【解決手段】ジエン系ゴムと、空隙率80%以下の多孔質の発泡ガラス粒子をジエン系ゴム100質量部に対して0.5〜20質量部とを含む、タイヤ用ゴム組成物、タイヤ。貝殻粉を含む発泡剤で作製された空隙率80%以下の多孔質の発泡ガラス粒子をジエン系ゴムに練り込む工程を含む、タイヤ用ゴム組成物の製造方法。前記発泡ガラス粒子の平均粒径が1000μm未満であることが好ましく、その主成分がSiO
Oであることが好ましい、タイヤ用ゴム組成物。更に、多孔質性炭化物の粉砕物、多孔性セルロース粒子及び植物性粒状体から選ばれる1種以上を含むことが望ましいタイヤ用ゴム組成物。
多孔質性炭化物の粉砕物、多孔性セルロース粒子および植物性粒状体からなる群より選ばれた少なくとも1種をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、氷雪上性能を向上可能なだけでなく、氷雪上性能と耐摩耗性とを両立できるタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。さらに、本開示は、このようなタイヤ用ゴム組成物を製造するための方法を提供することを目的とする。
【0008】
本開示のタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴムと、空隙率80%以下の多孔質の発泡ガラス粒子とを含む。このような発泡ガラス粒子は、ひっかき効果・吸水機能をタイヤに付与し、タイヤの氷上制動性能・雪上操縦安定性を高めることができる。さらに、発泡ガラス粒子は、ゴム含浸性に優れ、タイヤから欠落しにくいため、発泡ガラス粒子を用いたタイヤは耐摩耗性に優れる。
【0009】
発泡ガラス粒子の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましい。0.5質量部未満は、氷上制動性能・雪上操縦安定性の改善効果が小さすぎる傾向がある。発泡ガラス粒子の含有量は、耐摩耗性を確保するという点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、20質量部以下が好ましい。
【0010】
発泡ガラス粒子の平均粒径は1000μm未満であることが好ましい。平均粒径1000μm以上の発泡ガラス粒子を用いたタイヤは、耐摩耗性に劣る傾向がある。
【0011】
発泡ガラス粒子の主成分が、SiO
2、CaOおよびNa
2Oであることが好ましい。
【0012】
本開示のタイヤ用ゴム組成物は、多孔質性炭化物の粉砕物、多孔性セルロース粒子および植物性粒状体からなる群より選ばれた少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。これらは、タイヤの氷雪上性能をいっそう向上させることができる。
【0013】
本開示のタイヤは、本開示のタイヤ用ゴム組成物からなるトレッドを備える。
【0014】
本開示におけるタイヤ用ゴム組成物の製造方法は、貝殻粉を含む発泡剤で作製された空隙率80%以下の多孔質の発泡ガラス粒子をジエン系ゴムに練り込む工程を含む。このような発泡ガラス粒子は、吸水機能・ひっかき効果に優れ、表面凹凸が大きく、ゴム含浸性に優れる。これは、貝殻粉中の炭酸カルシウムの分解で発生した炭酸ガスで気泡が形成されるとともに、貝殻粉中のフミン酸の焼失で微細孔が形成されるからだと考えられる。
【0015】
発泡ガラス粒子は、少なくとも無機系廃材と前記発泡剤とを原料とすることが好ましい。この場合は、無機系廃材・貝殻粉を再利用でき、エコである。
【0016】
本開示におけるタイヤの製造方法は、本開示におけるタイヤ用ゴム組成物の製造方法を含む。
【0017】
実施形態1
ここからは、実施形態1で本開示を説明する。
【0018】
