に応じてスイッチングトランジスタM1を制御する。保護回路420は、異常状態を検出すると活性化し、フォトカプラ204の発光素子を駆動する。補助電源回路210は、出力キャパシタC1とは別に設けられた電源キャパシタC2を含み、電源電圧V
前記補助電源回路は、前記出力キャパシタから前記電源キャパシタへの充電経路をさらに含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
前記充電経路は、前記DC/DCコンバータの出力ラインから前記電源キャパシタに向かう電流を許容し、逆向きの電流を阻止する整流素子を含むことを特徴とする請求項6に記載のDC/DCコンバータ。
前記充電経路は、アノードが前記DC/DCコンバータの出力ライン側、カソードが前記電源キャパシタ側となる向きで設けられたダイオードを含むことを特徴とする請求項6または7に記載のDC/DCコンバータ。
前記給電経路は、アノードが前記制御出力ピン側、カソードが前記電源ピン側となる向きで設けられたダイオードを含むことを特徴とする請求項9または10に記載のDC/DCコンバータ。
前記DC/DCコンバータの二次側の同期整流トランジスタを駆動する同期整流コントローラは、前記2次側コントローラと同一パッケージに収容されることを特徴とする請求項9から16のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
前記フォトカプラの前記発光素子のカソードと前記保護回路の電源ラインの間に設けられた整流素子をさらに備えることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
前記補助電源回路は、前記出力キャパシタから前記電源キャパシタへの充電経路をさらに含むことを特徴とする請求項18から25のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
前記充電経路は、前記DC/DCコンバータの出力ラインから前記電源キャパシタに向かう電流を許容し、逆向きの電流を阻止する整流素子を含むことを特徴とする請求項26に記載のDC/DCコンバータ。
前記充電経路は、アノードが前記DC/DCコンバータの出力ライン側、カソードが前記電源キャパシタ側となる向きで設けられたダイオードを含むことを特徴とする請求項26または27に記載のDC/DCコンバータ。
前記二次側コントローラへの前記電源電圧の給電が遮断されたときに、前記フォトカプラの前記発光素子のカソードから、前記二次側コントローラに給電するステップをさらに備えることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、
図1(b)の同期整流型コンバータについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
【0010】
フライバックコンバータ200Sには、信頼性を高めるために、過電圧保護(OVP:Over Voltage Protection)回路390などの保護回路が設けられる。たとえばOVP回路390は、フィードバック回路206に内蔵され、過電圧状態において、フォトカプラ204の発光素子に電流I
OVPを供給する。
【0011】
図2は、
図1(b)のフライバックコンバータ200Sの動作波形図である。時刻t
0より前は正常状態であり、出力電圧V
OUTはその目標値V
OUT(REF)に安定化されている。時刻t
0に、何らかの異常が発生し、出力電圧V
OUTが目標値V
OUT(REF)から逸脱し、上昇し始める。
【0012】
時刻t
1に出力電圧V
OUTが過電圧しきい値V
OVPを超えると、OVP回路390は、フォトカプラ204の発光素子に電流I
OVPを供給する状態となり、その状態で固定(ラッチ)される。その結果、フィードバック電流I
FBが増加、フィードバック信号V
FBが低下し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止する。
【0013】
スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止すると、出力キャパシタC1の充電が停止するため、出力電圧V
OUTは時間ともに低下していく。フィードバック回路206は、出力電圧V
OUTを電源電圧V
CCとして受ける。したがってOVP回路390は、出力電圧V
OUTが低下すると、動作不能となり電流I
OVPを維持できなくなる。たとえばフィードバック回路206には、図示しないUVLO(Under Voltage Lock Out)回路が内蔵されており、V
CC<V
UVLOとなると、フィードバック回路206のOVP状態をリセットするように構成されている。
【0014】
出力電圧V
OUTすなわち電源電圧V
CCの低下により、時刻t
2に電流I
OVP(および電流I
ERR)がゼロとなると、フィードバック電流I
FBもゼロとなり、フィードバック信号V
FBが上昇し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが再開する。スイッチングの再開によって出力電圧V
OUTは再び上昇し始める。
【0015】
過電圧の要因が残っていると、出力電圧V
OUTは再び過電圧しきい値V
OVPまで到達する。フライバックコンバータ200Sは、動作、停止を時分割で交互に繰り返すこととなる(間欠モードという)。
【0016】
フライバックコンバータ200Sを構成する回路素子、具体的には同期整流トランジスタM2やスイッチングトランジスタM1の発熱が問題となる場合がある。
図2の間欠モードでは、動作期間に発熱して温度が上昇し、停止期間において温度が緩和される。したがって停止期間が短いと、回路素子の温度がどんどん上昇していく。
【0017】
なお、ここでは過電圧保護を説明したが、その他の保護回路についても同様の問題が生じうる。
【0018】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、発熱を抑制したDC/DCコンバータの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
1. 本発明のある態様は、絶縁同期整流型のDC/DCコンバータに関する。DC/DCコンバータは、一次巻線および二次巻線を有するトランスと、トランスの一次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、トランスの二次巻線に流れる電流によって充電される出力キャパシタと、発光素子および受光素子を含むフォトカプラと、出力キャパシタに生ずる出力電圧に応じた検出電圧が基準電圧に近づくように、フォトカプラの発光素子を駆動するフィードバック回路と、フォトカプラの受光素子と接続され、受光素子の状態にもとづくフィードバック信号に応じてスイッチングトランジスタを制御する一次側コントローラと、異常状態を検出すると活性化し、発光素子を駆動する保護回路と、出力キャパシタとは別に設けられた電源キャパシタを含み、電源キャパシタに生ずる電源電圧を、保護回路およびフォトカプラの発光素子のアノードに供給する補助電源回路と、を備える。
【0020】
この態様によると、出力電圧V
OUTが低下した後も、保護回路の電源電圧が維持されるため、発光素子を駆動した状態を長く維持できる。これにより、間欠モードで動作する際に、熱緩和時間を長くでき、発熱を抑制できる。
【0021】
保護回路は、異常状態を検出すると、リセットされるまで異常検出信号のアサート状態を維持する異常検出回路と、異常検出信号のアサート状態においてオン状態となるトランジスタと、を含み、異常検出回路に電源電圧が供給されてもよい。
【0022】
異常検出信号は、電源電圧が解除しきい値を下回るとネゲートされてもよい。
異常検出信号は、そのアサート後、所定時間経過後にネゲートされてもよい。
【0023】
保護回路は、過電圧保護回路であってもよい。
【0024】
補助電源回路は、出力キャパシタから電源キャパシタへの充電経路をさらに含んでもよい。
【0025】
