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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-95737(P2017-95737A)
(43)【公開日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】エレベータ式めっき装置
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/06 20060101AFI20170428BHJP
【FI】
   C25D17/06 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-225746(P2015-225746)
(22)【出願日】2015年11月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000150202
【氏名又は名称】株式会社中央製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 敏洋
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 智央
(57)【要約】
【課題】処理工程に応じてハンガーの下限位置の高さを変えることができるエレベータ式めっき装置を提供する。
【解決手段】ハンガー6、6を取り付けた昇降枠4、4を昇降させる昇降ビームを分割して昇降ビーム1、12、13とし、分割した各昇降ビーム1、12、13を個別に昇降させる駆動装置を設け、各昇降ビーム1、12、13の上限位置の高さを同一とし、下限位置の高さを個別に設定するようにした。これにより、各処理工程に応じてハンガーの下限位置を最適に設定することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ式めっき装置において、ハンガーを取り付けた昇降枠を昇降させる昇降ビームを複数に分割し、分割した各昇降ビームを個別に昇降させる駆動装置を設け、各昇降ビームの上限位置の高さを同一とし、下限位置の高さを個別に設定したことを特徴とするエレベータ式めっき装置。
【請求項2】
分割した昇降ビームの相互の間にそれぞれ間隙を設けたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ式めっき装置。
【請求項3】
昇降ビームと平行に間隙をまたぐ長さの補助ビームを設け、該補助ビームを隣接する昇降ビームの何れか一方に固定し、昇降枠に設けた2個の支持車輪を昇降ビームと補助ビームにそれぞれ支承させるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータ式めっき装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理工程に応じてハンガーの下限位置の高さを変えることができる、エレベータ式めっき装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベータ式めっき装置は、例えば特許文献1に示されるような、装置両側の大型スプロケットの間に架け渡された無端チェーンに多数の柱状キャリアを取り付けて構成されたものであり、その多数の柱状キャリアを処理槽群に沿って一定時間ごとに一斉に横行させ、各柱状キャリアに設けられたラック支持用のハンガーを昇降させてラックを各処理槽に順次浸漬させる装置である。ワークはハンガーに支持されたラックに吊り下げられ、必要箇所では上昇あるいは下降した位置で横行し、特許文献1の図3に示されるような経路を1周する間に自動的にめっきされる。
【0003】
従来、このハンガーを取り付けた昇降枠は全てが単一の昇降ビームによって支承され、昇降ビームの上下動に従って一斉に上昇、下降するようになっており、ハンガーの上限位置と下限位置は全てのハンガーで同一高さとなっていた。そのため、ワークの着脱工程においてはハンガーが上限位置あるいは下限位置の何れかにある状態で着脱作業を行わなければならなかった。この着脱作業をハンガーが上限位置にある状態で行う場合には相当な高所での作業となり、また、下限位置にある状態で行う場合であっても、処理槽にポンプ等の付帯機器や配管等が設けられているため下限位置が地上から一定の高さになっており、ある程度高所での作業となることは避けられなかった。こうしたことから作業者の負担が増えたり、思わぬ事故を誘発したりするという問題があった。
