【解決手段】ビード部3間に架け渡されたカーカスプライ4を備える空気入りタイヤTにおいて、カーカスプライ4は、第1カーカスプライ41と、その外面側に配置された第2カーカスプライ42を備える。第1カーカスプライ41は、カーカスコード41Dを子午線方向MDに対して傾斜する方向に沿って配した第1傾斜領域41Cをサイドウォール部2に有し、第2カーカスプライ42は、カーカスコード42Dを子午線方向MDに対して傾斜する方向に沿って配した第2傾斜領域42Cをサイドウォール部2に有する。第1傾斜領域41Cと第2傾斜領域42Cは、傾斜したカーカスコード41D,42Dが交差するようにサイドウォール部2において重なり合う。第2カーカスプライ42のトッピングゴムの硬度は第1カーカスプライ41のトッピングゴムの硬度よりも大きい。
前記第1カーカスプライのトッピングゴムが第1内側ゴム層と第1外側ゴム層との2層構造であり、前記第2カーカスプライのトッピングゴムが第2内側ゴム層と第2外側ゴム層との2層構造であり、第1内側ゴム層、第1外側ゴム層、第2内側ゴム層及び第2外側ゴム層の順に硬度が大きく設定された、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0010】
図1に示す実施形態の空気入りタイヤTは、乗用車用空気入りタイヤであって、接地面を構成するトレッド部1と、リムに固定される左右一対のビード部3と、トレッド部1とビード部3との間に介在する左右一対のサイドウォール部2とを備えてなる。なお、
図1は、タイヤ回転軸を含む子午線断面でタイヤTを切断した右側半断面図であり、この例ではタイヤTは左右対称である。図中、CLはタイヤ赤道面を示す。
【0011】
本明細書において、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいい、
図1において符号RDで示す。タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、
図1において符号WDで示す。タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心として回転する方向をいい、
図3において符号CDで示す。また、子午線方向とは、タイヤ周方向に垂直な方向をいい、
図1〜3において符号MDで示す。
【0012】
ビード部3には、ビードワイヤで構成された環状のビードコア31と、該ビードコア31の外周に設置された先端側ほど幅狭の断面略三角形状をなす硬質ゴム製のビードフィラー32が埋設されている。
【0013】
タイヤTには、一対のビード部3間にトロイダル状に架け渡されたカーカスプライ4が埋設されている。カーカスプライ4は、補強材としてのカーカスコードを所定の打ち込み本数で平行配列しトッピングゴムで被覆してなり、カーカスコードがタイヤ周方向に対して実質上直角に、即ち子午線方向MDに沿って配されている。なお、カーカスコードとしては、例えば、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維等の有機繊維コード、又はスチールコードなどが挙げられる。
【0014】
トレッド部1におけるカーカスプライ4の外周側(即ち、タイヤ径方向外側)には、カーカスプライ4とトレッドゴム12との間にベルト11が配されている。ベルト11は、カーカスプライ4のクラウン部外周に重ねて設けられており、通常は少なくとも2枚のベルトプライで構成される。この例では、ベルト11は、最大幅ベルトとしての第1ベルトプライ11Aと、その外周に重ねて配された第2ベルトプライ11Bとの2枚で構成されている。ベルトプライ11A,11Bは、スチールコード等のベルトコードをタイヤ周方向に対して一定角度(例えば10°〜35°)で傾斜させかつタイヤ幅方向に所定間隔で配設してなるものであり、2枚のベルトプライ11A,11B間でベルトコードが互いに交差するよう配設されている。
【0015】
この例では、ベルト11のタイヤ径方向外側、即ちベルト11とトレッドゴム12との間にベルト補強層13が設けられている。ベルト補強層13は、タイヤ周方向に対して実質的に平行に延びるコードを有するキャッププライにより構成されている。