実施形態1のタイヤ用ゴム組成物はジエン系ゴムを含む。ジエン系ゴムとしては、たとえば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムなどを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を用いることができる。天然ゴムとブタジエンゴムとをジエン系ゴムが含むことが好ましい。天然ゴムの量は、ジエン系ゴム100質量%において、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。天然ゴム量の上限は、ジエン系ゴム100質量%において、好ましくは80質量%、より好ましくは70質量%である。ブタジエンゴムの量は、ジエン系ゴム100質量%において、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。ブタジエンゴム量の上限は、ジエン系ゴム100質量%において、好ましくは70質量%、より好ましくは60質量%である。
【0019】
実施形態1のタイヤ用ゴム組成物は、空隙率80%以下の多孔質の発泡ガラス粒子を含む。このような発泡ガラス粒子は、ひっかき効果・吸水機能をタイヤに付与し、氷上制動性能・雪上操縦安定性を高めることができる。さらに、発泡ガラス粒子は、ゴム含浸性に優れ、タイヤから欠落しにくい。空隙率が80%をこえると、発泡ガラス粒子中の空隙が壊れやすく、氷上制動性能・雪上操縦安定性の改善効果が小さすぎるおそれがある。発泡ガラス粒子における空隙率は、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。発泡ガラス粒子における空隙率の下限は、56%が好ましい。発泡ガラス粒子の空隙率は、実施例に記載の方法で算出する。発泡ガラス粒子における真密度の下限は、たとえば2.2g/cm
3、2.3g/cm
3、2.4g/cm
3である。発泡ガラス粒子における真密度の上限は、たとえば2.8g/cm
3、2.7g/cm
3、2.6g/cm
3である。
【0020】
発泡ガラス粒子の平均粒径は1000μm未満であることが好ましい。平均粒径1000μm以上の発泡ガラス粒子を用いたタイヤは、耐摩耗性に劣る傾向がある。発泡ガラス粒子の平均粒径は500μm以下がより好ましい。発泡ガラス粒子における平均粒径の下限は、たとえば5μm、50μm、100μmなどである。発泡ガラス粒子の平均粒径は、発泡ガラス粒子の長径の平均値と発泡ガラス粒子の短径の平均値との和を2で割った値である。長径の平均値と短径の平均値との両者は、発泡ガラス粒子を顕微鏡で観察し、画像を得て、100個の発泡ガラス粒子について長径と短径とを測定することによって求める。
【0021】
発泡ガラス粒子の主成分は、SiO
2、CaOおよびNa
2Oであることが好ましい。SiO
2、CaOおよびNa
2Oの合計は、発泡ガラス粒子の全成分100%において、たとえば90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上である。SiO
2、CaOおよびNa
2Oの合計の上限は、全成分100%において、たとえば96%である。SiO
2は、全成分100%において、60%以上を占めることができる。SiO
2の上限は、たとえば70%である。CaOは、全成分100%において、20%以上を占めることができる。Na
2Oは、全成分100%において、6%以上を占めることができる。発泡ガラス粒子の成分としては、SiO
2、CaO、Na
2O以外に、たとえばK
2O、Al
2O
3、Fe
2O
3などを挙げることができる。
【0022】
発泡ガラス粒子は、貝殻粉を含む発泡剤で作製することができ、少なくとも無機系廃材と貝殻粉を含む発泡剤とを原料とすることができる。たとえば、無機系廃材の粉末と貝殻粉を含む発泡剤とを混合し、焼成し、粉砕し、必要に応じて分級するという手順で発泡ガラス粒子を作製できる。このような手順で得られた発泡ガラス粒子は、吸水機能・ひっかき効果に優れ、表面凹凸が大きく、ゴム含浸性に優れる。これは、貝殻粉中の炭酸カルシウムの分解で発生した炭酸ガスで気泡が形成されるとともに、貝殻粉中のフミン酸の焼失で微細孔が形成されるからだと考えられる。貝殻の種類によっては、貝殻中の繊維が、気泡を補強し、気泡の破裂を防止するという効果を期待できる。貝殻としては、たとえば赤貝を挙げることができる。無機系廃材は、好ましくはガラス質廃材であり、たとえば廃ガラス瓶を挙げることができる。
【0023】
発泡ガラス粒子の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。0.5質量部未満は、氷上制動性能・雪上操縦安定性の改善効果が小さすぎる傾向がある。発泡ガラス粒子の含有量は、耐摩耗性を確保するという点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
