特開2018-104992(P2018-104992A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 杉村 允生の特許一覧

<>
  • 特開2018104992-受水槽分割システム 図000003
  • 特開2018104992-受水槽分割システム 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-104992(P2018-104992A)
(43)【公開日】2018年7月5日
(54)【発明の名称】受水槽分割システム
(51)【国際特許分類】
   E03B 11/00 20060101AFI20180608BHJP
【FI】
   E03B11/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-252483(P2016-252483)
(22)【出願日】2016年12月27日
(11)【特許番号】特許第6126298号(P6126298)
(45)【特許公報発行日】2017年5月10日
(71)【出願人】
【識別番号】594137155
【氏名又は名称】杉村 允生
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】杉村 允生
(57)【要約】
【課題】一般給水用途の受水量と、業務用途受水量との、受水の重複時間帯に因る受水量の増加時の管径が、水道法に基づく引き込み口径UPによる施工量増加を回避する。
【解決手段】一般給水受水槽T1及び業務用受水槽T2は、どちらの受水槽T1,T2の貯溜水も主として日中使用であり、一般給水受水槽T1は、水位計により設定迄の減少値に到達後、受水開始動作が開始される。業務用受水槽T2では水位の減少指示は満減表示のみで、入り口弁Vは重複回避設定の解除後に、受水開始となる。業務用途対象域の弁Vの開閉は、運営形態によって設定されるが殆どは深夜から早朝が多いが、産業用途は一定でなく作業工程により決定されている。斯くて受水槽T1,T2の重複受水が回避されて、受水槽の給水の平準化が将来可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一日の給水量で決定される受水槽容量をもって貯水可能な受水槽を、一般給水で使用の一般給水量を貯水するための一般給水受水槽(T1)と、非飲用で使用の業務用途使用量を貯水するための業務用受水槽(T2)と、に分割して、上記一般給水受水槽(T1)が受水していない一般給水非受水状態において上記業務用受水槽(T2)にて受水することで、日最大給水量を平準化して、日受水量を減少させることなく水道水を使用可能に構成したことを特徴とする受水槽分割システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受水槽分割システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プール施設や産業施設等の業務用施設は、図2に示すように、水道水用の本管Gからの引き込み管Kzに取引計量器Mzを介して1つの受水槽T9に連結していた(例えば特許文献1の図1参照)。
このような業務用施設の受水槽T9に関して、水道法では、一日使用総給水量の50〜60%の貯溜計画を作成し、水道事業者に申請を行い、許可を得て本管Gより引き込み管Kzの施工が実施されていた。
日使用水量計算では、施設使用量の時間要素は考慮外で、施設使用量の日計算値の50%〜60%全量が、引き込み管Kzに取り付けられた取引計量器(流量計量器)Mz経由で、単独設置(1つ)の受水槽T9の経由により施設内に供給され、受水槽T9を経由しない受水は原則認可されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−163298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の業務用施設の受水槽は、本管分岐以後の装置及び器具類の小型化が図れず、また、本管からの分岐工事や、引き込み管及び取引計量器の接続といった配管工事に手間と時間がかかり、これらの初期導入費用が高い、そこで、本発明は、給水装置の受水量の平準化によって、初期導入費用を削減可能な受水槽分割システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の受水槽分割システムは、一日の給水量で決定される受水槽容量をもって貯水可能な受水槽を、一般給水で使用の一般給水量を貯水するための一般給水受水槽と、非飲用で使用の業務用途使用量を貯水するための業務用受水槽と、に分割して、上記一般給水受水槽が受水していない一般給水非受水状態において上記業務用受水槽にて受水することで、日最大給水量を平準化して、日受水量を減少させることなく水道水を使用可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、水源の多様性、工事の簡易化、工事費用の低減の効果が得られる。
一般給水日量は業務内容により、時間的な偏在を伴うことがあり、時間経過の中で受水槽の分割を考慮し、引き込み管経由の給水を計量器後で分岐し、分岐受水槽(業務用受水槽)に対する同時給水の重複回避処置で、給水量の日使用量(区分貯溜)に対する平準化をもたらしめれば、本管分岐以後の装置及び器具類の小型化が図れると共に、これらの経済性見地により分割槽の使用での多様性を生じ、用途別使用による分割は、業務用施設給水量に基づく、受水槽の規模との、複合容量設置に伴う重複の回避が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の一形態を示す構成図である。
