【解決手段】吸収コア22は、第1高吸収性材料と、第1高吸収性材料とは異なる第2高吸収性材料とを備え、両者は、第1シート221と第2シート222との間に固定される。第1シート221と第2シート222とが接合されたシート積層体224の両側部のそれぞれにおいて、第2高吸収性材料を含む側部吸収領域25bが長手方向に沿って設けられ、シート積層体224の当該両側部の間に、第1高吸収性材料を含む中央吸収領域25aが設けられる。側部吸収領域25bを構成する高吸収性材料の吸収倍率または吸収速度は、中央吸収領域25aを構成する高吸収性材料よりも大きい。着用者からの排泄物の水分は、側部吸収領域25bの高吸収性材料により迅速に吸収され、高吸収性材料の膨潤部が形成される。その結果、吸収コア22における横漏れが抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一の形態に係る吸収性物品1を広げた状態で示す平面図である。吸収性物品1は、着用者が着用する使い捨ておむつ等の外装物品の内側(すなわち、着用者側)に取り付けられて着用者からの尿等の排泄物を受ける補助吸収パッドである。
図1では、着用時に着用者に接する側の面を手前にして吸収性物品1を描いている。
【0015】
図2は、吸収性物品1を
図1中に示すII−IIの位置で長手方向(すなわち、
図1中における上下方向)に垂直な面で切断した断面図である。
図1および
図2に示すように、吸収性物品1は、略シート状の本体部2、および、本体部2の両側部(すなわち、長手方向に垂直な幅方向の両側)上に配置されて本体部2の長手方向のおよそ全長に亘る一対のサイドシート3を備える。
【0016】
図1および
図2に示すように、本体部2は、透液性のトップシート21と、撥水性または不透液性のバックシート23と、トップシート21とバックシート23との間に配置された略シート状の吸収コア22とを備える。吸収コア22は、吸収性物品1にて利用される吸収性物品用シート部材である。
図2では、図示の都合上、吸収性物品1の各構成を厚さ方向に離して描いている。また、
図1では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太破線にて描いている。
図1に示すように、吸収コア22および本体部2のそれぞれは、平面視において長手方向に長い略長方形である。本体部2は吸収コア22より一回り大きく、吸収コア22の全体が本体部2の外周縁の内側に位置する。
【0017】
トップシート21およびバックシート23の長手方向の長さおよび幅方向の幅(以下、単に「長さ」および「幅」という。)は、吸収コア22の長さおよび幅よりも大きい。
図2に示すように、トップシート21は、吸収コア22の着用者側の主面を覆う。バックシート23は、吸収コア22のもう一方の主面、すなわち、着用者とは反対側の主面を覆う。トップシート21は、吸収コア22の周りにおいてホットメルト接着剤等を介してバックシート23に接合される。
【0018】
図2に示すように、吸収コア22は、透液性の第1シート221と、透液性の第2シート222と、第1および第2高吸収性材料223a,223bとを備える。第1シート221および第2シート222は、互いに重ねられてホットメルト接着剤等により接合される。これにより、複数のシート部材が積層されたシート積層体224が形成される。第1および第2高吸収性材料223a,223bは、互いに種類が異なる。第1および第2高吸収性材料223a,223bのそれぞれは、第1シート221と第2シート222との間に配置され、ホットメルト接着剤等により一方または両方に固定される。
図2では、第1高吸収性材料223aを白い丸にて示し、第2高吸収性材料223bを黒い丸にて示す。吸収性物品1の断面を示す他の図において同様である。吸収コア22の構造の詳細については後述する。
【0019】
トップシート21は透液性のシート部材であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。吸収コア22は、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。バックシート23は、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外側にしみ出すことを防止する。
【0020】
図1および
