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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-101797(P2018-101797A)
(43)【公開日】2018年6月28日
(54)【発明の名称】チップ電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20180601BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20180601BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20180601BHJP
【FI】
   H01F17/04 Z
   H01F17/00 B
   H01F17/00 D
   H01F17/04 A
   H01F17/04 F
   H01F41/04 B
   H01F41/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-22181(P2018-22181)
(22)【出願日】2018年2月9日
(62)【分割の表示】特願2014-50380(P2014-50380)の分割
【原出願日】2014年3月13日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0001659
(32)【優先日】2014年1月7日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ミン スン
【テーマコード(参考)】
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E062DD01
5E062FF01
5E062FF02
5E062FF03
5E062FG11
5E070AA01
5E070AB02
5E070BA12
5E070BB03
5E070CB12
5E070CB17
5E070DA13
(57)【要約】
【課題】本発明は、チップ電子部品及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明は、内部コイル部を支持する力を増加させることにより、磁性体層を積層し圧着する過程での内部コイル部の変形を防止し、内部コイル部の変形による露出不良を改善することができるチップ電子部品及びその製造方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板を含む磁性体本体と、
前記絶縁基板の少なくとも一面に形成される内部コイル部と、
前記磁性体本体の端面に形成され、前記内部コイル部と接続する外部電極と、
を含み、
前記絶縁基板は前記内部コイル部が形成されていないブリッジパターン部を含む、チップ電子部品。
【請求項2】
前記ブリッジパターン部は前記磁性体本体の対向する両端面に露出する、請求項1に記載のチップ電子部品。
【請求項3】
前記ブリッジパターン部は前記内部コイル部の引出部が露出する前記磁性体本体の両端面と直交する方向の対向する両端面に露出する、請求項1又は2に記載のチップ電子部品。
【請求項4】
前記ブリッジパターン部は前記絶縁基板上に形成された内部コイル部の変形を防止する、請求項1から3の何れか1項に記載のチップ電子部品。
【請求項5】
前記絶縁基板の厚さをt、前記ブリッジパターン部が露出する磁性体本体の一端面の長さをlとしたとき、t×lの断面積に対する前記ブリッジパターン部の断面積の比は0.02〜0.88である、請求項1から4の何れか1項に記載のチップ電子部品。
【請求項6】
前記絶縁基板の中央部は貫通ホールを形成し、前記貫通ホールは磁性体で充填されてコア部を形成する、請求項1から5の何れか1項に記載のチップ電子部品。
【請求項7】
前記絶縁基板はポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板及び金属系軟磁性基板からなる群から選択されたいずれか一つ以上である、請求項1から6の何れか1項に記載のチップ電子部品。
【請求項8】
中央部に貫通ホールが形成された絶縁基板を含む磁性体本体と、
前記絶縁基板の両面に形成され、前記磁性体本体の対向する両端面に第1の引出部及び第2の引出部が露出する内部コイル部と、
前記磁性体本体の両端面に形成され、前記内部コイル部の第1の引出部と接続する第1の外部電極、及び第2の引出部と接続する第2の外部電極と、
を含み、
前記絶縁基板は前記内部コイル部の第1の引出部及び第2の引出部が露出する磁性体本体の両端面と直交する方向の対向する両端面に露出して前記内部コイル部の変形を防止するブリッジパターン部を含む、チップ電子部品。
【請求項9】
前記絶縁基板の厚さをt、前記ブリッジパターン部が露出する磁性体本体の一端面の長さをlとしたとき、t×lの断面積に対する前記ブリッジパターン部の断面積の比は0.02〜0.88である、請求項8に記載のチップ電子部品。
【請求項10】
前記貫通ホールは磁性体で充填されてコア部を形成する、請求項8又は9に記載のチップ電子部品。
【請求項11】
前記絶縁基板はポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板及び金属系軟磁性基板からなる群から選択されたいずれか一つ以上である、請求項8から10の何れか1項に記載のチップ電子部品。
【請求項12】
絶縁基板の少なくとも一面に内部コイル部を形成する段階と、
