【解決手段】ユーザの足Fの外寸データを測定する測定装置2と、足3Dデータとユーザとを関連付けて記憶するユーザデータ記憶部1aと、販売する靴Sの内寸データを記憶する靴データ記憶部1bと、ユーザが操作可能なユーザ端末5とインターネット4を介して接続可能であり、ユーザ端末5により靴Sの選択が行われるのに応じ、靴データ記憶部1bが記憶する選択された靴Sの内寸データに対するユーザデータ記憶部1aが記憶する足の外寸データの大きさに基づいて、ユーザの足Fの選択された靴Sに対する当たりの強さを求め、この求めた当たりの強さをユーザ端末5に提示する管理サーバ1の制御部1dと、を備えることを特徴とする仮想試着システムとした。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態1の靴の仮想試着方法を実行する靴の仮想試着システムを図面に基づいて説明する。
(靴の仮想試着システムの全体構成)
まず、靴の仮想試着システムの全体構成について説明する。
図1は、実施の形態1の靴の仮想試着方法を実行する靴の仮想試着システムの全体構成の概略を示す全体システム図である。
【0011】
図1に示すように、靴の仮想試着システムは、管理サーバ1、測定装置2、出店者サーバ3を備え、これらはインターネット4を介して接続可能となっている。
【0012】
測定装置2は、ユーザ(利用者)の足の形を計測するもので、ケース21とレーザスキャナ22とを備える。すなわち、測定装置2では、ケース21内に入れた足Fの周りに、レーザスキャナ22からレーザ光を照射し、レーザ光の屈折具合を解析して足の三次元形状を測定する。なお、この測定装置2は、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート、駅などに予め設置される。
【0013】
さらに、測定装置2には、入出力装置23が並設されている。この入出力装置23は、表示画面やプリンターなどの出力部23aと、タッチパネルやキーボードなどの入力部23bと、インターネット4を介した通信を行う通信部23cと、制御部23dと、を備える。
【0014】
そして、制御部23dは、レーザスキャナ22で得られた足Fの外寸の測定データ(以下、これを足3Dデータという)と、ユーザとを関連付ける処理およびこれらの関連付けた情報を管理サーバ1に送信する処理を実行する。足3Dデータとユーザとの関連付けは、足3Dデータにユーザ識別用の符号(以下、これをIDと称する)を与えることにより行う。なお、IDは、出力部23aによる画面表示あるいは印刷発行と、通信部23cによるユーザのユーザ端末5への通信と、のいずれか一つまたは複数を用いて行う。
【0015】
また、上記のIDによる足3Dデータとユーザとの関連付けと同時に、パスワードの設定を行う。このパスワードの設定は、ユーザが、入力部23bあるいは後述のユーザ端末5を操作してパスワードを入力してもよいし、入出力装置23から発行するようにしてもよい。そして、制御部23dは、パスワードと、IDおよび足3Dデータとの関連付けを行い、管理サーバ1に送信する。なお、パスワードとIDとの関連付けは、上記測定時とは別のタイミングで、ユーザ端末5を用いて行ってもよい。
【0016】
また、ユーザ端末5は、ユーザが所有するパーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末などであり、インターネット4を介して、管理サーバ1や出店者サーバ3に接続して、購入画面の閲覧や、購入希望の靴の注文を可能とする。
【0017】
管理サーバ1は、ユーザデータ記憶部1a、靴データ記憶部1b、通信部1c、制御部1dを備える。
ユーザデータ記憶部1aは、上述した測定装置2などから送られた前述したユーザ情報を、ユーザデータ記憶部1aに記憶する。
【0018】
