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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-98200(P2017-98200A)
(43)【公開日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20170428BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20170428BHJP
【FI】
   H01R13/52 301H
   H01R13/52 301E
   H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-232148(P2015-232148)
(22)【出願日】2015年11月27日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】辻本 将輝
(72)【発明者】
【氏名】細山田 剛
(72)【発明者】
【氏名】時田 寛
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健
【テーマコード(参考)】
5E087
5E123
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE07
5E087FF03
5E087FF06
5E087FF13
5E087LL03
5E087LL04
5E087LL13
5E087MM02
5E087QQ04
5E087RR12
5E087RR29
5E123AA21
5E123AB21
5E123AC03
5E123AC19
5E123BA01
5E123BA05
5E123BA06
5E123BA07
5E123BB01
5E123BB12
5E123BB17
5E123CB22
5E123CB24
5E123CB26
5E123CB31
5E123CB38
5E123CD01
5E123DB09
(57)【要約】
【課題】防水性能に優れたコネクタを提供する。
【解決手段】筐体60に固定された相手側コネクタ50と嵌合するコネクタ1を対象とする。コネクタ1は、筐体60に嵌合する第1ハウジング2と相手側コネクタ50に嵌合する第2ハウジング3とを備えている。これらのハウジング2,3は、嵌合方向に分割されている。可撓性導電部材5は、第2シール部材8を介して第1ハウジング2の導電部材用第1貫通孔18に取り付けられ、第2シール部材8が設けられている部分から第2ハウジング3側へ延びるように設けられている。コネクタ1は、コネクタ1が相手側コネクタ50と嵌合した状態において外部ハウジング2の所定部位と筐体60の所定部位とが水平方向に離間していることにより形成される第2隙間を密閉する第1シール部材4を更に備えている。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体又は筐体に固定された基板に対して取り付けられた相手側コネクタと嵌合するコネクタであって、
前記コネクタ内のコンタクトに接続される可撓性導電部材が延びる方向であって前記コネクタが前記相手側コネクタに嵌合する方向である嵌合方向に分割されていて、互いに係合されて固定されているハウジングであって、前記筐体に嵌合する第1ハウジング、及び前記相手側コネクタに嵌合する第2ハウジングを備え、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間には、前記嵌合方向に垂直な方向である水平方向に第1隙間が形成され、
前記第1ハウジングに取り付けられおり、前記コネクタが前記相手側コネクタと嵌合した状態において前記第1ハウジングの所定部位と前記筐体の所定部位とが前記水平方向に離間していることにより形成される第2隙間を密閉している第1シール部材と、
前記第1ハウジングに形成されており前記可撓性導電部材が挿通されている導電部材用第1貫通孔、と前記可撓性導電部材との間を密閉する第2シール部材と、を備え、
前記可撓性導電部材は、前記第2シール部材が設けられている部分から前記第2ハウジング側へ前記嵌合方向に沿って延びるように設けられており、その先端部分に前記コンタクトが固定されていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記第2ハウジングには、前記可撓性導電部材が挿通される導電部材用第2貫通孔が形成されていて、
前記可撓性導電部材と前記導電部材用第2貫通孔との間には、前記水平方向に第3隙間が形成されていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタにおいて、
前記第1シール部材は、前記コネクタが前記相手側コネクタと嵌合した状態において、外部から前記第1ハウジングと前記筐体との間を介して前記コネクタの内部へ侵入しようとする液体の侵入経路を塞ぐように該侵入経路に設けられ、
前記第2ハウジングは、前記コネクタが前記相手側コネクタと嵌合した状態において、前記第1シール部材よりも前記相手側コネクタ側に設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、
前記第1シール部材は、前記嵌合方向において前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間に配置されていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、
