特開2017-97508(P2017-97508A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-97508(P2017-97508A)
(43)【公開日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】自動起動型音楽再生プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20170428BHJP
   G10L 19/00 20130101ALN20170428BHJP
【FI】
   G06F13/00 358D
   G10L19/00 312Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-227125(P2015-227125)
(22)【出願日】2015年11月19日
(71)【出願人】
【識別番号】515306817
【氏名又は名称】コンポーネントデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167715
【弁理士】
【氏名又は名称】古岩 信嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100084445
【弁理士】
【氏名又は名称】古岩 信幸
(72)【発明者】
【氏名】山口 達雄
(57)【要約】
【課題】PCとUSB−DACとを利用して音楽再生を行う際、利便性の向上と不要ノイズの低減を図る。
【解決手段】PC1の起動時に自動起動する音楽再生プログラムであって、スマートフォンやタブレット等の他のコンピュータ2にインストールされた遠隔操作専用アプリを利用した遠隔操作により、音楽再生時にPC1の基本ソフトのログイン操作をはじめとするPC1側の操作を不要とし、ログインを不要とすることで音楽再生時に音楽再生に不要なプログラム動作を低減させ、それに伴って発生し再生音楽に重畳するノイズを低減し、高音質の音楽再生ができる自動起動型音楽再生プログラムを特徴とする。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルコンピュータにインストールされ、当該パーソナルコンピュータを音楽再生用プレーヤとして動作させる自動起動型音楽再生プログラムであって、
パーソナルコンピュータにインストールされた基本ソフト(OS)のブート時にユーザのログイン手続なしに自動起動するステップと、
自動的にスマートフォン、タブレットを含む他のコンピュータにインストールされた専用の遠隔操作用アプリからの音楽再生の操作を受信するステップと、
前記他のコンピュータにインストールされた前記専用の遠隔操作用アプリからの音楽再生操作信号を受信して、当該パーソナルコンピュータに内蔵も若しくは外部接続されている記憶装置に保存されている音楽ファイルを読み出してデコードし外部に出力するステップとを、
前記パーソナルコンピュータに実行させることを特徴とする自動起動型音楽再生プログラム。
【請求項2】
前記他のコンピュータに連携する自身のIPアドレスを定期的に取得するステップであって、前記定期的なIPアドレス取得のタイミングとして音楽再生時を避けることで再生時の余分な動作を行わず再生音質への影響を避けるステップを、前記パーソナルコンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載の自動起動型音楽再生プログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータからUSB−DAC等のデジタル・アナログ変換装置あるいは同デジタル・アナログ変換機能を内蔵したオーディオ装置に対してハイレゾ音源を含むデジタル音楽データを出力させる自動起動型音楽再生プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータを音楽再生プレーヤとして利用し音楽を視聴することが広く行われている。
【0003】
ところが、パーソナルコンピュータを利用した音楽再生は、ネットワークプレーヤのような専用の音楽再生機器を利用した場合に比べてスイッチオン操作だけではなく、基本ソフトのログイン操作やソフトウェアの起動操作を行う必要があるなど、利便性に劣る問題点があった。加えて、パーソナルコンピュータは汎用目的に設計されているため、基本ソフト(OS)のログインを契機に音楽再生には関係のない多種多様なプログラムが起動されることが多く、それらのプログラムの起動により再生音に雑多なノイズが乗り、高音質の音楽再生ができない問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−126460号公報
