(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-104090(P2018-104090A)
(43)【公開日】2018年7月5日
(54)【発明の名称】カセット式液状物充填用複合容器
(51)【国際特許分類】
B65D 77/06 20060101AFI20180608BHJP
【FI】
B65D77/06 H
B65D77/06 L
B65D77/06 D
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-237022(P2017-237022)
(22)【出願日】2017年12月11日
(31)【優先権主張番号】特願2016-252229(P2016-252229)
(32)【優先日】2016年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】307028493
【氏名又は名称】株式会社悠心
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二瀬 克規
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AA04
3E067AB26
3E067AB81
3E067AB96
3E067BA05C
3E067BA12B
3E067BB01C
3E067BB15B
3E067BB15C
3E067BB16B
3E067BB25B
3E067BB25C
3E067CA24
3E067EA04
3E067EA06
3E067EB03
3E067EB07
3E067EB11
3E067EB32
3E067EC05
3E067EC21
3E067EE40
3E067EE59
3E067FA04
3E067FC01
3E067GD01
3E067GD06
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】包装体のみの交換が容易にできると共に、手加減なしに外容器を掴んだ場合であっても、被包装物の不測の飛び出しを十分に防止することができ、被包装物の注出量を手指による押圧によって最後までコントロールしながら吐出させること。
【解決手段】フィルム状の注出ノズルが、包装袋本体の側部または頂部に突設された包装袋に液状または粘稠状の被包装物を充填してなる包装体と、上端部がほぼ板状で、胴部が山折線を介してほぼ扁平な断面六角形状の中間筒とが、該包装体の上端部の少なくとも一部が該中間筒の内側に係止されて一体化してなるカセット中間容器と、胴部の断面形状が水滴状ないしは涙滴状をなす外容器と、からなり、前記カセット中間容器は、前記外容器中に着脱可能に嵌合していること。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質フィルムからなるフィルム状の注出ノズルが、軟質の包装袋本体の側部または頂部に突設された包装袋に液状または粘稠状の被包装物を充填してなる包装体と、上端部がほぼ板状で、胴部が山折線を介してほぼ扁平な断面六角形状の中間筒とが、該包装体の上端部の少なくとも一部が該中間筒の内側に係止されて一体化してなるカセット中間容器と、
胴部の断面形状が水滴状ないしは涙滴状をなす外容器と、
からなり、前記カセット中間容器は、前記外容器中に着脱可能に嵌合していることを特徴とするカセット式液状物充填用複合容器。
【請求項2】
前記中間筒は、下端部に対角線の方向へ突出する一対の内向きフランジ状の底板を有すること特徴とする請求項1に記載のカセット式液状物充填用複合容器。
【請求項3】
前記中間筒と前記外容器とは、該中間筒または該外容器のいずれか一方に設けられた掛合片と、該中間筒または該外容器のうちのもう一方に設けられた掛合孔とにより着脱可能に嵌合していることを特徴とする請求項1または2に記載のカセット式液状物充填用複合容器。
【請求項4】
前記外容器は、上端内側面に、前記中間筒上端部を両側面から挟持するための1対の挟持爪を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカセット式液状物充填用複合容器。
【請求項5】
前記外容器は、下端部に着脱式の底枠が嵌め入れられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカセット式液状物充填用複合容器。
【請求項6】
前記外容器は、胴部下部に横方向に延びる複数のスリットが設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカセット式液状物充填用複合容器。
【請求項7】
