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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-97414(P2017-97414A)
(43)【公開日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】不揮発性半導体メモリ記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/60 20130101AFI20170428BHJP
【FI】
   G06F21/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-225592(P2015-225592)
(22)【出願日】2015年11月18日
(71)【出願人】
【識別番号】591275481
【氏名又は名称】株式会社アイ・オー・データ機器
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜本 信男
(72)【発明者】
【氏名】原 正明
(72)【発明者】
【氏名】川久保 優
(57)【要約】
【課題】廃棄時の情報漏洩を容易に防止することが可能な不揮発性半導体メモリ記憶装置を提供する。
【解決手段】SSD装置1は、フラッシュメモリチップ11と、フラッシュメモリチップ11に対するデータの読み書きを制御する制御回路12と、外部から供給される電源電圧を昇圧して、フラッシュメモリチップ11の絶対最大定格電圧よりも高い素子破壊電圧を生成する昇圧回路13と、を備える。SSD装置1が廃棄棄されるとき、制御回路12は、昇圧回路13から出力される素子破壊電圧を制御信号REの信号線に印加することにより、フラッシュメモリチップ11内の制御信号REの入力回路を破壊する。その結果、フラッシュメモリチップ11に記憶されていたデータの読み出しが不可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの電気的な書き込みおよび消去が可能な不揮発性半導体メモリチップと、
複数の制御信号を介して前記不揮発性半導体メモリチップに対するデータの読み書きを制御する制御回路と、
外部から供給される電源電圧を昇圧して、前記不揮発性半導体メモリチップに設定されている絶対最大定格電圧よりも高い電圧である素子破壊電圧を生成する昇圧回路と、
を備え、
前記制御回路から出力される素子破壊電圧印加指示信号に基づき、前記制御回路から前記不揮発性半導体メモリチップへ出力される前記制御信号のうち、前記不揮発性半導体メモリチップからのデータ読み出しタイミングを制御する第1の制御信号の信号線および制御の対象とする前記不揮発性半導体メモリチップを選択する第2の制御信号の信号線の少なくとも一方の信号線に、前記昇圧回路で生成される前記素子破壊電圧を印加すること
を特徴とする不揮発性半導体メモリ記憶装置。
【請求項2】
前記素子破壊電圧が印加される前記信号線上の素子破壊電圧印加点と前記制御回路の前記信号線の出力端子との間に、前記素子破壊電圧よりも高い逆方向の耐圧を有する第1のダイオードが、前記出力端子側から前記素子破壊電圧印加点側への方向が順方向となるように設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体メモリ記憶装置。
【請求項3】
前記昇圧回路の前記素子破壊電圧の出力端子から前記信号線上の前記素子破壊電圧印加点に到る配線の途中に、前記電源電圧よりも高い逆方向の耐圧を有する第2のダイオードが、前記素子破壊電圧の出力端子側から前記素子破壊電圧印加点側への方向が順方向となるように設けられていること
を特徴とする請求項2に記載の不揮発性半導体メモリ記憶装置。
【請求項4】
前記昇圧回路の前記素子破壊電圧の出力端子から前記第2のダイオードに到る配線の途中に、前記素子破壊電圧印加指示信号がアクティブのとき導通状態となり、前記素子破壊電圧印加指示信号がインアクティブのとき非導通状態となるスイッチがさらに設けられていること
を特徴とする請求項3に記載の不揮発性半導体メモリ記憶装置。
【請求項5】
前記素子破壊電圧が印加される前記信号線上の素子破壊電圧印加点と前記制御回路の前記信号線の出力端子との間に、前記素子破壊電圧印加指示信号がインアクティブのとき導通状態となり、前記素子破壊電圧印加指示信号がアクティブのとき非導通状態となる第1のスイッチが設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体メモリ記憶装置。
【請求項6】
前記昇圧回路の前記素子破壊電圧の出力端子から前記信号線上の前記素子破壊電圧印加点に到る配線の途中に、前記素子破壊電圧印加指示信号がアクティブのとき導通状態となり、前記素子破壊電圧印加指示信号がインアクティブのとき非導通状態となる第2のスイッチが設けられていること
を特徴とする請求項5に記載の不揮発性半導体メモリ記憶装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記昇圧回路を介して第1の破壊電圧を、前記第1の制御信号の信号線および前記第2の制御信号の信号線の少なくとも一方に印加した後、前記不揮発性半導体メモリチップからデータを読み出し、前記読み出したデータ全てが誤っていない場合には、前記昇圧回路を介して前記第1の破壊電圧よりも高い第2の破壊電圧を、再度、前記第1の制御信号の信号線および前記第2の制御信号の信号線の少なくとも一方に印加すること
を特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載の不揮発性半導体メモリ記憶装置。
【請求項8】
前記制御回路は、外部に接続されたホストコンピュータから出力される前記不揮発性半導体メモリチップの素子破壊指令を受けたとき、前記昇圧回路に対し前記素子破壊電圧印加指示信号を出力すること
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の不揮発性半導体メモリ記憶装置。
【請求項9】
人手によって操作される廃棄ボタンを、さらに、備え、
