特開2017-99863(P2017-99863A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-99863(P2017-99863A)
(43)【公開日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】体積測定マップの更新
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20170512BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20170512BHJP
【FI】
   A61B6/03 360G
   A61B6/03 377
   A61B5/05 390
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-216037(P2016-216037)
(22)【出願日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】14/934,268
(32)【優先日】2015年11月6日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA23
4C093FA03
4C093FF28
4C093FF42
4C093FG01
4C096AA18
4C096AA20
4C096AC01
4C096DC32
4C096DC36
4C096DD07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耳鼻咽喉科的切除処置の処置を誘導するための方法を提供する。
【解決手段】被験者26の身体の内部部分の体積測定マップ22がCT又はMRI装置により得られた画像に提示され、処置中に、該部分に対するセンサ34の移動に応じて、該処置によって物質が除去された該部分の領域を提示された体積測定マップ22が示す様式をリアルタイムで変更することによって、提示された体積測定マップ22が更新される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置を誘導するための方法であって、
被験者の身体の内部部分の体積測定マップを提示することと、
前記処置中に、前記部分に対するセンサの移動に応じて、前記処置によって物質が除去された前記部分の領域を前記提示された体積測定マップが示す様式を変更することによって、前記提示された体積測定マップを更新することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記センサが、前記物質を除去するために使用される工具に連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記提示された体積測定マップを更新することが、前記提示された体積測定マップを更新して、前記物質が除去された前記領域を空として示すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記提示された体積測定マップを更新することが、前記物質が除去された前記領域を着色することによって、前記提示された体積測定マップを更新することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記被験者の前記身体の前記内部部分が、体腔を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記提示された体積測定マップを更新することが、前記提示された体積測定マップを更新して、前記体腔を少なくとも部分的に取り囲む組織の一部分が除去されたことを示すことを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記センサの前記移動が、前記体腔を少なくとも部分的に取り囲む組織に沿った前記センサの移動を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記体腔が、前記被験者の鼻腔を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記体腔が、前記被験者の洞腔を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記センサの前記移動が、前記部分内での前記センサの移動を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記センサの前記移動が、前記部分の外側での前記センサの移動を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記提示された体積測定マップを更新することが、
前記センサの前記移動に関連する前記部分内での移動の程度を定める表面を自動的に算定することと、
