【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。尚、本項において括弧内に記載した図面内参照符号などは理解を容易化するための一例である。
【0011】
〔1〕<オーバードライブ回路(
図1,3,4,5,7〜10参照)>
オーバードライブアンプ(AMP_1〜AMP_8)は、ゲートに入力信号(Vin)が供給される入力トランジスタ(MP12,MN12)とゲートに出力信号(Vout)が帰還される帰還入力トランジスタ(MP11,MN11)がフォールデッドカスコード接続された差動入力トランジスタ対を有する差動入力回路(100)と、前記帰還入力トランジスタの電流経路にミラー入力電流経路(MIp、MIn)が接続され前記入力トランジスタの電流経路にミラー出力電流経路(MOp、MOn)が接続されたカレントミラー負荷(101)と、前記カレントミラー負荷のミラー出力電流経路から出力制御信号(Vpon,Vnon)を入力する出力回路(102)と、オーバードライブ期間に前記出力制御信号による前記出力回路の出力を増強する方向のバイアス電流(Ip,In)を前記出力制御信号に基づいて前記カレントミラー負荷に流すオーバードライブ回路(103)と、を有する。
【0012】
これによれば、差動入力回路、カレントミラー負荷及び出力回路は、入力信号(Vin)に対する出力信号(Vout)の負帰還制御機能を有する。即ち、Vin>Voutのとき出力信号(Vout)を高電圧方向に変化させ、Vi<Voutのとき出力信号(Vout)を低電圧方向に変化させる。この負帰還制御機能を有することを前提に、オーバードライブ期間にオーバードライブ回路は前記出力制御信号による前記出力回路の出力を増強する方向のバイアス電流をカレントミラー負荷に流すようになっている。特に、バイアス電流の電流量は前記出力制御信号に基づいて制御される。要するに、オーバードライブ期間にオーバードライブアンプそれ自体が、出力制御信号によって出力しようとする出力回路の出力を自律的に増強することができる。換言すれば、オーバードライブ可能な電圧幅に応じてオーバードライブ量を自己調整することができる。したがって、負荷の近端、遠端の収束時間のずれを最小限に抑えたり、温度環境によって変化する負荷の応答特性の影響を緩和したりするためなどに用いるオーバードライブアンプを、小規模な回路を追加するだけで低消費電流と高速駆動の双方を満足させて実現することができる。
【0013】
〔2〕<バイアス電流をミラー入力電流経路に供給(
図1,3〜5、7〜10参照)>
項1において、前記出力回路は前記出力制御信号をゲートに受ける出力トランジスタ(MP0,MN0)を有し、前記オーバードライブ回路は、前記出力制御信号(Vpon,Vnon)に基づいて相互コンダクタンスが制御されるオーバードライブトランジスタ(NP1,MN1)と、前記オーバードライブトランジスタに直列され前記オーバードライブ期間にオン状態にされるスイッチトランジスタ(MP2,MN2)とを有し、前記スイッチトランジスタのオン状態で前記バイアス電流を前記カレントミラー負荷のミラー入力電流経路に流す。
【0014】
これによれば、前記バイアス電流が前記カレントミラー負荷のミラー入力電流経路から引き抜かれるように流される場合に当該ミラー入力電流経路の電圧が下がり、前記バイアス電流が前記カレントミラー負荷のミラー入力電流経路に合流されるように流される場合に当該ミラー入力電流経路の電圧が上がる。このミラー入力電流経路の変化が、そのときの出力制御信号によって出力回路が出力しようとする出力を自律的に増強するようになっている。オーバードライブ期間はスイッチトランジスタのスイッチ制御によるオン動作期間で時間調整が可能になる。
【0015】
〔3〕<バイアス電圧に応ずるゲート・ドレイン間電圧の拡大量の選択制御>