【特許文献2】特開2015−149690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、パーソナルコンピュータにインストールすることにより、ブート時に基本ソフト(OS)のログイン操作を行わないで自動起動し、いわば基本ソフト(OS)のログイン待ち画面のままあるいはそのログイン待ち画面で省電力機能によりディスプレイが消灯した状態で音源再生でき、しかもハイレゾ音源をも超高忠実に再生して出力することができる自動起動型音楽再生プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、これをパーソナルコンピュータにインストールすることにより当該パーソナルコンピュータの基本ソフトの起動時(ブート時)にサービスプログラムとして自動起動し、スマートフォンやタブレットを含む他のコンピュータで動作する専用アプリからの再生指令・停止指令等の指令に応じて音楽再生や再生停止などの動作を行わせることができる自動起動型音楽再生プログラムを特徴とする。
【0007】
さらに詳しくは、本発明は、パーソナルコンピュータにインストールされ、当該パーソナルコンピュータを音楽再生用プレーヤとして動作させる自動起動型音楽再生プログラムであって、パーソナルコンピュータにインストールされた基本ソフト(OS)のブート時にユーザのログイン手続なしに自動起動するステップと、自動的にスマートフォン、タブレットを含む他のコンピュータにインストールされた専用の遠隔操作用アプリからの音楽再生の操作を受信するステップと、前記他のコンピュータにインストールされた前記専用の遠隔操作用アプリからの音楽再生操作信号を受信して、当該パーソナルコンピュータに内蔵若しくは外部接続されている記憶装置に保存されている音楽ファイルを読み出してデコードし外部に出力するステップとを前記パーソナルコンピュータに実行させる自動起動型音楽再生プログラムを特徴とする。
【0008】
上記自動起動型音楽再生プログラムにおいては、前記他のコンピュータに連携する自身のIPアドレスを定期的に取得するステップであって、前記定期的なIPアドレス取得のタイミングとして音楽再生時を避けることで再生時の余分な動作を行わず再生音質への影響を避けるステップを前記パーソナルコンピュータに実行させるものとすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、パーソナルコンピュータにUSB−DAC等の再生装置を接続して音楽再生を行う際、利便性の向上と不要ノイズを低減し高音質化が図れる。
【0010】
また本発明によれば、パーソナルコンピュータにおいて基本ソフトの起動時にログイン手続なしに自動起動し、スマートフォンやタブレット等の他のコンピュータから専用アプリを利用し通信機能を介して遠隔操作することによって音楽再生ができ、かつその音楽再生時にパーソナルコンピュータ側では電源投入操作以外の操作は不要にし、音楽再生に関係のない種々のプログラムの起動数を少なくし、それに伴い、種々のプログラムの起動により種々の源から発するノイズがデコードさせ出力される音楽データに重畳するのを回避し、USB−DAC等の再生装置にて高音質、高忠実に音楽再生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の1つの実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムをインストールし音楽再生を行うシステムの構成を示す説明図。
図2】上記実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムの構成を示す説明図。
図3A】上記実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムにおける設定プログラムの処理機能を示すフローチャートその1。
図3B】上記実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムにおける設定プログラムの処理機能を示すフローチャートその2。
