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特開2018-105857低フレームレート(FPS)カメラを用いて機械の振動を検出するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-105857(P2018-105857A)
(43)【公開日】2018年7月5日
(54)【発明の名称】低フレームレート(FPS)カメラを用いて機械の振動を検出するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01H 9/00 20060101AFI20180608BHJP
   G03B 15/03 20060101ALI20180608BHJP
   G03B 15/05 20060101ALI20180608BHJP
【FI】
   G01H9/00 Z
   G03B15/03
   G03B15/05
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-237484(P2017-237484)
(22)【出願日】2017年12月12日
(31)【優先権主張番号】201621039722
(32)【優先日】2016年12月15日
(33)【優先権主張国】IN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】510337621
【氏名又は名称】タタ コンサルタンシー サービシズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TATA Consultancy Services Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202577
【弁理士】
【氏名又は名称】林 浩
(72)【発明者】
【氏名】シンハーイー アリジット
(72)【発明者】
【氏名】ロイ ディブイェンドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ボーミック ブロジェシュワー
(72)【発明者】
【氏名】ナンディ バスカー
(72)【発明者】
【氏名】ダスグプタ ランジャン
(72)【発明者】
【氏名】パル アーパン
(72)【発明者】
【氏名】ムケルジー サシュオバン
【テーマコード(参考)】
2G064
2H053
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064BC33
2G064BC40
2G064CC43
2H053BA71
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低フレームレート(FPS)カメラを用いて機械の振動を検出するための方法およびシステムを提供する。
【解決手段】ストロボシステム202を用いて振動している物体206を第1の周波数で照明して、第1の動画をキャプチャするステップと、ストロボシステム202の周波数を第1の周波数から振動している物体206の周波数に一致する第2の周波数に設定して、第2の動画をキャプチャするステップと、第1及び第2の動画を第1及び第2の画像セットに変換して、振動している物体206の周波数を計算するための分析を実施するステップとを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低フレームレート(FPS)カメラを用いて機械の振動を検出するための方法であって、
機械内で振動している物体を識別するステップと、
前記振動している物体をストロボシステムによって第1の周波数で照明するステップと、
前記低フレームレート(FPS)カメラを用いて前記振動している物体の第1の動画をキャプチャするステップと、
前記振動している物体の第2の動画を効率的にキャプチャするために、第2の周波数が前記振動している物体の周波数に一致するように、前記第1の動画の分析に基づき、前記ストロボシステムを前記第1の周波数から前記第2の周波数に設定するステップと、
前記第2の周波数を有する前記低フレームレート(FPS)カメラを用いて、前記振動している物体の前記第2の動画をキャプチャするステップと、
前記第1の動画および前記第2の動画に対して実施される分析に基づき、前記振動している物体の周波数を計算するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記振動している物体の1つ以上の振動周期を前記第1および前記第2の動画から検出するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のセットの1つ以上の画像から前記振動している物体を追跡する分析のため前記第1の動画は前記第1のセットの1つ以上の画像に変換され、第2のセットの1つ以上の画像から前記振動している物体を追跡する分析のため前記第2の動画は前記第2のセットの1つ以上の画像に変換される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記分析を実施するステップは、(i)前記振動している物体の周波数スペクトルにおける第1のピークを前記第1のセットの1つ以上の画像から検出するステップと、(ii)前記振動している物体の周波数スペクトルにおける第2のピークを前記第2のセットの1つ以上の画像から検出するステップと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記分析を実施するステップは、前記第1の周波数の整数化した商を前記第1のピークおよび前記第2のピークから計算するステップを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記振動している物体の前記振動周波数を計算する前記ステップは、前記第1のピークを前記整数化した商と前記第1の周波数との乗法積に加算するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
