【解決手段】 本発明は、シルクペプチド、水溶性食物繊維及び糖質とを含有し、シルクペプチドと水溶性食物繊維とを、1:5000〜0.01の範囲の質量比で含有することにより、上記課題を解決する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜6には何れもシルクペプチドや糖アルコールの味が好ましいものではない旨の記載があり、その呈味の改善が検討されている。
【0006】
また、オリゴ糖は、その機能性から多くの飲食物に使用されているが、使用するに際し、オリゴ糖には独特の風味があるため、その風味を改善することが求められている。
【0007】
さらに、シルクペプチドは、その臭い・味が好ましくなく、その改善のためにマスキング剤と組み合わせることが検討されているが、シルクペプチドそのものをマスキング剤として使用することは、これまでに検討されていない。
【0008】
出願人が鋭意検討したところ、オリゴ糖や糖アルコールに、公知の水溶性食物繊維等のマスキング剤を組み合わせても、その呈味改善が十分でないことがわかった。しかしながら、これらに単独では味が好ましくないシルクペプチドを加えることで、オリゴ糖及び/又は糖アルコールの呈味が改善されることを見出した。
【0009】
本発明は上記発見に基づいて完成されたものであり、その目的は、シルクペプチド、水溶性食物繊維及び糖質を含有する組成物を提供することである。また別の目的は、シルクペプチド及び水溶性食物繊維を含有することにより、糖質の呈味が改善された組成物を提供することである。
【0010】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1] シルクペプチド、水溶性食物繊維及び糖質を含有することを特徴とする組成物である。
[2] 前記[1]の組成物は糖質がオリゴ糖及び糖アルコールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
[3] 前記[1]又は[2]の組成物はシルクペプチド、水溶性食物繊維、オリゴ糖及び糖アルコールを含有することを特徴とする。
[4] 前記[1]〜[3]の組成物はシルクペプチドと水溶性食物繊維とを、1:5000〜0.01の範囲の質量比で含有することを特徴とする。
[5] 前記[1]〜[4]の組成物が、容器詰め飲料又はインスタント粉末飲料であることを特徴とする。
[6] 糖質の呈味が改善されることを特徴とする、前記[1]〜[5]に記載の組成物。
【0011】
さらに、本発明は以下に関する。
[7] シルクペプチドを有効成分とすることを特徴とする、呈味改善剤。
[8] さらに、水溶性食物繊維を含む前記[7]に記載の呈味改善剤。
[9] 糖質の呈味を改善することを特徴とする、前記[7]又は[8]に記載の呈味改善剤。
[10] 糖質がオリゴ糖及び糖アルコールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、前記[7]〜[9]に記載の呈味改善剤。
[11] 呈味改善剤において、シルクペプチドと水溶性食物繊維とを、1:5000〜0.01の範囲の質量比で含有することを特徴とする、前記[7]〜[10]に記載の呈味改善剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シルクペプチド、水溶性食物繊維及び糖質を含有する組成物、及びシルクペプチドを有効成分とする糖質の呈味改善剤を提供することができる。
【0013】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0014】
・組成物
本発明による組成物は、前記したように、シルクペプチドと、水溶性食物繊維と、糖質とを含んでなる。
【0015】
・シルクペプチド
本発明のシルクペプチドは、原料となるシルク(例えば蚕の繭殻又は蚕糸などに由来するもの)を、例えば、アルカリ性物質、酸、中性塩及び界面活性剤などの化学薬品又はタンパク質分解酵素などによって加水分解することで生成したものを指す。本発明に使用するシルクペプチドは、市販されているものを使用してもよく、又は、シルクプロテインをそのまま微粉砕して得られるか、若しくは加水分解した後、粉砕して所望の分子量に調整したものを使用してもよい。また、その平均分子量は100〜10万に調製したものが好ましく、さらにその平均分子量は500〜1万であることがより好ましい。
