特開2018-108670(P2018-108670A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-108670(P2018-108670A)
(43)【公開日】2018年7月12日
(54)【発明の名称】熱変色性筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 29/02 20060101AFI20180615BHJP
   B43K 24/08 20060101ALI20180615BHJP
【FI】
   B43K29/02 F
   B43K24/08 110
   B43K24/08 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-256742(P2016-256742)
(22)【出願日】2016年12月28日
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】飯島 達也
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353HA01
2C353HA09
2C353HC04
2C353HG04
2C353HJ05
2C353MA06
(57)【要約】
【課題】ペン先没入状態及びペン先突出状態の何れの状態においても、摩擦部を用いた摩擦操作が可能であるとともに、摩擦操作しないときは摩擦部の汚れを確実に防止できる熱変色性筆記具を提供する。
【解決手段】ノック部材6の外面と軸筒2の内面との間に、可動筒状体8が前後方向に移動可能且つ後端孔23より後方に突出可能に配置される。可動筒状体8の後端部に弾性材料からなる摩擦部が設けられる。可動筒状体8が後端孔23より軸筒2内に完全に没入可能に構成される。可動筒状体8が後端孔23より後方に最大突出状態のとき、摩擦部9の後端がノック部材6の後端より後方に位置されるか、または摩擦部9の後端と前記ノック部材6の後端の前後の位置が一致される。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記体の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先を設け、前記筆記体を軸筒内に前後方向に移動可能に収容し、前記軸筒の後端孔から後方にノック部材を突出させ、ペン先没入状態から前記ノック部材を前方に押圧することにより前記ペン先を前記軸筒の前端孔から突出状態にし、ペン先突出状態から前記ノック部材を前方に押圧することにより前記ペン先を前記軸筒の前端孔から前記軸筒内に没入状態にする出没機構を備え、前記出没機構が、前記軸筒内面に設けたカム部と、前記カム部に係合し且つ前記筆記体の後端に当接する回転部材と、前記回転部材に係合する前記ノック部材と、前記軸筒内に収容され且つ前記筆記体または前記回転部材を後方に付勢する弾発体とからなり、前記軸筒の後端部に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で前記熱変色性インキの筆跡を熱変色可能な摩擦部を備えた熱変色性筆記具であって、
前記ノック部材の外面と前記軸筒の内面との間に、可動筒状体が前後方向に移動可能且つ後端孔より後方に突出可能に配置され、前記可動筒状体の後端部に弾性材料からなる摩擦部が設けられ、前記可動筒状体が前記後端孔より軸筒内に完全に没入可能に構成されるとともに、前記可動筒状体が前記後端孔より後方に最大突出状態のとき、前記摩擦部の後端が前記ノック部材の後端より後方に位置されるか、または前記摩擦部の後端と前記ノック部材の後端の前後の位置が一致されることを特徴とする熱変色性筆記具。
【請求項2】
前記可動筒状体の内孔に前記ノック部材が貫通される請求項1に記載の熱変色性筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱変色性筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、軸筒の内部に筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記筆記体の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先を設け、前記軸筒の後端にノック体を設け、ペン先没入状態から前記ノック体を前方に押圧操作することによりペン先突出