前記可撓性導電部材及び前記コンタクトを更に備えていることを特徴とする、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタに関し、特にコネクタの防水機能を高めるための技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、コネクタの防水機能を高めるための手段として、コネクタにおける多数の箇所に防水用の部材(第1シール部材、第2第1シール部材、第3シール部材、防水栓等)を設けることが開示されている。また、このコネクタには、スペーサとハウジングとの間にクリアランスが設けられている。このコネクタでは、該コネクタが相手側コネクタに嵌合する際にスペーサに対してハウジングが水平方向に変位可能となっている。そうすると、筐体に固定される相手側コネクタが該筐体に対して水平方向に位置ずれしている場合であっても、その位置ずれが前記クリアランスによって吸収される。これにより、スペーサと筐体との間をシールするシール部材(図8における第1環状シール部材)の圧縮量を全周に亘って均一に保つことができるため、コネクタの防水性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−131474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されるコネクタでは、コネクタの防水性能を確保する上で、筐体に対してハウジングをネジ止めすることが必要となる。このような構成において、筐体とハウジングとの嵌合方向における相対的な位置ずれが発生すると(具体的には、例えばハウジングを筐体に固定するためのネジが緩んでハウジングが筐体から浮いた状態になると)、第2シール部材の圧縮量が小さくなってしまい、防水性能が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、防水性能に優れたコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係るコネクタは、筐体又は筐体に固定された基板に対して取り付けられた相手側コネクタと嵌合するコネクタであって、前記コネクタ内のコンタクトに接続される可撓性導電部材が延びる方向であって前記コネクタが前記相手側コネクタに嵌合する方向である嵌合方向に分割されていて、互いに係合されて固定されているハウジングであって、前記筐体に嵌合する第1ハウジング、及び前記相手側コネクタに嵌合する第2ハウジングを備え、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間には、前記嵌合方向に垂直な方向である水平方向に第1隙間が形成され、前記第1ハウジングに取り付けられおり、前記コネクタが前記相手側コネクタと嵌合した状態において前記第1ハウジングの所定部位と前記筐体の所定部位とが前記水平方向に離間していることにより形成される第2隙間を密閉する第1シール部材と、前記第1ハウジングに形成されており前記可撓性導電部材が挿通されている導電部材用第1貫通孔、と前記可撓性導電部材との間を密閉している第2シール部材と、を備え、前記可撓性導電部材は、前記第2シール部材が設けられている部分から前記第2ハウジング側へ前記嵌合方向に沿って延びるように設けられており、その先端部分に前記コンタクトが固定されている。
【0007】
上述した構成のコネクタを相手側コネクタへ挿入すると、第1ハウジングが筐体と嵌合する一方、第2ハウジングが相手側コネクタと嵌合する。これにより、コネクタと相手側コネクタとが嵌合する。
【0008】
また、この構成では、筐体に対する相手側コネクタの取り付け位置のずれがあっても、コネクタの防水性能を確保することができる。具体的には、上記取り付け位置のずれがある状態においてコネクタと相手側コネクタとを嵌合させると、第1ハウジングと第2ハウジングとの間に形成された第1隙間分だけ、双方のハウジングが水平方向へ相対的に移動できる。また、このときの相対移動は、可撓性導電部材における第2シール部材が設けられている箇所からコンタクトが固定されている箇所までの間の部分が斜め方向に変形することにより許容される。これにより、筐体と第1ハウジングとの水平方向における位置関係、及び相手側コネクタと第2ハウジングとの水平方向における位置関係を維持したまま、コネクタを相手側コネクタへ嵌合することができる。よって、筐体と第1ハウジングの間に設けられたシール部材の圧縮量を、相手側コネクタの位置ずれに関わらず全周に亘って一定に保つことができるため、防水性能に優れたコネクタを提供できる。また、相手側コネクタと第2ハウジングとの水平方向における位置関係についても、相手側コネクタの位置ずれに関わらず一定に保つことができるため、コネクタ側のコンタクトと相手側コネクタ側のコンタクトとを確実に嵌合させることができる。
【0009】
そして、この構成では、第1シール部材が、第1ハウジングの所定部位と前記筐体の所定部位とが前記水平方向に離間していることにより形成される第2隙間を密閉している。こうすると、嵌合方向における第1ハウジングと筐体との相対的な位置ずれに関わらず、防水性能を一定に保つことができる。
【0010】
従って、この構成によると、防水性能に優れたコネクタを提供できる。
【0011】
