験終了時における滑り距離で割ることにより求めた。
【0047】
ここで、グラフ640は、イオン液体なし(潤滑油のみ)の試験体の比摩耗量を示している。また、グラフ641は、イオン液体に[Bmim][BF4]を用いた試験体の比摩耗量を示しており、グラフ642は、イオン液体に[Bmim][PF6]を用いた試験体の比摩耗量を示しており、グラフ643は、イオン液体に[Hmim][PF6]を用いた試験体の比摩耗量を示しており、グラフ644は、イオン液体に[C
10mim][BF4]を用いた試験体の比摩耗量を示しており、グラフ645は、イオン液体に[Mpim][I]を用いた試験体の比摩耗量を示しており、グラフ646は、イオン液体に[Emim][TFSA]を用いた試験体の比摩耗量を示しており、グラフ647は、イオン液体に[Bmim][TFSA]を用いた試験体の比摩耗量を示しており、グラフ648は、イオン液体に[Omim][TFSA]を用いた試験体の比摩耗量を示しており、グラフ649は、イオン液体に[C
10mim][TFSA]を用いた試験体の比摩耗量を示しており、グラフ650は、イオン液体に[BMPY][TFSA]を用いた試験体の比摩耗量を示しており、そして、グラフ651は、イオン液体に[MTOA][TFSA]を用いた試験体の比摩耗量を示している。
【0048】
図示するように、上述の摩擦係数の測定試験において良好な低摩擦特性を示した[Bmim][TFSA]、[Omim][TFSA]、[C
10mim][TFSA]、[BMPY][TFSA]、[MTOA][TFSA]の各イオン液体は、イオン液体なしの試験体(グラフ640)に比べて、比摩耗量が小さくなっており、耐摩耗特性においても良好な結果を得られた(グラフ647〜651)。
【0049】
また、本発明者は、上述の化1〜化11に示すイオン液体および潤滑油をそれぞれ固体潤滑剤5に含浸させた試験体について、表1に示す条件にて試験を行った後、3〜4か月放置して観察したところ、いずれの試験体においても、摺動部材2の摺動面20および相手部材3の対向面30ともに腐食による錆びの発生は見られなかった。
【0050】
つぎに、本発明者は、ベース材4および相手部材3の材料を変えて、上述の表1に示す条件で上述の摺動部材2の摺動面20と相手部材3の対向面30との摩擦係数を測定する試験を行った。なお、固体潤滑剤5に含浸させる潤滑油として、工業用潤滑油を用い、固体潤滑剤5に含浸させるイオン液体として[MTOA][TFSA]を用いた。また、ベース材4の材料および相手部材3の材料の組合せは、以下の表2に示すとおりである。
【0052】
図5は、表1に示す条件にて、表2に示すベース材4および相手部材3の材料の組合せA、B各々における摺動部材2の摺動面20と相手部材3の対向面30との摩擦係数の測定結果を示している。
【0053】
ここで、グラフ611は、ベース材4に炭素鋼を用い、相手部材3に高炭素クロム鋼を用いた組合せAの測定結果を示しており、
図2のグラフ611と同じである。またグラフ612は、ベース材4に高力黄銅系合金を用い、相手部材3に炭素鋼を用いた組合せBの測定結果を示している。
【0054】
図示するように、ベース材4に高力黄銅系合金を用い、相手部材3に炭素鋼を用いた場合、長期間に亘り(滑り距離1000m付近から試験終了まで)、摩擦係数が0.01程度となり、優れた低摩擦特性を示している。さらに、ベース材4に炭素鋼を用い、相手部材3に高炭素クロム鋼を用いた場合は、長期間に亘り(滑り距離1000m付近から試験終了まで)、摩擦係数が0.002以下となり、ベース材4に高力黄銅系合金を用い、相手部材3に炭素鋼を用いた場合に比べて、極めて優れた低摩擦特性を得ることができた。このことから、低摩擦特性を得るためには、摺動部材2のベース材4に炭素鋼を用い、相手部材3に高炭素クロム鋼を用いることがより好ましいことが分かった。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態によれば、黒鉛を含む固体潤滑剤5に、潤滑油およびビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドをアニオンとし、炭素数4以上のアルキル基を有するイミダゾリウム系またはアンモニウム系を有機カチオンとするイオン液体を含浸させることにより、潤滑油に比べて少量のイオン液体であっても、低摩擦特性および耐摩耗性を実現できた。