図2に示すように、各サイドシート3は、サイドシート本体31と、サイドシート本体31にホットメルト接着剤等により接合されて長手方向に延びる側壁部弾性部材32とを備える。
図2に示すように、サイドシート本体31は、長手方向の全長に亘る折り曲げ線39にて2つ折りにされる。サイドシート本体31のうち、折り曲げ線39の一方側の帯状の部位を「側壁固定部33」といい、折り曲げ線39の他方側の帯状の部位を「側壁部34」という。
【0021】
側壁固定部33は、本体部2の側方エッジ近傍において長手方向のおよそ全長に亘って本体部2の着用者側にホットメルト接着剤等を用いて接合される。側壁部34は、折り曲げ線39にて側壁固定部33から連続する部位であり、本体部2の両側部上において本体部2の長手方向のおよそ全長に亘って延びる。側壁部34は、長手方向の両端部において本体部2上に重ねられ、ホットメルト接着剤等により固定される。側壁部34の自由端には側壁部弾性部材32が接合される。側壁部弾性部材32が収縮することにより、側壁部34の長手方向の中央部が、本体部2から着用者に向かって起立し、着用者の脚の付け根近傍に当接する一対の立体ギャザーとなる。これにより、吸収性物品1では、脚周りからの尿等の漏出抑制が図られている。
【0022】
上述のホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、ゴム系、酢酸ビニル系等のものが利用される。トップシート21とバックシート23との接合、サイドシート3と本体部2との接合、および、側壁部34と本体部2との接合は、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。
【0023】
トップシート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布が利用される。当該不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布である。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0024】
吸収コア22の第1シート221および第2シート222としては、例えば、トップシート21と同様に、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布が利用される。当該不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布である。また、第1シート221および第2シート222として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。なお、第1シート221および第2シート222として、ティッシュや複数の開口を有するプラスチックフィルム等が利用されてもよい。第1および第2高吸収性材料223a,223bとしては、例えば、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))、または、繊維状の高吸収性ファイバー(SAF(Super Absorbent Fiber))が利用される。
【0025】
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、バックシート23にて利用されるプラスチックフィルムは、透湿性(通気性)を有するものが好ましい。
【0026】
サイドシート本体31としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布等)が利用される。側壁部弾性部材32としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、
図1に示す吸収性物品1では、ポリウレタン糸が弾性部材として利用される。
【0027】
図3は、吸収コア22を示す平面図である。既述のように、吸収コア22は、長手方向に長い略長方形であり、第1シート221および第2シート222は、共に長手方向に延びた形状である。吸収コア22では、複数の材料存在領域25a,25bと、複数の材料非存在領域26とが設けられる。複数の材料存在領域25a,25bは、それぞれが長手方向に略平行に延びる帯状であって幅方向に互いに離間しつつ配列される。すなわち、吸収コア22では、長手方向に延びるストライプ状に配置された複数の材料存在領域25a,25bが設けられる。