前記制御回路は、前記廃棄ボタンが押下されたとき、前記昇圧回路に対し前記素子破壊電圧印加指示信号を出力すること
を特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の不揮発性半導体メモリ記憶装置。
【請求項10】
人手によって操作される廃棄保護スイッチを、さらに、備え、
前記廃棄保護スイッチがオン状態であるとき、前記制御回路からの前記素子破壊電圧印加指示信号の出力が禁止され、前記廃棄保護スイッチがオフ状態であるとき、前記制御回路からの前記素子破壊電圧印加指示信号の出力が許容されること
を特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の不揮発性半導体メモリ記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄後の記憶データの漏洩を防止した不揮発性半導体メモリ記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュメモリなどにより構成されるSSD(Solid State Disk)装置は、ハードディスク装置の後を追うように大容量化が進展している。フラッシュメモリは、不揮発性半導体メモリであるため、SSD装置もハードディスク装置と同様に廃棄された後の記憶データの漏洩が問題となる。SSD装置の場合、記憶データの消去時間はハードディスク装置の場合ほどは長くならないものの、その記憶容量の増大に伴って、より短時間により簡便に記憶データを破壊する手段の必要性が高まっている。
【0003】
特許文献1には、フラッシュメモリに記憶された情報のセキュリティを確保するようにしたICカードの例が開示されている。特許文献1の図1などの説明によれば、ICカード1Aに搭載されたマイクロコンピュータ2は、内部の電源回路10に電源電圧VDDを昇圧する昇圧回路11を備え、昇圧回路11は素子破壊電圧VPPを発生する。マイクロコンピュータ2のCPU8は、外部から不正なアタックが繰り返し行われたと判断した場合、認証ミス信号を電源回路10に入力する。認証ミス信号を受けた電源回路10は、通常の電源電圧VDDに代えて素子破壊電圧VPPを少なくともRAM3およびフラッシュメモリ7に供給する。素子破壊電圧VPPの供給により、RAM3およびフラッシュメモリ7を構成する回路素子が破壊されるので、ICカード1Aに記憶されている情報(データおよびプログラム)の漏洩に関するセキュリティが確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−140129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、基本的には、1チップマイクロコンピュータなど1つの集積回路チップの内部回路に適用される技術である。そのため、この技術を複数の集積回路チップからなるSSD装置などプリント基板上に実装された不揮発性半導体メモリ記憶装置に適用するといくつかの問題が生じる。ちなみに、SSD装置を構成するプリント基板には、通常、複数のフラッシュメモリチップと1つのマイクロコンピュータチップ、すなわち、複数の集積回路チップが搭載されている。
【0006】
このような複数の集積回路チップが搭載されたプリント基板に特許文献1の技術を適用した場合、素子破壊電圧VPPを、複数のフラッシュメモリチップの電源端子に供給する必要性から、供給すべき電流量が増大する。従って、素子破壊電圧VPPを発生する昇圧回路が大きくなる、すなわち、追加すべき回路が増大するという問題が生じる。
【0007】
また、素子破壊電圧VPPを単に電源電圧VDDの電源配線に供給した場合、その電源配線はフラッシュメモリチップだけでなくマイクロコンピュータチップにも接続されているため、マイクロコンピュータチップを構成する回路素子も素子破壊電圧VPPによって破壊される。そのため、SSD装置における情報の読み出し機能も併せて失われる。
【0008】
SSD装置における情報の読み出し機能が失われるということは、フラッシュメモリチップに記憶されていた情報が素子破壊電圧VPPを供給したことによって確実に破壊されたか否かを確認する手段が失われたことを意味する。従って、ユーザは、SSD装置に記憶されていた情報が確実に破壊されたか否かを確認することはできない。万が一、マイクロコンピュータチップの回路素子だけ破壊され、フラッシュメモリチップの回路素子が破壊されなかった場合には、フラッシュメモリチップに記憶されていた情報が漏洩する可能性が残ることになる。
【0009】
この発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、大きな追加回路を必要とせずに、廃棄時の情報漏洩を容易に防止することが可能な不揮発性半導体メモリ記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明に係る不揮発性半導体メモリ記憶装置は、データの電気的な書き込みおよび消去が可能な不揮発性半導体メモリチップと、複数の制御信号を介して前記不揮発性半導体メモリチップに対するデータの読み書きを制御する制御回路と、外部から供給される電源電圧を昇圧して、前記不揮発性半導体メモリチップに設定されている絶対最大定格電圧よりも高い電圧である素子破壊電圧を生成する昇圧回路と、を備え、前記制御回路から出力される素子破壊電圧印加指示信号に基づき、前記制御回路から前記不揮発性半導体メモリチップへ出力される前記制御信号のうち、前記不揮発性半導体メモリチップからのデータ読み出しタイミングを制御する第1の制御信号の信号線および制御の対象とする前記不揮発性半導体メモリチップを選択する第2の制御信号の信号線の少なくとも一方の信号線に、前記昇圧回路で生成される前記素子破壊電圧を印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、大きな追加回路を必要とせずに、廃棄時の情報漏洩を防止することが可能な不揮発性半導体メモリ記憶装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係るSSD装置の構成の例を示した図。