充電経路は、DC/DCコンバータの出力ラインから電源キャパシタに向かう電流を許容し、逆向きの電流を阻止する整流素子を含んでもよい。
【0026】
充電経路は、アノードがDC/DCコンバータの出力ライン側、カソードが電源キャパシタ側となる向きで設けられたダイオードを含んでもよい。
【0027】
2.1 本発明の別の態様は、絶縁同期整流型のDC/DCコンバータに使用される二次側コントローラに関する。二次側コントローラは、フォトカプラの発光素子と接続されるべき制御出力ピンと、電源電圧を受けるべき電源ピンと、DC/DCコンバータの出力電圧に応じた検出電圧を受けるべき制御入力ピンと、検出電圧と基準電圧の誤差を増幅し、誤差に応じた電流をフォトカプラの発光素子に供給するフィードバック回路と、制御出力ピンから電源ピンへ給電するための給電経路と、を備える。
【0028】
この態様によると、電源ピンにオープン異常が発生したとしても、二次側コントローラの電源ラインには、給電経路を介して制御出力ピンの電圧が供給されるため、二次側コントローラは、これを電源電圧として動作を維持できる。これにより、信頼性を高めることができる。
【0029】
給電経路は、整流素子を含んでもよい。給電経路は、アノードが制御出力ピン側、カソードが電源ピン側となる向きで設けられたダイオードを含んでもよい。
【0030】
二次側コントローラは、異常状態を検出すると発光素子を駆動する保護回路をさらに備えてもよい。保護回路の少なくとも一部に、電源ピンの電源電圧が供給されてもよい。
これにより、電源ピンにオープン異常が発生した場合に、保護回路による保護機能が失われるのを防止できる。
【0031】
保護回路は、過電圧状態を検出すると活性化し、発光素子を駆動するよう構成されてもよい。電源ピンに供給される電源電圧は、DC/DCコンバータの停止状態において、出力電圧よりも遅く低下してもよい。
過電圧状態が発生すると、発光素子が駆動され、一次側のスイッチングが停止し、出力電圧が低下する。出力電圧が低下すると、保護回路による発光素子の駆動が解除される。そうすると、一次側のスイッチングが再開する。過電圧状態が持続すると、DC/DCコンバータは間欠的な動作モードに移行する。
ここで、出力電圧が低下した後も、電源ピンの電源電圧が維持されるため、発光素子を駆動した状態を長く維持できる。つまり、DC/DCコンバータの停止期間を長くできる。これにより、間欠モードで動作する際に、熱緩和時間を長くでき、発熱を抑制できる。
【0032】
保護回路は、過電圧状態を検出すると、異常検出信号をアサートする過電圧検出コンパレータと、異常検出信号をラッチするラッチ回路と、発光素子と接続され、ラッチ回路の出力に応じてオン状態となる保護トランジスタと、を含んでもよい。
【0033】
フィードバック回路は、検出電圧と基準電圧の誤差を増幅するエラーアンプと、制御出力ピンと接続され、エラーアンプの出力信号に応じて駆動されるパストランジスタと、を含んでもよい。
【0034】
DC/DCコンバータの二次側の同期整流トランジスタを駆動する同期整流コントローラと同一パッケージに収容されてもよい。
【0035】
本発明の別の態様は、DC/DCコンバータに関する。DC/DCコンバータは、上述のいずれかの二次側コントローラを備える。
【0036】
2.2 本発明の別の態様もまた、絶縁同期整流型のDC/DCコンバータに関する。このDC/DCコンバータは、一次巻線および二次巻線を有するトランスと、トランスの一次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、トランスの二次巻線に流れる電流によって充電される出力キャパシタと、発光素子および受光素子を含むフォトカプラと、DC/DCコンバータの出力電圧に応じた検出電圧が基準電圧に近づくように、フォトカプラの発光素子を駆動するフィードバック回路と、フォトカプラの受光素子と接続され、受光素子の状態にもとづくフィードバック信号に応じてスイッチングトランジスタを制御する一次側コントローラと、同期整流トランジスタを駆動する同期整流コントローラと、異常状態を検出すると活性化し、発光素子を駆動する保護回路と、出力キャパシタとは別に設けられた電源キャパシタを含み、電源キャパシタに生ずる電源電圧を、保護回路の少なくとも一部の電源ラインに供給する補助電源回路と、フォトカプラの発光素子のカソードと電源ラインの間に設けられた整流素子と、を備える。
【0037】
この態様によると、補助電源回路から電源ラインへの電源経路が遮断されたとしても、電源ラインには、整流素子を介してフォトカプラの発光素子のカソードから電圧が供給されるため、保護回路の動作を維持できる。これにより、信頼性を高めることができる。
【0038】
電源電圧は、DC/DCコンバータの停止状態において、出力電圧よりも遅く低下してもよい。
これにより、間欠動作の停止期間の長さを延ばすことができる。
【0039】
フォトカプラの発光素子のアノードには、補助電源回路からの電源電圧が供給されてもよい。
これにより異常状態における間欠動作時に、停止期間中の出力電圧を0Vもしくはその近傍まで下げることができる。
【0040】
整流素子はダイオードであってもよい。
【0041】
保護回路は、異常状態を検出すると、リセットされるまで異常検出信号のアサートを維持する異常検出回路と、異常検出信号のアサート状態においてオン状態となるトランジスタと、を含んでもよい。異常検出回路に電源電圧が供給されてもよい。
【0042】
異常検出信号は、電源電圧が解除しきい値を下回るとネゲートされてもよい。
【0043】
異常検出信号は、そのアサート後、所定時間経過後にネゲートされてもよい。
【0044】
保護回路は、過電圧保護回路であってもよい。異常検出回路は、ヒステリシスコンパレータを含んでもよい。
【0045】
補助電源回路は、出力キャパシタから電源キャパシタへの充電経路をさらに含んでもよい。充電経路は、DC/DCコンバータの出力ラインから電源キャパシタに向かう電流を許容し、逆向きの電流を阻止する整流素子を含んでもよい。
【0046】
充電経路は、アノードがDC/DCコンバータの出力ライン側、カソードが電源キャパシタ側となる向きで設けられたダイオードを含んでもよい。
【0047】
同期整流コントローラ、フィードバック回路および保護回路は、ひとつのパッケージに収容されていてもよい。
【0048】
フィードバック回路と保護回路は、同一チップに集積化されていてもよい。
「集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0049】
同期整流コントローラ、フィードバック回路および保護回路は、同一チップに集積化されていてもよい。
【0050】
本発明の別の態様は電子機器に関する。電子機器は、負荷と、商用交流電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧して負荷に供給する上述のいずれかのDC/DCコンバータと、を備えてもよい。
【0051】
本発明の別の態様は電源アダプタに関する。電源アダプタは、商用交流電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧して負荷に供給する上述のいずれかのDC/DCコンバータと、を備えてもよい。
【0052】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0053】
さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、すべての欠くべからざる特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0054】
本発明のある態様によれば、DC/DCコンバータの信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0057】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0058】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0059】
