【解決手段】シュラウド1110は、展開されたときに、注射で針を使用する前、使用中、および/または使用後に針のための保護カバーを提供する構造部材である。シリンジハウジング部分組立体121の構成要素は協調して、注射中に近位ハウジング構成要素12aに対して格納位置にシュラウドを保持し、かつ注射中または注射後に近位ハウジング構成要素に対してシュラウドを自動的に展開するように構成される。シュラウドが、針を被覆する伸長位置に展開されると、シュラウドに加えられた偶発的な力が、針が露出するようになる格納位置に、シュラウドをその後格納することができないことを保証するように構成される。
シュラウドのアームの厚さが、制約されたスペース内でアームが動く間、アームのピンチング効果を低減するように構成される、請求項1に記載のシュラウド展開組立体。
シュラウドが、伸長位置で、自動注射装置の近位端に配置された針を保護するように被覆し、シュラウドは、格納位置で、自動注射装置の近位端に配置された針の露出を可能にする、請求項1に記載のシュラウド展開組立体。
伸長位置にシュラウドが展開されると、シュラウドが、格納位置に格納することなく、少なくとも80Nの力に耐えるように構成される、請求項1に記載のシュラウド展開組立体。
格納位置にシュラウドがあるときに、圧縮された状態にあり、自動注射装置が注射部位から取り除かれた後に、格納位置から伸長位置にシュラウドを自動的に付勢するバイアス機構
をさらに備える、請求項1に記載のシュラウド展開組立体。
シュラウドが、伸長位置で、自動注射装置の近位端に配置された針を保護するように被覆し、シュラウドは、格納位置で、自動注射装置の近位端に配置された針を露出する、請求項18に記載の自動注射装置。
伸長位置にシュラウドが展開されると、シュラウドが、格納位置に格納することなく、少なくとも80Nの力に耐えるように構成される、請求項18に記載の自動注射装置。
シリンジキャリア組立体の近位管状部分の外径が、約13.0mmから約14.0mmまでの範囲であるように構成される、請求項47に記載のシリンジキャリア組立体。
伸長位置にシュラウドが展開されると、シュラウドが、格納位置に格納することなく、少なくとも80Nの力に耐えるように構成される、請求項53に記載の自動注射装置。
シュラウドの管状部材に結合され、かつシュラウドの管状部材内部に部分的に配置され、外面内にくぼみまたはトレンチを生み出すために円柱部分の外面内に形成されたスロットを有する円柱部分を備えるシリンジキャリア
をさらに備え、スロットは、自動注射装置のハウジングの内側部分と、シリンジキャリアの円柱部分の外側部分との間に形成された、制約されたスペースを増大させる、請求項53に記載の自動注射装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
例示的実施形態が、自動注射装置を使用して注射が行われた後に、針を保護するように被覆する、確実で一貫した手法で針シュラウドが自動的に展開される自動注射装置を提供する。例示的実施形態はまた、自動注射装置で協調して構成されたときに、自動注射装置を使用して注射が行われた後、針シュラウドが、確実で一貫した手法で自動的に展開されることを保証する、針シュラウドおよびシリンジキャリアを含むシュラウド展開組立体を提供する。これにより、例示的実施形態は、露出した針により引き起こされる偶発的な針傷のリスクを回避する。
【0017】
例示的実施形態はまた、シュラウドが、針を被覆する伸長位置に展開されると、シュラウドに加えられる偶発的な力が、針が露出するようになる格納位置にシュラウドをその後格納することができないことを保証するように構成される。これにより、例示的実施形態は、偶発的な針刺し傷のリスクを再び持ち込むのを回避する。いくつかの例示的実施形態では、例示的シュラウドが、伸長位置に展開されると、格納位置に戻して格納することなく確実に耐えることができる最大の力(「オーバーライド力」と呼ばれる)が、約80Nから約120Nである。
【0018】
例示的実施形態が、シュラウド展開失敗のリスクを最小にするために、本明細書で教示される構造上、機能上および動作上の構成の1つ、または2つ以上の組合せを実装してもよい。例示的実施形態はまた、修正された従来の構成要素でシュラウド展開失敗のリスクを最小にするために、本明細書で提供される教示に従って、自動注射装置の1つまたは複数の従来の構成要素を修正してもよい。
【0019】
例示的実施形態に従って提供される自動注射装置は、液体治療薬、たとえばアダリムマブ(HUMIRA(R))、ゴリムマブなどを含むがこれらに限定されない任意のタイプの物質を患者の身体の中に投与するために使用されてもよい。
【0020】
I.定義
例示的実施形態の理解を容易にするために、ここでは特定の用語が定義される。
【0021】
用語「自動注射装置」、「オートインジェクタ」、「オートインジェクタペン」は、患者が物質の投与量、たとえば液体薬物の投与量を自己投与することを可能にする装置を指し、自動注射装置は、作動機構部分組立体が係合したときに、注射により物質を患者の身体の中に自動的に送達するための作動機構部分組立体を含むことにより、標準的なシリンジと異なる。一例の実施形態では、自動注射装置は、患者の身体に装着可能であってもよい。
【0022】
例示的実施形態の自動注射装置、たとえばオートインジェクタペンは、「治療効果のある量」または「予防効果のある量」の本発明の抗体または抗体部分を含んでもよい。「治療効果のある量」は、必要な投与量および期間で所望の治療結果を達成するのに効果的な量を指す。治療効果のある量の抗体、抗体部分または他のTNFα阻害剤が、因子に従って、たとえば、患者の病状、年齢、性別および体重、ならびに患者の所望の反応を引き出す抗体、抗体部分または他のTNFα阻害剤の能力に従って変わってもよい。治療効果のある量はまた、抗体、抗体部分またはTNFα阻害剤の任意の毒性効果または有害効果より、治療上の有益な効果が勝る量である。「予防効果のある量」は、必要な投与量および期間で所望の予防結果を達成するのに効果的な量を指す。典型的には、疾病の初期段階の前に、または初期段階に、予防的投与量が患者に使用されるので、予防効果のある量は治療効果のある量より少ない。
【0023】
用語「物質」は、例示的自動注射装置を利用している患者に治療効果のある量を投与されることができる、任意のタイプの薬、生物学的活性薬剤、生物学的物質、化学物質または生化学物質を指す。例示的物質が、液体状態の薬剤を含むが、これに限定されない。このような薬剤は、アダリムマブ(HUMIRA(R))、ならびに溶液状態のタンパク質、たとえば融合タンパク質および酵素を含んでもよいがこれらに限定されない。溶液状態のタンパク質の例が、パルモザイム(Pulmozyme)(ドルナーゼアルファ(Dornase alfa))、レグラネクス(Regranex)(ベカプレルミン(Becaplermin))、アクティバーゼ(Activase)(アルテプラーゼ(Alteplase))、アルドラザイム(Aldurazyme)(ラロニダーゼ(Laronidase))、アメビブ(Amevive)(アレファセプト(Alefacept))、アラネスプ(Aranesp)(ダルベポエチンアルファ(Darbepoetin alfa))、ベカプレルミン濃縮物、ベタセロン(Betaseron)(インターフェロンベータ−1b(Interferon beta−1b))、ボトックス(BOTOX)(A型ボツリヌス毒素(Botulinum Toxin Type A))、エリテック(Elitek)(ラスブリカーゼ(Rasburicase))、エルスパ(Elspar)(アスパラギナーゼ(Asparaginase))、エポジェン(Epogen)(エポエチンアルファ(Epoetin alfa))、エンブレル(Enbrel)(エタネルセプト(Etanercept))、ファブラザイム(Fabrazyme)(アガルシダーゼベータ(Agalsidase beta))、インファージェン(Infergen)(インターフェロンアルファコン−1(Interferon alfacon−1))、イントロンA(Intron A)(インターフェロンアルファ−2a(Interferon alfa−2a))、キネレット(Kineret)(アナキンラ(Anakinra))、マイオブロック(MYOBLOC)(B型ボツリヌス毒素(Botulinum Toxin Type B))、ニューラスタ(Neulasta)(ペグフィルグラスチム(Pegfilgratim))、ニューメガ(Neumega)(オプレルベキン(Oprelvekin))、ノイプジェン(Neupogen)(フィルグラスチム(Filgrastim))、オンタック(Ontak)(デニロイキンディフチトクス(Denileukin diftitox))、ペガシス(PEGASYS)(ペグインターフェロンアルファ−2a(Peginterferon alfa−2a))、プロリュウキン(Proleukin)(アルデスロイキン(Aldesleukin))、パルモザイム(Pulmozyme)(ドルナーゼアルファ(Dornase alfa))、レビフ(Rebif)(インターフェロンベータ−1a(Interferon beta−1a))、レグラネクス(Regranex)(ベカプレルミン(Becaplermin))、レタバーゼ(Retavase)(レタプラーゼ(Reteplase))、ロフェロン−A(Roferon−A)(インターフェロンアルファ−2a(Interferon alfa−2a))、TNKアーゼ(TNKase)(テネクテプラーゼ(Tenecteplase))、ならびにザイグリス(Xigris)(ドロトレコギンアルファ(Drotrecogin alfa))、アーカリスト(Arcalyst)(リロナセプト(Rilonacept))、エヌプレート(NPlate)(ロミプロスチム(Romiplostim))、ミルセラ(Mircera)(メトキシポリエチレングリコールエポエチンベータ)、シンライズ(Cinryze)(C1エステラーゼ阻害剤)、エラプラーゼ(Elaprase)(イデュルスルファーゼ(idursulfase))、ミオザイム(Myozyme)(アルグルコシダーゼアルファ)、オレンシア(Orencia)(アバタセプト(abatacept))、ナグラザイム(Naglazyme)(ガルスルファーゼ(galsulfase))、ケピバンス(Kepivance)(パリフェルミン(palifermin))およびアクティミューン(Actimmune)(インターフェロンガンマ−1b(Interferon gamma−1b))を含むがこれらに限定されない。
【0024】
溶液状態のタンパク質が、同じく、免疫グロブリンまたはその抗原結合断片、たとえば抗体またはその抗原結合部分であってもよい。一例の自動注射装置で使用されてもよい抗体の例が、キメラ抗体、非ヒト抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体およびドメイン抗体(domain antibody、dAb)を含むがこれらに限定されない。一例の実施形態では、免疫グロブリンまたはその抗原結合断片は、抗TNFaおよび/または抗IL−12抗体である(たとえば、二重可変ドメイン免疫グロブリン(dual variable domain immunoglobulin、DVD)IgTMであってもよい)。方法で使用されてもよい免疫グロブリンまたはその抗原結合断片の他の例、および例示的実施形態の組成物が、1D4.7(抗IL−12/IL−23抗体、Abbott Laboratories)、2.5(E)mg1(抗IL−18;Abbott Laboratories)、13C5.5(抗IL−13抗体;Abbott Laboratories)、J695(抗IL−12;Abbott Laboratories)、アフェリモマブ(Afelimomab)(Fab2抗TNF;Abbott Laboratories)、HUMIRA(アダリムマブ)Abbott Laboratories)、キャンパス(Campath)(アレムツズマブ(Alemtuzumab))、CEA−Scanアルシツモマブ(Arcitumomab)(fabフラグメント)、エルビタックス(Erbitux)(セツキシマブ(Cetuximab))、ハーセプチン(Herceptin)(トランスツズマブ(Transtuzumab))、ミオシント(Myoscint)(イムシロマブペンテテート(Imciromab Pentetate))、プロスタシント(ProstaScint)(カプロマブペンデチド(Capromab Pendetide))、レミケード(Remicade)(インフリキシマブ(Infliximab))、レオプロ(ReoPro)(アブシキシマブ(Abciximab))、リツキサン(Rituxan)(リツキシマブ(Rituximab))、シムレクト(Simulect)(バシリキシマブ(Basiliximab))、シナジス(Synagis)(パリビズマブ(Palivizumab))、ベルルマ(Verluma)(ノフェツモマブ(Nofetumomab))、ゾーレア(Xolair)(オマリズマブ(Omalizumab))、ゼナパックス(Zenapax)(ダクリズマブ(Daclizumab))、ゼバリン(Zevalin)(イブリツモマブチウキセタン(Ibritumomab Tiuxetan))、オルソクローンOKT3(Orthoclone OTK3)(ムロモナブ−CD3(Muromonab−CD3))、パノレックス(Panorex)(エドレコロマブ(Edrecolomab))、マイロターグ(Mylotarg)(ゲムツズマブオゾガマイシン(Gemtuzumab ozogamicin))、ゴリムマブ(golimumab)(Centocor社)、シムジア(Cimzia)(セルトリズマブペゴール(Certolizumab pegol))、ソリリス(Soliris)(エクリズマブ(Eculizumab))、CNTO1275(ウステキヌマブ(ustekinumab))、ベクチビックス(Vectibix)(パニツムマブ(panitumumab))、ベクザー(Bexxar)(トシツモマブ(tositumomab)およびI131トシツモマブ)、およびアバスチン(Avastin)(ベバシズマブ(bevacizumab))を含むがこれらに限定されない。
【0025】
例示的実施形態の方法および組成物で使用されてもよい免疫グロブリンまたはその抗原結合断片の追加の例が、D2E7軽鎖可変領域(配列番号:1)、D2E7重鎖可変領域(配列番号:2)、D2E7軽鎖可変領域CDR3(配列番号:3)、D2E7重鎖可変領域CDR3(配列番号:4)、D2Eおよび軽鎖可変領域CDR2(配列番号:5)、D2E7重鎖可変領域CDR2(配列番号:6)、D2E7軽鎖可変領域CDR1(配列番号:7)、D2E7重鎖可変領域CDR1(配列番号:8)、2SD4軽鎖可変領域(配列番号:9)、2SD4重鎖可変領域(配列番号:10)、2SD4軽鎖可変CDR3(配列番号:11)、EP B12軽鎖可変CDR3(配列番号:12)、VL10E4軽鎖可変CDR3(配列番号:13)、VL100A9軽鎖可変CDR3(配列番号:14)、VLL100D2軽鎖可変CDR3(配列番号:15)、VLL0F4軽鎖可変CDR3(配列番号:16)、LOE5軽鎖可変CDR3(配列番号:17)、VLLOG7軽鎖可変CDR3(配列番号:18)、VLLOG9軽鎖可変CDR3(配列番号:19)、VLLOH1軽鎖可変CDR3(配列番号:20)、VLLOH10軽鎖可変CDR3(配列番号:21)、VL1B7軽鎖可変CDR3(配列番号:22)、VL1C1軽鎖可変CDR3(配列番号:23)、VL0.1F4軽鎖可変CDR3(配列番号:24)、VL0.1H8軽鎖可変CDR3(配列番号:25)、LOE7.A軽鎖可変CDR3(配列番号:26)、2SD4重鎖可変領域CDR(配列番号:27)、VH1B11重鎖可変領域CDR(配列番号:28)、VH1D8重鎖可変領域CDR(配列番号:29)、VH1A11重鎖可変領域CDR(配列番号:30)、VH1B12重鎖可変領域CDR(配列番号:31)、VH1E4重鎖可変領域CDR(配列番号:32)、VH1F6重鎖可変領域CDR(配列番号:33)、3C−H2重鎖可変領域CDR(配列番号:34)およびVH1−D2.N重鎖可変領域CDR(配列番号:35)のうち1つまたは複数を備えるタンパク質を含むがこれらに限定されない。
【0026】
用語「ヒトTNFα」(本明細書ではhTNFα、または簡単にhTNFと略される)は、17kD分泌形態、および26kD膜結合性形態として存在するヒトサイトカインを指し、26kD膜結合性形態の生物学的活性形態は、非共有結合17kD分子の三量体から構成される。hTNFαの構造は、たとえば、Pennica、D.、et al.(1984)Nature 312:724−729;Davis、J.M.、et al.(1987)Biochem.26:1322−1326;およびJones、E.Y.、et al.(1989)Nature 338:225−228にさらに説明されている。用語ヒトTNFαは、標準的な組換え発現法により調製される、または商業的に購入される(R&D Systems社、カタログ番号210−TA、Minneapolis、MN)ことができる遺伝子組換えヒトTNFα(rhTNFα)を含むことが意図される。TNFαはまたTNFとも呼ばれる。
【0027】
用語「TNFα阻害剤」は、TNFα活性を妨げる薬剤を指す。この用語はまた本明細書で説明される抗TNFαヒト抗体(本明細書ではTNFα抗体と交換可能に使用される)および抗体部分の各々だけでなく、米国特許第6,090,382号明細書、第6,258,562号明細書、第6,509,015号明細書、第7,223,394号明細書および第6,509,015号明細書で説明される抗TNFαヒト抗体および抗体部分の各々も含む。一実施形態では、本発明で使用されるTNFα阻害剤は、抗TNFα抗体またはその断片であり、インフリキシマブ(Remicade(R)、Johnson and Johnson;米国特許第5,656,272号明細書に説明されている)、CDP571(ヒト化単クローン抗TNFαIgG4抗体)、CDP870(ヒト化単クローン抗TNFα抗体断片)、抗TNF dAb(Peptech社)、CNTO148(ゴリムマブ、Centocor社、国際公開第02/12502号、ならびに米国特許第7,521,206号明細書および米国特許第7,250,165号明細書を参照のこと)、およびアダリムマブ(HUMIRA(R)Abbott Laboratories、ヒト抗TNF mAb、米国特許第6,090,382号明細書でD2E7として説明されている)を含む。本発明で使用されてもよい他のTNF抗体が、米国特許第6,593,458号明細書、第6,498,237号明細書、第6,451,983号明細書および第6,448,380号明細書で説明されている。他の実施形態では、TNFα阻害剤は、TNF融合タンパク質、たとえばエタネルセプト(Enbrel(R)、Amgen社、国際公開第91/03553号および国際公開第09/406476号で説明されている)である。他の実施形態では、TNFα阻害剤は、組換えTNF結合タンパク質(r−TBP−I)(Serono社)である。
【0028】
一実施形態では、用語「TNFα阻害剤」はインフリキシマブを除外する。一実施形態では、用語「TNFα阻害剤」はアダリムマブを除外する。他の実施形態では、用語「TNFα阻害剤」は、アダリムマブおよびインフリキシマブを除外する。
【0029】
一実施形態では、用語「TNFα阻害剤」は、エタネルセプト、ならびに任意選択でアダリムマブ、インフリキシマブ、ならびにアダリムマブおよびインフリキシマブを除外する。
【0030】
一実施形態では、用語「TNFα抗体」はインフリキシマブを除外する。一実施形態では、用語「TNFα抗体」はアダリムマブを除外する。他の実施形態では、用語「TNFα抗体」は、アダリムマブおよびインフリキシマブを除外する。
【0031】
用語「処置」は、治療上の処置だけでなく、疾患、たとえばTNFαが有害な疾患、たとえば慢性関節リウマチの処置のための予防的手段または抑制手段も指す。
【0032】
用語「患者」または「利用者」は、例示的自動注射装置を使用して物質を注射されてもよい、任意のタイプの動物、ヒトまたは非ヒトを指す。
【0033】
用語「あらかじめ充填されたシリンジ/装置」および「あらかじめ充填可能なシリンジ/装置」は、物質を患者に投与する直前に物質を充填されたシリンジ/装置、および物質を充填され、かつ物質を患者に投与する前のある期間、このあらかじめ充填された形態で貯蔵されたシリンジ/装置を包含する。