なお、上述した可撓性導電部材には、ワイヤー、同軸ケーブル等、可撓性を有する導電部材が含まれる。
【0012】
(2)好ましくは、前記第2ハウジングには、前記可撓性導電部材が挿通される導電部材用第2貫通孔が形成されていて、前記可撓性導電部材と前記導電部材用第2貫通孔との間には、前記水平方向に第3隙間が形成されている。
【0013】
この構成によれば、コネクタが相手側コネクタと嵌合した際に第1ハウジングと第2ハウジングとが水平方向へ相対的に移動した場合であっても、可撓性導電部材が、第3隙間の範囲内において導電部材用第2貫通孔内で斜め方向に変形することができる。これにより、導電部材用第2貫通孔内における可撓性導電部材の斜め方向への変形を適切に許容することができる。
【0014】
(3)好ましくは、前記第1シール部材は、前記コネクタが前記相手側コネクタと嵌合した状態において、外部から前記第1ハウジングと前記筐体との間を介して前記コネクタの内部へ侵入しようとする液体の侵入経路を塞ぐように該侵入経路に設けられ、前記第2ハウジングは、前記コネクタが前記相手側コネクタと嵌合した状態において、前記第1シール部材よりも前記相手側コネクタ側に設けられている。
【0015】
この構成によれば、外部から第1ハウジングと筐体との間を介してコネクタ内部へ侵入しようとする液体の該コネクタ内部への侵入を、第1シール部材によって防止できる。また、この構成によれば、第2ハウジングが第1シール部材よりも相手側コネクタ側に設けられているため、第2ハウジングと筐体との間にシール部材を設ける必要がなくなる。これにより、筐体とハウジングとの間のシール性を保つためのシール部材の数を少なくすることができる。
【0016】
(4)好ましくは、前記第1シール部材は、前記嵌合方向において前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間に配置されている。
【0017】
第1シール部材が第1ハウジングから離脱しないように、該第1シール部材を第1ハウジングに取り付けようとした場合、例えば一例として、第1ハウジングの周囲に環状の溝を形成し、そこに第1シール部材を嵌め込むことが考えられる。しかしそうすると、成形金型での製作上、上述した溝の底面にバリができ、防水性能が低下してしまう。
【0018】
この点につき、上述した構成によれば、第1シール部材が、第1ハウジングと第2ハウジングとの間に設けられているため、上述のような溝状の部分を第1ハウジングに形成せずとも、第2ハウジングで第1シール部材の離脱を防止できる。すなわち、上述のような溝を形成することによるバリが形成されないため、コネクタの防水性能を安定化できる。
【0019】
(5)好ましくは、前記コネクタは、前記可撓性導電部材及び前記コンタクトを更に備えている。
【0020】
この構成では、上述したいずれかのコネクタを、可撓性導電部材及びコンタクトを更に備えたものとすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、防水性能に優れたコネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係るコネクタと、該コネクタが嵌合する相手側コネクタとを示す斜視図であって、相手側コネクタが実装されている基板、及び該基板が固定されている筐体の一部とともに示す図である。
図2】本実施形態に係るコネクタの斜視図である。
図3図2に示すコネクタの分解斜視図である。
図4図2に示すコネクタをIV方向から視た図である。
図5図4のV−V線における断面図である。
図6】シールリングの斜視図である。
図7図5のVII−VII線における断面図である。
図8】ワイヤーシールの斜視図である。
図9】メス型コンタクトの斜視図である。
図10】相手側コネクタに対してコネクタが挿入される際の様子を示す縦断面図であって、筐体と相手側コネクタとの間に位置ずれがない状態を示す図である。
図11図10に示すコネクタと相手側コネクタとが嵌合した状態を示す図であって、その一部を省略して示す図である。
図12】相手側コネクタに対してコネクタが挿入される際の様子を示す縦断面図であって、筐体と相手側コネクタとの間に位置ずれがある状態を示す図である。
図13図12に示すコネクタと相手側コネクタとが嵌合した状態を示す図であって、その一部を省略して示す図である。
図14図13の一部の拡大図であって、コネクタ内に侵入しようとする液体の侵入経路について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、コネクタに広く適用できる。
【0024】
図1は、本実施形態に係るコネクタ1と、該コネクタ1が嵌合する相手側コネクタ50とを示す斜視図であって、相手側コネクタ50が実装されている基板55、及び該基板55が固定されている筐体60の一部とともに示す図である。また、図2は、本実施形態に係るコネクタ1の斜視図である。また、図3は、図2に示すコネクタ1の分解斜視図である。また、図4は、図2に示すコネクタ1をIV方向から視た図である。また、図5は、図4のV−V線における断面図である。
【0025】
なお、各図において、説明の便宜上、右と記載された矢印が指示する方向を右側と称し、左と記載された矢印が指示する方向を左側と称し、上と記載された矢印が指示する方向を上側又は上方と称し、下と記載された矢印が指示する方向を下側又は下方と称し、前と記載された矢印が指示する方向を前側又は前方と称し、後と記載された矢印が指示する方向を後側又は後方と称する。前方とは、コネクタ1が相手側コネクタ50と嵌合する際の方向(嵌合方向)であり、後方とは、コネクタ1が相手側コネクタ50から抜去される際の方向(抜去方向)である。