前記表面を使用して、前記提示された体積測定マップを更新することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記移動の程度が、前記センサの移動の程度である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記移動の程度が、前記物質を除去するために使用される工具の一部分の移動の程度であり、前記表面を自動的に算定することが、(i)前記センサの位置及び配向と、(ii)前記工具の前記一部分の位置との間の関係に基づいて前記表面を自動的に算定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記センサが、電磁センサを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記体積測定マップが、前記被験者の前記身体の前記部分のコンピュータ断層撮影法に基づくマップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記体積測定マップが、前記被験者の前記身体の前記部分の磁気共鳴画像法に基づくマップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記体積測定マップが、特定の撮像モダリティを使用して前記処置前に獲得されており、前記提示された体積測定マップを更新することが、前記特定の撮像モダリティを使用せずに前記提示された体積測定マップを更新することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
処置を誘導するための装置であって、
ディスプレイと、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記ディスプレイ上に、被験者の身体の内部部分の体積測定マップを提示することと、
前記処置中に、前記部分に対するセンサの移動に応じて、前記処置によって物質が除去された前記部分の領域を前記提示された体積測定マップが示す様式を変更することによって、前記提示された体積測定マップを更新することと、を行うように構成されている、装置。
【請求項20】
前記プロセッサが、
前記センサの移動に関連する前記部分内での移動の程度を定める表面を自動的に算定することと、
前記表面を使用して、前記提示された体積測定マップを更新することと、
によって、前記提示された体積測定マップを更新するように構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記移動の程度が、前記センサの移動の程度である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記移動の程度が、前記物質を除去するために使用される工具の一部分の移動の程度であり、前記プロセッサが、(i)前記センサの位置及び配向と、(ii)前記工具の前記一部分の位置との間の関係を使用して前記表面を自動的に算定するように構成されている、請求項20に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、組織又は他の物質が被験者の身体の内部から除去される、耳鼻咽喉科的切削処置などの医療処置に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの耳鼻咽喉科的切削処置において、医師は、鼻ポリープなどの組織を被験者から除去する。場合によっては、医師は、処置前に獲得された被験者の生体構造の体積測定マップを参照することによって、切削工具をナビゲートする。そのような体積測定マップは、例えば、コンピュータ断層撮影法(CT)又は磁気共鳴画像法(MRI)を使用して獲得され得る。
【0003】
国際特許出願第WO/2014/059241号(その開示が参照により本明細書に組み込まれる)は、生体試料の構造特徴及び特性に関する情報を融合するための方法を説明する。結果として得られる融合画像が外科的ナビゲーション技術に手術中にインポートされて、融合画像を患者の解剖学的特徴と共に登録することによって、外科的介入を支援することができる。
【0004】
米国第2014/0093452号(その開示が参照により本明細書に組み込まれる)は、一部において、内臓における炎症反応に関連する状態を有する被験者の画像誘導治療及び/又は診断のためのフッ化炭素撮像試薬及び方法を提供する。更に、本開示は、被験者における心筋梗塞(MI)の画像誘導治療のための方法を提供する。
【0005】
米国第2015/0018698号(その開示が参照により本明細書に組み込まれる)は、心臓の一部分を表し、その一部分の他の例のデータセットからの形状の統計的事前確率を使用して構築されたパラメトリックモデルを説明する。マッピング電極を使用して、電気データが、被験者の心臓のその一部分における複数の位置で獲得される。パラメトリックモデルが電気データ及び統計的事前確率に当てはめられて、心臓のその一部分の等値面及びその形状の再構築を生成する。
【0006】
米国第2011/0152684号(その開示が参照により本明細書に組み込まれる)は、生きている被験者の身体内の空洞の複数の2次元(2D)超音波画像を獲得することを含み、2D画像が、3次元(3D)基準系内で異なるそれぞれの位置を有する、3Dマッピングのための方法を説明する。2D超音波画像の各々において、空洞の内部内の位置に対応する画素が特定される。複数の2D画像から特定された画素は、空洞の内部に対応する体積を定めるように、3D基準系内に登録される。体積の外面が再構築され、空洞の内面を表す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のいくつかの実施形態に従い、処置を誘導するための方法が提供される。被験者の身体の内部部分の体積測定マップが提示される。処置中に、該部分に対するセンサの移動に応じて、該処置によって物質が除去された該部分の領域を提示された体積測定マップが示す様式を変更することによって、提示された体積測定マップが更新される。
【0008】
いくつかの実施形態では、センサは、物質を除去するために使用される工具に連結される。
【0009】
