特開2018-103849(P2018-103849A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2018103849-空気入りタイヤ 図000004
  • 特開2018103849-空気入りタイヤ 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-103849(P2018-103849A)
(43)【公開日】2018年7月5日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/04 20060101AFI20180608BHJP
   B60C 15/00 20060101ALI20180608BHJP
【FI】
   B60C13/04 Z
   B60C15/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-253011(P2016-253011)
(22)【出願日】2016年12月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 貴弘
(57)【要約】
【課題】サイドウォール部に白ゴムが埋設された空気入りタイヤにおいて、標章表示部に対応して露出した白ゴムにおける黒残りを抑制する。
【解決手段】空気入りタイヤ1は、トレッド面2aを有するトレッド部2と、トレッド部2の両側部から内径側へ延びる一対のサイドウォール部3とを有し、サイドウォール部3の外表面に標章表示部12が形成されており、サイドウォール部3を構成するサイドウォールゴム20は、黒色を呈する黒ゴム21と、黒ゴム21に埋設されており標章表示部12に対応して表面の一部が露出している白ゴム22とを有し、白ゴム22の体積が、黒ゴム21の体積の60%以上70%以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド面を有するトレッド部と、前記トレッド部の両側部から内径側へ延びる一対のサイドウォール部とを有し、前記サイドウォール部の外表面に標章表示部が形成された空気入りタイヤであって、
前記サイドウォール部を構成するサイドウォールゴムは、
黒色を呈する黒ゴムと、
前記黒ゴムに埋設され、前記標章表示部に対応して表面の一部が露出しており、白色を呈する、白ゴムと
を有し、
前記白ゴムの体積が、前記黒ゴムの体積の60%以上70%以下である、空気入りタイヤ。
【請求項2】
タイヤ径方向において、前記標章表示部は、タイヤ断面高さに対し12%以上17%以下の範囲の高さで形成されている、
請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記白ゴムは、前記トレッド部と前記サイドウォール部との接合部よりも6mm以上内径側へ位置している、
請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記サイドウォール部には、リムプロテクタ部が更に形成されており、
前記白ゴムは、前記リムプロテクタ部よりも4mm以上外径側へ位置している、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記黒ゴムは、
前記サイドウォール部と前記トレッド部との接合部に設けられたパッドゴムと、
リムフランジに当接するリムストリップゴムと、
前記パッドゴムと前記リムストリップゴムの間をタイヤ径方向に延びている、サイドゴムと、
前記白ゴムの表面を覆うカバーゴムと
を有している、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤの見栄えを向上させるため、サイドウォール部に表示される標章表示部を、白ゴムによって表示することが知られている。白ゴムは、表面が薄肉のカバーゴムによって覆われた状態でサイドウォール部に加硫成形された後、標章表示部に対応する部分のカバーゴムを研削除去することによって、サイドウォール部の表面に露出するようになっている。
【0003】
特許文献1には、白ゴムの表面側に剥離性ストリップを重ねて貼り付けた状態で加硫成形した後に、剥離性ストリップを剥がすことによって、白ゴムを露出することが開示されている。これによって、カバーゴムを研削除去することを不要にして標章表示部に研削痕が残ることを防止できると共に、空気入りタイヤが使用されるまでカバーゴムを剥がさずに残しておくことにより標章表示部の汚れを可及的に防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭52−14261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
標章表示部に対応させて、カバーゴムを研削除去することによって白ゴムを露出させたとき、白ゴムの周囲に位置する黒色を呈する黒ゴムが、標章表示部に部分的に露出してしまう(以下、黒残りと称する)場合がある。黒残りが生じると、空気入りタイヤの見栄えが低下してしまう。
