(54)【発明の名称】不良発酵防止剤用微生物のスクリーニング方法、及び、不良発酵防止剤の製造方法、並びに、同方法により得られる不良発酵防止剤を用いたバイオマスの発酵方法
【解決手段】乾燥ステビア茎粉末と、米ぬか粉末と、乾燥おから粉末と、光合成細菌を含有する汽水と、を混合した混合液を所定時間静置する静置工程と、混合液を所定の容器に収容し、収容された混合液に弱殺菌領域を形成する容器収容工程と、混合液を収容した所定の容器を加熱空間内に配置し、常温常圧の状態から約2.5気圧で150〜160℃の状態にまで45〜60分掛けて昇温し、その後加熱空間を約2気圧で115〜125℃の状態にまで1〜3分間掛けて降温し、約2気圧で115〜125℃の状態を20〜40分間維持し、更に加熱空間を常温常圧の状態にまで3〜5分間掛けて降温させて、前記混合液中に加熱選抜された微生物を残存させる微生物選抜工程と、を有することとした。
0.6±0.1重量部の乾燥ステビア茎粉末と、0.6±0.1重量部の米ぬか粉末と、0.6±0.1重量部の乾燥おから粉末と、光合成細菌を含有する12±1重量部の汽水と、を混合した混合液を所定時間静置する静置工程と、
前記静置工程を経た混合液を所定の容器に収容し、収容された混合液に同混合液の収容形状の外表面上のいずれの位置からも10cm以上であり、且つ、外表面上の少なくともいずれかの位置から17cm以下となる弱殺菌領域を形成する容器収容工程と、
前記容器収容工程を経て混合液を収容した所定の容器を加熱空間内に配置し、同加熱空間を常温常圧の状態から約2.5気圧で150〜160℃の状態にまで45〜60分掛けて昇温し、約2.5気圧で150〜160℃の状態を1〜3分間維持し、その後加熱空間を約2気圧で115〜125℃の状態にまで3〜5分間掛けて降温設定し、約2気圧で115〜125℃の状態を20〜40分間維持し、更に加熱空間を常温常圧の状態にまで24〜30時間掛けて降温させて、前記混合液中に加熱選抜された微生物を残存させる微生物選抜工程と、
を有する不良発酵防止剤用微生物のスクリーニング方法。
0.6±0.1重量部の乾燥ステビア茎粉末と、0.6±0.1重量部の米ぬか粉末と、0.6±0.1重量部の乾燥おから粉末と、光合成細菌を含有する12±1重量部の汽水と、を混合した混合液を所定時間静置する静置工程と、
前記静置工程を経た混合液を所定の容器に収容し、収容された混合液に同混合液の収容形状の外表面上のいずれの位置からも10cm以上であり、且つ、外表面上の少なくともいずれかの位置から17cm以下となる弱殺菌領域を形成する容器収容工程と、
前記容器収容工程を経て混合液を収容した所定の容器を加熱空間内に配置し、同加熱空間を常温常圧の状態から約2.5気圧で150〜160℃の状態にまで45〜60分掛けて昇温し、約2.5気圧で150〜160℃の状態を1〜3分間維持し、その後加熱空間を約2気圧で115〜125℃の状態にまで3〜5分間掛けて降温設定し、約2気圧で115〜125℃の状態を20〜40分間維持し、更に加熱空間を常温常圧の状態にまで24〜30時間掛けて降温させて、前記混合液中に加熱選抜された微生物を残存させる微生物選抜工程と、
少なくとも微生物が液相に移行可能な手段により前記微生物選抜工程を経た混合液を固液分離して微生物含有液を得る固液分離工程と、
得られた微生物含有液に糖源を添加して常温常圧で所定時間発酵し、微生物含有液のpHを4.5以下で、且つ、酸化還元電位を-100mV以下とする第1の発酵工程と、
第1の発酵工程を経た微生物含有液にステビア茎の熟成液を添加してpHが3.1以下となるまで発酵させて不良発酵防止剤とする第2の発酵工程と、を有することを特徴とする不良発酵防止剤の製造方法。
請求項2又は3に記載の不良発酵防止剤の製造方法にて得られた1重量部の不良発酵防止剤を所定量の水で希釈して希釈液を調製すると共に、この希釈液を8000〜10000重量部のバイオマスに添加して水分含量を65〜70%とする不良発酵防止剤混合工程と、
不良発酵防止剤混合工程を経たバイオマスを、表層から40〜50cm内部の温度が55℃に達するまで堆積状態で静置する第1のバイオマス発酵工程と、
第1のバイオマス発酵工程を経たバイオマスに対して切り返しを行い、75℃を越えない温度に保ちつつバイオマスの水分が40%以下となるまでバイオマスの好気発酵を行う第2のバイオマス発酵工程と、
第2のバイオマス発酵工程を経たバイオマスを解しつつ篩いに掛ける篩い掛け工程と、
篩い掛け工程を経たバイオマスを堆積状態とし、水分が20%以下となるまで静置する熟成工程と、を有することを特徴とするバイオマスの発酵方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、バイオマスから生じる臭気を、水分含量に比較的とらわれることなく発酵により低減させることができ、しかも、悪臭生成菌の繁殖を抑制して不良発酵を防止できる不良発酵防止剤用の微生物のスクリーニング方法を提供するものである。
