【課題】観察物体を媒質を通して観察する無限遠補正型の顕微鏡対物レンズ光学系において、媒質が各種光学ガラスのような低屈折率材料からなる場合でもシリコンのような高屈折材料からなる場合でも、良好に収差、特に球面収差とコマ収差補正ができる顕微鏡対物レンズ光学系を得る。
【解決手段】共に不動の正の屈折力の前群と、負の屈折力の後群との間に形成された収差補正用平行平面板挿入空間に、媒質の厚さと屈折率に応じて、厚さと屈折率の少なくとも一方が異なる収差補正用平行平面板を挿入して収差補正を行う顕微鏡対物レンズ光学系。
請求項1記載の顕微鏡対物レンズ光学系において、上記収差補正用平行平面板は、厚さと屈折率の少なくとも一方が異なる複数の上記媒質用に、複数が準備されていて、選択的に用いられる顕微鏡対物レンズ光学系。
請求項1または2記載の顕微鏡対物レンズ光学系において、上記収差補正用平行平面板は、上記媒質が存在しない観察状態においても準備されている顕微鏡対物レンズ光学系。
請求項1または2記載の顕微鏡対物レンズ光学系において、上記収差補正用平行平面板は、上記媒質が存在しない観察状態においては準備されていない顕微鏡対物レンズ光学系。
請求項1ないし4のいずれか1項記載の顕微鏡対物レンズ光学系において、上記収差補正用平行平面板は、重ね合わせた2枚以上の楔板からなり、この2枚以上の楔板の重なり位置を変化させることで厚さが変化する顕微鏡対物レンズ光学系。
観察物体側から順に、共に不動の正の屈折力の前群と、負の屈折力の後群とを備えた顕微鏡対物レンズ光学系を用い、平行平面板からなる媒質を通して観察物体を観察する顕微鏡対物レンズ光学系の収差補正方法であって、
前群と後群との間に、収差補正用平行平面板を挿入するための挿入空間が形成されており、
上記挿入空間に、上記媒質の厚さと屈折率に応じて、厚さと屈折率を定めた収差補正用平行平面板を挿入して収差補正を行うことを特徴とする顕微鏡対物レンズ光学系の収差補正方法。
請求項6記載の顕微鏡対物レンズ光学系の収差補正方法において、上記収差補正用平行平面板は、重ね合わせた2枚以上の楔板からなり、この2枚以上の楔板の重なり位置を変化させて厚さを変化させる顕微鏡対物レンズ光学系の収差補正方法。
請求項8記載の顕微鏡対物レンズ光学系において、上記挿入空間に挿入する厚さと屈折率の少なくとも一方が異なる複数の収差補正用平行平面板が備えられている顕微鏡対物レンズ光学系。
請求項8または9記載の顕微鏡対物レンズ光学系において、上記収差補正用平行平面板は、重ね合わせた2枚以上の楔板からなり、この2枚以上の楔板の重なり位置を変化させることで厚さが変化する顕微鏡対物レンズ光学系。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の顕微鏡対物レンズ光学系100は、
図1、
図6、
図11、
図16、
図21、
図26、
図31、
図36、
図41、
図46、
図51及び
図56の各実施形態に示すように、ワーク(観察物体)W側から順に、共に不動の正のパワー(屈折力)の前群10と、負のパワー(屈折力)の後群20を備えており、前群10と後群20の間に、平行平面板(収差補正用平行平面板)を挿入する空間30が形成されている。収差補正用平行平面板挿入空間(以下「挿入空間」)30は、全系において前群10と後群20の間に形成された最も光軸方向距離の大きい空間として定義される。この顕微鏡対物レンズ光学系100は、後群20からの出射光が平行光束となる無限遠補正型であり、出射光を図示しない接眼レンズ系またはカメラ画像で観察するための結像光学系に入射させてワークWを観察する。
【0021】
ワークWは、各実施形態の図(A)を除き、ワークW上に異なる厚さの媒質(透光基板、透明基板、カバーガラスまたはシリコン)Xを有している。本実施形態は、厚さの異なる媒質X(X1〜X5)を有する異種のワークW(W1〜W5)を観察するとき、前群10と後群20の間隔を変化させる代わりに、挿入空間30に厚さ(d)と屈折率(n)の少なくとも一方が異なる平行平面板C1ないしC5のいずれかを挿入する。ワークW(W1〜W5)は、いずれも媒質X(X1〜X5)の裏面または内部(前群10が存在する側と反対側の面または内部)に観察物体(微細構造)が形成されており、同観察物体は、媒質X(X1ないしX6)を通して顕微鏡対物レンズ光学系100(及び結像光学系、接眼レンズ系)によって観察される。以下の説明では、媒質Xが存在しないワークWの媒質X1の厚さをゼロとする。挿入空間30内における平行平面板C1ないしC5の光軸方向の挿入位置は、光軸との直交関係が維持される限り、問わない。上述の従来の補正リング型の顕微鏡対物レンズ光学系では、媒質Xの厚さに応じて、収差(特に球面収差)が最適値(許容値)になるように、特定のレンズ群の間隔を変化させていたのに対し、本実施形態では、前群10と後群20は不動である。
【0022】
≪数値実施例≫
次に具体的な数値実施例1ないし12(第1ないし第12の実施形態)を示す。諸収差図は、数値実施例1ないし10については波長1350nm、1550nm、1750nmに対する球面収差とその横収差表示及び像高0.24mmのコマ収差であり、数値実施例11と12については波長486nm、587nm、656nmに対する球面収差とその横収差及び像高0.24mmのコマ収差である。より詳細には、各諸収差図の(B)において、PX、PYは瞳座標のX、Y方向を表し、(1)、(2)は像高0における球面収差のY方向、X方向の横収差表示、(3)はメリジオナルのコマ収差、(4)はサジタルのコマ収差である。表中において、fはレンズ全系の焦点距離、NAは開口数、WDはワーキングディスタンス、rは曲率半径、dはレンズ厚またはレンズ間隔、N(d)はd線に対する屈折率、ν(d)はd線に対するアッベ数を示す。長さの単位は[mm]である。
【0023】
[数値実施例1、2]
図1ないし
図10と表1ないし表4は、本発明による顕微鏡対物レンズ光学系の数値実施例1(第1の実施形態)と数値実施例2(第2の実施形態)を示している。
図1と
図6は数値実施例1と数値実施例2のレンズ構成図であり、
図2ないし
図5は
図1のレンズ構成図の諸収差図、
図7〜
図10は
図5のレンズ構成図の諸収差図である。表1は面データ、表2は各種データ、表3は数値実施例1の媒質と平行平面板(収差補正用平行平面板)のデータ、表4は数値実施例2の媒質と平行平面板のデータである。表1と表2のデータは、数値実施例1と数値実施例2で共通である。
【0024】