前記絶縁基板から前記内部コイル部が形成されていない部分を除去する段階と、
前記内部コイル部が形成された絶縁基板の上部及び下部に磁性体層を積層して磁性体本体を形成する段階と、
前記磁性体本体の端面に前記内部コイル部と接続されるように外部電極を形成する段階と、
を含み、
前記内部コイル部が形成されていない部分の絶縁基板を除去する段階で前記内部コイル部が形成されていない部分の一部を除いて絶縁基板を除去してブリッジパターン部を形成する、チップ電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記ブリッジパターン部は前記磁性体本体の対向する両端面に露出するように形成される、請求項12に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記ブリッジパターン部は前記内部コイル部の引出部が露出する前記磁性体本体の両端面と直交する方向の対向する両端面に露出するように形成される、請求項12又は13に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記ブリッジパターン部は前記磁性体層を積層して磁性体本体を形成するときに前記絶縁基板上に形成された内部コイル部の変形を防止する、請求項12から14の何れか1項に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記絶縁基板の厚さをt、前記ブリッジパターン部が露出する磁性体本体の一端面の長さをlとしたとき、t×lの断面積に対する前記ブリッジパターン部の断面積の比は0.02〜0.88である、請求項12から15の何れか1項に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記絶縁基板の中央部は貫通ホールを形成し、前記磁性体層を積層する段階で前記貫通ホールに磁性体が充填されてコア部を形成する、請求項12から16の何れか1項に記載のチップ電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ電子部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ電子部品の一つであるインダクタ(inductor)は、抵抗、キャパシタと共に電子回路をなしてノイズ(Noise)を除去する代表的な受動素子であり、電磁気的特性を用いてキャパシタと組み合わせて特定周波数帯域の信号を増幅させる共振回路、フィルター(Filter)回路等の構成に用いられる。
【0003】
最近では、各種の通信デバイス又はディスプレーデバイス等のITデバイスの小型化及び薄膜化が加速化しており、このようなITデバイスに用いられるインダクタ、キャパシタ、トランジスタ等の各種の素子も小型化及び薄型化するための研究が行われている。
【0004】
また、電子機器の小型化及び高性能化に伴い、消費電力が増加している。このような消費電力の増加に伴い、電子機器の電源回路に用いられるPMIC(Power Management Integrated Circuit)又はDC‐DCコンバーター(DC‐DC Converter)のスイッチング周波数(Switching Frequency)が高周波化され、出力電流が増加している。よって、PMIC又はDC‐DCコンバーターの出力電流の安定化に用いられるパワーインダクタ(Power Inductor)の使用が増加している。
【0005】
パワーインダクタの開発は小型化、高電流化及び低直流抵抗を目標としているが、従来の積層型パワーインダクタとしてはこれを具現するのに限界があるため、薄膜の絶縁基板の上下面にメッキで形成されるコイルパターンの上に磁性粉末を樹脂と混合して形成させた薄膜型インダクタの開発が行われている。
【0006】
薄膜型インダクタの場合、メッキでコイルパターンを形成した後、インダクタンスを最大限確保するためにコイルパターンが形成された部位を除いた領域の絶縁基板を除去する。しかしながら、コイルパターンが形成された部位を除いた全ての領域が除去された絶縁基板はコイルを支持する力が足りないため、磁性体層を積層して圧着する過程でコイルの変形が発生し、コイルの変形による露出不良が発生するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本特開2006−278479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、内部コイル部を支持する力を増加させることにより、磁性体層を積層し圧着する過程での内部コイル部の変形を防止し、内部コイル部の変形による露出不良を改善することができるチップ電子部品及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、絶縁基板を含む磁性体本体と、上記絶縁基板の少なくとも一面に形成される内部コイル部と、上記磁性体本体の端面に形成され、上記内部コイル部と接続する外部電極と、を含み、上記絶縁基板は上記内部コイル部が形成されていないブリッジパターン部を含むチップ電子部品が提供される。
【0010】
上記ブリッジパターン部は上記磁性体本体の対向する両端面に露出することができる。
【0011】
上記ブリッジパターン部は上記内部コイル部の引出部が露出する上記磁性体本体の両端面と直交する方向の対向する両端面に露出することができる。
【0012】
上記ブリッジパターン部は上記絶縁基板上に形成された内部コイル部の変形を防止することができる。
【0013】
