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特開2018-105935顕微鏡対物レンズ光学系及び顕微鏡対物レンズ光学系の収差補正方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-105935(P2018-105935A)
(43)【公開日】2018年7月5日
(54)【発明の名称】顕微鏡対物レンズ光学系及び顕微鏡対物レンズ光学系の収差補正方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/02 20060101AFI20180608BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20180608BHJP
【FI】
   G02B21/02 Z
   G02B21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2016-249897(P2016-249897)
(22)【出願日】2016年12月22日
(71)【出願人】
【識別番号】502015544
【氏名又は名称】株式会社清和光学製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】山縣 正和
【テーマコード(参考)】
2H052
2H087
【Fターム(参考)】
2H052AB08
2H052AB21
2H087KA09
2H087LA01
2H087MA10
2H087NA03
2H087PA07
2H087PA08
2H087PA09
2H087PA16
2H087PB12
2H087PB13
2H087PB15
2H087QA02
2H087QA03
2H087QA06
2H087QA12
2H087QA14
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
(57)【要約】
【課題】観察物体を媒質を通して観察する無限遠補正型の顕微鏡対物レンズ光学系において、媒質が各種光学ガラスのような低屈折率材料からなる場合でもシリコンのような高屈折材料からなる場合でも、良好に収差、特に球面収差とコマ収差補正ができる顕微鏡対物レンズ光学系を得る。
【解決手段】共に不動の正の屈折力の前群と、負の屈折力の後群との間に形成された収差補正用平行平面板挿入空間に、媒質の厚さと屈折率に応じて、厚さと屈折率の少なくとも一方が異なる収差補正用平行平面板を挿入して収差補正を行う顕微鏡対物レンズ光学系。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察物体を平行平面板からなる媒質を通して観察する顕微鏡対物レンズ光学系において、
上記媒質側から順に、共に不動の正の屈折力の前群と、負の屈折力の後群とを備え、
前群と後群との間に、上記媒質の厚さと屈折率に応じて、厚さと屈折率を定めた収差補正用平行平面板が位置していることを特徴とする顕微鏡対物レンズ光学系。
【請求項2】
請求項1記載の顕微鏡対物レンズ光学系において、上記収差補正用平行平面板は、厚さと屈折率の少なくとも一方が異なる複数の上記媒質用に、複数が準備されていて、選択的に用いられる顕微鏡対物レンズ光学系。
【請求項3】
請求項1または2記載の顕微鏡対物レンズ光学系において、上記収差補正用平行平面板は、上記媒質が存在しない観察状態においても準備されている顕微鏡対物レンズ光学系。
【請求項4】
請求項1または2記載の顕微鏡対物レンズ光学系において、上記収差補正用平行平面板は、上記媒質が存在しない観察状態においては準備されていない顕微鏡対物レンズ光学系。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の顕微鏡対物レンズ光学系において、上記収差補正用平行平面板は、重ね合わせた2枚以上の楔板からなり、この2枚以上の楔板の重なり位置を変化させることで厚さが変化する顕微鏡対物レンズ光学系。
【請求項6】
観察物体側から順に、共に不動の正の屈折力の前群と、負の屈折力の後群とを備えた顕微鏡対物レンズ光学系を用い、平行平面板からなる媒質を通して観察物体を観察する顕微鏡対物レンズ光学系の収差補正方法であって、
前群と後群との間に、収差補正用平行平面板を挿入するための挿入空間が形成されており、
上記挿入空間に、上記媒質の厚さと屈折率に応じて、厚さと屈折率を定めた収差補正用平行平面板を挿入して収差補正を行うことを特徴とする顕微鏡対物レンズ光学系の収差補正方法。
【請求項7】
請求項6記載の顕微鏡対物レンズ光学系の収差補正方法において、上記収差補正用平行平面板は、重ね合わせた2枚以上の楔板からなり、この2枚以上の楔板の重なり位置を変化させて厚さを変化させる顕微鏡対物レンズ光学系の収差補正方法。
【請求項8】
観察物体を収差補正用平行平面板からなる媒質を通して観察する顕微鏡対物レンズ光学系において、
上記媒質側から順に、共に不動の正の屈折力の前群と、負の屈折力の後群とを備え、
前群と後群との間に、収差補正用平行平面板挿入空間が形成されていることを特徴とする顕微鏡対物レンズ光学系。
【請求項9】
請求項8記載の顕微鏡対物レンズ光学系において、上記挿入空間に挿入する厚さと屈折率の少なくとも一方が異なる複数の収差補正用平行平面板が備えられている顕微鏡対物レンズ光学系。
【請求項10】
請求項8または9記載の顕微鏡対物レンズ光学系において、上記収差補正用平行平面板は、重ね合わせた2枚以上の楔板からなり、この2枚以上の楔板の重なり位置を変化させることで厚さが変化する顕微鏡対物レンズ光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出光が平行光束となる無限遠補正型の顕微鏡対物レンズ光学系及びその収差補正方法に関し、特に、観察物体を平行平面板からなる媒質(透光基板(例えばシリコンやガラス))を通して観察する無限遠補正型の顕微鏡対物レンズ光学系及びその顕微鏡対物レンズ光学系の収差補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコン、ガラス等の媒質の一面にフォトリソグラフィー技術で形成した微細構造(回路等)を、同媒質を通して観察することが行われている。このような目的で用いられる無限遠補正型の顕微鏡対物レンズ光学系は、媒質の厚さが一定であることを前提にして設計されている。この従来の顕微鏡対物レンズ光学系では、媒質等の厚さが大きく変化する場合、特にNAの大きい対物レンズ程、そのレンズが本来有する性能の劣化が激しい(収差が大きく発生する)。
【0003】
このため、従来、媒質の厚さの変化に応じて対物レンズ内のレンズ間隔を変えて収差変動(特に球面収差)を補正する、補正機構付き対物レンズ光学系が知られている(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4-220615号公報
【特許文献2】特開平10-221609号公報
【特許文献3】特開2007-328014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、媒質がシリコン等の高屈折率材料からなる場合、従来の補正機構付き対物レンズ光学系では厚みの変化に対応できる範囲が狭く、十分な結像性能を確保するための収差補正ができなかった。
【0006】
本発明は、特に媒質が各種光学ガラスのような低屈折率材料からなる場合でもシリコンのような高屈折材料からなる場合でも、良好に収差(特に球面収差とコマ収差)補正ができる顕微鏡対物レンズ光学系及び顕微鏡対物レンズ光学系の収差補正方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、構成レンズ群のいずれかを移動させて観察物体上の媒質の厚みの変化に対応するという従来技術の発想を離れ、厚みの違う媒質によって大きく発生する(変化する)球面収差を、不動の前群と後群の間に最適な厚みと屈折率の収差補正用平行平面板を挿入することで補正するという着眼に基づいてなされたものである。
【0008】
本発明は、観察物体を平行平面板からなる媒質を通して観察する顕微鏡対物レンズ光学系において、上記媒質側から順に、共に不動の正の屈折力の前群と、負の屈折力の後群とを備え、前群と後群との間に、上記媒質の厚さと屈折率に応じて、厚さと屈折率を定めた収差補正用平行平面板が位置していることを特徴とする。