図4】上記実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムにおけるバージョン管理プログラムの処理機能を示すフローチャート。
図5】上記実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムにおける音楽再生処理プログラムの処理機能を示すフローチャート。
図6】上記実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムにおける音楽再生処理プログラムの処理機能のうち起動処理のフローチャート。
図7A】上記実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムにおける音楽再生処理プログラムの処理機能のうち音楽再生処理のフローチャートその1。
図7B】上記実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムにおける音楽再生処理プログラムの処理機能のうち音楽再生処理のフローチャートその2。
図8】上記実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムをインストールしたPCを携帯端末から操作する手順を示すシーケンス図その1。
図9】上記実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムをインストールしたPCを携帯端末から操作する手順を示すシーケンス図その2。
図10】携帯端末にインストールした専用アプリによる音楽再生操作用の画面の表示例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。尚、以下の説明では基本ソフト(OS)としてWINDOWS(登録商標)ソフトをインストールしたパーソナルコンピュータをベースに説明するが、OS X(登録商標)をインストールしたパーソナルコンピュータにも同様に適用することができる。
【0013】
[システム構成]
図1には、高音質音楽再生システムの構成を示している。当該音楽再生システムは、実施の形態の低ノイズ、高音質の音楽再生を可能とする自動起動型音楽再生プログラムをインストールしたパーソナルコンピュータ(PC)1、スマートフォンやタブレット端末のような携帯端末2、PC1に接続されたUSB−DAC3、アンプ(AMP)4、スピーカ(SP)5を備えている。さらに、インターネット接続のためのWIFI(登録商標)ルータ8、多数の音楽ファイルを保存するためのストレージとしてNAS(Network Attached Storage)9を備えている。またPC1はインターネット10を通じて各機器のIPアドレスを管理する音楽再生プログラム管理サーバ6、種々の音楽をインターネット配信する音楽配信サーバ7に必要に応じて接続される。PC1と携帯端末2はWIFIルータ8を通じてインターネット10に接続され、インターネット10上の音楽再生プログラム管理サーバ6、各社が開設している音楽配信サーバ7と接続できる。
【0014】
ここで、スマートフォンやタブレット端末のような携帯端末2は、実施の形態のPC1上の自動起動型音楽再生プログラムとの通信、リモートコントロールのための専用アプリをインストールするものである。また、USB−DAC3については、USB−DACの機能を内蔵したアンプであっても、USB−DAC装置そのものであってもよいが、以下、USB−DAC3と総称して説明する。AMP4については、単独のものに代えてアンプ内蔵のDACを使用することもできる。スピーカ(SP)5はヘッドフォンに置き換えることもできる。
【0015】
[再生前の手続]
音楽再生の事前の手続として、PC1から一あるいは複数の音楽配信サーバ7にログインしてユーザの望む種々のフォーマット形式の音楽をダウンロードし、PC1内の記憶装置あるいはNAS9に作成した音楽ファイル保存用のフォルダに保存する。(以下、説明を簡明化するために、NAS9を利用して音楽ファイルを保存するものとするが、内蔵式の記憶装置、外付け式の記憶装置やメモリカード等々であってもよい。)
NAS9の音楽ファイル保存用のフォルダには種々の音楽毎の音楽ファイルを保存すると共に、複数の楽曲ファイルを含む音楽アルバムのサブフォルダ、アーチスト名のサブフォルダも作成して該当する音楽ファイルをそれらのサブフォルダに保存する。また音楽ファイルのファイル名、音楽アルバムのファイル名等と共にそれらに関連づけられている画像データ(アートワーク)も取得して保存する。これにより、音楽再生時に、携帯端末2において再生可能な曲名リストに曲名毎に対応する画像をアイコンとして表示できるようになる。