前記外容器は、少なくとも一方の側部に、縦方向に所定の間隔をあけて複数のスリットが設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のカセット式液状物充填用複合容器。
【請求項8】
前記注出ノズルは、積層構造の軟質積層フィルムからなり、かつ該積層フィルムを表裏に重ね合わせた状態で、基端部分を除いて周縁部で熱融着させて中央部が注出通路として区画形成されたものであり、
前記注出通路を横切って形成される開口予定位置から基端部側に4mm以内の先端側の位置に、注出通路を横切って延在し、該表裏の積層フィルムの相互の密着によって該注出通路を遮断する押圧加工部が設けられていて、該押圧加工部は、包装袋本体側から流入した液状または粘稠状の被包装物の液圧に応じて前記表裏の積層フィルムを相互に離反させて、前記注出通路を開通させるシール弁であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のカセット式液状物充填用複合容器。
【請求項9】
前記注出ノズルは、包装袋本体内の液状または粘稠状の被包装物の注出を、該包装袋本体の傾動または包装袋本体胴部への押圧によって外気を吸い込むことなく行うと共に、包装袋本体の起立復帰または包装袋本体への押圧の解除に基づく注出の停止に当っては、該注出ノズルの注出通路内面を、前記液状または粘稠状の被包装物の薄膜の介在下で直ちに密閉することにより、包装袋本体への外気の侵入を阻止するセルフシール機能を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のカセット式液状物充填用複合容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液状または粘稠状の飲食品、化学品、医薬品、化粧品等の液状物が充填されてなる包装体の交換が容易にできると共に、たとえ容器を強く握った場合であっても、前記液状物からなる被包装物の不測の飛び出しを防止することのできるカセット式液状物充填用複合容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軟質包装袋とこれを支持する外容器とからなる液状物充填用包装容器は、内容器(袋)と外容器とが一体化したものがよく知られている。
【0003】
例えば、軟質フィルムからなる注出ノズルおよびこれを具える包装袋については、特許文献1および特許文献2に開示されたようなものがある。これらの文献に開示されている包装袋は、注出ノズルが、包装袋内の液状の被包装物の注出中はもちろん、注出前および注出後における包装袋内への外気の侵入を阻止するセルフシール機能を有し、該注出ノズルの先端から包装袋の傾動によって簡単に液状の被包装物を注出することができるように構成されている。
【0004】
ただし、こうした包装袋はいずれも軟質のフィルムにて構成され、該包装袋内に液状物を充填した包装体は、自立性も定型性もないため、使用に際しては、該包装体を収納保持して自立性を付与するための硬質な外容器が必要であり、その外容器内に一体的にかつ分離できない態様で、即ち、固定して組み合わされた製品として提供されるのが普通である。かかる外容器としては、例えば特許文献3に示したものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4392198号公報
【特許文献2】特許第4996815号公報
【特許文献3】特許第5669981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3の外容器は、収納した非自立形の前記包装体を、該包装体の上端位置において挟持して該外容器内に固定するように構成されている。そのため、被包装物の残量が少なくなって、被包装物の注出に際し、外容器を傾動させる角度が大きくなってくると、包装体の底部が外容器の上部に向かってずり落ちてきて、被包装物が多量に注出されたり、被包装物の注出量のコントロールができなくなる場合があった。
【0007】
また、特許文献3の外容器は、緊締手段によって注出ノズルの注出通路を密閉することで、注出ノズル先端の開封後の意図しない倒伏等に対して被包装物の漏出を阻止することができるが、該緊締手段を外した状態で、手加減なしに外容器を掴んだ場合には、被包装物が飛び出して、周囲を汚損するおそれがあった。
【0008】
