特開2018-105057(P2018-105057A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-105057(P2018-105057A)
(43)【公開日】2018年7月5日
(54)【発明の名称】太陽光発電装置を備えた屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20180608BHJP
   E04D 3/40 20060101ALI20180608BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20180608BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20180608BHJP
【FI】
   E04D13/18ETD
   E04D3/40 V
   H02S20/23 B
   H02S20/10 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-254474(P2016-254474)
(22)【出願日】2016年12月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄住金鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】蒲原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】分部 孝彦
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AA02
2E108AS02
2E108AZ01
2E108BN05
2E108CC02
2E108FF01
2E108GG09
2E108GG16
2E108KK01
2E108LL01
2E108MM05
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】太陽光発電装置の取り付け用に波板が取り付けられた構造において、波板と屋根下地との間に雨水が浸入するのを抑制できる太陽光発電装置を備えた屋根構造を提供する。
【解決手段】屋根下地1上に配置された複数の屋根材13のうち軒先から棟側に向かって一定範囲の屋根材13が省かれて装置取付部14が形成される。装置取付部14に対応するように、波板2の凹凸部23の長手方向が軒棟方向に平行となるように波板2が取り付けられる。波板2の上方に太陽光発電装置4が取り付けられる。屋根構造は、装置取付部14における屋根下地1の軒側の端部において、波板2と屋根下地1との間に取り付けられた下側水切り材6と、波板2の軒側の端部の上部に取り付けられた上側水切り材7とを有している。上側水切り材7の軒先側の先端は、下側水切り材6に所定の隙間を介して対向する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根下地上に配置された複数の屋根材のうち軒先から棟側に向かって一定範囲の屋根材が省かれた装置取付部が形成される屋根構造において、前記装置取付部に対応する部分に、波板の凹凸部の長手方向が軒棟方向に平行となるように前記波板が取り付けられ、前記波板の上方に太陽光発電装置が取り付けられた屋根構造であって、
前記装置取付部における前記屋根下地の軒側の端部において、前記波板と前記屋根下地との間に取り付けられた下側水切り材と、
前記波板の軒側の端部の上部に取り付けられ、軒先側の先端部が前記下側水切り材に所定の隙間を介して対向する上側水切り材と
を有している
ことを特徴とする太陽光発電装置を備えた屋根構造。
【請求項2】
前記上側水切り材は、
前記波板の軒側の端面の上半部に対向する縦板部と、
前記縦板部から軒側に突出し、突出先端が前記下側水切り材に所定の隙間を介して対向する延出部と
を有している
ことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置を備えた屋根構造。
【請求項3】
前記上側水切り材は、前記延出部が弾性変形可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽光発電装置を備えた屋根構造。
【請求項4】
前記波板の軒側の端部は、前記屋根下地の軒側の端部よりも棟側に位置している
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽光発電装置を備えた屋根構造。
【請求項5】
前記太陽光発電装置において軒棟方向に直交する方向の端面に対向する立設部をさらに備え、
前記立設部は、
前記屋根下地側に取り付けられた基台部と、