上記絶縁基板の厚さをt、上記ブリッジパターン部が露出する磁性体本体の一端面の長さをlとしたとき、t×lの断面積に対する上記ブリッジパターン部の断面積の比は0.02〜0.88であれば良い。
【0014】
上記絶縁基板の中央部は貫通ホールを形成し、上記貫通ホールは磁性体で充填されてコア部を形成することができる。
【0015】
上記絶縁基板はポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板及び金属系軟磁性基板からなる群から選択されたいずれか一つ以上であれば良い。
【0016】
本発明の他の実施形態によれば、中央部に貫通ホールが形成された絶縁基板を含む磁性体本体と、上記絶縁基板の両面に形成され、上記磁性体本体の対向する両端面に第1の引出部及び第2の引出部が露出する内部コイル部と、上記磁性体本体の両端面に形成され、上記内部コイル部の第1の引出部及び第2の引出部とそれぞれ接続する第1の外部電極及び第2の外部電極と、を含み、上記絶縁基板は上記内部コイル部の第1の引出部及び第2の引出部が露出する磁性体本体の両端面と直交する方向の対向する両端面に露出して上記内部コイル部の変形を防止するブリッジパターン部を含むチップ電子部品が提供される。
【0017】
上記絶縁基板の厚さをt、上記ブリッジパターン部が露出する磁性体本体の一端面の長さをlとしたとき、t×lの断面積に対する上記ブリッジパターン部の断面積の比は0.02〜0.88であれば良い。
【0018】
上記貫通ホールは磁性体で充填されてコア部を形成することができる。
【0019】
上記絶縁基板はポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板及び金属系軟磁性基板からなる群から選択されたいずれか一つ以上であれば良い。
【0020】
本発明の他の実施形態によれば、絶縁基板の少なくとも一面に内部コイル部を形成する段階と、上記絶縁基板から上記内部コイル部が形成されていない部分を除去する段階と、上記内部コイル部が形成された絶縁基板の上部及び下部に磁性体層を積層して磁性体本体を形成する段階と、上記磁性体本体の端面に上記内部コイル部と接続されるように外部電極を形成する段階と、を含み、上記内部コイル部が形成されていない部分の絶縁基板を除去する段階で上記内部コイル部が形成されていない部分の一部を除いて絶縁基板を除去してブリッジパターン部を形成するチップ電子部品の製造方法が提供される。
【0021】
上記ブリッジパターン部は上記磁性体本体の対向する両端面に露出するように形成されることができる。
【0022】
上記ブリッジパターン部は上記内部コイル部の引出部が露出する上記磁性体本体の両端面と直交する方向の対向する両端面に露出するように形成されることができる。
【0023】
上記ブリッジパターン部は上記磁性体層を積層して磁性体本体を形成するときに上記絶縁基板上に形成された内部コイル部の変形を防止することができる。
【0024】
上記絶縁基板の厚さをt、上記ブリッジパターン部が露出する磁性体本体の一端面の長さをlとしたとき、t×lの断面積に対する上記ブリッジパターン部の断面積の比は0.02〜0.88であれば良い。
【0025】
上記絶縁基板の中央部は貫通ホールを形成し、上記磁性体層を積層する段階で上記貫通ホールに磁性体が充填されてコア部を形成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、内部コイル部を支持する力を増加させることにより、磁性体層を積層し圧着する過程での内部コイル部の変形を防止し、内部コイル部の変形による露出不良を改善することができる。
【0027】
また、コイルの周辺に流れる磁束を遮断することにより、コイルの周辺が磁化されることを防止して電流の印加によるインダクタンス(L)値の変化特性を改善し且つ充填される磁性体の体積を十分に確保して高い最大インダクタンス値を具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の内部コイル部を示す概略斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の概略平面図である。
図3】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の概略平面図である。
図4】本発明の一実施形態によるチップ電子部品のブリッジパターン部の断面積を示すための概略斜視図である。
図5】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造方法を示す工程図である。
図6】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造方法を順に示す図である。
図7】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造方法を順に示す図である。
図8】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造方法を順に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0030】
[チップ電子部品]
以下では、本発明の一実施形態によるチップ電子部品を説明するにあたり、特に、薄膜型インダクタを例に挙げて説明するが、これに制限されない。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態によるチップ電子部品の内部コイル部を示す概略斜視図である。
【0032】