項2において、前記オーバードライブ回路は、前記オーバードライブトランジスタに直列接続されたバイアストランジスタ(MP3,MN3))を更に含み、前記バイアストランジスタはゲートに供給されるバイアス信号(p_bs1、n_bs1)の電圧に応じて相互コンダクタンスが決定される。
【0016】
これによれば、オーバードライブ回路が出力するバイアス電流の電流量を可変に制御することができる。バイアス電流量の調整によって出力回路の出力増強(オーバードライブ電圧)が調整される。
【0017】
〔4〕<pMOSカレントミラー回路とnMOSカレントミラー回路(
図1,3〜5,7〜10参照)>
項3において、前記カレントミラー負荷は、浮遊電流源(101c)と高電位電源(Vdd)との間に接続されたpMOSカレントミラー回路(101a)と、前記浮遊電流源と低電位電源との間に接続されたnMOSカレントミラー回路(101b)とを含む。pMOSカレントミラー回路は、ゲートが共通接続され夫々pチャネル型MOSトランジスタからなるpMOSミラー入力トランジスタ(MP21)とpMOSミラー出力トランジスタ(MP22)を有し、前記pMOSミラー入力トランジスタのゲート・ドレイン間が接続される。nMOSカレントミラー回路は、ゲートが共通接続され夫々nチャネル型MOSトランジスタからなるnMOSミラー入力トランジスタ(MN21)とnMOSミラー出力トランジスタ(MN22)を有し、前記nMOSミラー入力トランジスタのゲート・ドレイン間が接続される。前記出力回路は、前記pMOSカレントミラー回路の前記pMOSミラー出力トランジスタのドレインにゲートが接続されたpチャネル型MOSトランジスタで成るpMOS出力トランジスタ(MP0)に、前記nMOSカレントミラー回路の前記nMOSミラー出力トランジスタのドレインにゲートが接続されたnチャネル型MOSトランジスタで成るnMOS出力トランジスタ(MN0)が直列接続された、プッシュ・プル出力回路である。
【0018】
これによれば、低電位電源から高電位電源に向う出力回路の出力波形と高電位電源から低電位電源に向う出力回路の出力波形の対称性を容易に実現することができる。
【0019】
〔5〕<pMOSカレントミラー回路にpMOSオーバードライブ回路、nMOSカレントミラー回路にnMOSオーバードライブ回路を結合(
図1,3〜5参照)>
項4において、前記オーバードライブ回路は、前記pMOSカレントミラー回路に含まれるpMOSミラー入力トランジスタのドレインと前記高電位電源との間に接続されたpMOSオーバードライブ回路(103a,103c)と、前記nMOSカレントミラー回路に含まれるnMOSミラー入力トランジスタのドレインと前記低電位電源との間に接続されたnMOSオーバードライブ回路(103b,103d)とを有する。前記pMOSオーバードライブ回路は、前記オーバードライブトランジスタ、前記スイッチトランジスタ、及びバイアストランジスタとして夫々pチャネル型MOSトランジスタで形成されたpMOSオーバードライブトランジスタ(MP1)、pMOSスイッチトランジスタ(MP2)、及びpMOSバイアストランジスタ(MP3)を有する。前記nMOSオーバードライブ回路は、前記オーバードライブトランジスタ、前記スイッチトランジスタ、及びバイアストランジスタとして夫々nチャネル型MOSトランジスタで形成されたnMOSオーバードライブトランジスタ(MN1)、nMOSスイッチトランジスタ(MN2)、及びnMOSバイアストランジスタ(MN3)を有する。
【0020】