靴データ記憶部1bは、出店者サーバ3の商品である靴の内寸データ(これを、以下靴3Dデータと称する)を、靴情報と関連付けて記憶する。なお、靴情報は、靴を特定するための情報であり、例えば、靴ごとに与えられた識別番号などを含む。この靴情報により、靴の種類の識別、色の識別、サイズ(足長もしくはそれに加えて足幅)の識別などを行って、靴を特定することができる。また、靴3Dについては、後述する。
【0019】
また、制御部1dは、ユーザの足3Dデータと、靴データ記憶部1bに記憶された靴3Dデータとの比較に基づいて、ユーザが靴Sを履いた時の当たりの強さ(フィット感)を演算し、その演算結果をユーザ端末5の表示画面5a上に表示する仮想試着処理を実行する。なお、仮想試着処理の詳細は後述する。
【0020】
出店者サーバ3は、ネットショップに出店参加する出店者側のサーバであり、記憶部3a、通信部3c、制御部3dを備える。
記憶部3aは、店舗情報、商品としての靴Sに関する情報などを記憶する。
制御部3dは、Webサイト上に、記憶部3aに記憶した情報に基づいて商品となる靴Sをユーザ端末5の表示画面5aに提供する処理ならびに仮想試着を行うWebサイトへの案内を実行する。
【0021】
(靴3Dデータ)
次に、靴Sの内寸データである靴3Dデータについて説明する。
(靴の内寸測定手順)
以下に、靴3Dデータを取得する手順を説明する。
【0022】
まず、出店者は、出店者サーバ3上に出店する靴を、管理サーバ1の管理者に渡す。そして、管理者は、この靴の内寸データである靴3Dデータを取得する。この場合、靴の内寸データの計測は、全サイズについて行ってもよいし、その全サイズの一部のみを計測してもよい。一部のみを計測する場合、例えば、最小あるいはその近傍のサイズ、最大あるいはその近傍のサイズ、それらの中間の1あるいは複数のサイズを計測し、計測しなかったサイズについては、計測値に基づく推定値を算出する。
【0023】
図2は、靴Sの内寸を測定する手順の説明図である。
まず、最初のSTEP1では、木箱などの容器10に靴Sを入れる。なお、容器10は、底部10aに図示を省略した穴と、その穴に接続されて空気を吸引する真空吸引機11とを備える。
【0024】
次に、STEP2では、容器10および靴Sの上から、ビニールシートなどの通気性を有しないシート12を上から被せる。
【0025】
次のSTEP3では、シート12を、容器10の底部10aおよび靴Sの内側に敷き詰めた後、さらに、真空吸引機11により、シート12の下側の空気を吸引することで、シート12の皺を伸ばしつつ、シート12を、靴Sの内周面に密着させる。
【0026】
続くSTEP4では、靴Sの内側においてシート12の密着性が得にくい足先および踵部分に、粘土、軟質樹脂などの変形可能であり形状保持性を有した充填材13を、シート12の上から手や治具を用いて加圧充填し、シート12を、靴Sの内周面の全体に確実に密着させる。
【0027】
STEP5では、充填装置15により、シート12の上から靴Sの内側に発泡材14を充填する。例えば、この発泡材14は、充填装置15からの充填後、発泡膨張し固体化するものを用いる。
【0028】
続くSTEP6では、シート12と一体となって固化した発泡材14bを、シート12と共に靴Sから取り出し、さらに、固化した発泡材14bからシート12を剥がした上で、靴Sの内寸以外の部分を切除し、靴型SMとする。
そして、靴型SMにカバーCを被せる。このカバーCは、発泡材14の固化後の収縮代に相当する厚みを有する、伸縮可能な繊維材により形成されている。
【0029】
STEP7では、靴型SMに被せたカバーCの不要部分を切除し、最終靴型SSとする。そして、最終靴型SSを、前述した測定装置2のレーザスキャナ22と同様の三次元スキャナによりスキャンして得られた最終靴型SSの外寸の計測データを、靴3Dデータとし、これを靴データ記憶部1b(
図1)に記憶する。
【0030】
以上のように、靴Sの内寸を、実際に靴Sの各寸法を測定するのではなく、一旦、最終靴型SSを形成して、三次元スキャナにより測定するため、内寸の測定が容易である。
