【解決手段】防振基体が外周に接合される接合部は、フランジ部と接合部とが連絡する隅を取った面取部と、面取部の軸線方向に連接される基部と、基部の軸線方向に連接される先端部と、を備えている。基部は、軸線と直交する第1方向へ投影した第1の投影面の面積と、軸線および第1方向と直交する第2方向へ投影した第2の投影面の面積と、が実質的に同じ大きさであり、先端部は、第1の投影面の面積より第2の投影面の面積が大きく設定される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施の形態における防振装置10の平面図であり、
図2は
図1のII−II線における防振装置10の断面図である。
図3は第1取付具20の平面図である。
【0013】
図1及び
図3に示す矢印X及び矢印Yは、防振装置10が搭載される自動車の左右方向(第1方向)及び前後方向(第2方向)をそれぞれ示している。軸線O方向(
図1紙面垂直方向)は自動車の上下方向であり、防振装置10の主たる振動の入力方向である。なお、
図2に示す防振装置10は無負荷状態を示している。
【0014】
図2に示すように防振装置10は、自動車のエンジンを弾性支持するエンジンマウントであり、振動源であるエンジン(図示せず)側に取り付けられる第1取付具20と、支持側の車体(図示せず)に取り付けられる第2取付具40と、第1取付具20及び第2取付具40の間に介在して第1取付具20及び第2取付具40を接合するゴム弾性体からなる防振基体60とを備えている。
【0015】
第1取付具20は、鉄系材料やアルミニウム合金等で一体成形されると共に軸線Oに沿って延びる軸状の鋳造製品である。第1取付具20は、防振基体60が外周に接合される接合部21と、接合部21に連接されるフランジ部25と、を備えている。フランジ部25の中心には、軸線Oに沿って延びるボルト穴33が形成されている。第1取付具20は、ボルト穴33に螺着されるボルト(図示せず)を介してエンジン等の振動源に取り付けられる。本実施の形態では、第1取付具20は、ブラケット90を介してエンジン等の振動源に取り付けられる。
【0016】
接合部21は、面取部22、基部23及び先端部24を備えている。面取部22は、フランジ部25と接合部21とが連絡する隅を取って、隅を丸面または斜面にするための部位である。面取部22は、本実施の形態では、フランジ部25と基部23とに接する丸みである。
【0017】
基部23は、面取部22の軸線O方向(フランジ部25の反対側)に連接される部位である。基部23は、本実施の形態では円錐台状に形成されている。基部23は、軸線Oと直交する第1方向(
図1矢印X方向)へ基部23を投影した第1の投影面の面積と、軸線O及び第1方向と直交する第2方向(
図1矢印Y方向)へ基部23を投影した第2の投影面の面積とが、実質的に同じ大きさに設定されている。
【0018】
図2において、第1の投影面は、軸線Oを境にして右側の部分と、軸線Oを対称軸として右側の部分を反転させた部分と、を合わせた面である。第2の投影面は、軸線Oを境にして左側の部分と、軸線Oを対称軸として左側の部分を反転させた部分と、を合わせた面である。即ち基部23は、接合部21のうち、
図2において軸線Oを挟んだ左右の面積が実質的に同じ大きさとなる部分である。
【0019】
なお、基部23の2つの投影面の面積が実質的に同じ大きさとは、2つの投影面の面積が全く同じ大きさであるもの以外に、2つの投影面の面積が若干異なるものも含む意味である。2つの投影面の面積が異なる程度は、防振基体60のうち基部23の周囲に接合された部分の歪を抑制すること(後述する)の妨げにならない程度をいう。
【0020】
先端部24は、基部23の軸線O方向(フランジ部25の反対側)に連接される部位である。先端部24は、第1方向(
図1矢印X方向)へ先端部24を投影した第1の投影面の面積より、第2方向(
図1矢印Y方向)へ先端部24を投影した第2の投影面の面積が大きな扁平した形をしている。即ち先端部24は、接合部21のうち、
図2において軸線Oを挟んだ左側の面積が右側の面積よりも大きい部分である。
【0021】
本実施の形態では、先端部24は、第1の投影面に外周面24a,24bが現れ、第2の投影面に外周面24c,24dが現れる。外周面24a,24b及び外周面24c,24dは、フランジ部25から離れる軸線O方向へ、それぞれ連接されている。軸線Oを含む断面において、外周面24a,24cは、フランジ部25から離れるにつれて、次第に軸線Oとの距離が小さくなるように傾斜する。軸線Oを含む断面において、外周面24aと軸線Oとのなす角は外周面24cと軸線Oとのなす角より大きい。