すなわち、数値実施例1と数値実施例2は、同一の前群10と後群20を用い、媒質としてシリコンを用いた場合と、光学ガラスS−BSL7(株式会社オハラ製)を用いた場合の平行平面板(収差補正用平行平面板)C(C1ないしC5)のデータを示している。数値実施例1と数値実施例2の設計基準波長はそれぞれ、1550nmである。諸収差図は、波長1350nmと1550nmと1750nmにおける収差を示している。
【0025】
表3と表4のデータは、前群10の観察物体側に位置するワークW(W1〜W5)の媒質X(シリコン)(X1〜X5)の厚さが0.1mm刻みで変化するとき、顕微鏡対物レンズ光学系100による観察像に生じる球面収差とコマ収差が最適値(許容値)になるように厚さを定めた、挿入空間30に挿入する平行平面板C(C1〜C5)の厚さの変化を示している。
図1(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と
図6(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、媒質Xの厚さが0.0、0.5、1.0、1.5及び2.0(mm)のときのレンズ構成図であり、
図2、
図3及び
図4と
図6、
図7及び
図8は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のとき(
図1(A)、(C)及び(E)と
図6(A)、(C)及び(E)のとき)の全系の球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。この実施形態では、平行平面板Cの厚さは、媒質Xの厚さの増加に伴い増加している。
図2ないし
図4と
図7ないし
図9に示すように、媒質Xの厚さに応じて最適厚さの平行平面板Cを挿入することにより、球面収差とコマ収差が充分に補正されている。これらの収差図から、挿入空間30に、媒質X1ないしX5の厚さと屈折率に応じた厚さと屈折率を有する平行平面板C1〜C5を挿入することにより、球面収差とコマ収差を充分に補正することができることが分かる。
図2ないし
図4と
図7ないし
図9は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のときの3例を代表して示しているが、媒質Xの他の厚さでも同様の補正傾向が確認されている。
【0026】
一方、
図5(A)、(B)と
図10(A)、(B)は、
図1(A)と
図6(A)の本発明の顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例1と数値実施例2(第1と第2の実施形態)のレンズ構成図のまま、ワークW5を観察したときのレンズ構成図(
図1(F)と
図6(F))における球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。球面収差とコマ収差が極めて悪化していることが分かる。
【0027】
実際の平行平面板C(C1ないしC5)の選択に当たっては、予め知ることができる複数のワークWの媒質Xの厚さ(と屈折率)に応じて厚さ(と屈折率)の異なる複数の平行平面板C(C1ないしC5)を用意しておき、適切なものを選択する。この構成及び選択は、以下の各実施形態において同様である。
【0028】
(表1)
設計基準波長=1550nm
f=4.003 NA=0.469 WD=26.996
面データ
面番号 r d n(d) ν(d)
1 -49.6525 5.0000 1.59522 67.74
2 -20.1845 0.2000
3 -197.5716 6.0000 1.59522 67.74
4 -39.7694 0.5000
5 -6586.1110 6.0000 1.49700 81.55
6 -116.2092 0.2000
7 37.5030 9.0000 2.00330 28.27
8 -26.9890 1.5000 1.95906 17.47
9 15.0390 8.0000 1.49700 81.55
10 -157.6758 0.2000
11 15.9607 8.0000 1.49700 81.55
12 -32.4591 0.7000
13 -23.2681 2.5000 2.00330 28.27
14 -19.8006 2.0000 1.49700 81.55
15 21.3869 6.6578
16 ∞(平行平面板) 1.0000 1.51633 64.14
17 ∞(平行平面板) 5.0000
18 34.3444 3.0000 1.48749 70.24
19 -12.5426 0.2000
20 19.9953 1.0000 1.49700 81.55
21 3.8552 1.8300
22 -9.6432 1.0000 1.49700 81.55
23 5.6535
【0029】
(表2)
各種データ
全系(面No.1-23)の焦点距離ft 4.0028
前群(面No.1-15)の焦点距離ff 18.7194
後群(面No.18-23)の焦点距離fr -5.5219
ff/fr -3.3900
平行平面板の挿入隙間の光軸上の距離S6 12.6578
全系の長さTL 69.4878
S6/TL 0.1822
前群の最も物体側の面から観察物体(媒質(ワーク))迄の距離Fb(WD)
26.9963
NA(開口数) 0.469
【0030】
(表3)
媒質(ワーク)がBK7(n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(BK7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 1.000
図1(A)
図2
0.1 1.049
0.2 1.094
0.3 1.141
0.4 1.188
X2 0.5 1.230
図1(B)
0.6 1.276
0.7 1.317
0.8 1.361
0.9 1.407
X3 1.0 1.450
図1(C)
図3
1.1 1.494
1.2 1.537
1.3 1.580
1.4 1.620
X4 1.5 1.666
図1(D)
1.6 1.709
1.7 1.750
1.8 1.794
1.9 1.838
X5 2.0 1.880
図1(E)
図4
2.1 1.922
2.2 1.964
2.3 2.007
2.4 2.049
2.5 2.092
X5 2.0 1.000
図1(F)
図5
【0031】
(表4)