これによれば、pMOSオーバードライブ回路(103a)がpMOSカレントミラー回路(101a)のミラー電流入力経路に電流を供給すことによりミラー電流出力経路のドレイン電圧を降下させるように作用して、pMOS出力トランジスタ(MP0)の相互コンダクタンスを拡大させることにより、出力回路(102)が出力しようとするハイレベル出力が自律的に高電位側に増強される。また、nMOSオーバードライブ回路(103b)がnMOSカレントミラー回路(101b)のミラー電流入力経路から電流を引き抜く方向に流すことによりミラー電流出力経路のドレイン電圧を上昇させるように作用して、nMOS出力トランジスタ(MN0)の相互コンダクタンスを拡大させることにより、出力回路(102)が出力しようとするローレベル出力が自律的に低電位側に増強される。
【0021】
〔6〕<スイッチトランジスタをオーバードライブ制御信号で直接制御(
図1,3,4参照)>
項5において、前記pMOSオーバードライブ回路(103a)の前記pMOSスイッチトランジスタ(MP2)はゲートにオーバードライブ制御信号(OD)の反転信号を入力する。前記nMOSオーバードライブ回路(103b)の前記nMOSスイッチトランジスタ(MN2)はゲートに前記オーバードライブ制御信号を入力する。
【0022】
これにより、オーバードライブ制御信号によってオーバードライブ期間を制御することができる。
【0023】
〔7〕<pMOSスイッチトランジスタとnMOSスイッチトランジスタのスイッチ状態を排他制御(
図5,6参照)>
項5において、前記pMOSオーバードライブ回路(103c)の前記pMOSスイッチトランジスタ(MP2)はゲートに前記オーバードライブ制御信号の反転信号(OD_b)と第1スイッチ制御信号(Vpsw_b)との論理和信号を入力する。前記nMOSオーバードライブ回路(103d)の前記nMOSスイッチトランジスタ(MN2)はゲートに前記オーバードライブ制御信号(OD)と第2スイッチ制御信号(Vnsw_b)との論理積信号を入力する。前記第1スイッチ制御信号は前記pチャネル型MOSトランジスタで成るpMOS出力トランジスタ(MP0)のゲート信号よりも遅くローレベルに変化され早くハイレベルに変化される信号であり、前記第2スイッチ制御信号は前記nチャネル型MOSトランジスタで成るnMOS出力トランジスタ(MN0)のゲート信号よりも早くローレベルに変化され遅くローレベルに変化される信号である。即ち、前記第1スイッチ制御信号はVponの変化に対してMP2を早くオフとし遅くオンにする。前記第2スイッチ制御信号はVnonの変化に対してMN2を早くオフとし遅くオンにする。
【0024】
これによれば、項6の如くスイッチトランジスタ(MP2,MN2)をオーバードライブ制御信号で直接制御する場合にはオーバードライブ開始後、双方のスイッチトランジスタが共にオンになるため、出力制御信号(Vpon,Vnon)の電圧次第では双方のオーバードライブトランジスタ(MPP1,MN1)が共にオンし、Vin>Vout、Vin<Voutのいずれの場合でもバイアス電流(Ip,In)が流れる場合がある。本来の出力増強機能としては、オーバードライブ開始後Vin>Voutではバイアス電流Ipのみ、Vin<Voutではバイアスでン流Inのみを流す方が効率がよい。したがって、本項の如く、Vin>VoutではpMOSスイッチトランジスタ(MP2)のみをオンにし、Vin<VoutではnMOSスイッチトランジスタ(MN2)のみをオンにすることで、バイアス電流Ip,Inのどちらか一方を流すようにすることができる。特に、前記pMOS出力トランジスタ(MP0)のゲート信号よりも遅くローレベルに変化される第1スイッチ制御信号を用いてpMOSオーバードライブ回路にバイアス電流Ipを流し始め、前記nMOS出力トランジスタ(MN0)のゲート信号よりも遅くハイレベルに変化する前記第2スイッチ制御信号を用いてnMOSオーバードライブ回路にバイアス電流Inを流し始める。したがって、オーバードライブ開始直後にオーバードライブ方向が逆になる誤動作、即ち、バイアス電流Ipを流すべき場合にバイアス電流Inが流れたり、逆にバイアス電流Inを流すべき場合にバイアス電流Ipが流れたりする事態を防ぐことができる。要するに、オーバードライブ開始直後に誤ったオーバードライブをしないようにすることができる。