【0009】
上記収差補正用平行平面板は、好ましい実施形態では、厚さと屈折率の少なくとも一方が異なる複数の上記媒質用に、複数準備されていて、選択的に用いられる。
【0010】
上記収差補正用平行平面板は、上記媒質が存在しない観察状態においても準備していてもよい。
【0011】
上記収差補正用平行平面板は、上記媒質が存在しない観察状態においては準備していなくてもよい。
【0012】
上記収差補正用平行平面板は、別の実施形態では、重ね合わせた2枚以上の楔板からなり、この2枚以上の楔板の重なり位置を変化させることで厚さが変化する構成としてもよい。
【0013】
本発明は、方法のカテゴリーでは、観察物体側から順に、共に不動の正の屈折力の前群と、負の屈折力の後群とを備えた顕微鏡対物レンズ光学系を用い、平行平面板からなる媒質を通して観察物体を観察する顕微鏡対物レンズ光学系の収差補正方法であって、前群と後群との間に、収差補正用平行平面板を挿入するための挿入空間が形成されており、上記挿入空間に、上記媒質の厚さと屈折率に応じて、厚さと屈折率を定めた収差補正用平行平面板を挿入して収差補正を行うことを特徴とする。
【0014】
上記収差補正用平行平面板は、別の実施形態では、重ね合わせた2枚以上の楔板から形成し、この2枚以上の楔板の重なり位置を変化させて無段階に厚さを変化させて結像性能を確認しながら最適状態にすることもできる。
【0015】
本発明は、他の態様では、観察物体を平行平面板からなる媒質を通して観察する顕微鏡対物レンズ光学系において、上記媒質側から順に、共に不動の正の屈折力の前群と、負の屈折力の後群とを備え、前群と後群との間に、収差補正用平行平面板挿入空間が形成されていることを特徴とする。
【0016】
好ましい実施形態では、上記挿入空間に挿入する厚さと屈折率の少なくとも一方が異なる複数の収差補正用平行平面板を備えておいて、結像性能を良好にする収差補正用平行平面板を選択できるようにしておくことができる。
【0017】
上記収差補正用平行平面板は、別の実施形態では、重ね合わせた2枚以上の楔板からなり、この2枚以上の楔板の重なり位置を変化させることで厚さが変化する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、共に不動の正の屈折力の前群と、負の屈折力の後群を有し、平行平面板からなる媒質を通して観察物体を観察する顕微鏡対物レンズ光学系において、前群と後群の間に、上記媒質の厚さと屈折率に応じて、厚さと屈折率の少なくとも一方が異なる収差補正用平行平面板を挿入して収差補正を行うので、媒質が光学ガラスのような低屈折率材料からなる場合でもシリコンのような高屈折材料からなる場合でも、光学系が不動のため光軸偏芯が発生せず良好に収差(特に球面収差とコマ収差)補正が可能であり、レンズや鏡筒を駆動するための駆動機構が不要なので低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、本発明の顕微鏡対物レンズ光学系の第1の実施形態を示すレンズ構成図、(F)は比較例のレンズ構成図である。
図2】(A)、(B)は、図1(A)のレンズ構成図における諸収差図である。
図3】(A)、(B)は、図1(C)のレンズ構成図における諸収差図である。
図4】(A)、(B)は、図1(E)のレンズ構成図における諸収差図である。
図5】(A)、(B)は、図1(F)のレンズ構成図(比較例)における諸収差図である。
図6】(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、本発明の顕微鏡対物レンズ光学系の第2の実施形態を示すレンズ構成図、(F)は比較例のレンズ構成図である。
図7】(A)、(B)は、図6(A)のレンズ構成図における諸収差図である。
図8】(A)、(B)は、図6(C)のレンズ構成図における諸収差図である。
図9】(A)、(B)は、図6(E)のレンズ構成図における諸収差図である。
図10】(A)、(B)は、図6(F)のレンズ構成図(比較例)における諸収差図である。
図11】(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、本発明の顕微鏡対物レンズ光学系の第3の実施形態を示すレンズ構成図、(F)は比較例のレンズ構成図である。
図12】(A)、(B)は、図11(A)のレンズ構成図における諸収差図である。
図13】(A)、(B)は、図11(C)のレンズ構成図における諸収差図である。
図14】(A)、(B)は、図11(E)のレンズ構成図における諸収差図である。
図15】(A)、(B)は、図11(F)のレンズ構成図(比較例)における諸収差図である。
図16】(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、本発明の顕微鏡対物レンズ光学系の第4の実施形態を示すレンズ構成図、(F)は比較例のレンズ構成図である。
図17】(A)、(B)は、図16(A)のレンズ構成図における諸収差図である。
図18】(A)、(B)は、図16(C)のレンズ構成図における諸収差図である。
図19】(A)、(B)は、図16(E)のレンズ構成図における諸収差図である。
図20】(A)、(B)は、図16(F)のレンズ構成図(比較例)における諸収差図である。
図21】(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、本発明の顕微鏡対物レンズ光学系の第5の実施形態を示すレンズ構成図、(F)は比較例のレンズ構成図である。
図22】(A)、(B)は、図21(A)のレンズ構成図における諸収差図である。
図23】(A)、(B)は、図21(C)のレンズ構成図における諸収差図である。
図24】(A)、(B)は、図21(E)のレンズ構成図における諸収差図である。
図25】(A)、(B)は、図21(F)のレンズ構成図(比較例)における諸収差図である。
図26】(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、本発明の顕微鏡対物レンズ光学系の第6の実施形態を示すレンズ構成図、(F)は比較例のレンズ構成図である。
図27】(A)、(B)は、図26(A)のレンズ構成図における諸収差図である。
図28】(A)、(B)は、図26(C)のレンズ構成図における諸収差図である。
図29】(A)、(B)は、図26(E)のレンズ構成図における諸収差図である。
図30】(A)、(B)は、図26(F)のレンズ構成図(比較例)における諸収差図である。
図31】(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、本発明の顕微鏡対物レンズ光学系の第7の実施形態を示すレンズ構成図、(F)は比較例のレンズ構成図である。
図32】(A)、(B)は、図31(A)のレンズ構成図における諸収差図である。
図33】(A)、(B)は、図31(C)のレンズ構成図における諸収差図である。
図34】(A)、(B)は、図31(E)のレンズ構成図における諸収差図である。
図35】(A)、(B)は、図31(F)のレンズ構成図(比較例)における諸収差図である。
図36】(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、本発明の顕微鏡対物レンズ光学系の第8の実施形態を示すレンズ構成図、(F)は比較例のレンズ構成図である。
図37】(A)、(B)は、図36(A)のレンズ構成図における諸収差図である。
図38】(A)、(B)は、図36(C)のレンズ構成図における諸収差図である。
図39】(A)、(B)は、図36(E)のレンズ構成図における諸収差図である。
図40】(A)、(B)は、図36(F)のレンズ構成図(比較例)における諸収差図である。
図41】(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、本発明の顕微鏡対物レンズ光学系の第9の実施形態を示すレンズ構成図、(F)は比較例のレンズ構成図である。
図42】(A)、(B)は、図41(A)のレンズ構成図における諸収差図である。
図43】(A)、(B)は、図41(C)のレンズ構成図における諸収差図である。
図44】(A)、(B)は、図41(E)のレンズ構成図における諸収差図である。
図45】(A)、(B)は、図41(F)のレンズ構成図(比較例)における諸収差図である。