【0026】
本実施形態に係るコネクタ1は、例えば一例として、車載用、特に、自動車に設けられた各種センサ用のコネクタとして用いられる。
【0027】
[全体構成]
コネクタ1は、図3を参照して、外部ハウジング2(第1ハウジング)と、内部ハウジング3(第2ハウジング)と、シールリング4(第1シール部材)と、同軸ケーブル5(可撓性導電部材)と、フェルール6と、分岐ワイヤー7(可撓性導電部材)と、ワイヤーシール(第2シール部材)8と、2つのメス型コンタクト9a,9bとを備えている。
【0028】
外部ハウジング2は、コネクタ1が有する2つのハウジング2,3のうち後側且つ外側に設けられたハウジングである。外部ハウジング2は、図3及び図5を参照して、外筒部10と、内筒部11と、底部15と、ケーブル保持部17とを有し、これらが一体に形成されている。
【0029】
外筒部10は、図3及び図5を参照して、外部ハウジング2における最も外側の部分として設けられた前後方向に延びる筒状の部分である。外筒部10は、左右方向に細長い略角筒状に形成されている。
【0030】
内筒部11は、外筒部10よりも内側に形成された筒状の部分である。内筒部11も、外筒部10と同様、前後方向に延びて、左右方向に細長い略角筒状に形成されている。内筒部11は、後側から前方へ延びて、その先端部が、外筒部10の先端部(外筒部10における前側の端部)よりも更に前方に位置している。
【0031】
内筒部11の外周面には、図5を参照して、第1段差部14が形成されている。
【0032】
第1段差部14は、内筒部11の外周面に形成され、前記外周面から内側へ落ち込む段差状に形成されている。この第1段差部14には、図5に示すように、シールリング4が配置されている。
【0033】
底部15は、図5を参照して、外筒部10と内筒部11とを連結する部分であって、上下左右方向に拡がるように形成されている。底部15は、外筒部10における後側の部分と内筒部11における後側の部分とを連結している。
【0034】
ケーブル保持部17は、同軸ケーブル5を保持する部分として設けられている。ケーブル保持部17は、図1及び図5を参照して、底部15から後方へ延びる略格子枠状に形成されている。
【0035】
図5を参照して、ケーブル保持部17には、該ケーブル保持部17を前後方向に貫通する貫通孔18が形成されている。この貫通孔18は、その内部に同軸ケーブル5が挿入されて保持されるケーブル用貫通孔18(導電部材用第1貫通孔)として形成されている。ケーブル用貫通孔18は、ケーブル保持部17の左側に形成されている。
【0036】
内部ハウジング3は、コネクタ1が有する2つのハウジング2,3のうち前側且つ内側に設けられたハウジングである。内部ハウジング3は、図3及び図5を参照して、筒部20と、底部21と、底部21を前後方向に貫通するように設けられた貫通部22とを有し、これらが一体に形成されている。
【0037】
筒部20は、前後方向に延びる筒状に形成された部分である。筒部20は、前後方向から視て左右方向に細長い楕円形状に形成されている。筒部20は、図5を参照して、内部ハウジング3が外部ハウジング2に係合している状態において、その後端側の部分が、外部ハウジング2の外筒部10と内筒部11との間の環状の空間に配置されている。また、筒部20の後端部と第1段差部14との間には、詳しくは後述するシールリング4が配置されている。
【0038】
底部21は、筒部20における前側の部分と一体に設けられている。底部21は、筒部20における前側の開口部を覆うように設けられている。
【0039】
貫通部22は、図3及び図5を参照して、底部21を前後方向へ貫通するように形成されている。貫通部22は、コネクタ1が相手側コネクタ50と嵌合する際に、該貫通部22の前側に形成された凹凸状の部分が、相手側コネクタ50に形成された凹凸状の部分に嵌り込むような形状に形成されている。貫通部22における左下側には、前後方向に延びるケーブル側コンタクト保持部22aが設けられている。また、貫通部22における右下側には、前後方向に延びるワイヤー側コンタクト保持部22bが設けられている。
【0040】
底部21及びケーブル側コンタクト保持部22aには、それらを前後方向に貫通するケーブル用貫通孔23a(導電部材用第2貫通孔)が形成されている。ケーブル用貫通孔23aには、同軸ケーブル5(具体的には、同軸ケーブル5のうち先端加工されて露出した誘電体5b及び内部導体5a)が挿通している。また、ケーブル用貫通孔23aにおける前側の部分には、メス型コンタクト9aが収容されている。これにより、メス型コンタクト9aにおける前側の部分は、ケーブル用貫通孔23aを介して前側へ露出している。ケーブル用貫通孔23aは、前後方向における長さが比較的長くなるように、前後方向に延びるように形成されている。
【0041】
底部21及びワイヤー側コンタクト保持部22bには、それらを前後方向に貫通するワイヤー用貫通孔23b(導電部材用第2貫通孔)が形成されている。ワイヤー用貫通孔23bには、分岐ワイヤー7が挿通している。また、ワイヤー用貫通孔23bにおける前側の部分には、メス型コンタクト9bが収容されている。これにより、メス型コンタクト9bにおける前側の部分は、ワイヤー用貫通孔23bを介して前側へ露出している。ワイヤー用貫通孔23bは、前後方向における長さが比較的長くなるように、前後方向に延びるように形成されている。
