【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。なお、以下において、%表示は特に規定がない限り重量%を示す。
【0045】
実施例1〜39及び比較例1〜6に係る電子レンジ調理用食品において用いた材料は、以下の通りである。
小麦粉強力粉:日清製粉社製
こんにゃく粉:イナゲル(登録商標)マンナンS(伊那食品工業社製)
アルギン酸ナトリウム:イナゲル(登録商標)GS−80(伊那食品工業社製)
リン酸1水素2カルシウム:太平化学産業社製
グルコノデルタラクトン(GDL):理研ビタミン社製
脱アシルジェランガム:ケルコゲル(登録商標)(CPケルコ社製)
カードラン:キリン協和フーズ社製
寒天1:伊那寒天(登録商標)M−13(高融点寒天、伊那食品工業社製)
寒天2:伊那寒天(登録商標)T−1(伊那食品工業社製)
LMペクチン:イナゲル(登録商標)JP−20(伊那食品工業社製)
カラギナン:イナゲル(登録商標)E−150(伊那食品工業社製)
α−サイクロデキストリン:シクロケム社製
ショ糖脂肪酸エステル:S−1170(三菱化学フーズ社製)
乳酸カルシウム:昭和化工社製
【0046】
実験例1<ゲル化物又は乾燥ゲルを添加した麺>
表1に示した配合にて、実施例1〜8及び比較例1〜3に係るうどんの麺を作製した。詳細には、水に食塩を溶解後、小麦粉強力粉を加え混練した後、下記方法により作成したゲル化物1〜7、乾燥ゲル1又は乾燥ゲル2のいずれかを加えさらに混練後、製麺機(さぬき(登録商標)M305型P、さぬき麺機社製)にて生うどんを作製し(5mm×5mm)、沸騰した湯で10分茹でた後に水冷した。この麺180gを上部直径19cm、底部直径9.2cm、高さ7cmの発泡スチロール製の麺用の容器に入れ検体とした。
【0047】
(ゲル化物1)
こんにゃく粉15.0gを水500gに添加して分散し、充分に膨潤させた。これに予め水酸化カルシウム0.30gを水20gに分散させたものを加え充分に撹拌混合した。当該混合物を耐熱性の袋に充填し、90℃の湯の中で2時間浸漬して加熱処理した。その後冷却し、袋から取り出し水に浸漬して余分の水酸化カルシウムを除去した。このゲルを1mmに裁断してゲル化物1とした。ゲル化物1の融点は97℃以上であり、耐熱性を有するゲルであった。
【0048】
(ゲル化物2)
アルギン酸ナトリウム5g、リン酸1水素2カルシウム1.35g及びGDL2.15gを水500gに加え均一になるまで撹拌後、24時間放置しゲル化させた。このゲルを2〜3mmに裁断してゲル化物2とした。ゲル化物2の融点は97℃以上であり、耐熱性を有するゲルであった。
【0049】
(ゲル化物3)
脱アシルジェランガム2gを水500gに加え、沸騰溶解させた。この溶液に、予め水20gに乳酸カルシウム0.5gを溶解した液を加えよく撹拌後、冷却してゲル化させた。このゲルを1mmに裁断してゲル化物3とした。ゲル化物3の融点は95℃であり、耐熱性を有するゲルであった。
【0050】
(ゲル化物4)
水500gにカードラン20gを分散させた。これを60℃まで加熱し充分に溶解させ、ローセットゲルを得た後、容器に充填した。この容器を100℃で1時間蒸気加熱して、ハイセットゲルを作製した。このゲルを高速撹拌機(バーミックス)を使用して0.2mmに裁断してゲル化物4とした。ゲル化物4の融点は95℃以上であり、耐熱性を有するゲルであった。
【0051】
(ゲル化物5)
寒天1を5g秤量し、水500gに分散し耐熱性の袋に充填後、レトルト殺菌機にて121℃、15分間加熱溶解後、冷却してゲル化させた。当該ゲルをバーミックスを使用して0.5mmに裁断し、ゲル化物5とした。ゲル化物5の融点は97℃以上であり、耐熱性を有するゲルであった。
【0052】
(ゲル化物6)
LMペクチン15gを水500gに分散し90℃にて加熱溶解した。この溶液を予め用意した1%乳酸カルシウム溶液500gに滴下して直径約3mmのゲル状物を得た。更に1時間浸漬後このゲルを取り出してバーミックスを使用して0.5mmに裁断してゲル化物6とした。ゲル化物6の融点は97℃以上であり、耐熱性を有するゲルであった。
【0053】
(乾燥ゲル1)