低フレームレート(FPS)カメラを用いて機械の振動を検出するためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されたメモリと、
を備え、前記メモリは、
機械内で振動している物体を識別し、
前記振動している物体をストロボシステムによって第1の周波数で照明し、
前記低フレームレート(FPS)カメラを用いて、前記振動している物体の第1の動画をキャプチャし、
前記振動している物体の第2の動画を効率的にキャプチャするために、第2の周波数が前記振動している物体の周波数に一致するように、前記第1の動画の分析に基づき、前記ストロボシステムを前記第1の周波数から前記第2の周波数に設定し、
前記第2の周波数を有する前記低フレームレート(FPS)カメラを用いて、前記振動している物体の前記第2の動画をキャプチャし、
前記第1の動画および前記第2の動画の分析に基づき、前記振動している物体の周波数を前記振動している物体の前記第1の動画および前記第2の動画から計算するために、
振動検出モジュールを備える、システム。
【請求項8】
前記振動している物体の1つ以上の振動周期を前記第1の動画および前記第2の動画から検出するステップを更に含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
第1のセットの1つ以上の画像から前記振動している物体を追跡する分析のため前記第1の動画は前記第1のセットの1つ以上の画像に変換され、第2のセットの1つ以上の画像から前記振動している物体を追跡する分析のため前記第2の動画は前記第2のセットの1つ以上の画像に変換される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記分析を実施するステップは、(i)前記振動している物体の周波数スペクトルにおける第1のピークを前記第1のセットの1つ以上の画像から検出するステップと、(ii)前記振動している物体の周波数スペクトルにおける第2のピークを前記第2のセットの1つ以上の画像から検出するステップとを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記分析を実施するステップは、前記第1の周波数の整数化した商を前記第1のピークおよび前記第2のピークから計算するステップを更に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記振動している物体の前記振動周波数を計算する前記ステップは、前記第1のピークを前記整数化した商と前記第1の周波数との乗法積に加算するステップを含む、請求項11に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示内容は、全般的には機械の振動に関し、より具体的には、低フレームレート(FPS:Frames per Second)カメラを用いて機械の振動を検出するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、機械装置が適正に機能しているかどうかを調べるには、機械装置の検査が必要とされる。或る機械に劣化が検出されたときは、その都度その劣化を直ちに修正する必要がある。そうしないと、その劣化は、機械装置全体の健全性を損なうことになる。或る機械における劣化は、一般には、当該機械に接触している複数のセンサ、または高価なカメラ、を用いて検出される。ただし、振動している機械の検査は、その機械に接触しているセンサでは困難である。その理由は、その機械の複数の異なる部分がそれぞれ異なる振動周波数で振動しているからである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の複数の実施形態は、発明者らが従来の複数のシステムにおいて認識した上記の技術的課題のうちの1つ以上に対する解決策として技術的改良を提示する。例えば、1つの実施形態においては、低フレームレート(FPS)カメラを用いて機械の振動を検出するための方法である。本方法は、機械内で振動している物体を識別するステップを含む。更に、振動している物体は、ストロボシステムによって第1の周波数で照明される。その後、振動している物体の第1の動画がキャプチャされる。更に、第2の周波数が振動している物体の周波数に一致するように、第1の動画の分析に基づき、ストロボシステムの周波数が第1の周波数から第2の周波数に設定される。その後、振動している物体の第2の動画がキャプチャされる。更に、第1の動画および第2の動画の分析に基づき、振動している物体の周波数が求められる。
【0004】
別の実施形態においては、温度を監視してレードル操作のための勧告制御を提供するためのシステムが開示される。本システムは、少なくとも1つのプロセッサと、この少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されたメモリとを含み、このメモリは、いくつかのモジュールで構成される。これらモジュールは、機械内で振動している物体を識別する振動検出モジュールを含む。更に、振動している物体は、ストロボシステムによって第1の周波数で照明される。その後、振動している物体の第1の動画がキャプチャされる。更に、第2の周波数が振動している物体の周波数に一致するように、第1の動画の分析に基づき、ストロボシステムの周波数が第1の周波数から第2の周波数に設定される。その後、振動している物体の第2の動画がキャプチャされる。更に、第1の動画および第2の動画の分析に基づき、振動している物体の周波数が求められる。