【0016】
サイドウォール部2におけるカーカスプライ4のタイヤ外面側にはサイドウォールゴム21が設けられている。サイドウォール部2のビード部3寄りにはリムプロテクター22が突出形成されている。なお、符号23は、サイドウォール部2の表面に設けられた環状の微小突条からなるバットレスラインである。また、符号33は、ビード部3に設けられたラバーチェーハーである。
【0017】
本実施形態では、カーカスプライ4は、内外2枚で構成されており、すなわち、内面側の第1カーカスプライ41と、その外面側(即ち、トレッド部1において第1カーカスプライ41の外周側)に配置された第2カーカスプライ42とからなる。なお、第1カーカスプライ41のカーカスコードを第1カーカスコード41Dとし、第2カーカスプライ42のカーカスコードを第2カーカスコード42Dとする。
【0018】
第1カーカスプライ41は、トレッド部1からサイドウォール部2を経て、ビード部3に至り、その両端部がビードコア31で折り返されて係止されている。そのため、第1カーカスプライ41は、一対のビードコア31間に跨るトロイド状の本体部41Aと、本体部41Aの両端からビードコア31の周りに折り返された折返し部41Bを備える。折返し部41Bは、ビードコア31の周りにタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返されている。
【0019】
第2カーカスプライ42は、トレッド部1からサイドウォール部2を経て、ビード部3に至り、その両端部がビードコア31で折り返されて係止されている。そのため、第2カーカスプライ42は、一対のビードコア31間に跨るトロイド状の本体部42Aと、本体部42Aの両端からビードコア31の周りに折り返された折返し部42Bを備える。折返し部42Bは、ビードコア31の周りにタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返されている。
【0020】
第1カーカスプライ41は、タイヤ子午線方向MDに沿って配された第1カーカスコード41Dを含み、該第1カーカスコード41Dを子午線方向MDに対して傾斜する方向に沿って配した第1傾斜領域41Cをサイドウォール部2に有する。詳細には、
図2に示すように、第1カーカスプライ41の第1カーカスコード41Dは、子午線方向MDに配列され、即ち引き揃えられた複数本のカーカスコード41Dのタイヤ周方向CDに対する角度が実質的に90°であることを基本とする。かかる基本配列を持つ第1カーカスコード41Dは、両側のサイドウォール部2において子午線方向MDに対して傾斜して配列した部分を有しており、これにより両側のサイドウォール部2にそれぞれ第1傾斜領域41Cが形成されている。この例では、両側の第1傾斜領域41Cのカーカスコード41Dは子午線方向MDに対して同じ向きに傾斜しているが、逆向きに傾斜させてもよい。第1傾斜領域41C以外の領域では、第1カーカスコード41Dは子午線方向MDに配列されている。
【0021】
第1傾斜領域41Cにおける第1カーカスコード41Dの傾斜角度は特に限定しないが、タイヤ周方向に対する角度θ1が、成形前のカーカスプライ部材における角度として70°〜80°であることが好ましく、加硫後のタイヤにおける角度として60°〜75°であることが好ましい。
【0022】
第2カーカスプライ42は、タイヤ子午線方向MDに沿って配された第2カーカスコード42Dを含み、該第2カーカスコード42Dを子午線方向MDに対して傾斜する方向に沿って配した第2傾斜領域42Cをサイドウォール部2に有する。詳細には、
図2に示すように、第2カーカスプライ42の第2カーカスコード42Dは、子午線方向MDに配列されることを基本とするが、両側のサイドウォール部2において子午線方向MDに対して傾斜して配列した部分が設けられており、これにより両側のサイドウォール部2にそれぞれ第2傾斜領域42Cが形成されている。この例では、両側の第2傾斜領域42Cのカーカスコード42Dは子午線方向MDに対して同じ向きに傾斜しているが、逆向きに傾斜させてもよい。第2傾斜領域42C以外の領域では、第2カーカスコード42Dは子午線方向MDに配列されている。