【0022】
軸線Oを含む断面において、外周面24b,24dは軸線Oと略平行な部分を有し、その略平行な部分は、外周面24bと軸線Oとの距離が、外周面24dと軸線Oとの距離より小さい。軸線Oを含む断面において、外周面24a及び外周面24bを合わせた軸線O方向の長さは、外周面24c及び外周面24dを合わせた軸線O方向の長さと略同一である。これにより、先端部24はフランジ部25に近い根元側が扁平した円錐台状、フランジ部25から遠い先端側が扁平した柱状に形成される。
【0023】
また、基部23の軸線O方向の中央の位置における外径の平均値よりも、先端部24の軸線O方向の中央の位置における外径の平均値が小さく設定される。なお、基部23の軸線O方向の中央の位置における外径の平均値とは、基部23の軸線O方向の中央の位置で軸線Oと直交する方向に基部23を切断して得られる切断面の面積と同じ面積をもつ円の直径をいう。先端部24の軸線O方向の中央の位置における外径の平均値とは、先端部24の軸線O方向の中央の位置で軸線Oと直交する方向に先端部24を切断して得られる切断面の面積と同じ面積をもつ円の直径をいう。
【0024】
フランジ部25は、基部23の外径よりも大きい外形をもつ部位である。
図3に示すようにフランジ部25は、軸線O方向から見て、直線の辺25aを有する半長円状に形成されている。フランジ部25は、中央へ向かう下り勾配のある傾斜面26が周囲に形成され、中央に平坦な座面27が設けられている。座面27は、ブラケット90(
図2参照)を支持する面であり、軸線O方向(
図3紙面垂直方向)に突出している。座面27の中央にボルト穴33が形成されている。
【0025】
フランジ部25は、角を挟んで辺25aと連絡する縁に、軸線O方向に突出する一対の壁部28が設けられている。一対の壁部28は軸線Oを挟んで対向する。本実施の形態では、一対の壁部28は第1方向(
図3矢印X方向)に対向している。壁部28は、軸線Oと平行な2つの側辺29,30をそれぞれ有しており、側辺29にそれぞれ延設部31が連接されている。延設部31は、互いに近づく方向へ延びており、縁部同士が互いに隙間32をあけて座面27の外側に配置されている。本実施の形態では、延設部31は、軸線Oを中心とする半円筒状に湾曲している。
【0026】
図2に戻って説明する。第2取付具40は、接合部21の外径よりも大きい内径を有する筒状の高剛性の部材であり、軸線O方向の両端に開口部41,42が形成されている。第1取付具20は、接合部21を開口部41側へ向けて、第2取付具40に対し同一の軸線O上に離隔して配置される。第2取付具40の外周に固定された外筒44を介して、第2取付具40に規制部材50が固定される。
【0027】
規制部材50は、ストッパ部66(後述する)が当接して第1取付具20と第2取付具40との相対変位を規制する高剛性の部材である。規制部材50は、第2取付具40が嵌め込まれる筒状の保持部51と、保持部51から軸線O方向に延びる筒状の第1規制部52と、第1規制部52の軸線O方向の端部から径方向の内側へ向けて突出する環状の第2規制部53とを備えている。本実施の形態では、第1規制部52は、軸線Oを中心とする円筒状に形成されている。
【0028】
防振基体60は、ゴム弾性体から構成される部材であり、軸線O方向の一端側の小径側端部61と、他端側の大径側端部62と、小径側端部61と大径側端部62とを連絡する脚部63と、を備えている。小径側端部61は、第1取付具20の接合部21の外周が加硫接合される部位である。小径側端部61に接合部21が接合されることで、接合部21が防振基体60に埋設される。大径側端部62は、小径側端部61より外径が大きく形成される部位である。大径側端部62は、第2取付具40の開口部41側の内周面に外周面が加硫接合される。
【0029】
第1取付具20及び第2取付具40に防振基体60が加硫接合されることで、第2取付具40の開口部41を塞ぐ脚部63が、第1取付具20と第2取付具40との間に介設される。脚部63は円錐台状に形成されている。防振基体60は、大径側端部62の軸線O方向の端面に凹部64が形成されている。凹部64は、軸線O方向に沿って第1取付具20から離れるにつれて内径が拡大する。防振基体60は、大径側端部62の外周縁の全周から軸線O方向へ向かって延びる筒状のシール層62aが形成されている。シール層62aは、第2取付具40の内周面に加硫接合されている。