【0016】
[インストール手続]
図2に示すように、実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムは、PC1で最初に基本ソフトを起動し、ログイン手続の後にサービスプログラムとしてインストールするためのインストール処理プログラムPRG1、基本ソフトの起動の後ログイン手続無しに自動的に最新バージョンにバージョンアップするためのバージョン管理プログラムPRG2、本実施の形態の特徴をなすサービスプログラムとしての音楽再生処理プログラムPRG3、そして設定プログラムPRG4で構成されている。
【0017】
本実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムの全体をインストールする際に、最初に、ユーザはPC1から既知の音楽再生プログラム管理サーバ6にアクセスして、会員登録してID取得を行う。そして実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムデータの全体をダウンロードし、PC1が内蔵する記憶装置(ハードディスクや半導体メモリ)に保存する。そして、基本ソフトのブート、ログイン手続の後、記憶装置に保存されているインストール処理プログラムPRG1を起動し、バージョン管理プログラムPGR2と音楽再生処理プログラムPRG3と設定プログラムPRG4をインストールする。
【0018】
[IPアドレスの設定]
音楽再生プログラム管理サーバ6に対するPC1のIPアドレスの登録は、図3A図3Bに示す手順による。インストール処理プログラムPRG1によりインストールされた設定プログラムPRG4がユーザの操作により起動されると、設定プログラムPRG4はログインのためのユーザIDとパスワードの入力を要求する(ステップS101,S103)。
【0019】
設定プログラムPRG4はユーザIDとパスワードが入力されると音楽再生プログラム管理サーバ6を呼び出す。音楽再生プログラム管理サーバ6はユーザIDとパスワードにより認証を行い(ステップS105)、設定プログラムPRG4に「ユーザ情報にアクセスするためのキー」を返却する(ステップS107)。以上によってバージョン管理プログラムPRG2、音楽再生処理プログラムPRG3、設定プログラムPRG4はこの状態をログイン状態として扱う。このログイン状態は後述の設定プログラムPRG4によるログオフ操作まで維持される。
【0020】
設定プログラムPRG4は設定画面を表示し(ステップS109)、ログイン状態において音楽フォルダの設定・変更、及びログオフの操作を受け付ける(ステップS111)。音楽フォルダの設定・変更の受付は一覧からの選択方式で行う(ステップS113)。設定プログラムPRG4は音楽フォルダの設定の完了時にバージョン管理プログラムPRG2、音楽再生処理プログラムPRG3を起動し、さらに自動起動を設定する。尚、バージョン管理プログラムPRG2、音楽再生処理プログラムPRG3が起動済みのときは停止と再起動並びに自動起動の再設定を行う(ステップS115)。またログオフ操作が行われたときは、バージョン管理プログラムPRG2、音楽再生処理プログラムPRG3を停止し、自動起動の設定の取り消しを行う(ステップS117)。キャンセルならば終了する(ステップS119)。
【0021】
尚、後述する音楽再生処理プログラムPRG3では、設定プログラムPRG4が取得した「ユーザ情報にアクセスするためのキー」を利用して音楽再生プログラム管理サーバ6にPC1のIPアドレスを登録する。音楽再生プログラム管理サーバ6はユーザ情報とIPアドレスを紐付けた状態で登録する。
【0022】
[バージョン管理]
バージョン管理は図4のフローチャートに示す手順による。後述する音楽再生処理プログラムPRG3が起動し、音楽再生しているかどうかを判断し、音楽再生が停止している際に、インターネット10を通じて音楽再生プログラム管理サーバ6に定期的に最新バージョンの問い合わせを行い、自動的にID照合を行う(ステップS151,S153)。そしてインストール済みのバージョン管理プログラムPRG2、音楽再生処理プログラムPRG3、設定プログラムPRG4がバージョンアップされていれば、最新バージョンのプログラムをダウンロードする(ステップS155)。その後、取得した最新バージョンのプログラムへの差し替えを行う(ステップS157)。尚、処理を簡素にするために、再生中でもプログラムの更新ができるようにしてもよい。