【0025】
〔8〕<pチャネル型の差動入力トランジスタ対とnチャネル型の差動入力トランジスタ対(
図1,5参照)>
項5において、前記差動入力回路は、前記高電位電源と前記nMOSカレントミラー回路との間に接続されたpMOS差動入力トランジスタ対(100a)と、前記低電位電源と前記pMOSカレントミラー回路との間に接続されたnMOS差動入力トランジスタ対(100b)とを前記差動入力トランジスタ対として含む。前記pMOS差動入力トランジスタ対は、前記入力トランジスタ及び帰還入力トランジスタとして夫々pチャネル型MOSトランジスタから成るpMOS入力トランジスタ(MP12)及びpMOS帰還入力トランジスタ(MP11)を含み、前記pMOS入力トランジスタのドレインが前記nMOSミラー出力トランジスタ(MN22)のドレインに接続され、前記pMOS帰還入力トランジスタのドレインが前記nMOSミラー入力トランジスタ(MN21)のドレインに接続される。前記nMOS差動入力トランジスタ対は、前記入力トランジスタ及び帰還入力トランジスタとして夫々nチャネル型MOSトランジスタから成るnMOS入力トランジスタ(MN12)及びnMOS帰還入力トランジスタ(MN11)を含み、前記nMOS入力トランジスタのドレインが前記pMOSミラー出力トランジスタ(MP22)のドレインに接続され、前記nMOS帰還入力トランジスタのドレインが前記pMOSミラー入力トランジスタ(MP21)のドレインに接続される。
【0026】
これによれば、pMOS差動入力トランジスタ対の入力に応じてnMOSカレントミラー回路の状態を決定すると共にnMOS差動入力トランジスタ対の入力に応じてpMOSカレントミラー回路の状態を決定することができるから、入力信号(Vin)に対する出力信号(Vout)の負帰還制御に高い応答性得ることができる。
【0027】
〔9〕<pチャネル型の差動入力トランジスタ対(
図4参照)>
項5において、前記差動入力回路の前記差動入力トランジスタ対は、前記高電位電源と前記nMOSカレントミラー回路との間に接続されたpMOS差動入力トランジスタ対である。前記pMOS差動入力トランジスタ対は、前記入力トランジスタ及び帰還入力トランジスタとして夫々pチャネル型MOSトランジスタから成るpMOS入力トランジスタ及びpMOS帰還入力トランジスタを含み、前記pMOS入力トランジスタのドレインが前記nMOSミラー出力トランジスタのドレインに接続され、前記pMOS帰還入力トランジスタのドレインが前記nMOSミラー入力トランジスタのドレインに接続される。
【0028】
これによれば、項8に比べて低電位出力から高電位出力への負帰還制御の応答性は多少低下するが回路規模の縮小に資することができる。
【0029】
〔10〕<nチャネル型の差動入力トランジスタ対(
図3参照)>
項5において、前記差動入力回路の前記差動入力トランジスタ対は前記低電位電源と前記pMOSカレントミラー回路との間に接続されたnMOS差動入力トランジスタ対である。前記nMOS差動入力トランジスタ対は、前記入力トランジスタ及び帰還入力トランジスタとして夫々nチャネル型MOSトランジスタから成るnMOS入力トランジスタ及びnMOS帰還入力トランジスタを含み、前記nMOS入力トランジスタのドレインが前記pMOSミラー出力トランジスタのドレインに接続され、前記nMOS帰還入力トランジスタのドレインが前記pMOSミラー入力トランジスタのドレインに接続される。
【0030】
これによれば、項8に比べて高電位出力から低電位出力への負帰還制御の応答性は多少低下するが回路規模の縮小に資することができる。
【0031】
〔11〕<pMOSカレントミラー回路にnMOSオーバードライブ回路、nMOSカレントミラー回路にpMOSオーバードライブ回路を結合(
