【解決手段】コイル部品100Aは、磁性物質、磁性物質で密封されたコイル20パターン層、上記コイルパターンで囲まれたコア部C及びコア部Cに配置され、コイルパターン層のうち隣接するコイルパターン層の間に配置された絶縁層31〜33を含む本体10と、本体上に配置された外部電極51、52と、を含む。それぞれのコイルパターン層は平面スパイラル状のパターンを含む。
磁性物質、前記磁性物質で密封されたコイルパターン層を複数積層して成るコイルパターン部、前記コイルパターン部によって外周を囲まれたコア部、及び前記コア部から前記コア部を中心とする径方向に延在するように配置され、積層された前記コイルパターン層のうち積層方向に隣接するコイルパターン層同士の間に配置された絶縁層を含む本体と、
前記本体上に配置された外部電極と、を含み、
それぞれのコイルパターン層は、前記コア部を中心として径方向に延びる平面内で導体パターンが螺旋状に巻回されて形成される平面スパイラル状のパターンを含む、コイル部品。
複数の前記コイルパターン層はそれぞれ前記平面スパイラル状のパターンの線幅に対する厚さの比であるアスペクト比(AR)が1以下である、請求項7に記載のコイル部品。
複数の前記コイルパターン層はそれぞれ前記平面スパイラル状のパターンの線幅に対する厚さの比であるアスペクト比(AR)が1を超過する、請求項9に記載のコイル部品。
前記導体パターンのそれぞれは、前記中心軸を中心として径方向に延びる平面内で導体パターンが螺旋状に巻回されて形成される平面スパイラル状のパターンを含み、前記平面スパイラル状のパターンは線幅に対する厚さの比が0.5〜1.5である、請求項12から請求項14の何れか一項に記載のコイル部品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0010】
<電子機器>
図1は、電子機器に適用されるコイル部品の例を概略的に示す図面である。図面を参照すると、電子機器500には多様な種類の電子部品が用いられていることが分かる。例えば、このような電子機器500は、アプリケーションプロセッサ(Application processor)を中心に、DC/DCコンバータ回路、セルラーRF信号処理用の通信制御プロセッサ、WLAN BT/WiFi FM GPS NFC、PMIC、バッテリー、SMBC、LCD AMOLED、オーディオコーデック(Audio Codec)、USB 2.0/3.0 HDMI(登録商標)、CAMなどを用いて構成することができる。このとき、このような電子部品の間には、ノイズの除去などを目的に多様な種類のコイル部品をその用途に応じて適切に介装することができ、このようなコイル部品の例として、例えば、パワーインダクタ1、高周波インダクタ2、通常のビード3、高周波用ビード4、コモンモードフィルタ5などが挙げられる。
【0011】
具体的には、パワーインダクタ1は、電気を磁場の形で保存し、出力電圧を維持して電源を安定させる用途などに用いることができる。また、高周波インダクタ2は、インピーダンスを整合させることにより必要な周波数を確保したり、ノイズ及び交流成分を遮断したりするなどの用途に用いることができる。また、通常のビード3は、電源及び信号ラインのノイズを除去したり、高周波リップルを除去したりするなどの用途に用いることができる。また、高周波用ビード4は、オーディオ信号に関連する信号ライン及び電源ラインの高周波ノイズを除去するなどの用途に用いることができる。また、コモンモードフィルタ5は、ディファレンシャルモードでは電流を通過させ、コモンモードノイズのみを除去するなどの用途に用いることができる。
【0012】
電子機器500は、典型的にはスマートフォン(Smart Phone)などであり得るが、これに限定されるものではなく、例えば、個人情報端末(personal digital assistant)、デジタルビデオカメラ(digital video camera)、デジタルスチルカメラ(digital still camera)、ネットワークシステム(network system)、コンピュータ(computer)、モニタ(monitor)、テレビ(television)、ビデオゲーム(video game)、スマートウォッチ(smart watch)であってもよい。これらの他にも、上述した電子機器500は、通常の技術者によく知られた他の多様な電子機器などであってもよい。
【0013】
<コイル部品>
以下では、本発明のコイル部品を説明するにあたり、便宜上、インダクタ(Inductor)として用いられるコイル部品の構造を例に挙げて説明するが、上述のようにインダクタ以外の他の多様な用途のコイル部品にも本発明のコイル部品構造を適用することができる。
【0014】
なお、以下の記述において、「側部」とは、便宜上、構造物の端部または端面のうち、図に示す第1の方向又は第2の方向に向いた端部または端面を意味し、「上部」とは、便宜上、図に示す第3の方向に向いた端部または端面を意味し、「下部」とは、便宜上、第3の方向とは逆の方向に向いた端部または端面を意味するものとして用いた。また、側部、上部、又は下部に位置するとは、対象の構成要素が基準となる構成要素と該当方向に直接接触する場合だけでなく、該当方向に位置するが、直接接触しない場合も含む概念で用いた。但し、これは、説明の便宜上、方向によって端部や端面の呼び名を定義したものであり、特許請求の範囲は、このような方向によって定義される端部や端面に関する記載によって特に限定されるものではない。
【0015】
図2は、コイル部品の一例を示す概略斜視図である。図面を参照すると、一例によるコイル部品100Aは、本体10と、本体10上に配置された外部電極50と、を含む。本体10の内部にはコイル20が配置される。本体10の内部に配置されたコイル20は磁性物質の中に埋め込まれる。外部電極50は、本体10上に互いに離隔して配置された第1の外部電極51及び第2の外部電極52を含む。第1の外部電極51及び第2の外部電極52はそれぞれコイル20の互いに異なる引出端子と接続される。但し、外部電極50の配置形態は、適用されるコイル部品の種類に応じて変わってもよい。