媒質(ワーク)がBK7(n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(SILICON, n=3.47772)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 1.000
図6(A)
図7
0.1 1.029
0.2 1.067
0.3 1.101
0.4 1.135
X2 0.5 1.168
図6(B)
0.6 1.198
0.7 1.229
0.8 1.258
0.9 1.288
X3 1.0 1.320
図6(C)
図8
1.1 1.350
1.2 1.381
1.3 1.411
1.4 1.440
X4 1.5 1.470
図6(D)
1.6 1.497
1.7 1.531
1.8 1.560
1.9 1.591
X5 2.0 1.621
図6(E)
図9
2.1 1.649
2.2 1.681
2.3 1.711
2.4 1.741
2.5 1.770
X5 2.0 1.000
図6(F)
図10
【0032】
[数値実施例3、4]
図11ないし
図20と表5ないし表8は、本発明に係る顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例3(第3の実施形態)と数値実施例4(第4の実施形態)を示している。数値実施例3と4は、媒質(ワークW)の厚さが増加するのに対し、挿入平行平面板の厚さが増加するタイプである。
図11と
図16は数値実施例3と数値実施例4のレンズ構成図であり、
図12ないし
図15は
図11のレンズ構成図の諸収差図、
図17〜
図20は
図15のレンズ構成図の諸収差図である。表5は面データ、表6は各種データ、表7は数値実施例3の媒質と平行平面板のデータ、表8は数値実施例4の媒質と平行平面板のデータである。表5と表6のデータは、数値実施例3と数値実施例4で共通である。
【0033】
すなわち、数値実施例3と数値実施例4は、同一の前群10と後群20を用い、媒質としてシリコンを用いた場合と、光学ガラスS−BSL7を用いた場合の平行平面板C1ないしC5のデータを示している。数値実施例3と数値実施例4の設計基準波長はそれぞれ、1550nmである。諸収差図は、波長1350nmと1550nmと1750nmにおける収差を示している。
【0034】
表7と表8のデータは、前群10の観察物体側に位置するワークW(W1〜W5)の媒質X(シリコン)(X1〜X5)の厚さが0.1mm刻みで変化するとき、顕微鏡対物レンズ光学系100による観察像に生じる球面収差とコマ収差が最適値(許容値)になるように厚さを定めた、挿入空間30に挿入する平行平面板C(C1〜C5)の厚さの変化を示している。
図11(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と
図16(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、媒質Xの厚さが0.0、0.5、1.0、1.5及び2.0(mm)のときのレンズ構成図であり、
図12、
図13及び
図14と
図16、
図17及び
図18は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のとき(
図11(A)、(C)及び(E)と
図16(A)、(C)及び(E)のとき)の全系の球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。この実施形態では、平行平面板Cの厚さは、媒質Xの厚さの増加に伴い増加している。
図12ないし
図14と
図17ないし
図19に示すように、媒質Xの厚さに応じて最適厚さの平行平面板Cを挿入することにより、球面収差とコマ収差が充分に補正されている。これらの収差図から、挿入空間30に、媒質X1ないしX5の厚さと屈折率に応じた厚さと屈折率を有する平行平面板C1〜C5を挿入することにより、球面収差とコマ収差を充分に補正することができることが分かる。
図12ないし
図14と
図17ないし
図19は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のときの3例を代表して示しているが、媒質Xの他の厚さでも同様の補正傾向が確認されている。
【0035】
一方、
図15(A)、(B)と
図20(A)、(B)は、
図11(A)と
図16(A)の本発明の顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例3と数値実施例4(第3と第4の実施形態)のレンズ構成のまま、ワークW5を観察したときのレンズ構成(
図11(F)と
図16(F))における球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。球面収差とコマ収差が極めて悪化していることが分かる。
【0036】
(表5)
波長=1550nm
f=4.066 NA=0.614 WD=8.000
面データ
面番号 r d n(d) ν(d)
1 -14.7534 4.6956 1.49700 81.55
2 -8.1381 0.2000
3 25.1658 5.7265 1.49700 81.55
4 -28.5074 0.5000
5 -39.7645 2.0000 1.78800 47.37
6 17.6075 9.0000 1.49700 81.55
7 -16.5014 0.1900
8 51.5195 1.5000 1.65160 58.55
9 17.1172 14.0000 1.49700 81.55
10 -14.6766 2.0000 1.69680 55.53
11 -51.2414 0.2000
12 41.8872 11.0000 1.49700 81.55
13 -202.6903 14.5415
14 ∞(平行平面板) 0.0000 1.51633 64.14
15 ∞(平行平面板) 1.0000
16 42.1977 1.3000 1.48749 70.24
17 6.8717 10.0000 1.49700 81.55
18 8.7198 0.5000
19 6.5115 6.2000 1.48749 70.24
20 -8.0430 1.3000 1.53172 48.84
21 13.7375 0.9000
22 -32.0446 1.1000 1.52249 59.84
23 4.9012 2.5000 1.65412 39.68
24 -8.6956 0.5000
25 -5.4865 1.0000 1.49700 81.55
