(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-110859(P2018-110859A)
(43)【公開日】2018年7月19日
(54)【発明の名称】組み合わせられたデブリーダ及びコアグレータ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20180622BHJP
A61B 17/16 20060101ALI20180622BHJP
A61B 17/3205 20060101ALI20180622BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B17/16
A61B17/3205
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-1018(P2018-1018)
(22)【出願日】2018年1月9日
(31)【優先権主張番号】15/403,060
(32)【優先日】2017年1月10日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】イェフダ・アルガウィ
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ・シットニツキー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF21
4C160KK04
4C160KK13
4C160KL02
4C160KL03
4C160LL04
4C160MM32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医療装置を提供すること。
【解決手段】近位端部58と体腔の中に挿入するように構成された遠位端部34とを有する外側チューブ36であって、遠位端部に近接して外側チューブの壁を通る半径方向切開窓開口部50を備える外側チューブを含む挿入チューブを備える医療用プローブ22。挿入チューブはまた、外側チューブに収容され、かつ外側チューブ内を回転するように構成された内側チューブであって、内側チューブが回転する際に半径方向切開窓開口部を横断する切開ブレードを備える内側チューブを含む。医療装置は、挿入チューブの遠位端部の外面の上に配設された導電性素子52と、挿入チューブに沿って近位端部から遠位端部まで延び、導電性素子にエネルギーを供給するために結合される導体56とを更に含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、
挿入チューブであって、
近位端部と体腔の中に挿入するように構成された遠位端部とを有する外側チューブであって、前記遠位端部に近接して前記外側チューブの壁を通る半径方向切開窓開口部を備える外側チューブ、及び、
内側チューブであって、前記外側チューブに収容され、かつ前記外側チューブ内を回転するように構成され、前記内側チューブが回転する際に前記半径方向切開窓開口部を横断する切開ブレードを備える内側チューブを含む、挿入チューブと、
前記挿入チューブの前記遠位端部の外面の上に配設された導電性素子と、
前記挿入チューブに沿って前記近位端部から前記遠位端部まで延び、かつ前記導電性素子にエネルギーを供給するために結合された導体と、
を備える、医療装置。
【請求項2】
前記遠位端部の前記外面が、前記外側チューブの前記外面を含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記遠位端部の前記外面が、前記内側チューブの前記外面を含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
前記導体は、前記切開ブレードが前記半径方向切開窓を閉じるときに前記導電性素子に前記エネルギーを供給するように構成されている、請求項3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記切開ブレードは第1切開ブレードを含み、前記半径方向切開窓開口部の縁部に配設された第2切開ブレードを含んでいる、請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
前記第2切開ブレードは体腔組織を把持するように構成された1セットの把持用歯を含む、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記導電性素子は前記第2切開ブレードの上に配設されている、請求項5に記載の医療装置。
【請求項8】
前記遠位端部は外側チューブの遠位端部を含み、前記内側チューブは内側チューブの遠位端部と内側チューブの近位端部とを有し、かつ前記内側チューブの遠位端部に近接して前記内側チューブの壁を通る半径方向吸引窓開口部を含み、前記半径方向吸引窓開口部は特定の回転角度で前記半径方向切開窓開口部を横断するように構成されており、前記内側チューブの近位端部は、前記半径方向吸引窓開口部を介してデブリを抽出するように構成された吸引装置に結合されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項9】
前記切開ブレードは、前記半径方向吸引窓開口部の縁部に配設されている、請求項8に記載の医療装置。
【請求項10】
切開時間と加熱時間の比を変えるために前記内側チューブの前記回転と前記導電性素子への前記エネルギーの前記供給とを独立して制御する入力装置を含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項11】