本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0060】
図3は、第1の実施の形態に係る絶縁型のDC/DCコンバータ200の回路図である。DC/DCコンバータ200は、フライバックコンバータであり、その入力端子P1に入力電圧V
INを受け、所定の目標電圧に安定化された直流の出力電圧V
OUTを生成し、出力端子P2と接地端子P3の間に接続される負荷(不図示)に供給する。
【0061】
トランスT1は、一次巻線W1、二次巻線W2を有する。一次巻線W1の一端は入力端子P1と接続され、直流の入力電圧V
INを受ける。スイッチングトランジスタM1のドレインは、トランスT1の一次巻線W1の他端と接続される。スイッチングトランジスタM1のソースと接地ラインの間には、電流検出用のセンス抵抗が挿入されてもよい。
【0062】
同期整流トランジスタM2およびトランスT1の二次巻線W2は、出力端子P2と接地端子P3の間に直列に設けられる。出力キャパシタC1は、出力端子P2と接地端子P3の間に接続される。
【0063】
一次側コントローラ202は、フォトカプラ204の受光素子と接続される。一次側コントローラ202のフィードバック(FB)端子には、フォトカプラ204の受光素子に流れるフィードバック電流I
FBに応じたフィードバック信号V
FBが現れる。
【0064】
一次側コントローラ202は、フィードバック信号V
FBに応じたデューティ比(または周波数)を有するパルス信号を生成して出力(OUT)端子から出力し、スイッチングトランジスタM1を駆動する。一次側コントローラ202の構成や制御方式は特に限定されない。たとえば一次側コントローラ202は、電流モードの変調器であってもよい。
【0065】
同期整流コントローラ300は、同期整流トランジスタM2を制御する。たとえば同期整流コントローラ300は、同期整流トランジスタM2のドレインソース間電圧V
DS2にもとづいて、制御パルスを生成し、制御パルスに応じたゲートパルスを同期整流トランジスタM2のゲートに供給する。同期整流コントローラ300の構成や動作も特に限定されず、公知技術を用いればよい。
【0066】
二次側コントローラ400は、制御入力(SH_IN)ピン、制御出力(SH_OUT)ピン、電源(VCC)ピン、接地(GND)ピンを備え、ひとつのパッケージに収容されている。SH_INピンには、出力電圧V
OUTに応じた検出電圧V
OUTSが入力される。たとえば検出電圧V
OUTSは、抵抗R
11,R
12によって出力電圧V
OUTを分圧した電圧である。SH_OUTピンは、フォトカプラ204の発光素子と接続される。GNDピンは接地端子P3(接地ライン)と接続される。
【0067】
DC/DCコンバータ200の2次側には、補助電源回路210が設けられる。補助電源回路210は、出力キャパシタC1とは別に設けられた電源キャパシタC2を含み、電源キャパシタC2に生ずる電源電圧V
CCが、二次側コントローラ400のVCCピンに供給される。補助電源回路210は、補助電源回路210と電源キャパシタC2の間に設けられた充電経路212を含む。充電経路212は、DC/DCコンバータ200の出力ライン208から電源キャパシタC2に向かう電流を許容し、逆向きの電流を阻止する整流素子を含んでもよい。整流素子は、アノードがDC/DCコンバータ200の出力ライン208側、カソードが電源キャパシタC2側となる向きで設けられたダイオードD2を含んでもよい。または整流素子はスイッチ(トランジスタ)であってもよい。
【0068】
DC/DCコンバータ200の動作中、電源キャパシタC2は、出力電圧V
OUTと実質的に同電位に充電され、したがってVCCピンには、出力電圧V
OUTと実質的に同電位の電源電圧V
CCが供給される。
【0069】
またフォトカプラ204の発光素子のアノードは、抵抗R
3を介して電源キャパシタC2と接続されている。つまり発光素子には、補助電源回路210からの電源電圧V
CCが供給されている。
【0070】
DC/DCコンバータ200のスイッチング動作が停止すると、出力キャパシタC1は、負荷電流によって放電され、時間とともに低下する。一方、電源キャパシタC2は、フォトカプラ204の順電流および二次側コントローラ400のVCCピンに流れる電流によって放電される。電源キャパシタC2の容量は、DC/DCコンバータ200の停止状態において、電源電圧V
CCが出力電圧V
OUTよりも遅く低下するように定められる。
【0071】
二次側コントローラ400は、電源ライン402、フィードバック回路410、保護回路420を備え、それらはひとつの半導体基板に集積化されている。電源ライン402は、VCCピンと接続される。フィードバック回路410および保護回路420は、電源ライン402の電源電圧V
CCを受けて動作する。
【0072】
フィードバック回路410はいわゆるシャントレギュレータであり、検出電圧V
OUTSが基準電圧V
REFに近づくように、言い換えれば出力電圧V
OUTがその目標値V
OUT(REF)に近づくように、フォトカプラ204の発光素子を駆動する。具体的にはフィードバック回路410は、検出電圧V
OUTSと基準電圧V
REFの誤差に応じた電流I
PCによりフォトカプラ204の発光素子を駆動する。
【0073】
たとえばフィードバック回路410は、エラーアンプ412およびパストランジスタ(pass transistor)414を含む。エラーアンプ412は、検出電圧V
OUTSと基準電圧V
REFの誤差を増幅する。パストランジスタ414はたとえばPチャンネルMOSFETであり、そのソースがSH_OUTピンと接続され、ゲートがエラーアンプ412の出力と接続される。パストランジスタ414には、エラーアンプ412の出力信号、すなわち検出電圧V
OUTSと基準電圧V
REFの誤差に応じた電流I
PCが流れる。パストランジスタ414はNチャンネルであってもよい。またPNP型あるいはPNP型のバイポーラトランジスタであってもよい。
【0074】
エラーアンプ412の電源は、SH_OUTピンからとってもよい。この場合、保護回路420が電源ライン402から電源供給される。
【0075】
保護回路420は、異常状態を検出すると、フォトカプラ204の発光素子に電流を供給する。異常が発生すると、フォトカプラ204の発光素子に流れる順電流が増加し、フィードバック電流I
FBが増加し、フィードバック電圧V
FBが低下し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止して回路が保護される。
【0076】
特に限定されないが、本実施の形態では異常状態は過電圧状態であり、保護回路420は、過電圧状態を検出すると、フォトカプラ204に電流I
OVPを供給するOVP回路である。
【0077】
保護回路420は、異常検出回路421および保護トランジスタ426を含む。異常検出回路421は、異常状態(ここでは過電圧状態)を検出すると、リセットされるまで異常検出信号S
OVP’のアサート状態を維持する。保護トランジスタ426は、異常検出信号S
OVP’のアサート状態においてオン状態となる。
【0078】
以上がDC/DCコンバータ200の構成である。続いてその動作を説明する。
【0079】
図4は、
図3のDC/DCコンバータ200の動作波形図である。時刻t
0より前は正常状態であり、出力電圧V
OUTはその目標値V
OUT(REF)に安定化されている。時刻t
0に、何らかの異常が発生し、出力電圧V
OUTが目標値V
OUT(REF)から逸脱し、上昇し始める。出力電圧V
OUTの上昇とともに、電源電圧V
CCが上昇する。
【0080】
そして時刻t
1に出力電圧V
OUTが過電圧しきい値V
OVPを超えると、保護回路420は、フォトカプラ204の発光素子に電流I
OVPを供給する状態となり、その状態で固定(ラッチ)される。その結果、フィードバック電流I
FBが増加、フィードバック信号V
FBが低下し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止する。
【0081】
スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止すると、出力キャパシタC1の充電が停止するため、出力電圧V
OUTは時間ともに低下していき、二次側コントローラ400に供給される電源電圧V
CCも低下していく。時刻t
2に出力電圧V
OUTが0Vまで低下する。一方、電源電圧V
CCは出力電圧V
OUTより遅く低下する。
【0082】
時刻t
3に二次側コントローラ400のVCCピンの電圧V
CC’が解除しきい値V
UVLOまで低下すると保護回路420の保護状態が解除され、I
OVPがゼロとなる。その結果、フィードバック電流I
FBもゼロとなり、フィードバック信号V
FBが上昇し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが再開する。スイッチングの再開によって出力電圧V
OUTは再び上昇し、電源電圧V
CCも上昇する。
【0083】
過電圧の要因が残っていると、出力電圧V
OUTは再び目標電圧V
OUT(REF)を超えて上昇する。そして、出力電圧V
OUTが過電圧しきい値V
OVPを超えると、再び保護状態となる。DC/DCコンバータ200は、過電圧の要因が継続する間、動作、停止を時分割で交互に繰り返す。
【0084】
以上がDC/DCコンバータ200の動作である。このDC/DCコンバータ200によれば、間欠モードにおける停止期間を、
図1(b)のフライバックコンバータ200Sに比べて長くすることができる。上述したように、回路素子は動作期間に発熱して温度が上昇し、停止期間において温度が緩和されるところ、停止期間を長くすることにより回路素子の温度上昇を抑制できる。
【0085】
DC/DCコンバータ200の別の利点は、比較技術との対比によって明確となる。比較技術では、二次側コントローラ400のVCCピンは、出力ライン208と接続され、出力電圧V
OUTが電源電圧として使用される。
【0086】
比較技術の動作を説明する。
図5は、比較技術に係るDC/DCコンバータの動作波形図である。
【0087】
時刻t
0に、何らかの異常が発生し、出力電圧V
OUTが目標値V
OUT(REF)から逸脱し、上昇し始める。出力電圧V
OUTの上昇とともに、電源電圧V
CCが上昇する。
【0088】
そして時刻t
1に出力電圧V
OUTが過電圧しきい値V
OVPを超えると、保護回路420は、フォトカプラ204の発光素子に電流I
OVPを供給する状態となり、その状態で固定(ラッチ)される。その結果、フィードバック電流I
FBが増加、フィードバック信号V
FBが低下し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止する。
【0089】
スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止すると、出力キャパシタC1の充電が停止するため、出力電圧V
OUTは時間ともに低下していき、二次側コントローラ400に供給される電源電圧V
CCも低下していく。電源電圧V
CCは出力電圧V
OUTより遅く低下する。
【0090】
時刻t
2に出力電圧V
OUT、すなわちフォトカプラ204の発光素子のカソード電圧が、とある電圧レベルまで低下すると、保護電流I
OVPが減少し、発光素子の輝度が低下する。これによりフィードバック電流I
FBが減少し、フィードバック電圧V
FBが上昇し、スイッチングトランジスタM1がスイッチングする。スイッチングトランジスタM1のスイッチングにより、出力電圧V
OUTがわずかに上昇すると、保護電流I
OVPがわずかに増加し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止し、あるいはそのスイッチングのデューティ比が小さくなる。
【0091】
このように比較技術では、過電圧状態の停止区間において、出力電圧V
OUTが完全に0Vまで低下せずに、ある電圧レベルで平衡状態となり、スイッチングトランジスタM1のスイッチングも完全には停止しない。以上が比較技術の動作である。
【0092】
実施の形態に係るDC/DCコンバータ200によれば、出力電圧V
OUTが低下しても、フォトカプラ204の発光素子の発光が維持されるため、
図4に示すように、スイッチングトランジスタM1の停止状態を維持できる。
【0093】
本発明の一側面、
図3のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、回路に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や回路動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や変形例を説明する。
【0094】
(第1構成例)
図6は、DC/DCコンバータの第1構成例(200A)を示す回路図である。
【0095】
保護回路420Aは、過電圧保護(OVP:Over Voltage Protection)回路である。二次側コントローラ400Aの過電圧保護(OVP)ピンには、抵抗R
31を介して電源電圧V
CCが供給される。OVPピンには、外付けの抵抗R
31と内蔵の抵抗R
32によって電源電圧V
CCを分圧した電圧V
CC’が発生する。なお抵抗R
32は外付け部品であってもよい。
【0096】
上述のようにDC/DCコンバータ200Aのスイッチング動作中は、V
CC≒V
OUTであるから、VCCピンの電圧V
CC’は、出力電圧V
OUTに応じた電圧となる。保護回路420Aは、OVPピンの電圧V
CC’が所定の過電圧しきい値V
OVPを超えると、電流I
OVPを発生して、フォトカプラ204を駆動する。
【0097】
保護回路420Aは、OVPピンの電圧V
CC’が、所定の過電圧しきい値V
OVPを超えると、リセットされるまでの間、フォトカプラ204の駆動状態を維持するように構成される。
【0098】
保護回路420Aは、異常検出回路421、保護トランジスタ426を備える。異常検出回路421は、異常状態(ここでは過電圧状態)を検出すると、リセットされるまで異常検出信号S
OVPのアサート状態を維持する。保護トランジスタ426は、異常検出信号S
OVPのアサート状態においてオン状態となる。
【0099】
異常検出回路421は、過電圧検出コンパレータ422およびラッチ回路424を含む。過電圧検出コンパレータ422は、OVPピンの電圧V
CC’を過電圧しきい値V
OVPと比較し、過電圧状態(V
CC’>V
OVP)を検出すると、比較信号S
OVP’をアサート(たとえばハイレベル)する。ラッチ回路424は、比較信号S
OVP’をラッチする。ラッチ回路424はフリップフロップを含んでもよい。保護トランジスタ426はSH_OUTピンを介してフォトカプラ204の発光素子と接続され、ラッチ回路424の出力S
OVPに応じてオン状態となる。
【0100】
二次側コントローラ400Aは、UVLO(Under Voltage Lock Out)回路430を備えてもよい。UVLO回路430は、V
CC’<V
UVLOとなると、解除信号S
RESETをアサート(たとえばローレベル)し、ラッチ回路424をリセットするリセット回路である。UVLO回路430によって、保護回路420AのOVP状態が解除されると、保護トランジスタ426がオフとなり、電流I
OVPが停止する。
【0101】
二次側コントローラ400Aにおいて、フィードバック回路410、保護回路420Aには、電源ライン402を介して電源電圧V
CCが供給される。
【0102】
給電経路404は、SH_OUTピンからVCCピンへと片方向で給電するよう構成される。たとえば給電経路404は整流素子を含んでもよい。整流素子は、アノードがSH_OUTピン側、カソードがVCCピン(電源ライン402)側となる向きで設けられたダイオードを含む。
【0103】
以上がDC/DCコンバータ200Aの構成である。続いてその動作を説明する。
図7は、
図6のDC/DCコンバータ200Aの動作波形図である。
【0104】
時刻t
0より前は正常状態であり、出力電圧V
OUTはその目標値V
OUT(REF)に安定化されている。時刻t
0に、何らかの異常が発生し、出力電圧V