図46】(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、本発明の顕微鏡対物レンズ光学系の第10の実施形態を示すレンズ構成図、(F)は比較例のレンズ構成図である。
図47】(A)、(B)は、図46(A)のレンズ構成図における諸収差図である。
図48】(A)、(B)は、図46(C)のレンズ構成図における諸収差図である。
図49】(A)、(B)は、図46(E)のレンズ構成図における諸収差図である。
図50】(A)、(B)は、図46(F)のレンズ構成図(比較例)における諸収差図である。
図51】(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、本発明の顕微鏡対物レンズ光学系の第11の実施形態を示すレンズ構成図、(F)は比較例のレンズ構成図である。
図52】(A)、(B)は、図51(A)のレンズ構成図における諸収差図である。
図53】(A)、(B)は、図51(C)のレンズ構成図における諸収差図である。
図54】(A)、(B)は、図51(E)のレンズ構成図における諸収差図である。
図55】(A)、(B)は、図51(F)のレンズ構成図(比較例)における諸収差図である。
図56】(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、本発明の顕微鏡対物レンズ光学系の第12の実施形態を示すレンズ構成図、(F)は比較例のレンズ構成図である。
図57】(A)、(B)は、図56(A)のレンズ構成図における諸収差図である。
図58】(A)、(B)は、図56(C)のレンズ構成図における諸収差図である。
図59】(A)、(B)は、図56(E)のレンズ構成図における諸収差図である。
図60】(A)、(B)は、図56(F)のレンズ構成図(比較例)における諸収差図である。
図61】収差補正用平行平面板の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の顕微鏡対物レンズ光学系100は、図1図6図11図16図21図26図31図36図41図46図51及び図56の各実施形態に示すように、ワーク(観察物体)W側から順に、共に不動の正のパワー(屈折力)の前群10と、負のパワー(屈折力)の後群20を備えており、前群10と後群20の間に、平行平面板(収差補正用平行平面板)を挿入する空間30が形成されている。収差補正用平行平面板挿入空間(以下「挿入空間」)30は、全系において前群10と後群20の間に形成された最も光軸方向距離の大きい空間として定義される。この顕微鏡対物レンズ光学系100は、後群20からの出射光が平行光束となる無限遠補正型であり、出射光を図示しない接眼レンズ系またはカメラ画像で観察するための結像光学系に入射させてワークWを観察する。
【0021】
ワークWは、各実施形態の図(A)を除き、ワークW上に異なる厚さの媒質(透光基板、透明基板、カバーガラスまたはシリコン)Xを有している。本実施形態は、厚さの異なる媒質X(X1〜X5)を有する異種のワークW(W1〜W5)を観察するとき、前群10と後群20の間隔を変化させる代わりに、挿入空間30に厚さ(d)と屈折率(n)の少なくとも一方が異なる平行平面板C1ないしC5のいずれかを挿入する。ワークW(W1〜W5)は、いずれも媒質X(X1〜X5)の裏面または内部(前群10が存在する側と反対側の面または内部)に観察物体(微細構造)が形成されており、同観察物体は、媒質X(X1ないしX6)を通して顕微鏡対物レンズ光学系100(及び結像光学系、接眼レンズ系)によって観察される。以下の説明では、媒質Xが存在しないワークWの媒質X1の厚さをゼロとする。挿入空間30内における平行平面板C1ないしC5の光軸方向の挿入位置は、光軸との直交関係が維持される限り、問わない。上述の従来の補正リング型の顕微鏡対物レンズ光学系では、媒質Xの厚さに応じて、収差(特に球面収差)が最適値(許容値)になるように、特定のレンズ群の間隔を変化させていたのに対し、本実施形態では、前群10と後群20は不動である。
【0022】
≪数値実施例≫
次に具体的な数値実施例1ないし12(第1ないし第12の実施形態)を示す。諸収差図は、数値実施例1ないし10については波長1350nm、1550nm、1750nmに対する球面収差とその横収差表示及び像高0.24mmのコマ収差であり、数値実施例11と12については波長486nm、587nm、656nmに対する球面収差とその横収差及び像高0.24mmのコマ収差である。より詳細には、各諸収差図の(B)において、PX、PYは瞳座標のX、Y方向を表し、(1)、(2)は像高0における球面収差のY方向、X方向の横収差表示、(3)はメリジオナルのコマ収差、(4)はサジタルのコマ収差である。表中において、fはレンズ全系の焦点距離、NAは開口数、WDはワーキングディスタンス、rは曲率半径、dはレンズ厚またはレンズ間隔、N(d)はd線に対する屈折率、ν(d)はd線に対するアッベ数を示す。長さの単位は[mm]である。
【0023】
[数値実施例1、2]
図1ないし図10と表1ないし表4は、本発明による顕微鏡対物レンズ光学系の数値実施例1(第1の実施形態)と数値実施例2(第2の実施形態)を示している。図1図6は数値実施例1と数値実施例2のレンズ構成図であり、図2ないし図5図1のレンズ構成図の諸収差図、図7図10図5のレンズ構成図の諸収差図である。表1は面データ、表2は各種データ、表3は数値実施例1の媒質と平行平面板(収差補正用平行平面板)のデータ、表4は数値実施例2の媒質と平行平面板のデータである。表1と表2のデータは、数値実施例1と数値実施例2で共通である。
【0024】
すなわち、数値実施例1と数値実施例2は、同一の前群10と後群20を用い、媒質としてシリコンを用いた場合と、光学ガラスS−BSL7(株式会社オハラ製)を用いた場合の平行平面板(収差補正用平行平面板)C(C1ないしC5)のデータを示している。数値実施例1と数値実施例2の設計基準波長はそれぞれ、1550nmである。諸収差図は、波長1350nmと1550nmと1750nmにおける収差を示している。
【0025】
表3と表4のデータは、前群10の観察物体側に位置するワークW(W1〜W5)の媒質X(シリコン)(X1〜X5)の厚さが0.1mm刻みで変化するとき、顕微鏡対物レンズ光学系100による観察像に生じる球面収差とコマ収差が最適値(許容値)になるように厚さを定めた、挿入空間30に挿入する平行平面板C(C1〜C5)の厚さの変化を示している。図1(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と図6(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、媒質Xの厚さが0.0、0.5、1.0、1.5及び2.0(mm)のときのレンズ構成図であり、図2図3及び図4図6図7及び図8は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のとき(図1(A)、(C)及び(E)と図6(A)、(C)及び(E)のとき)の全系の球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。この実施形態では、平行平面板Cの厚さは、媒質Xの厚さの増加に伴い増加している。図2ないし図4図7ないし図9に示すように、媒質Xの厚さに応じて最適厚さの平行平面板Cを挿入することにより、球面収差とコマ収差が充分に補正されている。これらの収差図から、挿入空間30に、媒質X1ないしX5の厚さと屈折率に応じた厚さと屈折率を有する平行平面板C1〜C5を挿入することにより、球面収差とコマ収差を充分に補正することができることが分かる。図2ないし図4図7ないし図9は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のときの3例を代表して示しているが、媒質Xの他の厚さでも同様の補正傾向が確認されている。
【0026】
一方、図5(A)、(B)と図10(A)、(B)は、図1(A)と図6(A)の本発明の顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例1と数値実施例2(第1と第2の実施形態)のレンズ構成図のまま、ワークW5を観察したときのレンズ構成図(図1(F)と図6(F))における球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。球面収差とコマ収差が極めて悪化していることが分かる。