【0030】
防振基体60は、小径側端部61に連絡部65が連接されている。連絡部65は、第1取付具20のうち、面取部22からフランジ部25に至る部分を取り囲む。連絡部65は、小径側端部61とストッパ部66とを連絡する部位である。防振基体60は、面取部22を取り囲む部分(連絡部65の一部)の外径より、先端部24を取り囲む部分(脚部63の一部)の外径が、大きく設定されている。
【0031】
ストッパ部66は、フランジ部25を覆うゴム弾性体である。ストッパ部66は、規制部材50に当接して第1取付具20と第2取付具40との相対変位を規制する。ストッパ部66は、壁部28及び延設部31の外側面を覆う外側部67と、壁部28及び延設部31の軸線O方向の端面を覆う頂部68と、を備えている。壁部28及び延設部31の内側面は、頂部68に連接されるゴム弾性体からなる内側部69で覆われる。傾斜面26を含むフランジ部25の端面は、座面27を除いて、内側部69に連接されるゴム弾性体からなる膜部70で覆われている。
【0032】
図1に戻って説明する。フランジ部25を覆うゴム弾性体は、隙間32を残して延設部31(
図3参照)を覆っている。膜部70は、周囲から中心(座面27)及び隙間32へ向かう下り勾配が設けられている。エンジン等の振動源に取り付けられるブラケット90を第1取付具20に固定するときは、ブラケット90の側面から突き出した凸部91を隙間32に差し込みながら、ブラケット90を座面27に当てる。ボルト穴33にボルト(図示せず)を締結すると、凸部91が延設部31と干渉してブラケット90の回り止めができる。従って、第1取付具20にブラケット90(相手側部材)を固定し易くできる。
【0033】
フランジ部25は、辺25aを避けて壁部28及び延設部31が設けられているので、辺25aの方向から壁部28間にブラケット90を挿入して座面27にブラケット90を配置できる。従って、座面27にブラケット90を配置し易くできる。また、軸線Oを挟んだ辺25aの反対側に隙間32が設けられているので、ブラケット90の側面から突出する凸部91を、辺25aの方向から壁部28間にブラケット90を挿入して隙間32に差し込み易くできる。
【0034】
ゴム弾性体からなる膜部70は、座面27を除いてフランジ部25に設けられているので、座面27にブラケット90を密着させることができる。その結果、ブラケット90を座面27に固定するためにボルト穴33に締結されるボルト(図示せず)を緩み難くすることができる。
【0035】
図2に示すように、隙間32に差し込まれたブラケット90の凸部91とフランジ部25を覆う膜部70との間には、軸線O方向に距離がある。フランジ部25は、辺25a以外の部分が壁部28及び延設部31で囲まれているが、隙間32があるので、壁部28及び延設部31の内側に溜まった洗車の水や雨水などを隙間32から排水できる。膜部70は、周囲から中心(座面27)及び隙間32へ向かう下り勾配が設けられているので、排水し易くできる。
【0036】
ストッパ部66の外側部67は、規制部材50の第1規制部52に対面する。外側部67が第1規制部52に当接すると、軸線Oと直交する方向における第1取付具20と第2取付具40との相対変位を規制する。外側部67は、軸線Oを挟んで、第1方向(
図1矢印X方向)に並んで設けられている。ストッパ部66の頂部68は、規制部材50の第2規制部53に対面する。頂部68が第2規制部53に当接すると、軸線O方向における第1取付具20と第2取付具40との相対変位を規制する。
【0037】
第2取付具40は、防振基体60の大径側端部62(凹部64)に対向するダイヤフラム80が、開口部42に取り付けられる。ダイヤフラム80は、ゴム弾性体から構成される円形状の可撓性膜であり、外周縁に円環状の固定金具81が加硫接合されている。
【0038】
第2取付具40、防振基体60及びダイヤフラム80により区画される密閉空間に液体(水等の非圧縮性流体)が封入され、液室が形成される。液室は仕切部材82により、防振基体60が室壁の一部を構成する受圧室84と、ダイヤフラム80が室壁の一部を構成する平衡室85とに区画される。仕切部材82は、外周がシール層62aに密着して液室を受圧室84及び平衡室85に区画し、外周に形成された溝83とシール層62aとの間に受圧室84と平衡室85とを互いに連通するオリフィス86を形成する。
【0039】