【0024】
実施形態1のタイヤ用ゴム組成物は、多孔質性炭化物の粉砕物をさらに含むことができる。多孔質性炭化物の粉砕物は、木、竹などの植物を炭化して得られる多孔質性炭化物を粉砕するという手順で作製することができる。多孔質性炭化物としては、竹炭が好ましい。多孔質性炭化物の粉砕物の90%体積粒径(以下、「D90」という。)は、たとえば10μm〜500μmである。D90は、レーザ回折・散乱法により測定される粒度分布(体積基準)における積算値90%の粒径を意味する。
【0025】
実施形態1のタイヤ用ゴム組成物は、多孔性セルロース粒子をさらに含むことができる。多孔性セルロース粒子は、木材パルプを原料とすることができる。多孔性セルロース粒子において、長径の短径に対する比(長径/短径)は好ましくは1〜2であり、より好ましくは1.0〜1.5である。長径の短径に対する比は、100個の多孔性セルロース粒子について顕微鏡画像で長径と短径とを測定し、長径の平均値・短径の平均値を算出し、求める。多孔性セルロース粒子の平均粒径は、好ましくは1000μm以下、より好ましくは800μm以下である。多孔性セルロース粒子における平均粒径の下限は、たとえば100μm、200μmなどである。平均粒径は、長径の平均値と短径の平均値との和を2で割った値である。多孔性セルロース粒子の空隙率は75〜95%が好ましい。多孔性セルロース粒子の空隙率は次式で求める。ここで、セルロースの真比重は1.5である。
空隙率[%]={1−(試料の嵩比重[g/ml])/(試料の真比重[g/ml])}×100
【0026】
実施形態1のタイヤ用ゴム組成物は、植物性粒状体をさらに含むことができる。植物性粒状体としては、たとえば種子の殻の粉砕物、果実の核の粉砕物、穀物の粉砕物、穀物の芯材の粉砕物などを挙げることができる。植物性粒状体としては、くるみ核の粉砕物が好ましい。植物性粒状体のD90は、好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上、さらに好ましくは200μm以上である。植物性粒状体のD90の上限は、たとえば600μm、好ましくは500μm、さらに好ましくは400μmである。植物性粒状体は、ゴム接着性改良剤で表面処理されていることができる。
【0027】
発泡ガラス粒子、多孔質性炭化物の粉砕物、多孔性セルロース粒子および植物性粒状体の合計量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。合計量の上限は、ジエン系ゴム100質量部に対して、たとえば20質量部、15質量部、10質量部などである。
【0028】
実施形態1のタイヤ用ゴム組成物はカーボンブラックをさらに含む。カーボンブラックは、SAF級,ISAF級,HAF級が好ましい。カーボンブラックの量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上である。カーボンブラック量の上限は、ジエン系ゴム100質量部に対して、たとえば80質量部、50質量部である。
【0029】
実施形態1のタイヤ用ゴム組成物はシリカをさらに含む。シリカのBET比表面積は、好ましくは90m
2/g以上、より好ましくは150m
2/g以上である。シリカのBET比表面積の上限は、好ましくは250m
2/g、より好ましくは220m
2/gである。シリカのBET比表面積は、JIS K6430に記載のBET法に準じて測定される。シリカの量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上である。シリカ量の上限は、ジエン系ゴム100質量部に対して、たとえば50質量部である。
【0030】
カーボンブラックおよびシリカの合計量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上である。カーボンブラックおよびシリカの合計量の上限は、ジエン系ゴム100質量部に対して、たとえば150質量部、100質量部、80質量部である。
【0031】
