特開2017-99731(P2017-99731A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017099731-身体背面部薬剤塗布等用具 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-99731(P2017-99731A)
(43)【公開日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】身体背面部薬剤塗布等用具
(51)【国際特許分類】
   A61M 35/00 20060101AFI20170512BHJP
【FI】
   A61M35/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-236219(P2015-236219)
(22)【出願日】2015年12月3日
(71)【出願人】
【識別番号】515323065
【氏名又は名称】石塚 志げ
(74)【代理人】
【識別番号】715010716
【氏名又は名称】石塚 薫
(72)【発明者】
【氏名】石塚 志げ
【テーマコード(参考)】
4C167
【Fターム(参考)】
4C167AA64
4C167BB18
4C167BB19
4C167BB32
4C167CC01
4C167HH17
(57)【要約】
【課題】自身の手が届かない、主に身体背面部に、外用薬剤等を塗布する用具は、薬剤の入ったボトルバサミしかなかった。これではペースト状の薬剤は塗布できない。
【解決手段】
本発明では、目的に応じたアタプターを装着し、フレキシブルアームを適度に湾曲させ、目的に応じたアタプターを装着することにより、他者の手を借りずに、手の届かない患部に外用薬剤等を塗布することができる。アタプターは4種類あるので、ボトル容器に入った薬剤を挟んで塗布できるほか、比較的広範囲・比較的狭い範囲や、凹凸部のある患部、また、いわゆる「孫の手」のように、手の届かない患部等に薬剤等を塗布したり、掻くことが可能となる。また、アタプターが90度湾曲していることを利用し、自身の手の届かない遠位にある物品等を手元に引き寄せたり、逆に手元にある物品等を遠位に押しやることができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルアームと、このフレキシブルアームの一端部に設けられた把握部と、他端部に設けられたアタプターを装着するジョイント部とを有することを特徴とする身体背面部薬剤塗布等用具。
【請求項2】
前期ジョイント部に装着するアダプターは、薬剤入り容器(ボトル)を脱着可能に保持できる保持部を有する第1の薬剤塗布用アダプターと、平坦状の塗布部とを有する第2の薬剤塗布アダプターと、弧状に突出した塗布部を有する第3の薬剤塗布アタプターと、痒いところを掻けるように多数の円錐状に突出した第4のアタプターであり、前記本体ジョイント部には、第1・第2・第3・第4の各アダプターが交換可能に取り付けられること、すなわち多機能であることを特徴とする請求項1に記載の身体背面部薬剤塗布等用具。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おもに身体背面部で、自身の手が届かない部分に、他者の手を借りず。薬剤等塗布用具に関する。
【背景技術】
【0002】
世界各国の中でも、日本では、もっとも高齢化社会が進み、その結果、独居老人が増加することは自明の理である。しかのみならず、直近の国勢調査発表済みを見れば、生涯未婚率は、男性の場合35%、女性の場合は27%にも上るとの結果が看取できる。すなわち、老齢者に限らず、独居生活者がかなりの数に上り、その絶対数は、年々増加の一途をたどってゆくことが、容易に想像される。
【0003】
この場合、独居生活者は、身の回りのことを、ほとんどすべて、自分自身で行わなければならない必要性に迫られる。一例を挙げれば、主に皮膚疾患や炎症を伴う疾患に罹患し、医療機関を受診した後、医師の処方塗布薬を渡されたとしても、また、虫さされ等に遭い、市販の塗布薬を使用する場合であっても、自身の手の届く範囲は、手を用いて塗布することが可能であるが、手の届かないところは、他者の手を借りて外用薬剤等を塗布するか、あらかじめタオルのような物に薬剤等を塗りつけておき、乾布摩擦の要領で身体背面部に塗布するか、または棒状のもの、例えば、いわゆる「孫の手」などを応用し、かなり苦労して塗布するしかなかった。
【0004】
これらの方法は、肩に障害があったり、また、高齢になって、腕が上がらなくなった生活者にとっては、かなりの苦痛である。また、必ずしも、塗布すべき場所に、ピンポイント、ないしは広範囲に塗布できるとは限らなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−261881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまでの特許は、単に薬剤等の入ったボトルを挟む機能しか持たず、なおかつ使用者の身体の体型や大小を考慮していなかった。