【0024】
ここで発酵の対象となるバイオマスは特に限定されるものではなく、例えば、家畜等の排泄物や活性汚泥は勿論のこと、剪定枝葉や食品廃材、建設廃材、黒液、下水汚泥、生ごみ等を含めた所謂廃棄物系バイオマスとすることができる。
【0025】
本実施形態に係る不良発酵防止剤用の微生物のスクリーニング方法は、静置工程と、容器収容工程と、微生物選抜工程とを備えている。
【0026】
静置工程は、不良発酵防止剤に含まれるエキス分の抽出原料となる資材(以下、総称してエキス抽出資材ともいう。)と、光合成細菌を含有する汽水とを混合し、静置しながら汽水中にエキス分を溶出させる工程である。
【0027】
特に本実施形態に係る不良発酵防止剤用の微生物スクリーニング方法では、エキス抽出資材として、0.6±0.1重量部の乾燥ステビア茎粉末と、0.6±0.1重量部の米ぬか粉末と、0.6±0.1重量部の乾燥おから粉末とを用いることとしている。
【0028】
また、これらのエキス抽出資材のうち少なくともいずれか1つには、植物由来の乳酸菌が付着しているのが望ましい。この植物由来の乳酸菌としては、例えば、Lactobacillus plantarumやLactobacillus buchneriを挙げることができる。特に、Lactobacillus buchneriの付着したエキス抽出資材を用いた場合には、後述の弱殺菌領域の形成により、微生物選抜工程を経たLactobacillus buchneriが生存する混合液を得ることができ、同じく弱殺菌領域内に存在する菌やカビ、酵母等のうち不良発酵を招くような種類の微生物の繁殖をLactobacillus buchneriの代謝産物である乳酸や酢酸、プロパンジオール等により効果的に抑制し、不良発酵防止剤の安定的な製造をより堅実なものとすることができる。
【0029】
また、光合成細菌を含有する汽水は、上記各0.6±0.1重量部ずつのエキス抽出資材に対して好ましくは12±1重量部混合する。
【0030】
この汽水に含まれる光合成細菌は、例えば紅色非硫黄細菌とよばれるRhodospirillum属や、紅色硫黄細菌とよばれるChromatium属、緑色硫黄細菌と呼ばれるChlorobium属に属する菌を用いることができ、中でも紅色硫黄細菌とよばれるChromatium属に属する光合成細菌群を用いるのが望ましい。
【0031】
そして、本静置工程では、これらエキス抽出資材と光合成細菌を含む汽水とを所定量ずつ混合し、例えば常温にて所定時間静置する。静置に要する時間は、例えば15〜20日間とすることができる。
【0032】
容器収容工程では、前記静置工程を経た混合液を所定の容器に収容する。収容する容器の素材や形状については特に限定されるものではないが、本工程に特徴的には、後述の微生物選抜工程において加熱した際に完全滅菌が行われないよう、弱殺菌領域を形成可能な容器に収容する。
【0033】
この弱殺菌領域は、所定の容器内に収容した混合液の中実で立体的な形状(以下、単に収容形状という。)のうち、外表面上のいずれの位置からも10cm以上であり、且つ、外表面上の少なくともいずれかの位置から17cm以下となる内部領域である。
【0034】
ここで、収容形状がいずれの外表面からも10cm未満であって弱殺菌領域が形成されない形状である場合には、後述の微生物選抜工程にて付与する熱によって完全滅菌されてしまい、必要な菌を選抜することができなくなる。
【0035】
また、収容形状のうち、外表面上のいずれの位置からも17cmを越える領域が形成される形状の場合には、選抜に必要な熱が混合液の深部まで届かない領域(非選抜領域)が形成されてしまうため、不必要な菌が多く混在してしまうおそれもあるため、必ずしも非選抜領域の形成を排除する必要はないが、この非選抜領域の体積は弱殺菌領域の体積よりも小さくするのが望ましい。
【0036】
弱殺菌領域を形成可能な容器、より好ましくは非選抜領域が形成されず弱殺菌領域を形成可能な容器に混合液を収容することにより、不必要な(不良発酵を惹起する)微生物を淘汰しつつも、良好な発酵を促す微生物、すなわち、上述の乳酸菌や光合成細菌を選抜することができる。
【0037】
微生物選抜工程は、混合液を加熱して、良好な発酵を促す乳酸菌や光合成細菌を選抜する工程であり、細かくは第1の加熱工程と、第2の加熱工程と、降温工程とで構成される。
【0038】
第1の加熱工程は、混合液を収容した所定の容器を加熱空間内に配置し、同加熱空間を常温常圧の状態から約2.5気圧で150〜160℃の状態にまで45〜60分掛けて昇温し、約2.5気圧で150〜160℃の状態を1〜3分間維持する。