【0016】
本体10は、コイル部品100Aの外観をなし、第1の方向において向かい合う第1の面及び第2の面と、第2の方向において向かい合う第3の面及び第4の面と、第3の方向において向かい合う第5の面及び第6の面と、を含む。本体10は、このように六面体形状であり得るが、これに限定されるものではない。本体10は磁性物質を含み、当該磁性物質の内部にはコイル20が配置される。これについては後述する。
【0017】
外部電極50は、コイル部品100Aが電子機器に実装されるとき、コイル部品100Aを電子機器と電気的に接続する役割を果たす。外部電極50は、本体10上に互いに離隔して配置された第1の外部電極51及び第2の外部電極52を含む。外部電極50は、例えば、導電性樹脂層と、上記導電性樹脂層上に形成された導電層を含むことができる。導電性樹脂層は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)及び銀(Ag)からなる物質群から選択されたいずれか一つ以上の導電性金属と熱硬化性樹脂を含むことができる。導電層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びスズ(Sn)からなる物質群から選択されたいずれか一つ以上の金属を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)層とスズ(Sn)層を順次形成して成る層とすることができる。
【0018】
図3は、
図2に示すコイル部品をI−I'線に沿う切断面で切って見た場合の概略断面図である。
図4は、
図3に示すコイル部品のQ1領域を拡大表示して見た場合の概略拡大断面図である。図面を参照すると、本体10は、第1から第4の導電層21、22、23、24と、第1から第4の導電層21、22、23、24の間にそれぞれ配置され、第1から第4の導電層21、22、23、24の間を絶縁する第1から第3の絶縁層31、32、33と、第1から第3の絶縁層31、32、33に形成され、第1から第4の導電層21、22、23、24を相互に接続する第1から第3のビア41、42、43と、第1から第4の導電層21、22、23、24を囲む第1から第6の磁性層11、12、13、14、15、16と、を含む。第1から第4の導電層21、22、23、24は接続されて水平方向及び垂直方向にターン数が増加する一つのコイル(巻線パターン)20を構成する。
【0019】
図3に示されているように、第1から第4の導電層21、22、23、24は、本体10のコア部Cの周りを周回するように囲む。例えば、コア部Cは、本体10の中心領域に配置されてもよい。第1から第3の絶縁層31、32、33及び第1から第4の磁性層11、12、13、14は、上記中心領域を中心とする径方向の内側に向かってコア部Cに達するまで延在する層状の部材として設けられている。但し、第1から第4の導電層21、22、23、24は、コア部Cと接触するまで径方向内側に向かって延在しないようにしてコア部Cとの絶縁状態が確保されるようにする。
図3にはコア部Cが特定の領域のみに配置されている状態が示されているが、コア部Cのサイズ、形状、位置、方向などは、
図3に示すものに限定されず、コイルを形成する導電層で囲まれる本体10の領域の様々な形態に対応して様々に変形することもできる。
【0020】
コイル部品100Aは、コイル20から発現される特性により、この電子機器内で多様な機能を実現することができる。例えば、コイル部品100Aはパワーインダクタとして実装可能であり、この場合、コイル部品100Aは、電気を磁場の形で保存し、出力電圧を維持して電源を安定させる役割などを果たすことができる。上述のように、互いに異なる層に配置された第1から第4の導電層21、22、23、24は、その間に配置された第1から第3の絶縁層31、32、33に形成された第1から第3のビア41、42、43を介して電気的に接続されてコイル20を構成する。
【0021】
第1から第4の導電層21、22、23、24はそれぞれ平面スパイラル状のパターンを有する。ここで、平面スパイラル状のパターンとは、例えば、コア部Cを中心として径方向に延びる平面内で導線が螺旋状に重ね巻きされるようにして形成された巻回パターンを指す。第1から第4の導電層21、22、23、24がそれぞれ有する平面スパイラル状のパターンは少なくとも2以上のターン数を有する。即ち、コイル20は水平方向にもターン数が増加し、垂直方向にもターン数が増加するため、高いインダクタンスを実現するのに有利である。第1から第4の導電層21、22、23、24がそれぞれ有するパターンは、線幅W
1に対する厚さH
1の比(H
1/W
1)であるアスペクト比(Aspect Ratio:AR)が0.5〜1.5程度であり得る。したがって、コイルを形成する導体パターン同士の間におけるショートなどの製造不良が発生するリスクが小さく、且つコイルの均一度及び低い直流抵抗(R
dc)の確保が可能である。第1から第4の導電層21、22、23、24のそれぞれは単一のめっき層で構成されるので、形成方法が容易である。第1から第4の導電層21、22、23、24は別個のシード層を有しない。即ち、後述の工程から分かるように、シード層の役割を果たす金属層は除去される。したがって、その上面及び/又は下面が第1から第3の絶縁層31、32、33と接触する。第1から第4の導電層21、22、23、24の形成材料としては、通常のめっき材料である銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、又はこれらの合金などの導電性物質を用いることができる。
【0022】