【0023】
第2傾斜領域42Cにおける第2カーカスコード42Dの傾斜角度は特に限定しないが、タイヤ周方向に対する角度θ2が、成形前のカーカスプライ部材における角度として70°〜80°であることが好ましく、加硫後のタイヤにおける角度として60°〜75°であることが好ましい。
【0024】
第1傾斜領域41Cにおける第1カーカスコード41Dと第2傾斜領域42Cにおける第2カーカスコード42Dは、この例では、傾斜角度の大きさが同じ(即ち、θ1=θ2)でかつ子午線方向MDに対する傾斜が逆向きに設定されている。
【0025】
図示は省略するが、各カーカスコード41D,42Dの角度が変化する境界部(即ち、第1傾斜領域41Cとその両側の一般部との境界、及び第2傾斜領域42Cとその両側の一般部との境界)は、屈曲によるコード疲労破壊を抑制するために、カーカスコード41D,42Dが曲率半径を持つ湾曲部を介して曲げられている。
【0026】
図1及び
図3に示すように、第1傾斜領域41Cと第2傾斜領域42Cは、傾斜した第1カーカスコード41Dと第2カーカスコード42Dが交差するようにサイドウォール部2において重なり合っている。この例では、第1傾斜領域41Cと第2傾斜領域42Cは子午線方向MDの全体で重なり合っており、両者41C,42Cの上端(即ち、外周端)の位置及び下端(即ち、内周端)の位置がそれぞれ一致している。
【0027】
図1に示すように、第1傾斜領域41Cと第2傾斜領域42Cは、この例では、ベルト端11Eからビードフィラー32の先端32Aまでの範囲R0内に設けられている。すなわち、第1傾斜領域41Cと第2傾斜領域42Cを重ね合わせたコード交差部43が、ベルト端11Eとビードフィラー先端32Aとの間の範囲R0内に設けられている。ここで、ベルト端11Eとは、ベルト11のタイヤ幅方向端であり、この例では、最大幅ベルトである第1ベルトプライ11Aのタイヤ幅方向における端末である。ビードフィラー32の先端32Aとは、ビードフィラー32のタイヤ径方向外端である。
【0028】
より詳細には、この例では、第1傾斜領域41Cと第2傾斜領域42Cとからなるコード交差部43は、ベルト端11Eからタイヤ最大幅位置24までの範囲R1内に設けられている。ここで、タイヤ最大幅位置24とは、タイヤを正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態でタイヤ断面の幅が最大になる子午線方向での位置であり、リムプロテクター22などの突起を除いた基本プロファイルでの幅が最大になる位置である。
【0029】
コード交差部43の上端(即ち、外周端)43Aは、バットレスライン23に相当する位置23Aよりも外径側に位置することが好ましい。この例では、外周端43Aは、ベルト端11Eとバットレスライン23に相当する位置23Aとの間に位置しており、より詳細にはベルト端11Eの近傍に位置している。一方、コード交差部43の下端(即ち、内周端)43Bは、タイヤ最大幅位置24よりも内径側に位置してもよいが、この例では、タイヤ最大幅位置24又はそれよりも外径側に位置しており、より詳細にはタイヤ最大幅位置24に設定されている。ここで、バットレスライン23に相当する位置23Aとは、
図1に示すタイヤ子午線断面において、カーカスプライの外形ラインの法線がバットレスライン23を通るときの当該法線の位置である。
【0030】
本実施形態では、第2カーカスプライ42のトッピングゴムの硬度が第1カーカスプライ41のトッピングゴムの硬度よりも大きく設定されている。その際、第1及び第2カーカスプライ41,42のトッピングゴム配合をそれぞれ表裏同一配合として、第2カーカスプライ42のトッピングゴムの硬度を第1カーカスプライ41のトッピングゴムの硬度よりも大きく設定してもよいが、第1及び第2カーカスプライ41,42のトッピングゴム配合をそれぞれ表裏異配合として、これら4層のゴム配合を、タイヤの内面側から外面側に向かって順次硬度が高くなるように設定してもよい。