また、最終靴型SSを形成するのにあたり、発泡材14を用いるため、靴Sの内側に密着させることができるとともに、靴Sを変形させることなく、最終靴型SSを形成することができる。これにより、靴Sの内寸を正確に再現した最終靴型SSを形成することができる。しかも、靴Sと発泡材14との間には、シート12を介在させるため、出店者の靴Sを、傷付けたり、発泡材14が付着したりすることなく、出店者に返すことができる。
【0031】
加えて、靴Sと発泡材14との間には、シート12を介在させた構成としながらも、シート12を密着させにくい形状の足先および踵部分に、粘土、軟質樹脂などの変形可能であり形状保持性を有した充填材13を加圧充填するため、最終靴型SSの形状を、より正確に、靴Sの内寸形状とすることができる。
さらに、最終靴型SSは、発泡材14の固化時の収縮代に応じた、厚みを有するカバーCを被せるため、最終靴型SSの形状を、より正確に、靴Sの内寸形状とすることができる。加えて、カバーCを被せることにより、発泡材14がむき出しの靴型SMの表面にシート12の皺などによる凹凸ができていても、最終靴型SSにおいてこの凹凸が表面に現れないようにすることができる。
【0032】
(仮想試着処理)
次に、管理サーバ1および出店者サーバ3において実行する仮想試着処理の流れを
図3のフローチャートに基づいて行う。
【0033】
最初に進むステップS11では、出店者サーバ3上のWebサイトにより試着可能な靴Sを表示する。なお、この靴Sの表示は、ユーザが出店者サーバ3のWebサイトに接続することに対応して行う。
【0034】
試着可能な靴Sの表示を行った後に進むステップS12では、ユーザにより仮想試着する靴Sが選択されたか否か判定し、選択された場合はステップS13に進み、選択されない場合は、ステップS11に戻る。
【0035】
この仮想試着する靴Sの選択は、ユーザがユーザ端末5に表示された靴Sの中から希望の靴Sを選択するとともに、仮想試着を希望する表示をクリックすることにより行う。これにより、管理サーバ1のWebサイトにおける仮想試着の画面にログインするための画面を表示する。
【0036】
仮想試着する靴Sの選択がなされた後に進むステップS13では、ログイン画面にてユーザのIDおよびパスワードが入力されたか否か判定し、入力された場合は、次のステップS14に進み、入力されない場合は、ステップS13の判定を繰り返す。このユーザのIDおよびパスワードの入力は、ユーザがユーザ端末5を用いて行う。
【0037】
また、このログイン後、あるいは、ログイン前に、ユーザは、仮想試着する靴Sのサイズを、クリックや所定のキー操作などにより選択する。この場合、サイズとして、少なくとも「足長(例えば、23cmや23.5cmなどの寸法)」を選択する。また、その靴に複数の横幅(例えば、「E」や「EE」など)の設定が有れば、横幅サイズも選択することができる。さらに、ヒールの高さなども複数の設定が有れば、高さサイズも選択する。
あるいは、これらの靴Sのサイズの選択は、ユーザの足3Dデータに基づいて、最適のサイズを自動的に選択してもよい。
【0038】
ID,パスワードを入力してログインした後に進むステップS14では、管理サーバ1は、選択された靴Sを判別するための型番などの靴情報とユーザを識別するIDとに基づいて、ユーザデータ記憶部1aからユーザの足3Dデータを読み込むとともに、靴データ記憶部1bから選択された靴Sの靴3Dデータを読み込んだ後、ステップS15に進む。
【0039】
ステップS15では、読み込んだ足3Dデータと靴3Dデータとを比較し、靴3Dデータ(内寸データ)に対する足3Dデータ(外寸データ)の大きさの程度に基づいて、ユーザが靴Sを試着した場合の、当たりの強さ(フィット感)を演算する。この当たりの強さ(フィット感)の演算は、詳しくは後述するが、予め設定された所定の部位ごとに、靴Sに対する足Fの当たりの強さ(フィット感)を複数段階で評価する。この当たりの強さ(フィット感)は、例えば、きつい、少しきつい、ぴったり、少し緩い、緩いなど、感覚的な表現に置き換えることができる。