【0034】
用語「プランジャ」は、シリンジを選択的に動かし、始動させて、シリンジに含まれる投与量を患者の身体の中に注入するための自動注射装置内の構造部材を指す。
【0035】
用語「作動機構」は、作動係合機構により係合されたときに、自動注射装置に含まれる物質を患者の身体の中に自動的に送達する機構を指す。作動係合機構が、作動機構をトリガするために患者により押されてもよい作動ボタンを含むがこれに限定されない作動機構を係合させ、トリガする任意のタイプの機構であってもよい。一例の実施形態では、作動機構は、自動注射装置に含まれる1回の投与量を自動的に1回送達するように係合されてもよい。他の例示的実施形態では、作動機構は、自動注射装置に含まれる物質、たとえばインシュリンの2回以上の投与量を自動的に2回以上送達するように係合されてもよい。この例示的実施形態では、自動注射装置は、投与量の間に物質を再充填されてもよい。
【0036】
用語「シリンジハウジング部分組立体」は、シリンジを収容し、シリンジの始動を容易にして注射を行い、注射中にロックアウトシュラウドを格納位置に保持し、かつ注射中または注射後にシュラウドを伸長位置に自動的に展開するように協調して構成された、自動注射装置内の構成要素の集合体を指す。
【0037】
用語「シリンジキャリア」は、自動注射装置内で使用されるシリンジの部分を取り囲む、自動注射装置内の構造部材を指す。一例の実施形態では、シリンジキャリアは、シリンジを前方に注射位置に動かすために、シリンジを保持し、装置のハウジング内部に誘導するように構成されてもよい。
【0038】
用語「シュラウド」または「ロックアウトシュラウド」は、展開されたときに、針を覆い、かつ露出した針により引き起こされる場合がある偶発的な針刺し傷を防止する、針用保護カバーを指す。
【0039】
シュラウドに関連する「格納位置」という用語は、針がシュラウドの近位開口を通って伸長することができるようにする、シリンジに対するシュラウドの位置を指す。一例の実施形態では、シュラウドの格納位置は、バイアス部材からの力を使用して、シュラウドをハウジングに対してまたはシリンジに対して遠位に押すことにより達成されてもよい。
【0040】
シュラウドに関連する「伸長位置」または「展開された位置」という用語は、シュラウドが針を保護するように覆うことができるようにし、かつ針がシュラウドの近位開口を通って伸長するのを防止する、シリンジに対するシュラウドの位置を指す。一例の実施形態では、シュラウドの伸長位置は、バイアス機構により加えられる力を使用して、シュラウドをハウジングに対してまたはシリンジに対して近位方向に押すことにより達成されてもよい。
【0041】
用語「シュラウド展開機構」は、シュラウドを含み、かつシュラウドを自動的に展開して針を保護するように覆う機構を指す。例示的実施形態では、シュラウドは、装置を使用して注射が行われる間および/またはその後に展開されてもよい。一例の実施形態では、シュラウド展開機構は、注射で針を使用する間に、格納位置でシュラウドを保持してもよく、伸長位置にシュラウドを自動的に展開して、針が注射部位から取り除かれる間および/またはその後に針を覆ってもよい。一例のシュラウド展開機構が、シュラウド、バイアス機構、およびハウジングの一部を含んでもよく、すべてが、第1の期間の間(たとえば、注射中)にシュラウドを格納位置に格納して保持し、かつ第2の期間の間(たとえば、注射中および/または注射後)にシュラウドを伸長位置に展開するように、協調して係合される。
【0042】
用語「シュラウド展開失敗」または「シュラウド展開の際の失敗」は、針に保護カバーを提供する、自動注射装置のシュラウドの展開に問題のあることを指す。シュラウド展開失敗は、シュラウドの非展開、シュラウドの部分的展開、容認できないほど長い遅延の後の、シュラウドの完全なまたは部分的な展開などを含んでもよいがこれらに限定されない。一例の実施形態では、容認できる遅延が、約0秒から約2秒までの範囲であってもよい。この例示的実施形態では、約2秒を超える遅延を伴うシュラウド展開が、シュラウド展開失敗を構成してもよい。
【0043】
用語「伸長力」は、自動注射装置の一例のシュラウドが、格納位置から伸長位置に展開される力を指す。
【0044】
用語「格納力」は、自動注射装置の一例のシュラウドが、伸長位置から格納位置に動かされる力を指す。
【0045】
用語「残留伸長力」は、シュラウドがその完全な伸長位置にある、またはそこに接近しているときに、シュラウド展開過程の最後またはその近くに受ける力を指す。
【0046】
用語「オーバーライド力」は、一例のシュラウドが、伸長位置に展開されると、格納位置に向かって戻って格納することなく、かつ針を露出することなく、確実に抵抗する、または耐えることができる最大の力を指す。例示的シュラウドオーバーライド力が、約80Nから約120Nまでを含んでもよいがこれらに限定されない。一例の実施形態では、針は、オーバーライド力がシュラウドに加えられる前に、伸長したシュラウドの近位端から約7.4mmにあってもよい。一例の実施形態では、シュラウドがその伸長位置から遠位方向に約2mmから3mm移動する前に、最大のオーバーライド力に到達してもよい。
【0047】
用語「遠位」は、装置が注射のために、または注射を模倣するために、患者に対して保持されたときに、患者の身体上の注射部位から最も遠い、一例の自動注射装置の部分、端部または構成要素を指す。
【0048】
用語「近位」は、装置が注射のために、または注射を模倣するために、患者に対して保持されたときに、患者の身体上の注射部位から最も近い、一例の自動注射装置の部分、端部または構成要素を指す。
【0049】
II.例示的自動注射装置
例示的実施形態について、図示の特定の実施形態を参照して以下で説明される。例示的実施形態が、自動注射装置を使用して、液体薬物の投与量の注射を提供することに関して説明されるが、例示的実施形態が、図示の実施形態に限定されないこと、および例示的自動注射装置が、任意の適切な物質を患者の中に注入するために使用されてもよいことを当業者は認識されよう。さらに、例示的自動注射装置の構成要素、および例示的自動注射装置を作成および使用する方法が、以下で説明される、図示の実施形態に限定されない。
【0050】
例示的自動注射装置のシリンジが、TNFα阻害剤の投与量を含んでもよい。一例の実施形態では、TNFα阻害剤は、ヒトTNFα抗体またはその抗原結合部分であってもよい。一例の実施形態では、ヒトTNFα抗体またはその抗原結合部分は、アダリムマブまたはゴリムマブであってもよい。
【0051】
図1および
図2は、物質の、たとえば液状の薬の投与量を患者の中に注入するのに適した一例の自動注射装置10を示す。
図1は、ハウジングの近位端および遠位端を覆うキャップが取り除かれた一例の自動注射装置10の斜視図を示す。
図2は、近位キャップおよび遠位キャップを使用してハウジングの近位端および遠位端がキャップをかぶせられた、
図1の例示的自動注射装置10の斜視図を示す。
【0052】
図1を参照すると、自動注射装置10は、患者の身体の中に注射される物質の投与量を含む容器を、たとえばシリンジを収容するためのハウジング12を含む。ハウジング12は管状構造を有するが、ハウジング12は、シリンジまたは他の容器を収容することができる任意のサイズ、形状および構成を有してもよいことを当業者は理解されよう。例示的実施形態は、ハウジング12の中に装着されるシリンジに関して説明されるが、自動注射装置10は、物質を貯蔵および分配するための任意の他の適切な容器、たとえばカートリッジを利用してもよいことを当業者は理解されよう。
【0053】
例示的シリンジは、好ましくは、以下で詳細に説明されるように、ハウジング12の中にスライド可能に装着される。装置10が非作動された位置にあるとき、シリンジは被覆され、ハウジング12内部に格納されている。装置10が始動されたとき、シリンジの近位端に結合された針が、ハウジング12の近位端20から突き出て、物質をシリンジから患者の身体の中に吐出できるようになる。図示されるように、ハウジング12の近位端20は、装置10が始動されたときに、シリンジの針が突き出る開口28を含む。一例の実施形態では、開口28は、ハウジング12自体の中に配置されてもよい。他の例示的実施形態では、開口28は、他の内部構成要素の中に、たとえば針を覆うために使用されるシュラウドの中に配置されてもよい。他の例示的実施形態では、開口28は、ハウジング12および他の内部構成要素、たとえばシュラウドの中に配置されてもよい。
【0054】
図1をさらに参照すると、ハウジング12の遠位端30が、作動機構を始動させるように構成された作動係合機構、たとえば作動ボタン32を含む。ハウジング12はまた、ハウジング12内部の被覆された、または格納位置(針がハウジング12から突き出ない)から突き出る位置(針がハウジング12から突き出る)にシリンジを駆動するように構成された作動機構、たとえば1つまたは複数のアクチュエータを収容する。作動機構は、実質的に、物質をシリンジから針を通って患者の身体の中に吐出するように構成される。
【0055】
例示的自動注射装置10は、ハウジング12の近位端20を覆って、注射前の針の露出を防止するための、取り外し可能な近位キャップ24(または針キャップ)を含んでもよい。図示の実施形態では、近位キャップ24は、患者が装置10を始動させる準備ができるまで、近位キャップ24をハウジング12にロックおよび/または接合するためのボス26を含んでもよい。あるいは、近位キャップ24は、ネジ山を切られたネジ部分を含んでもよく、開口部28のハウジング12の内面がネジ山を含んでもよい。例示的実施形態の教示に従って、任意の適切なかみ合い機構が使用されてもよい。
【0056】
例示的自動注射装置10は、作動ボタン32を覆って、注射前の作動ボタン32の露出および偶発的な係合を防止するように構成された、取り外し可能な遠位キャップ34を含んでもよい。遠位キャップ34を適合させるために、ハウジング12の遠位端に段29が形成されてもよい。一例の実施形態では、遠位キャップ34は、スナップフィットで作動ボタン32に結合されてもよい。他の例示的実施形態では、遠位キャップ34は、患者が装置10を始動させる準備ができるまで、遠位キャップ34を装置10の作動ボタン32にロックおよび/または接合するためのボスを含んでもよい。他の例示的実施形態では、遠位キャップ34は、ネジ山を切られたネジ部分を含んでもよく、作動ボタン32の面がネジ山を含んでもよい。例示的実施形態の教示に従って、任意の適切なかみ合い機構が使用されてもよい。
【0057】
ハウジング12およびキャップ24、34は、自動注射装置10の使用を容易にするための図形、シンボルおよび/または数字を含んでもよい。たとえば、ハウジング12は、装置10の近位端20の方向を指して、装置10が患者に対してどのように保持されるべきか(すなわち、注射部位の上に近位端20が置かれる)を示す矢印125を外面上に含んでもよい。さらに、近位キャップ24は、患者がまず装置の近位キャップ24を取り除くべきであることを示す「1」のラベルをつけられ、遠位キャップは、近位キャップ24が注射の準備で取り除かれた後に、遠位キャップ34が取り除かれるべきであることを示す「2」のラベルをつけられる。自動注射装置10は、患者への指示を容易にするための任意の適切な図形、シンボルおよび/もしくは数字を有してもよい、または自動注射装置10は、このような図形、シンボルおよび/もしくは数字を省略してもよいことを当業者は理解されよう。
【0058】
ハウジング12はまた、好ましくは、ハウジング12の内部に収容されたシリンジの内容物を患者が見ることができるようになる表示窓130を含んでもよい。窓130は、ハウジング12の側壁内に開口を含んでもよい、または装置10の内側を見ることができるようにするために、ハウジング12に半透明な材料を含んでもよい。ハウジング12は、プラスチックおよび他の公知の材料を含むがこれらに限定されない、任意の適切な生体適合性材料または外科用材料から形成されてもよい。
【0059】
図3および
図4(従来技術)は、一例の自動注射装置10の構成要素の横断面略図である。
図3(従来技術)は、使用前の例示的自動注射装置10の横断面略図を示す。
図4(従来技術)は、注射後の動作段階中の、
図3の例示的自動注射装置10の横断面略図を示す。
【0060】
図3および
図4に示されるように、物質用のシリンジ50または他の適切な容器が、装置10のハウジング12の内側の中に配置される。一例のシリンジ50が、患者の身体の中に注射される液状の物質の投与量を保持するための中空円筒部分53を含んでもよい。一例の円筒部分53は、形状が実質的に円柱形であるが、円筒部分53は、任意の適切な形状または構成を有してもよいことを当業者は理解されよう。栓54として示されるシールが、投与量を円筒部分53内部に密封する。シリンジ50はまた、栓54に圧力を加えることにより、投与量が吐出されることができる円筒部分53に接続され、かつこの円筒部分53と流体連通している中空針55を含んでもよい。中空針55は、円筒部分53の近位端53aから伸長する。円筒部分53の遠位端53bは、以下で説明されるように、ハウジング12の止め部123に当接して、シリンジ50の動きをハウジング12内部に制限するためのフランジ56または他の適切な機構を含む。例示的実施形態が、図示のシリンジ50に限定されないこと、および注入される物質の投与量を含むのに適した任意の容器が、例示的実施形態の教示に従って使用されてもよいことを当業者は理解されよう。
【0061】
一例の自動注射装置で任意の適切な針55が使用されてもよい。一例の実施形態では、針55は、固定された27ゲージ0.5インチ針であってもよい。他の例示的実施形態では、針55は、29ゲージ0.5インチ針であってもよい。一例の中空針55の先端は、挿入を容易にするためのいくつかのベベルを、たとえば5つのベベルを含んでもよい。しかしながら、針55は、患者の皮膚を突き刺して、患者の身体の中に物質を送達するのに適した任意の適切なサイズ、形状および構成を有してもよく、図示の実施形態に限定されない。適切なタイプの針が従来技術で周知である。
【0062】
図3および
図4に示される自動注射装置10は、シリンジ50に含まれる投与量を患者の身体の中に選択的に注入するための、プランジャとして示されるシリンジ始動構成要素70を含んでもよい。例示的プランジャ70は、栓54に圧力を選択的に加えて、針55を通して投与量を吐出するための、栓54に接続された第1の端部71aを有する棒部分71を含んでもよい。プランジャ70は、フランジをつけられた第2の端部72を含んでもよい。一例の実施形態では、プランジャ70は、
図3および
図4に示される構成要素よりも多いまたは少ない構成要素を含んでもよい。一例の実施形態では、装置10は、
図3および
図4に示されるアクチュエータよりも多いまたは少ないアクチュエータを含んでもよい。
【0063】
プランジャ70は、プランジャ70のフランジをつけられた第2の端部72の周りまたは上方に配置されたコイルばね88として示される第1のバイアス機構により装置10の近位端20に向かって前方に付勢されてもよい。コイルばね88の近位端88aが、プランジャ70のフランジをつけられた第2の端部72に当接して、プランジャ70に圧力を選択的に加えて、プランジャ70を患者の身体上の注射部位に向かって動かしてもよい。あるいは、プランジャ70は、ばね88の中心を通って伸長してもよい。
【0064】
図3に示されるように、装置10を使用する前に、コイルばね88(または他の適切な機構)は、プランジャ70と装置の構成要素または内面との間に圧縮され、したがって、エネルギーを蓄積してもよい。作動機構320などの任意の適切な始動手段により作動されてもよいトリガ91が、作動機構320が作動される前に、プランジャ70および第1のバイアス機構88を格納、ラッチをかけられた位置に保持してもよい。トリガ91は、プランジャ70のフランジをつけられた第2の端部72にラッチをかけてもよい。作動機構320または他の始動手段が作動されたとき、トリガ91は、プランジャ70のフランジをつけられた第2の端部72を解放し、コイルばね88が装置10の第1の端部に向かってプランジャ70を進ませることができるようになってもよい。
【0065】
一例のコイルばね89として示される第2のバイアス機構が、
図3に示されるように、使用前に、シリンジ50をハウジング12内部の格納位置に保持してもよい。格納位置では、針55は、好ましくは、ハウジング12内部に完全に被覆されてもよい。例示的シリンジコイルばね89は、円筒部分53の遠位部分の周りに配置されてもよく、ハウジング12内部に形成されたシェルフ121に固定されてもよい。コイルばね89の遠位端は、シリンジ50のフランジをつけられた遠位端56に当接してもよい。第2のバイアス機構89のばね力が、シリンジ50のフランジをつけられた遠位端56をハウジング12の近位端20から離れるように押してもよく、それにより、作動されるまで、格納位置にシリンジ50を保持する。装置10の他の構成要素が、同じくハウジング12に対してシリンジ50を位置決めするために使用されてもよい。
【0066】
第1のバイアス機構88および第2のバイアス機構89は、装置の特定の構成要素を付勢する際に使用するのに適した任意の適切な構成および張力を有してもよい。たとえば、第1のバイアス機構88は、解放または始動されたときに、プランジャ70およびシリンジ50を前方に駆動するのに適した、任意の適切なサイズ、形状、エネルギーおよび特性を有してもよい。第2のバイアス機構89は、第1のバイアス機構88の始動前に、シリンジ50を格納するのに適した、任意の適切なサイズ、形状、エネルギーおよび特性を有してもよい。プランジャ70および/またはシリンジ50の動きを容易にするための他の適切な手段が、同じく使用されてもよい。ラッチをかけるばね88の他の適切な手段が、同じく使用されてもよい。
【0067】
図3および
図4の、図示の実施形態をさらに参照すると、プランジャ70は、棒部分71、および棒部分71の近位の堅固な部分と遠位の堅固な部分の間のプランジャ70の中心に、半径方向に圧縮可能な一例の広げられた部分76を含んでもよい。一例の実施形態では、広げられた部分76は、棒部分71の中心軸に沿って位置合わせされてもよい。図示の一実施形態では、棒71は、長手方向のスリットまたは空洞を取り囲み、かつ半径方向に圧縮可能な広げられた部分76を規定する1対の突き出るエルボ78を形成するように分割されても、広げられてもよい。突き出るエルボ78は、成型されたプランジャ70の一部としてあらかじめ形成されてもよい、または別法として、プランジャ70に別個に取り付けられてもよい。突き出るエルボ78は、棒71のこの部分に棒71の残りの部分に類似する直径を採用させるように半径方向に内側に動かされることができるように、圧縮可能であってもよい。圧縮可能な広げられた部分76は、シリンジ50の動きを容易にする。
【0068】
作動機構320がトリガ91を作動して、プランジャ70を解放したとき、コイルばね88のばね力がプランジャ70を前方に進ませる。作動機構320は、プランジャ70を解放する、または他の方法で装置10を作動するのに適した、任意の適切なサイズ、形状、構成および位置を有してもよい。たとえば、作動機構320は、ハウジング12の遠位端30に形成された作動ボタンを含んでもよい、および/または他の適切な装置、たとえばラッチ、ひねり操作スイッチおよび従来技術で公知の他の装置を含んでもよい。図示の作動機構320が装置10の遠位端30に向かって配置されているが、作動機構320は、装置10上の任意の適切な場所に位置決めされてもよいことを当業者は理解されよう。
【0069】
第1の動作段階中、プランジャ70は、針55の先端がハウジング12の近位端20から突き出るように、シリンジ50を前方に押す。第1のコイルばね88により与えられる初期バイアス力は、第2のコイルばね89のバイアス力に十分に打ち勝って、第2のコイルばね89の後方へのバイアス力に逆らってシリンジ50を動かすことができるようになる。第1の動作段階では、プランジャ70の突き出るエルボ78により形成された、プランジャ70の広げられた領域76は、シリンジ50のフランジをつけられた遠位端56に対して静止してもよい、または最初、部分的に円筒部分53に入り、次に、静止摩擦力のために少なくとも一時的に停止してもよい。これにより、プランジャ70がシリンジ円筒部分53内部に移動するのが防止される。この手法では、フランジをつけられた遠位端56の静止摩擦または当接により、第1のコイルばね88からのすべてのバイアス力が、シリンジ50を装置10の近位端20に向かって前方に動かすように加えられる。
