特開 2018-108663 熱変色性筆記具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】特開2018-108663(P2018-108663A)

(43)【公開日】2018年7月12日

(54)【発明の名称】熱変色性筆記具

(51)【国際特許分類】

   B43K 29/02 20060101AFI20180615BHJP

   B43K 24/08 20060101ALI20180615BHJP

【ＦＩ】

   B43K29/02 F

   B43K24/08 110

   B43K24/08 150

【審査請求】未請求

【請求項の数】2

【出願形態】ＯＬ

【全頁数】10

(21)【出願番号】特願2016-256652(P2016-256652)

(22)【出願日】2016年12月28日

(71)【出願人】

【識別番号】303022891

【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション

(72)【発明者】

【氏名】間瀬 公彦

【テーマコード（参考）】

2C353

【Ｆターム（参考）】

2C353HA01

2C353HA09

2C353HC04

2C353HG04

2C353HL03

2C353MA06

(57)【要約】

【課題】摩擦部を用いて摩擦操作する際に、摩擦部の前後方向の移動を確実に阻止できる熱変色性筆記具を提供する。
【解決手段】ノック部材８の前端に、凸部と凹部からなる前方カム部９３が設けられ、カム部材５の後端に、ノック部材８の前方カム部９３と係合可能な凸部と凹部からなる後方カム部７１が設けられる。ノック部材８が軸筒２に対して回転可能に構成され、ノック部材８の外面に軸筒２後端と当接可能な規制壁部１０ｂが形成される。ノック部材８の前方カム部９３の凸部と、カム部材５の後方カム部７１の凹部とが係合状態にあるとき、またはノック部材８の前方カム部９３の凹部と、カム部材５の後方カム部７１の凸部とが係合状態にあるとき、ノック部材８の規制壁部１０ｂと軸筒２後端とが当接され、ノック部材８の前方移動が阻止される
【選択図】 図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

筆記体の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先を設け、前記筆記体を軸筒内に前後方向に移動可能に収容し、前記軸筒の後端部にノック部材を設け、前記ノック部材を前方に押圧することによりペン先を軸筒の前端孔から突出状態にし、再度、前記ノック部材を前方に押圧することにより前記ペン先突出状態を解除しペン先を軸筒の前端孔より軸筒内に没入状態にする出没機構を備え、前記ノック部材の後端部外面に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で前記熱変色性インキの筆跡を熱変色可能な摩擦部を設けた熱変色性筆記具であって、
前記出没機構が、前記軸筒内面に形成され、円周方向に沿って交互に配置された前後方向に延びる複数のカム歯及びカム溝と、前記筆記体の後方に前記軸筒に対して回転可能に配置され、前記カム歯または前記カム溝に交互に係合可能な複数の突条を有する回転部材と、前記回転部材の後方に、前記軸筒に対して回転不能且つ前後方向に移動可能に配置され、前記回転部材を回動させる複数のカム突起を有するとともに前記軸筒内面のカム溝に前後動自在に係合される複数の係合突起を有するカム部材と、前記カム部材を前方に押圧するノック部材と、前記筆記体を後方に付勢する弾発体と、を備え、
前記記ノック部材の前端に、凸部と凹部からなる前方カム部が設けられ、前記カム部材の後端に、前記ノック部材の前方カム部と係合可能な凸部と凹部からなる後方カム部が設けられ、前記ノック部材が前記軸筒に対して回転可能に構成され、前記ノック部材が前記軸筒の後端孔より後方に突出され、前記ノック部材の外面に前記軸筒後端と当接可能な規制壁部が形成され、
前記ノック部材の前方カム部の凸部とカム部材の後方カム部の凸部とが当接状態にあるとき、前記ノック部材の規制壁部と前記軸筒後端との間に軸方向の隙間が形成され、前記ノック部材の前方への押圧操作が可能となり、
前記ノック部材の前方カム部の凸部と前記カム部材の後方カム部の凹部とが係合状態にあるとき、または前記ノック部材の前方カム部の凹部と前記カム部材の後方カム部の凸部とが係合状態にあるとき、前記ノック部材の規制壁部と前記軸筒後端とが当接され、前記ノック部材の前方移動が阻止されることを特徴とする熱変色性筆記具。