第1から第3の絶縁層31、32、33は、第1から第4の導電層21、22、23、24を相互に絶縁させる役割を果たす。第1から第3の絶縁層31、32、33の材質は、絶縁物質を含むものであればいずれのものであってもよい。例えば、公知の感光性絶縁(Photo Imageable Dielectric:PID)樹脂などが用いられることができる。一方、第1から第3の絶縁層31、32、33は絶縁樹脂及び磁性フィラーを含む磁性フィルムでもよい。第1から第3の絶縁層31、32、33を磁性フィルムにより形成する場合、第1から第4の導電層21、22、23、24の間に作用する層間磁場によって各導電層内に生じる抵抗(誘導性リアクタンス)をなくすことができる。第1から第3の絶縁層31、32、33の厚さh
1は薄いことが好ましく、例えば、第1から第4の導電層21、22、23、24のそれぞれのパターンの厚さH
1よりも小さければよい。これにより、コイル20をカバーする磁性物質の厚さを最大限に確保することができ、その結果、インダクタンスを向上させることができる。また、第1から第3の絶縁層31、32、33に形成される第1から第3のビア41、42、43を微細に形成することができるため、電流が流れるコイル20の厚さを一定にすることができる。
【0023】
絶縁樹脂の例としては、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニール型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂及びトリメチロール型エポキシ樹脂などが挙げられる。当該絶縁樹脂は、1種類のエポキシ樹脂を単独で用いて形成してもよく、2種類以上のエポキシ樹脂を併用して形成してもよい。
【0024】
磁性フィラーの形成材料は特に限定されず、例えば、純鉄粉末、Fe−Si系合金粉末、Fe−Si−Al系合金粉末、Fe−Ni系合金粉末、Fe−Ni−Mo系合金粉末、Fe−Ni−Mo−Cu系合金粉末、Fe−Co系合金粉末、Fe−Ni−Co系合金粉末、Fe−Cr系合金粉末、Fe−Cr−Si系合金粉末、Fe−Ni−Cr系合金粉末、又はFe−Cr−Al系合金粉末などのFe合金類、Fe基非晶質、Co基非晶質などの非晶質合金類、Mg−Zn系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Mg−Mn−Sr系フェライト、Ni−Zn系フェライトなどのスピネル型フェライト類、Ba−Zn系フェライト、Ba−Mg系フェライト、Ba−Ni系フェライト、Ba−Co系フェライト、Ba−Ni−Co系フェライトなどの六方晶型フェライト類、Y系フェライトなどのガーネット型フェライト類が挙げられる。
【0025】
第1から第3のビア41、42、43は、第1から第4の導電層21、22、23、24を電気的に接続させることができればその形状に特に制限はない。例えば、第1から第3のビア41、42、43の形状は、下面に向かって直径が小さくなるテーパー状、下面に向かって直径が大きくなる逆テーパー状、円筒状など、当該技術分野で公知のいずれの形状でもよい。第1から第3のビア41、42、43の形成材料としては金属間化合物(IMC:Inter Metallic Compound)を用いることができ、この場合、第1から第4の導電層21、22、23、24の接続力を高めることができる。金属間化合物(IMC)は、公知の金属ペースト印刷処理により形成されたものであり、例えば、銅(Cu)−スズ(Sn)、銀(Ag)/スズ(Sn)、銀(Ag)がコーティングされた銅(Cu)/スズ(Sn)、銅(Cu)/スズ(Sn)−ビスマス(Bi)を含むものであり得るが、これらに限定されるものではない。金属間化合物(IMC)は、公知の金属めっき処理により形成されたものでもよく、例えば、スズ(Sn)又は銅(Cu)−スズ(Sn)を含むものでもよい。
【0026】
第1から第6の磁性層11、12、13、14、15、16は、コイル20の磁気特性を向上させる役割を果たす。第1から第4の磁性層11、12、13、14は、それぞれ第1から第4の導電層21、22、23、24と同一平面内に存在し、第1から第3の絶縁層31、32、33によって離隔される。第1から第4の磁性層11、12、13、14はそれぞれ第1から第4の導電層21、22、23、24を左右から囲んでいる。すなわち、第1の磁性層11は、上記平面内で径方向に配列された第1の導電層21の各々の間を隔てている。同様に、第2の磁性層12は、上記平面内で径方向に配列された第2の導電層22の各々の間を隔てている。第3と第4の磁性層13、14の配置に関しても同様である。よって、第1から第4の導電層21、22、23、24の径方向を向いた側面はそれぞれ第1から第4の磁性層11、12、13、14と接触している。第5及び第6の磁性層15、16はコイル20の上部及び下部をカバーする。コイル部品100Aは、上述のように第1から第3の絶縁層31、32、33の厚さが薄いため、第5及び第6の磁性層15、16の厚さを十分に確保することができ、その結果、高いインダクタンスを実現するのに有利である。第1から第6の磁性層11、12、13、14、15、16の形成材料としては、磁性物質を含むものであればいずれのものでも用いることができる。例えば、磁性層11、12、13、14、15、16の形成材料は、フェライト又は金属磁性粒子が樹脂に充填されたものであってもよい。一方、第1から第3の絶縁層31、32、33と同様に、第1から第6の磁性層11、12、13、14、15、16は絶縁樹脂及び磁性フィラーを含むものであってもよい。即ち、場合によっては、同一の物質を含むものでもよい。この場合、第1から第3の絶縁層31、32、33と第1から第6の磁性層11、12、13、14、15、16との間の境界が不明確となるような一体化された構造材が形成されてもよい。即ち、第1から第3の絶縁層31、32、33及び第1から第6の磁性層11、12、13、14、15、16は全て一体化された構造材として形成することができる。これについては後述する。絶縁樹脂及び磁性フィラーの実施例は上述の通りである。
【0027】