前記体腔は、鼻腔及び副鼻腔からなる群から選択される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項12】
前記エネルギーは高周波エネルギーを含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項13】
方法であって、
体腔の中に挿入するように構成され、かつ近位端部及び遠位端部を有する外側チューブと、前記外側チューブに収容され、かつ前記外側チューブ内で回転するように構成された内側チューブとを含む挿入チューブを供給することと、
前記外側チューブに、前記遠位端部に近接して前記外側チューブの壁を通る半径方向切開窓開口部を構成することと、
前記内側チューブに、前記内側チューブが回転する際に前記半径方向切開窓を横断する切開ブレードを位置決めすることと、
前記外側チューブの前記遠位端部の外面の上に配設された導電性素子を供給することと、
前記挿入チューブに沿って前記近位端部から前記遠位端部まで延び、かつ前記導電性素子にエネルギーを供給するために結合された導体を供給することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記遠位端部の前記外面は、前記外側チューブの前記外面を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記遠位端部の前記外面は、前記内側チューブの前記外面を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記導体は、前記切開ブレードが前記半径方向切開窓を閉じるときに前記導電性素子に前記エネルギーを供給する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記切開ブレードは第1切開ブレードを含み、前記半径方向切開窓開口部の縁部に第2切開ブレードを配設することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第2切開ブレードは体腔組織を把持するように構成された1セットの把持用歯を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記導電性素子を前記第2切開ブレードの上に配設することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記遠位端部は外側チューブの遠位端部を含み、前記内側チューブは内側チューブの遠位端部と内側チューブの近位端部とを有し、前記内側チューブの遠位端部に近接して前記内側チューブの壁を通る半径方向吸引窓開口部を供給することであって、前記半径方向吸引窓開口部は特定の回転角度で前記半径方向切開窓開口部を横断するように構成されている、ことと、前記内側チューブの近位端部に、前記半径方向吸引窓開口部を介してデブリを抽出するように構成された吸引装置用のカップリングを供給することとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記半径方向吸引窓開口部の縁部に前記切開ブレードを配設することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
1つ又は2つ以上の入力装置を用いて、切開時間と加熱時間の比を変えるために、前記内側チューブの前記回転と前記導電性素子への前記エネルギーの前記供給を独立して制御することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記体腔は、鼻腔及び副鼻腔からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記エネルギーは高周波エネルギーを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に侵襲性医療用プローブに関し、特に鼻腔及び副鼻腔内で治療を行うように構成された侵襲性医療用プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡下機能的副鼻腔手術(FESS)は慢性副鼻腔炎の治療に一般的に用いられている手術である。典型的なFESS処置では、解剖学的構造は、副鼻腔への開口部にアクセスするために、通常、除去され、又は修正される。例えば、FESS処置の間、鼻腔と副鼻腔への開口部とから骨及び粘膜組織を除去し、そしてこのような開口部を拡大して副鼻腔排液を改善し副鼻腔炎を緩和するような操作を実行するために、1つ又は2つ以上の硬性外科用器具(例えば、硬性内視鏡)を鼻孔に中に挿入することができる。FESS外科術の間に治療され得る他の種類の組織には、ポリープ及び骨成長を含む。
【0003】
参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0004】
上記説明は、当該分野における関連技術の一般的概論として記載したものであって、この説明に含まれる何らの情報が本特許出願に対する先行技術を構成することを容認するものと解釈するべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、医療装置であって、挿入チューブであって、近位端部と体腔の中に挿入するように構成された遠位端部とを有する外側チューブであって、遠位端部に近接して外側チューブの壁を通る半径方向切開窓開口部を備える外側チューブ、及び、外側チューブに収容され、かつ外側チューブ内を回転するように構成された内側チューブであって、内側チューブが回転する際に半径方向切開窓開口部を横断する切開ブレードを備える内側チューブを含む、挿入チューブ、を備える医療装置が提供される。医療装置は更に、挿入チューブの遠位端部の外面の上に配設された導電性素子と、挿入チューブに沿って近位端部から遠位端部まで延び、かつ導電性素子にエネルギーを供給するために結合された導体とを備える。