【0056】
これは以下の理由によると考えられる。すなわち、固体潤滑剤5中の黒鉛は、潤滑油と親和性が高く潤滑油中に分散する。また、この黒鉛は、多孔質体であるため、物理的にイオン液体を保持することができる。さらに、イオン液体は、有機カチオンが炭素数4以上の長鎖のアルキル基を含むため、分子構造的に黒鉛端部に付着しやすいと考えられる。このため、摺動部材2の摺動面20と相手部材3の対向面30との摺動によって固体潤滑剤5から分離した多孔質状の黒鉛(摩耗粉)が、固体潤滑剤5から滲み出た潤滑油中に混入して、潤滑油中に一様に分散するとともに、この黒鉛の多孔質部分がイオン液体を物理的に保持し、さらにイオン液体がこの黒鉛の多孔質部分に付着することにより、この潤滑油が介在する摺動部材2の摺動面20と相手部材3の対向面30との間にイオン液体が一様に分布して、油性効果を発揮したためと考えられる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、イオン液体の使用量を抑えることにより、コスト増加を抑制しつつ、イオン液体による摺動面での腐食作用を抑制して摺動面での錆の発生を防ぐことができる防錆効果を実現できた。
【0058】
これは以下の理由によると考えられる。すなわち、イオン液体は、アニオンがビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドであるため、アニオンがテトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヨード等である場合に比べて、含まれるフッ素等のハロゲンの割合が少ない。このため、摺動部材2の摺動面20に生成されるハロゲン化物を抑制できたと考えられる。さらに、イオン液体の使用量自体を低く抑えることにより、イオン液体中のハロゲンの影響を非常に小さくできたためと考えられる。
【0059】
また、本実施の形態では、摺動部材2のベース材4として炭素鋼を用い、この摺動部材2の摺動面20と摺動する対向面30を備えた相手部材3として高炭素クロム鋼を用いることにより、ベース材2として高力黄銅系合金を用い、相手部材3として炭素鋼を用いた場合に比べて、優れた低摩擦特性を実現できた。
【0060】
なお、上記の実施の形態では、摺動部材2のベース材4として炭素鋼を用い、この摺動部材2の摺動面20と摺動する対向面30を備えた相手部材3として高炭素クロム鋼を用いているが、ベース材4として高炭素クロム鋼を用い、相手部材3として炭素鋼を用いてもよい。この場合でも、ベース材2として高力黄銅系合金を用い、相手部材3として炭素鋼を用いた場合に比べて、優れた低摩擦特性を期待できる。
【0061】
また、上記の実施の形態では、摺動面20を有する金属製のベース材4と、ベース材4に埋め込まれ、一部を摺動面20に露出させた固体潤滑剤5とを備えた、いわゆる固体潤滑剤埋込タイプの摺動部材2を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、相手部材3の対向面30との摺動面を有する焼結金属層を備え、固体潤滑剤が焼結金属層に含有されて摺動面上に分散した、いわゆる固体潤滑剤分散タイプの摺動部材にも、同様に適用可能である。
【0062】
また、上記の実施の形態では、筒状の相手部材3の対向面30を、板状の摺動部材2の摺動面20で支持する構造を採用しているが、本発明はこれに限定されない。本発明は、滑り軸受等の摺動面を有する摺動部材と、この摺動面と摺動する対向面を有する相手部材と、を備える様々な摺動機構に適用可能である。