図3の例では、複数の材料存在領域25a,25bの幅は、互いにおよそ等しい。
【0028】
複数の材料存在領域25a,25bのうち、シート積層体224の両側部(すなわち、吸収コア22の両側部)にそれぞれ配置される2つの材料存在領域25bでは、第2高吸収性材料223bが第1シート221と第2シート222との間に固定される(
図2参照)。換言すれば、材料存在領域25bに第2高吸収性材料223bが固定される。2つの材料存在領域25bの間、すなわち、シート積層体224の両側部の間に配置される1つの材料存在領域25aには、第1高吸収性材料223aが固定される。以下の説明では、材料存在領域25bを「側部吸収領域25b」と呼び、材料存在領域25aを「中央吸収領域25a」と呼ぶ。
図3では、側部吸収領域25bと中央吸収領域25aとに異なる種類の平行斜線を付している。
【0029】
側部吸収領域25bにおける高吸収性材料の目付量は、例えば、中央吸収領域25aにおける高吸収性材料の目付量の50%以上かつ150%以下であり、好ましくは、75%以上かつ125%以下である。これにより、高吸収性材料が中央部のみ、または、両側部のみに高密度に配置される構造(吸収コア22の厚さが部分的に増す構造)を回避して、着用者における着用感を向上することができる。
図3の吸収コア22では、側部吸収領域25bは第1高吸収性材料223aを含まず、中央吸収領域25aは第2高吸収性材料223bを含まない。
【0030】
第2高吸収性材料223bの吸収倍率および吸収速度は、第1高吸収性材料223aよりも大きい。すなわち、側部吸収領域25bを構成する高吸収性材料の吸収倍率および吸収速度が、中央吸収領域25aを構成する高吸収性材料よりも大きい。本実施の形態における吸収倍率は、単位質量の高吸収性材料が所定時間に吸収することが可能な液体の量であり、吸収速度は、所定量の高吸収性材料が所定量の液体を吸収するのに要する時間の逆数に基づく値である。
【0031】
側部吸収領域25bを構成する高吸収性材料の吸収倍率および吸収速度が、中央吸収領域25aを構成する高吸収性材料よりも大きい状態が維持される範囲内で、側部吸収領域25bが第1高吸収性材料223aを含んでもよく、中央吸収領域25aが第2高吸収性材料223bを含んでもよい。換言すると、側部吸収領域25bは、少なくとも第2高吸収性材料223bを含み、中央吸収領域25aは、少なくとも第1高吸収性材料223aを含む。吸収倍率および吸収速度の測定方法については後述する。
【0032】
複数の材料非存在領域26は、吸収コア22における、側部吸収領域25bおよび中央吸収領域25aを除く領域である。複数の材料非存在領域26は、それぞれが長手方向に沿って延びる帯状である。例えば、各材料非存在領域26の幅は、側部吸収領域25bおよび中央吸収領域25aの幅よりも小さい。
図3の例では、複数の材料非存在領域26の幅は、互いに等しい。複数の材料非存在領域26と複数の材料存在領域25a,25b(すなわち、側部吸収領域25bおよび中央吸収領域25a)とは、幅方向に交互に配列される。
【0033】
各材料非存在領域26では、第1シート221と第2シート222との間に、いずれの高吸収性材料も存在しない。材料非存在領域26では、第1シート221と第2シート222とが、熱融着接合や、エンボス加工による接合等、接着剤を用いない接合により互いに接合されることが好ましい。材料非存在領域26では、第1シート221と第2シート222とが部分的に非接合状態であってもよい。材料非存在領域26が、高吸収性材料を僅かに含む領域、すなわち、側部吸収領域25bおよび中央吸収領域25aよりも第1および第2高吸収性材料223a,223bの密度が低い領域(すなわち、材料低密度領域)であってもよい。
【0034】
吸収性物品1の着用者から尿等の排泄物が排泄されると、排泄物の水分が、原則として中央の中央吸収領域25aに付着する。中央吸収領域25aを構成する高吸収性材料(主として第1高吸収性材料223a)では、吸収倍率および吸収速度が比較的小さいため、排泄物の水分の大部分は中央吸収領域25aでは直ぐには吸収されず、周囲へと拡散する。中央吸収領域25aの両側の材料非存在領域26では、水分がさらに拡散され、側部吸収領域25bへと到達する。側部吸収領域25bを構成する高吸収性材料(主として第2高吸収性材料223b)では、吸収倍率および吸収速度が比較的大きいため、