【0004】
また、通常上限位置と下限位置の高さは主となるめっき工程の処理槽の高さ方向の寸法に基づいて定められるものであり、浸漬レベルの異なる処理工程においては処理槽の設置高さを変更する等して調整しなければならず、装置の構成上複雑になると言う問題があった。こうした問題は処理工程によってハンガーの下限位置の高さを変えることにより解決することができるわけであるが、現在そのような装置は実用化されておらず、そのような技術を示唆する文献も存在しないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−13823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、処理工程に応じてハンガーの下限位置の高さを変えることができる、エレベータ式めっき装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、本発明は上記目的を達成するために、エレベータ式めっき装置において、ハンガーを取り付けた昇降枠を昇降させる昇降ビームを複数に分割し、分割した各昇降ビームを個別に昇降させる駆動装置を設け、各昇降ビームの上限位置の高さを同一とし、下限位置の高さを個別に設定したものである。ここにおいて、分割した昇降ビームの相互の間にそれぞれ間隙を設けたものとすることができ、昇降ビームと平行に間隙をまたぐ長さの補助ビームを設け、該補助ビームを隣接する昇降ビームの何れか一方に固定し、昇降枠に設けた2個の支持車輪を昇降ビームと補助ビームにそれぞれ支承させるようにすることができる。
【0008】
上記の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、ハンガーを取り付けた昇降枠を昇降させる昇降ビームを複数に分割し、分割した各昇降ビームを個別に昇降させる駆動装置を設けたので個々の昇降ビームを個別に昇降させることができ、各昇降ビームの上限位置の高さを同一としたので全ての昇降ビームが上限位置にある状態で昇降枠に設けた支持車輪が昇降ビームの間を移動することが可能である。また、各昇降ビームの下限位置の高さを個別に設定したので、各処理工程に応じてハンガーの下限位置の高さを設定することが可能である。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたたように、本発明のエレベータ式めっき装置によれば、各処理工程に応じてハンガーの下限位置を最適に設定することができるので、ロード工程、アンロード工程ではワークの脱着に適した高さで作業できることになり、作業者の負担を軽減することができる利点がある。また、各めっき工程では最適な浸漬レベルで処理される利点がある。分割した昇降ビームの間にそれぞれ間隙を設けたものとした場合には、各昇降ビームが上昇あるいは下降するとき昇降ビームが相互に干渉することがない利点があり、昇降ビームと平行に間隙をまたぐ長さの補助ビームを設け、該補助ビームを隣接する昇降ビームの何れか一方に固定し、昇降枠に設けた2個の支持車輪を昇降ビームと補助ビームにそれぞれ支承させるようにした場合には、柱状キャリアが昇降ビーム相互間の間隙をスムースに通過することができる利点がある。
【0010】
さらに、工程数の多い大型の装置の場合には、昇降ビームが分割されるので各昇降ビームを昇降させる個々の駆動装置が小型のものでよい利点があり、運転開始時あるいは運転終了時等支承する昇降枠のハンガーにワークが装着されていないときには当該昇降ビームを上下動させる必要がないのでその駆動装置を停止させることができ、駆動装置を停止させることで消費電力を削減することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のエレベータ式めっき装置全体の主要な構成を示す平面図である。
図2図1のA−A部における縦断側面図である。
図3】昇降ビームの要部を示す平面図である。
図4図3のA−A部における縦断側面図である。
図5】各昇降ビームがそれぞれ上限位置及び下限位置にあるときの昇降枠、ハンガー、ラック及びワークの状態を示す正面図である。
