特開2018-102912(P2018-102912A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-102912(P2018-102912A)
(43)【公開日】2018年7月5日
(54)【発明の名称】解剖学的空腔の改善された視覚化
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20180608BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20180608BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20180608BHJP
   G06T 15/80 20110101ALI20180608BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20180608BHJP
【FI】
   A61B6/03 360M
   A61B6/03 377
   A61B6/03 360G
   A61B34/20
   G06T1/00 290B
   G06T15/80
   A61B6/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-227496(P2017-227496)
(22)【出願日】2017年11月28日
(31)【優先権主張番号】15/364,144
(32)【優先日】2016年11月29日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】ラム・ベルナルド・メイヤー
【テーマコード(参考)】
4C093
5B057
5B080
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA25
4C093AA26
4C093CA22
4C093CA23
4C093DA04
4C093FF43
4C093FG01
4C093FG13
5B057CA13
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC01
5B057CD14
5B080BA08
5B080CA01
5B080FA02
5B080GA11
(57)【要約】
【課題】 解剖学的空腔の視覚化を改善すること。
【解決手段】 記載された実施形態は、ディスプレイ及びプロセッサを含むシステムを含む。プロセッサは、解剖学的空腔に対応する画像スライスの一部分を解剖学的空腔の壁の表現で埋めることで、画像スライスを修正し、修正された画像スライスをディスプレイに表示するように構成される。他の実施形態も記載する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
ディスプレイと、
プロセッサであって、
解剖学的空腔に対応する画像スライスの一部分を前記解剖学的空腔の壁の表現で埋めることにより、前記画像スライスを修正し、
前記修正された画像スライスを前記ディスプレイに表示するように構成された、プロセッサと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記解剖学的空腔に対応する前記画像スライスの前記一部分を識別するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記画像スライスの他の部分を修正することなく、前記解剖学的空腔に対応する前記画像スライスの前記一部分を修正するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記空腔の前記壁をレンダリングすることにより前記表現を演算するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記空腔の前記壁をカラーでレンダリングするように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記空腔の前記壁は、前記画像スライスが取得された位置の後方に置かれている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記画像スライスが、コンピュータ断層撮影(CT)画像スライスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサが、体内ツールを表すアイコンを、前記解剖学的空腔内の前記体内ツールの位置に対応する前記修正された画像スライスの一部分に重ねるように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記体内ツールが指している方向で前記壁に向かって前記体内ツールが移動し続けると、前記体内ツールが前記壁に当たるであろう位置に対応する前記壁の表現の一部分にマーカーを重ねるように更に構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記体内ツールの遠位先端から仮想光線を投影することにより、前記体内ツールが前記壁に当たるであろう前記位置を識別するように更に構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
方法であって、
プロセッサを用いて、解剖学的空腔に対応する画像スライスの一部分を前記解剖学的空腔の壁の表現で埋めることによって前記画像スライスを修正することと、