26 6.3910
【0037】
(表6)
各種データ
全系(面No.1-23)の焦点距離ft 4.0660
前群(面No.1-15)の焦点距離ff 18.1731
後群(面No.18-23)の焦点距離fr -15.7353
ff/fr -1.1549
平行平面板の挿入隙間の光軸上の距離S5 15.5415
全系の長さTL 91.8536
S5/TL 0.1692
前群の最も物体側の面から観察物体(媒質(ワーク))迄の距離Fb(WD)
8.0000
NA(開口数) 0.614
【0038】
(表7)
媒質(ワーク)がSILICON(n=3.47772)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-BSL7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 0.000
図11(A)
図12
0.1 0.366
0.2 0.796
0.3 1.223
0.4 1.648
X2 0.5 2.069
図11(B)
0.6 2.486
0.7 2.901
0.8 3.313
0.9 3.721
X3 1.0 4.127
図11(C)
図13
1.1 4.530
1.2 4.929
1.3 5.327
1.4 5.721
X4 1.5 6.110
図11(D)
1.6 6.500
1.7 6.885
1.8 7.268
1.9 7.648
X5 2.0 8.025
図11(E)
図14
2.1 8.389
2.2 8.761
2.3 9.130
2.4 9.508
2.5 9.860
X5 2.0 0.0000
図11(F)
図15
【0039】
(表8)
媒質(ワーク)がS-BSL7(n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-BSL7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 0.000
図16(A)
図17
0.1 0.582
0.2 1.218
0.3 1.850
0.4 2.474
X2 0.5 3.091
図16(B)
0.6 3.701
0.7 4.303
0.8 4.898
0.9 5.486
X3 1.0 6.066
図16(C)
図18
1.1 6.641
1.2 7.209
1.3 7.770
1.4 8.325
X4 1.5 8.873
図16(D)
1.6 9.414
1.7 9.950
1.8 10.480
1.9 11.005
X5 2.0 11.524
図16(E)
図19
2.1 12.042
2.2 12.551
2.3 13.054
2.4 13.551
2.5 14.037
X5 2.0 0.000
図16(F)
図20
【0040】
[数値実施例5、6、7、8]
図21ないし
図40と表9ないし表14は、本発明に係る顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例5ないし8(第5ないし第8の実施形態)を示している。これらの数値実施例5ないし8は、媒質の厚さが増加するのに対し、挿入平行平面板の厚さが減少するタイプである。
図21と
図26と
図31と
図36は数値実施例5と数値実施例6と数値実施例7と数値実施例8のレンズ構成図であり、
図22ないし
図25は
図21のレンズ構成図の諸収差図、
図27〜
図30は
図26のレンズ構成図の諸収差図、
図32ないし
図35は
図31のレンズ構成図の諸収差図、
図37〜
図40は
図36のレンズ構成図の諸収差図である。表9は面データ、表10は各種データ、表11は数値実施例5の媒質と平行平面板のデータ、表12は数値実施例6の媒質と平行平面板のデータ、表13は数値実施例7の媒質と平行平面板のデータ、表14は数値実施例8の媒質と平行平面板のデータである。表9と表10のデータは、数値実施例5ないし8で共通である。
【0041】
すなわち、数値実施例5なし8は、同一の前群10と後群20を用い、数値実施例5は媒質としてシリコン、平行平面板として光学ガラスS−BSL7を用いた場合、数値実施例6は媒質として光学ガラスS−BSL7、平行平面板として光学ガラスS−BSL7を用いた場合、数値実施例7は媒質としてシリコン、平行平面板として光学ガラスS−PHM52(株式会社オハラ製)を用いた場合、数値実施例8は媒質として光学ガラスS−BSL7、平行平面板として光学ガラスS−PHM52を用いた場合の、平行平面板C1ないしC5のデータを示している。数値実施例3と数値実施例4の設計基準波長はそれぞれ、1550nmである。諸収差図は、波長1350nmと1550nmと1750nmにおける収差を示している。
【0042】
表11ないし表14のデータは、前群10の観察物体側に位置するワークW(W1〜W5)の媒質X(シリコン)(X1〜X5)の厚さが0.1mm刻みで変化するとき、顕微鏡対物レンズ光学系100による観察像に生じる球面収差とコマ収差が最適値(許容値)になるように厚さを定めた、挿入空間30に挿入する平行平面板C(C1〜C5)の厚さの変化を示している。
図21(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と
図26(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と
図31(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と
図36(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、媒質Xの厚さが0.0、0.5、1.0、1.5及び2.0(mm)のときのレンズ構成図であり、
図22、
図23及び
図24と
図26、
図27及び
図28と
図32、
図33及び
図34と
図36、
図37及び
図38は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のとき(
図21(A)、(C)及び(E)と
図26(A)、(C)及び(E)と
図31(A)、(C)及び(E)と
図36(A)、(C)及び(E)のとき)の全系の球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。この実施形態では、平行平面板Cの厚さは、媒質Xの厚さの増加に伴い減少している。
図22ないし
図24と
図27ないし
図29と
図32ないし