そこで、この発明の第1の目的は、内側の包装体(包装袋+液状物)のみの交換が容易にできるカセット式液状物充填用複合容器を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、手加減なしに外容器を掴んだ場合であっても、被包装物の不測の飛び出しを十分に防止することができ、被包装物の注出量を手指による押圧によって最後までコントロールしながら吐出させることのできるカセット式液状物充填用複合容器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的の実現に向けた研究の中で、発明者は、次のような要旨構成に係る本発明に想到した。即ち、本発明は、軟質フィルムからなるフィルム状の注出ノズルが、軟質の包装袋本体の側部または頂部に突設された包装袋に液状または粘稠状の被包装物を充填してなる包装体と、上端部がほぼ板状で、胴部が山折線を介してほぼ扁平な断面六角形状の中間筒とが、該包装体の上端部の少なくとも一部が該中間筒の内側に係止されて一体化してなるカセット中間容器と、胴部の断面形状が水滴状ないしは涙滴状をなす外容器と、からなり、前記カセット中間容器は、前記外容器中に着脱可能に嵌合していることを特徴とするカセット式液状物充填用複合容器を要旨構成とするものである。
【0010】
また、本発明は、
(1)前記中間筒は、下端部に対角線の方向へ突出する一対の内向きフランジ状の底板を有すること、
(2)前記中間筒と前記外容器とは、該中間筒または該外容器のいずれか一方に設けられた掛合片と、該中間筒または該外容器のうちのもう一方に設けられた掛合孔とにより着脱可能に嵌合していること、
(3)前記外容器は、上端内側面に、前記中間筒上端部を両側面から挟持するための1対の挟持爪を有していること、
(4)前記外容器は、下端部に着脱式の底枠が嵌め入れられていること、
(5)前記外容器は、胴部下部に横方向に延びる複数のスリットが設けられていること、
(6)前記外容器は、少なくとも一方の側部に、縦方向に所定の間隔をあけて複数のスリットが設けられていること、
(7)前記注出ノズルは、積層構造の軟質積層フィルムからなり、かつ該積層フィルムを表裏に重ね合わせた状態で、基端部分を除いて周縁部で熱融着させて中央部が注出通路として区画形成されたものであり、前記注出通路を横切って形成される開口予定位置から基端部側に4mm以内の先端側の位置に、注出通路を横切って延在し、該表裏の積層フィルムの相互の密着によって該注出通路を遮断する押圧加工部が設けられていて、該押圧加工部は、包装袋本体側から流入した液状または粘稠状の被包装物の液圧に応じて前記表裏の積層フィルムを相互に離反させて、前記注出通路を開通させるシール弁であること、
(8)前記注出ノズルは、包装袋本体内の液状または粘稠状の被包装物の注出を、該包装袋本体の傾動または包装袋本体胴部への押圧によって外気を吸い込むことなく行うと共に、包装袋本体の起立復帰または包装袋本体への押圧の解除に基づく注出の停止に当っては、該注出ノズルの注出通路内面を、前記液状または粘稠状の被包装物の薄膜の介在下で直ちに密閉することにより、包装袋本体への外気の侵入を阻止するセルフシール機能を有すること、
を採用することがより好ましい解決手段になるものと考えられる。
【発明の効果】
【0011】
この発明の第1の特徴は、前記の要旨構成に係るカセット式液状物充填用複合容器を採用したことにある。このような構成の複合容器によれば、カセット中間容器ごと交換するように構成されているため、従来のように定型性も自立性もない包装体を取り扱う必要がなく、需要者自身が、安心して取り替え作業を行うことができると共に、注出ノズルの位置合わせを必要とせず、外容器内にカセット中間容器を嵌め込むだけで簡単に交換作業を行うことができる。即ち、本発明によれば、カセット中間容器を外容器から取り出して新しいものと交換することだけで簡単に被包装物を補充することができる。
【0012】
また、本発明によれば、前記カセット中間容器と前記外容器の断面形状が異なっているため、両者の間に空間が確実に確保されることになり、意図せず、外容器の胴部を掴む場合があったとしても、該空間によってその把持力を緩衝することができるため、カセット中間容器が直接的に押圧されることがなく、包装体内に充填された被包装物の不測の飛び出しを十分に阻止することができる。即ち、本発明のカセット式液状物充填用複合容器では、被包装物の吐出に際して2段階の押圧操作(2段プッシュモーション)が必要となり、1段目で該複合容器を手指で把持しながら持ち上げ(このとき、力が入り過ぎても被包装物が飛び出すことがない)、2段目で該複合容器の胴部を手指でゆっくりと前記カセット中間容器に到達するまで押圧することで初めて意図した吐出を得ることができる。
【0013】
また、本発明によれば、非自立性の包装体が扁平な断面六角形状からなる中間筒によって囲繞されているため、被包装物の注出に際して、前記外容器を傾動等させても、前記包装体が傾動方向へずれ落ちることがなく、被包装物を最後まで注出量をコントロールしながら注出することができる。