図4に示すように、側部吸収領域25bの高吸収性材料が水分を短時間に吸収して膨潤する。膨潤した当該高吸収性材料により、吸収コア22では、シート積層体224の両側部(側部吸収領域25b)に、他の部位よりも厚い部位(以下、「膨潤部」という。)が形成される。既述のように、側部吸収領域25bは、長手方向における吸収コア22のおよそ全体に亘っており、排泄物の水分が多い場合、膨潤部は、長手方向における広範囲に亘って形成される。
【0035】
また、吸収性物品1が着用者から複数回の排泄を受ける場合等には、膨潤部が堰として機能することにより、排泄物の水分の幅方向外側(側部吸収領域25bから外側)への移動がせき止められる。すなわち、当該水分は、幅方向に関して、2つの側部吸収領域25bの間に滞留する。当該水分は、中央吸収領域25aの高吸収性材料により緩やかに吸収され、
図5に示すように、当該高吸収性材料が膨潤する。中央吸収領域25aの高吸収性材料の膨潤後には、側部吸収領域25bと中央吸収領域25aとの間の材料非存在領域26において長手方向に延びる溝部が形成される。したがって、排泄物の水分は、当該溝部を介して長手方向に効率よく拡散され、長手方向の広範囲に亘って中央吸収領域25aおよび側部吸収領域25bが効率よく利用される。
【0036】
以上のように、吸収性物品1では、吸収コア22の両側部のそれぞれにおいて、側部吸収領域25bが長手方向に沿って設けられ、当該両側部の間に中央吸収領域25aが設けられる。側部吸収領域25bを構成する高吸収性材料の吸収倍率および吸収速度が、中央吸収領域25aを構成する高吸収性材料よりも大きく、側部吸収領域25bが排泄物の水分を迅速に吸収する。これにより、側部吸収領域25bにおいて膨潤した高吸収性材料の堰(膨潤部)が形成され、排泄物の幅方向外側への移動がせき止められる。その結果、吸収性物品1により受けられた排泄物が、吸収コア22の側部から吸収コア22が存在しない外部領域へと漏出する横漏れを抑制することができる。なお、吸収コア22上に滞留する排泄物の水分は、中央吸収領域25aにおける高吸収性材料により吸収される。
【0037】
また、側部吸収領域25bと同様に、中央吸収領域25aが長手方向に沿う帯状に設けられ、各側部吸収領域25bと中央吸収領域25aとの間に、帯状の材料非存在領域26が設けられる。これにより、排泄物の水分を長手方向に迅速に拡散させることができ、吸収コア22の多くの第1および第2高吸収性材料223a,223bを、水分の吸収に効率良く利用することができる(材料低密度領域が設けられる場合において同様)。さらに、長手方向の中央部における高吸収性材料の膨潤後においても、側部吸収領域25bと中央吸収領域25aとの間に形成される溝部により、排泄物を長手方向により迅速に拡散させることができる。
【0038】
ここで、高吸収性材料の吸収倍率および吸収速度の測定方法について述べる。吸収倍率は、例えば、JIS K7223に準拠した測定方法(ティーバッグ法)により測定される。当該測定方法では、所定量の脱イオン水または食塩水を試験液としてビーカーに入れる。続いて、高吸収性材料の試料の質量a[g]を測定し、ナイロン製の織物で所定サイズに形成されたティーバッグ内に当該試料を入れ、ティーバッグを試験液に浸漬する。所定時間が経過した後、ティーバッグを取り出して水切りし、水切り後の質量b[g]を測定する。また、試料を入れないティーバッグを試験液に所定時間浸漬し、上記と同様にして水切り後の質量c[g]を測定する。そして、吸収倍率(吸水量)Wを(W=(b−c−a)/a)により求める。上記吸収性物品1では、例えば、中央吸収領域25aを構成する高吸収性材料の吸収倍率Wが50[g/g]以下であり、側部吸収領域25bを構成する高吸収性材料の吸収倍率Wが51[g/g]以上である。
【0039】