図2】本発明の第1の実施形態の変形例に係るSSD装置の構成の例を示した図。
図3】本発明の第1の実施形態において、フラッシュメモリチップのデータをより確実に読み出し不可能とするために制御回路により実行される処理手順の例を示した図。
図4】本発明の第2の実施形態に係るSSD装置の構成の例を示した図。
図5】本発明の第2の実施形態の変形例に係るSSD装置の構成の例を示した図。
図6】本発明の第3の実施形態に係るSSD装置の構成の例を示した図。
図7】本発明の第4の実施形態に係るSSD装置の構成の例を示した図。
図8】本発明の第5の実施形態に係るSSD装置の構成の例を示した図。
図9】本発明の第5の実施形態の変形例に係るSSD装置の構成の例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の各図面において、共通する構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。また、ここでは、代表的な不揮発性半導体メモリであるフラッシュメモリで構成された記憶装置、すなわち、SSD装置を例としてその実施形態を説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るSSD装置1の構成の例を示した図である。図1に示すように、SSD装置1は、複数個(例えば、20個)のフラッシュメモリチップ11、制御回路12、昇圧回路13、逆流保護用のダイオード14,15などが1枚または複数枚のプリント基板上に搭載されて構成される。ここで、フラッシュメモリチップ11は、例えば、16Gbitのフラッシュメモリセルが集積された半導体チップが、例えばTSOP(Thin Small Outline Package)などの1つのパッケージに収容されて構成されたものをいう。また、図1では、フラッシュメモリチップ11は、3個しか描かれていないが、3個に限定されるわけではない。また、フラッシュメモリチップ11の数は、複数に限定されず、1個であってもよい。
【0015】
SSD装置1は、いわゆるS−ATA(Serial Advanced Technology Attachment)やUSB(Universal Serial Bus)などのインターフェースケーブル21を介してホストコンピュータ2に接続され、ホストコンピュータ2の補助記憶装置として用いられる。すなわち、SSD装置1は、ホストコンピュータ2の指示のもとに、ホストコンピュータ2から転送されるデータをフラッシュメモリチップ11に記憶しておくとともに、フラッシュメモリチップ11に記憶されているデータを読み出して、ホストコンピュータ2へ転送する。なお、ホストコンピュータ2とは、一般的なパーソナルコンピュータやワークステーション、さらには、各種装置に付属する情報処理装置などをいう。
【0016】
SSD装置1には、ACアダプタなどの外部の電源回路3から電源電圧Vdd(例えば、5V)が供給され、電源電圧Vddは、SSD装置1内において、フラッシュメモリチップ11、制御回路12、昇圧回路13などに供給される。なお、SSD装置1の内部では、電源電圧Vdd(例えば、5V)をフラッシュメモリチップ11などが求める電源電圧の仕様に応じて、適宜、3Vなどに変換してもよい。
【0017】
制御回路12は、ホストコンピュータ2とフラッシュメモリチップ11との間にあって、ホストコンピュータ2によるフラッシュメモリチップ11へのデータの書き込みおよびフラッシュメモリチップ11からのデータの読み出しを仲介し、その仲介を制御する。すなわち、制御回路12は、ホストコンピュータ2との間のインターフェースと、フラッシュメモリチップ11との間のインターフェースの相違を調整する。
【0018】
制御回路12は、この両者のインターフェースの相違を調整するために、RAM(Random Access Memory)などで構成された一時記憶メモリ(図示せず)を有している。すなわち、ホストコンピュータ2から転送されたデータは、この一時記憶メモリに一時記憶された後、制御回路12によってフラッシュメモリチップ11へ書き込まれる。また、制御回路12によってフラッシュメモリチップ11から読み出されたデータは、この一時記憶メモリに一時記憶された後、ホストコンピュータ2へ転送される。
【0019】
ホストコンピュータ2は、SSD装置1を仮想的なハードディスク装置とみなしてSデータの読み書きを実行する。そのため、ホストコンピュータ2は、SSD装置1に対するデータの読み書きに際しては、ハードディスク装置でいうデータの格納場所であるトラックアドレスおよびセクタアドレスを指定する。従って、制御回路12は、ホストコンピュータ2により指定されるトラックアドレスおよびセクタアドレスを、フラッシュメモリチップ11の物理アドレス(ページアドレスやブロックアドレス)に変換する役割も担う。
【0020】
図1に示すように、制御回路12とフラッシュメモリチップ11とは、アドレス/データバス(A/D bus)で接続されるとともに、制御回路12は、データの読み書きを行うための各種制御信号をフラッシュメモリチップ11に向けて出力する。なお、図1では、その各種制御信号の内、データ読み出しタイミングを制御する信号を制御信号REと表し、複数のフラッシュメモリチップ11の中から制御対象とするフラッシュメモリチップ11を選択する信号を制御信号CS1,CS2,CS3と表し、これら以外の制御信号を制御信号CNTと表している。
【0021】
なお、以上のように構成される制御回路12は、1チップタイプのマイクロコンピュータ、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることより、コンパクトな回路として実現することができる。
【0022】
昇圧回路13は、外部の電源回路3からの電源電圧Vdd(例えば、5V)の供給を受けて、その電源電圧Vddを昇圧し、フラッシュメモリチップ11に設定されている絶対最大定格電圧(例えば、7V)よりも高電圧の素子破壊電圧Vds(例えば、20V)を出力する。ただし、ここでは、昇圧回路13は、制御回路12から出力される昇圧指示信号BSがアクティブになったとき作動、すなわち、素子破壊電圧Vdsを出力する。また、制御回路12は、ホストコンピュータ2から、フラッシュメモリチップ11の素子破壊指令を受けたとき、昇圧指示信号BSをアクティブにするものとする。なお、昇圧指示信号BSは、所定時間後にインアクティブにされる。