【請求項2】

前記ノック部材が、前端に前方カム部を備える前部材と、前記前部材の後端部に固着され、前記規制壁部を備えた後部材とからなり、前記後部材が弾性材料からなり、前記後部材の後端部外面に摩擦部が構成される請求項１記載の熱変色性筆記具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、熱変色性筆記具に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、例えば、特許文献１には、ノック体の後端部外面に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で前記熱変色性インキの筆跡を熱変色可能な摩擦部を設けた熱変色性筆記具において、摩擦部を用いて摩擦操作する際、ノック体を回転させ、摩擦部を径方向外方に膨出変形させ、軸筒の内面と摩擦部を圧接させ、摩擦部の前後方向の移動を阻止する構造が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１２−２２３９５０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

前記特許文献１に開示された熱変色性筆記具は、摩擦部と軸筒内面との圧接保持力（即ち摩擦力）を利用する構造である。摩擦部と軸筒内面との圧接保持力は、軸筒内面または摩擦部の表面状態に影響されるため、摩擦部を用いて摩擦操作する際に、摩擦部の前後方向の移動を、確実に阻止できないおそれがある。

【0005】

本発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、摩擦部を用いて摩擦操作する際に、摩擦部の前後方向の移動を確実に阻止できる熱変色性筆記具を提供しようとするものである。

【0006】

尚、本発明において、「前」とはペン体側を指し、「後」とはその反対側を指す。本発明で、「ペン先没入状態」とは、ペン先が軸筒内に没入した状態をいい、「ペン先突出状態」とは、ペン先が軸筒の前端より外部に突出した状態をいう。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本願の第１の発明に係る熱変色性筆記具１は、筆記体３の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体３の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先３１を設け、前記筆記体３を軸筒２内に前後方向に移動可能に収容し、前記軸筒２の後端部にノック部材８を設け、前記ノック部材８を前方に押圧することによりペン先３１を軸筒２の前端孔２１から突出状態にし、再度、前記ノック部材８を前方に押圧することにより前記ペン先突出状態を解除しペン先３１を軸筒２の前端孔２１より軸筒２内に没入状態にする出没機構を備え、前記ノック部材８の後端部外面に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で前記熱変色性インキの筆跡を熱変色可能な摩擦部１０ｃを設けた熱変色性筆記具であって、前記出没機構が、前記軸筒２内面に形成され、円周方向に沿って交互に配置された前後方向に延びる複数のカム歯２４及びカム溝２５と、前記筆記体３の後方に前記軸筒２に対して回転可能に配置され、前記カム歯２４または前記カム溝２５に交互に係合可能な複数の突条４１を有する回転部材４と、前記回転部材４の後方に、前記軸筒２に対して回転不能且つ前後方向に移動可能に配置され、前記回転部材４を回動させる複数のカム突起６１を有するとともに前記軸筒２内面のカム溝２５に前後動自在に係合される複数の係合突起６２を有するカム部材５と、前記カム部材５を前方に押圧するノック部材８と、前記筆記体３を後方に付勢する弾発体１１と、を備え、前記記ノック部材８の前端に、凸部と凹部からなる前方カム部９３が設けられ、前記カム部材５の後端に、前記ノック部材８の前方カム部９３と係合可能な凸部と凹部からなる後方カム部７１が設けられ、前記ノック部材８が前記軸筒２に対して回転可能に構成され、前記ノック部材８が前記軸筒２の後端孔２２より後方に突出され、前記ノック部材８の外面に前記軸筒２後端と当接可能な規制壁部１０ｂが形成され、前記ノック部材８の前方カム部９３の凸部とカム部材５の後方カム部７１の凸部とが当接状態にあるとき、前記ノック部材８の規制壁部１０ｂと前記軸筒２後端との間に軸方向の隙間が形成され、前記ノック部材８の前方への押圧操作が可能となり、前記ノック部材８の前方カム部９３の凸部と前記カム部材５の後方カム部７１の凹部とが係合状態にあるとき、または前記ノック部材８の前方カム部９３の凹部と前記カム部材５の後方カム部７１の凸部とが係合状態にあるとき、前記ノック部材８の規制壁部１０ｂと前記軸筒２後端とが当接され、前記ノック部材８の前方移動が阻止されることを要件とする。