状態にさせ且つ該ペン先突出状態から前記ノック体を前方に再度押圧操作することによりペン先没入状態にさせる出没機構を備え、前記軸筒の外面に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な低摩耗性の弾性材料からなる摩擦体を設けた熱変色性筆記具であって、前記軸筒の後端のノック体近傍に前記摩擦体を設け、ペン先没入状態において、前記ノック体後端が前記摩擦体後端より後方に、ペン先突出状態よりも大きく突出されることを特徴とする熱変色性筆記具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−193571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の熱変色性筆記具は、ペン先没入状態では、ノック体後端が摩擦体後端より後方に、ペン先突出状態よりも大きく突出されるため、摩擦体を用いた摩擦操作が困難である。また、前記特許文献1の熱変色性筆記具は、摩擦体が軸筒外部に露出されるため、摩擦体の汚れ確実に防止することが容易ではない。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、ペン先没入状態及びペン先突出状態の何れの状態においても、摩擦部を用いた摩擦操作が可能であるとともに、摩擦操作しないときは摩擦部の汚れを確実に防止できる熱変色性筆記具を提供しようとするものである。
【0006】
尚、本発明において、「前」とはペン体側を指し、「後」とはその反対側を指す。本発明で、「ペン先没入状態」とは、ペン先が軸筒内に没入した状態をいい、「ペン先突出状態」とは、ペン先が軸筒の前端より外部に突出した状態をいう。本発明で、「摩擦部没入状態」とは、摩擦部が軸筒内に没入した状態をいい、「摩擦部突出状態」とは、摩擦部が軸筒の後端孔より外部に突出した状態をいう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1の発明に係る熱変色性筆記具は、筆記体3の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体3の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先31を設け、前記筆記体3を軸筒2内に前後方向に移動可能に収容し、前記軸筒2の後端孔23から後方にノック部材6を突出させ、ペン先没入状態から前記ノック部材6を前方に押圧することにより前記ペン先31を前記軸筒2の前端孔21から突出状態にし、ペン先突出状態から前記ノック部材6を前方に押圧することにより前記ペン先31を前記軸筒2の前端孔21から前記軸筒2内に没入状態にする出没機構を備え、前記出没機構が、前記軸筒2内面に設けたカム部4と、前記カム部4に係合し且つ前記筆記体3の後端に当接する回転部材5と、前記回転部材5に係合する前記ノック部材6と、前記軸筒2内に収容され且つ前記筆記体3または前記回転部材5を後方に付勢する弾発体7とからなり、前記軸筒2の後端部に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で前記熱変色性インキの筆跡を熱変色可能な摩擦部9を備えた熱変色性筆記具であって、
前記ノック部材6の外面と前記軸筒2の内面との間に、可動筒状体8が前後方向に移動可能且つ後端孔23より後方に突出可能に配置され、前記可動筒状体8の後端部に弾性材料からなる摩擦部9が設けられ、前記可動筒状体8が前記後端孔23より軸筒2内に完全に没入可能に構成されるとともに、前記可動筒状体8が前記後端孔23より後方に最大突出状態のとき、前記摩擦部9の後端が前記ノック部材6の後端より後方に位置されるか、または前記摩擦部9の後端と前記ノック部材6の後端の前後の位置が一致されることを要件とする。
【0008】
前記第1の発明に係る熱変色性筆記具1は、前記構成により、ペン先没入状態及びペン先突出状態の何れの状態においても、摩擦部9を用いた摩擦操作が可能であるとともに、摩擦操作しないときは摩擦部9の汚れを確実に防止できる。
【0009】
本願の第2の発明に係る熱変色性筆記具1は、前記第1の発明に係る熱変色性筆記具において、前記可動筒状体8の内孔に前記ノック部材6が貫通されることを要件とする。
【0010】