【0023】
また、本実施形態では、制御回路12からフラッシュメモリチップ11に出力される制御信号のうち制御信号REについては、ダイオード14を介してフラッシュメモリチップ11の入力端子に接続される。さらに、昇圧回路13から出力される素子破壊電圧Vdsが印加される配線は、ダイオード15を経由して、制御信号REの信号線上の、ダイオード14とフラッシュメモリチップ11の入力端子と間の点Pに接続されている。すなわち、ダイオード15は、昇圧回路13と制御信号REの信号線上の点Pをつなぐ配線上の途中に配置されている。さらに、この信号線の点Pが含まれる配線部分とアース間には、プルダウン抵抗Rが接続される。
【0024】
ここで、ダイオード14は、制御回路12側からフラッシュメモリチップ11側への方向が順方向になるように設けられ、その逆方向の耐圧は、素子破壊電圧Vdsよりも高いものとする。また、ダイオード15は、昇圧回路13側から点P側への方向が順方向になるように設けられる。なお、ダイオード15の逆方向の耐圧は、電源電圧Vddの絶対最大定格電圧よりも高ければよい。なお、ダイオード14,15としては、通常のpn接合のダイオードを用いてもよいが、高周波特性に優れ、スイッチングスピードが速く、順方向の電圧降下の小さいショットキバリアダイオード(SBD)を用いるのが好ましい。
【0025】
このとき、昇圧回路13から素子破壊電圧Vdsが点Pに印加されると、素子破壊電圧Vdsは、フラッシュメモリチップ11の制御信号REの入力端子に印加される。そのため、素子破壊電圧Vdsの印加によって、フラッシュメモリチップ11内の入力ゲートが破壊され、制御信号REは、その入力ゲートより奥のフラッシュメモリチップ11の内部へ伝達されないことになる。従って、フラッシュメモリチップ11内では、メモリセルからのデータの読み出し信号を生成することができなくなるので、制御回路12は、フラッシュメモリチップ11からデータを読み出すことができない。
【0026】
一方、昇圧回路13から素子破壊電圧Vdsが点Pに印加されても、制御回路12への素子破壊電圧Vdsの印加は、ダイオード14によって阻止されるので、素子破壊電圧Vdsにより制御回路12が破壊されることはない。
【0027】
なお、ダイオード15は、通常の動作時、すなわち、昇圧指示信号BSがインアクティブであるとき(昇圧回路13が動作していないとき)に、制御信号REを昇圧回路13から切り離す役割を果たす。
【0028】
以上、本実施形態では、制御回路12は、ホストコンピュータ2から昇圧指令を受けると、昇圧指示信号BSをアクティブにし、そのアクティブな昇圧指示信号BSを昇圧回路13に出力する。また、昇圧回路13は、アクティブな昇圧指示信号BSを受けると、昇圧動作を開始して素子破壊電圧Vdsを生成し、その生成した素子破壊電圧Vdsを、ダイオード15を経由させて制御信号REの信号線上の点Pに印加する。この素子破壊電圧Vdsの印加によりフラッシュメモリチップ11内の入力ゲートが破壊されるので、制御回路12は、フラッシュメモリチップ11からのデータの読み出しが不可能な状態になる。
【0029】
よって、SSD装置1を廃棄する場合、ホストコンピュータ2は、SSD装置1に対して昇圧指令を出力することにより、SSD装置1に記憶されているデータの読み出しを不可能にすることができる。すなわち、本実施形態によれば、従来の一般的なSSD装置に昇圧回路13、ダイオード14,15およびプルダウン抵抗Rを追加するだけで、廃棄するSSD装置1からの情報漏洩を防止することが可能になる。しかも、そのとき必要となるホストコンピュータ2側の処理は、昇圧指令を出力するだけという簡単な処理で済む。
【0030】
また、本実施形態では、素子破壊電圧Vdsは、特許文献1に示されているようにフラッシュメモリチップ11の電源端子に供給されるのではなく、制御信号REの入力端子に供給される。制御信号REの入力端子は、電源端子と異なり、入力インピーダンスが大きい。そのため、入力回路のゲートを破壊するのに必要な素子破壊電圧Vdsの電流容量は、小さくて済む。これは、昇圧回路13の規模が小さくて済むことを意味する。
【0031】
また、本実施形態では、制御信号REの信号線に素子破壊電圧Vdsが印加されても、ダイオード14により制御回路12が破壊されることを防止することができる。従って、制御回路12は、制御信号REの信号線に素子破壊電圧Vdsが印加された後であっても、その素子破壊電圧Vdsの印加が解除されれば正常に動作する。その結果、素子破壊電圧Vdsによりフラッシュメモリチップ11の入力回路が破壊された後、制御回路12がフラッシュメモリチップ11からデータを読み出すことにより、フラッシュメモリチップ11の入力回路が破壊されたことを確認すること可能になる。
【0032】
ちなみに、制御信号REの入力回路が破壊されたフラッシュメモリチップ11から読み出されるデータは、全く意味のないデータ(全ビット0なども含む)となる。SSD装置1の場合、制御回路12は、フラッシュメモリチップ11からデータを読み出すとき、ページデータを単位として読み出すが、そのページデータには、リード・ソロモン符号など誤り検査訂正符号のデータが付加されている。従って、制御回路12は、その誤り検査訂正符号のデータを用いて、読み出したデータにおける誤りの有無を検査することができる。制御信号REの入力回路が破壊されている場合、誤り検査訂正符号のデータも意味のないデータとなる。そのため、この誤りの検査では、読み出されたページデータは、当然誤り有りと判定される。
【0033】
そこで、制御回路12がSSD装置1に含まれるフラッシュメモリチップ11から全ページのデータを読み出し、その全てのページデータについての誤り検査訂正符号の検査で誤り有りと判定された場合には、全てのフラッシュメモリチップ11から正常なデータが読み出せなくなったと判断することができる。従って、制御回路12は、フラッシュメモリチップ11から正常なデータの読み出しができなくなったか否かを確認することができる。さらに、このことは、ホストコンピュータ2がフラッシュメモリチップ11から正常なデータの読み出しが不可能になったことを確認することができることを意味する。