【0040】
そして、続くステップS16では、演算結果(当たりの強さ)をユーザ端末5の表示画面5aに表示する。この表示についても、詳細は後述する。
なお、管理サーバ1における処理は、以上で終わり、ユーザは、この当たりの強さの表示に基づいて、出店者サーバ3のWebサイトに戻り、ユーザ端末5の操作に基づいて、その靴Sの購入手続きを行ったり、他のサイズを選択して、仮想試着を再度行ったりすることができる。
【0041】
(当たりの強さ(フィット感)の演算および表示)
次に、ステップS15の当たりの強さ(フィット感)の演算およびステップS16の当たりの強さ(フィット感)の表示について説明を加える。
【0042】
当たりの強さ(フィット感)は、足3Dデータと、靴3Dデータと、の寸法差(差分)に基づいて求める。通常、靴Sを履いたときには、足Fの外寸よりも靴Sの内寸の方が小さい場合に、足Fが靴Sに密着する。そして、この場合の足Fの外寸から靴Sの内寸を差し引いた差分(外寸−内寸)が、所定の範囲内であれば、適度の当たりの強さ(フィット感=「ぴったり」)が得られ、所定の範囲よりも大きくなると、当たりの強さをきつく感じ(フィット感=「ややきつい」「きつい」)、逆に、所定の範囲よりも小さくなると、当たりの強さを弱く(緩く)感じる(フィット感=「やや緩い」「緩い」)。なお、足Fの外寸よりも靴Sの内寸が大きい場合には、当たりは生じずフィット感は得られない。
【0043】
以下に、本実施の形態1において実施可能な足3Dデータ(外寸データ)と、靴3Dデータ(内寸データ)との寸法差(差分)を求める方法について説明する。
【0044】
まず、
図4に示すように、足長La、足幅Lb、踵幅Lc、足囲Ld、指先Le、指上Lfを含む複数箇所について、各足3Dデータの値から、靴3Dデータの値を差し引いて、差分を求める。そして、この差分に基づいて、前述のように、当たりの強さ(フィット感)を、「緩い」「やや緩い」「ぴったり」「ややきつい」「きつい」などの複数段階で求める。
【0045】
なお、指先Lsは、指先部分の幅方向の当たりの強さと、前後方向の当たりの強さの両方を併せて評価する。また、指上Lfは、指部分の上面の当たりの強さを評価する。
【0046】
また、
図4では、寸法差を求める箇所を6箇所としているが、その数は、これに限らず、6箇所よりも少なくすることもできるし、6箇所よりも多くすることもできる。
【0047】
ただし、足3Dデータ、靴3Dデータのいずれも立体的な寸法データであるため、その比較箇所数は、容易に増やすことが可能である。例えば、
図4(a2)に示すように、親指側部tp1、小指側部tp2、踵側部tp3、tp4、土踏まず部tp5などを追加することができる。
【0048】
(当たりの強さ(フィット感)の演算結果の表示)
演算により得られた当たりの強さ(フィット感)は、
図5に示すユーザ端末5の表示画面5aにおいて行う。なお、
図5では、表示画面5aは、ユーザ端末5として携帯電話を用いた場合を示しているが、前述したように、パーソナルコンピュータや携帯端末の表示画面を用いることもできる。
【0049】
そして、当たりの強さ(フィット感)の表示は、図示のように、表示画面5aに足3Dデータの立体表示画像D41を表示し、この立体表示画像D41の上において、前述した靴3Dデータと足3Dデータとの差分を求めた箇所に対応する表示箇所S1〜S5に、当たりの強さ(フィット感)を、着色表示により提示する。
【0050】
この着色表示としては、例えば、「きつい」を赤で表示し、「ぴったり」を緑で表示し、「緩い」を青で表示し、これらの中間の「ややきつい」を、赤と緑の中間の黄色で表示し、一方、「やや緩い」を、青と緑との中間の青緑で表示する。なお、
図5では、色の違いを、ハッチングなどの表示の違いにより表している。
なお、この表示個所として、