【0016】
・水溶性食物繊維
また本発明の呈味改善剤は水溶性食物繊維を含み得る。水溶性食物繊維としては、特に制限はないが、例えば難消化性デキストリン、ペクチン、グアー豆酵素分解物、グアーガム、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストロース、アルギン酸及びその塩、βグルカン、イヌリン、カラギーナン、フコイダン、及びこれらの誘導体などが挙げられる。水溶性食物繊維としては、これらの中でも、後記実施例に示されているように、難消化性デキストリンを好適に用いることができる。
【0017】
・糖質
糖質としては、特に制限はないが、例えば砂糖、オリゴ糖、糖アルコール、甘味料、高甘味度甘味料、及びこれらの誘導体などが挙げられる。糖質としては、これらの中でも、オリゴ糖及び糖アルコールが好ましい。
【0018】
・オリゴ糖
オリゴ糖としては、特に制限はないが、例えばスクロース、ラクトース、トレハロース、麦芽糖、ツラノース、セロビオース、ラフィノース、パノース、マルトトリオース、メレジトース、ゲンチアノース、アカルボース、スタキオース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、乳果オリゴ糖などが挙げられる。オリゴ糖としては、これらの中でも、後記実施例に示されているように、麦芽糖及びイソマルトオリゴ糖を好適に用いることができる。また、本発明においては、市販品を使用することができる。
【0019】
・糖アルコール
糖アルコールとしては、特に制限はないが、例えばキシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、オリゴ糖アルコール、エリスリトール、低糖化還元水飴、高糖化還元水飴、還元麦芽糖などが挙げられる。糖アルコールとしては、これらの中でも、後記実施例に示されているように、エリスリトール及び還元麦芽糖を好適に用いることができる。
【0020】
本発明の飲食品組成物の形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、粒状剤、棒状剤、板状剤、ブロック状剤、固形状剤、丸状剤、ペースト状剤、クリーム状剤、カプレット状剤、ゲル状剤、チュアブル状剤、スティック状剤等を挙げることができる。これらの中でも、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤の形態が特に好ましい。具体的には、サプリメントや、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水(湯)、牛乳、果汁、青汁等に溶解して飲むためのインスタント粉末飲料、インスタント顆粒飲料を例示することができる。特に、容器詰め飲料、インスタント粉末飲料及びインスタント顆粒飲料は食事の際などに手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0021】
本発明の飲食品組成物は、好ましくは容器詰め飲料である。使用する容器は特に限定しないが、瓶に充填された容器詰め飲料が好ましく、その容量としては25〜500mlが好ましく、30〜250mlがより好ましく、35〜100mlがさらに好ましい。
【0022】
本発明の飲食品組成物において、本発明の飲食品組成物が容器詰飲料である場合には、シルクペプチドの含有量は、例えば、飲食品組成物の全質量に対して0.0005質量%以上であり、好ましくは0.001質量%以上であり、0.005質量%以上含まれていることがさらに好ましい。
【0023】
本発明の飲食品組成物において、本発明の飲食品組成物が容器詰飲料である場合には、水溶性食物繊維の含有量は、例えば、飲食品組成物の全質量に対して0.001質量%以上であり、好ましくは0.005質量%以上であり、0.01質量%以上含まれていることがさらに好ましい。
【0024】
本発明の飲食品組成物において、本発明の飲食品組成物が容器詰飲料である場合には、糖質の含有量は、例えば、飲食品組成物の全質量に対して0.0001質量%以上含まれていることが好ましく、0.001質量%以上含まれていることがより好ましく、0.01質量%以上含まれていることがさらに好ましい。
【0025】