【0034】
<第1の実施形態の変形例>
図2は、本発明の第1の実施形態の変形例に係るSSD装置1aの構成の例を示した図である。なお、この変形例に係るSSD装置1aの構成は、次の2点において図1に示したSSD装置1と相違している。
【0035】
(1)昇圧回路13から出力される素子破壊電圧Vdsを導通させる配線は、ダイオード15に直接接続されるのではなく、スイッチ16を経由してダイオード15に接続される。すなわち、スイッチ16は、昇圧回路13とダイオード15とをつなぐ配線の途中に配置される。このスイッチ16は、接合型またはMOS(Metal Oxide Semiconductor)型の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)で構成してもよく、リレーなど機械的なスイッチで構成してもよい。
(2)制御回路12は、昇圧回路13に対し昇圧指示信号BS(図1参照)を出力するのではなく、スイッチ16に対しスイッチオン信号SWAを出力する。ここで、スイッチオン信号SWAがアクティブになったとき、スイッチ16は導通状態となり、スイッチオン信号SWAがインアクティブになったとき、スイッチ16は非導通状態となる。なお、スイッチオン信号SWAは、所定時間アクティブになった後、インアクティブに制御される。また、この場合、昇圧回路13は、常に素子破壊電圧Vdsを生成するものであってもよい。
【0036】
本変形例では、昇圧回路13は、制御回路12からスイッチオン信号SWAがアクティブ前から素子破壊電圧Vdsを生成するものであってもよい。その場合、制御回路12からスイッチオン信号SWAがアクティブになると、素子破壊電圧Vdsは、直ちにスイッチ16およびダイオード15を経て、制御信号REの信号線に印加される。従って、制御信号REの電圧は、急激に高電圧側に変化するため、その急激な変化により、フラッシュメモリチップ11内の制御信号REの入力回路が破壊されやすくなる。
【0037】
なお、以上の点を除けば、図2に示したSSD装置1aの作用および効果は、図1に示したSSD装置1の作用および効果とほとんど同じであるので、以下、繰り返しとなる説明を省略する。
【0038】
<第1の実施形態の第2の変形例>
第2の変形例については、図示を省略する。この第2の変形例では、昇圧回路13は、予め定められた複数種の素子破壊電圧(例えば、20V,30V,50Vなど)を出力可能なように構成されている。そして、制御回路12からの指示に従い、前記の複数種の素子破壊電圧の中から1つを選択し、素子破壊電圧Vdsとして出力する。そのため、制御回路12から昇圧回路13に向けて出力する昇圧指示信号BSは、1本ではなく、複数本とするのがよい。例えば、昇圧回路13が20V,30V,50Vなど3種類の素子破壊電圧を出力可能な場合、制御回路12は、その素子破壊電圧の種類の数と同数の3本の昇圧指示信号BS(BS1,BS2,BS3)を用いて、そのいずれかの素子破壊電圧を選択する。
【0039】
なお、以上のような昇圧回路13は、例えば、多段の昇圧用のチャーチポンプを備えた昇圧回路により実現することができる。すなわち、出力すべき素子破壊電圧Vdsの電圧が指示されたときには、その電圧に対応する段数のチャージポンプの出力電圧を選択し、そのチャージポンプからの出力電圧を昇圧回路13の素子破壊電圧Vdsとすることができる。
【0040】
当然ではあるが、本変形例においても、制御信号REの信号線上の点Pに素子破壊電圧Vdsを印加することにより、フラッシュメモリチップ11の制御信号REの入力回路を破壊することができる。しかしながら、フラッシュメモリチップ11の入力回路には、静電気などの保護のために保護回路が組み込まれているのが一般的である。そのため、制御信号REの信号線上の点Pに素子破壊電圧Vds(例えば、20V)が印加されても、フラッシュメモリチップ11の制御信号REの入力回路が破壊されないことは十分にあり得ることである。
【0041】
一方、制御信号RE上の制御回路12側には、印加する素子破壊電圧Vdsよりも高い逆方向の耐圧を有するダイオード14が設けられているため、点Pに素子破壊電圧Vdsが印加されても、制御回路12は破壊されない。
【0042】
そこで、本変形例では、例えば、昇圧回路13から例えば20Vの素子破壊電圧Vdsを制御信号REの信号線上の点Pに印加し、フラッシュメモリチップ11の制御信号REの入力回路を破壊する。その後、制御回路12は、フラッシュメモリチップ11の全データを読み出し、その読み出しが可能であったか否かを判定する。その判定の結果、一部にせよデータ読み出しが可能であった場合には、点Pに印加する素子破壊電圧Vdsをさらに高電圧(例えば、30V)にする。そして、その高電圧にした素子破壊電圧Vdsを、再度、制御信号REの信号線上の点Pに印加し、フラッシュメモリチップ11の制御信号REの入力回路を破壊する。このように、本変形例では、制御回路12が以上のような手順を繰り返し実行することにより、フラッシュメモリチップ11のデータをより確実に読み出し不可能にすることができる。
【0043】
図3は、本発明の第1の実施形態において、フラッシュメモリチップ11のデータをより確実に読み出し不可能とするために制御回路により実行される処理手順の例を示した図である。この処理手順では、制御回路12は、まず、昇圧回路13が出力すべき素子破壊電圧Vdsの初期値(例えば、20V)を設定する(ステップS11)。フラッシュメモリチップ11の入力回路の
【0044】
次に、制御回路12は、昇圧回路13に対し、制御信号REの信号線上の点Pへの素子破壊電圧Vdsの印加を指示する(ステップS12)。すなわち、制御回路12は、昇圧指示信号BS(例えば、20Vに対応付けられた昇圧指示信号BS1)をアクティブにする。そして、所定の時間(例えば、5秒)経過の後、制御回路12は、昇圧回路13に対し、制御信号REの信号線上の点Pへの素子破壊電圧Vdsの印加の停止を指示する(ステップS13)。すなわち、制御回路12は、アクティブな昇圧指示信号BS(例えば、前記のBS1)をインアクティブにする。