【0006】
いくつかの実施形態では、遠位端部の外面は、外側チューブの外面を含む。追加の実施形態では、遠位端部の外面は、内側チューブの外面を含む。遠位端部の外面が内側チューブの外面を含む実施形態では、導体は、切開ブレードが半径方向切開窓を閉じるときに導電性素子にエネルギーを供給するように構成され得る。
【0007】
更なる実施形態では、切開ブレードは第1切開ブレードを含み、医療装置は、半径方向切開窓開口部の縁部に配設された第2切開ブレードを含む。いくつかの実施形態では、第2切開ブレードは体腔組織を把持するように構成された1セットの把持用歯を含む。補足的な実施形態では、導電性素子は第2切開ブレードの上に配設され得る。
【0008】
追加の実施形態では、遠位端部は外側チューブの遠位端部を含み、内側チューブは内側チューブの遠位端部と内側チューブの近位端部とを有し、かつ内側チューブの遠位端部に近接して内側チューブの壁を通る半径方向吸引窓開口部を含み、半径方向吸引窓開口部は特定の回転角度で半径方向切開窓開口部を横断するように構成されており、内側チューブの近位端部は、半径方向吸引窓開口部を介してデブリを抽出するように構成された吸引装置に結合されている。医療装置が半径方向吸引窓開口部を含む実施形態では、切開ブレードは、半径方向吸引窓開口部の縁部に配設されてもよい。
【0009】
更なる実施形態では、医療装置は、切開時間と加熱時間の比を変えるために内側チューブの回転と導電性素子へのエネルギーの供給とを独立して制御する入力装置を含んでもよい。補足的な実施形態では、体腔は、鼻腔及び副鼻腔からなる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、エネルギーは高周波エネルギーを含む。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、方法であって、体腔の中に挿入するように構成され、かつ近位端部及び遠位端部を有する外側チューブと、外側チューブに収容され、かつ外側チューブ内で回転するように構成された内側チューブとを含む挿入チューブを供給することと、外側チューブに、遠位端部に近接して外側チューブの壁を通る半径方向切開窓開口部を構成することと、内側チューブに、内側チューブが回転する際に半径方向切開窓を横断する切開ブレードを位置決めすることと、外側チューブの遠位端部の外面の上に配設された導電性素子を供給することと、挿入チューブに沿って近位端部から遠位端部まで延び、かつ導電性素子にエネルギーを供給するために結合された導体を供給することと、を含む、方法もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
ここで、本願開示の発明をあくまで一例として添付図面を参照しつつ説明する。
【
図1】本発明の一実施形態による、デブリーダとコアグレータを組み合わせた医療用プローブを用いて処置を実行するように構成された医療システムの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、医療用プローブの概略断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、医療用プローブの遠位端部の概略断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、医療用プローブの遠位端部の概略断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、医療処置の間、鼻腔内の医療用プローブの遠位端部を示す概略詳細図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、医療処置の間、鼻腔内の医療用プローブの遠位端部を示す概略詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
概説
内視鏡下機能的副鼻腔手術(FESS)のような様々な治療処置は、通常、患者の体腔の中に挿入される1つ又は2つ以上の侵襲性医療用プローブを用いる。FESS処置で用いられる侵襲性医療用プローブの例としては、骨及び組織を切開するように構成されているデブリーダ(剃刀及びカッタとしてもまた既知である)、及び軟組織の凝固及び血管の止血を実行するように構成されているコアグレータが挙げられる。
【0013】
本発明の実施形態は、デブリーダとコアグレータとの機能を単一の医療用プローブに組み合わせる。以下に説明するように、医療用プローブは、近位端部と体腔の中に挿入するように構成された遠位端部とを有する外側チューブであって、遠位端部に近接して外側チューブの壁を通る半径方向切開窓開口部を有する外側チューブを含む、挿入チューブを備える。挿入チューブはまた、内側チューブであって、外側チューブに収容され、かつ外側チューブ内を回転するように構成された内側チューブを含む。内側チューブは、内側チューブが回転する際に半径方向切開窓開口部を横断する切開ブレードを備え、それによって半径方向切開窓開口部の中に突出する任意の骨と組織を切開(すなわち、「創傷清拭」)する。
【0014】