図4(a2)に示した親指側部tp1、小指側部tp2、踵側部tp3、tp4、土踏まず部tp5などの他の比較箇所を加えてもよい。
【0051】
(仮想試着の手順)
次に、ユーザがユーザ端末5を用いて靴Sを購入する際の手順を説明する。
この場合、ユーザは、
図1に示すユーザ端末5を用い、出店者サーバ3のWebサイトにアクセスする。
【0052】
出店者サーバ3のWebサイトでは、ユーザが仮想試着可能な靴Sをユーザ端末5の表示画面に靴Sを表示する(ステップS11)。なお、この靴Sの表示においては、ユーザが購入可能な靴Sを表示するとともに、その中で、仮想試着が可能な靴Sに対して、その旨の表記を行うようにしてもよい。
【0053】
そこで、ユーザは、ユーザ端末5の表示画面に表示される靴Sの中から、仮想試着したい靴Sを、クリックや所定のキー操作などにより選択する操作を実行する。
その際に、ユーザは、仮想試着を希望するサイズも選択するようにしてもよい。この場合、サイズとして、少なくとも「足の長さ(例えば、23cmや23.5cmなどの寸法)」を選択する。また、その靴に複数の横幅(例えば、「E」や「EE」など)の設定が有れば、横幅サイズも選択することができる。さらに、ヒールの高さなども複数の設定が有れば、高さサイズも選択する。
あるいは、ユーザによるサイズの選択を不要としてもよい。この場合、後述する管理サーバ1のWebサイトにおける仮想試着処理時に、ユーザの足3Dデータに基づいて、最適のサイズを自動的に選択する。
【0054】
ユーザは、靴Sの選択後、仮想試着へのログイン画面の表示に従って、IDおよびパスワードを入力する(ステップS12、S13)。
【0055】
そして、仮想試着のログインにより管理サーバ1のWebサイトに進み、仮想試着処理を実行する。なお、上記の靴Sの選択ならびにID,パスワードの入力に伴い出店者サーバ3からユーザのIDと靴情報とが管理サーバ1へ送られる。これらの情報を入力した管理サーバ1のWebサイトでは、ユーザのIDに基づいて足3Dデータを読み込むとともに、靴情報に基づいて靴3Dデータを読み込む(ステップS14)。
【0056】
そして、管理サーバ1のWebサイトでは、足3Dデータ(内寸データ)に対する靴3Dデータ(外寸データ)の大きさに基づいて、具体的には、足3Dデータの値から靴3Dデータの値を差し引いた差分に基づいて、当たりの強さ(フィット感)を演算する(ステップS15)。さらに、演算により得られた当たりの強さ(フィット感)を、ユーザ端末5の表示画面5aに表示する(ステップS16)。
【0057】
この場合、本実施の形態では、
図5に示すように、足3Dデータに基づく足の立体表示画像D41を表示したうえで、差分を求めた各比較箇所に対応する表示箇所S1〜S5において、当たりの強さ(フィット感)を、着色表示により提示する。
【0058】
したがって、ユーザは、実際に試着することなく、各表示箇所S1〜S5のそれぞれの当たりの強さを知ることができる。そして、この当たりの強さに基づいて、選択した靴Sを購入するか否かを検討することができる。また、当たりの強さが強すぎたり、緩すぎたりする場合は、同じ靴Sの他のサイズの仮想試着を行って、他のサイズの当たりの強さの表示に基づいて、再度、購入を検討することができる。
【0059】
よって、ユーザは、既製の靴の中から、自分の足Fにフィットする靴(当たりの強さが丁度良い)を、購入することが可能となる。
そして、この場合、商品が届いてから、実際に試着した際に、ユーザの足Fに合わない不具合が生じにくくなり、ユーザが商品を返送したり、出店者が、異なるサイズの靴を再送したりする手間、コストを省くことができる。
【0060】
(実施の形態の効果)
以下に、実施の形態の靴の仮想試着方法および靴の仮想試着システムの効果を列挙する。
1)実施の形態の靴の仮想試着方法は、
ユーザの足Fの外寸データを取得するステップと、
販売対象となる複数の靴Sの内寸データを取得するステップと、