仕切部材82及びダイヤフラム80は、仕切部材82、ダイヤフラム80の順に開口部42から第2取付具40へ挿入された後、第2取付具40を縮径加工し、第2取付具40の端部43を内側へ折り曲げて固定金具81に密着させることにより、第2取付具40の内側に固定される。
【0040】
防振基体60が接合された第1取付具20の先端部24は、第1方向(
図1矢印X方向)へ先端部24を投影した第1の投影面の面積より、第2方向(
図1矢印Y方向)へ先端部24を投影した第2の投影面の面積が大きい。よって、第1方向のばねを第2方向のばねより軟らかくできる。防振装置10の第1方向を車両の左右に一致させ、防振装置10の第2方向を車両の前後に一致させることにより、車両前後方向の振動絶縁効果を発揮し、加減速等に起因する振動を軽減できる。一方、車両左右方向では振動減衰効果を発揮し、乗り心地を良化できる。
【0041】
第1取付具20の先端部24の2方向の投影面の面積を異ならせて2方向のばねを異ならせるので、第1方向(X方向)及び第2方向(Y方向)における脚部63の自由長に影響を与え難くすることができる。脚部63の自由長が短くなることを防止できるので、第1取付具20と第2取付具40との間に大変位が入力された場合にも、脚部63の座屈を防ぐことができる。また、防振基体60の外形を変更しなくて済むので、防振基体60を加硫成形する成形型を変更する必要がない。或いは、成形型の変更を最小限に抑えることができる。その結果、既存設備を有効活用できる。
【0042】
防振基体60は、面取部22を取り囲む部分(連絡部65の一部)の外径より、先端部24を取り囲む部分(脚部63の一部)の外径が大きいので、荷重が入力されたときには、連絡部65と脚部63との境界B(表面および内部)に大きな歪が発生する。この歪を小さくするため、第1取付具20に基部23が形成されている。
【0043】
基部23は、第1方向(
図1矢印X方向)へ基部23を投影した第1の投影面の面積と、第2方向(
図1矢印Y方向)へ基部23を投影した第2の投影面の面積とが、実質的に同じ大きさである。基部23を取り囲む連絡部65は脚部63に比べて体積が小さく薄いので、基部23が無い場合に比べて、連絡部65に基部23の影響を与えて連絡部65を硬くできる。連絡部65の硬さが増すことにより、連絡部65と脚部63との境界Bに生じる歪を抑制できる。その結果、防振基体60の耐久性を向上できる。
【0044】
また、軸線Oを含む断面において、第1取付具20は、基部23に連接される先端部24の外周面24a,24cが軸線Oに対して傾斜している。そのため、接合部21を周方向に取り囲むゴム弾性体の厚さを、軸線O方向に沿ってフランジ部25から離れるにつれて徐々に大きくできる。フランジ部25から離れるにつれて基部23の影響を脚部63が受け難くできるので、脚部63は、連絡部65と脚部63との境界Bに生じる歪を緩衝する。その結果、連絡部65と脚部63との境界Bに生じる歪を小さくできるので、防振基体60の耐久性を向上できる。
【0045】
第1取付具20は、フランジ部25と接合部21とが連絡する隅を取った面取部22が形成されているので、連絡部65のうち面取部22を覆う部分に荷重が集中しないようにできる。その結果、連絡部65のうち面取部22を覆う部分に亀裂が生じないようにできる。
【0046】
第1取付具20は、フランジ部25を覆うゴム弾性体からなるストッパ部66を備えている。第2取付具40に固定される規制部材50(第2規制部53)は、ストッパ部66(頂部68)と軸線O方向に対面して第1取付具20の相対変位を規制するので、防振基体60の軸線O方向の引張荷重を制限できる。その結果、防振基体60の耐久性を向上できる。
【0047】
また、第2取付具40に固定される規制部材50(第1規制部52)は、軸線Oと直交する方向にストッパ部66(外側部67)と対面して第1取付具20の相対変位を規制するので、防振基体60の軸線Oと直交する方向の引張荷重を制限できる。その結果、防振基体60の耐久性を向上できる。
【0048】
防振装置10において、第1方向(
図1矢印X方向)のばね定数は第2方向(
図1矢印Y方向)のばね定数よりも小さいので、フランジ部25に設けられた一対の壁部28は第1方向に配置される。一対の壁部28を第1方向に配置することにより、壁部28に設けられた外側部67(ストッパ部66)が第1規制部52(規制部材50)に当接すると、防振基体60の第1方向の変位が規制される。第2方向に比べてばねの軟らかい第1方向における防振基体60の変位を規制して荷重を制限できるので、防振基体60の耐久性を向上できる。
