特開2017-95939(P2017-95939A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-95939(P2017-95939A)
(43)【公開日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】水道用弁筐
(51)【国際特許分類】
   E03B 9/10 20060101AFI20170428BHJP
   E02D 29/14 20060101ALI20170428BHJP
【FI】
   E03B9/10 A
   E02D29/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-228028(P2015-228028)
(22)【出願日】2015年11月20日
(71)【出願人】
【識別番号】591116092
【氏名又は名称】株式会社福原鋳物製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100062797
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100188385
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 道俊
(72)【発明者】
【氏名】福原 勝
【テーマコード(参考)】
2D047
2D147
【Fターム(参考)】
2D047BB17
2D047BB21
2D047BB26
2D147BB17
2D147BB21
2D147BB26
(57)【要約】

【課題】 構成物品が少なく、従って在庫管理が簡便、設置作業が簡単且つ工事現場で長さ(高さ)や傾斜路面に簡単に対応でき、作業効率を向上させて時間や経費の削減を図ることができ、しかも横方向の衝撃に対しても強く、輸送時等で破損したり、亀裂が入り、使用不能になることのない水道用弁筐を提供する。
【解決手段】硬質塩化ビニール管からなる主筐体2の下端を底盤1の係合部1aに嵌合させ、前記主筐体2の上部に、歯状のずれ止め用突起3a,3a,3aを係合させて蓋受枠3を載置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底盤と、主筐体と、蓋受枠とから成り、前記主筐体を硬質塩化ビニール管で構成し、前記蓋受枠は鋳物で構成すると共に、下面に前記硬質塩化ビニール管の内側と係合するずれ止め用突起を設けたことを特徴とする水道用弁筐。
【請求項2】
底盤と、主筐体と、環状のずれ止め板と、蓋受枠とから成り、前記主筐体を硬質塩化ビニール管で構成し、前記環状のずれ止め板は鋳物又はレジンコンクリートで構成し、また前記蓋受枠は鋳物で構成すると共に、前記環状のずれ止め板の下面に、前記硬質塩化ビニール管の内側と係合するずれ止め用突起を設けたこと特徴とする水道用弁筐。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下式消火栓、仕切弁、空気弁、バタフライ弁等をカバーし、車両通行荷重、土圧等から保護する水道用弁筐に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、消火栓は、ビル街においては、ビルの壁面や地上に露出して設けられているが、一般に市街地においては地下1〜2mの深さに設置され、コンクリート製あるいはレジンコンクリート製ボックス(筐体)によってカバーして車両通行荷重、土圧等から保護されている。
【0003】
しかし、これらのコンクリート製あるいはレジンコンクリート製の筐体は、横方向の衝撃荷重に弱く、運搬中に破損したり、亀裂が入ることが多く、使用不能になった場合、産業廃棄物となっていた。
【0004】
この問題を解決するものとして、筐体を鋳物製とすることが提案されているが、これら現用の筐体は何れも比重が大きく、重量が大きくなるため設置作業、搬送作業並びに在庫管理等を容易とするために筐体は分割方式を採っている。
【0005】
しかし、分割構造の筐体は、繋ぎ合わせるため継手リングや、外方に突出する係合部により繋ぎ合わせているため、地震等で傾くことがあったり、埋め戻しの際、均一に転圧するため気を使いながら転圧作業を行う必要があった。
【0006】
また、消火栓の設置場所(深さ)により、筐体の地表迄の高さを適切な高さにしなければならないが、分割筐体は2種類程度であるから、所要の高さのものとしようとするとき、過不足を生じ、従って調整リングを多数用意しておく必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2003−119842号公報
【特許文献2】実用新案登録第3074710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、構成物品数が少なく、従って在庫管理が簡便、設置作業が簡単且つ工事現場で長さ(高さ)や傾斜路面に簡単に対応でき、作業効率を向上させて時間や経費の削減を図ることができ、しかも横方向の衝撃に対しても強く、輸送時等で破損したり、亀裂が入り、使用不能になることのない水道用弁筐を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1記載の発明は、底盤と、主筐体と、蓋受枠とから成り、前記主筐体を硬質塩化ビニール管で構成し、前記蓋受枠は鋳物で構成すると共に、下面に前記硬質塩化ビニール管の内側と係合するずれ止め用突起を設けたことを特徴とする水道用弁筐である。
【0010】