【0005】
上記の全般的な説明および以下の詳細な説明は、本発明の説明に過ぎず、特許請求されている本発明を限定しようとするものではないことを理解されたい。
【0006】
添付の図面は、本開示に組み込まれて本開示の一部を構成するものであり、複数の例示的実施形態を図示し、本開示の原理を明細書と共に説明するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本主題の一部の実施形態による、低フレームレート(FPS)カメラを用いて機械の振動を検出するためのシステムを示す。
図2】本主題の一部の実施形態による、機械を照明するストロボシステムのアーキテクチャのブロック図である。
図3】本主題の一部の実施形態による、低フレームレート(FPS)カメラを用いて機械の振動を検出するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照して、複数の例示的実施形態を説明する。各図において、参照符号の一番左の数字(単数または複数)は、その参照符号が最初に出現する図を識別している。都合が良ければ、同じまたは同様の部品を指すために、図面全体にわたって同じ参照符号が用いられている。開示される原理の例および特徴が本明細書に説明されているが、開示されている実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、変更、適合化、および他の実装が可能である。以下の詳細な説明は単なる例示とみなされるものとし、真の範囲および精神は添付の特許請求の範囲によって示されている。
【0009】
1つの態様においては、低フレームレート(FPS)カメラを用いて機械の振動を検出するための方法が開示される。この方法は、未知の周波数を有するストロボシステムを用いて振動している物体を照明するステップを含む。更に、第2の周波数が振動している物体の周波数に一致するように、ストロボシステムの周波数を第1の周波数から第2の周波数に設定するステップと、振動している物体の動画を更にキャプチャするステップとを含む。その後、2つの動画は画像に変換され、これら物体における差を求めるためにこれら物体は追跡される。有意な差が無い場合は、周波数が増やされる。ただし、これら画像の各物体に有意な差が存在する場合は、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)アルゴリズムを用いて追跡中の物体の周波数スペクトルを得ることによって周波数成分が測定される。この周波数スペクトルに基づき、追跡中の物体の周波数値が求められる。
【0010】
レビューアのフィードバック能力を評価するために記載のシステムを実装する方法は、以下の図(単数または複数)に関して詳細に説明されている。記載されているシステムの複数の態様は任意数の異なるコンピューティングシステム、伝送環境、および/または構成で実装可能であるが、各実施形態は以下の例示的システムの文脈において説明されている。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態による、低フレームレート(FPS)カメラを用いて振動している物体における振動を検出するためのシステム100を模式的に示す。図1に示されているように、システム100は、互いに通信可能に結合された1つ以上のプロセッサ102とメモリ104とを含む。メモリ104は、機械内で振動している物体の振動周波数を低フレームレート(FPS)カメラを用いて検出する振動検出モジュール106を含む。システム100は、インタフェース(単数または複数)108を更に含む。図1はシステム100の例示的構成要素を示しているが、他の実装において、システム100は、図1に示されているものより少ない数の構成要素、追加の構成要素、異なる構成要素、または配置が異なる構成要素を含み得る。
【0012】
プロセッサ(単数または複数)102およびメモリ104は、システムバスによって通信可能に結合され得る。プロセッサ(単数または複数)102は、とりわけ、この通信に対応付けられたオーディオおよび論理機能を実装する回路を含み得る。プロセッサ(単数または複数)102は、とりわけ、プロセッサ(単数または複数)102の動作を支援するように構成されたクロック、論理演算ユニット(ALU:arithmetic logic unit)、および論理ゲートを含み得る。プロセッサ(単数または複数)102は、単一の処理ユニットまたはいくつかのユニットにすることができ、これらユニットの全てが複数の計算ユニットを含む。プロセッサ(単数または複数)102は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、中央処理装置、ステートマシン、論理回路、および/または、動作命令に基づき信号を操作する任意のデバイス、として実装され得る。とりわけ、プロセッサ(単数または複数)102は、メモリ104に記憶されているコンピュータ可読命令およびデータを取り出して実行するように構成される。
【0013】