【0042】
図6は、シールリング4の斜視図である。シールリング4は、可撓性を有する部材(ゴム材料等)で構成されている。シールリング4は、筐体60に固定された相手側コネクタ50にコネクタ1が嵌合した状態において、外部ハウジング2と筐体60との間の防水性を確保するためのシール部材である。
【0043】
シールリング4は、前後方向から視た形状が、左右方向に長い略楕円形の枠状に形成されている。シールリング4には、楕円形枠状に形成されている部分である枠状部4aと、枠状部4aから外方へ突出する環状の部分である外側突出部4bと、枠状部4aから内方へ突出する環状の部分である内側突出部4cとを有し、これらが一体に形成されている。外側突出部4b及び内側突出部4cは、それぞれ、2つずつ形成されている。なお、外側突出部4bが形成されている数については、これに限らず、1又は3以上の外側突出部4bが形成されていてもよい。同様に、内側突出部4cが形成されている数についても、これに限らず、1又は3以上の内側突出部4cが形成されていてもよい。
【0044】
シールリング4は、図5を参照して、外部ハウジング2の第1段差部14に嵌め込まれている。シールリング4は、前後方向において、第1段差部14と内部ハウジング3の筒部20の後端部との間に配置される。これにより、互いに係合した状態の外部ハウジング2及び内部ハウジング3からシールリング4が前後方向において抜け落ちてしまうことを防止できる。
【0045】
同軸ケーブル5は、図3を参照して、内部導体5aと、誘電体5bと、編組5cと、被覆部5dとを有している。同軸ケーブル5は、先端側の部分が加工されており、図3に示すように、内部導体5a、誘電体5b、及び編組5cが外部に露出している。
【0046】
フェルール6は、図3を参照して、円筒状に形成された金属製の部材である。フェルール6は、先端加工された同軸ケーブル5の被覆部5dの先端部分に配置され、その状態において、編組5cにおける外部に露出している部分が後側へ折り返される(以下、この折返し部分を、編組折返し部5eと称する)。これにより、編組折返し部5eは、フェルール6の外周側へ配置される(図7参照)。なお、この編組折返し部5eには、図示しないカシメ部材がかしめられ、当該編組折返し部5eと、詳しくは後述する分岐ワイヤー7の内部導体7aとを電気的及び機械的に接続する。
【0047】
分岐ワイヤー7は、図3を参照して、同軸ケーブル5よりも短い所定の長さを有するワイヤーである。分岐ワイヤー7は、内部導体7a及び被覆部7bを有している。分岐ワイヤー7は、その両端部が加工されており、図3に示すように、その両端側から内部導体7aが露出している。分岐ワイヤー7では、その一端側の部分における内部導体7cが、図示しないカシメ部材によってかしめられることにより、同軸ケーブル5の編組折返し部5eと電気的に接続されている。一方、他端側については、被覆部7eがメス型コンタクト9bの第1バレル32にかしめられ、内部導体7dがメス型コンタクト9bの第2バレルにかしめられることによりメス型コンタクト9bと電気的に接続している。
【0048】
図8は、ワイヤーシール8の斜視図である。ワイヤーシール8は、可撓性を有する部材(ゴム材料等)によって、前後方向に細長い略円筒状に形成されている。ワイヤーシール8は、大径部25及び小径部27を有し、これらが一体に形成されている。
【0049】
大径部25は、ワイヤーシール8における後側の部分であって、円筒状に形成された部分である。大径部25の外径は、外部ハウジング2に形成されたケーブル用貫通孔18の内径よりも大きい。大径部25における前側の部分には、前後方向に間隔を空けて形成された2つの環状溝部25a,25aが設けられている。大径部25は、ケーブル用貫通孔18の内周面と密着する密着部として設けられている。
【0050】
小径部27は、ワイヤーシール8における前側の部分であって、大径部25よりも外径が小さくなるように形成された円筒状の部分である。小径部27は、大径部25と同軸状に設けられている。
【0051】
また、同軸ケーブル5と外部ハウジング2との間は、以下のようにしてシールされている。具体的には、図5を参照して、同軸ケーブル5を外側から覆うワイヤーシール8の大径部25が、ケーブル用貫通孔18に圧入され、その後側の部分が該ケーブル用貫通孔18における後側の開口部を塞いでいる。これにより、同軸ケーブル5と外部ハウジング2との間の防水性が確保される。
【0052】
図9は、メス型コンタクト9a,9bの斜視図である。なお、図9では、該メス型コンタクト9a,9bに形成された各バレル32がかしめられた状態を図示している。
【0053】
一方のメス型コンタクト9aは、板状の金属部材がプレス加工によって折り曲げられて形成された部品であって、前後方向に延びる細長い形状を有している。メス型コンタクト9aは、第1固定部30と、第2固定部33と、コンタクト部35とを有し、これらが一体に形成されている。
【0054】
第1固定部30は、第1受け部31と第1バレル32とを有し、これらが一体に形成されている。第1バレル32は、第1受け部31と一体に形成された片状の部分であり、当該第1バレル32がかしめられることにより、同軸ケーブル5の誘電体5bが第1固定部30に固定される。
【0055】