【0070】
装置10の近位端20に向けたシリンジ50の前方への動きは、円筒部分53のフランジをつけられた遠位端56がハウジング12内の止め部123に当接し、それにより、停止機構56、123を形成するまで、コイルばね89のバイアス力に逆らって継続してもよい。他の停止機構が利用されてもよいこと、および例示的実施形態が、図示の停止機構に限定されないことを当業者は理解されよう。
【0071】
第1の動作段階は、針55の先端を装置10の近位端20にある開口28を通って進ませてもよく、その結果、針55は、患者の皮膚を突き刺してもよい。この段階中、シリンジ円筒部分53は、好ましくは、針55を通して物質を吐出することなく密閉されたままでいてもよい。停止機構56、123により引き起こされた妨害が、その後のステップ中、装置10の近位開口端28から伸長する、選択された位置に針55を維持してもよい。停止機構56、123がシリンジ50の動きを止めるまで、プランジャ70の圧縮可能な広げられた部分76は、円筒部分53に対するプランジャ70の動きを妨げてもよい。停止機構56、123は、シリンジ50が注射に適した任意の適切な深さだけ皮膚を貫通することができるように、開口近位端20に対して任意の適切な場所に位置決めされてもよい。
【0072】
ハウジング12の止め部123がフランジをつけられた部分56を捕らえた後に、第2の動作段階が開始され、円筒部分53がさらに動くのを止める。この段階中、コイルばね88の継続したバイアス力は、
図5に示されるように、プランジャ70をハウジング12に対して押し続けてもよい。バイアス力は、プランジャ70のエルボ78を半径方向に内側に圧縮させ、かつ円筒部分53の内側にスライドさせてもよい。構成要素123と56の間の妨害が、選択された位置に円筒部分53を(針55が露出して)エルボ78がつぶれた段階で保持してもよいが、コイルばね88は、プランジャ70を円筒部分53の内部に押してもよい。プランジャ70が、必要な力に打ち勝って、エルボ78が圧縮し、円筒部分53の中に伸長することができるようになった後、プランジャ70は、栓54に圧力を加えて、突き出る針55を通してシリンジ50に含まれる物質を吐出させてもよい。針55は、第1の動作段階で患者の皮膚を貫通させられたので、シリンジ50の円筒部分53に含まれた物質は、患者の身体の部分の中に直接注射される。
【0073】
図5は、一例のシリンジハウジング部分組立体121および一例の作動機構部分組立体122を含む一例の自動注射装置10の斜視図を示す。一例の実施形態では、自動注射装置10は、2つのインターロッキング構成要素を、すなわち、装置10の近位構成要素(たとえば、近位ハウジング構成要素12a、シリンジ円筒53、コイルばね89、針55および他の近位構成要素など)を含むシリンジハウジング部分組立体121、および装置10の遠位構成要素(たとえば、作動本体12b、作動機構部分組立体122の近位端122aにある開口228から外に伸長する加圧部754’を有するシリンジ始動構成要素700’など)を含む作動機構部分組立体122を含んでもよい。シリンジハウジング部分組立体121および作動機構部分組立体122は、任意の適切な手段により結合されてもよい。一例の実施形態では、作動機構部分組立体122の近位端122aは、シリンジハウジング部分組立体121の遠位端121bの中に挿入されるようにサイズが設定され、構成されてもよい。さらに、作動機構部分組立体122の近位端122aにある1つまたは複数のタブ127が、シリンジハウジング部分組立体121の遠位端121bにある対応する開口126の中にスナップフィットして、2つの組立体121、122およびこれらの中に収容された構成要素の位置合わせおよび結合を保証してもよい。
【0074】
図6は、
図5の例示的自動注射装置の作動機構組立体122の分解斜視図を示す。
図7は、作動機構組立体122に含まれる一例のシリンジ始動構成要素700’の斜視図を示す。作動機構部分組立体122は、バイアス機構88およびシリンジ始動構成要素700’の遠位部分を収容するための中空の内部穴を有する作動本体12b(遠位ハウジング構成要素とも呼ばれる)を含んでもよい。作動本体12bは、作動機構部分組立体122の組立中に、バイアス機構88およびシリンジ始動構成要素700’が入ることができるように、近位端122aに開口228を含んでもよい。作動本体12bは、自身を識別し、かつ装置10の把持を容易にするために、1つまたは複数の隆起部または溝を自身の外面128上に有してもよい。作動本体12bは、作動機構部分組立体122の近位端122aに、またはその近傍に、シリンジハウジング組立体122の遠位端121b上の対応する開口126の中にスナップフィットするように構成された1つまたは複数のタブ127を含んでもよい。作動本体12bはまた、ばね88の遠位端を支持するための、狭くなった遠位壁1234を含んでもよい。作動本体12bはまた、シリンジ始動構成要素700’の固定部分789’が支持されてもよい遠位固定キャップ12cを含んでもよい。
【0075】
作動機構部分組立体122はまた、第1の動作段階でシリンジ50をハウジング12内部で前方に駆動するため、および第2の動作段階で栓54を作動させて、シリンジ50の内容物を吐出するために、作動本体12bの近位端122aから伸長するシリンジ始動構成要素700’として示されるシリンジアクチュエータを含んでもよい。シリンジ始動構成要素700’の近位端は、栓54に係合し、かつ栓54を駆動するための加圧部754’として構成されてもよい。加圧部754’の遠位に、中心の長手方向のスリットまたは空洞が1対のエルボ76に提供されてもよい。エルボ76は、シリンジ始動構成要素700’の中心軸に沿って位置合わせされてもよく、加圧部754’とシリンジ始動構成要素700’の堅固な棒部分70との間に伸長してもよい。シリンジ始動構成要素700’は、エルボ78の遠位の堅固な棒部分70にインジケータ190を含んでもよい。装置10の動作中、および注射の完了後、インジケータ190は、ハウジング12上の窓130と位置合わせして、注射の少なくとも部分的な完了を示すように構成される。インジケータ190は、好ましくは、注射の完了を表すための示差可能な色またはデザインを有する。
【0076】
図示のシリンジ始動構成要素700’は、始動まで、圧縮された位置に始動コイルばね88を保持するための保持フランジ720’をさらに含む。保持フランジ720’は、装置10が始動されたときに、シリンジ始動構成要素700’がハウジング12内部でスライド可能に、容易に動くことができるようにすることが好ましい物質からサイズ設定され、寸法を合わせられ、形成される。保持フランジ720’から遠位に伸長して、シリンジ始動構成要素700’は、始動コイルばね88のために基部788’を形成する。基部788’は、トリガ固定部分789’内で終端する。図示の基部788’は、ばね88が巻きつく、可撓性のあるアーム788a’、788b’を備えてもよい。トリガ固定部分789’は、基部788’から伸長し、かつ作動本体12bの固定キャップ12cを選択的に係合するように構成された、タブをつけられた足部7891’を備えてもよい。作動本体12bの遠位端に結合された作動ボタン32は、始動まで、格納状態にトリガ固定部分789’を保つように構成される。始動されたとき、作動ボタン32は、トリガ固定部分789’を解放し、コイルばね88がシリンジ始動構成要素700’を装置10の近位端20に向かって進ませることができるようになる。
【0077】
図6および
図7に示される、格納され、固定された位置では、トリガ固定部分789’は、ハウジング12と相互作用し、それにより、タブをつけられた足部7891’が、コイルばね88のバイアス力に逆らって、ラッチをかけられた位置に保持されて、格納位置にシリンジ始動構成要素700’を維持する。この位置では、フランジ720’は、作動本体12bの遠位壁1234に対してばね88を格納する。固定キャップ12c内の開口が、作動ボタン32がシリンジ始動構成要素700’の固定部分789’にアクセスできるようにする。格納位置では、シリンジ始動構成要素700’の加圧部754’は、作動本体12bの近位端122aにある開口228から外に伸長する。
【0078】
作動本体12bが、対応するシリンジ始動機構700’に結合したとき、加圧部754’は、その中に収容されたシリンジの円筒部分の中に伸長する。加圧部754’は、装置10内に収容されたシリンジ50の栓54と一体化しても、栓54と同一であっても、栓54に接続されても、他の方法で栓54とつながっていてもよく、圧力を栓54に加えるのに適した、任意の適切なサイズ、形状および構成を有してもよい。一実施形態では、加圧部754’は、円筒部分53を実質的に密封するように、対応するシリンジ50の円筒部分53の形状に対応する断面を有し、加圧部754’は、円筒部分53内部でスライド可能に動いて、圧力を栓54に加え、かつシリンジ50を始動させるように構成される。
【0079】
図6および
図7の図示の実施形態では、シリンジ始動構成要素700’は、対応するシリンジ50、ばね88および他の構成要素を固定し、シリンジ50を始動させ、引き延ばされた位置まで動かし、シリンジ50の内容物を別個に吐出するための、単一の一体化された機構を構成する。
【0080】
図8は、
図7の作動機構部分組立体122と共に組み立てられ、相互作用するように構成された一例のシリンジハウジング部分組立体121の分解斜視図である。シリンジハウジング部分組立体121の構成要素は、吐出される物質を含むシリンジ50を収容し、かつ上記で説明されたような2つの異なる動作段階で装置10の動作を容易にするように協調して構成される。シリンジハウジング部分組立体121は、シリンジを移動可能に保持するように構成されたシリンジキャリア1000を含む。
図9は、一例のシリンジキャリア1000の斜視図を示す。シリンジハウジング部分組立体121はまた、注射で使用する前、使用中または使用後に針55を保護するように覆うように構成されたシュラウド1110を含む。シリンジキャリア1000およびシュラウド1110は、これらの間に位置決めされた第2のバイアス部材89と一緒に結合されてもよい。シリンジキャリア1000、シュラウド1110およびバイアス部材89は、近位端が近位キャップ24により覆われてもよい近位ハウジング構成要素12aの中空の穴の中に置かれてもよい。
【0081】
近位ハウジング構成要素12aは、シリンジハウジング部分組立体121の第2のバイアス機構89、シリンジキャリア1000およびシュラウド1110を適合させるための中空の構造部材を提供する、シリンジハウジング12の部分である。近位ハウジング構成要素12aは、管状側壁を有する管状部材であってもよい、すなわち、実質的に円形の断面を有する実質的に円柱形の形状を有してもよい。近位ハウジング構成要素12aは、自動注射装置の長手方向の軸に沿って近位端から遠位端に伸長してもよい。近位ハウジング構成要素12aは、遠位端で、または遠位端の近傍で、作動本体12bに結合されてもよく、近位端で、または近位端の近傍で、近位キャップ24に結合されてもよい。近位ハウジング構成要素12aは、利用者が、近位ハウジング構成要素12aの内側に配置されたシリンジ50の内容物を見ることができるように、近位ハウジング構成要素12aの側壁の中に形成または提供された1つまたは複数の窓130を含んでもよい。
【0082】
シュラウド1110は、展開されたときに、注射で針を使用する前、使用中、および/または使用後に針のための保護カバーを提供する構造部材である。シリンジハウジング部分組立体121の構成要素は協調して、注射中に近位ハウジング構成要素12aに対して格納位置にシュラウド1110を保持し、かつ注射中または注射後に近位ハウジング構成要素12aに対してシュラウド1110を自動的に展開するように構成される。一例の実施形態では、シュラウド1110は、ハウジング12の近位端20に位置決めされてもよい、またはハウジング12の近位端を形成してもよい。シュラウド1110は、管状側壁を有する主管状本体部分1116を含んでもよい、すなわち、実質的に円形の断面を有する実質的に円柱形の形状を有してもよい。主管状本体部分1116は、自動注射装置の長手方向の軸に沿って近位端から遠位端に伸長してもよい。
【0083】
主管状本体部分1116は、本体部分に沿って長手方向に伸長する1つまたは複数のスロット1118を含んでもよい。一例の実施形態では、スロット1118は、シリンジキャリア1000および/またはシュラウド1110が互いに対して動いたときに、シリンジキャリア1000の隆起したレールエッジまたはタブをつけられた足部1006が動くための長手方向の軌道を提供してもよい。シュラウド1110が、シュラウドが格納する間、シリンジキャリア1000に向かって動くとき、シリンジキャリア1000のタブをつけられた足部1006は、スロット1118に沿って装置の近位端に向かって移動してもよい。逆に、シュラウド1110が、シュラウドの展開中に、シリンジキャリア1000から離れて動くとき、シリンジキャリア1000のタブをつけられた足部1006は、スロット1118に沿って装置の遠位端に向かって移動してもよい。
【0084】
主管状本体部分1116の遠位端は、リムとして構成されてもよく、互いに間隔を開けて配置される1つまたは複数の遠位アーム1114に結合されてもよい。一例の実施形態では、間隔を開けて配置された2つの遠位アーム1114が、主管状本体部分1116の遠位端に結合される。遠位アーム1114は、円形断面を有する実質的に円筒形の形状、長方形または正方形の断面を有する実質的に伸長したボックス形状などを含むがこれらに限定されない、任意の適切な形状を取ってもよい。一例の実施形態では、遠位アーム1114は、実質的に互いに平行に、および装置の長手方向の軸に平行に伸長してもよい。他の例示的実施形態では、遠位アーム1114は、シュラウド1110上の取付けポイントに対して互いに分岐するように、装置の長手方向の軸に対して角度をなして伸長してもよい。
【0085】
主管状本体部分1116の近位端は、近位管状部分1112に結合されてもよい。一例の実施形態では、近位管状部分1112は、注射後に針55の一部または全部を覆ってもよい。一例の実施形態では、主管状部分1116は、注射後に針55の一部または全部を覆ってもよい。シュラウド1110の近位管状部分1112は、管状側壁を有する管状部材であってもよい、すなわち、実質的に円形の断面を有する実質的に円筒形の形状を有してもよい。近位管状部分1112は、自動注射装置の長手方向の軸に沿って近位端から遠位端に伸長してもよい。近位管状部分1112の近位端は、近位開口28を有してもよい。近位開口28は、針55が外側に突き出て、装置10の動作中に注射部位を突き刺すことができるようにしてもよい。近位管状部分1112の遠位端は、シュラウド1110の主管状本体部分1116の近位端に結合されてもよい、またはこの近位端から伸長してもよい。
【0086】
一例の実施形態では、シュラウド1110の近位管状部分1112は、主管状本体部分1116の断面直径より小さい断面直径を有してもよい。この例示的実施形態では、近位管状部分1112の遠位端と主管状本体部分1116の近位端との間の結合部分に階段状部分1113が形成されてもよい。階段状部分1113は、シュラウド1110の内側に少なくとも部分的に配置されたバイアス部材89に対する前方止め部を形成してもよい。階段状部分1113は、バイアス部材89を閉じ込め、かつバイアス部材89が装置10の近位端にさらに向かってさらに前方に動くのを防止してもよい。
【0087】
シリンジキャリア1000は、装置10で使用されるシリンジ50の遠位半分を取り囲む構造部材である。シリンジキャリア1000は、シリンジ50を前方に、注射位置に動かすために、シリンジ50を保持し、ハウジング12内部に誘導するように構成されてもよい。シリンジ50は、シリンジキャリア1000内で静止してもよく、シリンジ50もシリンジキャリア1000も、ハウジング12に含まれてもよい。装置10の動作中、シリンジ50およびシリンジキャリア1000は、ハウジング12内部で近位に、前方に動く。ハウジング12内部のフランジ256は、キャリア1000のフランジ1063の動きを停止させ、かつ制限し、次に、キャリア1000のフランジ1063は、シリンジ50の動きを停止させ、かつ制限する。キャリア1000の動きは、任意の適切な停止機構を使用して止められてもよいことを当業者は理解されよう。
【0088】
一例の実施形態では、シリンジキャリア1000は、近位ハウジング構成要素12a内部で静止しており、シリンジ50は、シリンジキャリア1000内部で、シリンジキャリア1000に対して、選択的かつ制御可能にスライドする。シリンジキャリア1000の近位管状部分1002の側壁は、任意選択で段を含んでもよい。他の例示的実施形態では、シリンジキャリア1000は、近位ハウジング構成要素12a内部にスライド可能に配置され、ハウジング12内部でシリンジ50を選択的に保持する。シリンジキャリア1000は、シリンジ50を近位ハウジング構成要素12a内部に保持または誘導するのに適した、任意の適切な構成、形状およびサイズを有してもよい。シリンジキャリア1000はまた、注射中および/または注射後にシュラウド1110を自動的に展開するために、シュラウド1110と協調するように構成される。
【0089】
シリンジキャリア1000は、実質的に管状であり、かつ管状側壁を有する、すなわち、実質的に円形断面を備える実質的に円柱形状を有する近位管状部分1002を含んでもよい。近位管状部分1002の側壁は、任意選択で1つまたは複数の隆起構造物、たとえば長手方向に伸長するレール1007を含んでもよい。レール1007は、タブをつけられ足部1006を含んでもよい。シリンジキャリア1000がシュラウド1110と共に組み立てられとき、タブをつけられた足部1006は、シュラウド1110のスロット1118内部にはまってもよく、その結果、2つの構成要素が協調して、シリンジキャリア1000およびシュラウド1110のためのロック機構を形成する。組み立てられた構成では、タブをつけられた足部1006は、スロット1118内部を長手方向に移動してもよいが、スロット1118から外れるのを制限される。すなわち、キャリア1000のタブをつけられた足部1006の前方への動きが、シュラウド1100のスロット1118の近位端により停止させられてもよい。同時に、レール1007は、シュラウド1110の主管状本体部分1116内に提供された内部にある長手方向の溝に沿ってはまり、溝により提供される軌道に沿って長手方向に動く。一例の実施形態では、溝は、シュラウド1110の遠位端の近傍に提供されてもよく、一例の長さ約2mmにわたって伸長してもよい。
【0090】
近位管状部分1002の近位端は、近位アンカ部分1003に結合されてもよい、または近位アンカ部分1003の中に伸長してもよい。一例の実施形態では、近位管状部分1002は、近位アンカ部分1003より大きな外径を有してもよい。近位アンカ部分1003は、一例の実施形態では、一例の外径約12.60mmを有してもよい。シリンジキャリア1000の近位アンカ部分1003は、シリンジ50の動きを遠位の後方方向に制限してもよい。近位アンカ部分1003は、近位ハウジング構成要素12aの内側の止め部またはフランジに256に係合するように構成された1つまたは複数の半径方向の溝を含んでもよい。近位アンカ部分1003が内側のフランジ256と係合することにより、シリンジ50の動きを遠位の後方方向に制限する。近位アンカ部分1003は、連続的に伸長する側壁を有してもよい、または不連続の壁に分割されてもよい。
【0091】
一例の実施形態では、近位アンカ部分1003の近位端は、シリンジキャリア1000と、バイアス部材89の遠位端およびシュラウド1110の遠位端との結合を容易にするために、近位アンカ部分1003を通り越して近位方向に伸長するシリンジキャリアカプラ1004を含んでもよい。一例の実施形態では、シリンジキャリア1000の近位アンカ部分1003は、バイアス機構89の遠位端に対する停止機構を提供してもよく、バイアス機構89が遠位方向にさらに動くのを防止してもよい。
【0092】