本発明の飲食品組成物において、本発明の飲食品組成物が容器詰飲料である場合には、オリゴ糖の含有量は、例えば、飲食品組成物の全質量に対して0.0001質量%以上含まれていることが好ましく、0.001質量%以上含まれていることがより好ましく、0.01質量%以上含まれていることがさらに好ましい。
【0026】
本発明の飲食品組成物において、本発明の飲食品組成物が容器詰飲料である場合には、糖アルコールの含有量は、例えば、飲食品組成物の全質量に対して0.001質量%以上含まれていることが好ましく、0.005質量%以上含まれていることがより好ましく、0.05質量%以上含まれていることがさらに好ましい。
【0027】
本発明の飲食品組成物が容器詰飲料である場合には、シルクペプチド及び水溶性食物繊維が飲食品組成物の全質量に対して0.0005〜15質量%含まれていることが好ましく、0.005〜12.5質量%含まれていることがより好ましく、0.05〜10質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0028】
本発明の飲食品組成物は、好ましくはインスタント粉末飲料(粉末剤)、インスタント顆粒飲料(顆粒剤)である。限定しないが、1包当たりの容量としては10〜300gが好ましく、35〜200gがより好ましく、50〜150gがさらに好ましい。
【0029】
また、本発明の飲食品組成物がインスタント粉末飲料(粉末剤)やインスタント顆粒飲料(顆粒剤)である場合には、シルクペプチドの含有量は、例えば、飲食品組成物の全質量に対して0.0001〜15質量%含まれていることが好ましく、0.0005〜10質量%含まれていることがより好ましく、0.001〜5質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0030】
また、本発明の飲食品組成物がインスタント粉末飲料(粉末剤)やインスタント顆粒飲料(顆粒剤)である場合には、水溶性食物繊維の含有量は、例えば、飲食品組成物の全質量に対して0.001〜80質量%含まれていることが好ましく、0.005〜70質量%含まれていることがより好ましく、0.1〜60質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0031】
本発明の飲食品組成物がインスタント粉末飲料(粉末剤)やインスタント顆粒飲料(顆粒剤)である場合には、糖質の含有量は、例えば、飲食品組成物の全質量に対して0.001〜90質量%含まれていることが好ましく、0.01〜80質量%含まれていることがより好ましく、0.1〜70質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0032】
本発明の飲食品組成物がインスタント粉末飲料(粉末剤)やインスタント顆粒飲料(顆粒剤)である場合には、オリゴ糖の含有量は、例えば、飲食品組成物の全質量に対して0.001〜80質量%含まれていることが好ましく、0.01〜60質量%含まれていることがより好ましく、0.1〜40質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0033】
また、本発明の飲食品組成物がインスタント粉末飲料(粉末剤)やインスタント顆粒飲料(顆粒剤)である場合には、糖アルコールの含有量は、例えば、飲食品組成物の全質量に対して0.001〜60質量%含まれていることが好ましく、0.005〜40質量%含まれていることがより好ましく、0.1〜20質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0034】
また、本発明の呈味改善剤がインスタント粉末飲料(粉末剤)、インスタント顆粒飲料(顆粒剤)である場合には、シルクペプチド及び水溶性食物繊維が乾燥質量換算で全体の0.001〜50質量%含まれていることが好ましく、0.01〜40質量%含まれていることがより好ましく、0.1〜30質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0035】