図7〜10参照)>
項4において、前記オーバードライブ回路は、前記pMOSカレントミラー回路(101a)に含まれるpMOSミラー入力トランジスタ(MP21)のドレインと前記低電位電源(VSS)との間に接続されたnMOSオーバードライブ回路(103f、103h)と、前記nMOSカレントミラー回路(101b)に含まれるnMOSミラー入力トランジスタ(MN21)のドレインと前記高電位電源(Vdd)との間に接続されたpMOSオーバードライブ回路(103e、103g)とを有する。前記pMOSオーバードライブ回路は、前記オーバードライブトランジスタ、前記スイッチトランジスタ、及びバイアストランジスタとして夫々pチャネル型MOSトランジスタで形成されたpMOSオーバードライブトランジスタ(MP1)、pMOSスイッチトランジスタ(MP2)、及びpMOSバイアストランジスタ(MP3)を有する。前記nMOSオーバードライブ回路は、前記オーバードライブトランジスタ、前記スイッチトランジスタ、及びバイアストランジスタとして夫々nチャネル型MOSトランジスタで形成されたnMOSオーバードライブトランジスタ(MN1)、nMOSスイッチトランジスタ(MN2)、及びnMOSバイアストランジスタ(MN3)を有する。
【0032】
これによれば、pMOSオーバードライブ回路(103e、103g)がnMOSカレントミラー回路(101b)のミラー電流入力経路に電流を供給すことによりミラー電流出力経路(MOn)のドレイン電圧を降下させるように作用して、nMOS出力トランジスタ(MN0)の相互コンダクタンスを減少させることにより、出力回路(102)が出力しようとするハイレベル出力が自律的に高電位側に増強される。また、nMOSオーバードライブ回路(103f、103h)がpMOSカレントミラー回路(101a)のミラー電流入力経路から電流を引き抜く方向に流すことによりミラー電流出力経路のドレイン電圧を上昇させるように作用して、pMOS出力トランジスタ(MP0)の相互コンダクタンスを減少させることにより、出力回路(102)が出力しようとするローレベル出力が自律的に低電位側に増強される。
【0033】
〔12〕<スイッチトランジスタをオーバードライブ制御信号で直接制御(
図7,9,10参照)>
項11において、前記pMOSオーバードライブ回路(103e)の前記pMOSスイッチトランジスタ(MP2)はゲートに前記オーバードライブ制御信号(OD)の反転信号を入力し、前記nMOSオーバードライブ回路(103f)の前記nMOSスイッチトランジスタ(MN2)はゲートに前記オーバードライブ制御信号(OD)を入力する。
【0034】
これにより、オーバードライブ制御信号によってオーバードライブ期間を制御することができる。
【0035】
〔13〕<pMOSスイッチトランジスタとnMOSスイッチトランジスタのスイッチを排他制御(
図8参照)>
項11において、前記pMOSオーバードライブ回路(103g)の前記pMOSスイッチトランジスタ(MP2)はゲートに前記オーバードライブ制御信号の反転信号(OD_b)と第1スイッチ制御信号(Vpsw_b)との論理和信号を入力し、前記nMOSオーバードライブ回路(103h)の前記nMOSスイッチトランジスタ(MN2)はゲートに前記オーバードライブ制御信号(OD)と第2スイッチ制御信号(Vnsw_b)との論理積信号を入力する。前記第1スイッチ制御信号は前記pチャネル型MOSトランジスタで成るpMOS出力トランジスタ(MP0)のゲート信号(Vpon)よりも早く同期的に変化する信号であり、前記第2スイッチ制御信号は前記nチャネル型MOSトランジスタで成るnMOS出力トランジスタ(MN0)のゲート信号(Vnon)よりも早く同期的に変化する信号である。
【0036】