【0006】
特許文献1の空気入りタイヤでは、加硫成形後において標章表示部に露出した白ゴムの研削痕又は汚れを防止できるものの、加硫成形時における黒残りを抑制できるものではない。
【0007】
本発明は、サイドウォール部に白ゴムが埋設された空気入りタイヤにおいて、標章表示部に対応して露出した白ゴムにおける黒残りを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トレッド面を有するトレッド部と、前記トレッド部の両側部から内径側へ延びる一対のサイドウォール部とを有し、前記サイドウォール部の外表面に標章表示部が形成された空気入りタイヤであって、前記サイドウォール部を構成するサイドウォールゴムは、黒色を呈する黒ゴムと、前記黒ゴムに埋設され、前記標章表示部に対応して表面の一部が露出しており、白色を呈する、白ゴムとを有し、前記白ゴムの体積が、前記黒ゴムの体積の60%以上70%以下である、空気入りタイヤを提供する。
【0009】
本発明によれば、白ゴムの体積を、黒ゴムの体積に対して適正な範囲に設定することによって、標章表示部に対応して露出した白ゴムおける黒残りを抑制できる。
【0010】
白ゴムの体積が黒ゴムの体積の60%を下回ると、サイドウォール部において黒ゴムの占める体積が過多になってしまうので、黒ゴムが加硫時の流動等によって白ゴム側に流動しやすく黒残りが生じやすい。一方、白ゴムの体積が黒ゴムの体積の70%を上回ると、サイドウォール部において剛性の高い黒ゴムが占める体積が過小になってしまうので、サイドウォール部の剛性が過度に低下して耐久性が低下しやすい。
【0011】
タイヤ径方向において、前記標章表示部は、タイヤ断面高さに対し12%以上17%以下の範囲の高さで形成されていることが好ましい。
【0012】
本構成によれば、標章表示部に対して白ゴムを適正な範囲に配設することによって、サイドウォール部の耐久性の低下の抑制と標章表示部における黒残りの抑制とを両立できる。
【0013】
前記白ゴムは、前記トレッド部と前記サイドウォール部との接合部よりも6mm以上内径側へ位置していることが好ましい。
【0014】
本構成によれば、白ゴムがトレッド部とサイドウォール部との接合部から6mm以上内径側へ離れて位置しているので、各部材の端部が一致又は集中することを防止して、該接合部におけるエア入り故障を抑制できる。さらに、黒ゴムに比して強度が劣るために歪みの集中しやすい白ゴムを、トレッド部とサイドウォール部との接合部から離して配置することにより、白ゴムに集中し得る歪みの前記接合部への影響を軽減して、該接合部におけるセパレーション故障を抑制できる。
【0015】
前記サイドウォール部には、リムプロテクタ部が更に形成されており、前記白ゴムは、前記リムプロテクタ部よりも4mm以上外径側へ位置していることが好ましい。
【0016】
本構成によれば、黒ゴムに比して強度の劣る白ゴムが、リムプロテクタ部から4mm以上外径側へ離れて位置しているので、リムプロテクタ部及びこの内径側に位置するリムストリップ部等に入力される外力の白ゴムへの影響を軽減できる。これによって、強度の劣る白ゴムの耐久性を確保できる。
【0017】
前記黒ゴムは、前記サイドウォール部と前記トレッド部との接合部に設けられたパッドゴムと、リムフランジに当接するリムストリップゴムと、前記パッドゴムと前記リムストリップゴムの間をタイヤ径方向に延びている、サイドゴムと、前記白ゴムの表面を覆うカバーゴムとを有していることが好ましい。
【0018】
本構成によれば、サイドウォールゴムにおいて、黒ゴムがパッドゴム、サイドゴム、カバーゴム、及びリムストリップゴムを有する場合に、本発明の上記効果が好適に実現される。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る空気入りタイヤによれば、サイドウォール部に白ゴムが埋設された空気入りタイヤにおいて、標章表示部に対応して露出した白ゴムにおける黒残りを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの子午線半断面図。
図2図1のA矢視による、標章表示部の周辺を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各距離の比率等は現実のものとは相違している。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの子午線方向における半断面図であり、タイヤ赤道線CLに対して一方側のみを示している。図1に示すように、空気入りタイヤ1は、トレッド面2aを有するトレッド部2と、そのタイヤ幅方向外側の両外端部2bに連なってタイヤ径方向内側に延びる一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3の内径端に位置する一対のビード部4とを備えている。トレッド部2及びサイドウォール部3の内側には、一対のビード部4の間に架け渡されるようにカーカスプライ5が配設されている。