本発明による飲食品組成物は、そこに含まれるオリゴ糖及び/又は糖アルコールによって起こされる呈味劣化が改善されたものである。ここで呈味劣化とは、オリゴ糖及び/又は糖アルコール自体が持つ不快な臭いや味によって、飲食品組成物全体の呈味が損なわれている状態をいう。従って、呈味劣化の改善とは、そのようなオリゴ糖及び/又は糖アルコールの不快な臭いや味により呈味・風味が劣化した状態から、オリゴ糖及び/又は糖アルコールの不快な臭いや味が感じられなくなるか、感じられにくくなる(マスキングされる)一方で、飲食品組成物全体の呈味がより感じられるようになった状態をいう。すなわち、改善には、呈味が劣化する前の状態に近づくか、前の状態に回復するか、さらには、呈味が需要者に望まれるものに向上した場合も含まれる。
【0036】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の飲食品組成物において、シルクペプチドとオリゴ糖との配合比は、1:10000〜1の範囲であり、さらに好ましくは、1:8000〜1の範囲であり、さらにより好ましくは、1:6000〜1の範囲である。オリゴ糖とシルクペプチドとの配合比がこの範囲内であると、オリゴ糖による呈味劣化を改善する効果がより強まるため望ましい。
【0037】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の飲食品組成物において、シルクペプチドと糖アルコールとの配合比は、好ましくは、1:1000〜0.01の範囲であり、さらに好ましくは、1:500〜0.05の範囲であり、さらにより好ましくは、1:100〜0.01の範囲である。糖アルコールとシルクペプチドとの配合比がこの範囲内であると、糖アルコールによる呈味劣化を改善する効果がより強まるため望ましい。
【0038】
・その他の成分
本発明においては、シルクペプチドの他、必要に応じて、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸(塩)類、無機酸(塩)類、色素類、乳化剤、保存料、甘味料、酸味料、塩等のその他調味料、増粘安定剤、油、ビタミン、アミノ酸、ミネラル、果汁、エキス類、食物繊維、環状オリゴ糖、pH調整剤、キレート剤又は品質安定剤等の成分を単独で又は2種以上を併用して配合してもよい。
【0039】
・呈味改善剤
本発明の別の態様によれば、本発明はシルクペプチドを有効成分とする糖質の呈味改善剤という態様を取りうる。さらに、本発明の呈味改善剤は、シルクペプチドと水溶性食物繊維とを有効成分とする糖質の呈味改善剤という態様を取りうる。
【0040】
・シルクペプチド及び水溶性食物繊維
シルクペプチドと水溶性食物繊維は、組成物に関する説明で記載したものと同様のものを使用することが出来る。
【0041】
糖質とシルクペプチドを組み合わせて使用することで、糖質による呈味、詳しくは刺激味、後味等を改善することができる。さらに、糖質と、シルクペプチド及び水溶性食物繊維とを組み合わせて使用することで、糖質による呈味、詳しくは刺激味、後味等をより改善することができる。
【0042】
ここで好ましくは、本発明の呈味改善剤において、シルクペプチドと水溶性食物繊維は、1:5000〜0.01の範囲の質量比で使用するのがよい。より好ましくは、この配合比は、1:500〜0.1の範囲であり、さらに好ましくは、1:400〜0.2の範囲である。
【0043】
呈味改善剤の使用量は、呈味改善が図られる限りにおいて特に限定されないが、呈味改善しようとする組成物や食品における糖質の量に応じて適宜決定することができる。この場合、例えば、シルクペプチドと水溶性食物繊維との合計量が、糖質に対して少なくとも0.1倍量(質量換算)存在するのがよく、より好ましくは少なくとも0.2倍量であり、さらに好ましくは少なくとも0.3倍量存在するのがよい。
【0044】
・呈味改善方法
本発明においては、前記したように、糖質をシルクペプチドと共に使用することを特徴とする、糖質による呈味劣化を改善する方法が提供される。好ましくは、糖質をシルクペプチドと水溶性食物繊維と共に使用することを特徴とする、糖質による呈味劣化を改善する方法が提供される。すなわち、糖質を含む飲食品組成物の呈味を改善する方法である。
【0045】
・シルクペプチド及び水溶性食物繊維
シルクペプチドと水溶性食物繊維は、組成物に関する説明で記載したものと同様のものを使用することが出来る。
【0046】
本発明の好ましい態様によれば、この方法において、シルクペプチドと水溶性食物繊維とを、1:10000:〜0.3の範囲の質量比で使用するのがよい。
【0047】
本発明の別の好ましい態様によれば、この方法において、シルクペプチドと水溶性食物繊維との合計量を、糖質に対して少なくとも0.1倍量(質量換算)とするのがよい。