吸収速度は、例えば、JIS K7224に準拠した測定方法(ボルテックス法)により測定される。当該測定方法では、50[g]の脱イオン水または食塩水を試験液として、試験液およびスターラーチップ(中央部の直径が8[mm]、両端の直径が7[mm]、長さが30[mm]であり、フッ素樹脂でコーティングされたもの)をビーカーに入れ、ビーカーをマグネチックスターラーに載せる。マグネチックスターラーの回転数を、毎分600±60回に合わせ、試験液が安定した渦を生成することを確認する。また、0.50[g]の高吸収性材料の試料(試験液が食塩水の場合は2.00[g])を内壁面付近に均一になるように入れた後、タイマーを始動する。試験の終点は、スターラーチップが試験液に覆われる時点(例えば、渦が消えて平らな液面となった時点)までとし、その時間tを吸収速度に係る時間として取得する。吸収速度は、吸収速度に係る時間tの逆数に基づく値であり、吸収速度に係る時間tが短いほど吸収速度が大きい。上記吸収性物品1では、例えば、中央吸収領域25aを構成する高吸収性材料の吸収速度に係る時間tが41秒以上であり、側部吸収領域25bを構成する高吸収性材料の吸収速度に係る時間tが40秒以下である。
【0040】
上述のように、吸収倍率および吸収速度は共に、高吸収性材料の吸水性能を示す指標であり、両者にはある程度の相関関係がある場合が多い。したがって、
図2の吸収コア22では、側部吸収領域25b(の高吸収性材料)の吸収倍率および吸収速度が、中央吸収領域25a(の高吸収性材料)の吸収倍率および吸収速度よりも大きい。吸収コア22において用いる高吸収性材料の種類によっては、側部吸収領域25bの吸収倍率が中央吸収領域25aとほぼ同じであり、側部吸収領域25bの吸収速度のみが中央吸収領域25aよりも大きくてもよい。側部吸収領域25bの吸収速度に係る時間は、中央吸収領域25aの吸収速度に係る時間の0.95倍以下であることが好ましく、0.90倍以下であることがより好ましい。このとき、側部吸収領域25bの吸収倍率は、中央吸収領域25aの吸収倍率の0.95倍よりも大きいことが好ましい。
【0041】
同様に、側部吸収領域25bの吸収速度が中央吸収領域25aとほぼ同じであり、側部吸収領域25bの吸収倍率のみが中央吸収領域25aよりも大きくてもよい。側部吸収領域25bの吸収倍率は、中央吸収領域25aの吸収倍率の1.05倍以上であることが好ましく、1.10倍以上であることがより好ましい。このとき、側部吸収領域25bの吸収速度に係る時間は、中央吸収領域25aの吸収速度に係る時間の1.05倍よりも小さいことが好ましい。以上のように、吸収コア22では、側部吸収領域25bの吸収倍率または吸収速度が、中央吸収領域25aよりも大きいことが重要である。
【0042】
図6は、吸収性物品1の他の例を示す図である。
図6の吸収性物品1では、吸収コア22が、第1シート221、第2シート222、並びに、第1および第2高吸収性材料223a,223bに加えて、繊維集合層24をさらに備える。繊維集合層24は、第2シート222とバックシート23との間に配置され、一方または両方に接合される。例えば、幅方向および長手方向における繊維集合層24の大きさは、シート積層体224よりも大きい。繊維集合層24は、例えば、セルロースやレーヨン、コットン等の再生親水性繊維、合成繊維、パルプ繊維等により形成される。繊維集合層24は、高吸収性材料を僅かに含んでもよい。典型的には、繊維集合層24は、ティッシュペーパーや透液性不織布等で包み込まれる。
【0043】
図6の吸収性物品1では、着用者から尿等の排泄物が排泄されると、吸収コア22に到達する水分のうちの一部は、材料非存在領域26を介して繊維集合層24へと導かれ、繊維集合層24により吸収される。吸収性物品1では、第1および第2高吸収性材料223a,223bの下側に繊維集合層24が設けられることにより、吸収コア22の吸収量をより増大することができる。
【0044】
図7に示すように、第1および第2高吸収性材料223a,223bが繊維集合層24上に直接接着(固定)されてもよい。この場合、繊維集合層24は、第1および第2高吸収性材料223a,223bと共に、第1シート221および第2シート222により包み込まれる。
【0045】
また、
図8に示すように、吸収コア22における側部吸収領域25bの部分、および、中央吸収領域25aの部分が個別に作製され、吸収性物品1を製造する際に幅方向に配列されてもよい。具体的には、帯状の第1分割シート2211と、帯状の第2分割シート2221との間に第1高吸収性材料223aが配置され、中央吸収領域25a用の分割吸収シートが形成される。また、第1分割シート2211と第2分割シート2221との間に第2高吸収性材料223bが配置され、側部吸収領域25b用の分割吸収シートが形成される。そして、繊維集合層24上において、側部吸収領域25b用の分割吸収シート、中央吸収領域25a用の分割吸収シート、および、側部吸収領域25b用の分割吸収シートを、幅方向に順に並べることにより、