従来、外用薬剤等は、ボトルに入った液体状の物とは限らない。容器に入った混合クリームの場合も、チューブに入った物もある。これらを、主に身体背面部で、自身の手が届かない部分に、他者の手を借りずに塗布することは、困難であった。
また、痒いところに、いわゆる「孫の手」を使用しようとしても、「孫の手」状では、湾曲しないので、肩関節の可動域に制限がある生活者にとっては、困難であった。
本発明は、これらの諸課題を、アタプターを交換することで解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、これらの諸課題を、アタプターを交換することで一挙に解決しようとするものである。上記した問題を解決するため、「孫の手」のような、棒状の塗布用具ではなく、かつ軽量で、適度な反発力を持ったフレキシブルアームを採用し、両端に合成樹脂素材を採用した、把握部・ジョイント部を設けた本体と、目的に応じた4種類のアタプターを装着することによって、複数の機能を有させ、場合によっては鏡などを併用しながら、自身の手の届かない身体背面部に、ピンポイント、あるいは広範に薬剤を塗布すること、および自身の手が届かない所にある物品を手元に引き寄せられる装置を発明したものである。
【0008】
第1の発明は、フレキシブルアームと、このフレキシブルアームの一端部に設けられた把握部と、他端部に設けられたアタプターを装着するジョイント部とを有することを特徴とする、身体背面部薬剤塗布等用具である。
第2の発明は、第1の発明において、前期ジョイント部に装着するアダプターは、薬剤入り容器(ボトル)を脱着可能に保持できる保持部を有する第1の薬剤塗布用アダプターと、平坦状の塗布部とを有する第2の薬剤塗布アダプターと、弧状に突出した塗布部を有する第3の薬剤塗布アタプターと、痒いところを掻けるように多数の円錐状に突出した第4のアタプターであり、前記本体ジョイント部には、第1・第2・第3・第4の各アダプターが交換可能に取り付けられること,すなわち多機能であることを特徴とする身体背面部薬剤塗布等用具である。
【発明の効果】
【0009】
従来の技術では、薬剤入りボトルを挟む機能しかもたない。すなわち、単機能である。しかし、本発明では、複数のアタプターを交換することで、一式用意し、消毒用エタノール等を用意しておけば、薬剤入りボトル容器保持機能の他、外用混合薬剤、チューブ入り薬剤など、主に手で塗布することを想定した薬剤等を、他者の手を借りずに、自分自身で、自身の手の届かない、主に身体背面部に、必要な範囲に外用薬剤等を塗布することができる。
【0010】
とくに独居者が増加することは自明の理であり、また地球温暖化により発生する皮膚疾患患者が増加することも予想されるが、手の届かない箇所に薬剤等を塗布しなければならない不自由から脱却できる。なにより、今まで不自由していた、「手の届かない所に、どうやって薬を塗るか」という課題が、一挙に解決されるのである。
【0011】
また、縁者以外の者に頼みにくい場合も、自分一人で薬が塗布できるとなれば、他者に依頼した場合の礼品等の気遣いも不要になり、ヘルパー等に依頼することもなくなるので、保険行政にとって支出が少なくなる。
さらに、必ずしも皮膚疾患に起因した入院患者でなくとも、入院中に皮膚疾患に罹患した場合、入院中にこの用具を使用し、慣熟しておけば、退院後も使用できるので、自立を支援することになり、退院後の不安も軽減される。
【0012】
この発明が実用化されれば、単に独居生活者に限らず、いわゆる「四十肩」・「五十肩」と称される「肩関節周囲炎」に罹患し、肩関節の可動域が制限された場合においても、補助者は不要で、薬剤等を塗布する場合等、極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明品を示した図である。
図2】本発明品の使用状態を示した図である。
図3】本発明品のアダプターAを示した図である。
図4】本発明品のアダプターBを示した図である。
図5】本発明品のアダプターCを示した図である。
図6】本発明品のアダプターDを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
他者の手を借りず、アタプターを付け替えることにより、(1)ボトルに入った薬剤、又はペースト状の薬剤を、(2)比較的広範囲に、(3)またピンポイントに、身体背面に薬剤等を塗布でき、(4)痒いところを掻くことができ、また、(5)離れた場所にある物品を手元に引き寄せられることを可能とした用具である。
【0015】
図1は本発明の薬剤等塗布用具を示す。フレキシブルアームは湾曲可能である。
【0016】
図2は、本発明品の使用状況を示したものである。(A)は、肩越しに使用している例である。(B)は肩関節周囲炎(いわゆる「四十肩」「五重肩」)などに罹患し、肩越しに試用することが困難な場合や、患部が比較的身体下部にあり、腋の下から使用から挿入して使用する例である。(C)は、自身の手の届かない所にある物品等を、手元に引き寄せたり、また手元にある物品等を遠位に押しやる例である。