図6】可動受台の詳細を示す正面図である。
図7】可動受台の詳細を示す平面図である。
図8】別の可動受台の詳細を示す正面図である。
図9】別の可動受台の詳細を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0013】
図1において、1、1は各処理工程を定位置とし、処理工程の数と同数設けた柱状キャリアであって、該柱状キャリア1、1の上端及び下端は装置両側の大型スプロケット2、2間に張設した無端チェーン3に一定間隔で取り付けてあり、各柱状キャリア1には図2及び図4に示すように昇降枠4が昇降自在に支持させてある。各昇降枠4のめっき装置の外側となる面には外側に向けてラック5を保持するハンガー6が取り付けてあり、めっき装置の内側となる面には内側に向けて支持軸7が設けてある。支持軸7には昇降枠4側から順に第一の支持車輪8と第二の支持車輪9が回動自在に取り付けてあり、図示していないが大型スプロケット2、2を間歇的に一定角度ずつ回転させ、無端チェーン3を一定寸法ずつ移動させて柱状キャリア1、1を1工程分ずつ横行させる駆動装置が設けてある。こうした構成は従来知られるエレベータ式めっき装置と同様である。
【0014】
柱状キャリア1、1の外側には図1及び図2に示すように処理槽10、10が工程順に配列してあり、1又は複数の柱状キャリア1に1個の処理槽10、10が対応させてある。図1に示す例は柱状キャリア1、1が矢印で示す方向に移動して3層のめっきをするものであり、図の上半分がめっき工程の前半部分、下半分が後半部分となっている。工程の前半部分では右端からワークWをラック5に装着するロード工程、前処理工程、第一のめっき工程、第一の中間処理工程が並び、左端が第二のめっき工程となっている。第二のめっき工程は後半部分に折り返し、工程の後半部分では第二のめっき工程から第二の中間処理工程、第三のめっき工程、後処理工程、乾燥工程等が並び、右端部がワークWをラック5から取り外すアンロード工程となっている。
【0015】
図1において、11、12、13は昇降ビームであって、従来は一体であった昇降ビームを分割したものである。図1に示す例では三分割してあり、それぞれ枠状の構造としてある。昇降ビーム11にはロード工程の最終の作業位置の定位置から前処理工程の定位置の間にある柱状キャリア1、1の第二の支持車輪9、9を支承する部分と乾燥工程の前の湯洗工程の定位置からアンロード工程の最初の作業位置の定位置の間にある柱状キャリア1、1の第二の支持車輪9、9を支承する部分とが設けてあり、アンロード工程の2番目の定位置からロード工程の最終から一つ手前の定位置までの間にある柱状キャリア1、1の第二の支持車輪9、9を支承する部分は設けていない。
【0016】
昇降ビーム12には第一のめっき工程の定位置から第一の中間処理工程の定位置の間にある柱状キャリア1、1の第二の支持車輪9、9を支承する部分と第三のめっき工程の定位置から後処理工程の定位置の間にある柱状キャリア1、1の第二の支持車輪9、9を支承する部分とが設けてある。昇降ビーム13には第一の中間処理工程の定位置から第二のめっき工程の最初の定位置までの間にある柱状キャリア1、1の第二の支持車輪9、9を支承する部分と第二のめっき工程の最終の定位置から第二の中間処理工程の定位置までの間にある柱状キャリア1、1の第二の支持車輪9、9を支承する部分とが設けてあり、第二のめっき工程の2番目の定位置から第二のめっき工程の最終から一つ手前の定位置までの間にある柱状キャリア1、1の第二の支持車輪9、9を支承する部分は設けていない。
【0017】
めっき装置本体のフレームの上には昇降ビーム11、12、13を昇降させる駆動装置が設けてあり、図2には昇降ビーム11を昇降させる駆動装置が示してある。この駆動装置は従来からエレベータ式めっき装置で使用されているものと同様で、モータ14と、モータ14の出力軸に取り付けた平歯車15と、該平歯車15に順次噛合させた2個の平歯車16、17とから構成してあり、2個の平歯車16、17の軸にはそれぞれスプロケット18,19が取り付けてある。スプロケット18、19にはそれぞれチェーン20、21が懸けてあり、チェーン20、21の下端に昇降フレーム11が取り付けてある。これによりモータ14が回転すると平歯車16、17、スプロケット18,19が回転し、チェーン20、21が駆動されて昇降ビーム11が上昇あるいは下降させられる。