前記基台部に取り付けられ、前記屋根材における前記太陽光発電装置に対向する端部を上方から覆う覆い部と
を有し、
前記覆い部は、前記基台部に対して上下方向に高さ調整可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽光発電装置を備えた屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置を備えた屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の屋根構造が開示されている。この特許文献1記載の屋根構造は、屋根面上に太陽光発電装置(特許文献1では太陽電池モジュール)が設置されている。屋根面は、野地板等の屋根下地上に取り付けられた波板構造体と、この波板構造体の周囲に配置された複数の屋根材とで構成されている。
【0003】
波板構造体は、凹凸が左右方向に繰り返し形成されており、その凹凸形状が軒棟方向に一様に形成されている。この波板構造体の上方には、複数の取付金具を介して太陽電池モジュールが設置されている。
【0004】
このように、特許文献1記載の屋根構造は、太陽電池モジュールが設置される箇所においては、屋根材ではなく波板が取り付けられている。このため、特許文献1記載の屋根構造は、屋根材の上に太陽電池モジュールが設置された屋根構造に比べて、屋根下地等に掛かる重量を軽減することができる。その上、波板構造体は、凹凸形状が軒棟方向に延びているため、太陽電池モジュールの下方の通気性および断熱性を確保できる上に、排水性の低下も抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−117351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この従来の屋根構造は、波板構造体の凹凸が左右方向に繰り返し形成されており、屋根下地との間に通気用の隙間が存在する。この屋根下地と波板構造体との間の隙間は、軒下に開放している(以下、この開口を軒先開口という)。このため、従来の屋根構造では、この隙間の軒先開口を軒先側から覆う軒先側水切り材が設けられている。
【0007】
しかしながら、従来の屋根構造では、軒先側水切り材が軒先開口を軒先側から覆うのみであるため、例えば、壁面に沿って吹き上げる風に乗った雨水が、軒先開口に吹き込む場合があり、この場合、屋根下地側に雨水が浸入するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、太陽光発電装置の取り付け用に波板が取り付けられた構造において、波板と屋根下地との間に雨水が浸入するのを抑制できる太陽光発電装置を備えた屋根構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の太陽光発電装置を備えた屋根構造は、屋根下地上に配置された複数の屋根材のうち軒先から棟側に向かって一定範囲の屋根材が省かれた装置取付部が形成される屋根構造において、前記装置取付部に対応する部分に、波板の凹凸部の長手方向が軒棟方向に平行となるように前記波板が取り付けられ、前記波板の上方に太陽光発電装置が取り付けられた屋根の軒先構造であって、前記装置取付部における前記屋根下地の軒側の端部において、前記波板と前記屋根下地との間に取り付けられた下側水切り材と、前記波板の軒側の端部の上部に取り付けられ、軒先側の先端部が前記下側水切り材に所定の隙間を介して対向する上側水切り材とを有していることを特徴とする。
【0010】
また、この太陽光発電装置を備えた屋根構造において、前記上側水切り材は、前記波板の軒側の端面の上半部に対向する縦板部と、前記縦板部から軒側に突出し、突出先端が前記下側水切り材に所定の隙間を介して対向する延出部とを有していることが好ましい。
【0011】
また、この太陽光発電装置を備えた屋根構造において、前記上側水切り材は、前記延出部が弾性変形可能に構成されていることが好ましい。
【0012】
また、この太陽光発電装置を備えた屋根構造において、前記波板の軒側の端部は、前記屋根下地の軒側の端部よりも棟側に位置していることが好ましい。
【0013】
また、この太陽光発電装置を備えた屋根構造において、前記太陽光発電装置において軒棟方向に直交する方向の端面に対向する立設部をさらに備え、前記立設部は、前記屋根下地側に取り付けられた基台部と、前記基台部に取り付けられ、前記屋根材における前記太陽光発電装置に対向する端部を上方から覆う覆い部とを有し、前記覆い部は、前記基台部に対して上下方向に高さ調整可能に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の太陽光発電装置を備えた屋根構造によれば、太陽光発電装置の取り付け用に波板が取り付けられた構造において、波板と屋根下地との間に雨水が浸入するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態の太陽光発電装置を備えた屋根構造の一部拡大斜視図である。