この図に示されている、「プロセッサ(単数または複数)」と表記されている機能ブロックを含む、さまざまな要素の機能は、専用ハードウェア、ならびに適切なソフトウェアと連係してソフトウェアを実行できるハードウェア、の使用によって提供され得る。これらの機能は、プロセッサによって提供される場合、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、またはそのうちの一部が共有され得る複数の個別プロセッサによって、提供され得る。更に、「プロセッサ」という用語の明示的使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみに言及していると解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM:read only memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、および不揮発性記憶装置を暗黙で含むが、これらだけに限定されるものではない。他の従来型および/またはカスタムハードウェアも含み得る。
【0014】
インタフェース(単数または複数)108は、さまざまなソフトウェアおよびハードウェアインタフェース、例えば、キーボード、マウス、外部メモリ、およびプリンタなどの周辺デバイス(単数または複数)用のインタフェース、を含み得る。インタフェース(単数または複数)108は、有線ネットワーク、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN:local area network)、ケーブル等、および無線LAN(WLAN:Wireless LAN)、セルラー、または衛星などの無線ネットワークを含む多種多様なネットワークおよびプロトコル種別内での複数の通信を容易にすることができる。そのために、インタフェース(単数または複数)108は、システム100を他のネットワークデバイスに接続するためのポートを1つ以上含み得る。
【0015】
メモリ104は、当該技術分野において公知の任意のコンピュータ可読媒体、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:static random access memory)およびダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:dynamic random access memory)などの揮発性メモリ、ならびに/または読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、光ディスク、および磁気テープなどの不揮発性メモリ、を含み得る。メモリ104は、機械の振動を検出するためにシステム100によって使用される任意数の情報およびデータを記憶し得る。メモリ104は、さまざまな例示的実施形態によるさまざまな機能をシステム100が実行するための情報、データ、アプリケーション、命令、または同様のものを記憶するように構成され得る。加えて、または代わりに、メモリ104は、複数の命令を記憶するように構成され得る。これら命令は、プロセッサ102によって実行されると、さまざまな実施形態に記載されているようにシステム100を挙動させる。メモリ104は、振動検出モジュール106および他のモジュールを含む。モジュール106は、特定のタスクを実施する、または特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、等を含む。
【0016】
本開示は、低フレームレート(FPS)カメラを用いて機械の振動を検出するための方法を開示する。この方法は、機械内で振動している物体を識別するステップを含む。振動している物体は、第1の周波数を有するストロボシステムによって照明される。更に、30FPSカメラを用いて動画がキャプチャされる。更に、ストロボシステムの周波数が第1の周波数から第2の周波数に変更される。第2の周波数が振動している物体の周波数に一致するように、ストロボシステムの周波数は第1の周波数から第2の周波数に変更されるので、振動している物体の第2の動画をキャプチャできるようになる。
【0017】
図2は、本主題の一部の実施形態による、機械を照明するストロボシステムのアーキテクチャのブロック図である。このアーキテクチャは、振動の検出対象である機械または振動している物体206を含む。更に、振動している物体206は、ストロボ光202によって照明される。更に、低フレームレート(FPS)カメラ204を用いて第1の動画がキャプチャされ、更なる分析のためにシミュレータ208(例えば、MATLAB208)に送られる。この更なる分析に基づき、第2の動画がキャプチャされる。第1の動画および第2の動画の分析について以下に説明する。
【0018】
一実施形態においては、機械内で振動している物体206の1つ以上の振動周期が第1の動画および第2の動画から検出される。更に、振動している物体206を第1の動画および第2の動画から分析して追跡するために、第1の動画は第1の画像セットに変換され、第2の動画は第2の画像セットに変換される。ここで、第1のセットおよび第2のセットは、それぞれ1つ以上の画像を含み得る。振動している物体206を第1の画像セットから追跡する分析は、第1の画像セットの第1の周波数スペクトルを求めることを含む。同様に、第2の画像セットの第2の周波数スペクトルも求められる。更に、第1の周波数スペクトルから第1のピークが求められ、第2の周波数スペクトルから第2のピークが求められる。その後、第1のピークおよび第2のピークから第1の周波数の整数化した商(an integer quotient)が求められる。更に、この整数化した商と第1の周波数との乗法積(a multiplicative product)が計算される。振動している物体206の周波数を求めるために、この乗法積が第1のピークに加算される。以下の方程式により、物体の周波数を得る。
【0019】
【数1】
【0020】
以下の計算により、振動している物体206の周波数を求めるための方法を得る。システム全体は、以下の方程式においてフレーム当たりの時間として表され得る。
【0021】
【数2】
【0022】