【0039】
本第1の加熱工程や、後述の第2の加熱工程における加熱空間としては、例えばオートクレーブの滅菌対象物収容空間や、加圧クッカーの熱処理空間を利用することができる。
【0040】
第2の加熱工程は、第1の加熱工程に引き続き、加熱空間を約2気圧で115〜125℃の状態にまで3〜5分間掛けて降温設定し、約2気圧で115〜125℃の状態を20〜40分間維持する。
【0041】
そして、降温工程では、第2の加熱工程に引き続き、加熱空間を常温常圧の状態にまで24〜30時間掛けて降温させる。
【0042】
このように、第1の加熱工程、第2の加熱工程、降温工程を含む微生物選抜工程を行うことで、混合液中に加熱選抜された乳酸菌や光合成細菌等の微生物を残存させて、不良発酵防止剤用微生物のスクリーニングを行うことができる。
【0043】
また本願では、不良発酵防止剤の製造方法についても提供する。特に、本実施形態に係る不良発酵防止剤の製造方法は、前述の不良発酵防止剤用微生物のスクリーニング方法にて得られた微生物を利用するものであるとも言える。
【0044】
具体的には、本実施形態に係る不良発酵防止剤の製造方法は、静置工程と、容器収容工程と、微生物選抜工程と、固液分離工程と、第1の発酵工程と、第2の発酵工程とを有する。なお、本実施形態に係る不良発酵防止剤の製造方法における静置工程や容器収容工程、微生物選抜工程は、前述の不良発酵防止剤用微生物のスクリーニング方法における同工程と同じであるため説明は割愛する。
【0045】
本実施形態に係る不良発酵防止剤の製造方法における固液分離工程は、微生物選抜工程を経た混合液を固液分離して液相を得る工程である。
【0046】
ここで固液分離は、必ずしも完全に固形分を除去する必要はなく、選抜した微生物を液相に移行させながら大まかに固形分を除き流動性を向上させる程度のイメージである。このような固液分離は、例えば布製の袋等に混合液を収容し、洗濯機の脱水機能等を利用して行うことができる。また、一般の固液分離装置を利用して微生物を液相に残せる程度の遠心力を付与して固液分離を行うようにしても良いし、同じく布製の袋に混合液を収容して搾汁することで液相を得ても良い。
【0047】
すなわち、本固液分離工程では、少なくとも微生物が液相に移行可能な手段により前記微生物選抜工程を経た混合液を固液分離して微生物含有液を得る。
【0048】
第1の発酵工程は、得られた微生物含有液に糖源を添加して常温常圧で所定時間発酵を行う工程である。糖源は特に限定されるものではなく、グルコースやショ糖、上白糖、液糖、はちみつ、メープルシロップ、オリゴ糖、甜菜糖等を使用することができるが、中でもメープルシロップは得られた微生物含有液中に含まれる有用微生物群に対して生育を助長する成分が含まれており、また本発明者らの研究において実際にメープルシロップを用いた場合も増殖させたい有用微生物群を積極的に増やすことができる結果が得られており望ましい。これら糖源の添加量は、例えば微生物含有液1重量部に対して0.011±0.006重量部とすることができる。
【0049】
この第1の発酵工程は、微生物含有液のpHが4.5以下で、且つ、酸化還元電位を-100mV以下となるまで行う。
【0050】
第2の発酵工程は、第1の発酵工程を経た微生物含有液にステビア茎の熟成液を添加して発酵を行う工程である。微生物含有液に対するステビア茎熟成液の添加量は、微生物含有液0.38重量部に対して0.38〜0.4重量部程度とすることができる。この第2の発酵工程は、pHが3.1以下となるまで行う。
【0051】
そして、第2の発酵工程を経ることにより、得られた微生物含有液を不良発酵防止剤とすることができる。
【0052】
ここで、本第2の発酵工程にて使用するステビア茎の熟成液は、ステビア茎を水等に浸漬してエキス分を抽出しつつ、ステビア茎由来の微生物によって発酵を行うことにより得られた発酵液(以下、ステビア茎簡易熟成液ともいう。)を用いることもできる。
【0053】
しかしながら、ステビア茎の熟成液は、ステビア茎分散液調製工程と、ステビア茎分散液容器収容工程と、ステビア茎由来微生物選抜工程と、ステビア茎抽出液調製工程と、抽出液濃縮工程と、熟成工程と、を経て調製するのがより望ましい。
【0054】
ステビア茎分散液調製工程は、乾燥ステビア茎の粉末に水を加えてステビア茎の分散液を調製する工程であり、具体的には、1重量部の乾燥ステビア茎粉末に対して10重量部±2重量部程度の水を添加して調製する。
【0055】
ステビア茎分散液容器収容工程は、前述の容器収容工程と略同様に後述のステビア茎由来微生物選抜工程において加熱した際に完全滅菌が行われないよう、弱殺菌領域を形成可能な容器に収容する工程である。