図2図2は、同上の取付金具の斜視図である。
図3図3は、図1におけるD−D線断面図である。
図4図4Aは、図3におけるA部拡大図である。図4Bは、図4AのC−C線断面図である。
図5図5は、図3におけるB部拡大図である。
図6図6は、図1におけるE−E線断面図である。
図7図7A〜7Cは、施工方法を説明するための斜視図である。
図8図8は、変形例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態の屋根構造は、例えば、切妻屋根や、寄棟屋根、片流れ屋根等の屋根に適用される。屋根の上面(屋根面)は、勾配を有しており、棟から軒に向かって下り傾斜している。以下においては、この勾配方向(水流れ方向)に平行な方向を軒棟方向として定義し、軒棟方向に直交しかつ水平面に沿った方向を左右方向として定義する。また、屋根面に直交する方向を上下方向として定義する。
【0018】
なお、本実施形態において棟とは、屋根において最も高い部分を言うものとし、例えば、片流れ屋根の頂上部分も含む。また、軒とは、屋根における外壁側の端部を言うものとし、例えば、屋根において外壁面からの突出寸法が小さい、いわゆる「軒ゼロ」タイプの屋根においても軒を有するものとする。
【0019】
本実施形態の屋根構造は、図1に示すように、屋根下地1と、複数の屋根材13と、波板2と、太陽光発電装置4と、下側水切り材6と、上側水切り材7と、を備えている。
【0020】
屋根下地1は、複数の屋根材13,波板2および太陽光発電装置4を支持する。屋根下地1の上面は、水平面に対して傾斜しており、具体的には、棟から軒に向かって下り傾斜している。屋根下地1は、野地板11と、防水シート12とを備えている。
【0021】
野地板11は、軒棟方向および横方向に延びており、例えば、矩形板状に形成された合板により構成される。野地板11は、複数の垂木に支持される。
【0022】
防水シート12は、野地板11上に敷かれる。防水シート12は、例えば、アスファルトルーフィングや、ゴムシートにより構成される。防水シート12は、野地板11上に敷かれることで、万が一、屋根材13間の隙間や軒先等から雨水が浸入したとしても、雨水が室内側へ浸入するのを防ぐことができる。
【0023】
屋根下地1の上方には、複数の屋根材13が配置され、固定されている。本実施形態の屋根材13は、横葺き用の屋根材13であり、左右方向に延びた矩形板状に形成されている。屋根材13の長手方向は、左右方向に平行となるように配置される。複数の屋根材13は、左右方向に直線状に配置されていると共に、軒棟方向に沿って複数段となるように並設されている。
【0024】
本実施形態の屋根構造は、図1に示すように、複数の屋根材13のうち、軒先から棟側に向かって一定範囲にある屋根材13が省かれている(この屋根材13が省かれて防水シート12が露出した部分を装置取付部14という)。なお、この装置取付部14としては、既に設置された屋根材13の一部を取り除いて形成した態様だけでなく、新築時において、一部の屋根材13を取り付けないで形成した態様も含む。
【0025】
装置取付部14には、波板2が取り付けられている。波板2は、左右方向に凹部21と凸部22とが繰り返し形成されており、当該凹部21および凸部22(凹部21と凸部22とを合わせて凹凸部23という)が軒棟方向に延びている。波板2は、例えば、鋼板により構成される。波板2は、凹凸部23の長手方向が軒棟方向に平行となるように、装置取付部14を覆うようにして取り付けられる。
【0026】
本実施形態の屋根構造は、波板2の上方に、取付金具3を介して太陽光発電装置4が設置される。
【0027】
取付金具3は、図2に示すように、波板2の凹部21の底部上に載置される複数の脚部31と、波板2の凸部22に載置された状態で固着具により固定される本体部32とを備えている。本体部32は、軒棟方向に延びており、軒棟方向の中間部分に太陽光発電装置4が載置・固定される載置部33を有する。載置部33には、軒棟方向に延びた長孔34が形成されている。太陽光発電装置4は、この長孔34に挿通された固着具を介して、固定される。
【0028】
太陽光発電装置4は、太陽光の照射を受けて発電する装置である。本実施形態の太陽光発電装置4は、図3に示すように、太陽光発電パネル41と、軒側取付具42と、棟側取付具45とを備えている。太陽光発電パネル41は、軒側取付具42と棟側取付具45とで波板2上に保持されている。