図34と
図37ないし
図39に示すように、媒質Xの厚さに応じて最適厚さの平行平面板C(C1ないしC5)を挿入することにより、球面収差とコマ収差が充分に補正されている。これらの収差図から、挿入空間30に、媒質X1ないしX5の厚さと屈折率に応じた厚さと屈折率を有する平行平面板C1〜C5を挿入することにより、球面収差とコマ収差を充分に補正することができることが分かる。
図22ないし
図24と
図27ないし
図29と
図32ないし
図34と
図37ないし
図39は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のときの3例を代表して示しているが、媒質Xの他の厚さでも同様の補正傾向が確認されている。
【0043】
一方、
図25(A)、(B)と
図30(A)、(B)と
図35(A)、(B)と
図40(A)、(B)とは、
図21(A)と
図26(A)と
図31(A)と
図36(A)の本発明の顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例5と数値実施例6と数値実施例7と数値実施例8(第5と第6と第7と第8の実施形態)のレンズ構成のまま、ワークW5を観察したときのレンズ構成(
図21(F)と
図26(F)と
図31(F)と
図36(F))における球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。球面収差とコマ収差が極めて悪化していることが分かる。
【0044】
(表9)
設計基準波長=1550nm
f=4.060 NA=0.542 WD=8.550
データ
番号 r d n(d) ν(d)
1 -71.6404 9.3296 1.49700 81.55
2 -15.2737 0.2000
3 26.2529 7.7994 1.49700 81.55
4 -45.9250 0.5000
5 -65.3761 2.0000 1.78800 47.37
6 19.3778 16.0000 1.49700 81.55
7 -25.0368 0.1900
8 77.6575 1.5000 1.65160 58.55
9 20.4739 15.0000 1.49700 81.55
10 -21.4676 2.0000 1.69680 55.53
11 -58.9690 0.2000
12 28.5838 13.4000 1.49700 81.55
13 -48.9306 1.5685
14 ∞(平行平面板) 8.8202 1.51633 64.14
15 ∞(平行平面板) 6.0000
16 -17.3125 1.3000 1.48749 70.24
17 17.85641 14.0000 1.49700 81.55
18 12.8169 0.5000
19 8.4432 6.2000 1.48749 70.24
20 -9.0801 1.3000 1.53172 48.84
21 47.3544 6.3206
22 -9.2723 1.2000 1.52249 59.84
23 5.8464 8.0000 1.65412 39.68
24 -8.3196 0.6000
25 -5.9948 1.0000 1.49700 81.55
26 12.5314
【0045】
(表10)
各種データ
全系(面No.1-26)の焦点距離ft 4.0603
前群(面No.1-13)の焦点距離ff 30.5582
後群(面No.16-26)の焦点距離fr -6.6806
ff/fr -4.5741
平行平面板の挿入隙間の光軸上の距離S5 16.3887
全系の長さTL 124.9283
S5/TL 0.1312
前群の最も物体側の面から観察物体(媒質(ワーク))迄の距離Fb(WD)
8.5495
NA(開口数) 0.542
【0046】
(表11)
媒質(ワーク)がSILICON(n=3.47772)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-BSL7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 8.820
図21(A)
図22
0.1 8.720
0.2 8.609
0.3 8.498
0.4 8.385
X2 0.5 8.276
図21(B)
0.6 8.165
0.7 8.054
0.8 7.943
0.9 7.832
X3 1.0 7.722
図21(C)
図23
1.1 7.611
1.2 7.500
1.3 7.390
1.4 7.280
X4 1.5 7.169
図21(D)
1.6 7.058
1.7 6.948
1.8 6.838
1.9 6.728
X5 2.0 6.618
図21(E)
図24
X5 2.0 8.820
図21(F)
図25
【0047】
(表12)
媒質(ワーク)がS-BSL7(n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-BSL7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 8.820
図26(A)
図27
0.1 8.668
0.2 8.505
0.3 8.341
0.4 8.178
X2 0.5 8.015
図26(B)
0.6 7.852
0.7 7.689
0.8 7.526
0.9 7.365
X3 1.0 7.200
図26(C)
図28
1.1 7.037
1.2 6.875
1.3 6.712
1.4 6.554
X4 1.5 6.387
図26(D)
1.6 6.225
1.7 6.063
1.8 5.901
1.9 5.744
X5 2.0 5.577
図26(E)
図29
X5 2.0 8.820
図26(F)
図30
【0048】
(表13)
媒質(ワーク)がSILICON(n=3.47772)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-PHM52, n=1.61800)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 8.032
図31(A)
図32
0.1 7.947
0.2 7.845
0.3 7.743
0.4 7.639
X2 0.5 7.540
図31(B)
0.6 7.438
0.7 7.337
0.8 7.235
0.9 7.133
X3 1.0 7.033
図31(C)
図33
1.1 6.931