【0056】
このステビア茎分散液容器収容工程における弱殺菌領域は、所定の容器内に収容したステビア茎分散液の収容形状のうち、外表面上のいずれの位置からも10cm以上であり、且つ、外表面上の少なくともいずれかの位置から17cm以下となる内部領域である。より好ましくは、外表面上のいずれの位置からも17cmを越える非選抜領域が形成されず弱殺菌領域を形成可能な容器を用いる。
【0057】
ステビア茎由来微生物選抜工程もまた前述の微生物選抜工程と同様、ステビア茎分散液を加熱して、ステビア茎由来の微生物を選抜する工程であり、細かくは第1のステビア茎加熱工程と、第2のステビア茎加熱工程とで構成される。
【0058】
第1のステビア茎加熱工程は、ステビア茎分散液容器収容工程を経てステビア茎分散液を収容した所定の容器を加熱空間内に配置し、同加熱空間を常温常圧の状態から約2.5気圧で150〜160℃の状態にまで30〜40分掛けて昇温し、約2.5気圧で150〜160℃の状態を1〜3分間維持する。
【0059】
第2のステビア茎加熱工程は、第1のステビア茎加熱工程に引き続き、加熱空間を約2気圧で115〜125℃の状態にまで3〜5分間掛けて降温設定し、約2気圧で115〜125℃の状態を20〜40分間維持する。
【0060】
そして、この第1のステビア茎加熱工程と、第2のステビア茎加熱工程とを経た後に、85〜95℃まで冷却を行うことにより、ステビア茎分散液中に加熱選抜された乾燥ステビア茎由来の微生物を残存させる。
【0061】
ステビア茎抽出液調製工程は、ステビア茎由来微生物選抜工程を経たステビア茎分散液から、固液分離により液相を得る工程である。
【0062】
具体的には、前述の第2のステビア茎加熱工程に引き続き、85〜95℃まで降温させたステビア茎分散液を、少なくとも微生物が液相に移行可能な手段により固液分離して、液相をステビア茎の抽出液として得る。このステビア茎抽出液は、Brix値が2.0〜4.0でステビア茎由来の微生物が含まれたものである。
【0063】
抽出液濃縮工程は、ステビア茎抽出液を加熱して煮詰めることにより、所定の濃度まで濃縮することでステビア茎濃縮液を得る工程である。具体的には、ステビア茎抽出液を加熱して煮詰め、常温程度に冷却された状態においてBrix値が4.0〜7.0でpHが6.0以下、ORPが10〜99mVとなるように濃縮を行う。
【0064】
熟成工程は、ステビア茎濃縮液を常温下にて発酵を伴いながら熟成させ、pHが5.0以下でORPが-100mV以下のステビア茎熟成液を得る工程である。
【0065】
このように、ステビア茎分散液調製工程と、ステビア茎分散液容器収容工程と、ステビア茎由来微生物選抜工程と、ステビア茎抽出液調製工程と、抽出液濃縮工程と、熟成工程と、を経ることで、不良発酵防止剤の製造に適したステビア茎の熟成液を得ることができる。
【0066】
また本願は、上述した不良発酵防止剤の製造方法にて得られた不良発酵防止剤を用いるバイオマスの発酵方法についても提供する。
【0067】
特に、本実施形態に係るバイオマスの発酵方法によれば、悪臭の発生を可及的抑制しつつバイオマスを発酵させることができ、しかもバイオマスの種類によっては、得られた発酵物を良質な肥料等として使用することも可能である。
【0068】
本実施形態に係るバイオマスの発酵方法は、不良発酵防止剤混合工程と、第1のバイオマス発酵工程と、第2のバイオマス発酵工程と、篩い掛け工程と、熟成工程と、を有する。
【0069】
不良発酵防止剤混合工程は、上述の不良発酵防止剤の製造方法にて得られた不良発酵防止剤をバイオマスに添加混合しつつ、所定の水分含量に調整する工程である。
【0070】
不良発酵防止剤とバイオマスのと混合割合は、1重量部の不良発酵防止剤に対してバイオマスを8000〜10000重量部とするのが好適であるが、不良発酵防止剤を大量のバイオマスに対して均一に混合させつつ水分含量を調整するために、8000〜10000重量部のバイオマスの水分含量を65〜70%とするために必要な量の水に1重量部の不良発酵防止剤を添加して不良発酵防止剤の希釈液を調製し、この希釈液をバイオマスに対して切り返しや攪拌を行いながら均一に添加するのが望ましい。
【0071】
第1のバイオマス発酵工程は、不良発酵防止剤混合工程を経たバイオマスを堆積状態で静置して、主に嫌気発酵を行わせる工程である。この第1のバイオマス発酵工程は、堆積させたバイオマスの表層から40〜50cm内部の温度が、発酵熱によって50〜55℃、好ましくは55℃程度に達するまで行う。なお、この第1のバイオマス発酵工程では、バイオマス中において嫌気性の微生物による発酵が行われることとなり、一般的には嫌気性微生物が代謝する含硫系化合物によって悪臭が発生するが、本実施形態に係るバイオマスの発酵方法によれば、バイオマスに対して不良発酵防止剤を混合させているため、悪臭は抑制されることとなる。