いくつかの実施形態では、提示された体積測定マップを更新することは、提示された体積測定マップを更新して、物質が除去された領域を空として示すことを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、提示された体積測定マップを更新することは、物質が除去された領域を着色することによって、提示された体積測定マップを更新することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、被験者の身体の内部部分は、体腔を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、提示された体積測定マップを更新することは、提示された体積測定マップを更新して、体積測定の体腔を少なくとも部分的に取り囲む組織の一部分が除去されたことを示すことを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、センサの移動は、体腔を少なくとも部分的に取り囲む組織に沿ったセンサの移動を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、体腔は、被験者の鼻腔を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、体腔は、被験者の洞腔を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、センサの移動は、該部分内でのセンサの移動を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、センサの移動は、該部分の外側でのセンサの移動を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、提示された体積測定マップを更新することは、
センサの移動に関連する部分内での移動の程度を定める表面を自動的に算定することと、その表面を使用して、提示された体積測定マップを更新することと、を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、移動の程度は、センサの移動の程度である。
【0020】
いくつかの実施形態では、移動の程度は、物質を除去するために使用される工具の一部分の移動の程度であり、表面を自動的に算定することは、(i)センサの位置及び配向と、(ii)工具の一部分の位置との間の関係に基づいて表面を自動的に算定することを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、センサは、電磁気センサを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、体積測定マップは、被験者の身体の該部分のコンピュータ断層撮影法に基づくマップを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、体積測定マップは、被験者の身体の該部分の磁気共鳴画像法に基づくマップを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、体積測定マップは、特定の撮像モダリティを使用して処置前に獲得され、提示された体積測定マップを更新することは、特定の撮像モダリティを使用せずに提示された体積測定マップを更新することを含む。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態に従い、処置を誘導するための装置が更に提供される。本装置は、ディスプレイ及びプロセッサを含む。プロセッサは、(i)ディスプレイ上に、被験者の身体の内部部分の体積測定マップを提示することと、(ii)処置中に、該部分に対するセンサの移動に応じて、処置によって物質が除去された該部分の領域を提示された体積測定マップが示す様式を変更することによって、提示された体積測定マップを更新することと、を行うように構成されている。
【0026】
本発明は、その実施形態の以下の詳細な説明を図面と併せ読むことによって、更に十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明のいくつかの実施形態に従う、処置を誘導するためのシステムの概略図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態に従って提示される、体積測定マップの2次元スライスの概略図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態に従う、処置を誘導するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
概観
いくつかの処置では、被験者に挿入される工具を使用して、被験者の身体の内部から、例えば、被験者の体腔から組織又は他の物質を除去する。場合によっては、医師は、処置前に獲得された、CT体積などの被験者の生体構造の体積測定マップを参照することによって工具をナビゲートする。しかしながら、医師が組織又は他の物質を除去するとき、体積測定マップは不正確になり、具体的には、体積測定マップは、新たに空になった領域が占有されているものとして示し続ける。したがって、処置が進行するにつれて、医師が工具を適切にナビゲートすることが益々困難になる。更に、医師は、組織又は他の物質が適切に除去されたことを確認することができない。
【0029】
後者の問題に対する1つの解決策は、被験者の処置後撮像を行うことである。例えば、処置後CT体積を獲得することができ、その後、処置が成功したことを確認するために、このCT体積を初期CT体積と比較することができる。しかしながら、この解決策の欠点は、処置が進行するにつれて、組織又は他の物質が適切に除去されているかを、医師がリアルタイムで知らされないことである。更に、被験者の第2のCT体積(又はMRI体積)を獲得することは、時間がかかり、かつ/又は高価であり得る。