【0023】
[音楽再生]
図5のフローチャートに示すように、実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムのうちの音楽再生処理プログラムPRG3は、PC1の電源をオンし基本ソフト(OS)を起動させると、そのブートの途中でサービスプログラムとして起動し、つまり、基本ソフトのログイン画面を表示した状態でログイン手続なしに実行可能な状態になり、リモコンとしての携帯端末2からの再生指示があるまで待機する(ステップS201)。そして、携帯端末2からの再生要求に応じて選択指定された音楽の再生処理を行う(ステップS203)。
【0024】
図6に示すように、起動処理ステップS201では、OSを起動し(ステップS2011)、自動起動するように登録されている諸サービスプログラムと共にバージョン管理プログラムPRG2、音楽再生処理プログラムPRG3を起動する(ステップS2013)。
【0025】
この音楽再生処理プログラムPRG3は、次のようにPC1を動作させる。再生可能なファイル形式は、例示すればWAV、FLAC、AIFF、MP3、AAC(登録商標)、M4A、WMA、DSF、DSDIFF等であり、PCMとDSD(登録商標)の両方の録音方式に対応している。
【0026】
音楽再生処理プログラムPRG3が利用するAPIはWASAPIとASIOであり、これらによって再生中の音楽ファイルをUSB−DAC3にストリーミング形式で出力する。
【0027】
音楽再生処理プログラムPRG3はスマートフォンやタブレットのような携帯端末2をリモコン機器として使用し、WIFIルータ8を通じてPC1と通信できるように接続する。実際には、WIFIルータ8、インターネット10、音楽再生管理サーバ6を通じて接続する。そのために、携帯端末2とPC1との通信のためには専用アプリを携帯端末2にインストールする。そして通信を可能にするために、携帯端末2側の専用アプリがPC1のIPアドレスとポート番号を入手する。
【0028】
音楽再生処理プログラムPRG3は、音楽再生プログラム管理サーバ6にユーザ情報(ユーザID)と紐付けする形式でPC1のIPアドレスとポート番号を自動的に登録する。そして携帯端末2で専用アプリを起動すれば、専用アプリが自動的にインターネット10を通して音楽再生プログラム管理サーバ6にアクセスしてこれを取得し、取得したIPアドレスを指定して該当するPC1にアクセスする。これにより、携帯端末2のユーザには、専用アプリを使用することによってあたかもユーザサイト内だけでWIFIルータ8を介してPC1に接続しているように見えることになる。
【0029】
音楽再生処理プログラムPRG3は、自身にアクセスするためのPC1のIPアドレスを、音楽再生時を避けて定期的に取得する。新たなIPアドレスを取得できたときには音楽再生プログラム管理サーバ6に自動的にアクセスしてこれを登録する。この際、当該音楽再生処理プログラムPRG3にアクセスするためのポート番号もIPアドレスとともに登録する。PC1のIPアドレスは複数個存在することがあり、その場合は取得したすべてのIPアドレスを音楽再生プログラム管理サーバ6に登録する。
【0030】
携帯端末2にインストールする専用アプリは、起動しログイン手続を行うことによって音楽再生プログラム管理サーバ6からIPアドレスとポート番号を取得し、PC1にインストールされている実施の形態の音楽再生プログラムと通信する。複数個のIPアドレスとポート番号が取得できた場合は、接続が確立するまで順に接続を試行する。取得したIPアドレスとポート番号は携帯端末2内に保存し、2回目以降の接続で再利用する。再起動の際に自動的にPC1との接続ができない場合に音楽再生プログラム管理サーバ6にアクセスし、IPアドレスとポート番号を再取得し、以降、上と同様にしてPC1と通信する。
【0031】
尚、携帯端末2の専用アプリからの操作指令としては、「再生開始(プレイリスト以外)」、「プレイリスト指定の再生開始」、「停止」、「一時停止」、「シーク」、「一曲前に移動」、「次の曲に移動」、「リピート無し」、「1曲リピート」、「全曲リピート」、「シャッフルオフ」、「シャッフルオン」、「状態取得」、「ライブラリデータ取得」、「アートワーク取得」、「再生デバイスリスト取得」、「再生デバイス指定」、「プレイリストの要求」、「プレイリストの登録」、「プレイリストの削除」、「ライブラリ更新チェックの実行」等が含まれている。