【0072】
第2のバイオマス発酵工程は、第1のバイオマス発酵工程を経たバイオマスに対して切り返しを行い、バイオマス中に酸素を導入しつつ好気発酵を促す工程である。
【0073】
この第2のバイオマス発酵工程では、75℃を越えない温度に保ちつつバイオマスの水分が40%以下となるまでバイオマスの好気発酵を行わせる。付言すれば、発酵熱によるバイオマスの温度が75℃を越えない所定のタイミングで切り返しを行い、冷却と空気供給とを行いながら発酵させる。
【0074】
また第2のバイオマス発酵工程は、バイオマスの水分含量が30〜40%、好ましくは40%程度まで低下した状態となるまで行い、より好ましくは、水分が50%となるように加水した場合でも70℃を越えるような温度上昇を再び生起しない程度まで行う。
【0075】
篩い掛け工程は、第2のバイオマス発酵工程を経たバイオマスを解しつつ篩いに掛ける工程である。本工程は、バイオマスを解して肥料として適した状態とすると共に、比較的大きな木片などを除去するために行うものである。
【0076】
熟成工程は、篩い掛け工程を経たバイオマスを堆積状態とし、水分が20%以下となるまで静置する工程である。この熟成工程では、堆積させたバイオマスの表面に糸状菌が繁茂することとなり、更なる発酵が行われることとなる。
【0077】
このように、本実施形態に係るバイオマスの発酵方法によれば、上述の工程を経ることとしたため、バイオマスから生じる臭気を、水分含量に比較的とらわれることなく発酵により低減させることができ、しかも、悪臭生成菌の繁殖を抑制して不良発酵を防止できる。
【0078】
また、得られたバイオマス発酵物は、例えばバイオマスを家畜等の排泄物や活性汚泥等とした場合には、畑等に施肥しても悪臭を放つことがなく、植物に対して極めて有用な肥料として用いることができる。
【0079】
以下、本実施形態に係る不良発酵防止剤用微生物のスクリーニング方法、不良発酵防止剤の製造方法、並びにバイオマスの発酵方法について、実施例を挙げて具体的に説明する。
【0080】
〔1.不良発酵防止剤用微生物のスクリーニング〕
20L容量のステンレス容器(直径32cmで高さ38cm)内に、0.85±0.15kgの乾燥ステビア茎粉末と、0.85±0.15kgの米ぬか粉末と、0.85±0.15kgの乾燥おから粉末とを投入し、更に山口県の阿武川河口の汽水域にて採取された汽水17±1.5kgを添加して攪拌混合したものを数バッチ調製し、常温で一晩(約15〜17時間)静置した(静置工程)。この静置した混合物の微生物検査の結果、検出された幾つかの微生物の中から、少なくともLactobacillus buchneriの存在が確認された。
【0081】
また、採取した汽水について別途微生物検査を行い、汽水中にChromatium属に属する光合成細菌群が2.5×10
5cfu/ml含まれていることを確認した。
【0082】
次いで、約20.31L容量の蓋付きステンレス容器P1(内径28cmで高さ33cmの円筒状)内に静置工程を経た混合液を20L収容し、容器内に弱殺菌領域を形成させた(容器収容工程)。また、同様に、約21.04L容量の蓋付きステンレス容器Q1(内径20cmで高さ67cmの円筒状)に、静置工程を経た混合液を20.41L収容し、ステンレス容器Q1内に収容された混合液の収容形状を直径20cmで高さ65cmの円柱状として弱殺菌領域を形成した。併せて、約32.67L容量の蓋付きステンレス容器R1(内径34cmで高さ36cmの円筒状)に、静置工程を経た混合液を30.85L収容し、ステンレス容器R1内に収容された混合液の収容形状を直径34cmで高さ34cmの円柱状として弱殺菌領域を形成した。
【0083】
次に、加圧クッカー内に、混合液を各ステンレス容器P1,Q1,R1ごと収納し、約2.5気圧で150〜160℃の状態にまで45〜60分掛けて昇温し、約2.5気圧で150〜160℃の状態を1〜3分間維持させた(第1の加熱工程)。
【0084】
次に、引き続いて約2気圧で115〜125℃の状態にまで3〜5分間掛けて降温し、約2気圧で115〜125℃の状態を20〜40分間維持させた(第2の加熱工程)。
【0085】
次に、加圧クッカーの加熱スイッチを切り、加圧クッカーの内部温度が常温常圧の状態となるまで24〜30時間掛けて降温させた(降温工程)。
【0086】
そして、加圧クッカーの蓋を開けて、各ステンレス容器P1,Q1,R1内に不良発酵防止剤用微生物のスクリーニングが行われた混合液を得た。この混合液の微生物検査の結果、検出された幾つかの微生物の中から、少なくともLactobacillus buchneriの存在が確認された。