前記修正された画像スライスを表示することと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記プロセッサを用いて、前記解剖学的空腔に対応する前記画像スライスの前記一部分を識別することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記解剖学的空腔に対応する前記画像スライスの前記一部分を修正することが、前記画像スライスの他の部分を修正することなく前記解剖学的空腔に対応する前記画像スライスの前記一部分を修正することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記空腔の前記壁をレンダリングすることにより前記表現を演算することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記空腔の前記壁をレンダリングすることが、前記空腔の前記壁をカラーでレンダリングすることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記空腔の前記壁は、前記画像スライスが取得された位置の後方に置かれている、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記画像スライスが、コンピュータ断層撮影(CT)画像スライスである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
体内ツールを表すアイコンを、前記解剖学的空腔内の前記体内ツールの位置に対応する前記修正された画像スライスの一部分に重ねることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記体内ツールが指している方向で前記壁に向かって前記体内ツールが移動し続けると、前記体内ツールが前記壁に当たるであろう位置に対応する前記壁の表現の一部分にマーカーを重ねることを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記体内ツールの遠位先端から仮想光線を投影することにより、前記体内ツールが前記壁に当たるであろう前記位置を識別することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年11月29日に本出願と同時出願された、米国特許出願第15/364,156号、弁護士側整理番号1002−1461/ID−840/BIO5679USNPの「Visualization of distances to walls of anatomical cavities,」と題する出願に関連し、その開示を参照として本明細書に組み込む。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、医用画像の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
コンピュータ断層撮影(CT)スキャンは、解剖学の走査された部分の放射線不透過性とも呼ばれる放射線密度を取得する。放射線密度は、ハンスフィールドユニット(HU)で測定され、空気はHU=−1000を有し、水はHU=0であり、皮質骨はHU=+3000を有する。CT画像では、取得された放射線密度値は、異なるグレースケール値にマップされる。通常、CT画像では、空気は黒色で提示され、皮質骨は白色で提示され、他の物質は灰色の陰影を変えて提示される。
【0004】
典型的に、介入放射線医は、被検者の頭部を頭部の二次元(2D)画像を用いてナビゲートするように訓練されている。例えば、副鼻腔手術の間、介入放射線医は、体軸スライス、冠状スライス及び矢状スライスである、被検者の3つのコンピュータ断層撮影(CT)スライスを参照としてもよい。
【0005】
その開示が参照として本明細書に組み込まれる米国特許第8,532,738号では、体腔の疑似表面を構築し、そして体腔の壁に対してプローブの遠位端部を押圧することを含む方法を記載する。壁に遠位端部を押圧しながら、体腔内におけるプローブの位置を示す位置測定値がプローブから受け取られ、また遠位端部と壁との間の力を示す力測定値がプローブから受け取られる。力測定値が所定の大きさを超えたことを検出すると、歪んだ表面を形成するために、位置測定値で示される位置において、疑似表面の歪みが作成される。次いで、この歪んだ表面が表示される。
【0006】
その開示が参照として本明細書に組み込まれる米国特許第7,924,279号では、3Dボリュームの視覚化用の、特に、医療適用のためのシステムを記載し、3Dボリュームのボクセル値を表す三次元データセットを受信する入力を含む。データセットは記憶部に格納される。プロセッサは、所定の視点から仮想2D投影スクリーンにボリュームを投影する。2D投影画像の各画素に関して、光線は画素を通して、ボリュームを通して照射される。ボリューム内の光線位置に沿って横断しつつ、光線位置に応じてレンダリングアルゴリズム及び/又はレンダリングパラメータを決定するプロトコールが用いられる。各光線位置に対して、決定されたレンダリングアルゴリズム/パラメータは、光線位置の所定範囲内の少なくとも1つのボクセル値に基づき、画素の画素値への寄与を計算するのに用いられる。出力は、ディスプレイにレンダリングするための2D画像の画素値を提供するのに用いられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ディスプレイ及びプロセッサを含むシステムが提供される。プロセッサは、解剖学的空腔に対応する画像スライスの一部分を解剖学的空腔の壁の表現で埋めることで、画像スライスを修正し、修正された画像スライスをディスプレイに表示するように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、解剖学的空腔に対応する画像スライスの一部分を識別するように更に構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、画像スライスの他の部分を修正することなく、解剖学的空腔に対応する画像スライスの一部分を修正するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、空腔の壁をレンダリングすることにより表現を演算するように更に構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、空腔の壁をカラーでレンダリングするように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、空腔の壁は、画像スライスが取得された位置の後方に置かれる。