第2固定部33は、第2受け部34と第2バレル(図示省略)とを有し、これらが一体に形成されている。第2受け部34には、同軸ケーブル5の内部導体5aがセットされている。第2固定部33では、第2バレルがかしめられることにより、内部導体5aが第2固定部33に固定される。
【0056】
コンタクト部35は、角筒部36を有している。角筒部36は、前側及び後側に開口部を有する角筒状に形成されている。コンタクト部35では、コネクタ1が相手側コネクタ50に嵌合する際、相手側コネクタ50のオス型コンタクト51が角筒部36内に挿入される。これにより、角筒部36と、該角筒部36と一体に形成された板バネ部37との間でオス型コンタクト51が挟まれて保持される。これにより、2つのコネクタ1,50を電気的に接続することができる。
【0057】
他方のメス型コンタクト9bも、メス型コンタクト9aと同様、板状の金属部材がプレス加工によって折り曲げられて形成された部品であって、前後方向に延びる細長い形状を有している。メス型コンタクト9bの構成は、メス型コンタクト9aの構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0058】
メス型コンタクト9bでは、分岐ワイヤー7における他端側の部分がかしめられる。具体的には、図3及び図9を参照して、メス型コンタクト9bの第1バレル32がかしめられることにより、分岐ワイヤー7の被覆部7eが第1固定部30に固定される。また、メス型コンタクト9bの第2バレルがかしめられることにより、分岐ワイヤー7の内部導体7dが第2固定部33に固定される。
【0059】
[外部ハウジングと内部ハウジングとの隙間について]
外部ハウジング2及び内部ハウジング3は、互いに対して左右方向にやや変位できるように構成されている。具体的には、図5を参照して、コネクタ1には、外部ハウジング2と内部ハウジング3とが互いに係合した状態において、外部ハウジング2の内筒部11の外周面と内部ハウジング3の筒部20の内周面との間の第1隙間A1と、外部ハウジング2の内筒部11の内周面と内部ハウジング3の貫通部22との間の第1隙間A2と、が形成される。これらの第1隙間A1,A2は、同じ寸法G1となるように(例えば一例として0.5mmとなるように)設定される。この寸法は、例えば、ガタつきなく嵌合するように2つのモールド部品の寸法を設定して成形した場合であっても生じ得る寸法誤差に起因するガタつき(例えば一例として0.1mm)よりも大きく設定される。すなわち、上述した第1隙間A1,A2は、設計上、意図して設定された寸法である。
【0060】
[同軸ケーブルとケーブル用貫通孔の内周面との隙間について]
図5を参照して、同軸ケーブル5とケーブル用貫通孔23aとの間には、第3隙間Cが形成されている。この第3隙間Cも、第1隙間A1,A2の場合と同様、設計上、意図して設定された寸法である。このように第3隙間Cを形成することにより、詳しくは後述するが、外部ハウジング2及び内部ハウジング3の互いに対する左右方向の変位を許容することができる。
【0061】
[分岐ワイヤーとワイヤー用貫通孔の内周面との隙間について]
図5を参照して、分岐ワイヤー7とワイヤー用貫通孔23bとの間には、第3隙間Dが形成されている。この第3隙間Dも、第1隙間A1,A2の場合と同様、設計上、意図して設定された寸法である。このように第3隙間Dを形成することにより、詳しくは後述するが、外部ハウジング2及び内部ハウジング3の互いに対する左右方向の変位を許容することができる。
【0062】
[コネクタと相手側コネクタとの嵌合について]
図10は、相手側コネクタ50に対してコネクタ1が挿入される際の様子を示す縦断面図であって、筐体60と相手側コネクタ50との間に位置ずれがない状態を示す図である。また、図11は、図10に示すコネクタ1と相手側コネクタ50とが嵌合した状態を示す図であって、その一部を省略して示す図である。また、図12は、相手側コネクタ50に対してコネクタ1が挿入される際の様子を示す縦断面図であって、筐体60と相手側コネクタ50との間に位置ずれがある状態を示す図である。また、図13は、図12に示すコネクタ1と相手側コネクタ50とが嵌合した状態を示す図であって、その一部を省略して示す図である。
【0063】
以下では、上述した実施形態に係るコネクタ1と相手側コネクタ50との嵌合について説明するが、その前にまず、相手側コネクタ50が実装されている基板55と、当該基板55が取り付けられている筐体60について説明する。
【0064】
図1及び図10を参照して、基板55は、相手側コネクタ50側の機器(図示省略)が有する基板であって、回路パターンが形成されている。また、基板55には、相手側コネクタ50のオス型コンタクト51を半田付け等により固定するためのランド(図示省略)が設けられている。基板55は、筐体60に対して何らかの手法により固定されている。
【0065】
筐体60は、相手側コネクタ側の機器が有するケース状の部分であって、その内部に相手側コネクタ50及び基板55等が収容されている。本実施形態では、筐体60における前側の壁部61に、コネクタ1が挿入される開口部62が形成されている。その開口部62の周縁部には、該周縁部からコネクタ1が挿入される側(筐体60の外側)へ向かって延びる略角筒状に形成された筐体側筒壁部63が形成されている。この筐体側筒壁部63は、コネクタ1が挿入される筐体間口部64として設けられている。コネクタ1を相手側コネクタ50に嵌合させるためには、外部ハウジング2の外筒部10及び内筒部11の間に筐体側筒壁部63が入り込むように、コネクタ1を筐体60側へ近づけることにより、コネクタ1を相手側コネクタ50に嵌合させることができる。