図面では、第1から第4の導電層21、22、23、24、第1から第3の絶縁層31、32、33、第1から第3のビア41、42、43、及び第1から第6の磁性層11、12、13、14、15、16のみを示したが、図に示す以上の枚数の層を有してもよく、これより少ない枚数の層を有してもよい。図に示した以外に新たに追加される層には上述の説明が同様に当てはまるため、詳細な説明は省略する。
【0028】
図5は、
図2に示すコイル部品をI−I'線に沿う切断面で切って見た場合の他の概略断面図である。
図6は、
図5に示すコイル部品のQ2領域を拡大して見た場合の概略拡大断面図である。図面を参照すると、本体10Aは、第1から第4の導電層21、22、23、24、及び第1から第4の導電層21、22、23、24を埋め込む第1の電気絶縁性磁性体19aを含む。第1の電気絶縁性磁性体19aには、第1から第4の導電層21、22、23、24の間に配置されて第1から第4の導電層21、22、23、24を接続する第1から第3のビア41、42、43が形成される。同様に、第1から第4の導電層21、22、23、24はビア41、42、43を介して相互に接続されることにより、水平方向及び垂直方向にターン数が増加する一つのコイル20を構成する。以下、上述の内容と重複する説明は省略し、第1の電気絶縁性磁性体19aについてより詳細に説明する。
【0029】
第1の電気絶縁性磁性体19aは、第1から第3の絶縁層31、32、33及び第1から第6の磁性層11、12、13、14、15、16が一体化されたものである。即ち、上述のように、第1から第3の絶縁層31、32、33及び第1から第6の磁性層11、12、13、14、15、16は、同一の材質、例えば、同一の絶縁樹脂及び磁性フィラーを含んで形成可能であり、この場合、形成方法によってはこれらの構成部材同士は相互間の境界が区分されないように一体化された形で形成することができる。即ち、第1の電気絶縁性磁性体19aを一体化された単一の構成部材として構成することができる。第1の電気絶縁性磁性体19aは、第1から第4の導電層21、22、23、24を相互に絶縁させ、磁気特性を向上させる。絶縁樹脂及び磁性フィラーの実施例は上述の通りである。
【0030】
図5に示されているように、第1から第4の導電層21、22、23、24は、本体10Aのコア部Cの周りを周回するようにしてコア部Cを囲む。コア部Cは、本体10Aの中心軸を囲む中心領域に配置することができる。第1の電気絶縁性磁性体19aは上記中心領域を中心とする径方向の内側に向かってコア部Cに達するまで延在する構造材として形成することができる。但し、
図5に示されているように、第1から第4の導電層21、22、23、24はコア部Cに接触するまで径方向内側に向かって延在しないようにすることで、コア部Cとの絶縁状態を確保している。
【0031】
図7〜
図11は、
図2に示すコイル部品の概略的な製造工程の一例を示す図面である。図面を参照すると、一例によるコイル部品100Aの製造方法は、支持部材201及び支持部材201の両面上に金属層202、203が配置されたコア基板200を準備する段階と、コア基板200の金属層203上に平面スパイラル状のパターンを有する導電層21、22、23、24を形成する段階と、導電層21、22、23、24を囲む磁性層11、12、13、14を形成する段階と、支持部材201から磁性層11、12、13、14で囲まれた導電層21、22、23、24を分離する段階と、磁性層11、12、13、14で囲まれた導電層21、22、23、24のうち導電層22、23、24に絶縁層31、32、33を積層する段階と、絶縁層31、32、33にビア41、42、43を形成する段階と、磁性層11、12、13、14で囲まれた導電層21、22、23、24に残存する金属層203を除去する段階と、一連の過程を通じて形成された絶縁層31、32、33が積層された磁性層12、13、14で囲まれた導電層22、23、24と磁性層11で囲まれた導電層21と磁性層15、16を一括積層して本体10を形成する段階と、本体10上に外部電極50を形成する段階と、を含む。以下、上述の内容と重複する説明は省略し、それぞれの段階についてより詳細に説明する。
【0032】
図7を参照すると、コイル部品の製造工程を開始するために、まず、コア基板200を準備する。コア基板200は、支持部材201、支持部材201の両面に配置された第1の金属層202、及び第1の金属層202上に配置された第2の金属層203を含む。また、コア基板200は、支持部材201の一面にのみ第1の金属層202及び第2の金属層203が配置されたものでもよく、場合によっては、第2の金属層203のみが配置されたものでもよい。支持部材201は絶縁樹脂からなる絶縁基板であり得る。絶縁樹脂としては、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂、ポリイミドのような熱可塑性樹脂、又はこれらにガラス繊維又は無機フィラーのような補強材が含浸された樹脂、例えば、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build−up Film)、FR−4、BT(Bismaleimide Triazine)樹脂、PID(Photo Imageable Dielectric)樹脂などを用いることができる。第1の金属層202及び第2の金属層203は、通常、薄い銅箔であるが、これに限定されるものではなく、他の金属層であってもよい。即ち、コア基板200は、当該技術分野によく知られた公知の銅箔積層板(CCL:Copper Clad Laminate)であり得るが、これに限定されるものではない。次に、コア基板200の第2の金属層203上に第1及び第4の導電層21、24を形成する。第1及び第4の導電層21、24は、以下のようにして形成することができる。まず、第2の金属層203上にドライフィルム210、240を形成し、公知のフォトリソグラフィー工程を用いて、ドライフィルム210、240上に平面スパイラル状のパターン21P、24Pを形成するパターニング処理を行う。その後、形成したパターン21P、24P内に公知のめっき処理工程で金属を充填して第1及び第4の導電層21、24を形成することができる。めっき処理工程としては、電解銅めっき又は無電解銅めっきなどを用いることができる。より具体的には、めっき処理工程の実施方法として、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)、スパッタリング(sputtering)、サブトラクティブ(Subtractive)、アディティブ(Additive)、SAP(Semi−Additive Process)、MSAP(Modified Semi−Additive Process)などの方法を用いることができるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0033】