【0027】
実際の平行平面板C(C1ないしC5)の選択に当たっては、予め知ることができる複数のワークWの媒質Xの厚さ(と屈折率)に応じて厚さ(と屈折率)の異なる複数の平行平面板C(C1ないしC5)を用意しておき、適切なものを選択する。この構成及び選択は、以下の各実施形態において同様である。
【0028】
(表1)
設計基準波長=1550nm
f=4.003 NA=0.469 WD=26.996
面データ
面番号 r d n(d) ν(d)
1 -49.6525 5.0000 1.59522 67.74
2 -20.1845 0.2000
3 -197.5716 6.0000 1.59522 67.74
4 -39.7694 0.5000
5 -6586.1110 6.0000 1.49700 81.55
6 -116.2092 0.2000
7 37.5030 9.0000 2.00330 28.27
8 -26.9890 1.5000 1.95906 17.47
9 15.0390 8.0000 1.49700 81.55
10 -157.6758 0.2000
11 15.9607 8.0000 1.49700 81.55
12 -32.4591 0.7000
13 -23.2681 2.5000 2.00330 28.27
14 -19.8006 2.0000 1.49700 81.55
15 21.3869 6.6578
16 ∞(平行平面板) 1.0000 1.51633 64.14
17 ∞(平行平面板) 5.0000
18 34.3444 3.0000 1.48749 70.24
19 -12.5426 0.2000
20 19.9953 1.0000 1.49700 81.55
21 3.8552 1.8300
22 -9.6432 1.0000 1.49700 81.55
23 5.6535
【0029】
(表2)
各種データ
全系(面No.1-23)の焦点距離ft 4.0028
前群(面No.1-15)の焦点距離ff 18.7194
後群(面No.18-23)の焦点距離fr -5.5219
ff/fr -3.3900
平行平面板の挿入隙間の光軸上の距離S6 12.6578
全系の長さTL 69.4878
S6/TL 0.1822
前群の最も物体側の面から観察物体(媒質(ワーク))迄の距離Fb(WD)
26.9963
NA(開口数) 0.469
【0030】
(表3)
媒質(ワーク)がBK7(n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(BK7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 1.000 図1(A) 図2
0.1 1.049
0.2 1.094
0.3 1.141
0.4 1.188
X2 0.5 1.230 図1(B)
0.6 1.276
0.7 1.317
0.8 1.361
0.9 1.407
X3 1.0 1.450 図1(C) 図3
1.1 1.494
1.2 1.537
1.3 1.580
1.4 1.620
X4 1.5 1.666 図1(D)
1.6 1.709
1.7 1.750
1.8 1.794
1.9 1.838
X5 2.0 1.880 図1(E) 図4
2.1 1.922
2.2 1.964
2.3 2.007
2.4 2.049
2.5 2.092
X5 2.0 1.000 図1(F) 図5
【0031】
(表4)
媒質(ワーク)がBK7(n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(SILICON, n=3.47772)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 1.000 図6(A) 図7
0.1 1.029
0.2 1.067
0.3 1.101
0.4 1.135
X2 0.5 1.168 図6(B)
0.6 1.198
0.7 1.229
0.8 1.258
0.9 1.288
X3 1.0 1.320 図6(C) 図8
1.1 1.350
1.2 1.381
1.3 1.411
1.4 1.440
X4 1.5 1.470 図6(D)
1.6 1.497
1.7 1.531
1.8 1.560
1.9 1.591
X5 2.0 1.621 図6(E) 図9
2.1 1.649
2.2 1.681
2.3 1.711
2.4 1.741
2.5 1.770
X5 2.0 1.000 図6(F) 図10
【0032】
[数値実施例3、4]
図11ないし図20と表5ないし表8は、本発明に係る顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例3(第3の実施形態)と数値実施例4(第4の実施形態)を示している。数値実施例3と4は、媒質(ワークW)の厚さが増加するのに対し、挿入平行平面板の厚さが増加するタイプである。図11図16は数値実施例3と数値実施例4のレンズ構成図であり、図12ないし図15図11のレンズ構成図の諸収差図、図17図20図15のレンズ構成図の諸収差図である。表5は面データ、表6は各種データ、表7は数値実施例3の媒質と平行平面板のデータ、表8は数値実施例4の媒質と平行平面板のデータである。表5と表6のデータは、数値実施例3と数値実施例4で共通である。
【0033】
すなわち、数値実施例3と数値実施例4は、同一の前群10と後群20を用い、媒質としてシリコンを用いた場合と、光学ガラスS−BSL7を用いた場合の平行平面板C1ないしC5のデータを示している。数値実施例3と数値実施例4の設計基準波長はそれぞれ、1550nmである。諸収差図は、波長1350nmと1550nmと1750nmにおける収差を示している。
【0034】
表7と表8のデータは、前群10の観察物体側に位置するワークW(W1〜W5)の媒質X(シリコン)(X1〜X5)の厚さが0.1mm刻みで変化するとき、顕微鏡対物レンズ光学系100による観察像に生じる球面収差とコマ収差が最適値(許容値)になるように厚さを定めた、挿入空間30に挿入する平行平面板C(C1〜C5)の厚さの変化を示している。図11(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と図16(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、媒質Xの厚さが0.0、0.5、1.0、1.5及び2.0(mm)のときのレンズ構成図であり、図12図13及び図14図16図17及び図18は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のとき(図11(A)、(C)及び(E)と図16(A)、(C)及び(E)のとき)の全系の球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。この実施形態では、平行平面板Cの厚さは、媒質Xの厚さの増加に伴い増加している。図12ないし図14図17ないし図19に示すように、媒質Xの厚さに応じて最適厚さの平行平面板Cを挿入することにより、球面収差とコマ収差が充分に補正されている。これらの収差図から、挿入空間30に、媒質X1ないしX5の厚さと屈折率に応じた厚さと屈折率を有する平行平面板C1〜C5を挿入することにより、球面収差とコマ収差を充分に補正することができることが分かる。図12ないし図14図17ないし図19は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のときの3例を代表して示しているが、媒質Xの他の厚さでも同様の補正傾向が確認されている。
【0035】
一方、図15(A)、(B)と図20(A)、(B)は、図11(A)と図16(A)の本発明の顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例3と数値実施例4(第3と第4の実施形態)のレンズ構成のまま、ワークW5を観察したときのレンズ構成(図11(F)と図16(F))における球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。球面収差とコマ収差が極めて悪化していることが分かる。
【0036】
(表5)
波長=1550nm
f=4.066 NA=0.614 WD=8.000
面データ