1.2 6.830
1.3 6.729
1.4 6.628
X4 1.5 6.527
図31(D)
1.6 6.426
1.7 6.325
1.8 6.225
1.9 6.123
X5 2.0 6.023
図31(E)
図34
X5 2.0 8.032
図31(F)
図35
【0049】
(表14)
媒質(ワーク)がS-BSL7 (n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-PHM52, n=1.61800)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 8.032
図36(A)
図37
0.1 7.899
0.2 7.749
0.3 7.600
0.4 7.449
X2 0.5 7.301
図36(B)
0.6 7.152
0.7 7.003
0.8 6.854
0.9 6.706
X3 1.0 6.556
図36(C)
図38
1.1 6.407
1.2 6.259
1.3 6.110
1.4 5.962
X4 1.5 5.813
図36(D)
1.6 5.668
1.7 5.517
1.8 5.369
1.9 5.221
X5 2.0 5.074
図36(E)
図39
X5 2.0 8.032
図36(F)
図40
【0050】
[数値実施例9、10]
図41ないし
図50と表15ないし表18は、本発明に係る顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例9(第9の実施形態)と数値実施例10(第10の実施形態)を示している。これらの数値実施例9と10は、媒質の厚さが増加するのに対し、挿入平行平面板の厚さが減少するタイプである。
図41は数値実施例9のレンズ構成図であり、
図42ないし
図45は
図41のレンズ構成図の諸収差図、
図46は数値実施例10のレンズ構成図であり、
図47〜
図50は
図46のレンズ構成図の諸収差図である。表15は面データ、表16は各種データ、表17は数値実施例9の媒質と平行平面板のデータ、表18は数値実施例10の媒質と平行平面板のデータである。表15と表16のデータは、数値実施例9と数値実施例10で共通である。
【0051】
すなわち、数値実施例9と数値実施例10は、同一の前群10と後群20を用い、媒質としてシリコン、平行平面板として光学ガラスS−BSL7を用いた場合と、媒質として光学ガラスS−BSL7、平行平面板として光学ガラスS−PHM52を用いた場合の平行平面板C1ないしC5のデータを示している。数値実施例9と数値実施例10の設計基準波長はそれぞれ、1550nmである。(収差図は、波長1350nmと1550nmと1750nmにおける収差を示している。)
【0052】
表17と表18のデータは、前群10の観察物体側に位置するワークW(W1〜W5)の媒質X(シリコンと光学ガラスS−BSL7)(X1〜X5)の厚さが0.1mm刻みで変化するとき、顕微鏡対物レンズ光学系100による観察像に生じる球面収差とコマ収差が最適値(許容値)になるように厚さを定めた、挿入空間30に挿入する平行平面板C(C1〜C5)の厚さの変化を示している。
図41(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と
図46(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、媒質Xの厚さが0.0、0.5、1.0、1.5及び2.0(mm)のときのレンズ構成図であり、
図42、
図43及び
図44と
図46、
図47及び
図48は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のとき(
図41(A)、(C)及び(E)と
図46(A)、(C)及び(E)のとき)の全系の球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。この実施形態では、平行平面板Cの厚さは、媒質Xの厚さの増加に伴い増加している。
図42ないし
図44と
図47ないし
図49に示すように、媒質Xの厚さに応じて最適厚さの平行平面板Cを挿入することにより、球面収差とコマ収差が充分に補正されている。これらの収差図から、挿入空間30に、媒質X1ないしX5の厚さと屈折率に応じた厚さと屈折率を有する平行平面板C1〜C5を挿入することにより、球面収差とコマ収差を充分に補正することができることが分かる。
図42ないし
図44と
図47ないし
図49は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のときの3例を代表して示しているが、媒質Xの他の厚さでも同様の補正傾向が確認されている。
【0053】
一方、
図45(A)、(B)と
図50(A)、(B)は、
図41(A)と
図46(A)の本発明の顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例9と数値実施例10(第9と第10の実施形態)のレンズ構成のまま、ワークW5を観察したとき(
図41(F)と
図46(F))における球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。球面収差とコマ差が極めて悪化していることが分かる。
【0054】
(表15)
設計基準波長=1550nm
f=3.862 NA=0.539 WD=14.489
面データ
面番号 r d n(d) ν(d)
1 -45.4114 5.6852 1.59522 67.74
2 -15.3096 0.2000
3 -1526.8270 6.7617 1.59522 67.74
4 -25.0394 0.5000
5 98.5137 1.5000 1.80518 25.43
6 17.9468 9.7624 1.49700 81.55
7 -75.2877 0.2000
8 43.0168 8.0000 1.49700 81.55
9 -15.0277 2.0000 1.51633 64.14
10 14.2245 7.0000 1.49700 81.55
11 -204.2479 0.2000
12 11.8806 9.5000 1.49700 81.55
13 -106.0979 0.4000
14 -63.8747 1.3000 1.54814 45.78
15 39.4587 3.5000 1.49700 81.55
16 5.4374 16.2566