【0018】
図示していないが昇降ビーム12、13を昇降させる駆動装置も同様の構成としてあり、各昇降ビーム11、12、13にはそれぞれ上限位置と下限位置を検出するリミットスイッチが設けてある。昇降ビーム11、12、13の上限位置を検出するリミットスイッチは全て同一の高さで動作するようにしてあり、下限位置を検出するリミットスイッチは各昇降ビーム11、12、13が受け持つ処理工程に対してハンガー6、6が適正な高さになったときそれぞれ動作するようにしてある。モータ14が回転すると昇降ビーム11は上昇あるいは下降し、上限位置あるいは下限位置を検出するリミットスイッチが動作するとモータ14の回転が停止して上昇あるいは下降が停止する。昇降ビーム12、13も同様である。
【0019】
図3は昇降ビーム11及び12の詳細を示すものであり、昇降ビーム11、12、13には柱状キャリア1、1の第二の支持車輪9を支承する部分に車輪受11a、12a、13aが設けてある。また、昇降ビーム11、12、13相互の間には水平方向にそれぞれ間隙G、Gが設けてある。22、22は車輪受11a、12a、13aと平行に設けた補助ビームであって、該補助ビーム22、22は間隙Gをまたぐ長さとしてある。補助ビーム22、22にも車輪受22a、22aが上面に重ねて設けてあり、第二の支持車輪9、9が間隙Gに位置するときには第一の支持車輪8、8を補助ビーム22、22により支承するようにしてある。これらの車輪受11a、12a、13a及び22a、22aは第二の支持車輪9及び第一の支持車輪8の移動をスムースにするために設けたものである。
【0020】
図5は昇降ビーム11、12、13が上限位置及び下限位置にあるときの昇降枠4、ハンガー6、ラック5及びワークWの状態を示すものであり、Aは昇降ビーム11、12、13が上限位置にあるとき、Bは昇降ビーム13が下限位置にあるとき、Cは昇降ビーム12が下限位置にあるとき、Dは昇降ビーム11が下限位置にあるときの状態をそれぞれ示している。各昇降ビーム11、12、13の下限位置の高さは、各昇降ビーム11、12、13が下限位置にあるときのハンガー6、6及びラック5、5の高さが各昇降ビーム11、12、13の受け持つ処理工程あるいは作業に対して最適になるように定めてあり、例えば昇降ビーム11の下限位置は、ラック5が工場床面でワークWの着脱作業をするのに適した高さになるような高さに定めてある。
【0021】
昇降ビーム11の、アンロード工程の最初の定位置にある柱状キャリア1の第二の支持車輪9を支承する部分には、可動受台23が設けてある。可動受台23は図6及び図7に示す構成としてあり、上面に第二の支持車輪9の進行方向手前側を支点として回動自在とした可動板24が設けてある。可動板24の手前側は昇降ビーム11に回動自在に支持させた支持軸25に取り付けてあり、支持軸25の延長部分には先端に重錘26を設けた連結腕27が取り付けてある。連結腕27と重錘26は外力を加えない状態で可動板24の先端が立ち上がり、支持車輪9の進行方向前方に傾斜した姿勢をとるような形状、質量としてある。可動板24に進行方向前方に向けて力を加えると可動板24は前方に回動するが、可動板24が水平になったときはそれ以上回動しないように支持するストッパー28が設けてある。
【0022】
昇降ビーム11の、ロード工程の最終の定位置にある柱状キャリア1の第二の支持車輪9を支承する部分には、可動受台29が設けてある。可動受台29は図8及び図9に示す構成としてあり、上面に第二の支持車輪9の進行方向前方側を支点として回動自在とした可動板30が設けてある。可動板30の前方側は昇降ビーム11に回動自在に支持させた支持軸31に取り付けてあり、支持軸31の延長部分には先端に重錘32を設けた連結腕33が取り付けてある。連結腕33と重錘32は外力を加えない状態で可動板30の手前側が水平からさらに下がった姿勢をとるような形状、質量としてあり、可動板30の手前側が水平からさらに下がらないように支持するストッパー34が設けてある。
【0023】