オートクレーブを使用し、121℃で15分間、寒天1を3g及びアルギン酸ナトリウム7gを水500gに溶解させた後、容器に充填して冷却し、ゲル化させた。当該ゲルを1mmに裁断してゲル化物とした後、水500gに塩化カルシウム1.0gを溶解した溶液に1時間浸漬後、ゲル化物を取り出した。さらにこのゲル化物を水500gに塩化ナトリウム2.5gを溶解した溶液に1時間浸漬した。浸漬後ゲルを取り出し溶液を分離後70℃にて12時間乾燥して乾燥ゲル1を得た。1gの乾燥ゲル1を20℃、95℃の水に1時間浸漬し、吸水後の重量を吸水倍率としたところ、20℃で20倍、95℃で35倍であり、且つ粒子が溶解することなく粒子を保持していた。
【0054】
(乾燥ゲル2)
オートクレーブを使用し、110℃で15分間、寒天2を15g秤量し、水500gに溶解させた後、容器に充填して冷却し、ゲル化させた。このゲルを1mmに裁断してゲル化物とした後、70℃にて12時間乾燥して乾燥ゲル2を得た。この乾燥ゲル2の吸水倍率を乾燥ゲル1と同様の方法で調べたところ、20℃で6倍、95℃で15倍であり、且つ粒子が溶解することなく粒子を保持していた。
【0055】
(ゲル化物7)
カラギナン10gを水500gに分散し加熱沸騰溶解後、冷却してゲル化させた。このゲルを1mmに裁断してゲル化物7とした。このゲル化物7の融点は72℃であり、耐熱性はなかった。
【0056】
(評価方法)
1.電子レンジ加熱時の温度測定
上記実験例1に従い作製した麺を入れた麺用の容器を600Wの電子レンジで加熱し、20秒ごとにサーミスタ温度計(SN3000、熱研社製)のセンサーを麺中心部に入れ温度を測定した。結果を表2に示す。
【0057】
2.食感評価
温度が80℃になった時の麺を10名のパネラーに喫食させ、食感が通常の麺と比べて同じ、あるいはそれ以上と答えた人数により食感を評価した。結果を表2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
耐熱性のあるゲル化物1〜6、又は耐熱性の乾燥ゲル1、2を使用した実施例1〜8の麺は、電子レンジによる加熱において温度上昇が比較例に比べて早く、且つ食感も良好であった。また、耐熱性のないゲル化物7を使用した比較例3はゲルが溶解し、糊状感のある食感になった。
【0061】
実験例2<含油ゲル>
表3に示した配合にて、実施例9〜11及び比較例4〜6に係るうどんを作製した。詳細には、水に食塩を溶解後、小麦粉を加え混練した。これに下記方法により作成したゲル化物8〜11を加えてさらに混練後、実験例1と同様にして製麺機にて生うどんを作製し、沸騰した湯で10分茹でた後、水冷した。この麺を実験例1と同様に電子レンジで加熱して麺の温度を測定した。また、実験例1と同様にして食感を評価し、結果を表4に示した。
【0062】
(ゲル化物8)
こんにゃく粉5.0gを水250gに添加し分散し充分に膨潤させた。これに乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル(S−1170)5gを加え混合した後、大豆油を250g添加してさらに混合し乳化させた。次に水酸化カルシウム0.30gを水20gに分散させたものを加え充分に撹拌混合した。これを耐熱性の袋に充填し、90℃の湯の中で2時間浸漬して加熱処理した。その後冷却し、袋から取り出し水に浸漬して余分の水酸化カルシウムを除去した。このゲルを0.8mmに裁断してゲル化物8とした。ゲル化物8の融点は97℃以上であり、耐熱性を有するゲルであった。
【0063】
(ゲル化物9)
アルギン酸ナトリウム3g、リン酸1水素2カルシウム1.35g、
GDL2.15g、α−サイクロデキストリン5gを水250gに加え均一になるまで撹拌後、キャノーラ油を250g加え、高速撹拌機(バーミックス)を使用して乳化させた。24時間放置しゲル化後、ゲルを0.8mmに裁断してゲル化物9とした。ゲル化物9の融点は97℃以上であり、耐熱性を有するゲルであった。
【0064】
(ゲル化物10)