【0032】
音楽再生プログラム管理サーバ6はユーザ登録が行える機能を備える。PC1の音楽再生処理プログラムPRG3と携帯端末2の専用アプリとは、音楽再生プログラム管理サーバ6のユーザ情報にアクセスするためのキーを当該音楽再生プログラム管理サーバ6から取得する。以降、PC1の音楽再生プログラムからはそのキーを利用しIPアドレスとポート番号を音楽再生プログラム管理サーバ6に自動的に登録する。携帯端末2の専用アプリからは音楽再生プログラム管理サーバ6に自動的にアクセスし、当該キーを利用しIPアドレスとポート番号を取得する。
【0033】
音楽ファイルのフォーマット形式や仕様またUSB−DAC3の再生仕様の違いによりデコードに用いる理想的なデコード手段は異なる。そこで、PC1の音楽再生処理プログラムPRG3には複数種のデコード手段を保持させている。同時に、各デコード手段に対してWASAPI、ASIOいずれのAPIを使用するかも登録している。そこで、携帯端末2の再生アプリからの再生要求を受け取ると、該当する音楽ファイルのフォーマット形式に対応したデコード手段を使用し、指定されたデコード手段でデコードした音楽ファイルをあらかじめ決められているWASAPI若しくはASIOに送り込む。このデコード処理とは、圧縮データの展開やデータの並び順の編集等を指す。WASAPI若しくはASIOはストリーミング方式でUSB−DAC3にストリーミングデータを送り出す。そして上述したように、USB−DAC3では、入力されてくる音楽ファイルのストリーミングデータの形式に応じてDSD方式あるいはPCM方式にてデジタル・アナログ変換を行い、音楽データを高音質、低ノイズのアナログ音楽信号に変換し出力する。
【0034】
次に、図7A図7B図8図9を用いて上記実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムによりPC1が実行する音楽再生動作を説明する。図7A図7Bを参照し、PC1の電源オンで基本ソフトが起動し、その後にその基本ソフトのログイン手続無しに音楽再生処理プログラムPRG3が自動起動する。したがって、音楽再生処理プログラムPRG3は基本ソフトのログイン手続無しで実行できることになる。起動が完了すれば、PC1は登録されている音楽再生プログラム管理サーバ6にアクセスし、IPアドレスとポート番号を通知する(ST1)。
【0035】
音楽再生処理プログラムPRG3が起動完了すれば、再生可能な音楽ファイルをサーチし、曲名、アルバム名、アーチスト名と共にリスト(ライブラリ)を作成し、保持する(ST3)。この音楽ファイルのサーチ段階では、PC1は前回のリストを保持しており、再起動の度に新規に登録された音楽ファイルをサーチしてリストに新規登録を行い、削除された音楽ファイルをリストから削除する。また既登録の音楽ファイルが更新されていれば登録し直す。さらに音楽ファイルと関連づけられた画像データ、例えば曲のカバー画像データ、音楽アルバムのカバー画像データ、アーチストの画像データも登録する。そして、携帯端末2からの再生要求を待つ(ST5)。尚、アルバムや曲に画像データがないときに表示させるためにデフォルト画像を用意しておいてもよい。
【0036】
携帯端末2側では、画面に表示されている専用アプリのアイコンに対して起動操作をすることによって専用アプリを起動する(ST7)。携帯端末2側ではこの起動操作時にログイン画面による手続が要求される。ログイン手続により、音楽再生プログラム管理サーバ6にアクセスし、PC1のIPアドレス、ポート番号を取得し、音楽再生プログラム管理サーバ6を介してPC1に接続される(ST9,ST11)。接続が完了すれば、携帯端末2は専用アプリの動作によってPC1をいわば音楽プレーヤとしてリモコン操作できる状態になる。このログイン状態は、ユーザがログアウト操作するまで維持する。
【0037】
接続が完了すれば、携帯端末2側から前回取得時の最も新しいデータの更新日時を指定し、そこからの更新分を音楽再生プログラムPRG3から取得する(ST13)。PC1に接続され、専用アプリを起動しているすべての携帯端末2はこの音楽ファイルリストを受信し、図10に示すようにその画面に表示する。このとき、画像データがあれば曲名、アルバム名、アーチスト名等と共にアイコン表示する(ST15,ST17)。
【0038】