近位管状部分1002の遠位端は、実質的に管状であり、かつ管状側壁を有する、すなわち、実質的に円形断面を有する実質的に円柱形状を有する遠位管状部分1005の近位部分に結合されてもよい。遠位管状部分1005の遠位端は、シリンジ50のダンパの役割を果たしてもよい、フランジをつけられた遠位端1062に結合されてもよい、またはこの遠位端1062を形成するように伸長してもよい。フランジをつけられた遠位端1062は、遠位管状部分1005から半径方向に伸長してもよく、遠位管状部分1005より大きな断面直径を有してもよい。
【0093】
遠位管状部分1005の側壁は、ハウジング12の内側に配置されたシリンジ50の内容物を利用者が見ることができるようになる1つまたは複数の窓1001を含んでもよい。いくつかの例示的実施形態では、窓1001は、近位管状部分1002の中に伸長してもよい。いくつかの例示的実施形態では、窓1001は、近位管状部分1002または遠位管状部分1005に制限されてもよい。
【0094】
一例の実施形態では、遠位管状部分1005の断面直径は、近位管状部分1002の断面直径より小さくてもよい。この実施形態では、近位管状部分1002の遠位端と遠位管状部分1005の近位端の間の結合部分に遷移部分1064が形成されてもよい。遷移部分1064は、管状部分の平面の間に、実質的に垂直な面を形成してもよい、または管状部分の平面に対して角度をなす傾斜面を形成してもよい。一例の実施形態では、遷移部分1064は、近位管状部分1002および遠位管状部分1005の外径に対して、遷移部分の少なくとも一部でより大きな外径を有してもよい。
【0095】
近位管状部分1002と遠位管状部分1005の間の領域は、管状部分から半径方向に伸長する中間フランジ1063を含んでもよい。中間フランジ1063は、半径方向に連続な構造であっても、半径方向に不連続な構造であってもよく、管状部分より大きな断面直径を有してもよい。中間フランジ1063は、近位ハウジング構成要素12aの内側の止め部またはフランジ256と係合して、シリンジ50の動きを近位の前方方向に制限するように構成されてもよい。一例の実施形態では、フランジ1063は、近位管状部分1002および遠位管状部分1005の外径に対して遷移部分1064の外径を増大させてもよい。
【0096】
シリンジキャリア1000が始動すると、シリンジキャリア1000は、シリンジキャリア11000の中間フランジ1063が、近位ハウジング構成要素12aの内側の止め部またはフランジ256に当接するまで、装置の近位端に向かって動く。このことが、シリンジキャリア1000およびシリンジ50が近位の前方方向にさらに動くのを制限する。
【0097】
一例の実施形態では、シュラウド1110は、注射を行う前に、格納位置にある。他の例示的実施形態では、シュラウド1110は、注射を行う前に、伸長位置にあり、注射を行うために、格納される。この実施形態では、注射のために針を露出するために、シュラウド1110は、バイアス部材89のバイアス力に逆らって遠位の後方方向に格納される。針が注射中に使用中であるとき、シュラウド1110は、装置の遠位端に向かって押されても、装置の遠位端に向かって格納位置に保持されてもよい。格納されている間、シュラウド1110がシリンジキャリア1000に対して動くとき、シリンジキャリア1000のレール1007のタブをつけられた足部1006は、相対的な手法でシュラウド1110のスロット1118に沿って長手方向に装置の近位端に向かって動く。同時に、シリンジキャリア1000のレール1007は、相対的な手法でシュラウド1110の内側の溝に沿って長手方向に動く。タブをつけられた足部1006がスロット1118の近位端に到達したとき、シュラウド格納過程が完了し、シュラウド1110がさらに動くのを停止させられる。タブをつけられた足部1006は、ロックする手法でスロット1118の中にはまるので、スロット1118から離れず、シュラウド1110が後方にまたは遠位にさらに動くのを防止する。
【0098】
シュラウド1110の格納位置では、主管状本体部分1116の遠位リムまたは遠位端は、近位ハウジング構成要素12aの内面上に提供された止め部またはフランジ256の近位側に当接してもよい。一例の実施形態では、格納位置で、遠位アーム1114は、シリンジキャリア1000の中間フランジ1063を越えて遠位方向に伸長してもよい。
【0099】
注射前、注射中または注射後に針を覆うために、シュラウド1110は、バイアス部材89のバイアス力の下で、自身の格納位置から伸長位置に近位の前方方向に展開される。展開された位置で、シュラウド1110は、使用中または使用後に針を保護するように覆い、偶発的な針刺し傷を防止する。一例の実施形態では、シュラウド1110は、バイアス部材89のバイアス力により自動的に展開されてもよい。展開中、シュラウド1110がシリンジキャリア1000に対して動くとき、シリンジキャリア1000のレール1007のタブをつけられた足部1006は、相対的な手法でシュラウド1110のスロット1118に沿って装置の遠位端に向かって長手方向に動く。同時に、シリンジキャリア1000のレール1007は、相対的な手法でシュラウド1110の内側の溝に沿って長手方向に動く。タブをつけられた足部1006がスロット1118の遠位端に到達したとき、シュラウド展開過程が完了し、シュラウド1110がさらに動くのを停止させられる。タブをつけられた足部1006は、ロックする手法でスロット1118の中にはまるので、スロット1118から離れず、シュラウド1110が後方にまたは遠位にさらに動くのを防止する。
【0100】
シュラウド1110が、伸長位置に展開された後、遠位アーム1114は、シュラウドに遠位方向に加えられた後方への力のために、シュラウド1110が再度格納されないことを保証する。例示的実施形態では、例示的シュラウド1110の遠位アーム1114は、「オーバーライド力」として公知の最大の力に逆らってシュラウド格納に抵抗してもよい。一例の実施形態では、展開中、シュラウド1110の遠位アーム1114の遠位端がハウジングの内側の止め部またはフランジ256に対して静止するように、シュラウド1110は、装置のハウジング内部を動く。したがって、内側の止め部またはフランジ256は、シュラウドが展開された後、シュラウド1110が遠位にまたは後方にさらに動くのを防止する。このロック機構は、装置が使用された後に、針が保護されるように覆われることを保証し、シュラウドの偶発的な格納により引き起こされる、偶発的な針刺し傷を防止する。例示的シュラウドオーバーライド力は、約80Nから約200Nまでの範囲であってもよいが、オーバーライド力は、この例示的範囲に限定されない。
【0101】
図9に示されるように、バイアス部材89は、シリンジキャリア1000のシリンジキャリアカプラ1004の近位端とシュラウド1110の遷移部分1113の間に伸長する。一例の例示的実施形態では、バイアス部材89は、
図3に示されるように、使用前に、シリンジ50をハウジング12内部の格納位置に保持してもよい。他の例示的実施形態では、シリンジ50を保持するシリンジキャリア1000は、ハウジング内の内側のフランジ256にロックされてもよい。この相互作用は、そのときまでにシリンジ50をハウジング内部の格納位置に保持してもよい。第1のキャップ24の管26の助けを借りて、この相互作用は、シリンジキャリア1000およびシリンジ50を、出荷、衝撃、落下、振動などの間に定位置にロックすることができる。バイアス部材89は、この例示的実施形態では、シュラウド1110を前方に保持してもよい。
【0102】
格納位置にシュラウド1110があるとき、針55は、好ましくは、ハウジング12内部に完全に被覆されてもよい。例示的シリンジコイルばね89は、シリンジ50の円筒部分53の遠位部分の周りに配置されてもよく、ハウジング内側12の中に形成されたシェルフの中に固定されてもよい。コイルばね89の最上端部は、シリンジ50のフランジをつけられた第2の端部56に当接してもよい。第2のバイアス機構89のばね力が、シリンジ50のフランジをつけられた第2の端部56をハウジング12の第1の端部20から離れるように押してもよく、それにより、作動されるまで、格納位置にシリンジ50を保持する。装置10の他の構成要素が、同じくハウジング12に対してシリンジ50を位置決めしてもよい。
【0103】
図10Aおよび
図10Bは、互いに90°のオフセット角にある断面図であり、組み立てられた自動注射装置を示し、
図5のシリンジハウジング部分組立体121および作動機構部分組立体122が一緒に結合され、その結果、シリンジ始動構成要素700’の加圧部754’が、シリンジハウジング部分組立体121の中に収容されたシリンジ50の円筒部分53の中に伸長し、シリンジ50の栓54とつながっている。
図7および
図10Bを再度参照すると、シリンジ始動構成要素700’は、その近位端700a’に、以下で説明されるように、栓54に圧力を加えるための加圧端部754’、圧縮可能な広げられた部分76を備えるプランジャ棒部分70(プランジャエルボ78として示される)だけでなく、他の構成要素も、たとえばシリンジ始動構成要素700’にコイルばね88を固定するための構成要素も含む。圧縮可能な広げられた部分76は、突き出る位置の中へ対応するシリンジ50が動くのを、およびシリンジ50の内容物の排除を容易にする。あるいは、シリンジ始動構成要素700’は、シリンジ50を動かすための、および/またはシリンジ50の始動を促進するための、複数のアクチュエータを備えてもよい。
【0104】
図10Bに示されるように、シリンジ始動構成要素700’のトリガ固定部分789’が、作動ボタン32によりハウジング12の遠位端に固定される。患者が作動ボタン32を作動したとき、作動ボタン32に結合された駆動アーム32aが、トリガ固定部分789’のタブをつけられた足部7891’を内側に圧縮し、それにより、プランジャアーム788a’、788b’のタブをつけられた足部間の距離(プランジャアーム幅)を低減する。これにより、シリンジ始動機構700’およびばね88が解放される。
【0105】
一例の実施形態では、第1の動作段階中、プランジャ70は、ばね88のばね力の下で前進し、シリンジ50の穴に入る。プランジャ70がシリンジ50の穴に入ったとき、プランジャ70のエルボ78が少なくとも部分的に半径方向に内側に圧縮されてもよい。一例の実施形態では、エルボ78が半径方向に内側に圧縮されることにより、プランジャ70が長手方向の軸に沿って長くされても、延ばされてもよい。一例の実施形態では、プランジャ70の加圧端754’は、最初は栓54から間隔を開けて配置されてもよく、プランジャ70は、プランジャ70の加圧端754’が栓54と最初に接触するまで、第1の動作段階中に栓54に向かって動いてもよい。
【0106】
第2の動作段階中、プランジャ70の加圧端754’は、栓54を押す。この段階では、プランジャ70のエルボ78は、シリンジの内壁に摩擦力を加え、これにより、栓54に対して加圧端754’が前方へ動くのを妨げる。さらに、シリンジ内液状治療物質の投与量の圧縮できない性質が、栓54に対して加圧端754’が前方へ動くのに逆らって作用する。その結果、エルボ78により加えられる摩擦力とシリンジ50の内側の液体の抵抗力との組合せが、栓54に対して加圧端754’がさらに動くのを妨げる。これらの力の組合せがシリンジキャリア1000を定位置に保持している力を超えたとき、シリンジ50およびシリンジキャリア1000は、ばね88の力の下で、装置の近位端に向かって前方に動かされる。シリンジが前方に動く間、第1のコイルばね88により与えられる初期バイアス力が、第2のコイルばね89のバイアス力に十分に打ち勝って、第2のコイルばね89の後方へのバイアス力に逆らってシリンジ50を動かすことができるようになる。シリンジ50が前方に動くことにより、針55の先端がハウジング12の近位端20から突き出される。
【0107】
この例示的実施形態では、第3の動作段階中、シリンジキャリア1000が装置のハウジング内で完全に伸長されたとき、プランジャ70は、シリンジ50の穴の中にさらに動く。一例の実施形態では、エルボ78が半径方向に内側に圧縮されることにより、プランジャ70が長手方向の軸に沿って長くされても、延ばされてもよい。プランジャ70がシリンジ50の中に動いたとき、プランジャ70の加圧端754’は、栓54をシリンジ50の中に押して、針55を通してシリンジ50の内容物をシリンジから吐出させる。
【0108】
他の例示的実施形態では、ばね88が解放された後に、プランジャ70は、ばね88のばね力の下で前進し、シリンジ50の穴に入ってもよく、プランジャがシリンジ50の穴に入ったとき、プランジャ70のエルボ78は、少なくとも部分的に、半径方向に内側に圧縮されてもよい。一例の実施形態では、エルボ78が半径方向に内側に圧縮されることにより、プランジャ70が長手方向の軸に沿って長くされても、延ばされてもよい。
【0109】
一例の実施形態では、プランジャ70の加圧端754’は、最初は栓54から間隔を開けて配置されてもよく、プランジャ70は、プランジャ70の加圧端754’が栓54と最初に接触するまで、栓54に向かって動いてもよい。その後、プランジャ70の加圧端754’は、栓54を押してもよい。プランジャ70のエルボ78は、シリンジの内壁に摩擦力を加えてもよく、これにより、栓54に対して加圧端754’が前方へ動くのを妨げる。さらに、シリンジ内液状治療物質の投与量の圧縮できない性質が、栓54に対して加圧端754’が前方へ動くのに逆らって作用する。その結果、エルボ78により加えられる摩擦力とシリンジ50の内側の液体の抵抗力との組合せが、栓54に対して加圧端754’がさらに動くのを妨げる。
【0110】
これらの力の組合せがシリンジキャリア1000を定位置に保持している力を超えたとき、シリンジ50およびシリンジキャリア1000は、ばね88の力の下で、装置の近位端に向かって前方に動かされる。シリンジが前方に動く間、第1のコイルばね88により与えられる初期バイアス力は、第2のコイルばね89のバイアス力に十分に打ち勝って、第2のコイルばね89の後方へのバイアス力に逆らってシリンジ50を動かすことができるようになる。シリンジ50が前方に動くことにより、針55の先端がハウジング12の近位端20から突き出される。この例示的実施形態では、シリンジキャリア1000が装置のハウジング内で完全に伸長されたとき、プランジャ70のエルボ78は、半径方向に内側により大きく圧縮されてもよく、プランジャ70は、シリンジ50の穴の中にさらに動いてもよい。一例の実施形態では、エルボ78が半径方向に内側に圧縮されることにより、プランジャ70が長手方向の軸に沿って長くされても、延ばされてもよい。プランジャ70がシリンジ50の中に動いたとき、プランジャ70の加圧端754’は、栓54をシリンジ50の中に押して、針55を通してシリンジ50の内容物をシリンジから吐出させてもよい。
【0111】
他の例示的実施形態では、動作前に、シリンジ始動構成要素700’の、エルボ78として示される圧縮可能な広げられた部分76は、解放されたばね88により押されたときに、圧縮可能な広げられた部分76がシリンジ円筒部分53に圧力を加えることができるように、シリンジ50のフランジをつけられた遠位端56の上方で静止し、それにより、始動されたときに、シリンジ50をハウジング12内部で前方に動かす。この例示的実施形態では、第1の動作段階で、突き出ているエルボ78により形成された、プランジャ70の広げられた部分76が、円筒部分53のフランジをつけられた遠位端56に対して静止する。これにより、プランジャ70がシリンジ円筒部分53内部に移動するのが防止される。
【0112】
この手法では、第1のコイルばね88からのすべてのバイアス力が、シリンジ50およびシリンジキャリア1000を装置10の近位端20に向かって前方に動かすように加えられる。装置10の近位端20に向かってシリンジ50およびシリンジキャリア1000が前方に動くことにより、円筒部分53のフランジをつけられた遠位端56が停止機構に、たとえば
図10Bに示される近位ハウジング構成要素12a上の止め部256に当接するまで、コイルばね88のバイアス力に逆らい続けてもよい。代替の停止機構が利用されてもよいこと、および例示的実施形態は、図示の停止機構に限定されないことを当業者は理解されよう。
【0113】
第1の動作段階は、針55の先端を装置10の近位端20にある開口28を通って進ませてもよく、その結果、針55は、患者の皮膚を突き刺してもよい。この段階中、シリンジ円筒部分53は、好ましくは、針55を通して物質を吐出することなく密閉されたままでいてもよい。停止機構により引き起こされた妨害が、その後のステップ中、装置10の近位開口端28から伸長する、選択された位置に針55を維持してもよい。停止機構がシリンジ50の動きを止めるまで、プランジャ70の圧縮可能な広げられた部分76は、円筒部分53に対してプランジャ70が動くのを妨げてもよい。停止機構は、シリンジ50が注射に適した任意の適切な深さだけ皮膚を貫通することができるように、開口近位端20に対して任意の適切な位置に位置決めされてもよい。
【0114】
この例示的実施形態では、フランジをつけられた部分56をハウジング12の停止機構が捕らえた後に、第2の動作段階が開始され、円筒部分53がさらに動くのを止める。この段階の間、ばね88の継続したバイアス力が、シリンジ始動構成要素700’を前方に動かし続け、圧縮可能な広げられた部分76を半径方向に内側に圧縮させ、シリンジ50の円筒部分53の中に動かす。一例の実施形態では、エルボ78が半径方向に内側に圧縮されることにより、プランジャ70が長手方向の軸に沿って長くされてもよい。円筒部分53内部でシリンジ始動構成要素700’が前方へ動くことにより、加圧部754’が栓54に圧力を加え、シリンジ内容物を注射部位の中に吐出させる。針55は、第1の動作段階で患者の皮膚を貫通させられたので、シリンジ50の円筒部分53に含まれた物質は、患者の身体の部分の中に直接注射される。
【0115】
また、
図10Aおよび
図10Bに示されるように、遠位キャップ34は、作動ボタン32を通って、シリンジ始動構成要素700’のタブをつけられた足部7891’の間に伸長して、作動前に装置の構成要素を安定させる、安定化突出部340を含んでもよい。
【0116】
図10Aに示される例示的実施形態では、取り外し可能な剛性の針シールド1406が、針55を保護するように覆うために、シリンジ50の近位端に結合される。剛性の針シールド1406は、針55を使用前に無菌に保つ、柔らかな針シールドを覆い、保護する。剛性の針シールド1406および柔らかな針シールドは、一緒になって、露出した針により引き起こされる可能性がある偶発的な針刺し傷を防止することが意図される。一例の実施形態では、剛性の針シールド1406は、実質的に円形断面を備える内側の穴を有する、実質的に円柱形の壁を備える中空の管状部材である。円柱形の壁の断面外径は、剛性の針シールド1406の長さにわたり実質的に一定であってもよい、または剛性の針シールド1406の長さにわたり変わってもよい。一例の剛性の針シールド1406が、ポリプロピレンを含むがこれに限定されない1つまたは複数の剛性の材料から形成されてもよい。
【0117】
一例の実施形態では、針55と剛性の針シールド1406の間のシーリング層を提供するために、剛性の針シールド1406の穴の中に、取り外し可能な柔らかい針シールド(図示せず)が提供される。一例の柔らかい針シールドが、ゴムを含むがこれに限定されない1つまたは複数の弾性材料から形成されてもよい。
【0118】
図10Aおよび
図10Bに示される針組立体では、針55は、柔らかな針シールドおよび剛性の針シールド1406により覆われる。さらに、剛性の針シールド1406は、自動注射装置の取り外し可能な近位キャップ24により覆われる。取り外し可能な近位キャップ24は、自動注射装置のハウジングの近位端を覆って、注射前の針の露出を防止するために、自動注射装置内に提供される。
【0119】
図11は、組み立てられた自動注射装置10’の断面図である。自動注射装置10’の図示の実施形態は、近位ハウジング構成要素12aおよび遠位ハウジング構成要素12bを含む。近位ハウジング構成要素12aおよび遠位ハウジング構成要素12bは、完全なハウジングを形成するために一緒に組み立てられる。図示されるように、ハウジングの近位端を形成する近位ハウジング構成要素12aは、遠位ハウジング構成要素12bの近位端を受け入れる。
【0120】
取り外し可能な剛性の針シールド1406が、針(図示せず)を保護するように覆うために、シリンジ50’の近位端に結合される。