【0008】

前記第１の発明に係る熱変色性筆記具１は、前記構成により、摩擦部を用いて摩擦操作する際に、摩擦部の前後方向の移動を確実に阻止できる。

【0009】

本願の第２の発明に係る熱変色性筆記具１は、前記第１の発明に係る熱変色性筆記具１において、前記ノック部材８が、前端に前方カム部９３を備える前部材９と、前記前部材９の後端部に固着され、前記規制壁部１０ｂを備えた後部材１０とからなり、前記後部材１０が弾性材料からなり、前記後部材１０の後端部外面に摩擦部１０ｃが構成されることを要件とする。

【0010】

前記第２の発明に係る熱変色性筆記具１は、前方カム部９３を備える前部材９と、摩擦部１０ｃを備える後部材１０とからノック部材８を構成したことにより、前方カム部９３と後方カム部７１との安定した当接状態が得られ、その結果、ノック部材８の安定した押圧操作が可能となる。

【発明の効果】

【0011】

本発明の熱変色性筆記具は、摩擦部を用いて摩擦操作する際に、摩擦部の前後方向の移動を確実に阻止できる。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】本発明の実施の形態のノック部材の前方への押圧操作可能状態を示す縦断面図である。

【図2】図１の要部拡大縦断面図である。

【図3】図１のノック部材の前方への移動が阻止された状態を示す縦断面図である。

【図4】図３の要部拡大縦断面図である。

【図5】図１の出没機構を示す分解図である。

【図6】図１の前方カム部の凸部と後方カム部の凸部との当接状態を示す展開図である。

【図7】図１の前方カム部の凸部と後方カム部の凹部との係合状態を示す展開図である。

【図8】図１の前方カム部の凸部と後方カム部の凸部との当接状態を示す要部斜視図である。

【図9】図１の前方カム部の凸部と後方カム部の凹部との係合状態を示す要部斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0013】

本発明の筆記具の実施の形態を図面に従って説明する。（図１乃至図６参照）

【0014】

本実施の形態の熱変色性筆記具１は、軸筒２と、該軸筒２内に収容される筆記体３と、該筆記体３のペン先３１を軸筒２の前端孔２１より出没自在にさせる出没機構とを備える。前記軸筒２は、円筒状の前軸２ａと、該前軸２ａの後端に連結される円筒状の後軸２ｂとからなる。前記前軸２ａの前端には、前端孔２１が形成される。前記前軸２ａの側面には弾性材料からなる把持部が形成される。前記後軸２ｂの側壁には、前後方向に延びるクリップ２３が一体に設けられる。本実施の形態では、後軸２ｂの後端には、環状部材２ｃが固着され、環状部材２ｃにより後端孔２２が構成される。

【0015】

前記筆記体３は、ペン先３１と、該ペン先３１が前端開口部に圧入固着されたインキ収容管と、該インキ収容管内に充填される熱変色性インキと、該熱変色性インキの後端に充填され且つ該熱変色性インキの消費に伴い前進する追従体（例えば高粘度流体）とからなる。

【0016】

前記ペン先３１は、例えば、前端に回転可能にボールを抱持した金属製のボールペンのみからなる構成、または前記ボールペンチップの後部外面を保持した合成樹脂製のペン先ホルダーからなる構成のいずれであってもよい。また、前記インキ収容管の後端開口部に、インキ収容管と外部とが通気可能な通気孔を備えた尾栓を取り付けてもよい。

【0017】

出没機構は、回転カム機構を用いたノック式出没機構であり、前記軸筒２内面に形成され、円周方向に沿って交互に配置された前後方向に延びる複数のカム歯２４及びカム溝２５と、前記筆記体３の後端に当接され且つ前記軸筒２に対して回転可能に配置され、前記カム歯２４または前記カム溝２５に交互に係合可能な複数の突条４１を有する回転部材４と、前記回転部材４の後方に、前記軸筒２に対して回転不能且つ前後方向に移動可能に配置され、前記回転部材４を回動させる複数のカム突起６１を有するとともに前記軸筒２内面のカム溝２５に前後動自在に係合される複数の係合突起６２を有するカム部材５（前側部材６、後側部材７）と、前記カム部材５を前方に押圧するノック部材８と、前記筆記体３を後方に付勢する弾発体１１（例えば圧縮コイルスプリング）とからなる。出没機構は、ペン先突出操作及びペン先没入操作のいずれもがノック体を前方に押圧する操作のダブルノック式である。