【0029】
ここで、図4Aには、図3のA部拡大図を示す。図4Aに示すように、軒側取付具42は、軒側固定部43と、軒側カバー44とを備えている。
【0030】
軒側固定部43は、太陽光発電パネル41の下面と軒側の端面とを支持した状態で、取付金具3の載置部33に固定される。軒側カバー44は、軒側固定部43にねじ留めされており、その上面が太陽光発電パネル41の上面と面一に形成される。軒側カバー44の上面は、軒側ほど下方に位置するように傾斜しており、その下端が上側水切り材7に対向している。
【0031】
装置取付部14における屋根下地1の軒側の端部には下側水切り材6が設置されており、その上方に位置するようにして、上側水切り材7が配置されている。
【0032】
下側水切り材6は、野地板11と波板2との間に配置される下地固定部61と、下地固定部61の軒側の端部から屋外側斜め下方に延びる水切り部62とを備えている。下地固定部61と水切り部62とは曲げ加工により一体に形成されている。下地固定部61は、野地板11に固着具により固定される。水切り部62は、野地板11の端面を屋外側から覆っている。
【0033】
上側水切り材7は、波板2の軒側の端部に取り付けられている。ここで、波板2の軒側の端部は、野地板11の軒側の端部よりも棟側に位置している。これにより、野地板11と波板2との間の隙間が下方に開放するのを防ぐことができ、壁面に沿って下方から吹き上げる風雨が、波板2の凸部22と野地板11との間の隙間に入り込むのを抑制できる。
【0034】
上側水切り材7は、波板2の凸部22の上部に載った状態でねじ留めされる横板部71と、横板部71の軒側の端部から下方に延出する縦板部72と、縦板部72の下端部から軒側に突出する延出部73とを備えている。
【0035】
横板部71は、図4Bに示すように、平板状に形成されており、波板2の複数の凸部22間に跨って配置される。このため、横板部71と波板2の凹部21との間には隙間が形成される。なお、横板部71の固定は、波板2の凸部22の上部に対応する位置でねじ留めされてもよいし、凹部21の底部に対応する位置でねじ留めされてもよい。
【0036】
縦板部72は、横板部71の軒側の端部から下方に延出しており、少なくとも、波板2の軒側の端面の上半部を覆う。すなわち、縦板部72は、波板2の軒側の端面の上半部に対向する。縦板部72の下端は、凹部21の上面の下端よりも上方に位置している。これにより、縦板部72は、凸部22と野地板11との間の隙間に対しては上半部を覆いつつ、下半部に通気可能な隙間を残し、凹部21に対しては、下半部に排水できる隙間を残すことができる。
【0037】
延出部73は、図4Aに示すように、縦板部72の下端から野地板11に沿って軒先に延びている。延出部73の先端部は、下側水切り材6の水切り部62に向かって折曲している。延出部73の先端は、下側水切り材6に対し、所定の隙間を介して対向している。この所定の隙間は、通気および排水が可能な程度の隙間であり、具体的には、3mm〜10mm程度の隙間に設定されている。これにより、延出部73の先端部と下側水切り材6との間の隙間を介して空気を取り込むことができ、取り込まれた空気は、凸部22と野地板11との間の隙間を通過して、波板2の凸部22に沿って軒棟方向に通気される。
【0038】
また延出部73は、上下方向に弾性変形可能に構成されている。延出部73の先端部と下側水切り材6との間には、上述の通り、所定の隙間が介在するが、例えば、延出部73に風雨が吹き当たると、延出部73は弾性的に変形して、下側水切り材6に押し当てられる。これにより、延出部73の先端部と下側水切り材6との間から風雨が吹き込むのが抑制され、防水シート12と波板2との間に雨水が浸入するのを抑制できる。
【0039】
図5には、図3のB部拡大図を示す。図5に示すように、棟側取付具45は、棟側固定部46と、棟側固定部46に固定された棟側カバー47とを備えている。
【0040】
棟側固定部46は、太陽光発電パネル41の下面と棟側の端面とを支持した状態で、取付金具3の載置部33に固定される。棟側カバー47は、棟側固定部46に連結されており、その上面が太陽光発電パネル41の上面と面一に形成される。棟側カバー47の上面は、棟側ほど下方に位置するように傾斜している。
【0041】
装置取付部14における屋根下地1の棟側の端部には、屋根材13から流れた雨水を波板2上に導く導水カバー48が取り付けられている。導水カバー48は、屋根材13の下方から波板2上にわたって延びる第一カバー49と、第一カバー49と棟側カバー47との間を覆う第二カバー50とを備えている。
【0042】