請求項2記載の発明は、底盤と、主筐体と、環状のずれ止め板と、蓋受枠と、蓋体とから成り、前記主筐体を硬質塩化ビニール管で構成し、前記環状のずれ止め板は鋳物又はレジンコンクリートで構成し、また前記蓋受枠は鋳物で構成すると共に、前記環状のずれ止め板の下面に、前記硬質塩化ビニール管の内側と係合するずれ止め用突起を設けたこと特徴とする水道用弁筐である。
【0011】
本発明に用いられる底盤には、前記硬質塩化ビニール管の下端と係合する嵌合部を設けた鋳物製やレジンコンクリート製の座盤が用いられる。また硬質塩化ビニール管としては、市販の既製品から設置現場に応じたサイズを選んで用いられる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び2記載の発明によれば、主筐体を比重がコンクリートやレジンコンクリートの約1/2、鋳物の1/5.5である硬質塩化ビニール管で構成するようにしたので、軽量であるから従来のように分割組み立て方式を採らずともよく、従って、構成物品数を減少し、在庫管理が容易になるばかりでなく、組立作業、即ち、設置作業効率が向上する効果がある。
【0013】
また、硬質塩化ビニール管は、カッターで簡単に切断することができるので、現場の状況に合致した長さの筐体を、現場で容易に構成することができると共に道路の傾斜に合わせた筐体を提供ですることができる。
【0014】
更に、硬質塩化ビニール管は耐薬品性、耐食性に優れているので、耐用年数も金属管に比べて長期に使用することができ、しかも熱伝導率は、鉄の1/350、磁器の1/6、ガラスの1/5と小さいので、保温、保冷効果のよい管材で耐寒性にも優れているので、寒冷地における地下式消火栓、仕切弁等の筐体として有用である。
【0015】
更に請求項2記載の発明によれば、環状のずれ止め板と蓋受枠の間にレジンモルタル等のスペーサー等を入れることにより筐体の高さの微調整や蓋受枠の傾斜度の微調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1の縦断面図である。
図2】本発明の実施例1における蓋受枠の平面図である。
図3】傾斜路面に対応させた場合の本発明の実施例1の縦断面図である。
図4】本発明の実施例2の縦断面図である。
図5】本発明の実施例2におけるずれ止め板の平面図である。
図6】異なる底盤を使用した場合の本発明の実施例3の縦断面図である。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の実施例1の縦断面図で、1は係合部1aを設けた鋳物製の底盤、2は硬質塩化ビニール管からなる主筐体、3は下面の3ヶ所に歯状のずれ止め用突起3a,3a,3aを設けた鋳物製の蓋受枠、4は鋳物製の蓋体である。
【0018】
次に本発明にかかる弁筐の現場における設置手順について説明すると、先ず底盤1を設置し、次に予め用意した長目の硬質塩化ビニール管から成る主筐体2を、現場で適切な長さに切断した後、下端を底盤1の係合部1aに嵌合させ、次いで主筐体2の周囲を埋め戻し、転圧した後、蓋受枠3に設けた歯状のずれ止め用突起3a,3a,3aを主筐体2に係合させて載置し、蓋受枠3の周囲を埋め戻した後、転圧して路面と一致させる。
【0019】
この一連の設置作業から明らかなように、現場において、地下式消火栓や仕切弁等の設置状況に応じた適切な筐体を簡単且つ迅速に構成することができ、主筐体2の外側に凹凸がないため、転圧作業を気を使うことなく均一且つ迅速に行うことができ、従来のものより弁筐の設置作業の時間を短縮し、効率化を図ることができる。
【0020】
そして主筐体2を構成する硬質塩化ビニール管は軽くて強いので、口径600mm、長さ70cmでも35kg前後の重さなので、従来の何本も積み重ねずに一本で済むため、施工が簡単であると共に、在庫管理、輸送等に従来のものより有利である。
【0021】
また、図3に示すように、路面が傾斜した状況においても、現場でカッターで主筐体2’を切断すれば簡単に対応することができ、更に硬質塩化ビニール管は、搬送時等で傷がつき難く、割れることがないので、品質管理上、従来のコンクリートやレジンコンクリート製より遥かに優れている。
【実施例2】
【0022】
図4は実施例2の縦断面図を示すもので、高さ又は傾斜度の微調整を行えるようにしたものである。
【0023】
即ち、この実施例2では蓋受枠3’をずれ止め用突起を設けない通常タイプのものとし、下面に適数の歯状のずれ止め用突起5a,5a,5aを設けた環状のずれ止め板5をボルト6とナット7で固定するようにしたものである。なお、ずれ止め板5は鋳物又はレジンコンクリートで構成する
【0024】
高さ又は傾斜度の微調整を行う場合は、蓋受枠3’とずれ止め板5間にモルタル等のスペーサーを入れることにより容易に行うことができる。
【0025】
以上説明した実施例ではずれ止め用突起を歯状のものとしたが、リング状のものとすることができる。
【実施例3】
【0026】
図6は実施例3の要部の縦断面図を示すもので、底盤1’をレジンコンクリートなどで構成し、上面に主筐体2の下端を係合させる凹部1’aを設けたもので、現場の状況に応じて実施例1,2に示した鋳物製の底盤1に変えて選択使用される。なおレジンコンクリート製のものは鋳物製に比し、冷間製作によるものであるばかりでなく、材料費が安いので安価に提供することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 底盤
1a 係合部
2 主筐体
3 蓋受枠
3a ずれ止め用突起
4 蓋体
5 ずれ止め板
6 ボルト
7 ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6