【0030】
したがって、本発明の実施形態は、代替の優れた解決策を提供する。処置中に、センサは、物質が除去されている被験者の身体の該部分内で移動する。センサの移動の程度は、どの領域が空であるかについての情報を提供し、その後、必要に応じて、この情報に応じて体積測定マップが更新される。センサを移動させ、それに応じて体積測定マップを更新するプロセスは、一般に高速かつ安価であり、加えて、リアルタイムガイダンスを医師に提供する。
【0031】
システムの説明
本発明のいくつかの実施形態に従う、処置を誘導するためのシステムの概略図である、図1を最初に参照する。図1は、組織が被験者26の体腔、例えば、被験者の鼻腔30又は洞腔から除去される、耳鼻咽喉科的切削処置の実行を描く。しかしながら、本明細書に記載される実施形態は、任意の種類の物質(例えば、組織、硬化した粘液、又は異物)が、被験者の身体の内部部分から除去される間、任意の関連処置に適用可能であることに留意されたい。
【0032】
図1は、被験者の顔の体積測定マップ22が提示される、コンピュータモニタなどのディスプレイ20を参照する執刀医28を示す。体積測定マップ22は、例えば、関連モダリティを使用して処置前に獲得される、CT又はMRIに基づくマップを含んでもよい。更に後述されるように、この処置中に、リアルタイムで、体積測定マップが更新されて、この処置によって引き起こされる生体構造への任意の変更を反映する。(図1〜2のディスプレイ上に示される画像は、本発明者らのうちの1人によって行われたシミュレーションに由来するものである。)
【0033】
ガイドワイヤ32の遠位端が鼻腔30内に位置付けられるように、被験者の鼻に挿入されたガイドワイヤ32を保持している医師28が示されている。ガイドワイヤの遠位端には、センサ34があり、典型的には、コイルなどの電磁気センサを備える。医師は、センサ34を鼻腔内で、典型的には、鼻腔を部分的に取り囲む組織36に沿って移動させる。センサが移動している間、センサは、患者の頭の周りに位置付けられた外部コイル27から伝送されたシグナルを受信する。外部コイルからのシグナル受信に応じて、センサは、センサの位置及び配向を示すシグナル40を生成する。シグナル40は、例えば、コンソール38内に位置し得るプロセッサ42によって受信される。このシグナルに応じて、プロセッサは、更に後述されるように体積測定マップを更新する。
【0034】
典型的には、例えば、Altmannらの米国第2011/0152684号(その開示が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される高速解剖学的マッピング(FAM)などの技法が実施される。FAM技法は、センサの移動の程度を定める表面24を自動的に算定する。換言すれば、表面24は、センサが移動した外側ではなく、その中の体積と隣接する。図1に示されるように、表面24は、体積測定マップ上のオーバーレイとして医師に提示され得る。表面24を観察することによって、医師は、この処置の結果として被験者の生体構造に起こった変化を見ることができる。例えば、図1に描かれるシナリオでは、医師は、被験者の隔膜44の一部分が除去されたことを見ることができる。その後、医師は、プロセッサに指示して、更に後述されるように体積測定マップを更新して、生体構造に加えられた変更を組み込むことができる。あるいは、プロセッサは、医師からのいかなる特定の入力もなしに、表面24を使用して体積測定マップを自動的に更新することができる。
【0035】
典型的には、外部コイル27と体積測定マップとの間で処置前登録が行われ、それにより、センサの位置、ひいては表面24の位置が、体積測定マップの座標系に関して表現され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、図1に描かれるように、センサ34は、被験者から組織又は他の物質を除去するために使用される工具とは別々に配設される。そのような実施形態では、医師は、典型的には、(i)工具と、(ii)センサを備えるガイドワイヤ、プローブ、又は他の器具とを交互に使用する。例えば、医師は、最初に耳鼻咽喉科用シェーバを使用して、被験者の鼻腔からいくらかの組織(例えば、被験者の隔膜の一部)を除去することができる。続いて、医師は、シェーバを被験者の鼻から引き抜き、センサを挿入し、センサを鼻腔内で移動させ、センサの移動に応じて体積測定マップを更新することができる。続いて、医師は、センサを引き抜き、シェーバを再度挿入し、更新された体積測定マップをガイダンスとして使用して、必要に応じて組織を除去し続けることができる。
【0037】
他の実施形態では、センサ34は、例えば、この処置に使用される工具(例えば、耳鼻咽喉科用シェーバ)と固定的に又は可逆的に統合されることによって連結される。センサの工具への連結は、これらの器具を交互に使用する必要性を取り除き、工具の位置が測定されたセンサの位置からリアルタイムで導出され得るという点で、工具の強化されたナビゲーションを更に提供する。いくつかの実施形態では、センサは、工具の遠位端に配設される。他の実施形態では、センサは、より近位の位置に、例えば、工具ハンドル内に配設される。そのような後者の実施形態では、センサが必ずしも処置が行われる被験者の身体の該部分内で移動する必要はない。むしろ、センサは、該部分の外側(例えば、被験者の身体の完全に外側)で移動してもよく、体積測定マップは、(i)センサの移動、及び(ii)センサの位置及び配向と工具の遠位端の位置との間の既知の固定関係に基づいて更新されてもよい。例えば、既知の固定関係を使用して、測定されたセンサの移動に基づいて工具の遠位端の移動の程度を算定することができる。それに応じて、表面24が構築され、続いてそれを使用して、体積測定マップを更新することができる。