【0048】
本発明のさらに別の好ましい態様によれば、この方法において、容器詰め飲料又はインスタント粉末飲料における、糖質による呈味劣化を改善するのがよい。
【実施例】
【0049】
以下において、本発明を下記の実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
(1) 食品組成物の製造
材料
オリゴ糖として、市販されている麦芽糖およびイソマルトオリゴ糖を用意した。
糖アルコールとして、市販されているエリスリトールおよび還元麦芽糖を用意した。
水溶性食物繊維として、市販されている食物繊維含量が85%以上の難消化性デキストリンを用意した。
シルクペプチドは市販されているものを用意した。
【0051】
調製法
上記の各材料を、表1〜4に示した配合割合に従って配合し、各飲食品組成物を調製した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
(2) 官能評価試験(各成分の組合せによる呈味改善の評価)
試験方法
前記(1)で得られた各飲食品組成物15gを、それぞれ水150mlに対して溶解させ、官能試験用の液状組成物を得た。
得られた液状組成物を官能評価した。官能評価は、20〜30代の男女6名による試飲により行った。
評価は試験毎に用意した複数の液状組成物の内から一つを選択し、その液状組成物を基準サンプルとして他の残りの液状組成物を評価パネルが飲み比べ、前者に対して後者が、以下の判定基準の各評価項目についてどのように感じられたかを、アンケートを使って評価した。このとき、基準の評価点を5点とし、基準サンプルと比べて良い場合の最高値を10点、基準サンプルと比べて悪い場合の最低値を0点とした。得られた各パネルの結果の平均をとり、各液状組成物の結果とした。
【0057】
【表5】
【0058】
実施例1
表1に記載の各サンプルを用いて、イソマルトオリゴ糖及びエリスリトールに、シルクペプチド、難消化性デキストリン、及びデキストリンのいずれかを組み合わせた場合、イソマルトオリゴ糖及びエリスリトールの呈味のあらわれ方に違いがあるのか確認した。
【0059】
具体的には、基準として、1−1を選び、前記の官能試験方法に従って、1−2〜1−5について官能試験を行った。
【0060】
結果は、下記表6に示されたとおりであった。基準である1−1に対して、1−4と1−5は、全ての評価項目が他のサンプルよりも優れていた。例えば、イソマルトオリゴ糖及びエリスリトールの「渋味」「えぐ味」「刺激味」等を改善し、「味の厚み」「コク」「まろやかさ」等をもたらすなどの観点で呈味に違いが観られた。また、1−5は1−4に対して、全ての項目で優れており、特に、イソマルトオリゴ糖及びエリスリトールの呈味を改善するだけでなく、「味の厚み」と「コク」を大きく増すことがわかった。さらに、1−2と1−3は1−1よりも評価は低く、イソマルトオリゴ糖及びエリスリトールに難消化性デキストリン又はデキストリンを組み合わせても、呈味が改善しないばかりか、「えぐ味」や「味の厚み」等の評価が悪くなることがわかった。
結果から、イソマルトオリゴ糖及びエリスリトールにシルクペプチドを組み合わせた場合、イソマルトオリゴ糖及びエリスリトールの呈味を改善するのに適していることがわかった。さらに、イソマルトオリゴ糖及びエリスリトールにシルクペプチドと難消化性デキストリンとを組み合わせて使用した場合、イソマルトオリゴ糖及びエリスリトールの呈味を改善するのに最も適していることがわかった。
【0061】
【表6】
【0062】
実施例2
表2に記載の各サンプルを用いて、イソマルトオリゴ糖及び還元麦芽糖に、シルクペプチド、難消化性デキストリン、及びデキストリンのいずれかを組み合わせた場合、イソマルトオリゴ糖及び還元麦芽糖の呈味のあらわれ方に違いがあるのか確認した。
【0063】
具体的には、基準として、2−1を選び、実施例1の試験方法に従って、2−2〜2−5について官能試験を行った。
【0064】