ユーザによる複数の靴Sの中からの靴の選択に応じ(ステップS12)、選択された靴Sの内寸データとしての靴3Dデータに対するユーザの足Fの外寸データとしての足3Dデータの大きさに基づいて、ユーザの足Fの選択した靴Sに対する当たりの強さを求めるステップ(ステップS14、S15)と、
求めた当たりの強さを提示するステップ(ステップS16)と、
を実行することを特徴とする。
したがって、ユーザは、実際に靴を履かなくても、当たりの強さの提示に基づいて、自分の足Fと靴Sとの当たりの強さを確認できるため、通信販売などでもユーザの足Fにぴったりフィットする既製の靴Sの購入が可能となる。
【0061】
2)実施の形態の靴の仮想試着方法は、
当たりの強さを求めるステップでは、足3Dデータが示す寸法から靴3Dデータが示す寸法を差し引いた差分を求め、差分に基づいて当たりの強さを求めることを特徴する。
したがって、差分により、ユーザが靴Sを履いた時の足Fの変形代を求めることができるため、差分に基づいて当たりの強さを求めることにより、当たりの強さを高精度で求めることができる。
【0062】
3)実施の形態の靴の仮想試着方法は、
当たりの強さの表示は、表示装置としての表示画面5aに足型を表示し、求めた当たりの強さの表示箇所S1〜S5を、当たりの強さに応じた色により表示することで行うことを特徴とする。
したがって、ユーザは、靴Sを履いたときに、足Fのどの部位が、どの程度の当たりの強さであるかを、視覚的に的確に知ることができる。
【0063】
4)実施の形態の靴の仮想試着システムは、
ユーザの足Fの外寸データとしての足3Dデータを測定する測定装置2と、
足3Dデータとユーザとを関連付けて記憶するユーザデータ記憶部1aと、
販売する複数の靴Sの内寸データとしての靴3Dデータを記憶する靴データ記憶部1bと、
ユーザが操作可能なユーザ端末5とインターネット4を介して接続可能であるとともに、ユーザデータ記憶部1aが記憶するユーザの足3Dデータ(外寸データ)と靴データ記憶部1bが記憶する靴3Dデータ(内寸データ)とを読込可能な管理サーバ1の制御部1dと、
を備え、
制御部1dは、ユーザ端末5による複数の靴Sの中からの靴Sの選択に応じ、選択された靴Sの靴3Dデータ(内寸データ)に対するユーザの足Fの足3Dデータ(外寸データ)の大きさに基づいて、選択された靴Sに対するユーザの足Fの当たりの強さを求め、この求めた当たりの強さをユーザ端末5により提示する仮想試着処理を実行することを特徴とする。
したがって、ユーザは、実際に靴Sを履くことなく、インターネット4を介してユーザ端末5により選択した既製の靴Sをユーザが履いた場合の足Fにおける当たりの強さを、ユーザ端末5における表示画面5aにより確認できる。このため、ユーザは、インターネット4を介した靴Sの購入であっても、ユーザの足Fにぴったりフィットする既製の靴Sの購入が可能となる。
【0064】
5)実施の形態の靴の仮想試着方法および靴の仮想試着システムは、
ユーザの足Fと靴Sとの当たりの強さを求めるのにあたり、少なくとも、足長La、足幅Lb、指先Le、踵の当たりの強さを求めるとともに、これを提示することを特徴とする。
したがって、ユーザは、靴Sを履いた際に最も重要な箇所の当たりの強さを、仮想試着により明確に知ることができる。
【0065】
6)実施の形態の靴の仮想試着方法および靴の仮想試着システムは、
さらに、第1の差分を求める方法に基づいて、踵幅Lc、足囲Ld、指先Le、指上Lfの当たりの強さ(フィット感)を求めることを特徴とする。
したがって、ユーザは、より細かに当たりの強さを知ることができ、より一層正確な当たりの強さを仮想試着により知ることができる。
【0066】
7)実施の形態の靴の仮想試着方法および靴の仮想試着システムは、
当たりの強さを、「緩い」「やや緩い」「ぴったり」「ややきつい」「きつい」の少なくとも5段階で表すことを特徴とする。
したがって、ユーザは、仮想試着により、当たりの強さの程度を、より細かに知ることができる。