本発明の実施形態では、医療用プローブは、挿入チューブの遠位端部の外面の上に配設される導電性素子を更に含む。いくつかの実施形態では、導電性素子は外側チューブの外面の上に配設されており、医療用プローブは、外側チューブに沿って近位端部から遠位端部まで延び、かつ導電性素子にエネルギー(例えば、高周波エネルギー)を供給するために結合されている導体を備える。エネルギーを受けることにより、導電性素子は、体腔内の流体を凝固するために、医療処置の間、体腔の中にエネルギーを注入するように構成される。
【0015】
医療用プローブはまた、半径方向切開窓開口部の縁部に沿って配設された追加の切開ブレードを含んでもよい。いくつかの実施形態では、追加の切開ブレードは、医療処置の間、体腔組織を把持するように構成された1セットの把持用歯を含んでもよい。導電性素子が外側チューブの外面の上に配設されている実施形態では、導電性素子はまた、追加の切開ブレードの上に配設されて導体に結合されてもよく、それによって追加の切開ブレードが凝固を実行するのを可能にする。
【0016】
いくつかの実施形態では、内側チューブの遠位端部は、内側チューブが回転する際に半径方向切開窓開口部を横断するように構成されている半径方向吸引窓開口部を含んでもよい。内側チューブがその近位端部で吸引装置(本明細書では吸引モジュールとしても呼ばれる)に結合される場合、医療用プローブは、医療処置の間、半径方向吸引窓開口部を介して、デブリ(例えば、体腔組織及び凝固された血液)を抽出するように構成され得る。
【0017】
更なる実施形態では、医療用プローブは、内側チューブが外側チューブに対して特定の回転角度で位置決めされるときまで、遠位端部へのエネルギーの伝達を制限するように構成され得る。例えば、導電性素子が外側チューブの上に配設される実施形態では、医療用プローブは、半径方向切開窓開口部と半径方向吸引窓開口部とが整列するときまで導電性素子へのエネルギーの伝達を制限するように構成され得、それによって凝固されたデブリを抽出するため内側チューブへの吸引を可能にする。追加の実施形態では、内側チューブの回転と導電性素子へ伝達されるエネルギーは、各々、独立して制御されることができ、それによってオペレーターが創傷清拭時間と凝固時間の比を変えることを可能にする。
【0018】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、デブリーダとコアグレータの機能を組み合わせた医療用プローブ22及び制御コンソール26を備える医療システム20の概略図である。
図1に示された例では、医療システム20は、患者28への最小侵襲性カテーテルに基づく副鼻腔手術に用いられ得る。
【0019】
医療用プローブ22は、鼻腔又は副鼻腔のような患者28の内腔の中に挿入チューブ35の遠位端部34を挿入するために、オペレーター32が把持して操作できるハンドル30を含む。本発明の実施形態では、挿入チューブ35は、外側チューブ36と、外側チューブに収容され、かつ外側チューブ内を回転するように構成される内側チューブとを含む。内側チューブは、
図3及び
図4を参照する説明において、以下に説明される。
【0020】
医療用プローブ22は、通常、患者28における遠位端部34の現在位置を示す信号を生成する位置センサ(図示なし)を含む。操作中、制御コンソール26は、リアルタイム画像38を生成するため、信号を受信し、示された位置を予め取得された画像(例えば、コンピュータ断層撮影画像)に位置合わせすることができる。いくつかの実施形態では、制御コンソール26は、予め取得された画像に、遠位端部34の現在の位置合わせされた位置を示すアイコンを重ね合わせることによってリアルタイム画像38を生成できる。制御コンソール26は、リアルタイム画像を処置に関する情報としてディスプレイ40に提示することができる。
【0021】
位置センサの例としては、磁場に基づく位置センサ及びインピーダンスに基づく位置センサが挙げられる。磁気的位置追跡技術については、例えば上記に参照した米国特許第5,391,199号及び同第6,690,963号、並びに、参照によりその開示内容が本出願に組み込まれる米国特許第5,443,489号、同第6,788,967号、同第5,558,091号、同第6,172,499号及び同第6,177,792号に述べられている。インピーダンスに基づいた位置追跡技術については、例えばそれらの開示内容を参照によって本明細書に援用するところの米国特許第5,983,126号、同第6,456,864号、及び同第5,944,022号に記載されている。
【0022】
ディスプレイ40は、一例として、液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ又はプラズマディスプレイのような、平面パネルディスプレイを含むと想定される。しかしながら、他の表示装置もまた、本発明の実施形態の実施に使用することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ40は、画像38の提示に加えてオペレーター32からの入力を受け入れるように構成され得るタッチスクリーンを含んでもよい。
【0023】
医療用プローブ22及び医療システム20の他の構成要素から受信された信号に基づき、制御コンソール26は、患者の体内の遠位端34の現在位置と、進行中である処置に関する状態情報及びガイダンスを提示するために、ディスプレイ40を駆動して画像38を更新する。いくつかの実施形態では、オペレーター32は、1つ又は2つ以上の入力デバイス42を使用して、画像38を操作することができる。ディスプレイ40がタッチスクリーンディスプレイで構成される実施形態では、オペレーター32は、タッチスクリーンディスプレイを介して画像38を操作することができる。