図7に示す製造工程を完了すると、続いて、
図8に示す製造工程に進む。
図8を参照すると、
図7に示したコア基板200とは別に、さらに他のコア基板200を準備する。コア基板200は
図7を用いて上述したのと同様に、支持部材201、支持部材201の両面に配置された第1の金属層202、及び第1の金属層202上に配置された第2の金属層203を含む。また、支持部材201の一面にのみ第1の金属層202及び第2の金属層203が配置されたものでもよく、場合によっては、第2の金属層203のみが配置されたものでもよい。次に、コア基板200の第2の金属層203上に第2及び第3の導電層22、23を形成する。第2及び第3の導電層22、23は、以下のようにして形成することができる。まず、第2の金属層203上にドライフィルム220、230を形成し、公知のフォトリソグラフィー工程を用いてドライフィルム220、230上に平面スパイラル状のパターン22P、23Pを形成するパターニング処理を行う。その後、形成されたパターン22P、23P内を公知のめっき処理工程により金属で充填して第2及び第3の導電層22、23を形成することができる。めっき処理工程を実施するための具体的な方法は上述の通りである。
【0034】
図8に示す製造工程を完了すると、続いて、
図9に示す製造工程に進む。
図9を参照すると、ドライフィルム210、220、230、240をストリップ(strip)処理する。ストリップ処理には公知のエッチング方法を用いることができるが、これに限定されるものではない。その後、第1から第4の導電層21、22、23、24の各々の両側端部をそれぞれ囲むように第1から第4の磁性層11、12、13、14を形成する。第1から第4の磁性層11、12、13、14は、公知の積層方法及び塗布方法などにより形成されることができる。このとき、第1から第4の磁性層11、12、13、14が第1から第4の導電層21、22、23、24と同一平面内に収まるように整形するために、導電層21、22、23、24から突出した部位を公知のエッチング方法などで平坦化させる。その後、第1の金属層202及び第2の金属層203を分離する方法を用いて、第1から第4の磁性層11、12、13、14が形成された第1から第4の導電層21、22、23、24を支持部材201からそれぞれ分離する。但し、一連の処理過程の実行順序は特定の順序に制限されるものではない。例えば、分離を先に行い、その後、ドライフィルム210、220、230、240をストリップし、磁性層11、12、13、14を形成してもよい。
【0035】
図9に示す製造工程を完了すると、続いて、
図10に示す製造工程に進む。
図10を参照すると、第2から第4の導電層22、23、24上に第1から第3の絶縁層31、32、33を形成する。第1から第3の絶縁層31、32、33も、公知の積層方法及び塗布方法などを用いて形成することができる。その後、第1から第3の絶縁層31、32、33に第1から第3のビアホール41H、42H、43Hを形成する。第1から第3のビアホール41H、42H、43Hは、レーザー加工及び/又は機械的ドリル加工や、フォトリソグラフィー工程などを利用して形成することができる。その後、第1から第3のビアホール41H、42H、43Hに公知のペースト印刷工程又はめっき処理工程を利用して金属間化合物(IMC)を充填し、第1から第3のビア41、42、43を形成する。その後、第1から第4の導電層21、22、23、24に残存する第2の金属層203を公知のエッチング方法を用いて除去する。ここでも、一連の処理過程の実行順序は特定の順序に制限されるものではない。例えば、第2の金属層203を先にエッチングしてもよい。場合によっては、分離後すぐに第2の金属層203をエッチングしてもよい。
【0036】
図11を参照すると、
図7から
図10を用いて上述した一連の処理過程を通じて形成された第1から第4の磁性層11、12、13、14及び第1から第3の絶縁層31、32、33が形成された第1から第4の導電層21、22、23、24と、第1から第4の導電層21、22、23、24の上部及び下部に積層される第5及び第6の磁性層15、16を一括して積層することにより本体10を形成する。上述したこれらの層構造を一括して積層する処理工程を実行するために、整合積層方法が利用される。その場合、整合積層される層間部分において高い温度条件で金属間化合物(IMC)が最終的に形成されるため、層間接続力を高めることができ、通電抵抗を低下させて円滑な電子の流れを実現可能にすることができる。また、整合積層によって層間接続を精密に行うことができ、複数の層を一度に積層するため、一層ずつ順次積層する場合に比べて製造工程の短縮化と簡素化に有利である。本体10を形成した後には第1及び第2の外部電極51、52を形成する。第1及び第2の外部電極51、52は導電性に優れた金属を含むペースト状の材料を用いて形成することができ、ペースト層上に導電層をさらに形成することもできる。
【0037】