【0023】
トレッド部2のカーカスプライ5のタイヤ径方向外側には、ベルト層6とベルト補強層7とが順に配設されており、この更に外側にトレッドゴム10が配設されている。カーカスプライ5の内側には、空気圧を保持するためのインナープライ8が配設されている。
【0024】
ビード部4は、鋼線等の収束体をゴム被覆してなる環状のビードコア4aと、ビードコア4aに連設されてタイヤ径方向外側に延びる断面三角形状の環状のビードフィラー4bとを有する。
【0025】
サイドウォール部3の外表面には、タイヤ最大幅位置Wよりもタイヤ径方向内径側よりの位置において、タイヤ幅方向外側へ凸となる標章表示部12が形成されており、更にこの内径側に環状のリムプロテクタ部14が形成されている。標章表示部12のタイヤ径方向における高さ範囲は、タイヤ断面高さHに対し12%以上17%以下に設定されている。リムプロテクタ部14は、不図示のホイールに装着された状態でリムフランジを保護するように、タイヤ幅方向外側へ突出している。
【0026】
図2は、図1のA矢視であって空気入りタイヤ1の平面図である。図2に示されるように、本実施形態では、標章表示部12は、「T」、「O」、及び「Y」からなる文字であり、それぞれこの全周を略均一に縁取る縁取り部分12aと、縁取り部分12aによって囲まれた内側部分12bとを有している。内側部分12bは、縁取り部分12aよりも一段低く、タイヤ幅方向内側に凹となるように形成されている。
【0027】
図1に戻って、サイドウォール部3のカーカスプライ5のタイヤ幅方向外側には、サイドウォールゴム20が配設されている。なお、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、サイドウォールゴム20の外径端部20aの上側にトレッド部2の外端部2bが配設された、いわゆるトレッドオーバーサイドウォール(TOS)構造とされている。
【0028】
サイドウォールゴム20は、環状の黒ゴム21と、黒ゴム21に埋設されており、標章表示部12に対応して表面の一部が露出している、環状の白ゴム22とを有している。なお、図1において、白ゴム22は、ハッチングを付して示されている。黒ゴム21は、補強性の高いカーボンブラックが充填材として使用されているので、強度が高く、黒色を呈している。一方、白ゴム22は、白色を呈しており、カーボンブラックが使用されていないので、黒ゴム21に比して強度が劣っている。
【0029】
黒ゴム21は、外径端部20aに配設されたパッドゴム21aと、この内径側に配設されたサイドゴム21bと、ビード部4のタイヤ幅方向外側に配設されたリムストリップゴム21cと、白ゴム22の表面を覆う薄肉のカバーゴム21dとを有している。
【0030】
パッドゴム21aは、トレッド部2とサイドウォール部3との接合部における段差を緩和するように配設されている。サイドゴム22bは、パッドゴム21aとリムストリップゴム21cとの間をタイヤ径方向に延びており、より具体的には、白ゴム22を挟んだタイヤ径方向の両側において一対に延びている。タイヤ径方向の内径側に位置するサイドゴム22bに、リムプロテクタ部14が形成されている。リムストリップゴム21cは、ホイールに装着された際にリムフランジに当接する部分である。
【0031】
白ゴム22は、サイドウォールゴム20において、少なくとも標章表示部12に対応位置するように、タイヤ径方向の内径側よりに配設されており、上述したように外表面が、カバーゴム21dによって覆われている。具体的には、白ゴム22は、タイヤ径方向において、標章表示部12と中心位置を概ね一致させつつ、トレッド端(トレッド部2とサイドウォール部3との接合部)から6mm以上内径側であって、且つリムプロテクタ部14から4mm以上外径側の高さ範囲に設定されている。また、タイヤ径方向において、白ゴム22は、標章表示部12の形成範囲に対して1.5倍以上2.5倍以下の十分に大きな範囲に配設されている。
【0032】
カバーゴム21dは、標章表示部12の縁取り部分12aにおいて、例えば研削により除去されて、この結果、縁取り部分12aに対応して白ゴム22が露出するようになっている。
【0033】
ここで、サイドウォールゴム20において、白ゴム22の体積は、黒ゴム21の体積の60%以上70%以下に設定されている。換言すれば、図1に示す断面図において、サイドウォールゴム20において、白ゴム22は37.5%以上41.2%以下の領域を占めており、黒ゴム21は58.8%以上62.5%以下の領域を占めている。
【0034】
したがって、白ゴム22の体積を、黒ゴム21の体積に対して適正な範囲に設定することによって、標章表示部12に対応して露出した白ゴム22おける黒残りを抑制できる。
【0035】
白ゴム22の体積が黒ゴム21の体積の60%を下回ると、サイドウォール部3において黒ゴム21の占める体積が過多になってしまうので、黒ゴム21が加硫時の流動等によって白ゴム22側に流動しやすく黒残りが生じやすい。一方、白ゴム22の体積が黒ゴム21の体積の70%を上回ると、サイドウォール部3において剛性の高い黒ゴム21が占める体積が過小になってしまうので、サイドウォール部3の剛性が過度に低下して耐久性が低下しやすい。