【0121】
図示の実施形態では、協調する突出部312および溝313、または複数の協調する突出部312および溝313が、近位ハウジング構成要素12aおよび遠位ハウジング構成要素12bの組立および結合を容易にする。あるいは、他の適切な組立機構が利用されてもよい。取り外し可能な遠位キャップ34に対する止め部を形成するために、遠位ハウジング構成要素12bの外面上に形成されたシェルフ29。
【0122】
図示されるように、作動ボタン32’は、遠位ハウジング構成要素12bの遠位端を覆うキャップであってもよい。図示の作動ボタン32’は、遠位ハウジング構成要素12bに対してスライドして、シリンジアクチュエータ、たとえばプランジャ70を始動させる。図示の作動ボタン32’は、プランジャ70’の可撓性のある固定アーム172を解放可能に保持する。押し下げられたとき、作動ボタン32’は、可撓性のある固定アーム172を解放して、ばね88’として示される第1のバイアス機構が、装置10’の近位端に向かってプランジャ70’を進ませることができるようになる。
【0123】
図11の実施形態では、プランジャ70’は、圧縮可能な広げられた部分78’とプランジャ71’の遠位端の間に配置されたフランジ72’をさらに含む。第1のバイアス機構88’が、プランジャ70をハウジングの近位端に向かって付勢するように、ハウジングの内側の遠位端とフランジ72’の間に固定される。作動ボタン34’が固定アーム172を解放したとき、コイルばね88’、または他の適切なバイアス機構は、プランジャ70’を装置10の近位端20に向かって進ませることができるようになる。
【0124】
プランジャ70’は、フランジ72’と、可撓性のあるエルボ78’として示される、圧縮可能な広げられた部分との間の、プランジャ棒71の中間部分に形成されたインジケータ190をさらに含む。インジケータ190は、装置10’の患者に、シリンジ50からの投与量が完全に、または実質的に完全にいつ吐出されたかを示してもよい。図示の実施形態では、インジケータ190は、圧縮可能な広げられた中央部分76とフランジ72’の間の、プランジャ棒71’の部分に形成される。動作中にプランジャ棒71が動くとき、インジケータ190は前方に進み、投与量がシリンジから空になるときに、ハウジング内の窓130に位置合わせする。好ましくは、吐出されている物質と異なる色またはパターンのインジケータ190が、窓130を完全に満たして、投与量が吐出されたことを示す。任意の適切なインジケータが使用されてもよい。
【0125】
図11のシリンジ50’は、ハウジング12’内部でのシリンジの制御された動きを容易にするように、突出部または他の適切な構成要素を含んでもよい。たとえば、
図11を参照すると、シリンジ50’は、ハウジング12’内部で遠位方向へシリンジ50’が動くのを制限するために、ハウジング12’の内面上に形成された第1の突出部168の近位側に当接するための、近位突出部158を形成するスリーブ157を含む。スリーブ157はまた、第1の突出部168の遠位側に当接して、注射中にシリンジ50’が近位方向に動くのを制限してもよいフランジ159を形成してもよい。
【0126】
図12の実施形態では、コイルばね89’として示される第2のバイアス機構が、シリンジ50’の近位部分の周りに配置される。ハウジング12’の近位内面に形成されたシェルフ169が、コイルばね89’の近位端を受け入れる。シリンジスリーブ157の近位突出部158、または他の適切に配置された機構が、コイルばね89’の遠位端を受け入れる。上述のように、第2のバイアス機構89’は、装置10が始動するまで、シリンジ50’をハウジング12’内部の格納位置に付勢する。
【0127】
図12は、一例のシリンジ1400を収容する自動注射装置のハウジング1300の長手方向の軸Lに沿って得られた断面図を示す。自動注射装置のハウジング1300は、実質的に近位端1302と遠位端1304の間に、長手方向の軸Lに沿って伸長する。ハウジング1300は、シリンジ1400を適合させるための中空の内部穴1306および他の関連する構成要素、たとえば針、針を覆う柔らかな針シールド、針を覆う剛性の針シールド1406および柔らかな針シールドなどを含む。
【0128】
ハウジング1300の近位端1302は、取り外し可能な近位キャップ1308を含む、またははめ込まれる。近位キャップ1308は、実質的に近位端1310と遠位端1312の間に、長手方向の軸Lに沿って伸長する。近位キャップ1308は、剛性の針シールド1406の長さの一部または全体を適合させるための中空の内部穴1314を含む。一例の実施形態では、近位キャップ1308の中空の内部穴1314はまた、シリンジ本体1400の近位部分を適合させてもよい。
【0129】
シリンジ1400は、実質的に近位端1402と遠位端1404の間に、長手方向の軸Lに沿って伸長する。シリンジ1400の近位端1402は、取り外し可能な剛性の針シールド1406により覆われてもよい針に結合される。いくつかの例示的実施形態では、針は、剛性の針シールド1406によりさらに覆われる、取り外し可能な柔らかな針シールドにより覆われてもよい。剛性の針シールド1406は、実質的に、閉じた近位端1408とシリンジ1400の近位端1402に当接する開放遠位端1410との間に、長手方向の軸Lに沿って伸長する。剛性の針シールド1406の例示的長さが、約5mmから約30mmまでの範囲であるが、この範囲に限定されない。例示的実施形態では、シリンジ1400は、剛性の針シールド1406が近位キャップ1308の内部に部分的にまたは完全に配置されるように、自動注射装置のハウジング1300の内部に収容されてもよい。
【0130】
III.シュラウド展開に影響を及ぼす例示的構成要素相互作用
格納位置から伸長位置にシュラウド1100を展開するには、
図8に示されるシリンジハウジング部分組立体121の構成要素を伴う。シュラウド展開過程中、シリンジハウジング部分組立体121の構成要素間の特定の相互作用が、展開過程を妨げる傾向のある力を生み出す。シュラウド展開が、一貫して、確実に、完全に達成されるように、相互作用を最小にするために、例示的実施形態が、シリンジハウジング部分組立体121の1つまたは複数の構成要素を構成する。
【0131】
第1のタイプの相互作用が、シリンジキャリア1000のレール1007と、シュラウド1110の主管状本体部分1116内に提供された内側の長手方向の溝との間で発生する。シュラウド展開中、シュラウド1110内の溝が、シリンジキャリア1000のレール1007に接触し、このレール1007に対して針に向かって動く。シュラウド1110内の溝とシリンジキャリア1000のレール1007の間のこの相互作用は、シュラウド展開過程を妨げる傾向のある摩擦力を生み出し、いくつかの例では、シュラウド展開失敗となる場合がある。
【0132】
図13Aは、シュラウド1110がシリンジキャリア1000の上に組み立てられたシリンジハウジング部分組立体121の斜視図を示す。
図13Bは、
図13Aのシリンジハウジング部分組立体121の横断面図であり、シュラウド1110内の溝が、シリンジキャリア1000のレール1007と接触し、このレール1007に対して動く接触領域を示す。
図13Cは、シュラウド1110の、対向して位置決めされた2つの溝間の内径の測定を示す。一例の内径が約15.60mmであるが、他のサイズが可能である。
図13Dは、シリンジキャリア1000の、対向して位置決めされた2つのレール1007間の外径の測定を示す。一例の外径が約15.51mmであるが、他のサイズが可能である。
【0133】
第2のタイプの相互作用が、シュラウド1110の遠位アーム1114と、近位ハウジング構成要素12aの内面に、またはこの内面の近傍に提供されたフランジ256との間で発生する。フランジ256は、シュラウド1110の遠位アーム1114が、シュラウド展開中にフランジ256を通過することができるようになる、1つまたは複数の開口255を含む。シュラウド展開過程の前段では、遠位アーム1114の側面が、近位ハウジング構成要素12a内のフランジ256と(開口255のエッジで)接触するようになり、フランジ256との係合により曲げられる。シュラウド1110の遠位アーム1114とフランジ256とのこの係合が、シュラウド展開過程を妨げる傾向のある摩擦力を生み出し、いくつかの例では、シュラウド展開失敗となる場合がある。
【0134】
図14Aは、シュラウド1110が近位ハウジング構成要素12aの中に完全にまたは部分的に配置されたシリンジハウジング部分組立体121の斜視図を示す。
図14Aは、シュラウド1110の遠位アーム1114が、近位ハウジング構成要素12a内のフランジ256と係合する、近位ハウジング構成要素12a内のエリアを強調する。
図14Bは、
図14Aのシリンジハウジング部分組立体121の長手方向断面図を示し、シュラウド1110の遠位アーム1114と近位ハウジング構成要素12a内のフランジ256との係合を示す。
図14Cは、アームがフランジ256を通過するときに、シュラウド1110の遠位アーム1114を適合させてもよいフランジ256内の、対向して位置決めされた2つの開口255間の距離の測定を示す。フランジ開口の一例の距離が約3.10mmであるが、他のサイズが可能である。
図14Dは、シュラウド1110の遠位アーム1114のスパン(すなわち、シュラウドの長さに垂直に測られた、遠位アームの末端部間の距離)の測定を示す。一例のスパンが約6.13mmであるが、他のサイズが可能である。
【0135】
第3のタイプの相互作用が、遠位アーム1114が近位ハウジング構成要素12aとシリンジキャリア1000の間に提供された、制約されたスペースを通過するときに、シュラウド1110の遠位アーム1114と、近位ハウジング構成要素12aと、シリンジキャリア1000との間で発生する。シュラウド1110の遠位アーム1114は、シリンジキャリア1000の近位管状部分1002の外径と、近位ハウジング構成要素12aの内径との間の制約されたスペース内部で挟まれる。シュラウド展開過程の後段に、遠位アーム1114は、近位ハウジング構成要素12aのフランジ256との係合のために曲がり、これにより、アーム1114は、自動注射装置のシリンジキャリア1000と近位ハウジング構成要素12aとの間の制約されたスペースでねじられる。制約されたスペース内部で遠位アーム1114が動くことにより、遠位アーム1114のピンチングが引き起こされる、すなわち、遠位アーム1114がシリンジキャリア1000と近位ハウジング構成要素12aの間にはまることができるように、アームの逆のねじりが引き起こされる。シュラウド1110の遠位アーム1114のこのピンチング効果が、シュラウド展開過程を妨げる傾向のある摩擦力を生み出し、いくつかの例では、シュラウド展開失敗となる場合がある。
【0136】
他の例示的実施形態では、制約されたスペースは、シリンジキャリア1000の近位管状部分1002の外径および近位ハウジング構成要素12aの内径と異なる構成要素の組合せにより提供されてもよい。たとえば、制約されたスペースは、2つのハウジング構成要素の間に、またはハウジング構成要素の内面と、シリンジキャリア1000と異なる構成要素の外面との間に提供されてもよい。
【0137】
図15Aは、シリンジキャリア1000およびシュラウド1110が組み立てられ、かつ近位ハウジング構成要素12a内部に位置決めされたシリンジハウジング部分組立体121の斜視図を示す。
図15Aは、シュラウド1110の遠位アーム1114が、近位ハウジング構成要素12aとシリンジキャリア1000の間の制約されたスペース内部で挟まれる、近位ハウジング構成要素12a内のエリアを強調する。
図15Bは、
図15Aのシリンジハウジング部分組立体121の横断面図を示し、近位ハウジング構成要素12aとシリンジキャリア1000の間の制約されたスペース内部での、シュラウド1110の遠位アーム1114のピンチングを示す。
図15Cは、近位ハウジング構成要素12aの内径の測定を示す。一例の内径が約17.60mmであるが、他のサイズが可能である。
図15Dは、シュラウド1110の遠位アーム1114の厚さの測定を示す。一例の厚さが約1.45mmであるが、他のサイズが可能である。
図15Eは、シュラウド1110の、対向して位置決めされた2つの遠位アーム1114間の内径の測定を示す。一例の内径が約14.40mmであるが、他のサイズが可能である。
図15Fは、シリンジキャリア1000の近位ハウジング構成要素1002の外径の測定を示す。一例の外径が約14.00mmであるが、他のサイズが可能である。
【0138】
第4のタイプの相互作用が、シリンジキャリア1000と、シュラウド1110と、組み立てられたシリンジキャリア1000とシュラウド1110の間に配置されたバイアス機構89(たとえば圧縮ばね)との間で発生する。(たとえば、材料の欠陥および/または製作上の欠陥による)バイアス機構89の欠陥が、シュラウド展開過程を妨げる傾向のある摩擦力を生み出し、いくつかの例では、シュラウド展開失敗となる場合がある。
図16Aは、バイアス機構89がシリンジキャリア1000とシュラウド1110の間に配置されたシリンジハウジング部分組立体121の斜視図を示す。
図16Bは、バイアス機構89がシリンジキャリア1000とシュラウド1110の間に配置されたシリンジハウジング部分組立体121の長手方向断面図を示す。
図16Cは、シュラウド1110の内径の測定を示す。一例の内径が約13.70mmであるが、他のサイズが可能である。
図16Dは、バイアス機構89の外径の測定を示す。一例の外径が約13.30mmであるが、他のサイズが可能である。
【0139】
図17Aおよび
図17Bは、mm単位の展開距離(x軸)に対する、シュラウドの展開中に生成されたN単位の力(y軸)の伸長力プロファイルである。シュラウド展開過程の初期段階1702では、第1のタイプの(すなわち、シリンジキャリア1000のレール1007と、シュラウド1110内に提供された内側の長手方向の溝との間の)相互作用、および第4のタイプの(すなわち、シリンジキャリア1000と、シュラウド1110と、バイアス機構89との間の)相互作用が支配する。これらの相互作用は、シュラウド展開過程を妨げる高い摩擦力を生み出さず、生成された力に小さな漸進的な低下をもたらす。
【0140】
シュラウド展開過程のその後の段階1704で、第2のタイプの(すなわち、シュラウド1110の遠位アーム1114と近位ハウジング構成要素12a内のフランジ256との間の)相互作用が支配する。この段階で、遠位アーム1114は、フランジ256との係合により曲げられ、これにより、シュラウド展開過程を妨げる摩擦力が生み出される。このことは、生成された力の急激な、大きな低下として示される。第1および第4のタイプの相互作用はまた、シュラウド展開過程のこの段階でも作動可能である。
【0141】
シュラウド展開過程のその後の段階1706で、第3のタイプの(すなわち、シュラウド1110の遠位アーム1114と、近位ハウジング構成要素12aと、シリンジキャリア1000との間の)相互作用が支配する。この段階では、制約されたスペース内部で遠位アーム1114が動くことにより、遠位アーム1114のピンチングが引き起こされる、すなわち、遠位アーム1114がシリンジキャリア1000と近位ハウジング構成要素12aの間にはまることができるように、アームの逆のねじりを引き起こす。シュラウド1110の遠位アーム1114のピンチング効果が、シュラウド展開過程を妨げる傾向のある摩擦力を生み出す。このことは、生成された力の低下、または下向きのピークとして示される。第1、第2および第4のタイプの相互作用はまた、シュラウド展開過程のこの段階でも同じく作動可能である。
【0142】
IV.シュラウド展開を改善する例示的自動注射装置の構成
例示的実施形態が、注射が行われた後、許容できる短期間の間に、一貫した、確実で完全なシュラウド展開を保証するために、自動注射装置の1つまたは複数の特徴を構成してもよい。例示的構成が、近位ハウジング構成要素12a、シュラウド1110、シリンジキャリア1000の1つまたは複数の構成、前述の構成の組合せなどを含んでもよいがこれらに限定されない。
【0143】
図18は、シュラウド1110の格納および展開中の、mm単位の展開距離(x軸)に対する、N単位の力(y軸)の一例の格納力および伸長力プロファイルを示す。異なる力を組み合わせて、
図18に示される力プロファイルが生成される。例示的力が、バイアス機構89により加えられる力、シュラウド1110の遠位アーム1114を曲げる力、遠位アーム1114をねじる力などを含むがこれらに限定されない。一例の実施形態では、シュラウド1110は、シュラウド展開過程中に約12mmから約18mmまでの距離を移動してもよいが、この例示的範囲に限定されない。一例の実施形態では、シュラウド1110は、シュラウド展開過程中に約15.2mm移動してもよい。
【0144】
図18の部分1802は、針がシュラウドの中の近位開口を通って露出されることができるように、シュラウドが伸長位置から格納位置に動かされるシュラウド格納過程中に生成された例示的力を示す。シュラウドが格納とき、針は、注射部位に注射を投与するために使用されてもよい。シュラウド格納過程はポイント1804で開始し(シュラウドは装置の近位端に向かって伸長する)、ポイント1806で終了する(シュラウドは装置の遠位端に向かって格納される)。
【0145】
図18の部分1808は、シュラウドが、格納位置から、注射後にシュラウドが針を覆い、それにより、偶発的な針刺し傷のリスクを回避することができるようになる伸長位置に動かされるシュラウド展開過程中に生成された例示的力を示す。力は、シュラウド展開過程中、展開されたシュラウドがセンサを押したときに、力センサにより測定される。シュラウド展開過程はポイント1810で開始し(シュラウドは装置の遠位端に向かって格納される)、ポイント1812で終了する(シュラウドは装置の近位端に向かって伸長される)。伸長力は、シュラウド展開の初期段階で、たとえば、x軸の距離約13mmから約8mmまでの範囲で、著しく低下する。伸長力は、シュラウド展開の後段に、たとえば、x軸の距離約6.0mmから約0.0mmまでの範囲で、平坦域に到達する。いくつかの例示的実施形態では、シュラウド展開過程の終了近く、または終了したときに、残留伸長力が存在する。いくつかの例示的実施形態では、例示的残留伸長力は、約0.0Nから約2.0Nまでの範囲であってもよい。
図18では、残留伸長力は、約1.00Nである。
【0146】
例示的実施形態では、シュラウド展開中に受けたより低い伸長力、およびより低い残留伸長力は、シュラウド展開過程の減速に対応する場合がある。例示的実施形態が、シリンジハウジング部分組立体121の構成要素の構造上、機能上および動作上の改善を提供して、シュラウド展開中の伸長力を最大にして、シュラウド展開の際の失敗を、たとえば、シュラウドの非展開または不完全な展開を防止する。
【0147】
例示的実施形態では、シュラウド展開過程の初期段階中の伸長力低下は、シュラウド1110の遠位アーム1114の屈曲に起因する場合がある。シュラウド展開過程の初期段階では、遠位アーム1114は、自動注射のハウジング12a内のフランジ256と係合し、フランジ256との係合により曲げられる。遠位アーム1114の屈曲効果は、伸長力プロファイルの領域1814内で支配的であり、例示的実施形態では、
図18で示される、x軸の範囲約13mmから約8mmまでの間での伸長力低下に反映されている。伸長力低下は、初期段階でのシュラウド展開過程の減速に対応する場合がある。
【0148】
例示的実施形態では、シュラウド展開過程の後段中の伸長力低下は、シリンジキャリア1000の近位管状部分1002と近位ハウジング構成要素12aの内径との間の制約されたスペース内部での、シュラウド1110の遠位アーム1114のピンチング効果に起因する場合がある。シュラウド展開過程の後段では、遠位アーム1114は、フランジ256と近位ハウジング構成要素12aとの係合のために曲がり、これにより、アーム1114は、自動注射装置のシリンジキャリア1000と近位ハウジング構成要素12aとの間の制約されたスペースでねじれる。制約されたスペース内部で遠位アーム1114が動くことにより、遠位アーム1114のピンチングが引き起こされる、すなわち、遠位アーム1114がシリンジキャリア1000と近位ハウジング構成要素12aの間にはまることができるように、アームの逆のねじりが引き起こされる。遠位アーム1114のピンチング効果は、伸長力プロファイルの領域1816内で支配的であり、x軸の範囲約4mmから約1mmまでの伸長力低下に反映されている。一例の実施形態では、シュラウド展開過程の後段での伸長力低下は、