【0013】
いくつかの実施形態では、画像スライスはコンピュータ断層撮影(CT)画像スライスである。
【0014】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、体内ツールを表すアイコンを、解剖学的空腔内の体内ツールの位置に対応する修正された画像スライスの一部分に重ねるように更に構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、体内ツールが指している方向で壁に向かって体内ツールが移動し続けると、体内ツールが壁に当たるであろう位置に対応する壁の表現の一部分にマーカーを重ねるように更に構成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、体内ツールの遠位先端から仮想光線を投影することにより、体内ツールが壁に当たるであろう位置を識別するように更に構成される。
【0017】
更に、本発明のいくつかの実施形態によると、方法であって、プロセッサを用いて、解剖学的空腔に対応する画像スライスの一部分を解剖学的空腔の壁の表現で埋めることによって画像スライスを修正することと、修正された画像スライスを表示することと、を含む方法を提供する。
【0018】
本発明は、その実施形態の以下の詳細な説明を図面と併せ読むことによってより深い理解がなされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のいくつかの実施形態による、医療処置をガイドするシステムの模式図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による、元のCT画像スライス及び修正されたCT画像スライスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
概説
上記のように、介入放射線医は、通常、ナビゲーションのために2D画像(又は「スライス」)を用いる。2D画像の使用における課題は、しかしながら、そのような画像に含有される奥行き情報が欠如していることである。例えば、カテーテルを解剖学的空腔内にナビゲートするのに2D画像を用いる場合、カテーテルと空腔の壁との間の距離を確認することが困難な場合がある。
【0021】
本発明の実施形態は、2D画像に解剖学的空腔の増強された提示を提供することにより、この課題に対処する。この強調された提示では、空腔は、表示された2Dスライスの下からの形態情報の組み込みを介して、立体(3D)感を付与される。例えば、プロセッサは、仮想光源で空腔を「照らす」ことができ、その結果、表示された2Dスライスの下の空腔の壁は、仮想光源の近傍に配置された仮想カメラに対して「可視」となる。次に、空腔壁は、カラーで、様々な明るさの濃淡で、仮想カメラの視野に対応してレンダリングされてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態は、画像上に、カテーテルを表すアイコンを、空腔壁からカテーテルの距離を示すマーカーと共に重ねることによって、画像を更に増強する。マーカーを生成するため、プロセッサは、カテーテルの先端から仮想光線を投影し、画像内で、仮想光線が空腔壁に当たる点にマーカーを示してもよい。
【0023】
システムの説明
最初に図1を参照すると、図1は、本発明のいくつかの実施形態による、医療処置をガイドするためのシステム20の模式図である。
【0024】
図1は、被検者22に処置を行っている医師26を描写する。この処置の間、医師26は、カテーテルのような体内ツール28を、被検者22の鼻腔及び/又は副鼻腔に挿入し、次にツール28を用いて鼻腔及び/又は副鼻腔を探り、及び/又は手術する。通常、ツールの位置及び方向は、例えば、磁気的追跡システムを用いて追跡される。例えば、システム20は、処置の間にそれぞれ磁場を発生する、1つ又は2つ以上の磁場発生器24を含んでもよい。これらの磁場は、ツール28に結合された1つ又は2つ以上の磁場センサにそれぞれ電圧を誘起する。これらの誘起された電圧に基づき、プロセッサ34は、追跡システムの座標系に対してツールの位置及び方向を確認する。
【0025】
通常、処置の前に、例えばCTスキャナを用いて、被検者の頭部のボリュームを取得する。続いて、処置の間に、プロセッサ34は、ボリュームから得られ、かつ以下に説明するように増強される少なくとも1つの画像スライス32をディスプレイ30に表示する。次に、医師は、被検者の鼻腔及び/又は副鼻腔を最良にナビゲートする方法の決定において、スライス32を参照してもよい。
【0026】
本出願(請求の範囲を含む)で用いられる用語「画像スライス」は、三次元物体の特定の断面を撮像することにより、又は物体の三次元画像の特定の断面を得ることにより取得された任意の二次元画像を指すことに留意する。(画像スライスは、代替的に本明細書では簡潔に「画像」又は「スライス」と呼ぶことができる。)例えば、処置の前に、被検者の頭部のボリュームは、連続的な奥行きで矢状画像スライスのスタックを取得することによって取得されてもよい。続いて、プロセッサ34は、このボリュームから元の矢状画像スライスのうちのいずれか1つを得ることで、又はボリュームの断面を得て、別の適切な方向を有する新規スライスを導出することで、このボリュームから「画像スライス」を導出することができる。(通常、新規スライスの導出は、処置の前に実行される。)
【0027】
通常、処置の前に、プロセッサ34は、例えば、その開示が参照として本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/290,968号に記載されるように、磁気的追跡システムをCTスキャナと位置合わせする。この位置合わせ処置の出力は変換であり、その後、プロセッサが画像スライス32に対する体内ツールの遠位端部の位置を演算するために用いる。