【0038】
上記を考慮して、概して、以下のように述べることができる。
(i)体積測定マップは、被験者の身体の関連部分に対するセンサの任意の移動に応じて更新され得る。そのような移動は、(図1に描かれる)該部分内での移動、該部分の外側での移動、又はそれらの両方の組み合わせを含んでもよい。
(ii)表面24は、センサの移動に関連する被験者の身体の関連部分内での任意の移動の程度を定めることができる。換言すれば、表面24は、センサ自体の移動、又はあるいは、センサが被験者の身体の該部分の外側で移動する実施形態の場合、センサが連結される切削工具、ガイドワイヤ、又は任意の他の器具の遠位端、又は任意の他の関連部分の移動の程度を定めることができる。
【0039】
ここで更に、本発明のいくつかの実施形態に従って提示される、図1に示される体積測定マップを通じた2次元スライス47の概略図である図2を参照する。スライス47などのスライスは、医師に対してディスプレイ20上に、あるいは又は更に、図1の3次元マップに提示されて、この処置の誘導を助けることができる。(十字線48は、センサの現在の位置を医師に示す。)
【0040】
上述のように、プロセッサ42は、センサの移動に応じて体積測定マップを更新する。体積測定マップを更新する際に、プロセッサは、組織又は他の物質が除去された領域を体積測定マップが示す様式を変更する。典型的には、上述のように、センサの移動に応じて算定される表面24を使用して、体積測定マップを更新する。例えば、スライス47において、隔膜の除去された一部分を以前に含んでいた領域が着色され、ここで着色されたパッチ46がその領域内(及び周囲領域内)に表示される。パッチ46は、表面24に隣接している体積をスライス47上に投影し、その投影を着色することによって導出され得る。あるいは、パッチ46は、センサの移動から直接導出されてもよく、すなわち、パッチ46は、センサが訪れた全ての位置を着色することによって導出され得る。
【0041】
着色されたパッチを示す代わりに、体積測定マップを更新して、新たに空になった領域を空として単に示すことができる。例えば、表面24に隣接しているボクセルが黒色に設定されてもよく、故にこれらのボクセルが空であることを示す。その後、体積測定マップの黒塗り部分は、図1の3次元ビュー、及び/又は図2の2次元ビューに表示される。
【0042】
図1及び2は、集合的に、体積測定マップを更新して、体腔を少なくとも部分的に取り囲む組織の一部分の除去を示すシナリオを示している。あるいは、体積測定マップを更新して、例えば、鼻ポリープを含む任意の種類の組織又は物質の除去を示すことができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態に従い、処置を誘導するための方法51のフロー図である図3をここで参照する。方法51は、初期体積測定マップが医師に提示される提示工程50で始まる。上述のように、体積測定マップは、処置前に獲得されたCT又はMRI体積を含んでもよい。
【0044】
体積測定マップをガイダンスとして使用して、組織除去工程52で、医師は、被験者から組織を除去する。続いて、FAM生成工程54で、医師は、上述のようにセンサを使用して、被験者の生体構造の関連部分の高速解剖学的マッピング(FAM)を生成する。続いて、更新工程56で、体積測定マップは、上述のようにFAMを考慮して更新される。その後、医師は、更新された体積測定マップを参照し、決定工程58で、処置を続けるかを決定する。医師が続けないと決定した場合、処置は終了する。さもなければ、方法51は、組織除去工程52に戻り、そこで医師は、更新された体積測定マップをガイダンスとして使用して、被験者から更に組織を除去する。
【0045】
一般に、プロセッサ42は、単一のプロセッサとして、又は協働的にネットワーク化又はクラスタ化された組のプロセッサとして具現化され得る。プロセッサ42は、典型的には、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性二次記憶装置、例えば、ハードドライブ若しくはCD ROMドライブ、ネットワークインターフェース、及び/又は周辺デバイスを備える、プログラムされたデジタルコンピューティングデバイスである。ソフトウェアプログラムを含むプログラムコード、及び/又はデータは、CPUによる実行及び処理のためにRAMにロードされ、当該技術分野で既知のように、結果が、ディスプレイ、出力、伝送、又は記憶のために生成される。このプログラムコード及び/又はデータは、例えば、電子形態で、ネットワーク上でコンピュータにダウンロードされ得るか、又はあるいは若しくは更に、磁気メモリ、光メモリ、若しくは電子メモリなどの非一時的有形媒体上に提供及び/又は記憶され得る。そのようなプログラムコード及び/又はデータは、プロセッサに提供されると、本明細書に記載されるタスクを実行するように構成されたマシン又は特殊用途コンピュータを生成する。
【0046】