実施形態1のタイヤ用ゴム組成物はシランカップリング剤をさらに含む。シランカップリング剤としては、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィドシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどの保護化メルカプトシランを挙げることができる。シランカップリング剤の量は、シリカ100質量部に対し、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。シランカップリング剤量の上限は、シリカ100質量部に対し、たとえば20質量部、15質量部などである。
【0032】
実施形態1のタイヤ用ゴム組成物は加硫剤をさらに含む。加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを挙げることができる。加硫剤の量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、硫黄分換算で好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。加硫剤量の上限は、ジエン系ゴム100質量部に対して、たとえば10質量部、5質量部である。
【0033】
実施形態1のタイヤ用ゴム組成物は加硫促進剤をさらに含む。加硫促進剤としてスルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などを挙げることができる。加硫促進剤の量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。加硫促進剤量の上限は、ジエン系ゴム100質量部に対して、たとえば7質量部、5質量部である。
【0034】
実施形態1のタイヤ用ゴム組成物は、オイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスなどをさらに含むことができる。老化防止剤として、芳香族アミン系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などを挙げることができる。
【0035】
実施形態1のタイヤ用ゴム組成物は、タイヤのトレッドに好適に用いることができ、スタッドレスタイヤやスノータイヤなどの冬用タイヤのトレッドに好適に用いることができる。実施形態1のタイヤ用ゴム組成物を、キャップベース構造のトレッドを有するタイヤに用いる場合は、キャップトレッドに好適に用いることができる。
【0036】
実施形態1におけるタイヤ用ゴム組成物の製造方法は、発泡ガラス粒子をジエン系ゴムに混合機で練り込み、混合物を得る工程を含む。この工程では、発泡ガラス粒子とともに、カーボンブラック、シリカ、オイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスなどをジエン系ゴムに練り込むことができる。混合機として密閉式混合機、オープンロールなどを挙げることができる。密閉式混合機としてバンバリーミキサー、ニーダーなどを挙げることができる。
【0037】
混合物に、加硫剤および加硫促進剤を混合機で練り込み、ゴム組成物を得る工程を、実施形態1におけるタイヤ用ゴム組成物の製造方法はさらに含む。混合機として密閉式混合機、オープンロールなどを挙げることができる。密閉式混合機としてバンバリーミキサー、ニーダーなどを挙げることができる。
【0038】
ゴム組成物からなるトレッドを備える生タイヤをつくる工程を、実施形態1におけるタイヤの製造方法は含む。生タイヤを加熱する工程を、実施形態1におけるタイヤの製造方法はさらに含む。
【実施例】
【0039】
以下に、本開示の実施例を説明する。
【0040】
ゴム・配合剤を次に示す。
天然ゴム RSS#3
ブタジエンゴム 「BR01」JSR社製
カーボンブラック 「シーストKH」東海カーボン社製(N339)
シリカ 「ニップシールAQ」東ソー・シリカ社製
カップリング剤 「Si75」デグサ社製
パラフィンオイル:「プロセスP200」JOMO社製
ステアリン酸 「ルナックS−20」花王社製
亜鉛華 「亜鉛華1号」三井金属鉱業社製
老化防止剤 「アンチゲン6C」住友化学社製