図20でピーク2002として示される、伸長力プロファイルの局所的な下向きのピークに反映されている。
【0149】
図18では、
図20の下向きのピークは、シュラウド展開の後段に存在しない。
図18に示される例示的実施形態では、例示的装置の構造、機能および動作は、シリンジキャリア1000と近位ハウジング構成要素12aの間の制約されたスペース内部で遠位アーム1114のピンチング効果を低減するように構成される。これにより、格納位置から伸長位置にシュラウドが展開されたときに、シュラウド展開の後段中に受ける伸長力が最大になり、これにより、そうしなかった場合に伸長力プロファイルに出現する場合がある下向きのピークが除去される。
【0150】
図19は、シュラウドの格納および展開中の、mm単位の距離(x軸)に対する、N単位の力の一例の格納力および伸長力プロファイル(y軸)を示す。
図19はまた、シュラウドが展開されたときの、シリンジキャリア1000に対するシュラウド1110の遠位アーム1114の位置を示す。たとえば、展開距離約13mmでは(すなわち、シュラウド展開のほぼ開始では)、シュラウド1110の遠位アーム1114の長さの大部分が、シリンジキャリア1000の遠位管状部分1005を横切る。展開距離約6.5mmでは、遠位アーム1114の長さの大部分が、シリンジキャリア1000の近位管状部分1002を横切り、遠位アーム1114の末端部が、シリンジキャリア1000の近位管状部分と遠位管状部分の間の遷移部分に接近する。シリンジキャリア1000の遠位管状部分1005の外径が、約13mmから約6.5mmまでの展開距離の間で実質的に変わらないので、これらの2つのポイント間で力プロファイルが漸進的減少を示す。
【0151】
展開距離約2.1mmで、遠位アーム1114の末端部は、シリンジキャリア1000の近位管状部分1002と遠位管状部分1005の間の遷移部分を横切る。一例の実施形態では、遷移部分は、シリンジキャリア1000の近位管状部分1002および遠位管状部分1005より大きな外径を有する。一例の実施形態では、遷移部分は、外径約14.17mmを有する。これにより、遠位アーム1114の末端部の通過が妨げられ、それにより、シュラウド展開が減速される。このことが、約2.1mmでの力の一時的低下により示される。
【0152】
展開距離約0.0mmでは、シュラウド1110の遠位アーム1114の全長が、シリンジキャリア1000の近位管状部分1002を横切る。一例の実施形態では、近位管状部分1002の外径は、シリンジキャリア1000の近位管状部分1002および遠位管状部分1005の間の遷移部分より小さい。一例の実施形態では、展開距離0mmでの近位管状部分1002の外径は、(遷移領域の外径約14.17mmと比較して)約14mmである。より小さな外径が、遠位アーム1114の末端部の追加に対する障害を取り除き、それにより、シュラウドの展開を容易にする。このことが、展開距離約2mmから約0mmまでの間にわたる力の上昇により示される。
【0153】
図20は、mm単位の展開距離(x軸)に対する、N単位の力の一例の格納力および伸長力プロファイル(y軸)を示し、
図20では、x軸の範囲約4mmから約1mmまでの間のシュラウド展開の後段に下向きのピーク2002が出現している。下向きのピーク2002は、シリンジキャリア1000と近位ハウジング構成要素12aの間の制約されたスペース内部での遠位アーム1114のピンチング効果に起因する。
図20に示される例示的実施形態では、下向きのピークは、
図18の約1.0Nから
図14の約0.6Nへの、約0.4Nの伸長力一時的低下を引き起こす。
【0154】
A.シュラウドの遠位アームの構成
一例の実施形態では、シュラウド1110の遠位アーム1114の構造上の構成が、シュラウド展開過程中に伸長力を最大にするために修正されてもよい。
【0155】
一例の実施形態では、丸いまたは楕円形の構造が、シュラウド1110の遠位アーム1114の遠位端に含まれてもよい、または遠位アーム1114の遠位端は、シュラウド展開過程を容易にするために、丸いまたは楕円形の構造に構成されてもよい。
【0156】
一例の実施形態では、シリンジキャリア1000の外面と近位ハウジング構成要素12aの内面との間に提供された、制約されたスペース内部でのアーム1114のピンチング効果を最小にするために、シュラウド1110の遠位アーム1114の厚さが低減されてもよい。シュラウド1110の遠位アーム1114の厚さは、制約されたスペースの高さの範囲内に無理なく適合されるように構成されてもよい。シュラウド1110の遠位アーム1114の厚さは、制約されたスペースの高さ以下であってもよい。遠位アーム1114の例示的厚さが、約1.00mmから約2.00mmまでの範囲であってもよいが、この例示的範囲に限定されない。例示的厚さは、約1.3mm、1.31mm、1.32mm、1.33mm、1.34mm、1.35mm、1.36mm、1.37mm、1.38mm、1.39mm、1.4mm、1.41mm、1.42mm、1.43mm、1.44mm、1.45mm、1.46mm、1.47mm、1.48mm、1.49mm、1.5mmなどを含むがこれらに限定されない。
【0157】
一例の実施形態では、厚さは、約1.45mmから約1.40mmに低減されてもよい。一例の実施形態では、低減された厚さ約1.40mmを有する遠位アーム1114を備えるシュラウド1110は、内径約14.40mmを有してもよく、一例の内径約17.60mmを有する近位ハウジング構成要素12aと、一例の外径約14.00mmを有するシリンジキャリア1000との間に適合されてもよい。
【0158】
図21は、例示的シュラウドの展開中に、mm単位の、異なる展開距離(x軸)で生成されたN単位の格納力および伸長力(y軸)を示すグラフを示す。シュラウド1110の遠位アーム1114の厚さは、少しばかり低減され、丸い構造がアームの遠位端に含まれた。
図21は、
図18と異なり伸長力が急激な低下を示さないこと、すなわち、
図21の下向きの傾斜が、
図18の下向きの傾斜より漸進的であることを示す。これは、シュラウド展開過程の前段中に遠位アームの屈曲効果を低減する、遠位アームの構造変化によるものである。
図21の残留伸長力は、展開の最後で、
図18の残留伸長力約1.0Nより高い約1.5Nである。
図18と
図21を比較すると、構成された遠位アームが、展開過程にわたり伸長力の漸進的低下、および残留伸長力の増大をもたらすことが示された。
【0159】
一例の実施形態では、シュラウド1110の遠位アーム1114は、シュラウド1110上の位置決め溝に対して回転させられてもよい。一例の実施形態では、遠位アーム1114の分岐角度は、増大または低減されてもよい。例示的な分岐角度は、約0°から約45°までの範囲であってもよいが、この例示的範囲に限定されない。
【0160】
B.近位ハウジング構成要素のフランジの構成
上記で説明された第2のタイプの相互作用では、遠位アーム1114の側面が、近位ハウジング構成要素12a内のフランジ256と(開口255のエッジで)接触し、フランジ256との係合により曲げられる。一例の実施形態では、ハウジング12aの内面に、または内面に隣接して提供されるフランジ256は、開口255のサイズを増大させるように修正されてもよい。
【0161】
例示的実施形態は、フランジ256を構成および/または修正して、シュラウド1110の遠位アーム1114とフランジ256との係合を最小にする。例示的実施形態はまた、フランジ256を構成および/または修正して、シュラウド展開過程中の、シュラウド1110の遠位アーム1114とフランジ256との係合を遅延させる。この手法では、例示的実施形態は、シュラウド展開過程中に生成された伸長力を最大にし、滑らかで確実なシュラウド展開をもたらす。一例の実施形態では、フランジ256は、アームがフランジ256と契合したときに、シュラウド1110の遠位アーム1114の屈曲を最小にするように構成される。一例の実施形態では、開口255に当接するフランジ256の部分が、シュラウド1110の遠位アーム1114のためにより多くの空間を提供して、フランジ256を通ってスライドし、次いで、フランジ256内の小さなポケット257に引っかかるように切り取られても取り除かれてもよい。フランジ256のポケット257は、シュラウド1110がさらに格納するのを防止する。
【0162】
図22Aは、近位ハウジング構成要素12aがフランジ切り口を欠く、シュラウド1110を収容する近位ハウジング構成要素12aを通して得られた長手方向断面図である。近位ハウジング構成要素12aは、開口255およびポケット257を備えるフランジ256を含む。フランジ256は、距離D1として表されるより大きな程度まで開口255の中に伸長する。シュラウド1110は、開口255を通過し、かつフランジ256の突出部により開口255の中に曲げられた遠位アーム1114を含む。この屈曲効果は、遠位アーム1114が開口255を通って距離L1にわたり移動した後に、(フランジ切り口を備える近位ハウジング構成要素と比較して)より早い時期に発生する。開口255を通過した後、遠位アーム1114の末端部が、ポケット257に引っかかる。
図22Bは、近位ハウジング構成要素12aを通して得られた長手方向断面図であり、フランジ256の近位側のポケット257を示す。
【0163】
図23Aは、近位ハウジング構成要素12aがフランジ切り口を含む、シュラウド1110を収容する近位ハウジング構成要素12aを通して得られた長手方向断面図である。近位ハウジング構成要素12aは、開口255およびポケット257を備えるフランジ256を含む。フランジ256は、距離D2として表されるより小さな程度まで開口255の中に伸長する。すなわち、開口255に当接するフランジ256の外周の長さに沿った部分が、長さ(D1−D2)により表されるフランジ切り口を導入することにより取り除かれる、または切断され、その結果、開口255はより広くなる。シュラウド1110は、開口255を通過し、かつフランジ256の突出部により開口255の中に曲げられる遠位アーム1114を含む。この屈曲効果は、遠位アーム1114が開口255を通って距離L2にわたり移動した後に、(フランジ切り口なしの近位ハウジング構成要素と比較して)より後の時期に発生する。フランジに対するこの例示的修正は、遠位アーム1114とフランジ256との係合を遅延させ、かつ低減して、屈曲効果を低減し、したがって、シュラウド展開過程中の伸長力を最大にする。開口255を通過した後、遠位アーム1114の末端部は、ポケット257に引っかかる。
図23Bは、近位ハウジング構成要素12aを通して得られた長手方向断面図であり、フランジ256の近位側のポケット257を示す。
【0164】
フランジ256内に形成された例示的切り口または切り欠きは、いくつかの例示的実施形態では、長さが約0mmから約10mmまでの間の範囲であってもよい。切り口または切り欠きのいくつかの例示的長さが、約0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10などを含んでもよいがこれらに限定されない。切り口または切り欠きのいくつかの例示的長さが、約0.05mmから約0.6mmまでの範囲であってもよい。一例の実施形態では、フランジ256内の、対向して位置決めされた2つの開口255間の開口距離が、約3.10mmであってもよく、シュラウド1110の遠位アーム1114のスパン(すなわち、シュラウドの長さに垂直に測られた遠位アームの末端部間の距離)が約6.13mmであってもよい。
【0165】
一例の実施形態では、シュラウド1110の遠位アーム1114のための戻り止めを生み出して、シュラウドオーバーライド力が遠位方向に、シュラウド1110に加えられたときに所定位置でロックするように、フランジ256に1つまたは複数のボスが追加されてもよい。一例の実施形態では、フランジ256とシュラウド1110の遠位アーム1114との係合を容易にするために、フランジ256のエッジに1つまたは複数の面取り部が追加されてもよい。
【0166】
図24は、シュラウド展開過程を改善するように構成されていない従来の自動注射装置に関連するシュラウド展開中に、mm単位の、異なる展開距離(x軸)で生成されたN単位の格納力および伸長力(y軸)を示すグラフを示す。
図24の力プロファイルは、例示的実施形態により達成されたシュラウド展開過程での改善を確認および立証するための対照として使用される。
図24は、シュラウドがL1で表される距離を移動した後に、約2.5Nから約0.5Nまでの、生成された大きな突然の力の低下を示す。この力の低下は、遠位アーム1114と近位ハウジング構成要素12a内のフランジ256との係合により引き起こされた、シュラウド1110の遠位アーム1114の屈曲効果に対応する。従来のフランジはフランジ切り口を含まないので、屈曲効果は、遠位アーム1114がフランジ256内の開口255を通って距離L1にわたり移動した後に、(フランジ切り口を備える近位ハウジング構成要素と比較して)より早い時期に発生する。
図24に示される例では、屈曲効果は、遠位アーム1114が約2mm移動した後に開始する。さらに、下向きのピークが力を約0.8Nから約0Nに低下させる展開距離約2mmで、その後のピンチング効果が観察される。残留伸長力は、シュラウド展開過程の最後で約1Nである。
【0167】
いくつかの例示的実施形態では、近位ハウジング構成要素12aの一例の内側のフランジ256内に切り抜きが形成される。一例の実施形態では、切り抜きは、寸法約0.1mmを有してもよい。
図25は、0.1mmのフランジ切り口を備えるハウジング構成要素に関連するシュラウド展開中に、mm単位の、異なる展開距離(x軸)で生成されたN単位の格納力および伸長力(y軸)を示すグラフを示す。
図25は、シュラウドがL2で表される距離を移動した後に、約2.5Nから約2Nへの、生成された力の低下を示す。この力の低下は、遠位アーム1114と近位ハウジング構成要素12a内のフランジ256との係合により引き起こされた、シュラウド1110の遠位アーム1114の屈曲効果に対応する。例示的フランジはフランジ切り口を含むので、屈曲効果は、遠位アーム1114がフランジ256内の開口を通ってより大きな距離L2にわたり移動した後に、(フランジ切り口なしの従来の近位ハウジング構成要素と比較して)より後の時期に発生する。
図25に示される例では、屈曲効果は、遠位アーム1114が約5mm移動した後に開始する。さらに、力の低下は、
図24の力の低下と比較して、より漸進的に、かつより小さな大きさ(すなわち、力の差が約0.5N)である。
図25の残留伸長力は、展開の最後で、
図24の残留伸長力約1.0Nより高い約1.8Nである。
図24と
図25を比較すると、フランジ256内に切り抜きを展開することにより、シュラウド1110の遠位アーム1114に対する屈曲効果(すなわち、第2のタイプの相互作用)が低減されることが示される。これにより、展開過程にわたり、より後に、より漸進的に伸長力が低下し、残留伸長力が増大する。
【0168】
いくつかの例示的実施形態では、ポリカーボネート材料から形成された一例の内側のフランジ256内に切り抜きが形成される。一例の実施形態では、切り抜きは寸法約0.3mmを有してもよい。
図26は、0.3mmのフランジ切り口を備えるハウジング構成要素に関連するシュラウド展開中の、mm単位の、異なる展開距離(x軸)で生成されたN単位の格納力および伸長力(y軸)を示すグラフを示す。
図26は、
図24と異なり、伸長力が急激な低下を示さないことを示す。すなわち、
図24の下向きの傾斜は、
図24の下向きの傾斜より漸進的である。
図26の残留伸長力は、展開の最後で、
図24の残留伸長力約1.0Nより高い約1.5Nである。
図24と
図26を比較すると、フランジ256内に切り抜きを展開することにより、シュラウド1110の遠位アーム1114に対する屈曲効果(すなわち、第2のタイプの相互作用)が低減されることが示される。これにより、展開過程にわたり、より後に、より漸進的に伸長力が低下し、残留伸長力が増大する。
【0169】
いくつかの例示的実施形態では、ポリプロピレン材料から形成された一例の内側のフランジ256内に切り抜きが形成される。一例の実施形態では、切り抜きは寸法約0.3mmを有してもよい。
図27は、0.3mmのフランジ切り口を備えるハウジング構成要素に関連するシュラウド展開中の、mm単位の、異なる展開距離(x軸)で生成されたN単位の格納力および伸長力(y軸)を示すグラフを示す。
図27は、
図24と異なり、伸長力が急激な低下を示さないことを示す。すなわち、
図27の下向きの傾斜は、
図24の下向きの傾斜より漸進的である。これは、シュラウド展開過程の前段中に遠位アームの屈曲効果を低減する、遠位アームのデザイン変更によるものである。
図27の残留伸長力は、展開の最後で、
図24の残留伸長力約1.0Nより高い約1.3Nである。
図24と
図27を比較すると、フランジ256内に切り抜きを展開することにより、シュラウド1110の遠位アーム1114に対する屈曲効果(すなわち、第2のタイプの相互作用)が低減されることが示される。これにより、展開過程にわたり、より後に、より漸進的に伸長力が低下し、残留伸長力が増大する。
【0170】
C.シリンジキャリアの近位管状部分の構成
一例の実施形態では、伸長位置でのシュラウドの適切なロックアウトを保証しながら、シュラウド1110の遠位アーム1114に対するピンチング効果を低減し、それにより、シュラウド展開過程の後段に伸長力を最大にするために、シリンジキャリア1000と近位ハウジング構成要素12aの間の制約されたスペースは増大されてもよい。一例の実施形態では、シリンジキャリア1000と近位ハウジング構成要素12aの間の制約されたスペースを増大させるために、シリンジキャリア1000の近位管状部分1002の外径が低減されてもよく、これにより、シュラウド1110の遠位アーム1114のねじれる動きのためにより大きなスペースが提供され、滑らかで確実なシュラウド展開が容易になる。
【0171】
シリンジキャリア1000の近位管状部分1002の例示的外径が、約13.00mmから約15.00mmまでの範囲であってもよいが、この例示的範囲に限定されない。シリンジキャリア1000の近位管状部分1002の一例の外径が、約13.17mm、14.00mm、14.17mmなどであってもよい。一例の実施形態では、(シリンジキャリアの近位管状部分と近位ハウジング構成要素12aの間の制約されたスペースに適合された)遠位アーム1114は、厚さ約1.40mmから約1.45mmを有してもよく、内径約14.40mmを有してもよい。近位ハウジング構成要素12aは、一例の内径約17.60mmを有してもよい。
【0172】
図28Aは、外径が約14.17mmから約13.17mmに低減された近位管状部分1002を備える一例のシリンジキャリア1000について、mm単位の、異なる展開距離(x軸)で生成されたN単位の格納力および伸長力(y軸)をプロットするグラフを示す。
図28Aは、伸長力が、
図24と異なり、シュラウド展開過程の後段に、たとえば、x軸の範囲約4mmから約1mmまでの間で、下向きのピークを含まないことを示す。
図28Aはまた、展開の最後の残留伸長力が、13.17mmの外径では約1.2Nであることを示し、この残留伸長力は、14.17mmの外径に対する約0.5Nから約1.0Nまでの残留伸長力より高い。
【0173】
図28Bは、外径が約14.17mmから約14.00mmに低減された近位管状部分1002を備える一例のシリンジキャリア1000について、mm単位の、異なる展開距離(x軸)で生成されたN単位の格納力および伸長力(y軸)をプロットするグラフを示す。
図28Bは、伸長力が、
図24と異なり、シュラウド展開過程の後段に、たとえば、x軸の範囲約4mmから約1mmまでの間で、下向きのピークを含まないことを示す。
図28Bはまた、展開の最後の残留伸長力が、14.00mmの外径では約1Nを超えることを示し、この残留伸長力は、14.17mmの外径に対する約0.5Nから約1.0Nまでの残留伸長力より高い。
【0174】
D.近位ハウジング構成要素の内径の構成