これによれば、項7と同様に、オーバードライブ開始直後にオーバードライブ方向が逆になる誤動作を防いで、オーバードライブ開始直後に誤ったオーバードライブをしないようにすることができる。
【0037】
〔14〕<pチャネル型の差動入力トランジスタ対とnチャネル型の差動入力トランジスタ対(
図7,8参照)>
項11において、前記差動入力回路は、前記高電位電源と前記nMOSカレントミラー回路との間に接続されたpMOS差動入力トランジスタ対と、前記低電位電源と前記pMOSカレントミラー回路との間に接続されたnMOS差動入力トランジスタ対とを前記差動入力トランジスタ対として含む。前記pMOS差動入力トランジスタ対は、前記入力トランジスタ及び帰還入力トランジスタとして夫々pチャネル型MOSトランジスタから成るpMOS入力トランジスタ及びpMOS帰還入力トランジスタを含み、前記pMOS入力トランジスタのドレインが前記nMOSミラー出力トランジスタのドレインに接続され、前記pMOS帰還入力トランジスタのドレインが前記nMOSミラー入力トランジスタのドレインに接続される。前記nMOS差動入力トランジスタ対は、前記入力トランジスタ及び帰還入力トランジスタとして夫々nチャネル型MOSトランジスタから成るnMOS入力トランジスタ及びnMOS帰還入力トランジスタを含み、前記nMOS入力トランジスタのドレインが前記pMOSミラー出力トランジスタのドレインに接続され、前記nMOS帰還入力トランジスタのドレインが前記pMOSミラー入力トランジスタのドレインに接続される。
【0038】
これによれば、項8と同様に入力信号(Vin)に対する出力信号(Vout)の負帰還制御に高い応答性得ることができる。
【0039】
〔15〕<pチャネル型の差動入力トランジスタ対(
図9参照)>
項11において、前記差動入力回路の前記差動入力トランジスタ対は、前記高電位電源と前記nMOSカレントミラー回路との間に接続されたpMOS差動入力トランジスタ対である。前記pMOS差動入力トランジスタ対は、前記入力トランジスタ及び帰還入力トランジスタとして夫々pチャネル型MOSトランジスタから成るpMOS入力トランジスタ及びpMOS帰還入力トランジスタを含み、前記pMOS入力トランジスタのドレインが前記nMOSミラー出力トランジスタのドレインに接続され、前記pMOS帰還入力トランジスタのドレインが前記nMOSミラー入力トランジスタのドレインに接続される。
【0040】
これによれば、項14に比べて低電位出力から高電位出力への負帰還制御の応答性は多少低下するが回路規模の縮小に資することができる。
【0041】
〔16〕<nチャネル型の差動入力トランジスタ対(
図10参照)>
項11において、前記差動入力回路の前記差動入力トランジスタ対は前記低電位電源と前記pMOSカレントミラー回路との間に接続されたnMOS差動入力トランジスタ対である。前記nMOS差動入力トランジスタ対は、前記入力トランジスタ及び帰還入力トランジスタとして夫々nチャネル型MOSトランジスタから成るnMOS入力トランジスタ及びnMOS帰還入力トランジスタを含み、前記nMOS入力トランジスタのドレインが前記pMOSミラー出力トランジスタのドレインに接続され、前記nMOS帰還入力トランジスタのドレインが前記pMOSミラー入力トランジスタのドレインに接続される。
【0042】
これによれば、項14に比べて高電位出力から低電位出力への負帰還制御の応答性は多少低下するが回路規模の縮小に資することができる。
【0043】
〔17〕<半導体装置(
図14参照)>