脱アシルジェランガム2g、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステルS−1170)5gを水250gに加え、沸騰溶解させた。この溶液に、予め用意しておいた、水20gに乳酸カルシウム0.5gを溶解した液を加えよく撹拌後、ひまわり油を250g加え、高速撹拌機(バーミックス)を使用して乳化させた。室温まで放置しゲル化後、ゲルを0.8mmに裁断してゲル化物10とした。ゲル化物10の融点は96℃であり、耐熱性を有するゲルであった。
【0065】
(ゲル化物11)
カラギナン15g、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステルS−1170)5gを水250gに加え、沸騰溶解させた。ひまわり油を250g加え、高速撹拌機(バーミックス)を使用して乳化させた。室温まで放置しゲル化後、ゲルを0.8mmに裁断してゲル化物11とした。このゲル化物11の融点は70℃であり、耐熱性はなかった。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
耐熱性のあるゲル化物8〜10を使用した実施例9〜11の麺は、電子レンジによる加熱において温度上昇が比較例に比べて早く、且つ食感も良好であった。また、耐熱性のないゲル化物11を使用した比較例6はゲルが溶解して油が溶け出し、油を感じる美味しくない食感になった。
【0069】
実験例3<耐熱性ゲルの添加量>
表5〜7に示した配合にて実施例12〜30に係るうどんを作製した。詳細には、水に食塩を溶解後、小麦粉を加えて混練した。これにゲル化物1、8又は乾燥ゲル1のいずれかを加えてさらに混練後、実験例1と同様にして生うどんを作製し、沸騰した湯で10分茹でた後、水冷した。この麺を実験例1同様に電子レンジで加熱して麺の温度を測定した。また、実験例1と同様にして食感を評価し、結果を表8に示した。
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】
【表8】
【0074】
耐熱性のあるゲル化物1、8又は乾燥ゲル1を使用した実施例12〜30の麺は、電子レンジによる加熱において温度上昇が比較例に比べて早く、且つ食感も良好であった。なお、実施例17及び23においては、パネラー2名が、若干麺のこしが少ないと評価した。また、実施例29においては、パネラー3名が、若干麺のこしが少なく油感を感じると評価した。
【0075】
実験例4<耐熱性ゲルの含水率>
表9に示した配合量(重量%)にて、ゲル化剤として脱アシルジェランガムを使用し、含水量の異なる耐熱性ゲルをそれぞれ作製した。詳細には、脱アシルジェランガム及びショ糖を水に分散し沸騰溶解後、予め水20gに乳酸カルシウムを溶解した液を加えよく撹拌後、冷却してゲル化させた。このゲルを1mmに裁断してゲル化物11〜15とした。このゲル化物11〜15を用い、実施例1の配合割合と同様にして実施例31〜35に係るうどんの麺を作製し、実験例1と同様に評価を行った。結果を表10に示す。
【0076】
【表9】
【0077】
【表10】
【0078】
耐熱性のあるゲル化物11〜15を使用した実施例31〜35の麺は、電子レンジによる加熱において温度上昇が比較例に比べて早く、且つ食感も良好であった。
【0079】
実験例5<含油耐熱性ゲルの含油率>
表11に示した配合量(重量%)にて、ゲル化剤として脱アシルジェランガムを使用し、含油量の異なる耐熱性ゲルを作製した。詳細には、脱アシルジェランガム2g、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステルS−1170)5gを水に加え、沸騰溶解させた。この溶液に、予め水20gに乳酸カルシウム0.5gを溶解した液を加えよく撹拌後、ひまわり油を加え、高速撹拌機(バーミックス)を使用して乳化させた。室温まで放置しゲル化後、ゲルを0.8mmに裁断してゲル化物16〜19とした。このゲル化物16〜19を用い、実施例1の配合割合と同様にして実施例36〜39に係るうどんの麺を作製し、実験例1と同様に評価を行った。結果を表12に示す。
【0080】
【表11】
【0081】
【表12】
【0082】
耐熱性のあるゲル化物16〜19を使用した実施例36〜39の麺は、電子レンジによる加熱において温度上昇が比較例に比べて早く、且つ食感も良好であった。