面番号 r d n(d) ν(d)
1 -14.7534 4.6956 1.49700 81.55
2 -8.1381 0.2000
3 25.1658 5.7265 1.49700 81.55
4 -28.5074 0.5000
5 -39.7645 2.0000 1.78800 47.37
6 17.6075 9.0000 1.49700 81.55
7 -16.5014 0.1900
8 51.5195 1.5000 1.65160 58.55
9 17.1172 14.0000 1.49700 81.55
10 -14.6766 2.0000 1.69680 55.53
11 -51.2414 0.2000
12 41.8872 11.0000 1.49700 81.55
13 -202.6903 14.5415
14 ∞(平行平面板) 0.0000 1.51633 64.14
15 ∞(平行平面板) 1.0000
16 42.1977 1.3000 1.48749 70.24
17 6.8717 10.0000 1.49700 81.55
18 8.7198 0.5000
19 6.5115 6.2000 1.48749 70.24
20 -8.0430 1.3000 1.53172 48.84
21 13.7375 0.9000
22 -32.0446 1.1000 1.52249 59.84
23 4.9012 2.5000 1.65412 39.68
24 -8.6956 0.5000
25 -5.4865 1.0000 1.49700 81.55
26 6.3910
【0037】
(表6)
各種データ
全系(面No.1-23)の焦点距離ft 4.0660
前群(面No.1-15)の焦点距離ff 18.1731
後群(面No.18-23)の焦点距離fr -15.7353
ff/fr -1.1549
平行平面板の挿入隙間の光軸上の距離S5 15.5415
全系の長さTL 91.8536
S5/TL 0.1692
前群の最も物体側の面から観察物体(媒質(ワーク))迄の距離Fb(WD)
8.0000
NA(開口数) 0.614
【0038】
(表7)
媒質(ワーク)がSILICON(n=3.47772)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-BSL7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 0.000 図11(A) 図12
0.1 0.366
0.2 0.796
0.3 1.223
0.4 1.648
X2 0.5 2.069 図11(B)
0.6 2.486
0.7 2.901
0.8 3.313
0.9 3.721
X3 1.0 4.127 図11(C) 図13
1.1 4.530
1.2 4.929
1.3 5.327
1.4 5.721
X4 1.5 6.110 図11(D)
1.6 6.500
1.7 6.885
1.8 7.268
1.9 7.648
X5 2.0 8.025 図11(E) 図14
2.1 8.389
2.2 8.761
2.3 9.130
2.4 9.508
2.5 9.860
X5 2.0 0.0000 図11(F) 図15
【0039】
(表8)
媒質(ワーク)がS-BSL7(n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-BSL7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 0.000 図16(A) 図17
0.1 0.582
0.2 1.218
0.3 1.850
0.4 2.474
X2 0.5 3.091 図16(B)
0.6 3.701
0.7 4.303
0.8 4.898
0.9 5.486
X3 1.0 6.066 図16(C) 図18
1.1 6.641
1.2 7.209
1.3 7.770
1.4 8.325
X4 1.5 8.873 図16(D)
1.6 9.414
1.7 9.950
1.8 10.480
1.9 11.005
X5 2.0 11.524 図16(E) 図19
2.1 12.042
2.2 12.551
2.3 13.054
2.4 13.551
2.5 14.037
X5 2.0 0.000 図16(F) 図20
【0040】
[数値実施例5、6、7、8]
図21ないし図40と表9ないし表14は、本発明に係る顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例5ないし8(第5ないし第8の実施形態)を示している。これらの数値実施例5ないし8は、媒質の厚さが増加するのに対し、挿入平行平面板の厚さが減少するタイプである。図21図26図31図36は数値実施例5と数値実施例6と数値実施例7と数値実施例8のレンズ構成図であり、図22ないし図25図21のレンズ構成図の諸収差図、図27図30図26のレンズ構成図の諸収差図、図32ないし図35図31のレンズ構成図の諸収差図、図37図40図36のレンズ構成図の諸収差図である。表9は面データ、表10は各種データ、表11は数値実施例5の媒質と平行平面板のデータ、表12は数値実施例6の媒質と平行平面板のデータ、表13は数値実施例7の媒質と平行平面板のデータ、表14は数値実施例8の媒質と平行平面板のデータである。表9と表10のデータは、数値実施例5ないし8で共通である。
【0041】
すなわち、数値実施例5なし8は、同一の前群10と後群20を用い、数値実施例5は媒質としてシリコン、平行平面板として光学ガラスS−BSL7を用いた場合、数値実施例6は媒質として光学ガラスS−BSL7、平行平面板として光学ガラスS−BSL7を用いた場合、数値実施例7は媒質としてシリコン、平行平面板として光学ガラスS−PHM52(株式会社オハラ製)を用いた場合、数値実施例8は媒質として光学ガラスS−BSL7、平行平面板として光学ガラスS−PHM52を用いた場合の、平行平面板C1ないしC5のデータを示している。数値実施例3と数値実施例4の設計基準波長はそれぞれ、1550nmである。諸収差図は、波長1350nmと1550nmと1750nmにおける収差を示している。
【0042】
表11ないし表14のデータは、前群10の観察物体側に位置するワークW(W1〜W5)の媒質X(シリコン)(X1〜X5)の厚さが0.1mm刻みで変化するとき、顕微鏡対物レンズ光学系100による観察像に生じる球面収差とコマ収差が最適値(許容値)になるように厚さを定めた、挿入空間30に挿入する平行平面板C(C1〜C5)の厚さの変化を示している。図21(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と図26(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と図31(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と図36(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、媒質Xの厚さが0.0、0.5、1.0、1.5及び2.0(mm)のときのレンズ構成図であり、図22図23及び図24図26図27及び図28図32図33及び図34図36図37及び図38は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のとき(図21(A)、(C)及び(E)と図26(A)、(C)及び(E)と図31(A)、(C)及び(E)と図36(A)、(C)及び(E)のとき)の全系の球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。この実施形態では、平行平面板Cの厚さは、媒質Xの厚さの増加に伴い減少している。図22ないし図24図27ないし図29図32ないし図34図37ないし図39に示すように、媒質Xの厚さに応じて最適厚さの平行平面板C(C1ないしC5)を挿入することにより、球面収差とコマ収差が充分に補正されている。これらの収差図から、挿入空間30に、媒質X1ないしX5の厚さと屈折率に応じた厚さと屈折率を有する平行平面板C1〜C5を挿入することにより、球面収差とコマ収差を充分に補正することができることが分かる。図22ないし図24図27ないし図29図32ないし図34図37ないし図39は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のときの3例を代表して示しているが、媒質Xの他の厚さでも同様の補正傾向が確認されている。