【0017】
図3は、アダプターAを示したものである。図3(A)は、アタプターAの側面図を示す。回転防止溝はジョイント差し込み部での、アタプターの回転防止のためである。ボトル挟の突出した部分は薬剤入り容器(ボトル)回転防止の機能を持つ。ボトルはさみ交換用蝶ネジは、薬剤入り容器(ボトル)挟みの保持力が劣化して保持力が弱ったときに、薬剤入り容器(ボトル)挟みを交換することで、新品同様に使用できることを考慮している。
図3(B)は、アタプターAの上面図を示す。
図3(C)は、実際に薬剤入り容器(ボトル)を装着した状態を示す図である。
【0018】
図4は、アダプターBを示したものである。図4(A)は、アタプターBの側面図である。図4(A)回転防止溝はジョイント差し込み部での、アタプターの回転防止のためである。塗布部材は、比較的広範囲な患部に薬剤等を塗布することができる。直径は3〜10cm程度である。平坦状の塗布部を有し、事前に平坦部に薬剤等を塗りつけておき、フレキシブルアームを湾曲させ。皮膚に圧着させ、塗布する。
図4(B)は、アタプターBの上面図である。素材は合成樹脂一体成形である。
【0019】
図5は、アダプターCを示したものである。図5(A)は、アタプターCの側面図である。回転防止溝はジョイント差し込み部での、アタプターの回転防止のためである。塗布部材は、比較的狭範囲、またピンポイント、あるいは身体凸凹部に薬剤を塗布する機能を持つ。。
図5(B)は、アタプターCの上面図である。素材は合成樹脂一体成形である。
【0020】
図6は、アダプターDを示したものである。図6(A)は、アタプターD9の側面図である。回転防止溝はジョイント差し込み部での、アタプターの回転防止のためである。突起を備えた面は、痒い皮膚面を掻く部材で、円錐形の突起物を多数突出させ、皮膚を掻くことができる、いわゆる「孫の手」の機能を持つ。
図6(B)は、アタプターDの下面図である。素材は合成樹脂一体成形である。
【0021】
他者の手を借りず、アタプターを付け替えることにより、(1)ボトルに入った薬剤、又はペースト状の薬剤を、(2)比較的広範囲に、(3)またピンポイントに、身体背面に薬剤等を塗布でき、(4)痒いところを掻くことができ、また(5)離れた場所にある物品を手元に引き寄せられることを可能とした用具である。
【0022】
まず、医師会皮膚科部会と、大学病院医局に試作品を試用してもらう。その後、それぞれの意見を取り入れ、製品化する。
使用者は、目的に応じてアタプターを交換し、アタプター先端部に外用薬剤等を適量塗布しておき、フレキシブルアームを体型や患部に合わせて湾曲させ、手の届かない箇所に薬剤等を塗布する。この際、肩越しでも、腋の下からアームを患部に届かせても良い。形関節周囲炎患者は、腋の下からアームを挿入すれば、肩周囲の関節に負担をかける必要がなくなる。
【0023】
本発明は、おもに身体背面部で、自身の手が届かない部分に、他者の手を借りず。薬剤等塗布用具に関する。本体は1種類だが、アタプターが4種類あり、それぞれ脱着・交換可能であるので、一式で複数の機能を発揮できる。
把握部を適度な弾力を持つ素材とすることで、手の小さい方から手の大きい方まで、使用可能である。
フレキシブルアームは、150度以上,例えば180度ほどに湾曲させることが可能なので、これを湾曲させることで、自身の手の届かない身体背面部にジョイント部を届かせることができる。
アタプターは外用薬剤等を塗布したり、痒いところを掻ける機能を有し、また補助的用途として、自身が移動しなくとも、離れた場所にある物品を手元に引き寄せる機能も有する。
【0024】
アタプターAは、薬剤入りボトル状容器を脱着可能に保持できる保持部を有し、容器を保持して身体背面部に薬剤等を塗布することができる。
アタプターBは、平坦状の塗布部を有し、事前に平坦部に薬剤等を塗りつけておき、フレキシブルアームを湾曲させることで、比較的広範囲な患部に薬剤等を塗布することができる。
アタプターCは、弧状に突出した塗布部を有し、事前に平坦部に薬剤等を塗りつけておき、フレキシブルアームを湾曲させることで、比較的狭い範囲や、身体背面の凹凸部に薬剤を塗布することができる。
アタプターDは、平坦状に円錐形の突起物を多数配置し、フレキシブルアームを湾曲させることで、いわゆる「孫の手」では届かない身体背面部を掻くことができる。
それぞれのアタプターは、L字形に90度曲がっているので、自身の手の届かない場所にある物品を、手元に引き寄せることが可能である。
本体フレキシブルアームは、メッキ加工の軽量な金属製で、ジョイント部は合成樹脂製であるので、長期間の使用に耐えうる。使用後は、エタノール等で消毒することができるため、衛生的でもある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6