17 ∞(平行平面板) 0.0000 1.51633 64.14
18 ∞(平行平面板) 1.0000
19 10.9551 3.0000 1.48749 70.24
20 -10.9551 0.1500
21 13.8711 1.0000 1.51633 64.14
22 7.1222 1.8300
23 -7.2261 1.0000 1.497 81.55
24 7.2261
【0055】
(表16)
各種データ
全系(面No.1-26)の焦点距離ft 3.8619
前群(面No.1-12)の焦点距離ff 9.9930
後群(面No.16-26)の焦点距離fr -25.6274
ff/fr -0.3899
平行平面板の挿入隙間の光軸上の距離S6 17.2566
全系の長さTL 80.7459
S6/TL 0.2137
前群の最も物体側の面から観察物体(媒質(ワーク))迄の距離Fb(WD)
14.4888
NA(開口数) 0.539
【0056】
(表17)
媒質(ワーク)がSILICON(n=3.47772)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-BSL7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 0.000
図41(A)
図42
0.1 0.426
0.2 0.865
0.3 1.300
0.4 1.732
X2 0.5 2.171
図41(B)
0.6 2.587
0.7 3.007
0.8 3.424
0.9 3.838
X3 1.0 4.264
図41(C)
図43
1.1 4.655
1.2 5.057
1.3 5.457
1.4 5.853
X4 1.5 6.272
図41(D)
1.6 6.639
1.7 7.026
1.8 7.409
1.9 7.789
X5 2.0 8.188
図41(E)
図44
2.1 9.166
2.2 9.374
2.3 9.579
2.4 9.783
2.5 10.000
X5 2.0 0.000
図41(F)
図45
【0057】
(表18)
ワーク(媒質)がSILICON(n=3.47772)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-PHM52, n=1.61800)の厚さ一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 0.000
図46(A)
図47
0.1 0.378
0.2 0.768
0.3 1.155
0.4 1.538
X2 0.5 1.918
図46(B)
0.6 2.298
0.7 2.671
0.8 3.042
0.9 3.409
X3 1.0 3.773
図46(C)
図48
1.1 4.135
1.2 4.492
1.3 4.847
1.4 5.199
X4 1.5 5.548
図46(D)
1.6 5.898
1.7 6.241
1.8 6.582
1.9 6.919
X5 2.0 7.254
図46(E)
図49
2.1 7.586
2.2 7.905
2.3 8.238
2.4 8.565
2.5 8.870
X5 2.0 0.000
図46(F)
図50
【0058】
図51ないし
図60と表19ないし表22は、本発明に係る顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例11(第11の実施形態)と数値実施例12(第12の実施形態)を示している。これらの数値実施例11と12は、媒質の厚さが増加するのに対し、挿入平行平面板の厚さが減少するタイプである。
図51は数値実施例10のレンズ構成図であり、
図52ないし
図55は
図51のレンズ構成図の諸収差図、
図56は数値実施例11のレンズ構成図であり、
図57〜
図60は
図56のレンズ構成図の諸収差図である。表19は面データ、表20は各種データ、表21は数値実施例11の媒質と平行平面板のデータ、表22は数値実施例12の媒質と平行平面板のデータである。表19と表20のデータは、数値実施例11と数値実施例12で共通である。
【0059】
すなわち、数値実施例11と数値実施例12は、同一の前群10と後群20を用い、媒質としてシリコン、平行平面板として光学ガラスS−BSL7を用いた場合と、媒質として光学ガラスS−BSL7、平行平面板として光学ガラスS−PHM52を用いた場合の平行平面板C1ないしC5のデータを示している。数値実施例9と数値実施例10の設計基準波長はそれぞれ、587nmである。(収差図は、486nmと587nmと656nmにおける収差を示している。)
【0060】
表21と表22のデータは、前群10の観察物体側に位置するワークW(W1〜W5)の媒質X(シリコンと光学ガラスS−BSL7)(X1〜X5)の厚さが0.1mm刻みで変化するとき、顕微鏡対物レンズ光学系100による観察像に生じる球面収差とコマ収差が最適値(許容値)になるように厚さを定めた、挿入空間30に挿入する平行平面板C(C1〜C5)の厚さの変化を示している。
図51(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と
図56(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、媒質Xの厚さが0.0、0.5、1.0、1.5及び2.0(mm)のときのレンズ構成図であり、
図52、
図53及び
図54と
図56、
図57及び
図58は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のとき(
図51(A)、(C)及び(E)と
図56(A)、(C)及び(E)のとき)の全系の球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。この実施形態では、平行平面板Cの厚さは、媒質Xの厚さの増加に伴い増加している。
図52ないし
図54と
図57ないし
図59に示すように、媒質Xの厚さに応じて最適厚さの平行平面板Cを挿入することにより、球面収差とコマ収差が充分に補正されている。これらの収差図から、挿入空間30に、媒質X1ないしX5の厚さと屈折率に応じた厚さと屈折率を有する平行平面板C1〜C5を挿入することにより、球面収差とコマ収差を充分に補正することができることが分かる。
図52ないし
図54と
図57ないし