【0014】
また、本発明によれば、前記中間筒の下端部分に対角線方向へ突出する少なくとも一対の底板を設けたことで、該中間筒に自立性を付与することができると共に、該中間筒の内側に係止される包装体下端の両側縁が外部に突出するのを抑制することができるため、前記カセット中間容器を、前記外容器に嵌め入れた際の、該包装体下端の側縁部の飛び出しを防止し、カセット式液状物充填用複合容器の自立性を向上させることができる。なお、本発明のカセット式液状物充填用複合容器の自立性は、前記外容器の底部に着脱式の底枠を設けた場合にも向上させることができる。
【0015】
また、本発明によれば、前記カセット中間容器と前記外容器とを、それぞれに設けた掛合片と掛合孔との嵌合によって一体化することで両者をしっかりと固着することができるため、該外容器からの該カセット中間容器のずり落ちや脱落等を防止することができる。
【0016】
また、本発明によれば、前記外容器の上端内側面に1対の挟持爪を設け、該挟持爪によって前記中間筒の上端部を挟持することで、該外容器の底部から前記カセット中間容器を嵌め込むだけで両者を簡単に固定することができ、該カセット中間容器を、外容器内に簡単に取り付けおよび取り外しすることができるため交換作業を簡素化することができる。
【0017】
また、本発明においては、前記外容器の胴部下部に複数のスリットを設けた場合、外容器を手指で押圧した際に、該スリット部分が優先的に変形するため、他の部分が意図せず変形や破損等するのを抑制することができると共に、該スリット部分から被包装物の残量を目視で確認することができる。
また、前記外容器の胴部側部の少なくとも一方に、縦方向に所定の間隔をあけて複数のスリットを設けた場合にも上記と同様の効果が期待できると共に、外容器の側部位置が折畳み易くなり、該外容器が剛性を有する材料からなる場合でも平坦になるまで押し潰して、包装体内の液状物を手指による押圧によって最後まで押し出すことができる。
【0018】
また、この発明によれば、包装体の頂部または側部に突設された注出ノズルに、その注出通路を横切って延びてシール弁として機能する押圧加工部を設けたことにより、表裏の軟質フィルムに相互の密着をもたらし、該注出通路が遮断されて、前記外容器が不測に倒伏等したとしても被包装物の漏れ出しのおそれを十分に取り除くことができる。
【0019】
とくに、注出ノズルの先端開口の形成予定位置から4mm以内の位置に押圧加工部を設けていることから、表裏の軟質フィルムの密着時に先端開口近傍に残留する液状または粘稠状の被包装物が少なく、その被包装物のポタ落ちのおそれを十分に取り除くことができる。
【0020】
なお、前記押圧加工部は、表裏の軟質フィルムの一方を、他方に向けて押圧するか、表裏の軟質フィルムを同一方向に押圧するか、表裏のフィルムを相互に対向する向きに押圧することで形成することができ、例えば、断面山形状または断面台形状の屈曲部または変曲部とすることができる。この押圧加工部は、被包装物の吐出の際には、前記屈曲部または変曲部を構成する表裏の軟質フィルムが、液圧によって相互に離反すると共に伸びた状態となるが、被包装物の吐出の停止(未加圧)に伴って、該表裏の軟質フィルムが弾性復元力によって原形状へ戻り、相互に線状または面状に密着して注出ノズルの注出通路を自動的に遮断するのに有効である。
【0021】
なお、前記押圧加工部は、被包装物の吐出を停止すると、注出通路内の液状または粘稠状の被包装物の液圧の低下に伴って表裏の軟質フィルムどうしが弾性復元力によって迅速に密着するため、注出ノズルがセルフシール機能(逆止機能)を有する場合には、逆止注出ノズルの注出通路内表面どうしの密着がより迅速かつ確実になり、該セルフシール機能を向上させることができる。したがって、この場合には、逆止注出ノズルは前記セルフシール機能とシール弁である前記押圧加工部による2段のシール機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のカセット式液状物充填用複合容器の一実施形態を示すものであり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図である。
【
図2】カセット中間容器の一実施形態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は中間筒の底面図である。
【
図3】注出ノズルを有する包装袋の一実施形態示す図である。
【
図4】
図3のB−B線に沿う押圧加工部の断面を示す図であり、(a)は山形状の変局部からなり、(b)は台形状の屈曲部からなる。