【0087】
〔2.ステビア茎の熟成液の調製〕
まず、所定の容器に1kgの乾燥ステビア茎粉末に対して10±2kgの水を添加して満遍なく混合し、ステビア茎の分散液を調製した(ステビア茎分散液調製工程)。なお、このステビア茎の分散液は数バッチ調製した。
【0088】
次に、約12.27L容量の蓋付きステンレス容器P2(内径25cmで高さ25cm)内に、ステビア茎分散液調製工程にて調製したステビア茎分散液12Lを収容し、容器内に収容したステビア茎分散液に弱殺菌領域を形成させた(ステビア茎分散液容器収容工程)。また、同様に、約21.04L容量の蓋付きステンレス容器Q1(内径20cmで高さ67cmの円筒状)に、ステビア茎分散液調製工程にて調製したステビア茎分散液を12L収容し、ステンレス容器Q1内に収容されたステビア茎分散液の収容形状を直径20cmで高さ38cmの円柱状として弱殺菌領域を形成した。併せて、約32.67L容量の蓋付きステンレス容器R1(内径34cmで高さ36cmの円筒状)に、ステビア茎分散液調製工程にて調製したステビア茎分散液を30.85L収容し、ステンレス容器R1内に収容されたステビア茎分散液の収容形状を直径34cmで高さ34cmの円柱状として弱殺菌領域を形成した。
【0089】
次に、加圧クッカー内に、ステビア茎分散液をステンレス容器P2,Q1,R1ごと収納し、約2.5気圧で150〜160℃の状態にまで30〜40分掛けて昇温し、約2.5気圧で150〜160℃の状態を1〜3分間維持させた(第1のステビア茎加熱工程)。
【0090】
次に、引き続いて約2気圧で115〜125℃の状態にまで3〜5分間掛けて降温設定し、約2気圧で115〜125℃の状態を20〜40分間維持させた(第2のステビア茎加熱工程)。
【0091】
次に、加圧クッカーの加熱を終了し、加圧クッカーの内部が略常圧(開蓋可能な圧力)となり約85〜95℃となったのを見計らって、ステビア茎分散液を収容したステンレス容器P2,Q1,R1を加圧クッカーから取出し、綿製の布袋内にステビア茎分散液を移した。
【0092】
ステビア茎分散液を収容した布袋は、熱い状態のまま脱水装置に供し、固液分離を行ってステビア茎抽出液を得た(ステビア茎抽出液調製工程)。このステビア茎抽出液は、Brix値が2.0〜4.0であり、別途行った微生物検査によりステビア茎由来の微生物であるLactobacillus属の微生物がステンレス容器P2,Q1,R1のいずれにも含まれていることが確認された。
【0093】
次に、得られたステビア茎抽出液を耐熱性の所定容器にそれぞれ収容し、ガスコンロ上に載置して4〜5時間程度加熱しつつ煮詰めることでステビア茎濃縮液の調製を行った(抽出液濃縮工程)。その後、加熱を終了し、常温まで放置冷却したした後にステビア茎濃縮液について理化学検査を行ったところ、Brix値が4.0〜7.0でpHが6.0以下、ORPが10〜99mVであることが確認された。
【0094】
次に、得られたステビア茎濃縮液をステンレス製のフック付の発酵熟成缶(12L容量)に収容し、常温環境下にて静置して熟成を行った(熟成工程)。熟成中は、ステンレス容器P2,Q1,R1のいずれのステビア茎濃縮液からも発酵臭を伴うガスの発生があり、ステンレス容器P2,Q1,R1の容器形状の差異に拘わらず略同程度の発酵を伴っていることが確認された。
【0095】
そして、熟成中のステビア茎濃縮液のpHが5.0以下で、且つ、ORPが-100mV以下となった時点でステビア茎熟成液とした。また、この時点においてもステンレス容器P2,Q1,R1の容器形状に由来する異常発酵などの差異は認められず、この後の実験においてステビア茎熟成液は、いずれも同じものとして扱うこととした。
【0096】
〔3.不良発酵防止剤の調製〕
前述の〔1.不良発酵防止剤用微生物のスクリーニング〕により降温工程を経て不良発酵防止剤用微生物のスクリーニングが行われたステンレス容器P1,Q1,R1中の混合液をそれぞれ別個に綿製の布袋内に収容し、この布袋を脱水装置に供して固液分離を行って微生物含有液を得た(固液分離工程)。
【0097】
次に、フック付の発酵熟成缶(12L容量)に固液分離した微生物含有液約9kgをステンレス容器P1,Q1,R1別に入れ、0.1±0.05kgのメープルシロップを糖源としてそれぞれ添加して均一に攪拌し、常温常圧で大凡20〜30日間静置して発酵を行わせた(第1の発酵工程)。
【0098】
この第1の発酵工程の初期段階では、微生物含有液の液表面に上澄みが生成するが、これは発明者らの経験上、発酵を緩慢化させるため数日毎に取り除いた。また、この初期段階を経過すると、微生物含有液はあたかもビールのような感じで泡立ち初め、微生物により発酵が行われていることが確認された。