図59は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のときの3例を代表して示しているが、媒質Xの他の厚さでも同様の補正傾向が確認されている。
【0061】
一方、
図55(A)、(B)と
図60(A)、(B)は、
図51(A)と
図56(A)の本発明の顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例11と数値実施例11(第11と第12の実施形態)のレンズ構成のまま、ワークW5を観察したとき(
図51(F)と
図56(F))における球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。球面収差とコマ収差が極めて悪化していることが分かる。
【0062】
(表19)
587nm
f=4.003 NA=0.414 D=18.000
面データ
面番号 r d n(d) ν(d)
1 36.1243 5.0000 1.49700 81.61
2 -16.0878 0.3000
3 118.9268 4.0000 1.49700 81.61
4 -19.6869 0.7000
5 -15.9536 1.5000 1.74100 52.65
6 27.0753 6.0000 1.49700 81.61
7 -18.7193 0.3500
8 103.1430 5.0000 1.45600 90.32
9 -16.2965 1.5000 1.74100 52.65
10 -51.5860 3.0000 1.45600 90.32
11 -51.2667 0.3000
12 56.8494 6.0000 1.45600 90.32
13 -18.5206 3.0000 1.64000 60.08
14 -82.2586 2.5000 1.45600 90.32
15 -324.5329 0.3000
16 18.1766 6.0000 1.49700 81.61
17 425.6775 14.1089
18 ∞(平行平面板) 3.8911 1.51633 64.14
19 ∞(平行平面板) 6.8017
20 -7.4003 1.0000 1.74100 52.65
21 4.1317 2.5000 1.78472 25.68
22 12.1127
【0063】
(表20)
各種データ
全系(面No.1-22)の焦点距離ft 4.0005
前群(面No.1-17)の焦点距離ff 22.8554
後群(面No.20-22)の焦点距離fr -6.0415
ff/fr -3.7831
平行平面板の挿入隙間の光軸上の距離S6 24.8017
全系の長さTL 73.7517
S6/TL 0.3363
前群の最も物体側の面から観察物体(媒質(ワーク))迄の距離Fb(WD) 18.0000
NA(開口数) 0.414
【0064】
(表21)
媒質(ワーク)がS-BSL7(n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-BSL7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 3.891
図51(A)
図52
0.1 3.792
0.2 3.702
0.3 3.606
0.4 3.511
X2 0.5 3.415
図51(B)
0.6 3.312
0.7 3.225
0.8 3.130
0.9 3.036
X3 1.0 2.942
図51(C)
図53
1.1 2.841
1.2 2.747
1.3 2.661
1.4 2.568
X4 1.5 2.475
図51(D)
1.6 2.383
1.7 2.286
1.8 2.195
1.9 2.106
X5 2.0 2.016
図51(E)
図54
2.1 1.923
2.2 1.834
2.3 1.743
2.4 1.652
2.5 1.564
X5 2.0 3.891
図51(F)
図55
【0065】
(表22)
媒質(ワーク)がS-BSL7 (n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-PHM52,n=1.61800)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 3.534
図56(A)
図57
0.1 3.452
0.2 3.360
0.3 3.277
0.4 3.184
X2 0.5 3.102
図56(B)
0.6 3.016
0.7 2.923
0.8 2.843
0.9 2.757
X3 1.0 2.671
図56(C)
図58
1.1 2.580
1.2 2.495
1.3 2.415
1.4 2.326
X4 1.5 2.246
図56(D)
1.6 2.162
1.7 2.075
1.8 1.992
1.9 1.911
X5 2.0 1.829
図56(E)
図59
2.1 1.744
2.2 1.663
2.3 1.581
2.4 1.500
2.5 1.419
X5 2.0 3.534
図56(F)
図60
【0066】
以上の実施形態では、ワークWの媒質Xの厚さと屈折率に応じて屈折率を選定し厚さを異ならせた複数の収差補正用平行平面板を選択使用しているが、重ね合わせた2枚以上の楔板によって収差補正用平行平面板を準備し、この2枚の楔板の重なり位置を変化させることで厚さを変化させることもできる。
図61は、2枚の透光楔板C6−1、C6−2によって収差補正用平行平面板C6を形成した他の具体例を示している。収差補正用平行平面板C6は、透光楔板C6−1とC6−2の対向面を密着させた状態で、収差補正用平行平面板を形成する。この収差補正用平行平面板C6は、透光楔板C6−1とC6−2の少なくとも一方を図の矢印方向に相対移動して重なり位置を変化させることで、無段階に厚さを変化させて結像性能を確認しながら最適状態にすることができる。なお、透光楔板C6−1とC6−2の対向面は、接触させた状態で相対移動してもよいが、離間させて相対移動し、使用時に密着させてもよい。
【0067】
上記数値実施例では、媒質X1〜X5及び収差補正用平行平面板C1〜C5をそれぞれ、シリコン、光学ガラスS−BSL7、光学ガラスS−PHM52を使用しているが、他の材料を使用することも可能である。収差補正用平行平面板C1〜C5は同一材料から構成し、その厚さを異ならせているが、収差補正用平行平面板C1〜C5を異なる屈折率の材料で形成してもよい。この場合、収差補正用平行平面板C1〜C5の厚さは同一とし、異なる屈折率の材料を使用することでも対応可能である。