【0067】
以上、図面に基づいて本発明の実施の形態の靴の仮想試着方法および靴の仮想試着システムについて説明してきたが、本発明の具体的な構成については、この実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0068】
例えば、実施の形態の靴の仮想試着方法および靴の仮想試着システムでは、足の外寸データの取得は、レーザスキャナにより立体的に計測する例を示したが、これに限定されず、測定装置としては、他の三次元スキャナや二次元測定装置を用いてもよい。他の三次元スキャナとしては、超音波や赤外線などを用いるものや、接触式など既存の計測装置を用いることができる。また、靴の仮想試着方法では、この計測は、人が行うとともに、各データ入力も人が行うようにしてもよい。したがって、実施の形態では、外寸データとして立体的な足3Dデータを示したが、これに限定されず、2次元のデータを用いてもよい。
さらに、この計測は、例えば、ユーザが管理サーバに接続して、ユーザ端末において足の外寸データを入力する画面を開き、表示された測定必要項目(例えば、足長La、足幅Lb、踵幅Lc、足囲Ld、指先Le、指上Lfなど)を示し、ユーザが自分で計測して、ユーザ自身が必要項目の数値を入力するようにしてもよい。
【0069】
また、実施の形態では、靴の内寸データを取得する例として、発泡材を用いて靴型を形成する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、上記と同様に、接触子を靴の内側に接触させつつ移動させて寸法を計測するものや、電磁波、電波、音波などを用いて、断面を計測するものなど、他の手段を用いることができる。あるいは、人が手作業により計測することも可能である。したがって、実施の形態では、内寸データとして立体的な靴3Dデータを示したが、これに限定されず、2次元のデータを用いてもよい。
【0070】
また、実施の形態では、靴に対する足の当たりの強さを求めるのにあたり、足の外寸データ(足3Dデータ)から靴の内寸データを差し引いた差分により求める例を示したが、これに限定されず、例えば、外寸データに対する内寸データの割合に基づくなど、他の方法により求めてもよい。
【0071】
また、実施の形態では、当たりの強さの提示は、表示装置に足型を表示し、求めた当たりの強さの該当箇所を、当たりの強さに応じた色により表示する例を示したが、これに限定されず、文字や音声などを用いて、表示してもよい。また、当たりの強さを色により表示する場合も、実施の形態にて示した色に限定されるものではない。さらに、当たりの強さとしては、5段階で表示する例を示したが、その段階数は、これに限定されることなく、これよりも少なく、例えば、ぴったりか否かの2段階や、ぴったり、きつい、緩いの3段階など5段階よりも少なく表示してもよいし、5段階以上で表示してもよい。特に、本実施の形態のように色分けした場合、隣り合う色の配合に基づいて無段階に表示することも可能である。
【0072】
また、実施の形態の靴の仮想試着方法では、インターネットを利用した通信販売に適用した例を示したが、これに限定されず、例えば、靴の販売店の店頭の表示装置により実行することも可能である。この場合、複数の靴の仮想試着を行い、当たりの強さを確認してある程度、実際に試着する商品を絞ることが可能となる。あるいは、在庫が無い商品の仮想試着が可能となり、在庫商品を減らすことが可能となる。
【0073】
さらに、インターネットを利用した通信販売にあっても、少なくとも、仮想試着処理を行う制御装置を備えていれば良く、実施の形態に示したように、管理サーバで行うものに限らず、出店者サーバなど他のサーバで実行してもよい。その際に、ログインする手順についても、制御装置による仮想試着処理を実行させるものであれば、実施の形態に示した手順に限定されない。例えば、ユーザのID、パスワードによるログイン後に、出店者サーバなど販売する靴を提示するようにしてもよい。