ここで、物体の周波数はwであり、ストロボシステム202の周波数はwであり、fは1秒当たりのフレーム数を表し、m、nはストロボにおける剰余(またはモジュロ)であり、「a」はストロボにおける整数化した商である。{m/f}は、フレーム当たりの位相差を与え、{w/f}は、フレーム当たりのストロボ数を与える。したがって、{m/w}は、ストロボ当たりの位相差である。
【0023】
{m/f}≧1の場合、振動している物体の抽出性は低い。その理由は、フレームの持続時間内に物体は振動周期内で軌跡全体にわたって移動しており、したがって、物体の位置は映像内の対象領域全体にわたっているからである。したがって、単一の位置によって物体を表すことは無益になる。これは、w<fをもたらすことを示唆し得る。ただし、wが低過ぎる場合は、精度不足が明らかになる。更に、wの値が低い場合は、十分な照明を維持するために適切な持続時間にわたって光がオンになっており、これにより、モーションブラー(motion blur)を増やすように、デューティサイクルを高くする必要がある。他方、wが高すぎる場合は、aがゼロになり、剰余mは高いままになる。難題は、値mの計算を可能にする周波数wを得るところにある。その後、wの値については、ws1(第2の周波数)が「m」の或る値を与える値である場合は、整数化した商aの値が計算される。
【0024】
「a」の値を算出するために、ストロボ周波数は少量Δだけ増やされる。
したがって、
【0025】
【数3】
【0026】
=aと推定すると、以下が得られる。
【0027】
【数4】
【0028】
aの値が変化しなかったかどうかを調べるために、wの値が量Δだけ更に増やされる。これにより、以下が得られる。
【0029】
【数5】
【0030】
物体の周波数が求められた後、以下の方程式を用いて整数化した商が求められる。
【0031】
【数6】
【0032】
整数化した商「a」の値は、wの値を増やす前に、および増やした後に、調べられる。
【0033】
【数7】
【0034】
この値が不変であった場合は、振動している物体206の周波数を求めることができる。
【0035】
一例示的実施形態においては、振動周波数が341.3ヘルツ(Hz)の音叉が実験のために利用される。ストロボシステムの周波数の開始値は、アルゴリズムによって決定されるランダム値である。この実験において、周波数は61Hzとされる。カメラは、ストロボにおける振動周波数を測定しないと予想される。したがって、ストロボ周波数を(十分な、または或る)量だけ増やす必要がある。ストロボ周波数82.3Hzにおいて、ピーク周波数は11.506Hzであることが観察される。ストロボ周波数が1Hz増えるごとに、ピーク周波数はほぼ4Hzシフトされる。表1は、ストロボ周波数の1Hzの増加ごとのピーク周波数の変動の実験詳細を示す。本実施形態において開示されるアルゴリズムは、この周波数ピークから音叉の振動周波数を正確に測定できる。この実験において、デューティサイクルは、約数の周波数(sub-multiple frequency)検出のための主要な役割を果たす。本開示は、全てのストロボ周波数について5%のデューティサイクルを考える。
【表1】
【0036】
同様に、周波数が328Hzであるとき、周波数ピークスペクトルは14.833である。このような状況において、周波数が1Hz増やされると、ピーク周波数は1Hzシフトする。詳細な実験結果が表2に示されている。
【表2】
【0037】
この実験においては、振動周波数341.3Hzの音叉が84.6Hzでストロボ照明されることが観察される。FFTアルゴリズムから観察されるピーク周波数は、2.846Hzである。同様に、同じシステムが336.7Hzでストロボ照明されると、観察されるピーク周波数は4.541Hzである。上記の結果に基づき、本開示において提案されるアルゴリズムは振動周波数を測定することができる。
【0038】
図3は、本開示の一部の実施形態による、低フレームレート(FPS)カメラを用いて機械の振動を検出するための方法を示すフローチャートである。ブロック302において、周波数を求めるべき振動している物体206が識別される。ブロック304において、ストロボシステム202を用いて振動している物体206が照明され、ここで第1の周波数を有するストロボシステム202を用いて第1の動画がキャプチャされる。更に、ブロック306において、第2の周波数が振動しているシステム/物体206の周波数に一致するように、ストロボシステム202の周波数が第1の周波数から第2の周波数に設定される。その後、ブロック306において、このストロボシステムを用いて第2の動画がキャプチャされる。更に、ブロック308において、画像を分析して振動している物体206の周波数を検出するために、キャプチャされた2つの動画がそれぞれ画像に変換される。
【0039】
保護の範囲はこのようなプログラムに及び、メッセージをその内部に有するコンピュータ可読手段に加え、このようなコンピュータ可読記憶手段は、プログラムがサーバ上、または携帯デバイス上、または何れか適したプログラム可能デバイス上で実行されたときに、本方法の1つ以上のステップを実現するためのプログラムコード手段を含むことを理解されたい。ハードウェアデバイスは、例えば、サーバまたはパーソナルコンピュータ、または同様のもの、あるいはこれらの任意の組み合わせ、のような任意の種類のコンピュータを含む、プログラム可能な任意の種類のデバイスとすることができる。このデバイスは、例えば、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはハードウェアおよびソフトウェア手段の組み合わせ、例えばASICおよびFPGA、または、少なくとも1つのマイクロプロセッサ、およびソフトウェアモジュールがその内部に配置された少なくとも1つのメモリ、のようなハードウェア手段とすることもできるであろう手段を更に含み得る。したがって、これら手段は、ハードウェア手段およびソフトウェア手段の両方を含むことができる。本明細書に記載されている方法の各実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアにおいて実装することも可能であろう。このデバイスは、ソフトウェア手段を更に含み得る。あるいは、各実施形態は、それぞれ異なるハードウェアデバイス上に、例えば、複数のCPUを用いて、実装され得る。