一例の実施形態では、伸長位置でのシュラウドの適切なロックアウトを保証しながら、屈曲効果および/またはピンチング効果を低減し、それにより、シュラウド展開過程中の伸長力を最大にするために、シリンジキャリア1000と近位ハウジング構成要素12aの間の制約されたスペースは増大されてもよい。シリンジキャリア1000と近位ハウジング構成要素12aの間の制約されたスペースを増大させるために、自動注射装置の近位ハウジング構成要素12aの内径が増大されてもよく、これにより、シュラウド1110の遠位アーム1114のねじれる動きのためにより大きなスペースが提供され、滑らかで確実なシュラウド展開が容易になる。
【0175】
近位ハウジング構成要素12aの例示的内径が、約17mmから約18mmまでの範囲であってもよいが、この例示的範囲に限定されない。内径の一例の範囲が、レプソルグレードのポリプロピレン材料から形成された近位ハウジング構成要素では約17.5mmから約17.7mmまでの間である。内径の一例の範囲が、ポリカーボネート材料から形成された近位ハウジング構成要素では約17.7mmから約17.85mmまでの間である。
【0176】
同時に、例示的実施形態が、近位ハウジング構成要素12aの内径に最大限度を課してもよいのは、限度を超えた内径が、自動注射装置のハウジング内部でシリンジ位置合わせ問題を生み出す場合があるためである。したがって、自動注射装置の外径および内径を制限し、かつシリンジ位置合わせ問題を避けながら、シュラウド展開過程を改善するために、例示的実施形態により解決される問題が、一定の最大限度以内で近位ハウジング構成要素12aの内径を増大させている。
【0177】
一例の実施形態では、(シリンジキャリアの近位管状部分と近位ハウジング構成要素12aの間の制約されたスペースに適合された)遠位アーム1114は、厚さ約1.40mmから約1.45mmまでを有してもよく、内径約14.40mmを有してもよい。シリンジキャリア1000の近位管状部分1002の一例の外径が、約13.17mm、14.00mm、14.17mmなどであってもよい。近位ハウジング構成要素12aは、一例の内径約17mmから約18mmまでを有してもよい。
【0178】
図29は、内径約17.53mmから約17.63mmまでのレプソルグレードのポリプロピレン材料から形成された対照近位ハウジング構成要素について、mm単位の、異なる展開距離(x軸)で生成されたN単位の格納力および伸長力(y軸)を示すグラフを示す。
図29は、残留伸長力が展開の最後で約1.0Nであることを示す。
【0179】
図30は、増大した内径約17.72mmから約17.85mmまでのポリカーボネート材料から形成された一例の試験近位ハウジング構成要素について、mm単位の、異なる展開距離(x軸)で生成されたN単位の格納力および伸長力(y軸)を示すグラフを示す。
図30は、残留伸長力が、シュラウド展開過程の最後で約1.5Nであることを示し、この力は、有利には、
図29の対照近位ハウジング構成要素に対する力より高い。
【0180】
図29と
図30を比較すると、近位ハウジング構成要素12aの内径を増大させることにより、シュラウドの遠位アームのピンチング効果が低減され、このことが、シュラウド展開過程の後段中に伸長力を最大にすることが示される。すなわち、
図30に対応する近位ハウジング構成要素12aは、シュラウド展開およびロックアウト性能に著しい改善をもたらす。
【0181】
E.シリンジキャリアの遷移部分の他の例示的構成
一例の実施形態では、シリンジキャリア2100の遷移部分は、ピンチング効果を低減し、それにより、シュラウド展開過程の後段に伸長力を最大にするように構成されてもよい。一例の実施形態では、広い方の近位管状部分2104と狭い方の遠位管状部分2106の間に漸進的遷移を提供し、それにより、遷移部分のきわめて重要なピンチングエリアで近位管状部分2104の外径を低減するために、漸進的遷移、すなわち、傾斜した部分が遷移部分に展開されてもよい。これにより、シュラウド1110の遠位アーム1114のねじれる動きのために、より広いスペースが提供され、滑らかで確実なシュラウド展開が容易になる。シリンジキャリアの近位管状部分と遠位管状部分の間の漸進的遷移は、一例の実施形態では、面取り部の形を取ってもよい。一例の面取り部が、シリンジキャリアの遷移部分にある段を完全にまたは部分的に置換してもよい。
【0182】
一例の面取り部が、自動注射装置の長手方向の軸に対する角度約5°から約60°までの間を有してもよいが、角度はこの例示的角度に限定されない。特定の例示的角度が、約5°、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°などを含むがこれらに限定されない。一例の面取り部が、一例の幅約0.2mmから約0.7mmまでの間を有してもよいが、幅はこの例示的範囲に限定されない。例示的幅が、約0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mm、0.55mm、0.6mm、0.65mm、0.7mmなどを含んでもよいがこれらに限定されない。一例の面取り部が、一例の深さ(すなわち、近位管状部分と遠位管状部分の間の垂直距離)約0.6mmから約0.9mmまでの間を有してもよいが、深さはこの例示的範囲に限定されない。特定の例示的深さが、約0.6mm、0.65mm、0.7mm、0.75mm、0.8mm、0.85mm、0.9mmなどを含んでもよいがこれらに限定されない。一例の面取り部が、一例の長さが、約0.1mmから約0.5mmまでの範囲を有してもよいが、この例示的範囲に限定されない。例示的長さが、約0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mmなどを含んでもよいがこれらに限定されない。
【0183】
一例の実施形態では、シリンジキャリア2100の遷移部分のエッジが、丸い構造を含んでもよい。一例の丸い構造が、一例の幅約0.1mmから約0.7mmまでの間を有してもよいが、幅はこの例示的範囲に限定されない。
【0184】
図31Aは、近位管状部分2104と遠位管状部分2106の間に形成された一例の面取り部2108を有する一例のシリンジキャリア2100の斜視図を示す。
図31Bは、
図31Aの例示的シリンジキャリア2100の側面図を示す。
図31Aおよび
図31Bに示される例示的実施形態では、面取り部2108が、広い方の近位管状部分2104と狭い方の遠位管状部分2106の間に伸長する、傾斜した逃げを生み出すように、遷移部分2102に面取り部2108が導入される。面取り部2108は、一例の幅約0.7mm、一例の長さ約3mm、および円柱部分の平面に対する一例の角度約15°を有してもよい。
図31Aおよび
図31Bに示される例示的実施形態では、面取り部2108の遠位エッジ2110は、遷移部分2102のフランジ2114の遠位エッジ2112と位置合わせさせられてもよく、面取り部2108の近位エッジ2116は、フランジ2114の近位エッジ2118を越えて近位方向に伸長してもよい。他の例示的実施形態では、面取り部2108の遠位エッジ2110は、遷移部分2102のフランジ2114の遠位エッジ2112と位置合わせされなくてもよい。
【0185】
図32は、
図31Aおよび
図31Bに示されるように構成された10の例示的シリンジキャリアを含む自動注射装置内の、mm単位のシュラウド展開距離(x軸)に対する、N単位の格納力および伸長力(y軸)のグラフを示す。
図32は、
図24に示される約1.0mmから約4.0mmまでの間でのピンチング効果が、
図31Aおよび
図31Bに示されるような面取り部の展開により低減される、または除去されることを示す。残留伸長力は、約1.5Nである。
【0186】
図33Aは、近位管状部分2304と遠位管状部分2306の間に形成された一例の面取り部2308を有する一例のシリンジキャリア2300の斜視図を示す。
図33Bは、
図33Aの例示的シリンジキャリア2300の側面図を示す。
図33Aおよび
図33Bに示される例示的実施形態では、近位管状部分2304と遠位管状部分2306の間の遷移部分2302に面取り部2308が導入され、その結果、面取り部は、広い方の近位管状部分2304と狭い方の遠位管状部分2306の間に伸長する、傾斜した逃げを生み出す。面取り部2308は、一例の幅約0.7mm、および円柱部分の平面に対する一例の角度約10°を有してもよい。
図33Aおよび
図33Bに示される例示的実施形態では、面取り部2308の遠位エッジ2310は、フランジ2314の遠位エッジ2312と位置合わせさせられてもよく、面取り部2308の近位エッジ2316は、フランジ2314の近位エッジ2318を越えて近位方向に伸長してもよい。
【0187】
図34は、
図33Aおよび
図33Bに示されるように構成された10の例示的シリンジキャリアを含む例示的自動注射装置内の、mm単位のシュラウド展開距離(x軸)に対する、N単位の格納力および伸長力(y軸)のグラフを示す。
図34は、
図24に示される約2.5mmでのピンチング効果が、
図33Aおよび
図33Bに示されるような面取り部の導入により除去されることを示す。さらに、残留伸長力は、
図33Aおよび
図33Bに示されるような面取り部の導入により、1.0Nを超えて上昇させられる。
【0188】
図35Aは、近位管状部分2504と遠位管状部分2506の間に形成された一例の面取り部2508を有する一例のシリンジキャリア2500の斜視図を示す。
図35Bは、
図35Aの例示的シリンジキャリア2500の側面図を示す。
図35Aおよび
図35Bに示される例示的実施形態では、近位管状部分2504と遠位管状部分2506の間の遷移部分2502に面取り部2508が導入され、その結果、面取り部2508は、広い方の近位管状部分2504と狭い方の遠位管状部分2506の間に伸長する、傾斜した逃げを生み出す。面取り部2508は、一例の幅約0.7mm、および円柱部分の平面に対する一例の角度約10°を有してもよい。
図35Aおよび
図35Bに示される例示的実施形態では、面取り部2508の近位エッジ2516は、フランジ2514の近位エッジ2518と位置合わせさせられてもよく、面取り部2508の遠位エッジ2510は、フランジ2514の遠位エッジ2512を越えて遠位方向に伸長してもよい。
【0189】
図36は、
図35Aおよび
図35Bに示されるように構成された10の例示的シリンジキャリアを含む例示的自動注射装置内の、mm単位のシュラウド展開距離(x軸)に対する、N単位の格納力および伸長力(y軸)のグラフを示す。
図36は、
図24に示される約2.5mmでのピンチング効果が、
図35Aおよび
図35Bに示されるような面取り部の導入により除去されることを示す。さらに、残留伸長力は、
図35Aおよび
図35Bに示されるような面取り部の導入により、1.0Nを超えて上昇させられる。
【0190】
図37は、近位管状部分2704と遠位管状部分2706の間に形成された一例の面取り部2708、および近位管状部分2704内に形成された一例のスロット2710を有する、一例のシリンジキャリア2700の斜視図を示す。スロット2710は、近位管状部分2704の外面内にくぼみまたはトレンチを生み出すために、近位管状部分2704内に形成される。スロット2710は、近位管状部分2704の長さの部分にわたり、または近位管状部分2704の全長にわたり伸長してもよい。シュラウド展開過程中、遠位アームが近位管状部分2710にわたり近位方向に動くときに、シュラウド1110の遠位アーム1114はスロット2710の面と係合してもよい。したがって、スロット2710の展開により、シュラウド1110の遠位アーム1114を適合させるために利用可能な、シリンジキャリア2700と近位ハウジング構成要素12aの間の制約されたスペースが増大する。これにより、遠位アーム1114のピンチング効果(すなわち、上記で説明された第3のタイプの相互作用)が低減され、それにより、シュラウド展開過程中に生成された伸長力を最大にし、滑らかで確実なシュラウド展開を容易にする。
【0191】
例示的スロットが、深さ約0.05mmから約0.5mmまでの範囲を有してもよいが、この例示的範囲に限定されない。特定の例示的深さが、約0.05mm、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mmなどを含むがこれらに限定されない。スロット2710の深さが一定であってもよい、またはスロットの長さおよび/または幅にわたり変わってもよい。スロット2710の幅は、スロットの長さに沿って一定であってもよい、または変わってもよい。
【0192】
1つまたは複数のスロットを含む一例のシリンジでは、シリンジキャリアの近位管状部分と遠位管状部分の間の遷移部分に面取り部が存在しなくてもよい。
【0193】
1つまたは複数のスロットを含む他の例示的シリンジでは、シリンジキャリアの近位管状部分と遠位管状部分の間の遷移部分に面取り部が導入されてもよい。一例の実施形態では、面取り部が、スロット2710と遠位管状部分2706の間に伸長する、傾斜した逃げを生み出すように、遷移部分2702に面取り部2708が導入される。一例の実施形態では、面取り部2708は、一例の幅約0.7mm、および円柱部分の平面に対する一例の角度約10°を有してもよい。
【0194】
図38は、
図37に示されるように構成された10の例示的シリンジキャリアを含む例示的自動注射装置内の、mm単位のシュラウド展開距離(x軸)に対する、N単位の格納力および伸長力(y軸)のグラフを示す。深さ約0.1mmを有するスロット、ならびに一例の幅約0.7mmおよび一例の角度約10°を有する面取り部が、シリンジキャリア内に導入される。面取り部およびスロットの導入により、約2.5mmでのピンチング効果が低減され、残留伸長力が1.0Nを超えて増大する。
【0195】
図39は、近位管状部分2904と遠位管状部分2906の間に形成された一例の面取り部2908、および近位管状部分2904内に形成された一例のスロット2910を有する、一例のシリンジキャリア2900の斜視図を示す。近位管状部分の表面内にくぼみを生み出すために、近位管状部分2904内にスロット2910が形成される。スロット2910は、近位管状部分2904の長さの部分にわたり、または近位管状部分2904の全長にわたり伸長してもよい。シュラウド展開過程中、遠位アームが近位管状部分2904にわたり近位方向に動くときに、シュラウド1110の遠位アーム1114はスロット2910の面と係合してもよい。スロット2910は、一例の深さ約0.3mmを有してもよい。
【0196】
面取り部が、スロット2910と遠位管状部分2906の間に伸長する、傾斜した逃げを生み出すように、遷移部分2902に面取り部2908が導入される。面取り部2908は、一例の幅約0.7mm、および円柱部分の平面に対する一例の角度約10°を有してもよい。
【0197】
図40は、
図39に示されるように構成された10の例示的シリンジキャリアを含む例示的自動注射装置内の、mm単位のシュラウド展開距離(x軸)に対する、N単位の格納力および伸長力(y軸)のグラフを示す。深さ約0.3mmを有するスロットがシリンジキャリア内に導入される。生成された力は、シュラウドの遠位アームの屈曲効果のために、展開距離約11mmで低下する。しかしながら、スロットの展開により、展開距離約4mmから約0mmまでの範囲にわたりピンチング効果が低減され(すなわち、力に下向きのピークが存在しない)、残留伸長力が約1.5Nに上昇する。
図24と
図40を比較すると、シリンジキャリアの近位管状構成要素内にスロットを導入することにより、シュラウド1110の遠位アーム1114に対するピンチング効果(すなわち、第3のタイプの相互作用)が低減されることが示される。これにより、シュラウド展開過程の後段中に力が増大し、残留伸長力が増大する。
【0198】
図41は、深さ約0.3mmを有するスロットがシリンジキャリアに導入され、かつ0.1mmのフランジ切り口が近位ハウジング構成要素内のフランジに導入された例示的自動注射装置内の、mm単位のシュラウド展開距離(x軸)に対する、N単位の格納力および伸長力(y軸)のグラフを示す。シュラウド1110の遠位アーム1114の屈曲効果は遅延させられ、遠位アーム1114が約13mmから約8.5mmに移動した後に開始する。さらに、力の低下は、
図24(フランジ切り口を欠く)の力の低下と比較して、より漸進的であり、大きさがより小さい。
図41と
図24(フランジ切り口を欠く)を比較すると、フランジ256内に切り抜きを導入することにより、シュラウド1110の遠位アーム1114に対する屈曲効果(すなわち、第2のタイプの相互作用)が低減されることが示される。これにより、展開過程にわたり、より後に、より漸進的に伸長力が低下し、残留伸長力が増大する。
【0199】
スロットの展開により、展開距離約4mmから約0mmまでの範囲にわたりピンチング効果が低減され(すなわち、力に下向きのピークが存在しない)、残留伸長力が約2Nに上昇する。
図24と
図41(シリンジキャリア内にスロットを欠く)を比較すると、シリンジキャリアの近位管状構成要素内にスロットを展開することにより、シュラウド1110の遠位アーム1114に対するピンチング効果(すなわち、第3のタイプの相互作用)が低減されることが示される。これにより、シュラウド展開過程の後段中に力が増大し、残留伸長力が増大する。
【0200】
図42は、深さ約0.3mmを有するスロットがシリンジキャリアに展開され、かつ0.3mmのフランジ切り口が近位ハウジング構成要素内のフランジに展開された例示的自動注射装置内の、mm単位のシュラウド展開距離(x軸)に対する、N単位の格納力および伸長力(y軸)のグラフを示す。
【0201】
シュラウド1110の遠位アーム1114の屈曲効果は遅延させられ、遠位アーム1114が約13mmから約8.5mmに移動した後に開始する。さらに、力の低下は、
図24(フランジ切り口を欠く)の力の低下と比較して、より漸進的であり、大きさがより小さい。
図42と
図24(フランジ切り口を欠く)を比較すると、フランジ256内に切り抜きを導入することにより、シュラウド1110の遠位アーム1114に対する屈曲効果(すなわち、第2のタイプの相互作用)が低減されることが示される。これにより、展開過程にわたり、より後に、より漸進的に伸長力が低下し、残留伸長力が増大する。
【0202】
スロットの導入により、展開距離約4mmから約0mmまでの範囲にわたりピンチング効果が低減され(すなわち、力に下向きのピークが存在しない)、残留伸長力が約1.5Nに上昇する。
図42と
図24(シリンジキャリア内にスロットを欠く)を比較すると、シリンジキャリアの近位管状構成要素内にスロットを導入することにより、シュラウド1110の遠位アーム1114に対するピンチング効果(すなわち、第3のタイプの相互作用)が低減されることが示される。これにより、シュラウド展開過程の後段中に力が増大し、残留伸長力が増大する。
【0203】
図43は、深さ約0.3mmを有するスロット、ならびに一例の幅約0.7mmおよび一例の角度約10°を有する面取り部がシリンジキャリアに導入された10の例示的シリンジキャリアを含む例示的自動注射装置内の、mm単位のシュラウド展開距離(x軸)に対するN単位の格納力および伸長力(y軸)のグラフを示す。面取り部およびスロットの展開により、約2.5mmでのピンチング効果が低減され、残留伸長力が1.5Nに増大する。
【0204】
図44は、近位管状部分3104と遠位管状部分3106の間に形成された一例の面取り部3102を有する一例のシリンジキャリア3100の斜視図を示す。面取り部3102は、一例の幅約0.5mm、および円柱部分の平面に対する一例の角度約45°を有してもよい。
【0205】
図45は、近位管状部分3204の表面にくぼみを生み出すために、シリンジキャリア3200の近位管状部分3204内に形成された一例のスロット3202を有する一例のシリンジキャリア3200の斜視図を示す。スロット3202は、近位管状部分3204の長さの部分にわたり、または近位管状部分3204の全長にわたり伸長してもよい。シュラウド展開過程中、遠位アームが近位管状部分3204にわたり近位方向に動くときに、シュラウド1110の遠位アーム1114はスロット3202の面と係合してもよい。スロット3202は、一例の深さ約0.1mmから約0.7mmまでの間を有してもよい。一例の実施形態では、スロット3202は、一例の深さ約0.5mmを有してもよい。
【0206】
図46から