前記第2の発明に係る熱変色性筆記具1は、前記構成により、可動筒状体8とノック部材6とが、互いに連動せず、独立して設けることができる。その結果、ペン先没入状態及びペン先突出状態の何れの状態においても、摩擦部9を用いた摩擦操作が可能となる構成を得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱変色性筆記具は、ペン先没入状態及びペン先突出状態の何れの状態においても、摩擦部を用いた摩擦操作が可能であるとともに、摩擦操作しないときは摩擦部の汚れを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態のペン先没入状態且つ摩擦部没入状態を示す縦断面図である。
図2図1の要部拡大縦断面図である。
図3図1のペン先突出状態且つ摩擦部没入状態を示す縦断面図である。
図4図3の要部拡大縦断面図である。
図5図1のペン先没入状態且つ摩擦部突出状態を示す縦断面図である。
図6図5の要部拡大縦断面図である。
図7図1のペン先突出状態且つ摩擦部突出状態を示す縦断面図である。
図8図7の要部拡大縦断面図である。
図9図1の摩擦部没入状態を示す要部斜視図である。
図10図1の摩擦部突出状態を示す要部斜視図である。
図11図1の出没機構を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の筆記具の実施の形態を図面に従って説明する。(図1乃至図11参照)
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、軸筒2と、該軸筒2内に収容される筆記体3と、該筆記体3のペン先31を軸筒2の前端孔21より出没自在にさせる出没機構とを備える。前記軸筒2は、円筒状の前軸2aと、該前軸2aの後端に連結される円筒状の中間軸2bと、該中間軸2bの後端に連結される円筒状の後軸2cとからなる。
【0014】
・前軸
前記前軸2aは、先細円筒状の合成樹脂の成形体である。前記前軸2aの前端には前端孔21が前後方向に貫設される。前記前軸2aの後端開口部外面には、オネジ部が一体に形成される。
【0015】
・中間軸
前記中間軸2bは、円筒状の合成樹脂の成形体である。前記中間軸2bの内面には、カム部4が一体に形成される。中間軸2bの後端開口部の内面には、段部22が形成される。
【0016】
・後軸
前記後軸2cは、円筒状の合成樹脂の成形体である。前記後軸2cの後端には、後端孔23が前後方向に貫設される。前記後軸2cの外面には、軸筒2外面とポケット等を挟持可能なクリップ25が設けられる。前記クリップ25は、後軸2cの外面に一体に形成されるか、または別部材の取り付けにより設けられる。前記後軸2cの側壁には、前後方向に延びるスライド孔24が径方向に貫設される。前記後軸2cの前端部内面は、中間軸2bの後端部外面と嵌合により固着される。
【0017】
・筆記体
前記筆記体3は、ペン先31と、該ペン先31が前端開口部に圧入固着されたインキ収容管32と、該インキ収容管32内に充填される熱変色性インキと、該熱変色性インキの後端に充填され且つ該熱変色性インキの消費に伴い前進する追従体(例えば高粘度流体)とからなる。
【0018】
・熱変色性インキ
前記熱変色性インキは、可逆熱変色性インキが好ましい。前記可逆熱変色性インキは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態または消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、または、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独または併用して構成することができる。
【0019】
・ペン先
前記ペン先31は、例えば、前端に回転可能にボールを抱持した金属製のボールペンのみからなる構成、または前記ボールペンチップの後部外面を保持した合成樹脂製のペン先ホルダーからなる構成のいずれであってもよい。また、前記インキ収容管32の後端開口部に、インキ収容管32と外部とが通気可能な通気孔を備えた尾栓を取り付けてもよい。
【0020】
・出没機構
前記出没機構(図11参照)は、回転カム機構を用いたノック式出没機構であり、軸筒2内面(中間軸2b内面)に形成されたカム部4と、カム部4と係合し且つ筆記体3の後端と当接する回転部材5と、回転部材5及びカム部4と係合するノック部材6と、軸筒2内に収容され且つ筆記体3を後方に付勢する弾発体7(例えば圧縮コイルスプリング)とからなる。本実施の形態の出没機構は、ペン先突出操作及びペン先没入操作のいずれもがノック体を前方に押圧する操作のダブルノック式である。