【0031】
すなわち、
図4に示すように、第1カーカスプライ41のトッピングゴムを第1内側ゴム層41Eと第1外側ゴム層41Fとの2層構造とし、第2カーカスプライ42のトッピングゴムを第2内側ゴム層42Eと第2外側ゴム層42Fとの2層構造として、第1内側ゴム層41E、第1外側ゴム層41F、第2内側ゴム層42E及び第2外側ゴム層42Fの順に硬度が大きくなるように設定することが好ましい。
【0032】
これらトッピングゴムの硬度自体は特に限定しないが、例えば、第1カーカスプライ41のトッピングゴムの硬度(H
1)を45〜65とし、第2カーカスプライ42のトッピングゴムの硬度(H
2)を60〜80としてもよい(但し、H
1<H
2)。また、上記4層構造の場合、第1内側ゴム層41Eの硬度(H
11)を45〜60とし、第1外側ゴム層41Fの硬度(H
12)を50〜65とし、第2内側ゴム層42Eの硬度(H
21)を60〜75とし、第2外側ゴム層42Fの硬度(H
22)を65〜80に設定してもよい(但し、H
11<H
12<H
21<H
22)。ここで、硬度は、JIS K6253−3に準拠したタイプAデュロメータによる常温(23℃)での硬度である。
【0033】
以上よりなる本実施形態であると、サイドウォール部2において第1カーカスプライ41と第2カーカスプライ42にカーカスコード41D,42Dを傾斜させて互いに交差させた第1及び第2傾斜領域41C,42Cを設けたので、横剛性を高めて操縦安定性を向上することができる。しかも、第1及び第2カーカスプライ41,42の全体を傾斜させるのではないため、縦剛性の上昇を抑えることができ、乗り心地性やトラクション性の低下を抑えることができる。
【0034】
また、カーカスプライ4のトッピングゴムをタイヤ内面側から外面側に向けて順次ゴム硬度が高くなるようにしたので、軟らかい内面側によりサイドウォール部2を撓み方向においてフレキシブルにすることができ、即ち縦剛性の上昇を抑えることができるので、乗り心地性を改善することができる。また、外面側で硬くしたことにより、タイヤに横力が作用したときにサイドウォール部2の外面側における引張方向の剛性を高めて倒れ込みを抑制することができ、操縦安定性を向上することができる。
【0035】
本実施形態によれば、また、第1傾斜領域41Cと第2傾斜領域42Cを、ベルト端11Eからビードフィラー32の先端32Aまでの範囲R0内に設けており、操縦安定性の向上に対する寄与の大きい部位で第1及び第2カーカスコード41D,42Dに傾斜を付与したので、操縦安定性を効果的に向上することができる。また、その他の部位については、第1及び第2カーカスコード41D,42Dを子午線方向MDに沿って設けたので、カーカスプライ4の全領域でカーカスコードを傾斜させる場合に比べて、カーカスコードの長さを短くすることができ、タイヤ重量の軽減に繋がる。
【0036】
本実施形態によれば、また、第1傾斜領域41Cと第2傾斜領域42Cとからなるコード交差部43を、ベルト端11Eからタイヤ最大幅位置24までの範囲R1内に設けることにより、バットレスライン23近傍のタイヤバットレス部におけるタイヤ外面側の剛性を効果的に高めることができる。タイヤに横力がかかったときに歪みが大きいのはバットレス部のタイヤ外面側であるため、バットレス部を含む上記範囲R1に剛性向上に寄与するコード交差部43を設け、かつそのトッピングゴム硬度をタイヤ外面側で高くすることにより、より効果的に横剛性を向上することができる。また、タイヤ最大幅位置24よりも内径側では、第1及び第2カーカスコード41D,42Dを基本配列である子午線方向MDでの配列としたことにより、縦剛性の過度な上昇を抑える点で有利である。
【実施例】
【0037】
上記実施形態の効果を示すために、実施例及び比較例の空気入りタイヤ(サイズ:225/40R18)を試作した。
【0038】
実施例1のタイヤは、