図1を参照すると、チップ電子部品の一例として、電源供給回路の電源ラインに用いられる薄膜型チップインダクタ100が示されている。上記チップ電子部品は、チップインダクタ以外にもチップビーズ(chip beads)、チップフィルター(chip filter)等に適宜応用されることができる。
【0033】
上記薄膜型インダクタ100は、磁性体本体50と、絶縁基板20と、内部コイル部40と、外部電極81、82と、を含む。
【0034】
磁性体本体50は、薄膜型インダクタ100の外観をなし、磁気特性を示す材料であれば特に制限されず、例えば、フェライト又は金属系軟磁性材料が充填されて形成されることができる。
【0035】
上記フェライトとしては、Mn‐Zn系フェライト、Ni‐Zn系フェライト、Ni‐Zn‐Cu系フェライト、Mn‐Mg系フェライト、Ba系フェライト又はLi系フェライト等の公知のフェライトを含むことができる。
【0036】
上記金属系軟磁性材料は、Fe、Si、Cr、Al及びNiからなる群から選択されたいずれか一つ以上を含む合金であれば良く、例えば、Fe‐Si‐B‐Cr系非晶質金属粒子を含むことができるが、これに制限されない。
【0037】
上記金属系軟磁性材料は、粒子直径が0.1μm〜30μmであり、エポキシ(epoxy)樹脂又はポリイミド(polyimide)等の高分子上に分散された形で含まれることができる。
【0038】
磁性体本体50は、六面体の形状を有することができる。なお、本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、図1に表示されたL、W及びTはそれぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。上記磁性体本体50は、長さ方向の長さが幅方向の長さより大きい直六面体の形状を有することができる。
【0039】
上記磁性体本体50の内部に形成される絶縁基板20は、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板又は金属系軟磁性基板等であれば良い。
【0040】
上記絶縁基板20の一面にはコイル状のパターンを有する内部コイル部40が形成され、上記絶縁基板20の反対面にもコイル状のパターンを有する内部コイル部40が形成されることができる。
【0041】
上記内部コイル部40は、コイルパターンがスパイラル(spiral)状に形成されることができる。上記絶縁基板20の一面と反対面に形成される内部コイル部40は、上記絶縁基板20に形成されるビア電極45を介して電気的に接続されることができる。
【0042】
上記内部コイル部40は、磁性体本体50の対向する両端面にそれぞれ露出する第1の引出部41と、第2の引出部42と、を含むことができる。
【0043】
上記絶縁基板20の一面に形成された内部コイル部40は磁性体本体50の一端面に露出する第1の引出部41を含み、上記絶縁基板20の反対面に形成された内部コイル部40は第1の引出部41が露出する磁性体本体50の一端面と対向する他端面に露出する第2の引出部42を含むことができる。
【0044】
上記内部コイル部40及びビア電極45は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成され、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)又はこれらの合金等で形成されることができる。
【0045】
上記内部コイル部40が形成されていない絶縁基板20の中央部には貫通ホールが形成され、上記貫通ホールはフェライト又は金属系軟磁性材料等の磁性体で充填されてコア部55を形成することができる。磁性体で充填されるコア部55を形成することにより、インダクタンス(L)を向上させることができる。
【0046】
上記絶縁基板20は、内部コイル部40が形成されていない領域のブリッジパターン部25を含むことができる。
【0047】
従来では、内部コイル部40が形成された部位を除いた全ての領域の絶縁基板20を除去したが、本発明の一実施形態では、内部コイル部40が形成されていない一部領域の絶縁基板20を除去せずにブリッジパターン部25を形成することにより、内部コイル部40を支持する力を増加させ、磁性体層の積層及び圧着時の内部コイル部40の変形を防止することができる。例えば、ブリッジパターン部25を形成したことにより内部コイル部40の変形が防止されてコイルの変形による露出不良率が9.2%から0.34%に顕著に減少した。
【0048】
図2及び図3は、本発明の一実施形態によるチップ電子部品の概略平面図である。
【0049】
図2及び図3を参照すると、上記ブリッジパターン部25は、磁性体本体50の対向する両端面に露出することができる。
【0050】
例えば、上記ブリッジパターン部25は、上記内部コイル部40の第1の引出部41及び第2の引出部42が露出する磁性体本体50の両端面と直交する方向の対向する両端面に露出することができる。
【0051】
一方、ブリッジパターン部25は、図2及び図3に示されている別々の実施形態のようにその体積が異なっても良い。
【0052】
但し、ブリッジパターン部25の位置及び形状は、図2及び図3に限定されず、内部コイル部40が形成されていない絶縁基板20の一部領域及び内部コイル部40の変形が防止できる形状であればいずれのものでも良い。
【0053】
図4は、本発明の一実施形態によるチップ電子部品のブリッジパターン部の断面積を示すための概略斜視図である。
【0054】