【
図6】
図1のA−A線に沿う端面図であり、(a)は挟持爪の挟持面が平坦な場合、(b)は挟持面が凹凸状からなる場合を示す。
【
図7】外容器の他の実施形態を示す右側面図である。
【
図8】外容器の底部に取り付ける底枠の一実施形態を示すものであり(a)は平面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の液状物充填用のカセット式液状物充填用複合容器Cの一実施形態を示すものであり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図である。カセット式液状物充填用複合容器Cは、外容器16と図に点線で示すカセット中間容器10とから構成され、例えば、筒状からなる外容器16の底部開口を前記カセット中間容器10の上部に押し付けて嵌め入れることで、外容器16とカセット中間容器10とを簡単に一体化させることができる。
【0024】
まず、カセット式液状物充填用複合容器Cを構成するカセット中間容器10について説明する。カセット中間容器10は、
図2に示すように包装体4と該包装体4を収納する中間筒9とから構成され、両者は、ホットメルト、熱融着等によって係止9aさせることで一体化される。図では、包装体4と中間筒9とを2箇所で係止9aさせているが、包装体4の上端部の少なくとも1カ所で係止させればよく、好ましくは注出ノズル1の近傍位置において係止させる。
【0025】
包装体4は、注出ノズル1を包装袋本体2の頂部から突出させて設けた
図3に示す包装袋3内へ飲食物や薬剤、化粧品等の液状または粘稠状の被包装物を充填することで形成される。なお、注出ノズル1は、包装袋本体2の側部から突出させて設けてもよく、いずれの場合も、注出ノズル1の基端部1aの外表面のシーラント層を、包装袋本体2の内表面に融着させて接合させる。
【0026】
また、注出ノズル1は、周縁部分の熱融着部5により中央部に注出通路6が区画され、該熱融着部5の先端部に形成した、たとえばV字状のノッチ7から注出通路6の先端部分を、これも例えば手指等によって切除することで先端開口8が形成される。
【0027】
さらに、注出ノズル1は、先端開口8の形成位置から4mm以内の位置に押圧加工部28を設けることが好ましく、この押圧加工部28は、例えば、所要の形状に応じた横断面形状を有する押込刃によって、表裏の積層フィルム30、31を、同一方向または相互に対向する方向に所要の温度および圧力で加熱加圧して、屈曲または変曲させることにより、例えば、
図3のB−B線位置における断面図(
図4)に示すように、断面山形状(
図4(a))の変曲部や断面台形状(
図4(b))の屈曲部等から構成することができる。
その他、押圧加工部28を、表裏の積層フィルム30、31のうちの、例えば一方の積層フィルム30を、他方の積層フィルム31に向かって加熱加圧して屈曲または変曲させることにより構成してもよい。
【0028】
このように形成した屈曲部または変曲部からなる押圧加工部28は、被包装物の注出に際しては、表裏の積層フィルム30、31が、該被包装物の液圧によって相互に離反すると共に伸びた状態となるが、被包装物の注出の停止(未加圧)に伴って、弾性復元力によって原形状へと戻り、相互に線状または面状に密着し、注出ノズル1の注出通路6を自動的に遮断することができる。
【0029】
このような注出通路6に押圧加工部28を具えた注出ノズル1を用いれば、カセット式液状物充填用複合容器Cにおいて、外容器16を意図せず握った際の、包装体4内の被包装物の不測の飛び出しを有効に防止することができるだけでなく、該カセット式液状物充填用複合容器Cが不測に倒伏等しても被包装物の先端開口8からの漏れ出しを抑制することができる。
【0030】
ここで押圧加工部28は、前記したように先端開口8からの距離(X)が4mm以内となるように設ける。これは、距離(X)を4mm以内とすることで、先端開口8近傍に位置において、表裏の積層フィルム30、31が密着してシール弁としての機能を発揮し、カセット式液状物充填用複合容器Cの転倒時等における被包装物の不測の漏れ出しを抑制することができる。
【0031】
しかも、注出ノズル1がセルフシール機能を有する場合には、被包装物の吐出の停止に伴って外容器16を起立復帰させると、押圧加工部28位置の表裏の積層フィルム30、31が相互に密着する前に、注出通路6内および先端開口8近傍に残留する被包装物が、包装袋本体2内の減圧雰囲気に伴う負圧に晒されて包装袋本体2内に吸い込まれるため、先端開口8からのポタ落ちを有効に抑制することができるためより好ましい。