【0021】
前記カム部4は、前方に突出する鋸歯状の複数のカム歯41と、該カム歯41間に形成され、回転部材5が係合するカム溝42とを備える。回転部材5は、その外面に長手方向に延びる3本の突条51を備え、該突条51が、カム部4のカム溝42と係合される。ノック部材6は、その前端部に、カム部4のカム溝42内を摺動するガイド突条61と、回転部材5の突条51の後端と係合するカム歯62とを備える。
【0022】
・ノック部材
前記ノック部材6は、前端が開口され且つ後端が閉鎖された有底筒状体であり、合成樹脂の成形体により得られる。前記ノック部材6は、大径部6aとその後方に連設される小径部6bとからなる。大径部6aは、中間軸2b内に前後方向に移動可能に収容される。小径部6bは、後軸2c内に前後方向に移動可能に収容される。ペン先没入状態において、ノック部材6の小径部6bは、後軸2cの後端孔23より後方に突出され、ノック部材6の大径部6aは、中間軸2bの後端開口部より後方に突出される。
【0023】
ノック部材6の前端部外面(大径部6a)には、カム部4のカム溝42内を摺動するガイド突条61が一体に形成される。ペン先没入状態において、ガイド突条61が中間軸2bの段部22に係止され、それにより、ノック部材6の後端孔23からの脱落が防止される。
【0024】
・可動筒状体
可動筒状体8が,ノック部材6の外面と軸筒2(後軸2c)の内面との間に、前後方向に移動可能且つ後端孔23より後方に突出可能に配置される。可動筒状体8は合成樹脂の成形体により得られる。可動筒状体8は、前後方向に内孔が貫通される。可動筒状体8の側壁には、スライド孔24に貫通し、軸筒2外部に突設されるスライド操作部81が形成される。可動筒状体8の後端部には弾性材料(例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂、SEBS樹脂等)からなる摩擦部9が設けられる。
【0025】
スライド操作部81を前後方向にスライドさせることより、可動筒状体8が前後方向に移動可能である。可動筒状体8は、後端孔23より軸筒2内に完全に没入可能である。
【0026】
また、可動筒状体8及び摩擦部9は、後端孔23より後方に最大に突出された状態のとき、摩擦部9の後端が前記ノック部材6の後端より後方に位置されるか、摩擦部9の後端とノック部材6の後端との前後の位置が一致される。即ち、ペン先没入状態、ペン先突出状態の何れの状態においても、摩擦部9の後端より後方にノック部材6の後端が突出されない。
【0027】
・摩擦部の出没
ペン先没入状態且つ摩擦部没入状態(図1及び図2)から、可動筒状体8のスライド操作部81をスライド孔24に沿って後方にスライドさせると、可動筒状体8が後端孔23より後方に突出され、スライド孔24の後端にスライド操作部81が当接され、可動筒状体8の後方移動が規制された状態になる。このとき、可動筒状体8及び摩擦部9が後端孔23より最大突出状態(図5及び図6)にあり、可動筒状体8の前端部の摩擦部9の後端は、ノック部材6の後端と前後の位置が同一であるか、または、ノック部材6の後端より後方に位置される。この状態で、摩擦部9を用いた摩擦操作が可能である。摩擦部9を用いた摩擦操作後、スライド操作部81をスライド孔24に沿って前方にスライドさせ、摩擦部没入状態(図1及び図2)となる。摩擦部没入状態において、スライド操作部81がスライド孔24の前端に当接され、可動筒状体8の前方移動が規制された状態になる。
【0028】
ペン先突出状態且つ摩擦部没入状態(図3及び図4)から、可動筒状体8のスライド操作部81をスライド孔24に沿って後方にスライドさせると、可動筒状体8が後端孔23より後方に突出され、スライド孔24の後端にスライド操作部81が当接され、可動筒状体8の後方移動が規制された状態になる。このとき、可動筒状体8及び摩擦部9が後端孔23より最大突出状態(図7及び図8)にあり、可動筒状体8の前端部の摩擦部9の後端は、ノック部材6の後端より後方に位置される。この状態で、摩擦部9を用いた摩擦操作が可能である。摩擦部9を用いた摩擦操作後、スライド操作部81をスライド孔24に沿って前方にスライドさせ、摩擦部没入状態(図3及び図4)となる。摩擦部没入状態において、スライド操作部81がスライド孔24の前端に当接され、可動筒状体8の前方移動が規制された状態になる。
【0029】
・ペン先の出没