【0099】
そして、微生物含有液のpHが4.5以下で、且つ、酸化還元電位が-100mV以下となった時点で第1の発酵工程を終了した。なお、この時点においてステンレス容器P1,Q1,R1の間における容器形状の差異に由来する異常発酵などの違いは確認されなかった。
【0100】
次に、第1の発酵工程を経た微生物含有液に対し、前述の〔2.ステビア茎の熟成液の調製〕にて得られたステビア茎熟成液を添加して均一に攪拌し、常温常圧で大凡20〜25日間静置して発酵を行わせた(第2の発酵工程)。
【0101】
具体的には、10L容量の二次発酵缶に、0.75kgの第1の発酵工程を経たステンレス容器P1,Q1,R1いずれかの微生物含有液と、0.75kgのステビア茎熟成液とを収容し、更に水を加えて10kgとし均一に攪拌することで、第2の発酵工程に供する被発酵液の調製を行った。なお、被発酵液に対しては、必要に応じて0.75±0.1kg程度の糖源を更に添加しても良く、例えば、オリゴ糖、より好ましくはテンサイ糖を添加することができる。
【0102】
そして、pHが3.1以下となるまで発酵させた時点で第2の発酵工程を終了し、得られた発酵液を不良発酵防止剤とした。また、この時点においてもステンレス容器P1,Q1,R1の容器形状に由来する異常発酵などの差異は認められず、この後の実験において不良発酵防止剤は、いずれも同じものとして扱うこととした。
【0103】
〔4.バイオマスの発酵〕
次に、得られた不良発酵防止剤を用いてバイオマスの発酵を行った。ここでは、バイオマスとして、鶏糞や畜糞、脱水済みの活性汚泥、食品残渣が混ぜ合わされた混合状態のものを使用した。
【0104】
またここでは、不良発酵防止剤を用いることなく発酵を行う試験(以下、ネガティブ試験という。)と、不良発酵防止剤を用いて発酵を行うポジティブ試験とを実施した。ポジティブ試験は更に、〔2.ステビア茎の熟成液の調製〕にて得られたステビア茎熟成液を使用して調製した不良発酵防止剤Aと、ステビア茎簡易熟成液を使用して調製した不良発酵防止剤Bとの2種類について検討した。
【0105】
まず、10000kgのバイオマスの平均水分量を測定し、水分含量を65〜70%とするのに必要な水分量を算出した。
【0106】
次に、不良発酵防止剤A又は不良発酵防止剤Bに水を加えて上記必要な水分量となるまで希釈して希釈液を調製し、バイオマスに均一に混合されるよう攪拌しながら散布した(不良発酵防止剤混合工程)。なお、ネガティブ試験においては、バイオマスに対し、上記必要な水分量の水のみを添加した。
【0107】
このように調製したネガティブ試験のバイオマスXと、不良発酵防止剤Aを混合させたバイオマスA1、不良発酵防止剤Bを混合させたバイオマスB1を、それぞれ屋根付きの堆積場に別個に堆積させてバイオマスの発酵を行った(第1のバイオマス発酵工程)。
【0108】
このとき、バイオマスXからは含硫臭気成分と思われる強烈な悪臭が漂い、堆積させたバイオマスXの下部からは強い臭気を有する茶色の漏出液が確認され、所謂不良発酵が進行していることが認められた。また、発酵熱による温度上昇は緩慢で、表層から40〜50cm内部の温度が55℃に達するまで大凡7日を要した。
【0109】
一方、バイオマスA1及びバイオマスB1からは強烈な悪臭が漂うこともなく、また、糞尿由来のアンモニア臭も感じられることは無かった。バイオマスA1及びバイオマスB1の臭気は、大凡乳酸菌と酵母と思われる穏やかな発酵臭が感じられた。また、発酵熱による温度上昇はバイオマスXに比していずれも速やかであった。特に、バイオマスA1は2日、バイオマスB1は3日であり、バイオマスA1の方がバイオマスB1に比して、より円滑な発酵が行われていることが確認された。また、漏出液は確認されなかった。
【0110】
次に、内部温度が55℃に達した時点で、いずれのバイオマスにおいても第1のバイオマス発酵工程を終了し、切り返しを行って内部に空気の供給を行った(第2のバイオマス発酵工程)。
【0111】
このとき、バイオマスXについては、切り返しを行うことにより猛烈な悪臭が発生し、およそ人里近くでの作業は現実的でないものと思われた。また、発酵熱による温度上昇は緩慢であり、温度が75℃に達するまで大凡30日を要し、水分含量が40%以下となるまで65日を要した。その間、切り返しの作業は15回行った。
【0112】
一方、バイオマスA1及びバイオマスB1は、切り返しを行った際に主に酵母によると思われるフルーツ臭が感じられたものの、一般に悪臭と感じられるような含硫臭気成分の如き臭気は感じられなかった。
【0113】