【0043】
一方、図25(A)、(B)と図30(A)、(B)と図35(A)、(B)と図40(A)、(B)とは、図21(A)と図26(A)と図31(A)と図36(A)の本発明の顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例5と数値実施例6と数値実施例7と数値実施例8(第5と第6と第7と第8の実施形態)のレンズ構成のまま、ワークW5を観察したときのレンズ構成(図21(F)と図26(F)と図31(F)と図36(F))における球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。球面収差とコマ収差が極めて悪化していることが分かる。
【0044】
(表9)
設計基準波長=1550nm
f=4.060 NA=0.542 WD=8.550
データ
番号 r d n(d) ν(d)
1 -71.6404 9.3296 1.49700 81.55
2 -15.2737 0.2000
3 26.2529 7.7994 1.49700 81.55
4 -45.9250 0.5000
5 -65.3761 2.0000 1.78800 47.37
6 19.3778 16.0000 1.49700 81.55
7 -25.0368 0.1900
8 77.6575 1.5000 1.65160 58.55
9 20.4739 15.0000 1.49700 81.55
10 -21.4676 2.0000 1.69680 55.53
11 -58.9690 0.2000
12 28.5838 13.4000 1.49700 81.55
13 -48.9306 1.5685
14 ∞(平行平面板) 8.8202 1.51633 64.14
15 ∞(平行平面板) 6.0000
16 -17.3125 1.3000 1.48749 70.24
17 17.85641 14.0000 1.49700 81.55
18 12.8169 0.5000
19 8.4432 6.2000 1.48749 70.24
20 -9.0801 1.3000 1.53172 48.84
21 47.3544 6.3206
22 -9.2723 1.2000 1.52249 59.84
23 5.8464 8.0000 1.65412 39.68
24 -8.3196 0.6000
25 -5.9948 1.0000 1.49700 81.55
26 12.5314
【0045】
(表10)
各種データ
全系(面No.1-26)の焦点距離ft 4.0603
前群(面No.1-13)の焦点距離ff 30.5582
後群(面No.16-26)の焦点距離fr -6.6806
ff/fr -4.5741
平行平面板の挿入隙間の光軸上の距離S5 16.3887
全系の長さTL 124.9283
S5/TL 0.1312
前群の最も物体側の面から観察物体(媒質(ワーク))迄の距離Fb(WD)
8.5495
NA(開口数) 0.542
【0046】
(表11)
媒質(ワーク)がSILICON(n=3.47772)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-BSL7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 8.820 図21(A) 図22
0.1 8.720
0.2 8.609
0.3 8.498
0.4 8.385
X2 0.5 8.276 図21(B)
0.6 8.165
0.7 8.054
0.8 7.943
0.9 7.832
X3 1.0 7.722 図21(C) 図23
1.1 7.611
1.2 7.500
1.3 7.390
1.4 7.280
X4 1.5 7.169 図21(D)
1.6 7.058
1.7 6.948
1.8 6.838
1.9 6.728
X5 2.0 6.618 図21(E) 図24
X5 2.0 8.820 図21(F) 図25
【0047】
(表12)
媒質(ワーク)がS-BSL7(n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-BSL7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 8.820 図26(A) 図27
0.1 8.668
0.2 8.505
0.3 8.341
0.4 8.178
X2 0.5 8.015 図26(B)
0.6 7.852
0.7 7.689
0.8 7.526
0.9 7.365
X3 1.0 7.200 図26(C) 図28
1.1 7.037
1.2 6.875
1.3 6.712
1.4 6.554
X4 1.5 6.387 図26(D)
1.6 6.225
1.7 6.063
1.8 5.901
1.9 5.744
X5 2.0 5.577 図26(E) 図29
X5 2.0 8.820 図26(F) 図30
【0048】
(表13)
媒質(ワーク)がSILICON(n=3.47772)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-PHM52, n=1.61800)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 8.032 図31(A) 図32
0.1 7.947
0.2 7.845
0.3 7.743
0.4 7.639
X2 0.5 7.540 図31(B)
0.6 7.438
0.7 7.337
0.8 7.235
0.9 7.133
X3 1.0 7.033 図31(C) 図33
1.1 6.931
1.2 6.830
1.3 6.729
1.4 6.628
X4 1.5 6.527 図31(D)
1.6 6.426
1.7 6.325
1.8 6.225
1.9 6.123
X5 2.0 6.023 図31(E) 図34
X5 2.0 8.032 図31(F) 図35
【0049】
(表14)
媒質(ワーク)がS-BSL7 (n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-PHM52, n=1.61800)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 8.032 図36(A) 図37
0.1 7.899
0.2 7.749
0.3 7.600
0.4 7.449
X2 0.5 7.301 図36(B)
0.6 7.152
0.7 7.003
0.8 6.854
0.9 6.706
X3 1.0 6.556 図36(C) 図38
1.1 6.407
1.2 6.259
1.3 6.110
1.4 5.962
X4 1.5 5.813 図36(D)
1.6 5.668
1.7 5.517
1.8 5.369
1.9 5.221
X5 2.0 5.074 図36(E) 図39
X5 2.0 8.032 図36(F) 図40
【0050】
[数値実施例9、10]
図41ないし図50と表15ないし表18は、本発明に係る顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例9(第9の実施形態)と数値実施例10(第10の実施形態)を示している。これらの数値実施例9と10は、媒質の厚さが増加するのに対し、挿入平行平面板の厚さが減少するタイプである。図41は数値実施例9のレンズ構成図であり、図42ないし図45図41のレンズ構成図の諸収差図、図46は数値実施例10のレンズ構成図であり、図47図50図46のレンズ構成図の諸収差図である。表15は面データ、表16は各種データ、表17は数値実施例9の媒質と平行平面板のデータ、表18は数値実施例10の媒質と平行平面板のデータである。表15と表16のデータは、数値実施例9と数値実施例10で共通である。
【0051】
すなわち、数値実施例9と数値実施例10は、同一の前群10と後群20を用い、媒質としてシリコン、平行平面板として光学ガラスS−BSL7を用いた場合と、媒質として光学ガラスS−BSL7、平行平面板として光学ガラスS−PHM52を用いた場合の平行平面板C1ないしC5のデータを示している。数値実施例9と数値実施例10の設計基準波長はそれぞれ、1550nmである。(収差図は、波長1350nmと1550nmと1750nmにおける収差を示している。)