図12は、コイル部品の他の一例を示す概略斜視図である。図面を参照すると、他の一例によるコイル部品100Bは、本体10Bと、本体10B上に配置された外部電極50と、を含む。本体10Bの内部にはコイル20が配置される。本体10Bの内部に配置されたコイル20は磁性物質に埋め込まれる。外部電極50は、本体10B上において互いに離隔して配置された第1の外部電極51及び第2の外部電極52を含む。第1の外部電極51及び第2の外部電極52はそれぞれコイル20の互いに異なる引出端子と接続される。本体10Bの外観や外部電極50に関しては、
図2〜
図6を用いて上述した内容と同じであるため説明を省略する。
【0038】
図13は、
図12に示すコイル部品をII−II'線に沿う切断面で切って見た場合の概略断面図である。
図14は、
図13のコイル部品のR1領域を拡大表示して見た場合の概略拡大断面図である。図面を参照すると、本体10Bは、第5及び第6の導電層25、26と、第5及び第6の導電層25、26の間に配置され、第5及び第6の導電層25、26を接続する第4のビア44が形成された第4の絶縁層34と、第5及び第6の導電層25、26を囲む第7及び第8の磁性層17、18と、を含む。第5及び第6の導電層25、26はビア44により接続されて水平方向及び垂直方向にターン数が増加する一つのコイル20を構成する。以下、それぞれの構成についてより詳細に説明し、上述の内容と重複する内容は省略する。
【0039】
図13に示されているように、第5の導電層25及び第の6導電層26は、本体10Bのコア部Cを囲む。例えば、コア部Cは、本体10Bの中心軸を囲む中心領域に配置することができる。第4の絶縁層34及び第7の磁性層17並びに第8の磁性層18は上記中心領域を中心とする径方向の内側に向かってコア部Cに達するまで延在する層状の部材として設けられる。但し、第5の導電層25及び第6の導電層26はコア部Cと接触するまで径方向内側に向かって延在しないようにしてコア部Cとの絶縁状態が確保されるようにする。
【0040】
第5及び第6の導電層25、26はそれぞれ平面スパイラル状のパターンを有する。第5及び第6の導電層25、26がそれぞれ有する平面スパイラル状のパターンは少なくとも2以上のターン数を有する。即ち、コイル20は水平方向にもターン数が増加し、垂直方向にもターン数が増加するため、高いインダクタンスを実現するのに有利である。第5及び第6の導電層25、26がそれぞれ有するパターンは、線幅W
2に対する厚さH
2の比(H
2/W
2)であるアスペクト比(Aspect Ratio:AR)が1以上、例えば、2〜4程度であり得る。したがって、微細線幅を実現し、且つコイルの断面積を増加させることが可能であるため、低い直流抵抗(R
dc)の確保が可能である。第5及び第6の導電層25、26のそれぞれは複数のめっき層で構成される。具体的には、第5の導電層25は、第5のめっき層25a及び第5のめっき層25bを含む。第6の導電層26は、第6のめっき層26a及び第6のめっき層26bを含む。したがって、異方めっき技術を適用しなくても高いアスペクト比を実現することができる。第5のめっき層25a及び第5のめっき層25bは、これらのめっき層を形成する方法に応じて、両者の間の境界が明確となるように形成してもよく、場合によっては、両者の間の境界が不明確となるように形成してもよい。第6のめっき層26a及び第6のめっき層26bについてもまた、形成方法に応じて両者の間の境界が明確となるように形成してもよく、場合によっては、両者の間の境界が不明確となるように形成してもよい。また、場合によっては、上述しためっき層は、より多くの個数のめっき層によって構成されるようにしてもよい。第5及び第6の導電層25、26は別個のシード層を有しない。即ち、後述の工程から分かるように、シード層の役割を果たす金属層は除去される。したがって、第5及び第6の導電層25、26の上面及び/又は下面が第4の絶縁層34と接触することとなる。第5及び第6の導電層25、26の形成材料としては導電性物質を用いることができる。
【0041】
第4の絶縁層34は、第5及び第6の導電層25、26を相互に絶縁させる役割を果たす。第4の絶縁層34の形成材料は、絶縁物質を含むものであればいずれのものでも用いることができる。例えば、公知の感光性絶縁(Photo Imageable Dielectric:PID)樹脂などを用いることができる。一方、第4の絶縁層34は絶縁樹脂及び磁性フィラーを含む磁性フィルムでもよい。この場合、第5及び第6の導電層25、26の間に作用する層間磁場によって導電層25、26内に生じる抵抗(誘導性リアクタンス)をなくすことができる。第4の絶縁層34の厚さh
2は薄いことが好ましく、例えば、第5及び第6の導電層25、26のそれぞれのパターンの厚さH
2より小さければよい。これにより、コイル20をカバーする磁性物質の厚さを最大限に確保することができ、その結果、インダクタンスを向上させることができる。また、第4の絶縁層34に形成される第4のビア44を微細に形成することができるため、電流が流れるコイル20の厚さを一定にすることができる。
【0042】
第4のビア44は、第5及び第6の導電層25、26を電気的に接続させることができればその形状に特に制限はない。例えば、第4のビア44の形状は、下面に向かって直径が小さくなるテーパー状、下面に向かって直径が大きくなる逆テーパー状、円筒状など、当該技術分野で公知のいずれの形状でもよい。第4のビア44の形成材料としては金属間化合物(IMC)を用いることができ、この場合、第5及び第6の導電層25、26の接続力を高めることができる。金属間化合物(IMC)は、公知の金属ペースト印刷方法を用いて形成されたものでもよく、公知の金属めっき処理で形成されたものでもよい。
【0043】