OUTが目標値V
OUT(REF)から逸脱し、上昇し始める。
【0105】
出力電圧V
OUTの上昇とともに、電源電圧V
CCおよびOVPピンの電圧V
CC’が上昇する。そして時刻t
1に電圧V
CC’が過電圧しきい値V
OVPを超えると、保護回路420は、フォトカプラ204の発光素子に電流I
OVPを供給する状態となり、その状態で固定(ラッチ)される。その結果、フィードバック電流I
FBが増加、フィードバック信号V
FBが低下し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止する。
【0106】
スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止すると、出力キャパシタC1の充電が停止するため、出力電圧V
OUTは時間ともに低下していき、二次側コントローラ400Aに供給される電源電圧V
CCも低下していく。時刻t
2に出力電圧V
OUTが0Vまで低下する。一方、電源電圧V
CCは出力電圧V
OUTより遅く低下する。
【0107】
時刻t
3にOVPピンの電圧V
CC’がUVLO電圧V
UVLOまで低下すると保護回路420Aの保護状態が解除され、I
OVPがゼロとなる。その結果、フィードバック電流I
FBもゼロとなり、フィードバック信号V
FBが上昇し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが再開する。スイッチングの再開によって出力電圧V
OUTは再び上昇し、電源電圧V
CCも上昇する。
【0108】
過電圧の要因が残っていると、出力電圧V
OUTは再び目標電圧V
OUT(REF)を超えて上昇する。そして、OVPピンの電圧V
CC’が過電圧しきい値V
OVPを超えると、再び保護状態となる。DC/DCコンバータ200Aは、過電圧の要因が継続する間、動作、停止を時分割で交互に繰り返す。以上がDC/DCコンバータ200Aの動作である。
【0109】
図6のDC/DCコンバータ200Aによれば、停止期間の長さを長くすることにより、同期整流トランジスタM2の異常発熱を防止でき、信頼性を高めることができる。
【0110】
さらにDC/DCコンバータ200Aによれば、VCCピンにオープン異常が発生した場合であっても、電源ライン402には、SH_OUTピンから給電経路404を介して電圧が供給される。これによりフィードバック回路410および保護回路420Aは動作を継続することができ、信頼性を高めることができる。
【0111】
(変形例)
図8(a)、(b)は、
図3の二次側コントローラの変形例(400B,400C)の回路図である。
図8(a)の二次側コントローラ400Bにおいて、保護回路420Bは、オートリセット回路428を備える。オートリセット回路428もまた、電源ライン402の電圧V
CCを受けて動作する。
【0112】
オートリセット回路428は、タイマー回路を含み、保護回路420BがOVP状態となってから所定時間の経過後に、ラッチ回路424をリセットする。この変形例によれば、オートリセット回路428が測定する時間に応じて、停止期間を設定できる。
【0113】
図8(b)の二次側コントローラ400Cでは、保護回路420Cは、ヒステリシスコンパレータ423および保護トランジスタ426を含む。ヒステリシスコンパレータ423は、OVPピンの電圧V
CC’を、V
OVPとV
UVLOの二値で変化するしきい値電圧と比較し、比較結果に応じた異常検出信号S
OVPを生成する。この構成によれば、
図5の動作を実現できる。
【0114】
(第2構成例)
図9は、DC/DCコンバータの第2構成例(200D)を示す回路図である。DC/DCコンバータ200Dにおいて、二次側コントローラ400Dには、フィードバック回路410、保護回路420に加えて、同期整流コントローラ300Dが同一パッケージに収容されている。それらは同一の半導体基板(ダイ、チップ)に集積化されてもよいし、複数のダイに分割して集積化されてもよい。
【0115】
SOURCEピンは、同期整流コントローラ300Dのグランド端子である。GATEピンおよびDRAINピンは、同期整流トランジスタM2のゲートおよびドレインと結線される。同期整流コントローラ300Dにもまた、電源ライン402から電源電圧V
CCが供給される。
図8(a)、(b)の変形例に係る二次側コントローラ400B,400Cに、同期整流コントローラ300Dを内蔵してもよい。
【0116】
以下、第1の実施の形態に関連する変形例について説明する。
【0117】
(第1変形例)
保護回路420は、過電圧保護回路に限定されない。たとえば同期整流トランジスタM2がスイッチングできないスイッチング不能状態を検出し、スイッチング不能状態において活性化状態となり、フォトカプラ204の発光素子を駆動してもよい。たとえば保護回路420は、二次側コントローラ400のGATEピンのオープン異常を検出してもよいし、二次側コントローラ400のDRAINピンのオープン異常を検出してもよい。
【0118】
(第2変形例)
実施の形態では同期整流型のフライバックコンバータを例としたが、ダイオード整流型のフライバックコンバータにも本発明は適用可能である。また本発明は、LLCコンバータにも本発明は適用可能である。
【0119】
(第3変形例)
給電経路404の構成は、
図2に示すようなダイオードには限定されず、SH_OUTピンの電圧の方がVCCピンの電圧より高いときにオン、そうでないときにオフするスイッチで構成してもよい。
【0120】
(第4変形例)
補助電源回路210の構成は、
図3等のそれに限定されない。たとえば、補助電源回路210を、出力電圧V
OUTを入力とする昇圧型のチャージポンプで構成し、その出力電圧をVCCピンに供給してもよい。
【0121】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態で解決しようとする課題を説明する。本発明者らは、
図1(b)のDC/DCコンバータ200Sについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。フィードバック回路206の電源(VCC)ピンには、出力電圧V
OUT(またはそれを起源とする電源電圧V
CC)が供給され、フィードバック回路206の内部回路は、この出力電圧V
OUTを電源電圧として動作する。
【0122】
VCCピンが基板から外れたり、基板上の配線が断線したりすると(これらをオープン異常という)、出力電圧V
OUTがVCCピンに供給されなくなり、フィードバック回路206が動作不能となり、ひいては出力電圧V
OUTが制御不能となる。
【0123】
同様の問題は、同期整流トランジスタM2および同期整流コントローラ300に代えて、整流ダイオードを備えるダイオード整流型のフライバックコンバータや、LLCコンバータにおいても生じうる。以下で説明する第2の実施の形態に係るDC/DCコンバータ200によれば、この問題が解決される。
【0124】
図10は、第2の実施の形態に係る絶縁型のDC/DCコンバータ200の回路図である。DC/DCコンバータ200は、フライバックコンバータであり、その入力端子P1に入力電圧V
INを受け、所定の目標電圧に安定化された直流の出力電圧V
OUTを生成し、出力端子P2と接地端子P3の間に接続される負荷(不図示)に供給する。
【0125】
トランスT1は、一次巻線W1、二次巻線W2を有する。一次巻線W1の一端は入力端子P1と接続され、直流の入力電圧V
INを受ける。スイッチングトランジスタM1のドレインは、トランスT1の一次巻線W1の他端と接続される。スイッチングトランジスタM1のソースと接地ラインの間には、電流検出用のセンス抵抗が挿入されてもよい。
【0126】
同期整流トランジスタM2およびトランスT1の二次巻線W2は、出力端子P2と接地端子P3の間に直列に設けられる。出力キャパシタC1は、出力端子P2と接地端子P3の間に接続される。
【0127】
フォトカプラ204は、発光素子および受光素子を含む。発光素子は、抵抗R
21,R
22によってバイアスされている。
【0128】