ワックス 「OZOACE0355」日本精蝋社製
植物性粒状体 「ソフトグリット#46」日本ウォルナット社製(クルミ殻粉砕物 D90=300μm)
多孔性セルロース粒子 「ビスコパールミニ」レンゴー社製(平均粒径700μm)
発泡ガラス粒子1 作製例1にしたがって作成した平均粒径100μm〜300μm、空隙率62%の発泡ガラス粒子
発泡ガラス粒子2 作製例1にしたがって作成した平均粒径300μm〜500μm、空隙率65%の発泡ガラス粒子
中空ガラス粒子 「ガラスバルーンGL−3」啓和炉材社製(平均粒径300μm〜600μm、空隙率84%の中空ガラス粒子)
ガラス粒子 作製例2にしたがって作成した平均粒径300μm〜500μmのガラス粒子
加硫促進剤:「ソクシノールCZ」住友化学社製
硫黄:「粉末硫黄」鶴見化学工業社製
【0041】
作製例1 発泡ガラス粒子1・発泡ガラス粒子2
「ポーラスα」鳥取再資源化研究所社製(多孔質の発泡ガラス)をボールミルで粉砕し、分級し、発泡ガラス粒子1と発泡ガラス粒子2とを得た。「ポーラスα」は、SiO
2、CaOおよびNa
2Oを主成分とするソーダ石灰ガラスである。SiO
2は62.00%、CaOは24.70%、Na
2Oは8.6%である。SiO
2、CaO、Na
2O以外に、K
2O、Al
2O
3、Fe
2O
3などを「ポーラスα」は構成成分とする。「ポーラスα」は、廃ガラス瓶を破砕し、粉砕し、貝殻粉を発泡剤として混合し、焼成するという手順で製造されたものである。
【0042】
作製例2 ガラス粒子
廃ガラス瓶をボールミルで粉砕し、分級し、ガラス粒子を得た。
【0043】
発泡ガラス粒子1・発泡ガラス粒子2における空隙率の算出
空隙率[%]=(空隙体積[ml])/(試料の嵩体積[ml])×100
={(試料の嵩体積[ml])−(試料の実体積[ml])}/(試料の嵩体積[ml])×100
={1−(試料の実体積[ml])/(試料の嵩体積[ml])}×100
={1−(試料の嵩比重[g/ml])/(試料の真比重[g/ml])}×100
ここで、ガラスの真比重は2.5とした。
【0044】
各例におけるタイヤの作製
硫黄と加硫促進剤とを除く配合剤を表1にしたがってゴムに添加し、神戸製鋼社製のB型バンバリーミキサーで混合し、ゴム混合物を排出した。ゴム混合物と硫黄と加硫促進剤とをB型バンバリーミキサーで混合し、未加硫ゴムを得た。未加硫ゴムをトレッドゴムとして用いた生タイヤを作製し、加硫し、185/65R14のタイヤを得た。タイヤを、14×5.5JJのホイールに組み付けた。
【0045】
氷上制動性能
タイヤ4本を2000ccの4WD車に装着し、氷盤路(気温−3±3℃)を40km/hで走行させ、ABS作動させ、制動距離を測定した(n=10)。比較例1の制動距離(n=10の平均値)を100とした指数で、各例の制動距離(n=10の平均値)を示した。指数が大きいほど制動距離が短く、制動性能に優れることを示す。
【0046】
雪上操縦安定性
操舵応答性、走行安定性などに注意しながら官能テスト担当ドライバーがSnowテストコースで4WD車を高速で走行させ、操縦安定性を評価した。比較例1と比較して操縦安定性が優れているものを+2、やや優れているものを+1、同等のものを±0、やや劣っているものを−1、劣るものを−2とした。
【0047】
耐摩耗性
タイヤを2500km毎に左右ローテーションさせながら2000ccの4WD車を10000km走行させ、タイヤ4本のトレッド残溝深さを測定した。タイヤ4本のトレッド残溝深さの平均値を100とした指数で、各例の平均値を示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
【0048】
【表1】
【0049】
発泡ガラス粒子の添加で、氷上制動性能と雪上操縦安定性と耐摩耗性とが向上した。たとえば、3質量部の発泡ガラス粒子1の添加で、氷上制動性能が5ポイント向上し、雪上操縦安定性が+2となり、耐摩耗性が10ポイント向上した(比較例1・実施例1参照)。
【0050】
発泡ガラス粒子と多孔性セルロース粒子との併用で、氷上制動性能がさらに向上した。たとえば、3質量部の発泡ガラス粒子1と2質量部の多孔性セルロース粒子との併用で、氷上制動性能が10ポイント向上した(実施例1・実施例4参照)。