結果は、下記表7に示されたとおりであった。基準である2−1に対して、2−4と2−5は、全ての評価項目が他のサンプルよりも優れていた。例えば、イソマルトオリゴ糖及び還元麦芽糖の「甘さ」「えぐ味」等を改善し、「味の厚み」「コク」「まろやかさ」等をもたらすなどの観点で呈味に違いが観られた。また、2−5は2−4に対して、全ての項目で優れており、特に、イソマルトオリゴ糖及び還元麦芽糖の呈味を改善するだけでなく、「味の厚み」と「コク」を増すことがわかった。さらに、2−2と2−3は2−1よりも評価は低く、イソマルトオリゴ糖及び還元麦芽糖に難消化性デキストリン又はデキストリンを組み合わせても、呈味が改善しないばかりか、「味の厚み」「コク」や「まろやかさ」等の評価が悪くなることがわかった。
結果から、イソマルトオリゴ糖及び還元麦芽糖にシルクペプチドを組み合わせた場合、イソマルトオリゴ糖及び還元麦芽糖の呈味を改善するのに適していることがわかった。さらに、イソマルトオリゴ糖及び還元麦芽糖にシルクペプチドと難消化性デキストリンとを組み合わせて使用した場合、イソマルトオリゴ糖及び還元麦芽糖の呈味を改善するのに最も適していることがわかった。
【0065】
【表7】
【0066】
実施例3
表3に記載の各サンプルを用いて、麦芽糖及び還元麦芽糖に、シルクペプチド、難消化性デキストリン、及びデキストリンのいずれかを組み合わせた場合、麦芽糖及び還元麦芽糖の呈味のあらわれ方に違いがあるのか確認した。
【0067】
具体的には、基準として、3−1を選び、実施例1の試験方法に従って、3−2〜3−5について官能試験を行った。
【0068】
結果は、下記表8に示されたとおりであった。基準である3−1に対して、3−4と3−5は、全ての評価項目が他のサンプルよりも優れていた。例えば、麦芽糖及び還元麦芽糖の「えぐ味」等を改善し、「味の厚み」「コク」「まろやかさ」等をもたらすなどの観点で呈味に違いが観られた。また、3−5は3−4に対して、全ての項目で優れており、特に、麦芽糖及び還元麦芽糖の「えぐ味」を改善し、「味の厚み」と「コク」を増すことがわかった。さらに、3−2と3−3は3−1よりも評価は低く、麦芽糖及び還元麦芽糖に難消化性デキストリン又はデキストリンを組み合わせても、呈味が改善しないばかりか、「味の厚み」「コク」や「まろやかさ」等の評価が悪くなることがわかった。
結果から、麦芽糖及び還元麦芽糖にシルクペプチドを組み合わせた場合、麦芽糖及び還元麦芽糖の呈味を改善するのに適していることがわかった。さらに、麦芽糖及び還元麦芽糖にシルクペプチドと難消化性デキストリンとを組み合わせて使用した場合、麦芽糖及び還元麦芽糖の呈味を改善するのに最も適していることがわかった。
【0069】
【表8】
【0070】
実施例4
表4に記載の各サンプルを用いて、麦芽糖及びエリスリトールに、シルクペプチド、難消化性デキストリン、及びデキストリンのいずれかを組み合わせた場合、麦芽糖及びエリスリトールの呈味のあらわれ方に違いがあるのか確認した。
【0071】
具体的には、基準として、4−1を選び、実施例1の試験方法に従って、4−2〜4−5について官能試験を行った。
【0072】
結果は、下記表9に示されたとおりであった。基準である4−1に対して、4−4と4−5は、全ての評価項目が他のサンプルよりも優れていた。例えば、麦芽糖及び還元麦芽糖の「えぐ味」等を改善し、「味の厚み」「コク」「まろやかさ」等をもたらすなどの観点で呈味に違いが観られた。また、4−5は4−4に対して、全ての項目で優れており、特に、麦芽糖及び還元麦芽糖の「えぐ味」「刺激味」「後味」等を改善し、「味の厚み」と「コク」等を増すことがわかった。さらに、4−2と4−3は4−1よりも評価は低く、麦芽糖及び還元麦芽糖に難消化性デキストリン又はデキストリンを組み合わせても、呈味が改善しないばかりか、「味の厚み」「コク」や「まろやかさ」等の評価が悪くなることがわかった。
結果から、麦芽糖及び還元麦芽糖にシルクペプチドを組み合わせた場合、麦芽糖及び還元麦芽糖の呈味を改善するのに適していることがわかった。さらに、麦芽糖及び還元麦芽糖にシルクペプチドと難消化性デキストリンとを組み合わせて使用した場合、麦芽糖及び還元麦芽糖の呈味を改善するのに最も適していることがわかった。
【0073】
【表9】
【0074】
(3) 官能評価試験(シルクペプチドと水溶性食物繊維の配合比の評価)
【0075】
調製法
(1)の各材料と同様に、オリゴ糖として、市販されている麦芽糖およびイソマルトオリゴ糖を用意した。 糖アルコールとして、市販されているエリスリトールを用意した。 水溶性食物繊維として、市販されている食物繊維含量が85%以上の難消化性デキストリンを用意した。シルクペプチドは市販されているものを用意した。