続いて、ユーザが携帯端末2の画面に表示されている音楽リストからいずれかの曲名、アルバム名あるいはアーチスト名を選択操作すれば(ST19)、選択された音楽ファイルの再生要求がPC1側に送信される。この送信要求もPC1のIPアドレスを指定して行われる(ST21)。
【0039】
PC1側で再生要求を受信すると(ST23)、USB−DAC3側の再生可能なフォーマット形式を取得し、また該当する音楽ファイルを保存しているフォルダからそのファイルを読み出し(ST25)、音楽ファイルのフォーマット形式を識別し(ST27)、当該識別したフォーマットに関連づけたデコード手段を読み出してデコードさせ、さらにWASAPIあるいはASIOを通してUSB−DAC3にストリーミング形式で送出する(ST29,ST31)。USB−DAC3では、送られてくる音楽データをそのフォーマットに応じてPCM形式若しくはDSD形式で順次デジタル・アナログ変換し、アナログ音楽信号にして順次出力する(ST33)。こうして、USB−DAC3から出力されるアナログ音楽信号をAMP4を通しスピーカ5から出力すれば、高音質、低ノイズの音楽を聴くことができる。
【0040】
音楽の再生中、音楽再生処理プログラムは再生を開始した曲の識別子をブロードキャスト方式で送信する(ST35)。これによりPC1に接続され専用アプリを起動している携帯端末2が複数あれば、すべての携帯端末2それぞれで識別子から曲名、アルバム名、アーチスト名等を判断しそれぞれの画面に再生中の曲名、アルバム名あるいはアーチスト名を表示する(ST37)。
【0041】
また再生予定のすべての音楽(複数曲再生を指定していた場合には最終曲、アルバム又はアーチストを指定していた場合にはその最後の曲)の再生が完了すれば、音楽再生処理プログラムPRG3は再生完了した曲の識別子をブロードキャスト方式で送信し(ST39,ST41)、受信したすべての携帯端末2では受信した識別子から曲名、アルバム名、アーチスト名等を判断しその画面には再生完了した曲名、アルバム名あるいはアーチスト名を表示する(ST43)。
【0042】
一方、いずれの携帯端末2からでも再生停止その他の操作要求が可能であり(ST45)、例えば再生停止要求をPC1側で受信すれば再生中の音楽の再生動作を停止し、USB−DAC3への出力も停止する(ST47)。そしてこの場合にも、音楽再生処理プログラムPRG3は再生停止した曲の識別子をブロードキャスト方式で送信し(ST49)、受信したすべての携帯端末2では受信した識別子から曲名、アルバム名、アーチスト名等を判断しその画面に再生停止した曲名、アルバム名あるいはアーチスト名を表示する(ST51)。その他、例えば、一時停止、シーク、前曲への移動、次曲への移動、一曲リピート、全曲リピート等の操作要求についても同様である。
【0043】
以上の自動起動型音楽再生プログラムによるPC1の動作について説明したが、これをユーザ側から見れば図8図9に示す操作・動作になる。ユーザは携帯端末2の画面のタッチ操作によって実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムを実行しているPC1を遠隔操作し、音楽再生する。
【0044】
SQ1,SQ3:ユーザはPC1の電源をオンする。これによりPC1は基本ソフト(OS)を起動し、ログイン操作無しで実施の形態の音楽再生処理プログラムPRG3も起動する。そしてその起動時に、予め設定されたNAS9内の音楽フォルダ内の音楽ファイルの追加・更新・削除をチェックする。
【0045】
SQ5:ユーザは携帯端末2の画面から音楽再生専用アプリのアイコンにタッチして専用アプリを起動する。
【0046】
SQ7:専用アプリが起動すると、PC1側の音楽再生処理プログラムPRG3にアクセスし、音楽ファイルライブラリの更新情報、状態情報を要求する。ここで状態情報とは、現在の再生状態や、リピートシャッフル、使用デバイス(DAC)などの情報を指す。
【0047】
SQ9〜SQ13:音楽ファイルライブラリは、前回アクセスから更新されたものだけを連携する。そしてライブラリの更新情報、状態情報を携帯端末2に送信する。携帯端末2ではその専用アプリの画面に受信したライブラリ情報、状態情報が表示される。尚、複数台の携帯端末2が使用されている場合、PC1に接続され専用アプリを起動しているすべての携帯端末2の画面に同じ表示がなされることになる。
【0048】