第一カバー49は、軒棟方向に幅を有し、左右方向に長さを有する矩形状に形成されている。第一カバー49は、波板2の左右方向の長さの全長にわたって形成されている。第一カバー49の棟側の端部は、屋根下地1と屋根材13との間に配置されており、屋根下地1に固着具を介して固定されている。第一カバー49の軒側の端部は、波板2の凸部22の上部に固着具を介して固定されている。第二カバー50は、第一カバー49の上方に重ねて固定される下段固定部51と、下段固定部51からL字状に軒側に突出した取付金具覆い部52とを備えている。
【0043】
屋根材13から流れた雨水は、第一カバー49上を伝って第二カバー50に至る。雨水の大部分は第二カバー50上に流れ、第二カバー50上の雨水は、波板2上に流下する。また、第一カバー49と第二カバー50との間から多少の雨水が流れ込むが、波板2上に流下する。なお、波板2の凹部21の棟側の端部には、雨水が流出するのを防ぐ面戸パッキン9が配置されている。
【0044】
次に、波板2の左右方向の端部の仕舞いについて説明する。図6に示すように、波板2の左右方向の両端部には、それぞれ、見切り板材8が取り付けられている。
【0045】
見切り板材8は、野地板11に固定される固定板部81と、固定板部81の波板2側の端部から上方に演出する起立部82と、起立部82の上端部から波板2側に突出する重ね部83とを備えている。固定板部81には、軒棟方向に延びた複数の突条84が形成されている。複数の突条84は、左右方向に平行に並んでいる。この複数の突条84により、万が一、見切り板材8と屋根板との間に雨水が浸入しても、突条84よりも端部側に雨水が浸入するのを防ぐことができ、また、雨水を突条84に沿って軒側に流下させることができる。
【0046】
重ね部83の下方には、波板2が重ねられており、波板2の左右方向の端部が覆われている。このため、波板2の左右方向の端部からは雨水が流出しないように構成されている。
【0047】
次に、本実施形態の屋根構造の施工方法を、図7A〜Cを参照して説明する。
【0048】
野地板11の施工後、野地板11の軒先に沿って、下側水切り材6を固定し、防水シート12を施工する。次いで、装置取付部14に対応する箇所に波板2を取り付ける。このとき、波板2を左右方向に複数並べて取り付けてもよいが、例えば、1.5山重なるようにして並べることが好ましい。
【0049】
次いで、波板2の左右方向の両端部に、見切り板材8を取り付ける。また、波板2の棟側の端部に、第一カバー49を設置し、図7Bに示すように、軒側の端部に上側水切り材7を取り付ける。そして、波板2の上方に、複数の取付金具3を取り付ける。この後、図7Cに示すように、取付金具3の上方に、太陽光発電装置4を取り付ける。
【0050】
〔変形例〕
上記実施形態の屋根材13は、平板状の屋根板により構成されたが、屋根材13として瓦が用いられる場合、例えば、図8に示すような態様であってもよい。
【0051】
本変形例の屋根構造は、見切り板材8の上方に立設部89が設けられている。立設部89は、太陽光発電パネル41の左右方向の端面に対向するように立ち上げられている。この立設部89は、見切り板材8の上方に取り付けられた基台部85と、基台部85に取り付けられた覆い部86とを備える。
【0052】
基台部85は、見切り板材8上に載置された状態で、固着具により屋根下地1に固定される。基台部85は、断面ハット状に形成されており、太陽光発電パネル41の軒棟方向の全長にわたって形成されている。また、基台部85は、屋根材13の下方に位置する敷き込み部851が形成されている。敷き込み部851の屋根材13側の端部は立ち上げられている。
【0053】
覆い部86は、基台部85に対して、上下方向に高さ調整可能に構成されている。覆い部86は、基台部85に取り付けられる縦部87と、縦部87から側方に突出した突出部88とを備えている。突出部88は、屋根材13の端部を上方から覆う。
【0054】
覆い部86と、基台部85とは、高さ調整された状態でねじ留めされる。これにより、基台部85に対する覆い部86の位置が決定される。
【0055】
ここで、一般に、瓦は、製品ごとに厚みが異なる。このため、立設部89として、基台部85に対して調整できない覆い部86が設けられた場合には、瓦によっては、立設部89を取り付けることができない場合が生じ得る。
【0056】
しかしながら、本変形例の立設部89によれば、覆い部86が高さ調整可能に構成されているため、作業現場において、瓦の厚みに応じて覆い部86の高さを設定することができる。この結果、立設部89を取り付けることができないという事態が生じない。
【0057】
〔効果〕