なお、セルフシール機能とは、包装体4内の被包装物の注出に際し、包装袋本体2自身の収縮ないしは潰れ変形によって液状または粘稠状の被包装物の注出の停止と同時に、該液状または粘稠状の被包装物によって濡れた注出ノズル1の注出通路6の内表面どうしが該被包装物による薄膜の介在下で自動的に相互に密着し、包装体4内への外気の侵入を阻止する逆止機能のことである。
【0032】
なお、押圧加工部28と、先端開口8との距離(X)が4mm超の場合には、被包装物の吐出を停止した際に、先端開口8およびその近傍に残留する被包装物が多くなり、該被包装物を包装袋本体2内に液引きすることができず、ポタ落ちが発生し易くなる。
一方、押圧加工部28から先端開口8までの距離(X)が短かすぎると、先端開口8近傍に所要の剛性を付与することができず、注出通路6を遮断できない場合があり、カセット式液状物充填用複合容器Cの転倒時等において被包装物の漏れ出しを確実に阻止できないおそれがあるため、距離(X)は1mm以上4mm以内とすることがより好ましい。
【0033】
なお、注出ノズル1は、ベースフィルム層と、このベースフィルム層を挟む表裏にそれぞれ積層した無延伸シーラント層とを具える三層以上の積層構造の平坦な積層フィルムから構成される。このベースフィルム層は、既知の、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルムまたはエチレンビニル共重合体フィルムにて構成することができ、また無延伸シーラント層は、これも既知のポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマーまたはエチレン酢酸ビニル共重合体にて構成することができ、これらのいずれによっても、先端開口8から4mm以内に、押圧加工部28によって所要の剛性を付与することができる。
【0034】
押圧加工部28は、注出通路6を横切って延びる1〜3条の、断面山形状や断面台形状の屈曲部または変曲部からなることが好ましい。これは、半円形をも含めて、屈曲部または変曲部を3条以上を形成すると、先端開口8近傍の積層フィルム30、31の密着力が高くなりすぎて、包装袋本体2側から流入した被包装物の液圧(自重)によって、前記表裏の積層フィルム30、31を相互に離反させることができず、注出通路6の自由な開通および被包装物の自由な注出が困難になるからである。
ここで、押圧加工部28が
図4(b)に示すような断面台形状からなる場合には、2条の稜線29の相互の隣接間隔(Y)を、剛性の確保のために0.5mm以下とすることが好ましい。これを言い換えれば、稜線相互の隣接間隔(Y)が大きくなりすぎると、押圧加圧部28の弾性復元力が不足して、漏れ止め機能等が十分に発揮されなくなる。
【0035】
このような注出ノズル1では、包装体4内に例えば1/5以上の被包装物が残留していることを条件に、カセット式液状物充填用複合容器Cを起立姿勢から75度を超えて傾動させた際に、被包装物の液圧が、押圧加工部28の密着力よりも高くなって、下方を向く注出通路6から自然に注出させることができる一方、傾動角度が75度以下となるように傾動復帰させることで、その注出を停止させることができる。
【0036】
なお、カセット式液状物充填用複合容器Cの起立姿勢からの傾動角度(床面と複合容器C底面とのなす角度)が75度以下の場合には、カセット式液状物充填用複合容器Cの胴部をカセット中間容器10に到達するまで直接的もしくは間接的に押圧することで、袋内の被包装物を所要に応じて注出することができる。同様に、包装体4内の、醤油等の被包装物の体積が、たとえば1/5未満に著しく減少して、カセット式液状物充填用複合容器Cを75度を超える角度で傾動させても、被包装物を円滑にして十分に注出することができない場合には、カセット式液状物充填用複合容器Cの胴部をカセット中間容器10に到達するまで直接的もしくは間接的に押圧して、前記被包装物の所要に応じた注出を行う。なお、この押圧による場合も、カセット式液状物充填用複合容器Cは、傾動姿勢とすることが注出位置を特定する上で好ましい。
【0037】
カセット式液状物充填用複合容器Cの傾動角度と、被包装物の注出状態は、押圧加工部28の吐出方向における密着長さを調節することで調整可能であり、その密着長さは0.5〜10.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜5.0mmである。
これは、密着長さが0.5mm未満では、押圧加工部28位置における表裏の積層フィルム30、31の相互の接触が少なすぎて、密着力が不足し、カセット式液状物充填用複合容器Cが転倒等した際に両者が簡単に離反してしまい、漏れ止め機能を発揮することができず、一方、10.0mm超の場合には、表裏の積層フィルム30、31の密着力が強くなりすぎて、液状または粘稠状の被包装物の吐出に際し、カセット式液状物充填用複合容器Cの胴部を強く押圧する必要がある等、自由な注出が困難になるからである。