図2】従来技術を説明するための構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明に係る受水槽分割システムは、図1に示すように、水道水用の本管G(水道本管Gや給水本管Gと呼ばれる場合もある)からの引き込み管Kaに取引計量器(水道メータ)Maを介して接続された共用給水管Saと、共用給水管Saの先端部に流入口が接続された分岐配管部(分岐部)Bと、分岐配管部Bの一方の流出口に基端部が接続された一般給水管S1と、分岐配管部Bの他方の流出口に基端部が接続された業務用給水管(分岐給水管)S2と、一般給水管S1の先端部に連通連結され一般給水管S1からの水道水を貯水(受水)するための一般給水受水槽T1と、業務用給水管S2の先端部に連通連結され業務用給水管S2からの水道水を貯水(受水)するための業務用受水槽T2と、を備えている。一般給水受水槽T1と業務用受水槽T2とは連通連結していない(一般給水受水槽T1と業務用受水槽T2との間で水道水は混流しない)。
【0009】
一般給水受水槽T1は、一般給水で使用の一般給水量(第1所定有効容量)を貯水可能である。一般給水とは、飲用水としてや、厨房、洗面、清掃等の雑用水等で使用される水である。
一般給水受水槽T1内の水道水は、第1ポンプP1及び第1給水管Lを介して、業務用施設内の各一般給水設備にも供給される。また、一般給水受水槽T1は、ボールタップ又は満水量センサー或いは満水検知器等により、満水になる(第1所定有効容量を貯水する)と、一般給水管S1からの受水を停止する。
【0010】
業務用受水槽T2は、非飲用で使用の業務用途使用量(第2所定有効容量)を貯水可能である。非飲用とは、例えば、業務用施設内の各業務用設備(例えば、プールや浴場)で使用される水である。
業務用受水槽T2は、第2ポンプP2及び第2給水管Fを介して、業務用施設内の各業務用設備に供給される。また、業務用受水槽T2はボールタップ等により、満水になる(第2所定有効容量を貯水する)と、業務用給水管S2からの受水を停止する。
【0011】
そして、一般給水量と、業務用途使用量と、の和が、業務用施設の1日の給水量(一日使用総給水量や日受水量とも呼ばれる場合もある)を超えないようにしている。つまり、一般給水量をW1とし、業務用途使用量をW2とし、1日の給水量をWaとすると、W1+W2<Waを満たすように、一般給水受水槽T1と業務用受水槽T2(の有効容量)を設定している。
より具体的には、一般給水量と業務用途使用量の和が、水道法により定まる受水槽容量(水道法準拠容量)であって、業務用施設の1日の給水量の40%以上60%以下、つまり、0.4Wa≦(W1+W2)≦0.6Wa、好ましくは、50%以上60%以下、つまり、0.5Wa≦(W1+W2)≦0.6Wa、としている。
言い換えると、水道法により定まる受水槽容量をWeとすると、We−W1=W2を満たすように設定している。なお、図2に示す従来技術の受水槽T9は、単独(1つ)で、水道法により定まる受水槽容量(We)を貯水するように構成している。
【0012】
さらに、図1に示すように、業務用受水槽T2に水道水を受水させるためのタイマー機能付きの開閉弁Vを備えている。
そして、一般給水受水槽T1が一般給水管S1から水道水を受水していない一般給水非受水状態において、開閉弁Vを開作動させて、業務用給水管S2からの水道水を業務用受水槽T2で受水するように設けている(制御可能としている)。
例えば、一般給水受水槽T1が、満水になり、業務用受水槽T2側の減水検知器作動の場合には、開閉弁Vが開作動して、業務用受水槽T2へ水道水が流れるように構成している。
また、開閉弁Vはタイマーの条件設定が可能であり、所定時間(時刻)の間、開作動又は閉作動可能な開閉弁である。
例えば、夜間に開閉弁Vが減水検知器作動によって開状態となった場合、業務用受水槽T2を翌朝迄に満水とし、日中の需要を満たす。他方、日中(昼間)は、業務用受水槽T2が受水をしないように開閉弁Vは閉状態とする。また、業務用受水槽T2を昼間非受水、夜間受水(給水)とするも良い。つまり、一般給水受水槽T1を昼夜受水槽とし、業務用受水槽T2を夜間専用受水槽とするも良い。業務用受水槽T2の受水は翌日分又は翌早朝分とする使用法も有る。
【0013】
また、飲用の他、経口用途の一般給水系統を主体とする受水槽から、業務用途系統を分離させ、一般給水受水槽T1と、業務用受水槽T2と、に分離する(W1+W2=Weとする)ことで、用途による受水時間帯を定めた、開閉弁Vの開閉により受水するもので、例えば、用途目的で翌日使用の給水では、開閉弁Vの開動作を一般給水系使用量の減少時間帯に行い、翌朝までに業務用受水槽T2内に貯溜させれば、一般給水系統との受水時間との重複は、回避出来て最大受水量の昼間の計量の増加は生じない。業務用施設として1日に受水する量(日受水量)を減少させずに、取引計量器Maを通過する水道水の日最大給水量を、平準化(均一化)している。
【0014】
以上のように、一日の給水量で決定される受水槽容量をもって貯水可能な受水槽を、一般給水で使用の一般給水量を貯水するための一般給水受水槽T1と、非飲用で使用の業務用途使用量を貯水するための業務用受水槽T2と、に分割して、上記一般給水受水槽T1が受水していない一般給水非受水状態において上記業務用受水槽T2にて受水することで、日最大給水量を平準化して、日受水量を減少させることなく水道水を使用可能に構成した。従って、一般給水用途の受水量と、業務用途受水量との、受水の重複時間帯に因る受水量の増加時の管径が、水道法に基づく引き込み口径UPによる施工量増加を齎すため、受水槽分割方式により施工量増加を回避できる。
【0015】
一般給水受水槽T1及び業務用受水槽T2は、どちらの受水槽T1,T2の貯溜水も主として日中使用であり、一般給水受水槽T1は、水位計により設定迄の減少値に到達後、受水開始動作が開始される。業務用受水槽T2では水位の減少指示は満減表示のみで、開閉弁Vは重複回避設定の解除後に、受水開始となる。業務用途対象域の開閉弁Vの開閉は、運営形態によって設定されるが殆どは深夜から早朝が多い、産業用途は一定でなく作業工程により決定されている。斯くて受水槽T1,T2の重複受水(同時受水)が回避されて、受水槽の受水(給水)の平準化が可能となる。
【0016】
なお、業務用受水槽T2内の水道水を、蓄温、蓄冷、機器類冷却等に用いるも良い。
また、業務用施設とは、プール施設、産業施設、医療施設、宿泊施設等々である。
【符号の説明】
【0017】
T1 一般給水受水槽
T2 業務用受水槽
B 分岐配管部
図1
図2