図4を参照すると、絶縁基板20の厚さをt、ブリッジパターン部25が露出する磁性体本体50の一端面の長さをlとしたとき、t×lの断面積に対する上記ブリッジパターン部25の断面積の比は0.02〜0.88であれば良い。
【0055】
ブリッジパターン部25の断面積比が上記範囲を満たす場合、内部コイル部40の変形を効果的に防止することができる上、非磁性体である絶縁基板20が磁束の流れを遮断して電流の印加によるインダクタンスの変化が減少する効果が向上し、且つ磁性体本体50に充填される磁性体の体積を十分に確保して高いインダクタンス値を具現することができる。
【0056】
ブリッジパターン部25の断面積比が0.02未満の場合は、内部コイル部40を支持する力が足りないため、磁性体層の積層及び圧着過程で内部コイル部40の変形による露出不良が発生し、0.88を超える場合は、磁性体の体積減少によってインダクタンス値が大きく減少する可能性がある。
【0057】
一方、上記内部コイル部40は、絶縁層で被覆されることができる。
【0058】
絶縁層は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(photo resist、PR)の露光及び現像による工程、スプレー(spray)塗布工程等の公知の方法で形成されることができ、真空ディッピング(Dipping)工程、CVD(気相蒸着法)等で形成されることもできる。内部コイル部40は、絶縁層で被覆されるため、磁性体本体50をなす磁性体材料と直接接触しないことができる。
【0059】
上記磁性体本体50の両端面に露出する上記内部コイル部40の第1の引出部41及び第2の引出部42とそれぞれ接続するよう、磁性体本体50の両端面には第1の外部電極及び第2の外部電極81、82が形成されることができる。
【0060】
上記第1の外部電極及び第2の外部電極81、82は、磁性体本体50の長さ方向の両端面に形成され、且つ磁性体本体50の厚さ方向の両端面及び/又は幅方向の両端面に伸びて形成されることができる。
【0061】
上記第1及び第2の外部電極81、82は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成され、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)又は銀(Ag)等の単独又はこれらの合金等で形成されることができる。
【0062】
[チップ電子部品の製造方法]
図5は本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造方法を示す工程図であり、図6図8は本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造方法を順に示す図である。
【0063】
図6を参照すると、まず、絶縁基板20の少なくとも一面に内部コイル部40を形成することができる。
【0064】
上記絶縁基板20としては、特に制限されず、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板又は金属系軟磁性基板等を用い、40〜100μmの厚さを有することができる。
【0065】
上記内部コイル部40の形成方法としては、例えば、電気メッキ法が挙げられるが、これに制限されない。内部コイル部40は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成され、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)又はこれらの合金等で形成されることができる。
【0066】
上記絶縁基板20の一部にホールを形成し伝導性物質を充填してビア電極45を形成し、上記ビア電極45を介して絶縁基板20の一面と反対面に形成される内部コイル部40を電気的に接続させることができる。
【0067】
上記内部コイル部40は、両端面にそれぞれ露出する第1の引出部41と第2の引出部42とを含むことができる。
【0068】
上記絶縁基板20の一面に形成された内部コイル部40は一端面に露出する第1の引出部41を含み、上記絶縁基板20の反対面に形成された内部コイル部40は第1の引出部41が露出する一端面と対向する他端面に露出する第2の引出部42を含むことができる。
【0069】
図7を参照すると、上記絶縁基板20から内部コイル部40が形成されていない部分を除去することができる。
【0070】
絶縁基板20の除去は、ドリル、レーザー、サンドブラスト、パンチング加工等を用いて行われることができる。例えば、絶縁基板20は、COレーザーを用いて除去されることができる。
【0071】
上記内部コイル部40が形成されていない絶縁基板20の中央部を除去して、絶縁基板20を貫通する貫通ホールを形成することができる。
【0072】
この際、上記絶縁基板20から内部コイル部40が形成されていない部分の一部を除いて除去して、ブリッジパターン部25を形成することができる。
【0073】
従来では、内部コイル部40が形成された部位を除いた全ての領域の絶縁基板20を除去したが、本発明の一実施形態では、内部コイル部40が形成されていない一部領域の絶縁基板20を除去せずにブリッジパターン部25を形成することにより、内部コイル部40を支持する力を増加させ、磁性体層の積層及び圧着時の内部コイル部40の変形を防止することができる。
【0074】
上記ブリッジパターン部25は、上記内部コイル部40の第1の引出部41及び第2の引出部42が露出する両端面と直交する方向の対向する両端面に露出することができる。
【0075】