アンロード工程の2番目の作業位置の定位置からロード工程の最終から一つ手前の作業位置の定位置の間にある柱状キャリア1、1の第二の支持車輪9、9は昇降ビーム11に支承されないが、アンロード工程の最初の定位置からロード工程の最終の定位置の間に連続した支持ビーム35が設けてあり、該支持ビーム35に第一の支持車輪8、8が支承させてある。この支持ビーム35の高さは昇降ビーム11の下限位置の高さより若干高くしてあり、柱状キャリア1、1の第一の支持車輪8、8が支持ビーム35に支承された状態でラック5、5の高さがワークWの脱着作業に適した高さになるようにしてある。
【0024】
また、第二のめっき工程の2番目の定位置から第二のめっき工程の最終から一つ手前の定位置までの間にある柱状キャリア1、1の第二の支持車輪9、9は昇降ビーム13に支承されないが、第二のめっき工程の最初の定位置から第二のめっき工程の最終の定位置の間に連続した支持ビーム36が設けてあり、該支持ビーム36に第一の支持車輪8、8が支承させてある。この支持ビーム36の高さは昇降ビーム13の下限位置の高さより若干高くしてあり、柱状キャリア1、1の第一の支持車輪8、8が支持ビーム36に支承された状態でラック5、5に装着したワークWが第二のめっき工程の処理槽10内で浸漬されるのに適した高さになるようにしてある。昇降ビーム13の第二のめっき工程の最初の定位置にある柱状キャリア1の第二の支持車輪9を支承する部分には可動受台23と同様の構成の可動受台37が、昇降ビーム13の第二のめっき工程の最終の定位置にある柱状キャリア1の第二の支持車輪9を支承する部分には可動受台29と同様の構成の可動受台38がそれぞれ設けてある。
【0025】
このように構成したエレベータ式めっき装置は以下のように動作する。すなわち、基本的には下限位置にある昇降ビーム11、12、13の上昇、柱状キャリア1、1の横行、昇降ビーム11、12、13の下降、一定時間の停止という一連の動きを繰り返すのであるが、この昇降ビームの上昇から始まる一連の動きは従来のエレベータ式めっき装置の動きと同様である。前記構成の場合、昇降ビームは三分割して昇降ビーム11、12、13としてあり、各昇降ビーム11、12、13は下限位置の高さが低い昇降ビームから順次上昇するように各駆動装置が制御される。
【0026】
まず下限位置の高さが一番低い位置にある昇降ビーム11が上昇を開始し、昇降ビーム11が上昇して昇降ビーム12の下限位置の高さにまで到達すると昇降ビーム12が上昇を開始し、昇降ビーム11は引き続き上昇する。次に昇降ビーム11と昇降ビーム12が上昇して昇降ビーム13の下限位置の高さにまで到達すると昇降ビーム13が上昇を開始し、昇降ビーム11と昇降ビーム12は引き続き上昇する。全ての昇降ビーム11、12、13が上限位置に到達すると昇降ビーム11、12、13の上昇は停止する。この昇降ビーム11、12、13が上昇する間、間隙Gが設けてあるので昇降ビーム11、12、13が相互に干渉することはない。
【0027】
昇降ビーム11が上昇するとき、アンロード工程の最初の定位置にある柱状キャリア1は第一の支持車輪8が支持ビーム35に支承されており、可動受台23の可動板24の先端が立ち上がった姿勢となっているため第二の支持車輪9は可動受台23に支承されず、昇降枠4が上昇することはない。ロード工程の最終の定位置にある柱状キャリア1は第一の支持車輪8が支持ビーム35に支承されているが、可動受台29の可動板30が水平になっているため第二の支持車輪9は可動受台29に支承されて昇降枠4が上昇することになる。同様に昇降ビーム13が上昇するとき、第二のめっき工程の最初の定位置にある柱状キャリア1の第二の支持車輪9は可動受台37に支承されないので昇降枠4が上昇することはなく、第二のめっき工程の最終の定位置にある柱状キャリア1の第二の支持車輪9は可動受台38に支承されて昇降枠4が上昇することになる。
【0028】
全ての昇降ビーム11、12、13が上限位置まで上昇すると各昇降ビーム11、12、13に支承されていた第二の支持車輪9、9が上昇して各昇降枠4、ハンガー6、ラック5及びワークWは図5のAに示す状態となり、柱状キャリア1、1が横行を開始する。柱状キャリア1、1が横行するとき、昇降ビーム11、12、13が全て同一の高さであるので、第二の支持車輪9が隣接する昇降ビームに移動する場合にも支障なく移動することができ、補助ビーム22が設けてあるので、第二の支持車輪9が各昇降ビームの間の間隙Gを通過する際には第一の支持車輪8が補助ビーム22によって支承され、第二の支持車輪9が間隙Gに落ち込むことなくスムースに移動することができる。