一次側コントローラ202は、フォトカプラ204の受光素子と接続される。一次側コントローラ202のフィードバック(FB)端子には、フォトカプラ204の受光素子に流れるフィードバック電流I
FBに応じたフィードバック信号V
FBが現れる。
【0129】
一次側コントローラ202は、フィードバック信号V
FBに応じたデューティ比(または周波数)を有するパルス信号を生成して出力(OUT)端子から出力し、スイッチングトランジスタM1を駆動する。一次側コントローラ202の構成や制御方式は特に限定されない。たとえば一次側コントローラ202は、電流モードの変調器であってもよい。
【0130】
同期整流コントローラ300は、同期整流トランジスタM2を制御する。たとえば同期整流コントローラ300は、同期整流トランジスタM2のドレインソース間電圧V
DS2にもとづいて、制御パルスを生成し、制御パルスに応じたゲートパルスを同期整流トランジスタM2のゲートに供給する。同期整流コントローラ300の構成や動作も特に限定されず、公知技術を用いればよい。
【0131】
続いて二次側コントローラ400の構成を説明する。
二次側コントローラ400は、制御入力(SH_IN)ピン、制御出力(SH_OUT)ピン、電源(VCC)ピン、接地(GND)ピンを備え、ひとつのパッケージに収容されている。SH_INピンには、出力電圧V
OUTに応じた検出電圧V
OUTSが入力される。たとえば検出電圧V
OUTSは、抵抗R
11,R
12によって出力電圧V
OUTを分圧した電圧である。SH_OUTピンは、フォトカプラ204の発光素子と接続される。GNDピンは接地端子P3(接地ライン)と接続される。VCCピンには、電源電圧V
CCが供給される。
図10では、電源電圧V
CCとして出力電圧V
OUTが利用されるが、後述のようにその限りではない。
【0132】
二次側コントローラ400は、電源ライン402、給電経路404、フィードバック回路410、保護回路420を備え、それらはひとつの半導体基板に集積化されている。電源ライン402は、VCCピンと接続される。フィードバック回路410および保護回路420は、電源ライン402の電源電圧V
CCを受けて動作する。
【0133】
給電経路404は、SH_OUTピンからVCCピンへと片方向で給電するよう構成される。たとえば給電経路404は整流素子を含んでもよい。整流素子は、アノードがSH_OUTピン側、カソードがVCCピン(電源ライン402)側となる向きで設けられたダイオードを含む。
【0134】
フィードバック回路410はいわゆるシャントレギュレータであり、検出電圧V
OUTSが基準電圧V
REFに近づくように、言い換えれば出力電圧V
OUTがその目標値V
OUT(REF)に近づくように、フォトカプラ204の発光素子を駆動する。具体的にはフィードバック回路410は、検出電圧V
OUTSと基準電圧V
REFの誤差に応じた電流I
PCによりフォトカプラ204の発光素子を駆動する。
【0135】
たとえばフィードバック回路410は、エラーアンプ412およびパストランジスタ(pass transistor)414を含む。エラーアンプ412は、検出電圧V
OUTSと基準電圧V
REFの誤差を増幅する。パストランジスタ414はたとえばPチャンネルMOSFETであり、そのソースがSH_OUTピンと接続され、ゲートがエラーアンプ412の出力と接続される。パストランジスタ414には、エラーアンプ412の出力信号、すなわち検出電圧V
OUTSと基準電圧V
REFの誤差に応じた電流I
PCが流れる。パストランジスタ414はNチャンネルであってもよい。またPNP型あるいはPNP型のバイポーラトランジスタであってもよい。
【0136】
エラーアンプ412の電源は、SH_OUTピンからとってもよい。この場合、保護回路420が電源ライン402から電源供給される。
【0137】
保護回路420は、異常状態を検出すると、フォトカプラ204の発光素子に電流を供給する。異常が発生すると、フォトカプラ204の発光素子に流れる順電流が増加し、フィードバック電流I
FBが増加し、フィードバック電圧V
FBが低下し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止して回路が保護される。
【0138】
特に限定されないが、本実施の形態では異常状態は過電圧状態であり、保護回路420は、過電圧状態を検出すると、フォトカプラ204に電流I
OVPを供給するOVP回路である。
【0139】
以上がDC/DCコンバータ200の構成である。続いてその利点を説明する。
VCCピンがプリント基板から外れたり、VCCピンと出力ライン208を結ぶ配線が断線すると、電源ライン402への電源電圧V
CCの供給が遮断される。そうすると、SH_OUTピンから給電経路404を介して、電源ライン402に代替の電源電圧が供給される。これにより、電源ライン402から電力供給を受ける回路ブロック(410,420)の動作を維持できる。
【0140】
このように第2の実施の形態に係る二次側コントローラ400によれば、信頼性を高めることができる。
【0141】
本発明は、
図10のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、回路に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や回路動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や変形例を説明する。
【0142】
(第1構成例)
図11は、DC/DCコンバータ200の第1構成例(200A)を示す回路図である。
図11のDC/DCコンバータ200Aの2次側には、補助電源回路210が設けられる。補助電源回路210は、出力キャパシタC1とは別に設けられた電源キャパシタC2を含み、電源キャパシタC2に生ずる電源電圧V
CCが、二次側コントローラ400AのVCCピンに供給される。補助電源回路210は、補助電源回路210と電源キャパシタC2の間に設けられた充電経路212を含む。充電経路212は、DC/DCコンバータ200Aの出力ライン208から電源キャパシタC2に向かう電流を許容し、逆向きの電流を阻止する整流素子を含んでもよい。整流素子は、アノードがDC/DCコンバータ200Aの出力ライン208側、カソードが電源キャパシタC2側となる向きで設けられたダイオードD2を含んでもよい。または整流素子はスイッチ(トランジスタ)であってもよい。
【0143】
DC/DCコンバータ200の動作中、電源キャパシタC2は、出力電圧V
OUTと実質的に同電位に充電され、したがってVCCピンには、出力電圧V
OUTと実質的に同電位の電源電圧V
CCが供給される。
【0144】
また
図11において、フォトカプラ204の発光素子のアノードは、抵抗を介して電源キャパシタC2と接続されている。つまり発光素子には、補助電源回路210からの電源電圧V
CCが供給されている。
【0145】
DC/DCコンバータ200Aのスイッチング動作が停止すると、出力キャパシタC1は、負荷電流によって放電され、時間とともに低下する。一方、電源キャパシタC2は、フォトカプラ204の順電流および二次側コントローラ400AのVCCピンに流れる電流によって放電される。電源キャパシタC2の容量は、DC/DCコンバータ200Aの停止状態において、電源電圧V
CCが出力電圧V
OUTよりも遅く低下するように定められる。
【0146】
保護回路420Aは、過電圧保護(OVP:Over Voltage Protection)回路である。二次側コントローラ400Aの過電圧保護(OVP)ピンには、抵抗R
31を介して電源電圧V
CCが供給される。OVPピンには、外付けの抵抗R
31と内蔵の抵抗R
32によって電源電圧V
CCを分圧した電圧V
CC’が発生する。なお抵抗R
32は外付け部品であってもよい。
【0147】
上述のようにDC/DCコンバータ200Aのスイッチング動作中は、V
CC≒V
OUTであるから、VCCピンの電圧V
CC’は、出力電圧V
OUTに応じた電圧となる。保護回路420Aは、OVPピンの電圧V
CC’が所定の過電圧しきい値V