【0028】
一般に、プロセッサ34は、単一プロセッサとして、又は協調ネットワーク化又はクラスター化されたプロセッサセットとして具体化され得る。プロセッサ34は典型的に、プログラムされたデジタルコンピューティングデバイスであり、このデバイスは、中央演算処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性の二次記憶装置、例えばハードドライブ又はCD ROMドライブ、ネットワークインターフェース及び/又は周辺デバイスを含む。ソフトウェアプログラムを含むプログラムコード、及び/又はデータは、当該技術分野で知られているように、CPUによる実行及び処理のためにRAMにロードされ、表示、出力、送信、又は格納のために結果が生成される。プログラムコード及び/又はデータは、例えば、ネットワークを通して電子形式でコンピュータにダウンロードされてもよく、あるいは、代替的に又は付加的に、磁気、光学、若しくは電子メモリなどの非一時的な有形の媒体上に提供及び/又は格納されてもよい。かかるプログラムコード及び/又はデータは、プロセッサに提供されると、本明細書に記載するタスクを行うように構成された、機械若しくは専用コンピュータを作り出す。
【0029】
ここで図2を参照すると、本発明のいくつかの実施形態による、元のCT画像スライス31及び修正されたCT画像スライス32を示す。
【0030】
上述のように、CT画像は、通常、空気を黒色で、皮質骨を白色で、他の物質を灰色の陰影を変えて提示する。例えば、画像スライス31は、ボイド36として本明細書で指定される黒色部分を含み、解剖学的空腔に対応する。特に、ボイド36は、被検者の鼻腔に対応する。(言い換えると、画像スライス31は、鼻腔を「スライス(slices through)」し、鼻腔の内部はボイド36として画像に出現する。)画像スライス31は、更に、鼻腔の周囲の骨及び/又は組織に対応する白色又は灰色領域38を含む。
【0031】
本発明の実施形態では、プロセッサ34は、修正された画像スライス32を生成するように、画像スライス31を修正する。画像スライス31を修正するため、プロセッサは、最初に解剖学的空腔に対応する、つまり解剖学的空腔とスキャナの走査平面の交差によって形成された画像スライス31の部分を識別する。(上述のように、CT画像では、これらの部分はボイド36のようなボイドとして出現する。)次にプロセッサは、識別された部分の各々を、対応している解剖学的空腔の壁の表現で埋めて、これにより各解剖学的空腔に立体感を与える。(言い換えれば、プロセッサは、画像の各識別された部分に、対応する解剖学的空腔の三次元(3D)ビューを重ね合わせる。)例えば、修正された画像スライス32では、ボイド36は、画像スライスが取得された位置の後方にある鼻腔の壁の三次元表現44と置換される(すなわち、壁は、画像を観察する人の視点に対して、走査平面の後方にある)。次に、プロセッサは、図1を参照に上述されるように、修正された画像スライス32を表示する。
【0032】
より一般には、プロセッサは、解剖学的空腔の部分を示す各画像スライスに対して、本明細書に記載された修正を実行してもよい。典型的には、処置の前に、プロセッサは、関連する(元と導出されたものとの両方の)画像スライスの全てに繰り返し、本明細書に記載するように各空腔を含む画像スライスを修正する。続いて、処置の間に、プロセッサはツールの位置を継続的に監視し、ツールの位置が変化した場合、プロセッサは、ツールの新規位置を通過する1つ又は2つ以上の修正された画像スライスを検索して表示し得る。(プロセッサは、本明細書に記載するように、画像スライスを表示する直前にリアルタイムで画像スライスを代替的に修正し得ることに留意する。)
【0033】
典型的に、プロセッサは、空腔の壁をレンダリングすることによって、表現44を演算する。最初に、プロセッサは、画像スライス31が導出された三次元画像から壁の形状を確認する。次に、プロセッサは、任意の適切なレンダリング技法を用いて壁をレンダリングする。例えば、プロセッサは、仮想光源で壁を照らしてもよく、仮想光源の近傍に置かれた仮想カメラの視野により壁をレンダリングしてもよい。プロセッサは、次に画像スライス31のボイドをレンダリングで置換する。通常、壁はカラーでレンダリングされており、医師が、解剖学的空腔と周辺組織との間を区別するのに役立つ。
【0034】
通常、プロセッサは、画像スライスの領域38のような、画像スライス31の他の部分を修正しない。例えば、プロセッサは、解剖学的空腔に対応する部分以外の、画像スライスの任意の部分を修正しない場合がある。したがって、修正された画像スライス32は、通常、「ハイブリッド」画像であり、領域38はグレースケールで二次元表面として示され、一方、解剖学的空腔の壁は、典型的にはカラーで三次元表面としてレンダリングされる。
【0035】
ここでは、修正された画像スライス32の一部分を再現する、図2の下部の概略図を具体的に参照する。
【0036】
通常、プロセッサは、更に、修正された画像スライス32で、解剖学的空腔内の体内ツールの位置に対応する修正された画像スライス32の一部分に、体内ツール28(特に、その遠位端部)を表すアイコン40を重ねる。通常、プロセッサはまた、体内ツールが指している方向で壁に向かって体内ツールが移動し続けると、体内ツールが壁に当たるであろう位置に対応する表現44の一部分にマーカー42を重ねる。例えば、プロセッサは、体内ツールの遠位先端から仮想光線46を投影し、仮想光線46が解剖学的空腔の壁に当たる位置を識別し、その後、この位置に対応する表現44の一部分にマーカー42を重ねてもよい。(例示のため、仮想光線46は図2の概略部分に示されるが、仮想光線46は通常、修正された画像スライス32では示されないことに留意する。)アイコン40及びマーカー42は、例えば、アイコン40とマーカー42との間の距離が空腔の壁からのツールの距離を示すという点で、一般に解剖学的空腔内のツールのナビゲートを容易にする。