図8に示す吸収コア22が作製される。これらの分割吸収シートは、トップシート21と繊維集合層24との間にて一方または両方に接合される。
【0046】
図8の吸収コア22では、複数の第1分割シート2211の集合が、第1シート221となり、複数の第2分割シート2221の集合が、第2シート222となる。吸収コア22の製造手法によっては、例えば、第2シート222が一繋がりの一枚のシートであり、第1シート221が複数の第1分割シート2211の集合であってもよい。この場合に、複数の第1分割シート2211が互いに部分的に重なっていてもよい。
【0047】
上記吸収性物品1および吸収コア22では様々な変形が可能である。
【0048】
吸収コア22に設けられる側部吸収領域25bおよび中央吸収領域25aの数や形状は様々に変更されてよい。例えば、
図9に示すように、吸収コア22の各側部において、帯状の複数の分割吸収領域251bが長手方向に配列されてもよい。当該吸収コア22では、分割吸収領域251bの高吸収性材料が膨潤することにより、長手方向に互いに隣接する2つの分割吸収領域251bの間の隙間が埋まり、当該2つの分割吸収領域251bにおいてほぼ連続的に膨潤部が形成される。すなわち、長手方向に並ぶ複数の分割吸収領域251bの集合が側部吸収領域25bとなる。これにより、横漏れを抑制することが可能となる。また、
図9の吸収コア22では、両側部の間に、略円形の多数の分割吸収領域251aが互いに隙間を空けて配置され、各分割吸収領域251aの周囲には、材料非存在領域26が設けられる。これにより、排泄物の水分を効率よく拡散させることが可能となる。
図9の吸収コア22では、複数の分割吸収領域251aの集合が中央吸収領域25aとなる。
【0049】
図10に示すように、吸収コア22における長手方向の各端部において、2つの側部吸収領域25bが連結部25cにより互いに連結されてもよい。連結部25cは幅方向に沿って設けられ、例えば、側部吸収領域25bと同じ高吸収性材料により構成される。
図10の吸収コア22では、2つの側部吸収領域25bの間、かつ、2つの連結部25cの間に、1つの中央吸収領域25aが設けられる。
図10の吸収コア22では、側部吸収領域25bおよび連結部25cの高吸収性材料が膨潤することにより、横漏れのみならず、排泄物が吸収コア22の端部から外部領域へと漏出する縦漏れも抑制することが可能である。
【0050】
側部吸収領域25bおよび中央吸収領域25aでは、第1および第2高吸収性材料223a,223bにパルプ等が混合されてもよい。この場合、パルプ等は、各高吸収性材料223a,223bが主材料とみなせる程度の割合(例えば、高吸収性材料223a,223bの重量比が50%以上)で混合されることが好ましい。
【0051】
既述のように、側部吸収領域25bにおいて吸収倍率または吸収速度が低い第1高吸収性材料223aが含まれてもよく、中央吸収領域25aにおいて吸収倍率または吸収速度が高い第2高吸収性材料223bが含まれてもよい。この場合、側部吸収領域25bでは、第2高吸収性材料223bの密度が第1高吸収性材料223aの密度よりも高くされ、中央吸収領域25aでは、第1高吸収性材料223aの密度が第2高吸収性材料223bの密度よりも高くされる。これにより、側部吸収領域25bを構成する高吸収性材料の吸収倍率または吸収速度を、中央吸収領域25aを構成する高吸収性材料よりも大きくすることが容易に可能となる。吸収コア22では、3種類以上の高吸収性材料が含まれてもよい。
【0052】
吸収コア22の設計によっては、側部吸収領域25bと中央吸収領域25aとの間における材料非存在領域26が省略されてもよい。
【0053】
上述の吸収性物品1および吸収コア22は、必ずしも略長方形状には限定されず、例えば、長手方向の両端部の幅が中央部の幅よりも大きい略砂時計型であってもよい。また、吸収性物品1からサイドシート3が省略されてもよい。
【0054】
上述の吸収コア22は、補助吸収パッド以外の吸収性物品、例えば、パンツタイプやテープタイプの使い捨ておむつ等に利用されてもよい。
【0055】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。