【0029】
このとき、アンロード工程の最初の定位置にある柱状キャリア1はアンロード工程の二番目の定位置まで移動するが、第二の支持車輪9が上昇しておらず、第一の支持車輪8が支持ビーム35に支承されているので、第一の支持車輪8が支持ビーム35上を横行することとなる。アンロード工程の一つ手前の工程の定位置にある柱状キャリア1はアンロード工程の最初の定位置まで移動するが、第二の支持車輪9は昇降ビーム11上を横行して可動板24を前方に回動させ、ストッパー28によって水平に支持された可動板24に支承されることとなる。
【0030】
また、ロード工程の最終の定位置にある柱状キャリア1は前処理工程の最初の定位置まで移動するが、第二の支持車輪9が可動受台29に支承されているので第二の支持車輪9は昇降ビーム11上を横行することとなり、ロード工程の最終の一つ手前の定位置にある柱状キャリア1はロード工程の最終の定位置まで移動するが、第二の支持車輪9が上昇しておらず、第一の支持車輪8が支持ビーム35に支承されているので、第一の支持車輪8が支持ビーム35上を横行することとなる。
【0031】
同様に、第二のめっき工程の最初の定位置にある柱状キャリア1は第二のめっき工程の二番目の定位置まで移動するが、第二の支持車輪9が上昇しておらず、第一の支持車輪8が支持ビーム36に支承されているので、第一の支持車輪8が支持ビーム36上を横行することとなる。第二のめっき工程の一つ手前の工程の定位置にある柱状キャリア1は第二のめっき工程の最初の定位置まで移動するが、その第二の支持車輪9は昇降ビーム13上を可動受台37上まで横行して可動受台37に支承されることになる。
【0032】
また、第二のめっき工程の最終の定位置にある柱状キャリア1は第二の中間処理工程の最初の定位置まで移動するが、第二の支持車輪9が可動受台38に支承されているので第二の支持車輪9が昇降ビーム13上を横行することとなり、第二のめっき工程の最終から一つ手前にある柱状キャリア1は第二のめっき工程の最終の定位置まで移動するが、第二の支持車輪9が上昇しておらず、第一の支持車輪8が支持ビーム36に支承されているので、第一の支持車輪8が支持ビーム36上を横行することとなる。
【0033】
柱状キャリア1、1の横行が終わると昇降ビーム11、12、13は一斉に下降を始めそれぞれの下限位置まで下降して停止する。各昇降ビーム11、12、13に支承されている第二の支持車輪9、9は各昇降ビーム11、12、13の下降に従って下降し、同じ支持軸7に取り付けてある第一の支持車輪8、8も下降する。昇降ビーム11が下限位置近くまで下降するとアンロード工程の最初の定位置にある柱状キャリア1の第一の支持車輪8は支持ビーム35に支承されるに至り、第二の支持車輪9の下降も停止する。昇降ビーム11がさらに下降すると可動受台23の可動板24は第二の支持車輪9の荷重を受けなくなって重錘26によって先端が立ち上がることになる。これにより、可動受台23は次回昇降ビーム11が上昇する際にアンロード工程の最初の定位置にある柱状キャリア1の第二の支持車輪9を支承できない状態になる。
【0034】
また、ロード工程の最終の定位置にある柱状キャリア1は第一の支持車輪8が支持ビーム35に支承されており、昇降ビーム11が下限位置近くまで下降すると第二の支持車輪9が可動受台29の可動板30の下側に当ることになる。昇降ビーム11がさらに下降すると可動受台29の可動板30は第二の支持車輪9によって先端が持ち上げられ、その後可動受台29が第二の支持車輪9の下方まで下降して可動板30が第二の支持車輪9により持ち上げられなくなると可動板30は重錘32によって水平になる。これにより、可動受台29は次回昇降ビーム11が上昇する際にロード工程の最終の定位置にある柱状キャリア1の第二の支持車輪9を支承できる状態になる。
【0035】
同様に、昇降ビーム13が下限位置近くまで下降すると第二のめっき工程の最初の定位置にある柱状キャリア1の第一の支持車輪8は支持ビーム36に支承されるに至り、第二の支持車輪9の下降も停止する。昇降ビーム13がさらに下降すると可動受台37の可動板は支持車輪9の荷重を受けない状態となって先端が立ち上がることとなる。これにより、可動受台37は次回昇降ビーム13が上昇する際に第二のめっき工程の最初の定位置にある柱状キャリア1の第二の支持車輪9を支承できない状態になる。