【0049】
なお、防振装置10の要求特性に応じて、フランジ部25に設けられた一対の壁部28を第2方向に配置することは当然可能である。一対の壁部28を第2方向に配置することにより、壁部28に設けられた外側部67(ストッパ部66)が第1規制部52(規制部材50)に当接すると、防振基体60の第2方向の変位が規制される。この場合は、第1方向に比べてばねの硬い第2方向における防振基体60の変位を規制して荷重を制限できる。
【0050】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、例えば、第1取付具20、第2取付具40及び防振基体60の形状、第2取付具4に対する第1取付具20の位置など、要求特性に応じて適宜設定することが可能である。
【0051】
上記実施の形態では、防振基体60とダイヤフラム80との間に液体を封入する液封入式の防振装置10の場合を説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。ダイヤフラム80や仕切部材82等を省略して、防振基体60(ゴム弾性体の特性)だけを利用する非液封入式の防振装置に適用することは当然可能である。非液封入式の防振装置であっても、第1取付具20の形状によって、軸線O方向と直交する2方向のばね定数を異ならせることができるからである。
【0052】
上記実施の形態では、第2取付具40の両端に開口部41,42が形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ダイヤフラム80や仕切部材82等を省略した非液封入式の防振装置の場合には、一方の開口部42を省略した有底筒状の第2取付具40にすることができる。
【0053】
上記実施の形態では、第1取付具20の面取部22に丸みを設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。隅を斜面にする面取りを面取部22に設けることは当然可能である。面取りを面取部22に施した場合も、連絡部65のうち面取部22を覆う部分に荷重が集中しないようにできる。
【0054】
上記実施の形態では、軸方向視において略円形状に形成される第2取付具40及び防振基体60を備える防振装置10について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2取付具40及び防振基体60の形状(外形)を、軸方向視において長円状または楕円状に形成することは当然可能である。これにより、防振装置の設置スペースを有効利用することができ、自動車等への搭載性を向上できる。なお、長円状とは、小判型または競技トラック状、即ち、互いに等しい大きさの2つの半円、及び、これらを滑らかに結ぶ2本の直線により作られる形状である。
【0055】
上記実施の形態では、接合部21(第1取付具20)の投影面の面積の小さい第1方向を車両左右方向に配置し、接合部21の投影面の面積の大きい第2方向を車両前後方向に配置する場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、要求される性能に応じて、接合部21の投影面の面積の小さい第1方向を車両前後方向に配置し、接合部21の投影面の面積の大きい第2方向を車両左右方向に配置することは当然可能である。このように防振装置10を配置することにより、車両前後方向のばね定数を車両左右方向のばね定数より小さくできる。
【0056】
上記各実施の形態では、振動源となるエンジンを第1取付具20に取り付け、支持側の車体を第2取付具40に取り付ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。ブラケット(図示せず)を適宜用いて、支持側(車体)に第1取付具20を取り付け、振動源(エンジン)に第2取付具40を取り付けることは当然可能である。
【0057】
上記各実施の形態では、防振装置10を、自動車のエンジンを弾性支持するエンジンマウントとして用いる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。自動車用の防振装置に限定されるものではなく、例えば列車や自動二輪車、自転車等に用いられる防振装置に適用することは当然可能である。また、エンジンマウントのみならず、ボデーマウント、デフマウント等、種々の防振装置に適用することは当然可能である。