【0045】
続いて、制御回路12は、フラッシュメモリチップ11に記憶されているデータを全て読み出す(ステップS14)。そして、このデータ読み出し時にハードディスク装置でいうページに対応するデータ(ページデータ)ごとに、そのページデータに付された誤り検査訂正符号による読み出しデータの誤り検査を実行し、誤りの有無を判定する(ステップS15)。その判定の結果、全てのページデータについて、誤り有りと判定された場合には(ステップS15でYes)、制御回路12は、フラッシュメモリチップ11の全データを正しく読み出すことができなかったことになるので、フラッシュメモリチップ11からのデータ読み出しは不可能になったと判断し、図3の処理を終了する。
【0046】
一方、ステップS15の判定において、一部のページのデータについて、誤り検査訂正符号の検査で誤りなしと判定された場合には(ステップS15でNo)、フラッシュメモリチップ11における制御信号REの入力回路が十分には破壊されていないことを意味する。そこで、この場合には、制御回路12は、昇圧回路13に出力すべき高電圧の値を、例えば、20Vから30Vへとより高電圧に変更し(ステップS16)、ステップS12以下の処理を繰り返し実行する。
【0047】
すなわち、以上の第1の実施形態の第2の変形例によれば、制御回路12は、フラッシュメモリチップ11における制御信号REの入力回路を破壊する素子破壊電圧Vdsを印加し、その破壊結果を確認し、破壊が不十分な場合には、印加する素子破壊電圧Vdsをさらに高くする処理を繰り返す。従って、フラッシュメモリチップ11における制御信号REの入力回路は、より確実に破壊される。よって、フラッシュメモリチップ11に記憶されていた情報の漏洩を、より確実に防止することが可能になる。
【0048】
なお、ステップS12以下の繰り返し処理は、昇圧回路13で出力可能にされている素子破壊電圧Vdsの数しか繰り返すことができない。従って、昇圧回路13で出力可能にされている素子破壊電圧Vdsのうち、万一最高の電圧でもフラッシュメモリチップ11における制御信号REの入力回路をすべて破壊できなかった場合には、制御回路12は、その旨をホストコンピュータ2に報告するようにしておくとよい。その場合には、ホストコンピュータ2は、そのSSD装置1を、例えば、物理的または機械的に破壊すべきであることを作業者に知らせることができる。
【0049】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態に係るSSD装置1bの構成の例を示した図である。なお、この第2の実施形態に係るSSD装置1bの構成は、次の2点において図1に示したSSD装置1と相違している。
【0050】
(1)昇圧回路13から出力される素子破壊電圧Vdsは、制御信号REの信号線上の点Pに印加されるのではなく、それぞれ独立のダイオード15を経由し、それぞれ制御信号CS1,CS2,CS3の信号線上の点P1,P2,P3に印加される。
(2)ダイオード14は、制御信号REの信号線上ではなく、制御信号CS1,CS2,CS3の信号線上の点P1,P2,P3と制御回路12の制御信号CS1,CS2,CS3の出力端子との間に設けられる。また、制御信号CS1,CS2,CS3の信号線の点P1,P2,P3が含まれる配線部分とアース間には、それぞれプルダウン抵抗R1,R2,R3が接続される。
【0051】
ここで、制御信号CS1,CS2,CS3は、いずれも同時にはアクティブにはならない信号である。そして、そのいずれかがアクティブになることにより、そのアクティブになった制御信号CS1,CS2,CS3が接続されたフラッシュメモリチップ11の入力および出力信号を有効化させる。従って、制御信号CS1,CS2,CS3がアクティブにならない限り、その制御信号CS1,CS2,CS3が接続されたフラッシュメモリチップ11からデータを読み出すことはできない。すなわち、制御信号CS1,CS2,CS3は、制御回路12がデータ読み書きの制御対象とするフラッシュメモリチップ11を選択する信号といえる。
【0052】
そこで、第2の実施形態では、制御信号CS1,CS2,CS3の信号線上の点P1,P2,P3それぞれに素子破壊電圧Vdsが印加されると、その素子破壊電圧Vdsにより、フラッシュメモリチップ11内の制御信号CS1,CS2,CS3それぞれに対応する入力回路が破壊される。従って、これらの入力回路が破壊されると、制御回路12により制御信号CS1,CS2,CS3がアクティブ化されても、そのアクティブ化された制御信号CS1,CS2,CS3は、フラッシュメモリチップ11の内部に伝達されない。その結果、制御回路12は、フラッシュメモリチップ11に記憶されているデータを読み出すことができなくなり、形式的に読み出されたデータは、全く無意味なデータとなる。
【0053】
従って、第2の実施形態に係るSSD装置1bの作用および効果は、図1に示した第1の実施形態に係るSSD装置1の作用および効果とほとんど同じになるので、その繰り返しの説明を省略する。
【0054】
<第2の実施形態の変形例>
図5は、本発明の第2の実施形態の変形例に係るSSD装置1cの構成の例を示した図である。なお、この変形例に係るSSD装置1cの構成は、次の2点において図4に示したSSD装置1bと相違している。
【0055】
(1)昇圧回路13から出力される素子破壊電圧Vdsが導通する配線は、ダイオード15に直接接続されるのではなく、スイッチ16cを経由してダイオード15に接続されている。ここで、スイッチ16cは、接合型またはMOS型の電界効果トランジスタで構成してもよく、リレーなど機械的なスイッチで構成してもよい。
(2)制御回路12は、昇圧回路13に対し昇圧指示信号BS(図1参照)を出力するのではなく、スイッチ16cに対しスイッチオン信号SWAを出力する。ここで、スイッチオン信号SWAがアクティブになったとき、スイッチ16cは導通状態となり、スイッチオン信号SWAがインアクティブになったとき、スイッチ16cは非導通状態となる。なお、この場合、昇圧回路13は、常に素子破壊電圧Vdsを生成するものであってもよい。
【0056】