第7及び第8の磁性層17、18は、コイル20の磁気特性を向上させる役割を果たす。第7及び第8の磁性層17、18の一部はそれぞれ第5及び第6の導電層25、26と同一平面内に収まるように存在し、残りの一部は第5及び第6の導電層25、26のそれぞれの上部及び下部をカバーする。第7及び第8の磁性層17、18は第4の絶縁層34によって離隔される。第7及び第8の磁性層17、18はそれぞれ第5及び第6の導電層25、26を左右から囲んでいる。すなわち、第7の磁性層17は、上記平面内で径方向にそれぞれ配列された第5の導電層25の各々の間を隔て、第8の磁性層18は、上記平面内で径方向にそれぞれ配列された第6の導電層26の各々の間を隔てている。よって、第5及び第6の導電層25、26の径方向を向いた側面は第7及び第8の磁性層17、18と接触する。コイル部品100Bは、上述のように、第4の絶縁層34の厚さが薄いため、第5及び第6の導電層25、26のそれぞれの上部及び下部をカバーする第7及び第8の磁性層17、18の厚さを十分に確保することができ、その結果、高いインダクタンスを実現するのに有利である。第7及び第8の磁性層17、18の形成材料は、磁性物質を含むものであればいずれのものでも用いることができる。例えば、フェライト又は金属磁性粒子が樹脂に充填されたものでもよい。一方、第4の絶縁層34と同様に、第7及び第8の磁性層17、18は絶縁樹脂及び磁性フィラーを含むものでもよい。即ち、場合によっては、第4の絶縁層34と同一の形成物質を含むものでもよい。この場合、第4の絶縁層34と第7及び第8の磁性層17、18との間の境界が不明確となるように一体化された構造材が形成されてもよい。即ち、第4の絶縁層34と第7及び第8の磁性層17、18は全て一体化して一つの構造材として形成することができる。これについては後述する。
【0044】
図面では、第5及び第6の導電層25、26、第4の絶縁層34、第4のビア44、第7及び第8の磁性層17、18のみを示したが、それ以上の個数の層を有してもよく、これより少ない個数の層を有してもよい。図には示されていないが新たに追加される層には上述の内容が同様に当てはまるため、詳細な内容は省略する。
【0045】
図15は、
図12に示すコイル部品をII−II'線に沿う切断面で切って見た場合の他の概略断面図である。
図16は、
図15に示すコイル部品のR2領域を拡大表示して見た場合の概略拡大断面図である。図面を参照すると、本体10Cは、第5及び第6の導電層25、26と、第5及び第6の導電層25、26を埋め込む第2の電気絶縁性磁性体19bと、を含む。第2の電気絶縁性磁性体19bには、第5及び第6の導電層25、26の間に配置されて第5及び第6の導電層25、26を接続する第4のビア44が形成される。同様に、第5及び第6の導電層25、26はビア44により接続されて水平方向及び垂直方向にターン数が増加する一つのコイル20を構成する。以下、上述の内容と重複する説明は省略し、第2の電気絶縁性磁性体19bについてより詳細に説明する。
【0046】
第2の電気絶縁性磁性体19bは、第4の絶縁層34と第7及び第8の磁性層17、18が一体化されたものである。即ち、上述のように、第4の絶縁層34と第7及び第8の磁性層17、18は、同一の材質、例えば、同一の絶縁樹脂及び磁性フィラーを含むものであり、この場合、形成方法によってはこれらの層構造材同士の間の境界が区分されないように一体化して形成することができる。即ち、一体成型された単一の構成部材として第2の電気絶縁性磁性体19bを構成することができる。第2の電気絶縁性磁性体19bは、第5及び第6の導電層25、26を相互に絶縁させ、磁気特性を向上させる。
【0047】
図17〜
図21は、
図12に示すコイル部品の概略的な製造工程の一例を示す図面である。図面を参照すると、他の一例によるコイル部品100Bの製造方法は、支持部材201及び支持部材201の両面上に金属層202、203が配置されたコア基板200を準備する段階と、コア基板200の金属層203上に平面スパイラル状のパターンを有する導電層25、26を形成する段階と、導電層25、26を囲む磁性層17、18を形成する段階と、支持部材201から磁性層17、18で囲まれた導電層25、26を分離する段階と、磁性層17、18で囲まれた導電層25、26のうち導電層26に絶縁層34を積層する段階と、絶縁層34にビア44を形成する段階と、磁性層17、18で囲まれた導電層25、26に残存する金属層203を除去する段階と、一連の過程を通じて形成された絶縁層34が積層された磁性層18で囲まれた導電層26と磁性層17で囲まれた導電層25を一括積層して本体10を形成する段階と、本体10上に外部電極50を形成する段階と、を含む。以下、上述の内容と重複する説明は省略し、それぞれの段階についてより詳細に説明する。
【0048】
図17を参照すると、コイル部品100Bの製造工程を開始するために、まず、コア基板200を準備する。コア基板200は、支持部材201、支持部材201の両面に配置された第1の金属層202、及び第1の金属層202上に配置された第2の金属層203を含む。また、コア基板200は、支持部材210の一面にのみ第1の金属層202及び第2の金属層203が配置されたものでもよく、場合によっては、第2の金属層203のみが配置されたものでもよい。支持部材201は絶縁樹脂からなる絶縁基板であり得る。第1の金属層202及び第2の金属層203は、通常、薄い銅箔であるが、これに限定されるものではなく、他の金属層でもよい。次に、コア基板200の第2の金属層203上に第5及び第6のめっき層25a、26aを形成する。第5及び第6のめっき層25a、26aは、以下のようにして形成される。まず、第2の金属層203上にドライフィルム250a、260aを形成し、公知のフォトリソグラフィー工程を用いてドライフィルム250a、260a上に平面スパイラル状のパターン25aP、26aPを形成するパターニング処理を行い、その後、形成したパターン25aP、26aP内を公知のめっき処理工程により金属で充填して第5及び第6のめっき層25a、26aを形成することができる。
【0049】
図17に示す製造工程の実行が完了すると、続いて、
図18に示す製造工程に進む。