【0037】
いくつかの実施形態では、完全な三次元画像(すなわち、三次元で完全にレンダリングされる画像)は、修正された画像スライス32(上述のように、部分的にのみ三次元でレンダリングされる)の代わりに表示され、アイコン40及び/又はマーカー42は、この画像の解剖学的壁の表現に重ねられる。
【0038】
本明細書の説明は主としてCT画像に関するが、本発明の実施形態は、磁気共鳴撮像(MRI)のような他のモダリティを用いて取得された画像にもまた適用され得ることに留意する。(MRI画像では、解剖学的空腔は必ずしもボイドとして出現するわけではないが、それにもかかわらず、一般的に識別可能であり、本明細書に記載されるように識別され修正され得る。)
【0039】
当業者であれば、本発明が上記で具体的に図示及び記載されたものに限定されない点を理解するであろう。むしろ、本発明の実施形態の範囲は、上述した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせ、並びに上記の説明を読むことで当業者には想到されるであろう、従来技術には見られない特徴の変形例及び改変例をも含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0040】
〔実施の態様〕
(1) システムであって、
ディスプレイと、
プロセッサであって、
解剖学的空腔に対応する画像スライスの一部分を前記解剖学的空腔の壁の表現で埋めることにより、前記画像スライスを修正し、
前記修正された画像スライスを前記ディスプレイに表示するように構成された、プロセッサと、
を備える、システム。
(2) 前記プロセッサが、前記解剖学的空腔に対応する前記画像スライスの前記一部分を識別するように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記プロセッサが、前記画像スライスの他の部分を修正することなく、前記解剖学的空腔に対応する前記画像スライスの前記一部分を修正するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記プロセッサが、前記空腔の前記壁をレンダリングすることにより前記表現を演算するように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記プロセッサが、前記空腔の前記壁をカラーでレンダリングするように構成されている、実施態様4に記載のシステム。
【0041】
(6) 前記空腔の前記壁は、前記画像スライスが取得された位置の後方に置かれている、実施態様4に記載のシステム。
(7) 前記画像スライスが、コンピュータ断層撮影(CT)画像スライスである、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記プロセッサが、体内ツールを表すアイコンを、前記解剖学的空腔内の前記体内ツールの位置に対応する前記修正された画像スライスの一部分に重ねるように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記プロセッサは、前記体内ツールが指している方向で前記壁に向かって前記体内ツールが移動し続けると、前記体内ツールが前記壁に当たるであろう位置に対応する前記壁の表現の一部分にマーカーを重ねるように更に構成されている、実施態様8に記載のシステム。
(10) 前記プロセッサは、前記体内ツールの遠位先端から仮想光線を投影することにより、前記体内ツールが前記壁に当たるであろう前記位置を識別するように更に構成されている、実施態様9に記載のシステム。
【0042】
(11) 方法であって、
プロセッサを用いて、解剖学的空腔に対応する画像スライスの一部分を前記解剖学的空腔の壁の表現で埋めることによって前記画像スライスを修正することと、
前記修正された画像スライスを表示することと、
を含む、方法。
(12) 前記プロセッサを用いて、前記解剖学的空腔に対応する前記画像スライスの前記一部分を識別することを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記解剖学的空腔に対応する前記画像スライスの前記一部分を修正することが、前記画像スライスの他の部分を修正することなく前記解剖学的空腔に対応する前記画像スライスの前記一部分を修正することを含む、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記空腔の前記壁をレンダリングすることにより前記表現を演算することを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記空腔の前記壁をレンダリングすることが、前記空腔の前記壁をカラーでレンダリングすることを含む、実施態様14に記載の方法。
【0043】
(16) 前記空腔の前記壁は、前記画像スライスが取得された位置の後方に置かれている、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記画像スライスが、コンピュータ断層撮影(CT)画像スライスである、実施態様11に記載の方法。
(18) 体内ツールを表すアイコンを、前記解剖学的空腔内の前記体内ツールの位置に対応する前記修正された画像スライスの一部分に重ねることを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(19) 前記体内ツールが指している方向で前記壁に向かって前記体内ツールが移動し続けると、前記体内ツールが前記壁に当たるであろう位置に対応する前記壁の表現の一部分にマーカーを重ねることを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記体内ツールの遠位先端から仮想光線を投影することにより、前記体内ツールが前記壁に当たるであろう前記位置を識別することを更に含む、実施態様19に記載の方法。
図1
図2
【外国語明細書】
2018102912000001.pdf