図48は、第1のタイプ、第2のタイプおよび第3のタイプの例示的シリンジキャリアについて、mm単位のシュラウド展開距離(x軸)に対する、N単位の格納力および伸長力(y軸)のグラフを示す。異なる生産用具を使用して、3つのタイプのシリンジキャリアが形成された。異なる生産用具の製造上の許容誤差の違いにより、シリンジキャリアの幾何形状に違いが導入された。
【0207】
図46は、第1のタイプの例示的シリンジキャリアについて、すなわち、近位管状部分と遠位管状部分の間の遷移部分に段を有する、
図9に示されるように構成された対照シリンジキャリア、幅約0.5mmおよび角度約45°の面取り部を有する、
図44に示されるように構成されたシリンジキャリア、ならびに0.5mmの深さのスロット切り口を有する、
図45に示されるように構成されたシリンジキャリアについて、mm単位のシュラウド展開距離(x軸)に対する、N単位の格納力および伸長力(y軸)のグラフを示す。
図46は、伸長力が、シュラウド展開過程の後段中のピンチング効果に対応する下向きのピークを示す、約2mmでのピンチング効果を示す。対照シリンジキャリア(
図9に示される)は最大の下向きのピークを示し、残留伸長力約1.0Nをもたらす。面取りされたシリンジキャリア(
図44に示される)は中間の下向きのピークを示し、残留伸長力約1.3Nをもたらす。スロットをつけられたシリンジキャリア(
図45に示される)は下向きのピークを示さず、残留伸長力約1.7Nをもたらす。
図46は、ピンチング効果が、面取り部およびスロットにより低減または除去されることを示し、これにより、効果的で確実なシュラウド展開がもたらされる。
【0208】
図47は、第2のタイプの例示的シリンジキャリアについて、すなわち、近位管状部分と遠位管状部分の間の遷移部分に段を有する、
図9に示されるように構成された対照シリンジキャリア、幅約0.5mmおよび角度約45°の面取り部を有する、
図44に示されるように構成されたシリンジキャリア、ならびに0.5mmの深さのスロット切り口を有する、
図45に示されるように構成されたシリンジキャリアについて、mm単位のシュラウド展開距離(x軸)に対する、N単位の格納力および伸長力(y軸)のグラフを示す。
図34は、伸長力が、シュラウド展開過程の後段中のピンチング効果に対応する下向きのピークを示す、約2mmでのピンチング効果を示す。対照シリンジキャリア(
図9に示される)は最大の下向きのピークを示す。面取りされたシリンジキャリア(
図44に示される)は中間の下向きのピークを示す。スロットをつけられたシリンジキャリア(
図45に示される)は下向きのピークを示さない。
図47は、ピンチング効果が、面取り部およびスロットにより低減または除去されることを示し、これにより、効果的で確実なシュラウド展開がもたらされる。
【0209】
図48は、第3のタイプの例示的シリンジキャリアについて、すなわち、近位管状部分と遠位管状部分の間の遷移部分に段を有する、
図9に示されるように構成された対照シリンジキャリア、幅約0.5mmおよび角度約45°の面取り部を有する、
図44に示されるように構成されたシリンジキャリア、ならびに0.5mmの深さのスロット切り口を有する、
図45に示されるように構成されたシリンジキャリアについて、mm単位のシュラウド展開距離(x軸)に対する、N単位の格納力および伸長力(y軸)のグラフを示す。
図48は、伸長力が、シュラウド展開過程中のピンチング効果に対応する下向きのピークを示す、約2mmでのピンチング効果を示す。対照シリンジキャリア(
図9に示される)は最大の下向きのピークを示す。面取りされたシリンジキャリア(
図44に示される)は中間の下向きのピークを示す。スロットをつけられたシリンジキャリア(
図45に示される)は下向きのピークを示さない。
図48は、ピンチング効果が、面取り部およびスロットにより低減または除去されることを示し、これにより、効果的で確実なシュラウド展開がもたらされる。
【0210】
一例のシリンジキャリアでは、シリンジキャリアの近位管状部分と遠位管状部分の間の遷移部分に丸い段が、すなわち、丸いエッジを有する段が形成されてもよい。しかしながら、
図24と比較して、丸いエッジが伸長力を最大にする(すなわち、シュラウドの展開の最後近くに、局所化した下向きのピークを低減する、または実質的に除去する)ことがないことが定量的実験結果から判定された。したがって、他の例示的シリンジキャリアでは、遷移部分は、丸くないままであってもよい。
【0211】
F.シリンジキャリアの遠位アンカ部分の一体蝶番の構成
一例の実施形態では、シリンジキャリアの成型または形成過程を容易にするために、シリンジキャリア3600の近位アンカ部分3604の一体蝶番内に抜き勾配3602が含まれてもよい。抜き勾配3602がなければ、シリンジキャリア3600の近位アンカ部分3604にあるヒンジが、シリンジキャリア3600を成型または形成する際に使用される型に固着する傾向がある場合がある。抜き勾配3602の展開により、シリンジキャリア3600は、型の中で成型または形成された後に型から滑らかに解放されることができるようになる。抜き勾配3602の展開により、シリンジキャリア成型過程が改善され、そうしなかった場合に、欠陥のある成型過程により引き起こされる場合がある、シリンジキャリア3600の部分の反りが避けられる場合がある。
【0212】
図49は、一体蝶番がシリンジキャリア3600の近位アンカ部分3604内に抜き勾配3602を含む一例のシリンジキャリア3600の斜視図を示す。例示的実施形態では、抜き勾配3602は、例示的抜き勾配角約1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°などを有してもよい。
図49に示される例示的実施形態では、抜き勾配角は約5°である。
【0213】
他の例示的実施形態では、抜き勾配が、シリンジキャリア3600の近位アンカ部分3604の一体蝶番内に含まれなくてもよい。
【0214】
G.シリンジキャリアのレールの構成
一例のシリンジキャリアのレールは、レールがシュラウド展開中に溝の内部を動くときに、レールとシュラウドの内側の溝の間で受ける摩擦力を低減するように、1つまたは複数の例示的方法で構成されてもよい。摩擦力の低減により、シュラウド展開過程中に受ける伸長力が増大し、滑らかなシュラウド展開が容易になる。
【0215】
図50は、近位端3704と遠位端3706の間に伸長するレール3702を含む、一例のシリンジキャリア3700の斜視図を示す。一例の実施形態では、シュラウド展開過程中にレール3702とシュラウドの内側の溝との相互作用を低減するために、キャリア3700のレール3702の幅(すなわち、レールの断面幅)が低減されてもよく、これにより、シュラウド展開過程で伸長力が増大する場合がある。一例の実施形態では、レール3702の幅は、レール3702の長さに沿って同じ幅に低減されてもよい。他の例示的実施形態では、レール3702の幅は、レール3702の長さに沿って異なる幅に低減されてもよい。一例の実施形態では、レール3702の幅は、遠位端3706より近位端3704で広くてもよい。一例の実施形態では、レール3702の幅は、近位端3704より遠位端3706で広くてもよい。一例の実施形態では、レール3702は、一方の端部でより広い幅を、他方の端部でより狭い幅を有する、テーパ付きレールであってもよい。一例の実施形態では、幅は、成型後の構成要素の反りを補償するために、レール3702の長さにわたり変わってもよい(たとえば、レールの長さに沿って異なる幅を達成するために材料が取り除かれてもよい)。
【0216】
一例の実施形態では、シュラウド展開過程中にレール3702とシュラウドの内側の溝との相互作用を低減するために、キャリア3700の長手方向の軸に沿ったレール3702の長さが低減されてもよく、これにより、シュラウド展開過程で伸長力が増大する場合がある。レール3702の例示的長さが、約14.00mmから約16.00mmまでの範囲であってもよいが、この例示的範囲に限定されない。一例の実施形態では、レール3702の長さは、約15.30mmから約14.79mmに低減されてもよい。一例の実施形態では、レール3702の長さは、約15.30mmから約14.94mmに低減されてもよい。
【0217】
一例の実施形態では、キャリア3700のレール3702間の距離が低減されてもよい。
【0218】
一例の実施形態では、レール3702とシュラウドの内部溝とのインターロッキングを改善するために、キャリア3700の一例のレール3702の最上部プロファイルが、シュラウドの湾曲にぴったり合うように構成されてもよい。改善されたインターロッキングにより、シュラウド展開過程中に構成要素が動く間、シュラウドおよびキャリア組立体に安定性が提供される。レール3702の最上部プロファイルの構成もまた、レール3702の最上部とシュラウドの溝の内面との間のギャップを増大させる。増大したギャップが、残留伸長力を増大させ、これにより、滑らかなシュラウド展開が容易になる。
【0219】
H.シュラウドの内側の溝の構成
シュラウドの内側の溝は、レールがシュラウド展開中に溝の内部を動くときに、シリンジキャリアのレールとシュラウドの内側の溝の間で受ける摩擦力を低減するように、1つまたは複数の例示的方法で構成されてもよい。摩擦力の低減により、シュラウド展開過程中に受ける伸長力が増大し、滑らかなシュラウド展開が容易になる。
【0220】
一例の実施形態では、シュラウド展開過程で伸長力を最大にするために、シュラウド展開過程中の、シリンジキャリア1000のレール1007とシュラウド1110の内側の溝との間の摩擦力を低減するために、シュラウド1110の内側の溝の高さが増大されてもよい。
【0221】
一例の実施形態では、シュラウド1110およびキャリア1000の組立を容易にするために、シュラウド1110の内側の溝に格納が追加されてもよい。溝の中の格納のサイズが、溝の直径に一部は基づき構成されてもよい。たとえば、より大きな直径を有する溝では、格納のサイズは低減されてもよい。
【0222】
一例の実施形態では、シュラウド1110およびキャリア1000の組立を容易にするために、キャリア1000のレール1007に格納が追加されてもよい。
【0223】
I.摩擦係数の構成
シュラウド展開過程中に受ける伸長力は、摩擦係数(COF)、および自動注射装置の異なる可動構成要素、たとえば、シュラウド1110およびシリンジキャリア1000の構成要素の間で受ける摩擦力に一部は依存する場合がある。より高いCOF値が、シュラウド展開過程中に、異なる可動構成要素間で受ける摩擦力を増大させ、したがって、シュラウド展開の失敗につながる場合がある。COF値を低減することにより、シュラウド展開過程中に受ける摩擦力が低減され、バイアス部材89の解放によりシュラウドを滑らかに導入することができるようになる。
【0224】
図51は、例示的COF値約0.000、約0.125および約0.300について、mm単位のシュラウド展開距離(x軸)に対する、N単位の格納力および伸長力(y軸)のグラフを示す。
図51は、伸長力が、シュラウド展開中のピンチング効果に対応する下向きのピークを示した約2mmでのピンチング効果を示す。下向きのピークは、0.300COFに対して最大の大きさ(伸長力約0.7N)を、0.125COFに対して中間の大きさ(伸長力約1.5N)を、および0.000COFに対して最低の大きさ(伸長力2.5N)を有していた。
【0225】
図51は、増大するCOF値が摩擦力を増大し、これにより、約2mmでの下向きのピークがより大きな大きさとなったことを示す。例示的実施形態が、異なる可動部分、たとえば、シュラウド1110の構成要素、シリンジキャリア1000、自動注射装置ハウジングなどの、1つまたは複数の特性を構成して、シュラウド展開過程中に受ける摩擦力を低減してもよい。これらの修正がシュラウド展開過程を改善し、シュラウド展開失敗を防止する。
【0226】
例示的実施形態では、シュラウド展開過程中に受ける摩擦力を低減する際に、可動部分を形成する材料の1つまたは複数の特性が構成されてもよい。これらの特性は、屈曲係数、降伏強度、降伏伸長、機能および製造可能性に関する材料強度などを含んでもよいがこれらに限定されない。一例の実施形態では、低い摩擦力を受ける1つまたは複数の可動部分、たとえば、シュラウド、シリンジキャリアなどを形成するために、ポリアセタール材料が使用されてもよい。一例の実施形態では、1つまたは複数の可動部分、たとえば、シュラウド、シリンジキャリアなどを形成するために、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が使用されてもよい。
【0227】
J.他の例示的構成
シュラウド展開過程を改善するために、1つもしくは複数の他の構成が実現されてもよい、および/または1つもしくは複数の追加の特徴が含まれてもよいことを当業者は理解されよう。例示的実施形態で提供される構成および特徴は、この節で以下に示されるものに限定されない。
【0228】
たとえば、一例の実施形態では、シュラウド1110の内径は、バイアス部材89とシュラウド1110の間の摩擦力を低減するために増大されてもよい。
【0229】
一例の実施形態では、キャリア1000のタブをつけられた足部1006の幅は、タブをつけられた足部1006とシュラウド1110のスロット1118の間の摩擦力を低減するために低減されてもよい。一例の実施形態では、シュラウド1110スロット1118の幅は、タブをつけられた足部1006とシュラウド1110のスロット1118の間の摩擦力を低減するために増大されてもよい。
【0230】
一例の実施形態では、フランジ256と、シュラウド展開組立体の構成要素、たとえばシュラウド1110のアーム1114との間の摩擦力を低減するために、ハウジング内の内側のフランジ256の側壁に1つまたは複数の傾斜する部分、たとえば面取り部が追加されてもよい。一例の実施形態では、フランジ256と、シュラウド展開組立体の構成要素、たとえばシュラウド1110のアーム1114との間の摩擦力を低減するために、ハウジング内の内側のフランジ256の側壁の遠位エッジが丸みをつけられてもよい。
【0231】
K.要約
例示的実施形態が、シュラウド展開失敗のリスクを最小にするために、本明細書で教示される構造上、機能上および動作上の構成の1つ、または2つ以上の組合せを実装してもよい。例示的実施形態はまた、修正された従来の構成要素でシュラウド展開失敗のリスクを最小にするために、本明細書で提供される教示に従って、自動注射装置の1つまたは複数の従来の構成要素を修正してもよい。
【0232】
例示的実施形態が、自動注射装置を使用して注射が行われる間、またはこの後に、針を保護するように被覆する、確実で一貫した手法で針シュラウドが自動的に展開される自動注射装置を提供する。例示的実施形態はまた、組み立てられた自動注射装置で協調して構成されたときに、確実で一貫した手法で針シュラウドが自動的に展開されることを保証する、針シュラウドおよびシリンジキャリアを含むシュラウド展開組立体を提供する。
【0233】
例示的実施形態が、自動注射装置を形成する方法を提供してもよい。一例の方法が、近位端と遠位端の間に伸長する内部穴を有するハウジングを提供するステップと、自動注射装置のハウジングの近位端で、内部穴の中にシュラウドを配置するステップとを含む。シュラウドは、ハウジングに対して格納位置と伸長位置の間を移動可能であってもよい。シュラウドは、近位端と遠位端の間に伸長する管状部材と、管状部材の遠位端から伸長する1つまたは複数のアームとを含んでもよい。方法は、管状部材を備えるシリンジキャリアをシュラウドの管状部材内部に部分的に配置するステップを含んでもよい。方法はまた、自動注射装置のハウジングとシリンジキャリアの管状部材の間に形成された、制約されたスペースを構成して、格納位置から伸長位置に動くときに、制約されたスペースの中を遠位アームが動く間、遠位アームのピンチング効果を最小にするステップを含んでもよい。
【0234】
例示的実施形態が、自動注射装置を使用して、注射を行う方法を提供してもよい。一例の方法が、注射前、注射中または注射後に、伸長位置から自動注射装置のハウジング内部の格納位置にシュラウドを格納するステップを含み、シュラウドは、格納位置にあるときにシュラウドの開放近位端を通して針を露出し、針を通して、自動注射装置を使用して注射を行う。方法は、注射前、注射中または注射後に、格納位置から自動注射装置のハウジング内部の伸長位置にシュラウドを展開するステップを含んでもよく、シュラウドは、伸長位置にあるときに、針を保護するように被覆する。シュラウドの展開は、自動注射装置のハウジングとシリンジキャリアの管状部材の間に形成された、制約されたスペース内部で前方方向にシュラウドの遠位アームを動かすステップを備える。制約されたスペースおよび/またはシュラウドの遠位アームは、制約されたスペースの中を遠位アームが動く間、遠位アームのピンチング効果を最小にするように構成される。
【0235】
例示的自動注射装置は、シュラウドが展開されると、シュラウドを格納ささせることが困難なように、十分に高いシュラウドオーバーライド力を有する。例示的シュラウドオーバーライド力が、約80Nから約120Nまでを含んでもよいが、これらに限定されない。高いシュラウドオーバーライド力は、シュラウドが、展開されると、シュラウドを格納するように加えられる力に逆らって展開されたままでいることを保証し、これにより、針刺し傷のリスクを最小にする、またはなくする。
【0236】
対照シリンジキャリアについて、および上記のシリンジキャリアのデザイン変更の各々について、シュラウドオーバーライド力がモニタされ、グラフで表された。
図52は、対照シリンジキャリアおよび例示的試験シリンジキャリアについて、mm単位のオーバーライド距離(x軸)に対する、N単位のシュラウドオーバーライド力(y軸)のグラフを示す。
図53は、対照シリンジキャリアおよび例示的試験シリンジキャリアについて、N単位のピークシュラウドオーバーライド力(y軸)のヒストグラムを示す。例示的シリンジキャリアのすべてが、80Nを超えるシュラウドオーバーライド力を示し、このことは、シュラウドは、展開されると、(約80Nの)強い力が遠位方向にシュラウドを押すことによりシュラウドを格納するようと試みたときでさえ、確実に展開されたままでいることを示す。
【0237】
V.参照による組み入れ
本出願を通して列挙された、特許および特許出願を含むすべての参考文献の内容が、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。これらの参考文献の該当する構成要素および方法が、本発明および本発明の実施形態のために選択されてもよい。さらにまた、発明の背景部分で明らかにされた構成要素および方法は、本開示と一体化し、本発明の範囲内の開示において他で説明される構成要素および方法と併せて使用される、またはこれらに置き換えられることができる。
【0238】
VI.均等物
例示的実施形態を説明する際に、理解しやすいように、特定の専門用語が使用された。図示に、各特定の用語は、類似の手法で動作して、類似の目的を実現する、すべての技術的および機能的均等物を少なくとも含むことが意図される。さらに、特定の一例の実施形態が複数のシステム要素または方法ステップを含むいくつかの例では、これらの要素またはステップは、単一の要素またはステップと置換されてもよい。同様に、単一の要素またはステップが、同じ目的にかなう複数の要素またはステップと置換されてもよい。さらに、例示的実施形態について、さまざまな特性に対するパラメータが本明細書で指定された場合、これらのパラメータは、特に断らない限り、1/20、1/10、1/5、1/3、1/2などだけ、またはこれらの丸め近似により、上下に調節されてもよい。さらに、例示的実施形態が、その特定の実施形態を参照して示され、説明されたが、当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細にさまざまな置換および改変が行われてもよいことを理解されよう。さらにまた、他の様態、機能および利点が、同じく本発明の範囲内に含まれる。
シュラウドの管状部材に結合され、かつシュラウドの管状部材内部に部分的に配置され、外面内にくぼみまたはトレンチを生み出すために円柱部分の外面内に形成されたスロットを有する円柱部分を備えるシリンジキャリアをさらに備え、
スロットは、自動注射装置のハウジングの内側部分と、シリンジキャリアの円柱部分の外側部分との間に形成された、制約されたスペースを増大させる、請求項1に記載の自動注射装置。