図18を参照すると、第5及び第6のめっき層25a、26a上に第5及び第6のめっき層25b、26bを形成して第5及び第6の導電層25、26を形成する。第5及び第6のめっき層25b、26bは、以下のようにして形成される。まず、第5及び第6のめっき層25a、26a上にドライフィルム250b、260bを形成し、公知のフォトリソグラフィー工程を用いてドライフィルム250b、260b上に平面スパイラル状のパターン25bP、26bPを形成するパターニング処理を行う。その後、形成したパターン25bP、26bP内を公知のめっき処理工程により金属で充填して第5及び第6のめっき層25b、26bを形成することができる。その後、ドライフィルム250a、250b、260a、260bをストリップ(strip)する。ストリップには公知のエッチング方法を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0050】
図18に示す製造工程の実行が完了すると、続いて、
図19に示す製造工程に進む。
図19を参照すると、第5及び第6の導電層25、26を左右から囲むように第7及び第8の磁性層17、18を形成する。第7及び第8の磁性層17、18は、公知の積層方法及び塗布方法などにより形成することができる。その後、第1の金属層202及び第2の金属層203を分離する方法を用いて、第7及び第8の磁性層17、18が形成された第5及び第6の導電層25、26を支持部材201からそれぞれ分離する。その後、第5及び第6の導電層25、26に残存する第2の金属層203を公知のエッチング方法で除去する。但し、
図17〜
図19に示した一連の処理過程の実行順序は特定の順序に制限されるものではない。例えば、分離を先に行い、その後、ドライフィルム250a、250b、260a、260bをストリップし、第7及び第8の磁性層17、18を形成してもよい。場合によっては、後述の第4の絶縁層34及び第4のビア44を形成した後、第2の金属層203をエッチングしてもよい。
【0051】
図20を参照すると、第6の導電層26上に第4の絶縁層34を形成する。第4の絶縁層34も、公知の積層方法及び塗布方法などにより形成することができる。その後、第4の絶縁層34に第4のビアホール44Hを形成する。第4のビアホール44Hは、レーザー加工及び/又は機械的ドリル加工や、フォトリソグラフィー工程などを利用して形成することができる。その後、第4のビアホール44Hに公知のペースト印刷工程又はめっき処理工程を利用して金属間化合物(IMC)を充填し、第4のビア44を形成する。ここでも、一連の処理過程の実行順序は特定の順序に制限されるものではない。例えば、第4の絶縁層34及び第4のビア44を形成した後、第2の金属層203をエッチングしてもよい。
【0052】
図21を参照すると、
図20に示す一連の処理過程を通じて形成された第7及び第8の磁性層17、18と第4の絶縁層34が形成された第5及び第6の導電層25、26を一括して積層することにより本体10Bを形成する。これらの層構造を一括して積層する方法として、整合積層方法が利用される。その場合、整合積層された層間部分において高い温度条件で金属間化合物(IMC)が最終的に形成されるため、層間接続力を高めることができ、通電抵抗を低下させて円滑な電子の流れを可能にする。また、整合積層によって層間接続を精密に行うことができ、複数の層を一度に積層するため、一層ずつ順次積層する場合に比べて工程の短縮化と簡素化に有利である。本体10Bを形成した後には第1及び第2の外部電極51、52を形成する。第1及び第2の外部電極51、52は導電性に優れた金属を含むペーストを用いて形成することができ、ペースト層上に導電層をさらに形成することもできる。
【0053】
図22は、異方めっき技術を適用したコイル部品の一例を概略的に示す図面である。異方めっき技術を適用したコイル部品は、例えば、支持部材201'の両面に異方めっき技術で平面コイル状のパターン21a'、21b'、21c'、22a'、22b'、22c'及びビア41'を形成した後、磁性物質でこれらを埋め込んで本体10'を形成し、本体10'の外部にパターン21a'、21b'、21c'、22a'、22b'、22c'と電気的に接続される外部電極31'、32'を形成して製造することができる。しかしながら、異方めっき技術を適用する場合、高いアスペクト比を実現することはできるが、アスペクト比の増加に伴いめっき層の厚みが成長する際の厚みの均一度が低下する可能性があり、めっきの厚さのばらつきが大きくなるため、依然としてパターン間のショートが発生しやすい。また、支持部材201'の厚さh
3が大きいため、パターン21a'、21b'、21c'、22a'、22b'、22c'の上部及び下部に配置される磁性物質の厚さh
dに制約が課されることが分かる。
【0054】
一方、本発明において、「電気的に連結される」というのは、物理的に連結された場合と、連結されていない場合をともに含む概念である。なお、第1、第2などの表現は、一つの構成要素と他の構成要素を区分するために用いられるもので、該当する構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、本発明の範囲を外れずに、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、類似して第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【0055】
一方、本発明で用いられた一実施例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一実施例は、他の実施例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一実施例で説明された事項が他の実施例で説明されていなくても、他の実施例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の実施例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0056】
また、本発明で用いられた用語は、一例を説明するために説明されたものであるだけで、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。