本変形例では、昇圧回路13は、制御回路12からスイッチオン信号SWAが出力される前から素子破壊電圧Vdsを生成するものであってもよい。その場合、制御回路12からスイッチオン信号SWAが出力されると、素子破壊電圧Vdsは、直ちにスイッチ16cおよびダイオード15を経て、制御信号CS1,CS2,CS3の信号線上に印加される。従って、制御信号CS1,CS2,CS3の電圧は、急激に高電圧に変化するため、その急激な変化により、フラッシュメモリチップ11内の制御信号CS1,CS2,CS3の入力回路が破壊されやすくなる。
【0057】
なお、以上の点を除けば、図5に示したSSD装置1cの作用および効果は、図4に示したSSD装置1bの作用および効果とほとんど同じであるので、その繰り返しとなる説明を省略する。
【0058】
<第3の実施形態>
図6は、本発明の第3の実施形態に係るSSD装置1dの構成の例を示した図である。なお、この第3の実施形態に係るSSD装置1dの構成は、次の2点において第1の実施形態に係るSSD装置1(図1参照)と相違している。
【0059】
(1)昇圧回路13から出力される素子破壊電圧Vdsは、それぞれ独立のダイオード15を経由して、制御信号REの信号線上の点Pだけでなく、制御信号CS1,CS2,CS3の信号線上の点P1,P2,P3にも印加される。
(2)独立のダイオード14は、制御信号REの信号線上の点Pと制御回路12の制御信号REの出力端子との間だけではなく、制御信号CS1,CS2,CS3の信号線上の点P1,P2,P3と制御回路12の制御信号CS1,CS2,CS3の出力端子との間に設けられる。
【0060】
この第3の実施形態に係るSSD装置1dの構成は、実質的には、前記した第1の実施形態に係るSSD装置1(図1参照)および第2の実施形態に係るSSD装置1b(図2参照)を組み合わせたものである。従って、その分、フラッシュメモリチップ11からデーを読み出せなくなる確実性が増大する効果を期待することができる。なお、その他の作用および効果は、第1の実施形態および第2の実施形態とほとんど同じになるので、その繰り返しの説明を省略する。
【0061】
<第4の実施形態>
図7は、本発明の第4の実施形態に係るSSD装置1eの構成の例を示した図である。なお、この第4の実施形態に係るSSD装置1eの構成は、人手で操作可能な廃棄ボタン17および廃棄保護スイッチ18が追加されている点で第1の実施形態に係るSSD装置1(図1参照)と相違している。
【0062】
廃棄ボタン17は、SSD装置1eのユーザ又は廃棄業者がSSD装置1eを廃棄するときに押下する。廃棄ボタン17が押下されると、制御回路12は、昇圧回路13に昇圧指示信号BSを出力して、昇圧回路13から制御信号REの信号線上の点Pに素子破壊電圧Vdsを印加する。その結果、フラッシュメモリチップ11内の制御信号REの入力回路が破壊されるので、フラッシュメモリチップ11から記憶されていたデータを読み出すことができなくなる。従って、SSD装置1eに記憶されていた情報の漏えいは、実質的に防止される。
【0063】
この廃棄ボタン17を設けたことにより、SSD装置1eをホストコンピュータ2に接続しなくても、例えば、ACアダプタなどの電源回路3から電源電圧Vddが供給されていれば、人手でフラッシュメモリチップ11に記憶されているデータの読み出しをできなくすることが可能になる。よって、SSD装置1eのユーザは、極めて簡単な操作で、その記憶内容の情報漏洩を防止した上で、安全にSSD装置1eを廃棄することができる。
【0064】
なお、以上のように簡単な操作でSSD装置1eのフラッシュメモリチップ11からの読み出しができなくなるとすると、ユーザによる誤操作対策もしておく必要がある。そこで、本実施形態では、廃棄ボタン17は、SSD装置1eの収納筐体の一部に形成された細い貫通孔内に設けられ、例えば、針などの部材をその貫通項に挿入しなければ、廃棄ボタン17を押下できないようにしておく。あるいは、廃棄ボタン17を、通常の力では割れないクラッカープレートを押し割って押下するようなボタンにしておく。
【0065】
さらに、廃棄ボタン17の他に廃棄保護スイッチ18を設けておいてもよい。この廃棄保護スイッチ18は、通常時はオン状態にあるとする。そして、この廃棄保護スイッチ18がオフ状態されていない限り、廃棄ボタン17が押下されても、制御回路12は、昇圧回路13に昇圧指示信号BSを出力しないものとする。同様に、廃棄保護スイッチ18がオフ状態にされていない場合には、制御回路12は、ホストコンピュータ2からの昇圧指令を受けても、昇圧回路13に昇圧指示信号BSを出力しないものとする。従って、廃棄保護スイッチ18は、ユーザの廃棄ボタン17の誤操作の防止だけではなく、ホストコンピュータ2からの昇圧指令の誤出力の防止にも有効である。
【0066】
ここで、あるケースとして、ホストコンピュータ2に複数のSSD装置1eが接続されていることを想定する。ここで、廃棄しようとするSSD装置1eの廃棄保護スイッチ18をオフ状態にし、廃棄しないSSD装置1eの廃棄保護スイッチ18をオン状態のままとする。この場合には、ホストコンピュータ2のユーザは、廃棄しようとするSSD装置1eに対し、安全に昇圧指令を出力し、その廃棄を指示することができる。すなわち、ユーザのホストコンピュータ2の誤操作により、廃棄しないSSD装置1eを誤って廃棄することが防止される。
【0067】
また、本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、制御回路12は、フラッシュメモリチップ11に素子破壊電圧Vdsを印加後も正常に動作し、さらに、フラッシュメモリチップ11から読み出したデータにおける誤り有無を検査することができる。そこで、SSD装置1eにさらに発光ダイオードなどを設け、フラッシュメモリチップ11から読み出した全てのページデータについて誤り検査訂正符号による検査を実施する。そして、その検査で誤り有りと判定された場合には、その発光ダイオードを点灯するようにしてもよい。これにより、ユーザは、フラッシュメモリチップ11からのデータが正常に読み出しできなくなったこと、すなわち、SSD装置1eからのデータ読み出し機能が破壊されたか否かを容易に確認することができる。また、スピーカやブザーなどを設け、音によってデータ読み出し機能が破壊されたか否かを容易に確認する構成としてもよい。