【0038】
中間筒9は、
図2に示すように上端部分がほぼ板状をなし、胴部は山折線9bを介して、ほぼ扁平な断面六角形状からなる。なお、中間筒9は、上側部に切欠き部9cを有し、該切欠き部9cから注出ノズル1が突出するように構成されている。この切欠き部9cには、
図5の展開図に示すように保護片12を設けて、使用開始まで注出ノズル1を表裏から保護し、該注出ノズル1の折れ曲がりや破損等を防ぐようにしてもよい。なお、この中間筒9は、紙製、プラスチック製等によって形成することができ、包装体4に定型性を付与することができればどのような材料を用いてもよい。
【0039】
中間筒9の下端部分には、
図2(c)の底面図に示すような、長い対角線の方向へ突出する少なくとも一対のフランジ状の底板11を設けることが好ましく、この底板11によって、カセット中間容器10に自立性を持たせることができる。また、この底板11によってカセット中間容器10からの包装体4の下端側縁部分の突出を防止することができるため、該カセット中間容器10の自立性の低下を抑制する効果も発揮することができる。
【0040】
前記中間筒9は、例えば
図5に示す1枚のシート材13を山折線9bに沿って折り曲げることで簡単に組立てることができる。ここで、シート材13の下端縁から突出する突片14、15は、前記一対の底板11を形成するものであり、前記中間筒9の組み立てに際し、該突片14および突片15を、シート材13の下端縁に設けた折線26に沿って中間筒9の内側に折り込むことで簡単に底板11を形成することができる。
【0041】
なお、前記突片14および突片15にはそれぞれ、切り込み等からなる山折り線14a、15aと谷折り線14b、15bを設けておくことが好ましい。これによれば、前記したように突片14および突片15を折線26に沿って中間筒9の内側に折り込むと、自然に該山折り線14a、15aおよび谷折り線14b、15bに沿って突片14および突片15が折り畳まれることになり、包装体4の重みや、取り扱い時の衝撃等によって、底板11が底抜けするようなことがあっても、該突片14、15をテーブル面に押し付ける等することだけで簡単に底板11を中間筒9の内側に折り込むことができる。
なお、中間筒9は、
図5のようなシート材13を用いて形成する他、ブロー成形等によって一体成形により形成することもできる。
【0042】
次に、外容器16について説明する。
外容器16は、
図1(c)の底面図からも分かるように、胴部の断面形状が、尖頭部16aから次第に膨らんで尾端部16bが弧状の水滴状ないしは涙滴状からなり、該尖頭部16a側に前記カセット中間容器10の注出ノズル1が位置するように、該カセット中間容器10を嵌め入れる。これにより、使用に際しては、外容器16の前記尾端部16b側の弧状部分を把持することになり、手指への納まりがよく、しっかりと把持しながら被包装物を注出させることができる。
【0043】
外容器16とカセット中間容器10とは、胴部位置における断面形状が異なるため、
図1(b)に示すように、外容器16内にカセット中間容器10を嵌め入れると、該カセット中間容器10と外容器16との間に空間17が形成されることになる。そのため、外容器16を手加減なしに握っても、空間17が緩衝層として機能し、その押圧力が直接、カセット中間容器10に付加されることがなく、包装体4内の被包装物の不測の飛び出しを有効に防止することができる。
【0044】
なお、外容器16は、内側に嵌め入れるカセット中間容器10を交換することで複数回リサイクルして利用することができるように、高い剛性を有する材料、例えばバイオマスポリエチレン等のプラスチックや紙等によって形成することが好ましい。
【0045】
外容器16は、
図1(a)に仮想線(二点鎖線)で示すように、カセット中間容器10の注出ノズル1の突出位置に、該注出ノズル1を覆うように軸支ピン等によって旋回可能なキャップ27を設けてもよく、該キャップ27によれば、カセット式液状物充填用複合容器Cの保管時等において前記注出ノズル1の外部への露出を防止することができるため、該注出ノズル1に塵埃や細菌等が付着するおそれがなく、注出ノズル1および袋内の被包装物の汚損を抑制することができる。
【0046】
前記外容器16は、
図1(b)に示すように上部に向かって次第に狭幅となる形状の他、上部までほぼ同幅で形成してもよい。なお、外容器16は、
図1(a)のA−A位置における端面図(