ペン先没入状態からノック部材6を弾発体7による後方付勢に抗して前方に押圧操作すると、ノック部材6の前端が回転部材5を前方に押圧し、前記回転部材5の突条51がカム溝42に沿って前方に移動する。前記回転部材5が前方に移動することに伴って、前記回転部材5が筆記体3の後端を前方に押圧し、ペン先31が前端孔21より外部に突出される。このとき、前記ノック部材6のカム歯62と前記回転部材5の突条51との当接によって回転部材5がカム部4に対して一定角度だけ回転する。それにより、前記回転部材5の突条51がカム部4のカム歯41に係合され、ペン先突出状態が維持される。
【0030】
ペン先突出状態からノック部材6を前方に押圧操作すると、ノック部材6の前端が回転部材5を前方に押圧し、前記ノック部材6のカム歯62と前記回転部材5の突条51との当接によって回転部材5がカム部4に対して一定角度だけ回転する。それによって、前記突条51とカム部4のカム歯41との係合状態が解除され、弾発体7による後方付勢により、前記突条51がカム部4のカム溝42に沿って後方に移動する。前記回転部材5が後方に移動することに伴って、筆記体3が後方に移動し、ペン先没入状態となる。前記ガイド突条61はカム部4の後方の段部22に係止し、ペン先没入状態が維持される。
【0031】
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、筆記体3の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体3の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先31を設け、前記筆記体3を軸筒2内に前後方向に移動可能に収容し、前記軸筒2の後端孔23から後方にノック部材6を突出させ、ペン先没入状態から前記ノック部材6を前方に押圧することにより前記ペン先31を前記軸筒2の前端孔21から突出状態にし、ペン先突出状態から前記ノック部材6を前方に押圧することにより前記ペン先31を前記軸筒2の前端孔21から前記軸筒2内に没入状態にする出没機構を備え、前記出没機構が、前記軸筒2内面に設けたカム部4と、前記カム部4に係合し且つ前記筆記体3の後端に当接する回転部材5と、前記回転部材5に係合する前記ノック部材6と、前記軸筒2内に収容され且つ前記筆記体3または前記回転部材5を後方に付勢する弾発体7とからなり、前記軸筒2の後端部に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で前記熱変色性インキの筆跡を熱変色可能な摩擦部9を備えた熱変色性筆記具であって、前記ノック部材6の外面と前記軸筒2の内面との間に、可動筒状体8が前後方向に移動可能且つ後端孔23より後方に突出可能に配置され、前記可動筒状体8の後端部に弾性材料からなる摩擦部9が設けられ、前記可動筒状体8が前記後端孔23より軸筒2内に完全に没入可能に構成されるとともに、前記可動筒状体8が前記後端孔23より後方に最大突出状態のとき、前記摩擦部9の後端が前記ノック部材6の後端より後方に位置されるか、または前記摩擦部9の後端と前記ノック部材6の後端の前後の位置が一致される。
【0032】
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記構成により、ペン先没入状態及びペン先突出状態の何れの状態においても、摩擦部9を用いた摩擦操作が可能であるとともに、摩擦操作しないときは摩擦部9の汚れを確実に防止できる。
【0033】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記可動筒状体8内孔に前記ノック部材6が貫通される。それにより、可動筒状体8とノック部材6とが、互いに連動せず、独立して設けることができる。その結果、ペン先没入状態及びペン先突出状態の何れの状態においても、摩擦部を用いた摩擦操作が可能となる構成を得る。
【符号の説明】
【0034】
1 熱変色性筆記具
2 軸筒
21 前端孔
22 段部
23 後端孔
24 スライド孔
25 クリップ
2a 前軸
2b 中間軸
2c 後軸
3 筆記体
31 ペン先
32 インキ収容管
4 カム部
41 カム歯
42 カム溝
5 回転部材
51 突条
6 ノック部材
61 ガイド突条
62 カム歯
6a 大径部
6b 小径部
7 弾発体
8 可動筒状体
81 スライド操作部
9 摩擦部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11