【0040】
本明細書に記載の各実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェア要素を備えることができる。ソフトウェアにおいて実装される実施形態は、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード、等々を含むが、これらだけに限定されるものではない。本明細書に記載されているさまざまなモジュールによって実施される各機能は、他のモジュールまたは他のモジュールの組み合わせにおいて実装され得る。この説明のために、コンピュータが使用可能な媒体またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる、またはこれらに関連する、使用のためのプログラムを具備、記憶、伝達、伝搬、または移植できる任意の装置とすることができる。
【0041】
図示の各ステップは、図示の例示的実施形態を説明するために記述されており、進行中の技術的発展によって特定の機能の実施方法が変化することを予期すべきである。これらの例は、制限のためではなく、説明のために本明細書に提示されている。更に、機能ビルディングブロックの境界は、説明の便宜上、本明細書においては任意に規定されている。明記されている各機能およびこれら機能の関係が適切に実施される限り、代替の境界を規定することもできる。代替案(本明細書に記載されているものの均等物、拡張例、変形例、逸脱、等を含む)は、本明細書に含まれている教示に基づき当業者には明らかであろう。このような代替案は、開示されている実施形態の範囲および精神に含まれる。また、「を備えた(comprising)」、「を有する(having)」、「を含有する(containing)」、および「を含む(including)」という単語および他の同様の形態は、意味において等価であり、これら単語のうちの何れか1つに続く1つ以上の項目がこのような1つ以上の項目の網羅的列挙であることを意味するものでも、列挙されている1つ以上の項目のみに限定されることを意味するものでもないという点で非限定的であることを意図している。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されている単数形を示す冠詞「a」、「an」、および「the」は、文中に明確に規定されていない限り、複数形への言及を含むことも留意されるべきである。
【0042】
更に、本開示と矛盾しない実施形態の実装においては、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体が利用され得る。コンピュータ可読記憶媒体とは、プロセッサによる読み出しが可能な情報またはデータが記憶され得る何れかの種類の物理的メモリを指す。したがって、コンピュータ可読記憶媒体は、1つ以上のプロセッサによって実行される命令を記憶し得る。これら命令は、本明細書に記載されている各実施形態と矛盾しないステップまたは段階をプロセッサ(単数または複数)に実施させるための命令を含む。用語「コンピュータ可読媒体」は、有形物を含み、搬送波および過渡的信号を除外する、すなわち非一時的である、と理解されるべきである。例として、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードドライブ、CD ROM、DVD、フラッシュドライブ、ディスク、および何れか他の公知の物理記憶媒体が挙げられる。
【0043】
本開示および例は単なる例示とみなされるものとし、開示されている実施形態の真の範囲および精神は添付の特許請求の範囲に示されている。

図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2018年2月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低フレームレート(FPS)カメラを用いて機械の振動を検出するための方法であって、
機械内で振動している物体を識別するステップと、
前記振動している物体をストロボシステムによって第1の周波数で照明するステップと、
前記低フレームレート(FPS)カメラを用いて前記振動している物体の第1の動画をキャプチャするステップと、
前記振動している物体の第2の動画を効率的にキャプチャするために、第2の周波数が前記振動している物体の周波数に一致するように、前記第1の動画の分析に基づき、前記ストロボシステムを前記第1の周波数から前記第2の周波数に設定するステップと、
前記第2の周波数を有する前記低フレームレート(FPS)カメラを用いて、前記振動している物体の前記第2の動画をキャプチャするステップと、