OVPを超えると、電流I
OVPを発生して、フォトカプラ204を駆動する。
【0148】
保護回路420Aは、OVPピンの電圧が、所定の過電圧しきい値V
OVPを超えると、リセットされるまでの間、フォトカプラ204の駆動状態を維持するように構成される。
【0149】
保護回路420Aは、異常検出回路421、保護トランジスタ426を備える。異常検出回路421は、異常状態(ここでは過電圧状態)を検出すると、リセットされるまで異常検出信号S
OVPのアサート状態を維持する。保護トランジスタ426は、異常検出信号S
OVPのアサート状態においてオン状態となる。
【0150】
異常検出回路421は、過電圧検出コンパレータ422およびラッチ回路424を含む。過電圧検出コンパレータ422は、OVPピンの電圧V
CC’を過電圧しきい値V
OVPと比較し、過電圧状態(V
CC’>V
OVP)を検出すると、比較信号S
OVP’をアサート(たとえばハイレベル)する。ラッチ回路424は、比較信号S
OVP’をラッチする。ラッチ回路424はフリップフロップを含んでもよい。保護トランジスタ426はSH_OUTピンを介してフォトカプラ204の発光素子と接続され、ラッチ回路424の出力S
OVPに応じてオン状態となる。
【0151】
二次側コントローラ400Aは、UVLO(Under Voltage Lock Out)回路430を備えてもよい。UVLO回路430は、V
CC’<V
UVLOとなると、解除信号S
RESETをアサート(たとえばローレベル)し、ラッチ回路424をリセットするリセット回路である。UVLO回路430によって、保護回路420AのOVP状態が解除されると、保護トランジスタ426がオフとなり、電流I
OVPが停止する。
【0152】
二次側コントローラ400Aにおいて、フィードバック回路410、保護回路420Aには、電源ライン402を介して電源電圧V
CCが供給される。
【0153】
以上がDC/DCコンバータ200Aの構成である。
このDC/DCコンバータ200Aによれば、VCCピンにオープン異常が発生した場合であっても、電源ライン402には、SH_OUTピンから給電経路404を介して電圧が供給される。これによりフィードバック回路410、保護回路420Aは動作を継続することができ、信頼性を高めることができる。
【0154】
DC/DCコンバータ200Aによれば、
図10のDC/DCコンバータ200において生じうる別の問題が解決される。
図10に示すように、VCCピンに出力電圧V
OUTを直接供給した構成(第1比較技術)の過電圧保護について説明する。
【0155】
図12は、第1比較技術に係るDC/DCコンバータ200の動作波形図である。時刻t
0より前は正常状態であり、出力電圧V
OUTはその目標値V
OUT(REF)に安定化されている。時刻t
0に、何らかの異常が発生し、出力電圧V
OUTが目標値V
OUT(REF)から逸脱し、上昇し始める。
【0156】
時刻t
1に出力電圧V
OUTが過電圧しきい値V
OVPを超えると、保護回路420は、フォトカプラ204の発光素子に電流I
OVPを供給する状態となり、リセットされるまでの間、その状態で固定(ラッチ)される。その結果、フィードバック電流I
FBが増加、フィードバック信号V
FBが低下し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止する。
【0157】
スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止すると、出力キャパシタC1の充電が停止するため、出力電圧V
OUTは時間ともに低下していき、二次側コントローラ400に供給される電源電圧V
CCも低下していく。したがって保護回路420は、出力電圧V
OUTが低下すると、動作不能となり電流I
OVPを維持できなくなる。
【0158】
出力電圧V
OUTすなわち電源電圧V
CCの低下により、時刻t
2に電流I
OVP(および電流I
ERR)がゼロとなると、フィードバック電流I
FBもゼロとなり、フィードバック信号V
FBが上昇し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが再開する。スイッチングの再開によって出力電圧V
OUTは再び上昇し始める。
【0159】
過電圧の要因が残っていると、出力電圧V
OUTは再び過電圧しきい値V
OVPまで到達する。DC/DCコンバータ200Sは、動作、停止を時分割で交互に繰り返すこととなる(間欠モードという)。
【0160】
DC/DCコンバータ200を構成する回路素子、具体的には同期整流トランジスタM2やスイッチングトランジスタM1の発熱が問題となる場合がある。
図12の間欠モードでは、動作期間に発熱して温度が上昇し、停止期間において温度が緩和される。したがって停止期間が短いと、回路素子の温度がどんどん上昇していく。以上が第1比較技術において生じうる問題点である。
【0161】
続いて、
図11のDC/DCコンバータ200Aの過電圧保護の動作を説明する。
図13は、
図11のDC/DCコンバータ200Aの動作波形図である。
時刻t
0より前は正常状態であり、出力電圧V
OUTはその目標値V
OUT(REF)に安定化されている。時刻t
0に、何らかの異常が発生し、出力電圧V
OUTが目標値V
OUT(REF)から逸脱し、上昇し始める。
【0162】
出力電圧V
OUTの上昇とともに、電源電圧V
CCおよびOVPピンの電圧V
CC’が上昇する。そして時刻t
1に電圧V
CC’が過電圧しきい値V
OVPを超えると、保護回路420は、フォトカプラ204の発光素子に電流I
OVPを供給する状態となり、その状態で固定(ラッチ)される。その結果、フィードバック電流I
FBが増加、フィードバック信号V
FBが低下し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止する。
【0163】
スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止すると、出力キャパシタC1の充電が停止するため、出力電圧V
OUTは時間ともに低下していき、二次側コントローラ400Aに供給される電源電圧V
CCも低下していく。時刻t
2に出力電圧V
OUTが0Vまで低下する。一方、電源電圧V
CCは出力電圧V
OUTより遅く低下する。
【0164】
時刻t
3にOVPピンの電圧V
CC’がUVLO電圧V
UVLOまで低下すると保護回路420Aの保護状態が解除され、I
OVPがゼロとなる。その結果、フィードバック電流I
FBもゼロとなり、フィードバック信号V
FBが上昇し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが再開する。スイッチングの再開によって出力電圧V
OUTは再び上昇し、電源電圧V
CCも上昇する。
【0165】
過電圧の要因が残っていると、出力電圧V
OUTは再び目標電圧V
OUT(REF)を超えて上昇する。そして、OVPピンの電圧V
CC’が過電圧しきい値V
OVPを超えると、再び保護状態となる。DC/DCコンバータ200Aは、過電圧の要因が継続する間、動作、停止を時分割で交互に繰り返す。
【0166】
以上がDC/DCコンバータ200Aの動作である。このDC/DCコンバータ200Aによれば、間欠モードにおける停止期間を、
図10のDC/DCコンバータ200に比べて長くすることができる。上述したように、回路素子は動作期間に発熱して温度が上昇し、停止期間において温度が緩和されるところ、停止期間を長くすることにより回路素子の温度上昇を抑制できる。
【0167】
停止期間の長さは、出力電圧V
OUTの低下速度とは無関係に、適切な温度範囲に収まるように、電源キャパシタC2の容量値にもとづいて決定することができる。
【0168】
一方、第1比較技術においても、停止期間中のキャパシタC1の放電電流が十分に小さい場合には、
図12の停止期間が長くなる。したがってそのような場合には、二次側コントローラ400の電源ピンに、出力ライン208から供給してもよい。
【0169】