【0036】
しかも、標章表示部12は、タイヤ断面高さの12%以上17%以下の範囲に形成されているので、標章表示部12に対して白ゴム22を適正な範囲に配設することによって、サイドウォール部3の耐久性の低下の抑制と標章表示部12における黒残りの抑制とを両立できる。
【0037】
また、白ゴム22がトレッド部2とサイドウォール部3との接合部から6mm以上内径側へ離れて位置しているので、各部材の端部が一致又は集中することを防止して、該接合部におけるエア入り故障を抑制できる。さらに、黒ゴム21比して強度が劣るために歪みの集中しやすい白ゴム22を、トレッド部2とサイドウォール部3との接合部から離して配置することにより、白ゴム22に集中し得る歪みの前記接合部への影響を軽減して、該接合部におけるセパレーション故障を抑制できる。
【0038】
また、黒ゴム21に比して強度の劣る白ゴム22が、リムプロテクタ部14から4mm以上外径側へ離れて位置しているので、リムプロテクタ部14及びこの内径側に位置するリムストリップ部等に入力される外力の白ゴム22への影響を軽減できる。これによって、強度の劣る白ゴム22の耐久性を確保できる。
【0039】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【実施例】
【0040】
サイドウォール部3に白ゴム22が露出した標章表示部12を備えた、比較例1,2及び実施例1〜3の空気入りタイヤについて、黒残り不良の発生率と、サイドウォール部の耐久性とを評価した。
【0041】
以下の表1に示すように、比較例1,2及び実施例1〜3の空気入りタイヤは、サイドウォールゴム20における、黒ゴム21に対する白ゴム22の体積を変化させたものであり、他の構成は同一である。タイヤサイズは、P225/70R15 100Tである。
【0042】
【表1】
【0043】
比較例1,2では、白ゴム22の体積はいずれも、本発明における所定の体積範囲(60%以上70%以下)から外れている。比較例1では、白ゴム22の体積は黒ゴム21の体積に対して55%に設定されており、本発明における上記体積範囲の下限値よりも小さい。比較例2では、白ゴム22の体積は黒ゴム21の体積に対して75%に設定されており、本発明における上記体積範囲の上限値よりも大きい。
【0044】
実施例1〜3では、白ゴム22の体積は、本発明における上記体積範囲(60%以上70%以下)内に設定されており、それぞれ黒ゴム21の体積に対して、実施例1では下限値である60%に設定されており、実施例2では略中央値である65%に設定されており、実施例3では上限値である70%に設定されている。
【0045】
黒残り不良の発生数の評価では、比較例1における黒残り不良の発生数を100として、残りの比較例2、実施例1〜3における発生数をそれぞれ指数化して示している。値が小さい程、黒残り不良の発生数が比較例1に対して低いことを示している。
【0046】
サイドウォール部の耐久性の評価では、ECE−R30に準拠して耐久性を評価した。比較例1における耐久性を105として、残りの比較例1、実施例1〜3における耐久性をそれぞれ指数化して示している。値が大きいほど、サイドウォール部の耐久性が優れていることを示している。
【0047】
白ゴム22の体積が60%以上に設定された、比較例2、実施例1〜3ではいずれも、黒残り不良の発生数が20を下回っており、特に、白ゴム22の体積が大きくなる程、黒残り不良の発生数が低くなっている。一方、白ゴム22の体積が60%を下回る比較例1では、黒ゴム21が占める領域が過多になるため、黒残り不良の発生数が相対的に高くなる。したがって、白ゴム22の体積を増大させるほど、特に60%以上に設定することによって、黒残り不良の発生数を効果的に低減できる。
【0048】
白ゴム22の体積が70%以下に設定された、比較例1及び実施例1〜3ではいずれも、サイドウォール部3の耐久性が、100以上であり、特に、白ゴム22の体積が小さくなる程、サイドウォール部3の耐久性が高くなっている。これは、白ゴム22の体積が小さくなるにつれて、強度の高い黒ゴム21の占める割合が高くなるためである。一方、白ゴム22の体積が70%を上回る比較例2では、白ゴム22が占める領域が過多になるため、耐久性が相対的に低くなる。したがって、白ゴム22の体積を減少させるほど、特に70%以下に設定することによって、サイドウォール部3の耐久性を確保できる。
【符号の説明】
【0049】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 カーカスプライ
6 ベルト層
7 ベルト補強層
8 インナープライ
10 トレッドゴム
12 標章表示部
14 リムプロテクタ部
20 サイドウォールゴム
21 黒ゴム
21a パッドゴム
21b サイドゴム
21c リムストリップゴム
21d カバーゴム
22 白ゴム
図1
図2