【0052】
表17と表18のデータは、前群10の観察物体側に位置するワークW(W1〜W5)の媒質X(シリコンと光学ガラスS−BSL7)(X1〜X5)の厚さが0.1mm刻みで変化するとき、顕微鏡対物レンズ光学系100による観察像に生じる球面収差とコマ収差が最適値(許容値)になるように厚さを定めた、挿入空間30に挿入する平行平面板C(C1〜C5)の厚さの変化を示している。図41(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と図46(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、媒質Xの厚さが0.0、0.5、1.0、1.5及び2.0(mm)のときのレンズ構成図であり、図42図43及び図44図46図47及び図48は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のとき(図41(A)、(C)及び(E)と図46(A)、(C)及び(E)のとき)の全系の球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。この実施形態では、平行平面板Cの厚さは、媒質Xの厚さの増加に伴い増加している。図42ないし図44図47ないし図49に示すように、媒質Xの厚さに応じて最適厚さの平行平面板Cを挿入することにより、球面収差とコマ収差が充分に補正されている。これらの収差図から、挿入空間30に、媒質X1ないしX5の厚さと屈折率に応じた厚さと屈折率を有する平行平面板C1〜C5を挿入することにより、球面収差とコマ収差を充分に補正することができることが分かる。図42ないし図44図47ないし図49は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のときの3例を代表して示しているが、媒質Xの他の厚さでも同様の補正傾向が確認されている。
【0053】
一方、図45(A)、(B)と図50(A)、(B)は、図41(A)と図46(A)の本発明の顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例9と数値実施例10(第9と第10の実施形態)のレンズ構成のまま、ワークW5を観察したとき(図41(F)と図46(F))における球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。球面収差とコマ差が極めて悪化していることが分かる。
【0054】
(表15)
設計基準波長=1550nm
f=3.862 NA=0.539 WD=14.489
面データ
面番号 r d n(d) ν(d)
1 -45.4114 5.6852 1.59522 67.74
2 -15.3096 0.2000
3 -1526.8270 6.7617 1.59522 67.74
4 -25.0394 0.5000
5 98.5137 1.5000 1.80518 25.43
6 17.9468 9.7624 1.49700 81.55
7 -75.2877 0.2000
8 43.0168 8.0000 1.49700 81.55
9 -15.0277 2.0000 1.51633 64.14
10 14.2245 7.0000 1.49700 81.55
11 -204.2479 0.2000
12 11.8806 9.5000 1.49700 81.55
13 -106.0979 0.4000
14 -63.8747 1.3000 1.54814 45.78
15 39.4587 3.5000 1.49700 81.55
16 5.4374 16.2566
17 ∞(平行平面板) 0.0000 1.51633 64.14
18 ∞(平行平面板) 1.0000
19 10.9551 3.0000 1.48749 70.24
20 -10.9551 0.1500
21 13.8711 1.0000 1.51633 64.14
22 7.1222 1.8300
23 -7.2261 1.0000 1.497 81.55
24 7.2261
【0055】
(表16)
各種データ
全系(面No.1-26)の焦点距離ft 3.8619
前群(面No.1-12)の焦点距離ff 9.9930
後群(面No.16-26)の焦点距離fr -25.6274
ff/fr -0.3899
平行平面板の挿入隙間の光軸上の距離S6 17.2566
全系の長さTL 80.7459
S6/TL 0.2137
前群の最も物体側の面から観察物体(媒質(ワーク))迄の距離Fb(WD)
14.4888
NA(開口数) 0.539
【0056】
(表17)
媒質(ワーク)がSILICON(n=3.47772)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-BSL7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 0.000 図41(A) 図42
0.1 0.426
0.2 0.865
0.3 1.300
0.4 1.732
X2 0.5 2.171 図41(B)
0.6 2.587
0.7 3.007
0.8 3.424
0.9 3.838
X3 1.0 4.264 図41(C) 図43
1.1 4.655
1.2 5.057
1.3 5.457
1.4 5.853
X4 1.5 6.272 図41(D)
1.6 6.639
1.7 7.026
1.8 7.409
1.9 7.789
X5 2.0 8.188 図41(E) 図44
2.1 9.166
2.2 9.374
2.3 9.579
2.4 9.783
2.5 10.000
X5 2.0 0.000 図41(F) 図45
【0057】
(表18)
ワーク(媒質)がSILICON(n=3.47772)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-PHM52, n=1.61800)の厚さ一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 0.000 図46(A) 図47
0.1 0.378
0.2 0.768
0.3 1.155
0.4 1.538
X2 0.5 1.918 図46(B)
0.6 2.298
0.7 2.671
0.8 3.042
0.9 3.409
X3 1.0 3.773 図46(C) 図48
1.1 4.135
1.2 4.492
1.3 4.847
1.4 5.199
X4 1.5 5.548 図46(D)
1.6 5.898
1.7 6.241
1.8 6.582
1.9 6.919
X5 2.0 7.254 図46(E) 図49
2.1 7.586
2.2 7.905
2.3 8.238
2.4 8.565
2.5 8.870
X5 2.0 0.000 図46(F) 図50
【0058】
図51ないし図60と表19ないし表22は、本発明に係る顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例11(第11の実施形態)と数値実施例12(第12の実施形態)を示している。これらの数値実施例11と12は、媒質の厚さが増加するのに対し、挿入平行平面板の厚さが減少するタイプである。図51は数値実施例10のレンズ構成図であり、図52ないし図55図51のレンズ構成図の諸収差図、図56は数値実施例11のレンズ構成図であり、図57図60図56のレンズ構成図の諸収差図である。表19は面データ、表20は各種データ、表21は数値実施例11の媒質と平行平面板のデータ、表22は数値実施例12の媒質と平行平面板のデータである。表19と表20のデータは、数値実施例11と数値実施例12で共通である。
【0059】
すなわち、数値実施例11と数値実施例12は、同一の前群10と後群20を用い、媒質としてシリコン、平行平面板として光学ガラスS−BSL7を用いた場合と、媒質として光学ガラスS−BSL7、平行平面板として光学ガラスS−PHM52を用いた場合の平行平面板C1ないしC5のデータを示している。数値実施例9と数値実施例10の設計基準波長はそれぞれ、587nmである。(収差図は、486nmと587nmと656nmにおける収差を示している。)