【0018】

・回転部材
回転部材４は、その外面に長手方向に延びる３本の突条４１を備え、該突条４１がカム溝２５と係合される。回転部材４は、円筒状の合成樹脂の成形体である。回転部材４の内壁に、常時、筆記体３の後端が当接される。

【0019】

・カム部材
カム部材５は、筒状の前側部材６と、該前側部材６の内面に固着される後側部材７とからなる。カム部材５は、円筒状の合成樹脂の成形体である。前側部材６の前端部に、カム溝２５内を摺動する係合突起６２と、回転部材４の突条４１の後端と係合するカム突起６１とが設けられる。後側部材７の後端に、単一の凸部と単一の凹部とからなる後方カム部７１が設けられる。後側部材７の後端に設けられた後方カム部７１は、後方向に向いた単一の凸部と単一の凹部とからなる。後方カム部７１の凸部の頂部には、前方カム部９３の凸部が乗り越え係合可能な窪み部７１ａが形成される。

【0020】

・ノック部材
ノック部材８が、前部材９と、該前部材９の後端部に固着される後部材１０とからなる。

【0021】

・前部材
前部材９は、大径部９１と、該大径部９１より後方に一体に連設された小径部９２とからなり、合成樹脂の成形体から得られる。前部材９の前端には、前方カム部９３が形成される。前部材９の大径部９１の外面には係止段部９４が形成され、該係止段部９４にノック部材用弾発体１２の前端が係止される。前部材９の小径部９２の外面は、後部材１０の取付孔１０ａの内面に固着される。前部材９の前端に設けられた前方カム部９３は、前方向に向いた単一の凸部と単一の凹部とからなる。

【0022】

・後部材
後部材１０は、前方が開口され且つ後方が閉鎖された有底筒状に形成され、弾性材料（例えば、シリコーン樹脂、ＳＢＳ樹脂、ＳＥＢＳ樹脂等）により一体に形成される。後部材１０の外面には、規制壁部１０ｂが形成される。規制壁部１０ｂの外径は、軸筒２の後端孔２２の内径より大きく設定される。規制壁部１０ｂは、軸筒２の後端孔２２の開口端に当接可能である。後部材１０の後端部外面は凸曲面状に形成され、それにより、後部材１０の後端部外面に凸曲面状の摩擦部１０ｃが構成される。

【0023】

・ノック部材用弾発体
ノック部材８は、ノック部材用弾発体１２（例えば圧縮コイルスプリング）により、前方付勢される。ノック部材用弾発体１２の弾発力は、筆記体３を後方に付勢する弾発体１１の弾発力より小さく設定される。ノック部材用弾発体１２の前端は、ノック部材８の係止壁部９４に係止され、ノック部材用弾発体１２の後端は、軸筒２の後端部の内壁（環状部材２ｃの内壁）に係止される。ノック部材８がノック部材用弾発体１２により前方付勢されるため、前方カム部９３と後方カム部７１とが常時当接状態に維持される。

【0024】

・カムの作動
図２、図６及び図８に、ノック部材８の前方への押圧操作可能状態を示す。この状態において、前方カム部９３の凸部と後方カム部７１の凸部とが当接され、前方カム部９３の凸部が後方カム部７１の凸部頂部の窪み部７１ａに係合されている。この状態は、前記図４、図７及び図９の状態から、ノック部材８を軸筒２に対して半回転させることにより得る。

【0025】

図４、図７及び図９に、ノック部材８の前方への押圧操作が阻止された状態を示す。この状態は、前記図２、図６及び図８の状態から、ノック部材８を軸筒２に対して半回転させることにより得る。この状態において、前方カム部９３の凸部と後方カム部７１の凹部とが係合され、または、前方カム部９３の凹部と後方カム部７１の凸部とが係合される。この状態において、ノック部材８の規制壁部１０ｂと軸筒２の後端とが当接されている。それにより、ノック部材８の前方への移動が阻止される。