当業者であれば、本発明が上記で具体的に示され記載されたものに限定されないことを理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者が想到するであろう、従来技術にはないそれらの特徴の変形及び修正を含む。参照により本特許出願に組み込まれた文書は、これらの組み込まれた文書に定義されているあらゆる用語が、本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と相反するような場合を除いて、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0047】
〔実施の態様〕
(1) 処置を誘導するための方法であって、
被験者の身体の内部部分の体積測定マップを提示することと、
前記処置中に、前記部分に対するセンサの移動に応じて、前記処置によって物質が除去された前記部分の領域を前記提示された体積測定マップが示す様式を変更することによって、前記提示された体積測定マップを更新することと、を含む、方法。
(2) 前記センサが、前記物質を除去するために使用される工具に連結される、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記提示された体積測定マップを更新することが、前記提示された体積測定マップを更新して、前記物質が除去された前記領域を空として示すことを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記提示された体積測定マップを更新することが、前記物質が除去された前記領域を着色することによって、前記提示された体積測定マップを更新することを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記被験者の前記身体の前記内部部分が、体腔を含む、実施態様1に記載の方法。
【0048】
(6) 前記提示された体積測定マップを更新することが、前記提示された体積測定マップを更新して、前記体腔を少なくとも部分的に取り囲む組織の一部分が除去されたことを示すことを含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記センサの前記移動が、前記体腔を少なくとも部分的に取り囲む組織に沿った前記センサの移動を含む、実施態様5に記載の方法。
(8) 前記体腔が、前記被験者の鼻腔を含む、実施態様5に記載の方法。
(9) 前記体腔が、前記被験者の洞腔(sinus cavity)を含む、実施態様5に記載の方法。
(10) 前記センサの前記移動が、前記部分内での前記センサの移動を含む、実施態様1に記載の方法。
【0049】
(11) 前記センサの前記移動が、前記部分の外側での前記センサの移動を含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記提示された体積測定マップを更新することが、
前記センサの前記移動に関連する前記部分内での移動の程度を定める表面を自動的に算定することと、
前記表面を使用して、前記提示された体積測定マップを更新することと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(13) 前記移動の程度が、前記センサの移動の程度である、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記移動の程度が、前記物質を除去するために使用される工具の一部分の移動の程度であり、前記表面を自動的に算定することが、(i)前記センサの位置及び配向と、(ii)前記工具の前記一部分の位置との間の関係に基づいて前記表面を自動的に算定することを含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記センサが、電磁センサを含む、実施態様1に記載の方法。
【0050】
(16) 前記体積測定マップが、前記被験者の前記身体の前記部分のコンピュータ断層撮影法に基づくマップを含む、実施態様1に記載の方法。
(17) 前記体積測定マップが、前記被験者の前記身体の前記部分の磁気共鳴画像法に基づくマップを含む、実施態様1に記載の方法。
(18) 前記体積測定マップが、特定の撮像モダリティを使用して前記処置前に獲得されており、前記提示された体積測定マップを更新することが、前記特定の撮像モダリティを使用せずに前記提示された体積測定マップを更新することを含む、実施態様1に記載の方法。
(19) 処置を誘導するための装置であって、
ディスプレイと、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記ディスプレイ上に、被験者の身体の内部部分の体積測定マップを提示することと、
前記処置中に、前記部分に対するセンサの移動に応じて、前記処置によって物質が除去された前記部分の領域を前記提示された体積測定マップが示す様式を変更することによって、前記提示された体積測定マップを更新することと、を行うように構成されている、装置。
(20) 前記プロセッサが、
前記センサの移動に関連する前記部分内での移動の程度を定める表面を自動的に算定することと、
前記表面を使用して、前記提示された体積測定マップを更新することと、
によって、前記提示された体積測定マップを更新するように構成されている、実施態様19に記載の装置。
【0051】
(21) 前記移動の程度が、前記センサの移動の程度である、実施態様20に記載の装置。
(22) 前記移動の程度が、前記物質を除去するために使用される工具の一部分の移動の程度であり、前記プロセッサが、(i)前記センサの位置及び配向と、(ii)前記工具の前記一部分の位置との間の関係を使用して前記表面を自動的に算定するように構成されている、実施態様20に記載の装置。
図1
図2
図3
【外国語明細書】
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