以上説明したように、上記実施形態の太陽光発電装置4を備えた屋根構造は、屋根下地1上に配置された複数の屋根材13のうち軒先から棟側に向かって一定範囲の屋根材13が省かれて装置取付部14が形成された屋根構造である。装置取付部14に対応する部分に、波板2の凹凸部23の長手方向が軒棟方向に平行となるように波板2が取り付けられる。波板2の上方に太陽光発電装置4が取り付けられる。屋根構造は、下側水切り材6と、上側水切り材7とを備える。下側水切り材6は、装置取付部14における屋根下地1の軒側の端部において、波板2と屋根下地1との間に取り付けられる。上側水切り材7は、波板2の軒側の端部の上部に取り付けられ、軒先側の先端が下側水切り材6に所定の隙間を介して対向する。
【0058】
この構成によれば、下側水切り材6によって、上側水切り材7の下方を覆うことができるため、上側水切り材7と屋根下地1との間の隙間に風雨が吹き込むのを防ぐことができる。また、下側水切り材6と上側水切り材7との間には、所定の隙間が介在しているため、太陽光発電装置4の下方の通気性が損なわれることも抑制できる上に、波板2上を流れる雨水の排水性が損なわれるのも抑制できる。
【0059】
また、上記実施形態の太陽光発電装置4を備えた屋根構造は、次の付加的な構成を備える。すなわち、上記実施形態の太陽光発電装置4を備えた屋根構造において、上側水切り材7は、波板2の軒側の端面の上半部に対向する縦板部72と、縦板部72から軒側に突出し、突出先端が下側水切り材6に所定の隙間を介して対向する延出部73とを有している。
【0060】
この構成によれば、波板2の凸部22と屋根下地1との間の隙間の上半部を、縦板部72で覆うことができるため、当該隙間をできる限り小さくすることができる。この結果、波板2と屋根下地1との間の通気性を確保しつつも、当該隙間から雨水が浸入するのを防ぐことができる。
【0061】
また、上記実施形態の太陽光発電装置4を備えた屋根構造は、次の付加的な構成を備える。すなわち、上記実施形態の太陽光発電装置4を備えた屋根構造において、上側水切り材7は、延出部73が弾性変形可能に構成されている。
【0062】
この構成によれば、風雨が上側水切り材7に当たると、上側水切り材7が弾性的に変形して、下側水切り材6に当接し、上側水切り材7と下側水切り材6との間の隙間を塞ぐことができる。この結果、通常時は、通気性と排水性を確保することができつつも、風雨等の天候が荒れた時には、風雨が上側水切り材7と下側水切り材6との間に吹き込まれるのを防ぐことができる。
【0063】
また、上記実施形態の太陽光発電装置4を備えた屋根構造は、次の付加的な構成を備える。すなわち、上記実施形態の太陽光発電装置4を備えた屋根構造において、波板2の軒側の端部は、屋根下地1の軒側の端部よりも棟側に位置している。
【0064】
この構成によれば、屋根下地1と波板2との間の隙間が下方に開放するのを防ぐことができるため、より一層、屋根下地1と波板2との間の隙間に雨風が吹き込むのを抑制できる。
【0065】
また、上記変形例の太陽光発電装置4を備えた屋根構造は、次の付加的な構成を備える。すなわち、上記実施形態の太陽光発電装置4を備えた屋根構造は、太陽光発電装置4において軒棟方向に直交する方向の端面に対向する立設部89をさらに備える。立設部89は、屋根下地1側に取り付けられた基台部85と、基台部85に取り付けられ、屋根材13における太陽光発電装置4に対向する端部を上方から覆う覆い部86とを有する。覆い部86は、基台部85に対して上下方向に高さ調整可能に構成されている。
【0066】
この構成によれば、屋根材13の厚さが製品ごとに異なっても、作業現場で屋根材13に合わせて覆い部86の高さを設定することができる。
【0067】
〔応用〕
上記実施形態の屋根下地1は、野地板11と、防水シート12を備えていたが、屋根下地1としては、野地板11だけでもよく、防水シート12を備えなくてもよい。
【0068】
上記実施形態では、波板2を取り付けた後に屋根材13を取り付けたが、既設の屋根材13の一部を取り外して、その箇所に波板2を取り付けてもよい。
【0069】
上記実施形態の延出部73は、縦板部72の下端部から延出していたが、例えば、縦板部72の上下方向の中間部分から延出していてもよく、縦板部72の下端部にのみ限定されない。
【0070】
その他、上記実施形態の構成は、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、適宜設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0071】
1 屋根下地
13 屋根材
14 装置取付部
2 波板
23 凹凸部
4 太陽光発電装置
6 下側水切り材
7 上側水切り材
72 縦板部
73 延出部
85 基台部
86 覆い部
89 立設部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8