【0060】
表21と表22のデータは、前群10の観察物体側に位置するワークW(W1〜W5)の媒質X(シリコンと光学ガラスS−BSL7)(X1〜X5)の厚さが0.1mm刻みで変化するとき、顕微鏡対物レンズ光学系100による観察像に生じる球面収差とコマ収差が最適値(許容値)になるように厚さを定めた、挿入空間30に挿入する平行平面板C(C1〜C5)の厚さの変化を示している。図51(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)と図56(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、媒質Xの厚さが0.0、0.5、1.0、1.5及び2.0(mm)のときのレンズ構成図であり、図52図53及び図54図56図57及び図58は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のとき(図51(A)、(C)及び(E)と図56(A)、(C)及び(E)のとき)の全系の球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。この実施形態では、平行平面板Cの厚さは、媒質Xの厚さの増加に伴い増加している。図52ないし図54図57ないし図59に示すように、媒質Xの厚さに応じて最適厚さの平行平面板Cを挿入することにより、球面収差とコマ収差が充分に補正されている。これらの収差図から、挿入空間30に、媒質X1ないしX5の厚さと屈折率に応じた厚さと屈折率を有する平行平面板C1〜C5を挿入することにより、球面収差とコマ収差を充分に補正することができることが分かる。図52ないし図54図57ないし図59は、媒質Xの厚さが0.0、1.0及び2.0(mm)のときの3例を代表して示しているが、媒質Xの他の厚さでも同様の補正傾向が確認されている。
【0061】
一方、図55(A)、(B)と図60(A)、(B)は、図51(A)と図56(A)の本発明の顕微鏡対物レンズ光学系100の数値実施例11と数値実施例11(第11と第12の実施形態)のレンズ構成のまま、ワークW5を観察したとき(図51(F)と図56(F))における球面収差とその横収差表示とコマ収差を示している。球面収差とコマ収差が極めて悪化していることが分かる。
【0062】
(表19)
587nm
f=4.003 NA=0.414 D=18.000
面データ
面番号 r d n(d) ν(d)
1 36.1243 5.0000 1.49700 81.61
2 -16.0878 0.3000
3 118.9268 4.0000 1.49700 81.61
4 -19.6869 0.7000
5 -15.9536 1.5000 1.74100 52.65
6 27.0753 6.0000 1.49700 81.61
7 -18.7193 0.3500
8 103.1430 5.0000 1.45600 90.32
9 -16.2965 1.5000 1.74100 52.65
10 -51.5860 3.0000 1.45600 90.32
11 -51.2667 0.3000
12 56.8494 6.0000 1.45600 90.32
13 -18.5206 3.0000 1.64000 60.08
14 -82.2586 2.5000 1.45600 90.32
15 -324.5329 0.3000
16 18.1766 6.0000 1.49700 81.61
17 425.6775 14.1089
18 ∞(平行平面板) 3.8911 1.51633 64.14
19 ∞(平行平面板) 6.8017
20 -7.4003 1.0000 1.74100 52.65
21 4.1317 2.5000 1.78472 25.68
22 12.1127
【0063】
(表20)
各種データ
全系(面No.1-22)の焦点距離ft 4.0005
前群(面No.1-17)の焦点距離ff 22.8554
後群(面No.20-22)の焦点距離fr -6.0415
ff/fr -3.7831
平行平面板の挿入隙間の光軸上の距離S6 24.8017
全系の長さTL 73.7517
S6/TL 0.3363
前群の最も物体側の面から観察物体(媒質(ワーク))迄の距離Fb(WD) 18.0000
NA(開口数) 0.414
【0064】
(表21)
媒質(ワーク)がS-BSL7(n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-BSL7, n=1.51633)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 3.891 図51(A) 図52
0.1 3.792
0.2 3.702
0.3 3.606
0.4 3.511
X2 0.5 3.415 図51(B)
0.6 3.312
0.7 3.225
0.8 3.130
0.9 3.036
X3 1.0 2.942 図51(C) 図53
1.1 2.841
1.2 2.747
1.3 2.661
1.4 2.568
X4 1.5 2.475 図51(D)
1.6 2.383
1.7 2.286
1.8 2.195
1.9 2.106
X5 2.0 2.016 図51(E) 図54
2.1 1.923
2.2 1.834
2.3 1.743
2.4 1.652
2.5 1.564
X5 2.0 3.891 図51(F) 図55
【0065】
(表22)
媒質(ワーク)がS-BSL7 (n=1.51633)のときの媒質の厚さと平行平面板(S-PHM52,n=1.61800)の厚さの一覧表
XNo. 媒質厚 平行平面板(C)厚 レンズ図 収差図
X1 0.0 3.534 図56(A) 図57
0.1 3.452
0.2 3.360
0.3 3.277
0.4 3.184
X2 0.5 3.102 図56(B)
0.6 3.016
0.7 2.923
0.8 2.843
0.9 2.757
X3 1.0 2.671 図56(C) 図58
1.1 2.580
1.2 2.495
1.3 2.415
1.4 2.326
X4 1.5 2.246 図56(D)
1.6 2.162
1.7 2.075
1.8 1.992
1.9 1.911
X5 2.0 1.829 図56(E) 図59
2.1 1.744
2.2 1.663
2.3 1.581
2.4 1.500
2.5 1.419
X5 2.0 3.534 図56(F) 図60
【0066】
以上の実施形態では、ワークWの媒質Xの厚さと屈折率に応じて屈折率を選定し厚さを異ならせた複数の収差補正用平行平面板を選択使用しているが、重ね合わせた2枚以上の楔板によって収差補正用平行平面板を準備し、この2枚の楔板の重なり位置を変化させることで厚さを変化させることもできる。図61は、2枚の透光楔板C6−1、C6−2によって収差補正用平行平面板C6を形成した他の具体例を示している。収差補正用平行平面板C6は、透光楔板C6−1とC6−2の対向面を密着させた状態で、収差補正用平行平面板を形成する。この収差補正用平行平面板C6は、透光楔板C6−1とC6−2の少なくとも一方を図の矢印方向に相対移動して重なり位置を変化させることで、無段階に厚さを変化させて結像性能を確認しながら最適状態にすることができる。なお、透光楔板C6−1とC6−2の対向面は、接触させた状態で相対移動してもよいが、離間させて相対移動し、使用時に密着させてもよい。
【0067】
上記数値実施例では、媒質X1〜X5及び収差補正用平行平面板C1〜C5をそれぞれ、シリコン、光学ガラスS−BSL7、光学ガラスS−PHM52を使用しているが、他の材料を使用することも可能である。収差補正用平行平面板C1〜C5は同一材料から構成し、その厚さを異ならせているが、収差補正用平行平面板C1〜C5を異なる屈折率の材料で形成してもよい。この場合、収差補正用平行平面板C1〜C5の厚さは同一とし、異なる屈折率の材料を使用することでも対応可能である。
【符号の説明】
【0068】
100 顕微鏡対物レンズ光学系
10 前群
20 後群
30 収差補正用平行平面板挿入空間
C、C1、C2、C3、C4、C5 収差補正用平行平面板(平行平面板)
W、W1、W2、W3、W4、W5 ワーク
X X1、X2、X3、X4、X5 媒質

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61