【0026】

本実施の形態の熱変色性筆記具１は、筆記体３の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体３の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先３１を設け、前記筆記体３を軸筒２内に前後方向に移動可能に収容し、前記軸筒２の後端部にノック部材８を設け、前記ノック部材８を前方に押圧することによりペン先３１を軸筒２の前端孔２１から突出状態にし、再度、前記ノック部材８を前方に押圧することにより前記ペン先突出状態を解除しペン先３１を軸筒２の前端孔２１より軸筒２内に没入状態にする出没機構を備え、前記ノック部材８の後端部外面に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で前記熱変色性インキの筆跡を熱変色可能な摩擦部１０ｃを設けた熱変色性筆記具であって、前記出没機構が、前記軸筒２内面に形成され、円周方向に沿って交互に配置された前後方向に延びる複数のカム歯２４及びカム溝２５と、前記筆記体３の後方に前記軸筒２に対して回転可能に配置され、前記カム歯２４または前記カム溝２５に交互に係合可能な複数の突条４１を有する回転部材４と、前記回転部材４の後方に、前記軸筒２に対して回転不能且つ前後方向に移動可能に配置され、前記回転部材４を回動させる複数のカム突起６１を有するとともに前記軸筒２内面のカム溝２５に前後動自在に係合される複数の係合突起６２を有するカム部材５と、前記カム部材５を前方に押圧するノック部材８と、前記筆記体３を後方に付勢する弾発体１１と、を備え、前記記ノック部材８の前端に、凸部と凹部からなる前方カム部９３が設けられ、前記カム部材５の後端に、前記ノック部材８の前方カム部９３と係合可能な凸部と凹部からなる後方カム部７１が設けられ、前記ノック部材８が前記軸筒２に対して回転可能に構成され、前記ノック部材８が前記軸筒２の後端孔２２より後方に突出され、前記ノック部材８の外面に前記軸筒２後端と当接可能な規制壁部１０ｂが形成され、前記ノック部材８と前方カム部９３の凸部とカム部材５の後方カム部７１の凸部とが当接状態にあるとき、前記ノック部材８の規制壁部１０ｂと前記軸筒２後端との間に軸方向の隙間が形成され、前記ノック部材８の前方への押圧操作が可能となり、前記ノック部材８の前方カム部９３の凸部と前記カム部材５の後方カム部７１の凹部とが係合状態にあるとき、または前記ノック部材８の前方カム部９３の凹部と前記カム部材５の後方カム部７１の凸部とが係合状態にあるとき、前記ノック部材８の規制壁部１０ｂと前記軸筒２後端とが当接され、前記ノック部材８の前方移動が阻止される。

【0027】

本実施の形態の熱変色性筆記具１は、前記構成により、摩擦部１０ｃを用いて摩擦操作する際に、摩擦部１０ｃの前後方向の移動を確実に阻止できる。

【0028】

また、本実施の形態の熱変色性筆記具１は、前記ノック部材８が、前端に前方カム部９３を備える前部材９と、前記前部材９の後端部に固着され、前記規制壁部１０ｂを備えた後部材１０とからなり、前記後部材１０が弾性材料からなり、前記後部材１０の後端部外面に摩擦部１０ｃが構成される。本実施の形態の熱変色性筆記具１は、前方カム部９３を備える前部材９と、摩擦部１０ｃを備える後部材１０とからノック部材８を構成したことにより、前方カム部９３と後方カム部７１との安定した当接状態が得られ、その結果、ノック部材８の安定した押圧操作が可能となる。

【符号の説明】

【0029】

１ 熱変色性筆記具
２ 軸筒
２１ 前端孔
２２ 後端孔
２３ クリップ
２４ カム歯
２５ カム溝
２ａ 前軸
２ｂ 後軸
２ｃ 環状部材
３ 筆記体
３１ ペン先
４ 回転部材
４１ 突条
５ カム部材
６ 前側部材
６１ カム突起
６２ 係合突起
７ 後側部材
７１ 後方カム部
７１ａ 窪み部
８ ノック部材
９ 前部材
９１ 大径部
９２ 小径部
９３ 前方カム部
９４ 係止段部
１０ 後部材
１０ａ 取付孔
１０ｂ 規制壁部
１０ｃ 摩擦部
１１ 弾発体
１２ ノック部材用弾発体

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】