【0066】
(A)筐体に対する相手側コネクタの実装ずれがない場合
ここで、図10を参照して、相手側コネクタ50の左右方向における中心線C1と、筐体間口部64の左右方向における中心線C2とが一致している場合(すなわち、基板55に対する相手側コネクタ50の実装ずれ、及び筐体60に対する基板55の位置ずれ等がない場合)、コネクタ1が相手側コネクタ50と嵌合した状態における、外部ハウジング2及び内部ハウジング3の互いに対する位置状態は、以下のようになる。
【0067】
具体的には、図11を参照して、コネクタ1が相手側コネクタ50と嵌合している状態では、外部ハウジング2の左右方向における位置が筐体側筒壁部63によって決定され、内部ハウジング3の左右方向における位置が相手側コネクタ50のハウジングである相手側ハウジング52によって決定される。図11に示す例では、筐体60に対する相手側コネクタ50の左右方向における位置ずれがないため、コネクタ1における外部ハウジング2と内部ハウジング3との左右方向における位置関係は、図5に示す状態(第1隙間A1及びA2の寸法が同じ状態)と同じになる。
【0068】
(B)筐体に対する相手側コネクタの実装ずれがある場合
次に、図12を参照して、相手側コネクタ50の左右方向における中心線C1と、筐体間口部64の左右方向における中心線C2とが一致していない場合(すなわち、基板55に対する相手側コネクタ50の実装ずれ、筐体60に対する基板55の位置ずれ等がある場合)、外部ハウジング2及び内部ハウジング3の互いに対する位置状態は、以下のようになる。
【0069】
具体的には、図12に示す例では、相手側コネクタ50が筐体60に対して左側にずれている。この場合であっても、上述した場合と同様、外部ハウジング2の左右方向における位置が筐体側筒壁部63によって決定され、内部ハウジング3の左右方向における位置が相手側ハウジング52によって決定される。しかしながら、図12に示す例では、相手側コネクタ50が左側にずれているため、内部ハウジング3は外部ハウジング2に対して左側へずれる。
【0070】
ここで、本実施形態に係るコネクタ1では、外部ハウジング2に対する内部ハウジング3の左右方向への変位を許容するように、第1隙間A1,A2が設けられている。これにより、筐体60に対する相手側コネクタ50の実装ずれがあった場合、設定された第1隙間A1,A2(本実施形態の場合、0.5mm)の範囲内であれば、内部ハウジング3が右側又は左側へずれることができる。具体的には、図13に示す例では、第1隙間A1はG2(G2>G1)となり、第1隙間A2はG0(G0<G1)となる。そして、本実施形態に係るコネクタ1によれば、筐体60に対する相手側コネクタ50の左右方向におけるずれに関わらず、外部ハウジング2と筐体側筒壁部63との左右方向における位置関係は同じとなる。そうすると、コネクタ1と相手側コネクタ50とが嵌合した状態におけるシールリング4の圧縮量が全周に亘って均一になるため、防水性能を安定化できる。
【0071】
また、本実施形態に係るコネクタ1では、筐体60に対する相手側コネクタ50の実装ずれがあって、外部ハウジング2に対して内部ハウジング3が左右方向へずれる場合であっても、以下のような理由により、そのずれが許容される。具体的には、同軸ケーブル5とケーブル用貫通孔23aとの間に第3隙間Cが形成されているため、外部ハウジング2に対して内部ハウジング3が左右方向へずれても、同軸ケーブル5におけるケーブル用貫通孔23aに挿通している部分が、斜め方向へ撓んで変形することができる(図13参照)。これにより、外部ハウジング2に対する内部ハウジング3のずれを適切に許容することができる。
【0072】
[コネクタ内に侵入しようとする液体の侵入経路について]
図14は、図13の一部の拡大図であって、コネクタ1内に侵入しようとする液体の侵入経路について説明するための図である。本実施形態に係るコネクタ1では、外部ハウジング2と内部ハウジング3とが、前後方向において分割されている。ハウジングをこのような構成にすると、外部から筐体60と外部ハウジング2との間を介してコネクタ1内へ侵入しようとする液体の侵入経路が、図14に示す侵入経路Rだけになる。よって、その侵入経路Rを塞ぐようにシールリング4を設けることにより、コネクタ1の防水を行うことができる。すなわち、本実施形態に係るコネクタ1によれば、内部ハウジング3と筐体60との間にシール部材を設ける必要がなくなる。これにより、コネクタ1によれば、シール部材の個数を少なくしつつ、確実にコネクタの防水を行うことができる。
【0073】
また、図14に示すように、シールリング4は、外部ハウジング2の内筒部11と筐体60の筐体側筒壁部63との間の隙間B(第2隙間)を密閉するように設けられている。この第2隙間Bは、図14を参照して、内筒部11と筐体側筒壁部63とが左右方向に離間することにより形成されている隙間である。このような第2隙間Bに防水用のシールリング4を設けると、以下のような理由により、コネクタ1の防水性能が安定化する。具体的には、コネクタ1が相手側コネクタ50と嵌合した状態において、例えば筐体60に対する外部ハウジング2の前後方向における位置ずれ(例えば、筐体60に対する外部ハウジング2の後方への浮き)が生じるような場合であっても、シールリング4の左右方向における圧縮量は一定となる。これにより、コネクタ1の防水性能が安定化する。