上記絶縁基板20の厚さをt、ブリッジパターン部25が露出する磁性体本体50の一端面の長さをlとしたとき、t×lの断面積に対する上記ブリッジパターン部25の断面積の比は0.02〜0.88であれば良い。
【0076】
ブリッジパターン部25の断面積比が上記範囲を満たす場合、内部コイル部40の変形を効果的に防止することができる上、非磁性体である絶縁基板20が磁束の流れを遮断して電流の印加によるインダクタンスの変化が減少する効果が向上し、且つ磁性体本体50に充填される磁性体の体積を十分に確保して高いインダクタンス値を具現することができる。
【0077】
ブリッジパターン部25の断面積比が0.02未満の場合は、内部コイル部40を支持する力が足りないため、磁性体層の積層及び圧着過程で内部コイル部40の変形による露出不良が発生し、0.88を超える場合は、磁性体の体積減少によってインダクタンス値が大きく減少する可能性がある。
【0078】
上記内部コイル部40の表面には、内部コイル部40を被覆する絶縁層を形成することができる。絶縁層は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(photo resist、PR)の露光及び現像による工程、スプレー(spray)塗布工程、真空ディッピング(Dipping)工程、CVD(気相蒸着法)等の方法で形成されることができるが、これに制限されない。
【0079】
図8を参照すると、内部コイル部40が形成された絶縁基板20の上部及び下部に磁性体層51を積層して磁性体本体50を形成することができる。
【0080】
磁性体層51を絶縁基板20の両面に積層し、ラミネート法や静水圧プレス法により圧着して磁性体本体50を形成することができる。
【0081】
この際、上記絶縁基板20の中央部に形成された貫通ホールが磁性体で充填されてコア部55を形成することができる。
【0082】
次に、上記磁性体本体50の両端面に露出する上記内部コイル部40の第1の引出部41及び第2の引出部42とそれぞれ接続するよう、磁性体本体50の両端面に第1の外部電極及び第2の外部電極81、82を形成することができる。
【0083】
上記第1及び第2の外部電極81、82は、電気伝導性に優れた金属を含むペースト、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)又は銀(Ag)等の単独又はこれらの合金等を含む伝導性ペーストを用いて形成されることができる。
【0084】
第1及び第2の外部電極81、82は、その形成方法に特別な制限はなく、外部電極81、82の形状によってプリンティングのみならずディッピング(dipping)法等を行って形成されることができる。
【0085】
その他、上述した本発明の一実施形態によるチップ電子部品の特徴と同じ部分については、その詳細な説明を省略する。
【0086】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0087】
100 薄膜型インダクタ
45 ビア電極
20 絶縁基板
50 磁性体本体
25 ブリッジパターン部
51 磁性体層
55 コア部
40 内部コイル部
81、82 第1及び第2の外部電極
41 第1の引出部
42 第2の引出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2018年2月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板の少なくとも一面に内部コイル部を形成する段階と、
前記絶縁基板から前記内部コイル部が形成されていない部分を除去する段階と、
前記内部コイル部が形成された絶縁基板の上部及び下部に磁性体層を積層して磁性体本体を形成する段階と、
前記磁性体本体の端面に前記内部コイル部と接続されるように外部電極を形成する段階と、
を含み、
前記内部コイル部が形成されていない部分の絶縁基板を除去する段階で前記内部コイル部が形成されていない部分の一部を除いて絶縁基板を除去してブリッジパターン部を形成する、チップ電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記ブリッジパターン部は前記磁性体本体の対向する両端面に露出するように形成される、請求項に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記ブリッジパターン部は前記内部コイル部の引出部が露出する前記磁性体本体の両端面と直交する方向の対向する両端面に露出するように形成される、請求項1又は2に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記ブリッジパターン部は前記磁性体層を積層して磁性体本体を形成するときに前記絶縁基板上に形成された内部コイル部の変形を防止する、請求項1から3の何れか1項に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記絶縁基板の厚さをt、前記ブリッジパターン部が露出する磁性体本体の一端面の長さをlとしたとき、t×lの断面積に対する前記ブリッジパターン部の断面積の比は0.02〜0.88である、請求項1から4の何れか1項に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記絶縁基板の中央部は貫通ホールを形成し、前記磁性体層を積層する段階で前記貫通ホールに磁性体が充填されてコア部を形成する、請求項1から5の何れか1項に記載のチップ電子部品の製造方法。