図11のDC/DCコンバータ200Aは、
図10のDC/DCコンバータ200に比べてのさらに以下の利点を説明する。この利点を明確化するために、フォトカプラ204の発光素子を
図10のように、出力ライン208と接続した構成(第2比較技術という)の動作を説明する。
【0170】
この第2比較技術では、異常状態(たとえば過電圧状態)において保護回路420がフォトカプラ204を駆動すると、順電流および出力電流によって出力キャパシタC1が放電されるため、出力電圧V
OUTが低下する。出力電圧V
OUTが低下すると、フォトカプラ204の順電流(I
OVP)が減少して発光が停止し、一次側の動作が再開し、出力電圧V
OUTが上昇し、フォトカプラ204が発光可能となる。この動作を繰り返すことにより、過電圧状態において、出力電圧V
OUTが0Vより高いとある電圧レベルで平衡する。
【0171】
アプリケーションによっては、停止期間において一次側のスイッチングを完全に停止し、出力電圧V
OUTを完全に0Vまで低下させたい場合もある。これが第2比較技術において生じうる問題点である。
【0172】
図11のDC/DCコンバータ200Aによれば、フォトカプラ204の発光素子には、補助電源回路210からの電源電圧V
CCが供給される。電源電圧V
CCは、出力電圧V
OUTより遅く低下するため、フォトカプラ204の順電流は、出力電圧V
OUTが0Vまで低下した後、電源電圧V
CCが十分に小さくなるまで流れ続ける。これにより、停止期間において、スイッチングトランジスタM1のスイッチングを完全に停止し、出力電圧V
OUTをゼロVまで低下させることができる。
【0173】
(変形例)
図14(a)、(b)は、
図11の二次側コントローラ400Aの変形例(400B,400C)の回路図である。
図14(a)の二次側コントローラ400Bにおいて、保護回路420Bは、オートリセット回路428を備える。オートリセット回路428もまた、電源ライン402の電圧V
CCを受けて動作する。
【0174】
オートリセット回路428は、タイマー回路を含み、保護回路420BがOVP状態となってから所定時間の経過後に、ラッチ回路424をリセットする。この変形例によれば、オートリセット回路428が測定する時間に応じて、停止期間を設定できる。
【0175】
図14(b)の二次側コントローラ400Cでは、保護回路420Cは、ヒステリシスコンパレータ423および保護トランジスタ426を含む。ヒステリシスコンパレータ423は、OVPピンの電圧V
CC’を、V
OVPとV
UVLOの二値で変化するしきい値電圧と比較し、比較結果に応じた異常検出信号S
OVPを生成する。この構成によれば、
図13の動作を実現できる。
【0176】
(第2構成例)
図15は、DC/DCコンバータの第2構成例(200D)を示す回路図である。DC/DCコンバータ200Dにおいて、二次側コントローラ400Dには、フィードバック回路410、保護回路420に加えて、同期整流コントローラ300Dが同一パッケージに収容されている。それらは同一の半導体基板(ダイ、チップ)に集積化されてもよいし、複数のダイに分割して集積化されてもよい。
【0177】
SOURCEピンは、同期整流コントローラ300Dのグランド端子である。GATEピンおよびDRAINピンは、同期整流トランジスタM2のゲートおよびドレインと結線される。同期整流コントローラ300Dにもまた、電源ライン402から電源電圧V
CCが供給される。
図14(a)、(b)の変形例に係る二次側コントローラ400B,400Cに、同期整流コントローラ300Dを内蔵してもよい。
【0178】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0179】
(第1変形例)
保護回路420は、過電圧保護回路に限定されない。たとえば同期整流トランジスタM2がスイッチングできないスイッチング不能状態を検出し、スイッチング不能状態において活性化状態となり、フォトカプラ204の発光素子を駆動してもよい。たとえば保護回路420は、二次側コントローラ400のGATEピンのオープン異常を検出してもよいし、二次側コントローラ400のDRAINピンのオープン異常を検出してもよい。
【0180】
(第2変形例)
実施の形態では同期整流型のフライバックコンバータを例としたが、ダイオード整流型のフライバックコンバータにも本発明は適用可能である。また本発明は、LLCコンバータにも本発明は適用可能である。
【0181】
(第3変形例)
給電経路404の構成は、
図10に示すようなダイオードには限定されず、SH_OUTピンの電圧の方がVCCピンの電圧より高いときにオン、そうでないときにオフするスイッチで構成してもよい。
【0182】
(第4変形例)
上述の第2比較技術に関連した説明したように、異常状態において、出力電圧V
OUTがとある電圧レベルで安定化しても問題が生じないアプリケーションにおいては、
図11のフォトカプラ204の発光素子のアノードを、抵抗を介して出力ライン208と接続してもよい。
【0183】
(第5変形例)
二次側コントローラ400のVCCピンに供給される電源電圧は、出力電圧V
OUTや
図11の補助電源回路210が生成した電圧に限定されない。たとえば、補助電源回路210を、出力電圧V
OUTを入力とする昇圧型のチャージポンプで構成し、その出力電圧をVCCピンに供給してもよい。
【0184】
なお、第1の実施の形態の任意の技術的特徴と、第2の実施の形態の任意の技術的特徴は、それらの阻害要因がない範囲において組み合わせることが可能であり、その組み合わせ技術も本発明の範囲に含まれる。
【0185】
(用途)
続いて、第1、第2の実施の形態で説明したDC/DCコンバータ200の用途を説明する。DC/DCコンバータ200は、AC/DCコンバータ100に用いることができる。
図16は、DC/DCコンバータ200を備えるAC/DCコンバータ100の回路図である。
【0186】
AC/DCコンバータ100は、フィルタ102、整流回路104、平滑キャパシタ106およびDC/DCコンバータ200を備える。フィルタ102は、交流電圧V
ACのノイズを除去する。整流回路104は、交流電圧V
ACを全波整流するダイオードブリッジ回路である。平滑キャパシタ106は、全波整流された電圧を平滑化し、直流電圧V
INを生成する。DC/DCコンバータ200は直流電圧V
INを受け、出力電圧V
OUTを生成する。
【0187】
図17は、AC/DCコンバータ100を備えるACアダプタ800を示す図である。ACアダプタ800は、プラグ802、筐体804、コネクタ806を備える。プラグ802は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体804内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、コネクタ806から電子機器810に供給される。電子機器810は、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯オーディオプレイヤなどが例示される。
【0188】
図18(a)、(b)は、AC/DCコンバータ100を備える電子機器900を示す図である。
図18(a)、(b)の電子機器900はディスプレイ装置であるが、電子機器900の種類は特に限定されず、オーディオ機器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など、電源装置を内蔵する機器であればよい。
【0189】
プラグ902は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体904内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、同じ筐体904内に搭載される、マイコン、DSP(Digital Signal Processor)、電源回路、照明機器、アナログ回路、デジタル回路などの負荷に供給される。
【0190】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。