【0068】
<第5の実施形態>
図8は、本発明の第5の実施形態に係るSSD装置1fの構成の例を示した図である。なお、この第5の実施形態に係るSSD装置1fの構成は、次の2点において図1に示したSSD装置1と相違している。
【0069】
(1)制御回路12の制御信号REの出力端子と素子破壊電圧Vdsが印加される点Pとの間には、ダイオード14(図1参照)ではなく、FETスイッチ19が設けられている。なお、FETスイッチ19は、MOS型でも接合型でもよいが、図8ではNチャネルのMOS型として描かれている。また、FETスイッチ19のドレイン−ソース耐圧は、素子破壊電圧Vdeよりも大きいものとする。なお、この場合、制御信号REの信号線をプルダウンするプルダウン抵抗Rは不要である。
(2)FETスイッチ19を駆動するインバータ回路20が追加されている。なお、インバータ回路20は、昇圧指示信号BSがインアクティブのとき、FETスイッチ19をオン状態にするのに十分な電圧を出力できるものとする。
【0070】
本実施形態では、制御回路12から出力される昇圧指示信号BSがインアクティブなとき、FETスイッチ19がオン状態すなわち導通状態となる。従って、制御回路12から出力される制御信号REは、FETスイッチ19を通過し、フラッシュメモリチップ11の入力端子に到達する。また、このときには、昇圧回路13が動作しないため、素子破壊電圧Vdeが制御信号REの信号線上の点Pに印加されることはない。
【0071】
一方、制御回路12から出力される昇圧指示信号BSがアクティブになると、FETスイッチ19がオフ状態すなわち非導通状態となる。そのため、素子破壊電圧Vdeが印加される制御信号REの信号線上の点Pと制御回路12の制御信号REの出力端子との間が電気的に切断された状態となる。従って、制御回路12の出力端子に素子破壊電圧Vdeが印加されることはないので、制御回路12が素子破壊電圧Vdeにより破壊されることはない。
【0072】
なお、以上の点を除けば、図8に示したSSD装置1fの作用および効果は、図1に示したSSD装置1の作用および効果とほとんど同じであるので、以下、繰り返しとなる説明を省略する。
【0073】
<第5の実施形態の変形例>
図9は、本発明の第5の実施形態の変形例に係るSSD装置1gの構成の例を示した図である。なお、この変形例に係るSSD装置1gの構成は、次の2点において図8に示したSSD装置1fと相違している。
【0074】
(1)昇圧回路13から出力される素子破壊電圧Vdsが導通する配線は、ダイオード15ではなく、FETスイッチ19aを経由して制御信号REの信号線上の点Pに接続されている。なお、FETスイッチ19aは、MOS型でも接合型でもよいが、図9ではNチャネルのMOS型として描かれている。また、FETスイッチ19aのドレイン−ソース耐圧は、素子破壊電圧Vdeよりも大きいものとする。
(2)制御回路12は、昇圧回路13に対し昇圧指示信号BS(図8参照)を出力するのではなく、FETスイッチ19aに対しスイッチオン信号SWAを出力する。ここで、スイッチオン信号SWAがアクティブになったとき、FETスイッチ19aは導通状態となり、スイッチオン信号SWAがインアクティブになったとき、FETスイッチ19aは非導通状態となる。なお、この場合、昇圧回路13は、常に素子破壊電圧Vdsを生成するものであってもよい。
【0075】
この実施形態の変形例は、第5の実施形態に係るSSD装置1f(図8参照)を第1の実施形態の変形例に係るSSD装置1a(図2参照)に適用したものといえるが、ここでは、図2で示されているダイオード15は省略されている。その場合でも、スイッチオン信号SWAがインアクティブのときには、FETスイッチ19aが非導通状態となるため、昇圧回路13が動作しない場合であっても、制御信号REの電圧変動が昇圧回路13に伝達されることはない。
【0076】
なお、以上の点を除けば、図9に示したSSD装置1gの作用および効果は、図8に示したSSD装置1fの作用および効果とほとんど同じであるので、以下、繰り返しとなる説明を省略する。
【0077】
また、さらなる変形例として、図8および図9で説明した第5の実施形態に係るSSD装置1fおよびその変形例に係るSSD装置1gにおいて、FETスイッチ19,19aに代えて、機械的に動作するリレーなどのスイッチを用いたものであってもよい。
【0078】
なお、本発明は、以上に説明した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態および変形例は、本発明を分かり易く詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態や変形例の構成の一部を、他の実施形態や変形例の構成に置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態や変形例の構成に他の実施形態や変形例の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0079】
1,1a,1b,1c,1d,1e SSD装置(不揮発性半導体メモリ記憶装置)
2 ホストコンピュータ
3 電源回路
11 フラッシュメモリチップ(不揮発性半導体メモリチップ)
12 制御回路
13 昇圧回路
14 ダイオード(第1のダイオード)
15 ダイオード(第2のダイオード)
16,16c スイッチ
17 廃棄ボタン
18 廃棄保護スイッチ
19 FETスイッチ(第1のスイッチ)
19a FETスイッチ(第2のスイッチ)
20 インバータ回路
21 インターフェースケーブル
R プルダウン抵抗
Vdd 電源電圧
Vds 素子破壊電圧
CNT 制御信号
RE 制御信号(第1の制御信号)
CS1,CS2,CS3 制御信号(第2の制御信号)
BS,BS1,BS2,BS3 昇圧指示信号(素子破壊電圧印加指示信号)
SWA スイッチオン信号(素子破壊電圧印加指示信号)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9