【0036】
また、第二のめっき工程の最終の定位置にある柱状キャリア1は第一の支持車輪8が支持ビーム36に支承されており、可動受台38が第二の支持車輪9の下方まで下降するとその可動板は持ち上げられた後水平になる。これにより、可動受台38は次回昇降ビーム13が上昇する際に第二のめっき工程の最終の定位置にある柱状キャリア1の第二の支持車輪9を支承できる状態になる。これらの昇降ビーム11、13が下降する際には、第一の支持車輪8、8が支持ビーム35、36に支承されるときの衝撃を少なくするために下限位置に近付いたときにそれぞれ減速するようにしてある。全ての昇降ビーム11、12、13が下限位置に到達すると停止し、一定時間停止すると上記の昇降ビーム11、12、13の上昇から始まって一定時間停止するまでの一連の動きを繰り返す。この昇降ビーム11、12、13が下降する間も、間隙Gが設けてあるので昇降ビーム11、12、13が相互に干渉することはない。
【0037】
このように、アンロード工程の最初の定位置からロード工程の最終の定位置まで移動する間、柱状キャリア1、1はそれらの第一の支持車輪8が支持ビーム35に支承され、ハンガー6、6は途中で上下することなく脱着作業に適した高さで横行することになる。また、第二のめっき工程の最初の定位置から第二のめっき工程の最終の定位置まで移動する間、柱状キャリア1、1はそれらの第一の支持車輪8が支持ビーム36に支承され、ハンガー6、6は途中で上下することなく一定の高さで横行することになる。これにより、ラック5、5に装着したワークWは第二のめっき工程の処理槽10内を最適な浸漬レベルで移動することになる。
【0038】
ここにおいて、厳密には第一の支持車輪8が支持ビーム35に支承されているときのハンガー6の高さは第二の支持車輪9が下限位置にある昇降ビーム11に支承されているときの高さより若干高くしてあるので差があるが、僅かな差であるので特に問題となることはない。また、同様に第一の支持車輪8が支持ビーム36に支承されているときのハンガー6の高さは第二の支持車輪9が下限位置にある昇降ビーム13に支承されているときの高さより若干高くしてあるので差があるが、僅かな差であるのでこれも特に問題となることはない。
【0039】
以上説明したように、本発明のエレベータ式めっき装置によれば、ハンガー6、6を昇降させる昇降ビームを複数に分割し、分割した各昇降ビーム11、12、13を個別に昇降させる駆動装置を設けたので、処理工程によって下限位置の高さを個別に設定することが可能である。したがって、ロード工程、アンロード工程ではワークWの脱着に適した高さで作業できるので作業者の負担を軽減することができ、各めっき工程では最適な浸漬レベルで処理することができる利点がある。
【0040】
なお、前記の実施の形態では装置の一方の端部の折り返し部分をロード工程及びアンロード工程としているが、これを中央部分等に設けてもよく、分割した昇降ビーム11、12、13を枠状としてそれぞれ工程の前半部分と後半部分のハンガー6、6を上下させるようにしているが、分割の形態を変更しても良いことは言うまでもない。さらに、昇降ビーム11、12、13の何れかに可動受台23、29と同様の構成の可動受台を追加し、対応する支持ビームを設ければ、その間でハンガー6、6が上下することなく一定の高さで横行するようにすることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 柱状キャリア
2 大型スプロケット
3 無端チェーン
4 昇降枠
5 ラック
6 ハンガー
7 支持軸
8 第一の支持車輪
9 第二の支持車輪
10 処理槽
11、12、13 昇降ビーム
11a、12a、13a 車輪受
14 モータ
15、16、17 平歯車
18、19 スプロケット
20、21 チェーン
22 補助ビーム
22a 車輪受
23 可動受台
24 可動板
25 支持軸
26 重錘
27 連結腕
28 ストッパー
29 可動受台
30 可動板
31 支持軸
32 重錘
33 連結腕
34 ストッパー
35、36 支持ビーム
37、38 可動受台
G 間隙
W ワーク
図1
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