上記の各材料を、表10〜12に示した配合割合に従って配合し、各飲食品組成物を調製した。
【0076】
試験方法
前記(3)で得られた各飲食品組成物15gを、それぞれ水150mlに対して溶解させ、官能試験用の液状組成物を得た。
得られた液状組成物を官能評価した。官能評価は、20〜30代の男女6名による試飲により行った。
評価は試験毎に用意した複数の液状組成物の内から一つを選択し、その液状組成物を基準サンプルとして他の残りの液状組成物を評価パネルが飲み比べ、前者に対して後者が、よりおいしく感じるか、同等程度か、もしくはよりまずく感じるかについてアンケートをとり、各液状組成物の結果とした。
【0077】
実施例5
表10に記載の各サンプルを用いて、イソマルトオリゴ糖及びエリスリトールの呈味を改善する上で、シルクペプチドと難消化性デキストリンの配合比がどのように影響を及ぼすかを検討した。
【0078】
具体的には、下記表10の配合割合に従って配合し、各飲食品組成物を調製した。基準として、5−3を選び、前記の試験方法に従って、官能試験を行った。
【0079】
結果は、下記表10に示されたとおりであった。なお、表10には基準サンプルと比べておいしいと感じた人数を記載した。
結果から、イソマルトオリゴ糖及びエリスリトールの呈味を改善する際にはシルクペプチドと難消化性デキストリンには、適切な配合比が存在することがわかった。イソマルトオリゴ糖とエリスリトールが重量比20:50の場合、シルクペプチドと難消化性デキストリンは配合比が1:299〜0.03であることが好ましく、さらに配合比が1:29〜0.03であることが好ましく、特に1:29〜0.5であることが好ましいことが分かった。
【0080】
【表10】
【0081】
実施例6
表11に記載の各サンプルを用いて、麦芽糖の呈味を改善する上で、シルクペプチドと難消化性デキストリンの配合比がどのように影響を及ぼすかを検討した。
【0082】
具体的には、下記表11の配合割合に従って配合し、各飲食品組成物を調製した。基準として、6−3を選び、実施例5の試験方法に従って、官能試験を行った。
【0083】
結果は、下記表11に示されたとおりであった。なお、表11には基準サンプルと比べておいしいと感じた人数を記載した。
結果から、麦芽糖の呈味を改善する際にはシルクペプチドと難消化性デキストリンには、適切な配合比が存在することがわかった。麦芽糖が50重量部の場合、シルクペプチドと難消化性デキストリンは配合比が1:4999〜1.5であることが好ましく、さらに配合比が1:4999〜4であることが好ましく、特に1:499〜4であることが好ましいことが分かった。
【0084】
【表11】
【0085】
実施例7
表12に記載の各サンプルを用いて、エリスリトールの呈味を改善する上で、シルクペプチドと難消化性デキストリンの配合比がどのように影響を及ぼすかを検討した。
【0086】
具体的には、下記表12の配合割合に従って配合し、各飲食品組成物を調製した。基準として、7−3を選び、実施例5の試験方法に従って、官能試験を行った。
【0087】
結果は、下記表12に示されたとおりであった。なお、表12には基準サンプルと比べておいしいと感じた人数を記載した。
結果から、エリスリトールの呈味を改善する際にはシルクペプチドと難消化性デキストリンには、適切な配合比が存在することがわかった。エリスリトールが65重量部の場合、シルクペプチドと難消化性デキストリンは配合比が1:34〜0.15であることが好ましく、さらに配合比が1:6〜0.15であることが好ましく、特に1:6〜0.4であることが好ましいことが分かった。
【0088】
【表12】
【0089】
製造例1
下記処方例に記載の配合比に従って原料を混合し、容器詰め飲料を製造した。
なお下記処方例では、エリスリトールとイソマルトオリゴ糖と難消化性デキストリンとシルクペプチドの配合比は、6:2:2:1であり、シルクペプチドの質量(1質量部)に対するエリスリトールとイソマルトオリゴ糖との合計量は、8倍量であった。
【0090】
【表13】
【0091】
製造例2
下記処方例に記載の配合比に従って原料を混合し、インスタント粉末飲料を製造した。
なお下記処方例では、麦芽糖と難消化性デキストリンとシルクペプチドの配合比(配合比)は、50:44:1であり、シルクペプチドの質量(1質量部)に対する麦芽糖の配合量は、50倍量であった。
【0092】
【表14】