半導体装置(3)は並列動作される複数のオーバードライブアンプ(AMP_1〜AMP_8)を含んで1個の半導体基板に形成される。前記オーバードライブアンプは、ゲートに入力信号(Vin)が供給される入力トランジスタ(MP12,MN12)とゲートに出力信号(Vout)が帰還される帰還入力トランジスタ(MP11,MN11)がフォールデッドカスコード接続された差動入力トランジスタ対を有する差動入力回路(100)と、前記帰還入力トランジスタの電流経路にミラー入力電流経路(MIp、MIn)が接続され前記入力トランジスタの電流経路にミラー出力電流経路(MOp、MOn)が接続されたカレントミラー負荷(101)と、前記カレントミラー負荷のミラー出力電流経路から出力制御信号(Vpon,Vnon)を入力する出力回路(102)と、オーバードライブ期間に前記出力制御信号による前記出力回路の出力を増強する方向のバイアス電流(Ip,In)を前記出力制御信号に基づいて前記カレントミラー負荷に流すオーバードライブ回路(103)と、を有する。
【0044】
これによれば、オーバードライブアンプは項1と同様にオーバードライブ期間にオーバードライブアンプそれ自体が、出力制御信号によって出力しようとする出力回路の出力を自律的に増強することができるから、小規模な回路を追加するだけで低消費電流と高速駆動の双方が実現される。したがって、上記半導体装置は電池駆動のように低消費電力が要請される携帯機器などに搭載される駆動用途に好適である。更に、オーバードライブアンプそれ自体が、出力制御信号によって出力しようとする出力回路の出力を自律的に増強するから、並列動作される複数個のオーバードライブアンプの出力レベルが相違されていてもその相違に応じて自律的に適切なオーバードライブが行われる。
【0045】
〔18〕<バイアス電流をカレントミラー負荷のミラー入力電流経路に供給(
図1,3〜5、7〜10参照)>
項17において、前記出力回路は前記入力信号をゲートに受ける出力トランジスタを有する。前記オーバードライブ回路は、前記出力制御信号に基づいて相互コンダクタンスが制御されるオーバードライブトランジスタと、前記オーバードライブトランジスタに直列され前記オーバードライブ期間にオン状態にされるスイッチトランジスタとを有し、前記スイッチトランジスタのオン状態で前記バイアス電流を前記カレントミラー負荷のミラー入力電流経路に流す。
【0046】
これによれば項2と同様に作用効果を奏する。
【0047】
〔19〕<レジスタ設定値でバイアストランジスタの相互コンダクタンス制御>
項18において、前記オーバードライブ回路は、前記オーバードライブトランジスタに直列接続されたバイアストランジスタを更に含み、前記バイアストランジスタはゲートに供給されるバイアス信号(p_bs1、n_bs1)の電圧に応じて相互コンダクタンスが決定され前記バイアス信号の電圧を決定する制御データが書換え可能に設定される制御レジスタ(13)を有する。
【0048】
これによれば、駆動負荷に応じてオーバードライブアンプのオーバードライブ能力、即ち、バイアス電流量の調整による出力回路の出力増強の度合いを、制御レジスタに書き込む制御データによって可変に設定することができる。
【0049】
〔20〕<複数のオーバードライブアンプをソースドライバに適用したLCDドライブIC>
項19において、表示データに応ずる階調電圧信号を表示タイミングに同期して並列的に出力するソースドライバを有し、前記ソースドライバは複数の前記オーバードライブアンプを有し、夫々のオーバードライブアンプは、対応する外部端子から半導体装置の外部に階調電圧信号を出力するバッファアンプである。
【0050】
これによれば、タブレットやスマートホンなどに搭載される液晶表示パネルのソース線負荷の近端、遠端の収束時間のずれを最小限に抑えることができる。大幅な回路変更なしにソースドライバのオーバードライブ動作が可能となる。また、そのドライブ電圧レベルの調整が可能となる。タブレットやスマートホンなどに搭載される液晶表示パネルの高精細化などに対して、より高速な、より応答性の優れた画素駆動を低消費電力でしかも回路規模を増大させることなく実現するのに好適である。