図6)に示すように、外容器16の上端内側面に一対の挟持爪32を設け、該一対の挟持爪32の間に、カセット中間容器10の中間筒9上端(板状部分)を嵌め入れて挟持させるようにした場合には、外容器16内にカセット中間容器10を簡単に固定することができる一方、該カセット中間容器10のずれ落ちや脱落を防止することができる。なお、挟持爪32は、
図6(a)に示したように挟持面が平坦な形状からなるものの他、
図6(b)に示したように挟持面が鋸歯状等の凹凸を有する場合には、挟持した中間筒9上端部の滑り落ちを効果的に抑制することができる。
【0047】
また、例えば、
図1(a)に示すようにカセット中間容器10の中間筒9に掛合孔18を設ける一方、外容器16に掛合片19を設け、外容器16内にカセット中間容器10を嵌め入れた際に、該掛合孔18と掛合片19とが嵌合するようにした場合には、外容器16からのカセット中間容器10のずれ落ちや脱落を有効に防止することができる。なお、該掛合孔18と掛合片19はそれぞれ、反対側の部材に設けることもでき、またその形成位置は、とくに限定されるものではない。
【0048】
図7の外容器16の他の実施形態では、その尾端部側16b側面に、縦方向に間隔をあけて3つのスリット33が設けられている。このスリット33は、外容器16の尖頭部側16aおよび尾端部側16b側面の少なくとも一方に複数設けることが好ましい。スリット33によって、外容器16の側部が折畳み易くなり、外容器16が剛性を有するような材料からなる場合にも、外容器16を平坦になるまで押し潰すことができるため、外容器16胴部への手指による押圧によって、包装体4内の被包装物を最後まで押し出すことができ、残量を少なくすることができる。
【0049】
なお、全体としてほぼ水滴状ないしは涙滴状の外輪郭形状を有する外容器16の形状の維持および自立は、たとえば、外容器16下端部に一条以上の肥厚部を設けることや、
図1(c)に示すように外容器16の正面および背面の幅方向中央部を、下端から外容器16の少なくとも1/3の高さまで、帯状に厚肉(厚肉部16c)にすることにより行うことができる他、外容器16の下端に、
図8に示すような底枠20を嵌め込むことによって行うこともできる。
【0050】
なお、外容器16の正面および背面中央部を帯状に厚肉部16cとした場合には、使用に際して外容器16の胴部を挟持すると、厚肉部16cの剛性によって、その挟持力が直接、カセット中間容器10に伝わることがなく、被包装物が不測に飛び出すおそれがない一方、被包装物の吐出に際して厚肉部16cを手指で押圧すると、押圧した部分のみならず、帯状の厚肉部16c全体が押圧方向に作用する(動く)ことになるため、包装体4内の被包装物の残量が少なくなった場合にも小さな押圧力で被包装物を吐出させることができる。
【0051】
底枠20は、例えば
図8に示すように、その周縁部に設けた掛合突起21を、外容器16に設けた掛合孔(図示しない)に嵌め入れることで取り付けることができる。ここで、掛合突起21および掛合孔はそれぞれ、反対側の部材に設けることもできる。なお、
図8に示すところにおいて、22、23は補強リブを示す。
【0052】
なお、本発明のカセット式液状物充填用複合容器Cにおいては、
図2(a)に示すように、カセット中間容器10の中間筒9に包装体4内の被包装物の残量を視認するための上下方向の長孔24を一個所以上に設けると共に、外容器16に
図1(a)に示すように、横方向に延びる複数本のスリット25を設けることで、該長孔24およびスリット25を介して被包装物の残量を簡単に視認することができる。
なお、スリット25は、外容器16を手指で押圧した際に押圧力を緩衝し、他の部分が変形や破損等するのを抑制する機能も有している。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のカセット式液状物充填用複合容器は、飲料や医薬品、化学品、化粧品等の液状や粘稠状の液状物を充填包装するための詰め替え式容器として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 注出ノズル
1a 基端部
2 包装袋本体
3 包装袋
4 包装体
5 熱融着部
6 注出通路
7 ノッチ
8 先端開口
9 中間筒
9a 係止
9b 山折線
9c 切欠き部
10 カセット中間容器
11 底板
12 保護片
13 シート材
14、15 突片
14a、15a 山折り線
14b、15b 谷折り線
16 外容器
16a 尖頭部
16b 尾端部
17 空間
18 掛合孔
19 掛合片
20 底枠
21 掛合突起
22、23 補強リブ
24 長孔
25 スリット
26 折線
27 キャップ
28 押圧加工部
29 稜線
30、31 積層フィルム
32 挟持爪
33 スリット