また、発酵熱による温度上昇は比較的円滑で、バイオマスA1の場合、温度が75℃に達するまで大凡10日を要し、水分含量が40%以下となるまで35日を要した。その間、切り返しの作業は7回行った。また、バイオマスB1の場合、温度が75℃に達するまで大凡12日を要し、水分含量が40%以下となるまで45日を要した。その間、切り返しの作業は10回行った。
【0114】
次に、いずれのバイオマスにおいても、水分含量が一旦40%を下回った時点で加水して均一に混合させて水分含量を50%とし、再び堆積状態とした。以下、この作業を単に加水作業という。
【0115】
すると、水分含量が一旦40%を下回った時点では、いずれのバイオマスの発酵熱も55℃程度に落ち着いた状態であったが、再び温度上昇が認められた。
【0116】
この加水作業を繰り返し行い、顕著な温度上昇が見られなくなり、水分含量が40%を下回った時点で第2のバイオマス発酵工程を終了した。加水作業を要した回数は、バイオマスA1は2回であり、バイオマスB1は3回であったが、バイオマスXについては5回と第2のバイオマス発酵工程がなかなか終了しない状態が継続した。
【0117】
次に、第2のバイオマス発酵工程を経た各バイオマスについて、篩い掛けを行った(篩い掛け工程)。
【0118】
そして、篩い掛けした各バイオマスを3次熟成ゲージに堆積状態で配置し、水分含量が20%以下となるまで熟成を行った(熟成工程)。
【0119】
バイオマスA1及びバイオマスB1については、熟成工程を開始して大凡15日程度で表面に白い放線菌の存在が全体的に確認された。一方、バイオマスXについては、部分的に放線菌の存在は確認されたものの、水分含量が20%を下回るまで全体的な蔓延は確認されなかった。
【0120】
そして、いずれのバイオマスについても、水分含量が20%を下回った時点で熟成工程を終了し、バイオマスA1の発酵完了物A2と、バイオマスB1の発酵完了物B2と、バイオマスXの発酵完了物X2とを得た。
【0121】
このように、上述の工程を経た結果、本実施形態に係るバイオマスの発酵方法によれば、バイオマスから生じる臭気を発酵により低減させることができ、しかも、悪臭生成菌の繁殖を抑制して不良発酵を防止できることが示された。また、従来の放線菌のみによる処理に比して、水分含量に比較的とらわれることなく発酵を行うことができた。
【0122】
次に、得られた発酵完了物の状態、及び施肥状態について言及する。発酵完了物X2は、十分な乾燥状態にはあるものの、独特の不快臭が漂うものであり、また、畑に散布した際に、畑から全体的に臭気が漂った。特に、雨が降った後には、より不快臭が強まり、肥料としては不適であると判断された。併せて、作物に対する施肥効果もあまり見られなかった。
【0123】
一方、発酵完了物A2及び発酵完了物B2は、十分な乾燥状態において殆ど臭気は感じられず、ごく弱い土臭や乳酸菌臭が感じられる程度であった。
【0124】
また、発酵完了物A2及び発酵完了物B2は、畑に施肥した場合であっても不快臭は感じられず、また降雨後においても同様であった。更には、作物に対して十分な施肥効果が認められ、不施肥の場合や発酵完了物X2と比較して、良好な肥料として利用可能であることが示された。
【0125】
上述してきたように、本実施形態に係る不良発酵防止剤用微生物のスクリーニング方法によれば、0.6±0.1重量部の乾燥ステビア茎粉末と、0.6±0.1重量部の米ぬか粉末と、0.6±0.1重量部の乾燥おから粉末と、光合成細菌を含有する12±1重量部の汽水と、を混合した混合液を所定時間静置する静置工程と、前記静置工程を経た混合液を所定の容器に収容し、収容された混合液に同混合液の収容形状のいずれの外表面からも20cm以上であり、且つ、25cm以下となる弱殺菌領域を形成する容器収容工程と、前記容器収容工程を経て混合液を収容した所定の容器を加熱空間内に配置し、同加熱空間を常温常圧の状態から約2.5気圧で150〜160℃の状態にまで45〜60分掛けて昇温し、約2.5気圧で150〜160℃の状態を1〜3分間維持し、その後加熱空間を約2気圧で115〜125℃の状態にまで3〜5掛けて降温設定し、約2気圧で115〜125℃の状態を20〜40分間維持し、更に加熱空間を常温常圧の状態にまで24〜30時間掛けて降温させて、前記混合液中に加熱選抜された微生物を残存させる微生物選抜工程と、を有することとしたため、バイオマスから生じる臭気を、水分含量に比較的とらわれることなく発酵により低減させることができ、しかも、悪臭生成菌の繁殖を抑制して不良発酵を防止できる不良発酵防止剤用の微生物のスクリーニング方法を提供することができる。
【0126】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。