前記第1の動画および前記第2の動画に対して実施される分析に基づき、前記振動している物体の周波数を計算するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記振動している物体の1つ以上の振動周期を前記第1および前記第2の動画から検出するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のセットの1つ以上の画像から前記振動している物体を追跡する分析のため前記第1の動画は前記第1のセットの1つ以上の画像に変換され、第2のセットの1つ以上の画像から前記振動している物体を追跡する分析のため前記第2の動画は前記第2のセットの1つ以上の画像に変換される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記分析を実施するステップは、(i)前記振動している物体の周波数スペクトルにおける第1のピークを前記第1のセットの1つ以上の画像から検出するステップと、(ii)前記振動している物体の周波数スペクトルにおける第2のピークを前記第2のセットの1つ以上の画像から検出するステップと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記分析を実施するステップは、前記第1の周波数の整数化した商を前記第1のピークおよび前記第2のピークから計算するステップを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記振動している物体の前記振動周波数を計算する前記ステップは、前記第1のピークを前記整数化した商と前記第1の周波数との乗法積に加算するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
低フレームレート(FPS)カメラを用いて機械の振動を検出するためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されたメモリと、
を備え、前記メモリは、
機械内で振動している物体を識別し、
前記振動している物体をストロボシステムによって第1の周波数で照明し、
前記低フレームレート(FPS)カメラを用いて、前記振動している物体の第1の動画をキャプチャし、
前記振動している物体の第2の動画を効率的にキャプチャするために、第2の周波数が前記振動している物体の周波数に一致するように、前記第1の動画の分析に基づき、前記ストロボシステムを前記第1の周波数から前記第2の周波数に設定し、
前記第2の周波数を有する前記低フレームレート(FPS)カメラを用いて、前記振動している物体の前記第2の動画をキャプチャし、
前記第1の動画および前記第2の動画の分析に基づき、前記振動している物体の周波数を前記振動している物体の前記第1の動画および前記第2の動画から計算するために、
振動検出モジュールを備える、システム。
【請求項8】
前記振動している物体の1つ以上の振動周期を前記第1の動画および前記第2の動画から検出するステップを更に含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
第1のセットの1つ以上の画像から前記振動している物体を追跡する分析のため前記第1の動画は前記第1のセットの1つ以上の画像に変換され、第2のセットの1つ以上の画像から前記振動している物体を追跡する分析のため前記第2の動画は前記第2のセットの1つ以上の画像に変換される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記分析を実施するステップは、(i)前記振動している物体の周波数スペクトルにおける第1のピークを前記第1のセットの1つ以上の画像から検出するステップと、(ii)前記振動している物体の周波数スペクトルにおける第2のピークを前記第2のセットの1つ以上の画像から検出するステップとを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記分析を実施するステップは、前記第1の周波数の整数化した商を前記第1のピークおよび前記第2のピークから計算するステップを更に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記振動している物体の前記振動周波数を計算する前記ステップは、前記第1のピークを前記整数化した商と前記第1の周波数との乗法積に加算するステップを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
コンピューティングデバイスにおいて実行可能なプログラムを具体化する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記プログラムは、
機械内で振動している物体を識別して、
前記振動している物体をストロボシステムによって第1の周波数で照明して、
前記低フレームレート(FPS)カメラを用いて前記振動している物体の第1の動画をキャプチャして、
前記振動している物体の第2の動画を効率的にキャプチャするために、第2の周波数が前記振動している物体の周波数に一致するように、前記第1の動画の分析に基づき、前記ストロボシステムを前記第1の周波数から前記第2の周波数に設定して、
前記第2の周波数を有する前記低フレームレート(FPS)カメラを用いて、前記振動している物体の前記第2の動画をキャプチャして、
前記第1の動画および前記第2の動画に対して実施される分析に基づき、前記振動している物体の周波数を計算する、
ためのプログラムコードを含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
[優先権主張]
本願は、2016年12月15日出願のインド国特許出願第201621039722号の優先権を主張する。上述の出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
[技術分野]
本明細書の開示内容は、全般的には機械の振動に関し、より具体的には、低フレームレート(FPS:Frames per Second)カメラを用いて機械の振動を検出するためのシステムおよび方法に関する。
【外国語明細書】
2018105857000001.pdf