SQ15〜SQ27:携帯端末2の専用アプリから、例えばアルバムのカバー画像、アーチストのカバー画像、曲のカバー画像等の画像データをPC1側の音楽再生処理プログラムPRG3に要求する。そしてPC1側では要求を受けた画像データを取得していれば該当する画像データを送信する。携帯端末2は受信した画像データを専用アプリの画面の所定の位置に表示し、ユーザに見せる。
【0049】
以上により、PC1側の音楽再生処理プログラムPRG3の起動と携帯端末2側の専用アプリの起動時に行われる通信手順が完了する。この後、図9に示す手順にて音楽再生が行われる。
【0050】
SQ51:図10に示したように携帯端末2の専用アプリで画面に表示されている曲名、アルバム名、アーチスト名等のアイコンリストから再生したいアイコンにタッチして再生指示を送り出す。
【0051】
SQ53:携帯端末2の専用アプリはこの選択を受け付けて該当する曲、アルバムあるいはアーチストを指定して再生指示をPC1側に送信する。
【0052】
SQ55,SQ57:PC1の音楽再生処理プログラムPRG3ではNAS9の所定のフォルダに保存されている指定された音楽ファイルを読み出し適切なデコード手段によってデコードを開始し、USB−DAC3に出力を開始する。そして再生開始を携帯端末2側にブロードキャスト方式で通知する。再生開始の通知を受信した各携帯端末2の専用アプリでは、図10に示すように該当する音楽ファイルのアイコンに対して再生中の表示を行い、ユーザに確認させる。尚、携帯端末2の画面での音楽ファイルのライブラリの画面表示の形態、再生中の音楽の画面表示の形態は特に限定されるものではなく、図10のものは例示に過ぎない。したがって、再生中の曲に対しては別画面を用意し、再生中の曲名を表示すると共に、再生カウンタをカウントアップし、再生位置をグラフィカルに表示させる等の表示形態を採用することも可能である。
【0053】
加えて、PC1の音楽再生プログラムがどこまで再生を続けるかは、再生開始次第で変わる。例えば、アルバムから選択して再生を開始した場合は、アルバム内の音楽ファイルのすべてが終わるまで再生を続ける。アーチストを選択して再生を開始した場合は、アーチストファイル内のすべての音楽ファイルが終わるまで再生を続ける。そして1曲又は複数曲を選択した場合は、一覧の最後の曲まで再生を続ける。さらに、リピートモードのときにはリピート解除されるまでずっと再生を続ける。
【0054】
SQ59,SQ61:PC1の音楽再生プログラムが次の曲に移る場合には、別の曲の再生を開始したことを携帯端末2にブロードキャスト方式で通知し、専用アプリを起動しているすべての携帯端末2において同時に該当する曲の再生中を表示し、ユーザに知らせる。
【0055】
SQ63〜SQ67:PC1の音楽再生処理プログラムPRG3で指定された全曲の再生が終了すれば、再生を停止し待機する。そしてこの再生停止の通知を携帯端末2にブロードキャスト方式で通知し、専用アプリを起動しているすべての携帯端末2において同時に再生停止を表示し、ユーザに知らせる。
【0056】
以上のように、実施の形態の自動起動型音楽再生プログラムによれば、これをパーソナルコンピュータ(PC)1にインストールすることにより、PC1を音楽プレーヤとして携帯端末2からリモコン操作できるようになり、しかもPC1の基本ソフト(OS)の起動と共に起動するサービスプログラムとして動作するので、基本ソフトを起動しログイン手続をした後に立ち上がる多数のプログラムの影響を受けることがなく、したがって低ノイズの状態で音楽再生ができ、これに対してハイレゾ音源再生のデコード手段を組み込むことによってハイレゾ音源を低ノイズ状態で再生(デコード)して出力でき、PC1に接続されるUSB−DAC3により高音質の音楽アナログ信号を出力させることが可能である。
【0057】
尚、上記の実施の形態は一例であり、特にストレージであるNAS9のような記憶装置に保存する音楽ファイルのフォーマット形式は特に制限されるものではなく、コストとの兼ね合いで増減させ、それぞれに対応するデコード手段も増減させることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 パーソナルコンピュータ(PC)
2 携帯端末
3 USB−DAC
6 音楽再生プログラム管理サーバ
7 音楽配信サーバ
8 (WIFI)ルータ
9 NAS
10 インターネット

図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10