図1〜4に示す上記実施形態の構成を持つものであり、第1傾斜領域41Cと第2傾斜領域42Cでの第1及び第2カーカスコード41D,42Dのタイヤ周方向に対する傾斜角度θ1,θ2は、加硫後のタイヤにおける角度で67°とした。また、第1及び第2カーカスプライ41,42のトッピングゴムの硬度は、160℃×30分で加硫したゴムサンプルについて測定した値として、第1内側ゴム層41Eの硬度(H
11)が50、第1外側ゴム層41Fの硬度(H
12)が58、第2内側ゴム層42Eの硬度(H
21)が67、第2外側ゴム層42Fの硬度(H
22)が74のものを用いた。
【0039】
比較例1は、第1及び第2カーカスプライ41,42のカーカスコード41D,42Dをともに全ての領域で子午線方向に沿って配列し傾斜領域を設けていないフルラジアル構造の例であり(タイヤ周方向に対するカーカスコードの角度:90°)、第1及び第2カーカスプライ41,42のトッピングゴムとしてゴム硬度が全て61のものを用い、その他の構成は実施例1と同じ構成とした。
【0040】
比較例2は、第1及び第2カーカスプライ41,42のカーカスコード41D,42Dをともに全ての領域でタイヤ周方向に対して67°(加硫後のタイヤにおける角度)に傾斜させて配列したセミラジアル構造の例であり、第1及び第2カーカスプライ41,42のトッピングゴムとしてゴム硬度が全て61のものを用い、その他の構成は実施例1と同じ構成とした。
【0041】
比較例3は、実施例1と同じコード傾斜構造を持つが第1及び第2カーカスプライ41,42のトッピングゴムとしてゴム硬度が全て61のものを用いた例であり、その他の構成は実施例1と同じ構成とした。
【0042】
実施例及び比較例の各空気入りタイヤについて、操縦安定性、耐久性、縦剛性及び横剛性を測定・評価した。測定・評価方法は以下のとおりである。
【0043】
・操縦安定性:試験タイヤを国産2Lセダン車に装着して、実車による官能評価を行った。評価結果は、比較例を100とした指数で表示し、指数が大きいほど操縦安定性が良好であることを示す。
【0044】
・耐久性:米国自動車安全基準FMVSS139に定める条件に準拠し、ドラム式試験機にて耐久性試験を行い、タイヤに故障が発生するまでの走行距離を測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど耐久性が良好であることを示す。
【0045】
・縦剛性(タイヤ径方向剛性):50t剛性試験機にタイヤを18×8.0Jのリムに、空気圧:220kPaで組み付け、キャンバー角0°の状態で、縦荷重が4.4kN±490Nの間における鉛直力の変化量を鉛直方向の縦撓みの変化量で除することで求め、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、縦剛性が大きいことを示す。
【0046】
・横剛性(タイヤ幅方向剛性):50t剛性試験機にタイヤ内圧:220kPa、リム:18×8.0J、縦荷重4.4kNをかけた状態で、該縦荷重の30%の荷重を横力として負荷して横撓み量を測定し、横力を横撓み量で除することで横剛性を求め、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、横剛性が大きいことを示す。
【0047】
【表1】
【0048】
結果は、表1に示す通りであり、フルラジアル構造である比較例1に対し、カーカスコードを全ての領域で傾斜させた比較例2では、操縦安定性には優れたものの、横剛性だけでなく、縦剛性も大きく上昇していた。そのため、乗り心地性やトラクション性に劣るものであった。また、比較例2では耐久性にも劣っていた。比較例3では、サイドウォール部のみにコード交差部を設けたので、比較例2に対して縦剛性の上昇が抑えられたが、不十分であった。これに対し、本実施形態に係る実施例1であると、縦剛性の上昇を抑えながら、横剛性を向上させることでき、そのため、乗り心地性やトラクション性の悪化を抑えながら、操縦安定性を向上することができた。また、耐久性の悪化も抑制されていた。
【0049】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。