【0074】
[効果]
以上のように、本実施形態に係るコネクタ1では、当該コネクタ1を相手側コネクタ50へ挿入すると、外部ハウジング2が筐体60と嵌合する一方、内部ハウジング3が相手側コネクタ50と嵌合する。これにより、コネクタ1と相手側コネクタ50とが嵌合する。
【0075】
また、コネクタ1では、筐体60に対する相手側コネクタ50の取り付け位置のずれがあっても、コネクタ1の防水性能を確保することができる。具体的には、上記取り付け位置のずれがある状態においてコネクタ1と相手側コネクタ50とを嵌合させると、外部ハウジング2と内部ハウジング3との間に形成された第1隙間A1,A2分だけ、双方のハウジング2,3が左右方向へ相対的に移動できる。また、このときの相対移動は、同軸ケーブル5におけるケーブル用貫通孔23aに挿通している部分、及び分岐ワイヤー7におけるワイヤー用貫通孔23bに挿通している部分が斜め方向に変形することにより許容される。これにより、筐体60と外部ハウジング2との左右方向における位置関係、及び相手側コネクタ50と内部ハウジング3との左右方向における位置関係を維持したまま、コネクタ1を相手側コネクタ50へ嵌合することができる。よって、筐体60と外部ハウジング2の間に設けられたシールリング4の圧縮量を、相手側コネクタ50の位置ずれに関わらず全周に亘って一定に保つことができるため、防水性能に優れたコネクタを提供できる。また、相手側コネクタ50と内部ハウジング3との左右方向における位置関係についても、相手側コネクタ50の位置ずれに関わらず一定に保つことができるため、メス型コンタクト9a,9bとオス型コンタクト51とを確実に嵌合させることができる。
【0076】
そして、コネクタ1では、シールリング4が、外部ハウジング2の内筒部11と筐体60の筐体側筒壁部63とが左右方向に離間していることにより形成される第2隙間Bを密閉している。こうすると、前後方向における外部ハウジング2と筐体60との相対的な位置ずれに関わらず、防水性能を一定に保つことができる。
【0077】
従って、コネクタ1によると、防水性能に優れたコネクタを提供できる。
【0078】
また、コネクタ1によれば、コネクタ1が相手側コネクタ50と嵌合した際に外部ハウジング2と内部ハウジング3とが水平方向へ相対的に移動した場合であっても、同軸ケーブル5及び分岐ワイヤー7が、第3隙間C,Dの範囲内においてケーブル用貫通孔23a及びワイヤー用貫通孔23b内で斜め方向に変形することができる。これにより、ケーブル用貫通孔23a内における同軸ケーブル5の斜め方向への変形、及びワイヤー用貫通孔23b内における分岐ワイヤー7の斜め方向への変形を適切に許容することができる。
【0079】
また、コネクタ1によれば、外部ハウジング2と筐体60との間を介してコネクタ1内部へ侵入しようとする液体の該コネクタ1内部への侵入を、シールリング4によって防止できる。また、コネクタ1によれば、内部ハウジング3がシールリング4よりも相手側コネクタ50側に設けられているため、内部ハウジング3と筐体60との間にシール部材を設ける必要がなくなる。これにより、筐体60とハウジング(外部ハウジング2及び内部ハウジング3)との間のシール性を保つためのシール部材の数を少なくすることができる。
【0080】
ところで、シールリングが外部ハウジングから離脱しないように、シールリングを外部ハウジングに取り付けようとした場合、例えば一例として、外部ハウジングの周囲に環状の溝を形成し、そこにシールリングを嵌め込むことが考えられる。しかしそうすると、成形金型での製作上、上述した溝の底面にバリができ、防水性能が低下してしまう。
【0081】
この点につき、コネクタ1によれば、シールリング4が、外部ハウジング2と内部ハウジング3との間に設けられているため、上述のような溝状の部分を第1ハウジングに形成せずとも、内部ハウジング3でシールリング4の離脱を防止できる。すなわち、上述のような溝を形成することによるバリが形成されないため、コネクタの防水性能を安定化できる。
【0082】
また、コネクタ1によれば、本実施形態に係るコネクタ1を、同軸ケーブル5、分岐ワイヤー7及びメス型コンタクト9a,9bを更に備えたものとすることができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0084】
[変形例]
(1)上述した実施形態では、同軸ケーブル5、分岐ワイヤー7、及びメス型コンタクト9a,9bを有するコネクタ1を例に挙げて説明したが、これに限らず、本発明は、同軸ケーブル5、分岐ワイヤー7、及びメス型コンタクト9a,9bを有さないコネクタに適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、コネクタに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 コネクタ
2 外部ハウジング(第1ハウジング)
3 内部ハウジング(第2ハウジング)
4 シールリング(第1シール部材)
5 同軸ケーブル(可撓性導電部材)
8 ワイヤーシール(第2シール部材)
9a,9b メス型コンタクト(コンタクト)
18 ケーブル用貫通孔(導電部材用第1貫通孔)
50 相手側コネクタ
55 基板
60 筐体
A1,A2 第1隙間
B 第2隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14