【0024】
図2は、本発明の実施形態による医療用プローブ22の概略断面図である。外側チューブ36は、遠位端部34に近接する半径方向切開窓開口部50を含む。本発明の実施形態では、プローブ22は、挿入チューブ35の遠位端部の上に配設される導電性素子52を含む。いくつかの実施形態では、導電性素子52は、外側チューブ36の外面54の上に配設される。外面54は、通常、テフロン(商標)又はポリウレタンのような絶縁ポリマーを含み、導電性素子52は、通常、凝固を実行するために患者28の中にエネルギーを注入するように構成される金属(例えば、金)の薄層を含む。
【0025】
医療用プローブ22はまた、通常、1つ又は2つ以上の導線の形態にある導体56を含む。導電性素子52が外側チューブ36の上に配設される実施形態では、導体56は外側チューブに沿って、外側チューブの近位端部58から遠位端部34まで延びる。ハンドル30は、近位端部58で導体56に結合される凝固モジュール60を含み、導体は遠位端部34で導電性素子52に結合される。凝固モジュール60は、導電性素子52にエネルギー(例えば、高周波エネルギー)を伝達し、導電性素子に伝達されるエネルギーのレベルと持続時間のような凝固パラメータを監視して制御するように構成される。導電性素子52は、患者28の体腔(例えば、鼻腔及び/又は副鼻腔)の中に伝達されたエネルギーを注入し、体腔の流体(例えば、血液)を凝固するために用いられ得る熱を生成する。
【0026】
遠位端部34は、半径方向切開窓開口部50の1つ又は2つ以上の縁部に沿って配設される外側ブレード62を含む。
図2に示す構成では、外側ブレード62は、医療処置の間、体腔の組織を把持するために用いられ得る1セットの把持用歯を含んでもよい。いくつかの実施形態では、外側ブレード62は、導電性素子52で被膜されてもよく、それによって把持用歯が医療処置の間、凝固を実行することを可能にする。
【0027】
ハンドル30はまた、モータ64及び吸引モジュール66も含む。モータ64及び吸引モジュール66の詳細と操作は、
図3及び
図4を参照する説明において以下に説明する。
図2の構成は、ケーブル68から電気エネルギーを受け取るハンドル30内のハンドル構成要素(すなわち、凝固モジュール60、モータ64及び吸引モジュール66)を示すが、任意の他の電気エネルギー源からハンドル構成要素への電力供給は、本発明の趣旨及び範囲内であると考えられる。例えば、ハンドルは、ハンドルのモジュールに電気エネルギーを伝達するバッテリーを含んでもよい。
【0028】
図3及び
図4は、本発明の一実施形態による、外側チューブ36内に収容された内側チューブ70を含む遠位端部34の概略断面図である。
図3及び
図4に示すように、内側チューブ70の近位端部は、矢印72によって示されるように外側チューブ36内で内側チューブを回転するように構成されるモータ64に結合され、内側チューブ70の遠位端部は、モータ64が外側チューブ36内で内側チューブを回転する際に、半径方向切開窓開口部50を横断する切開ブレード74を含む。操作中、凝固(すなわち、導電性素子52により生成された熱の結果として)又は切開(すなわち、切開ブレード74による)の結果として生じた任意のデブリは、デブリが生成されると抽出され得る。
【0029】
図3に示す構成では、内側チューブ70の遠位端部は半径方向吸引窓開口部76を含み、切開ブレード74は半径方向吸引窓開口部の縁部に沿って配設される。操作中、モータ64が内側チューブ70を回転すると、半径方向吸引窓開口部76は、モータ64が外側チューブ36内で内側チューブを回転する際に、半径方向切開窓開口部50を特定の回転角度で横断する。更に、遠位端部34は吸引モジュール66に結合されることができ、その結果、半径方向吸引窓開口部76が
図3に示すように半径方向切開窓開口部50と整列する場合、デブリ(例えば、組織及び/又は凝固血液)は体腔から抽出され得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、導電性素子52は、内側チューブ70の外面(図示なし)の上に配設される。これらの実施形態では、導体56は内側チューブ70の近位端部から遠位端部34まで延びることができ、医療システム20は、半径方向吸引窓開口部76が半径方向切開窓開口部50に対向するとき、すなわち、
図4に示すように、切開ブレード74の回転が半径方向切開窓50を閉じるときまで、導電性素子52へのエネルギーの伝達を制限するように構成され得る。操作中、モータ64が内側チューブ70を回転する際、凝固モジュール60は、例えば、切開ブレード74が半径方向切開窓50を閉じるときに、内側チューブの上に配設された導電性素子に伝達されるエネルギーをパルス化することができる。
【0031】
図5及び
図6は、本発明の一実施形態による、医療処置の間、鼻腔82の洞組織80と接する遠位端部34を示す概略詳細図である。
図5では、オペレーター32は、外側ブレード62の把持用歯が洞組織80を把持するように、遠位端部34を鼻腔82に位置決めする。
図6に示すように、医療処置の間、切開ブレード74は洞組織の一部を除去する。更に、導電性素子52により生成される熱は、鼻腔82内の血液又は流体を凝固することができ、任意のデブリ84(例えば、導電性素子により凝固された血液及び/又は切開ブレード74により切開された洞組織)は、半径方向吸引窓開口部76を介して鼻腔から除去され得る。
【0032】
本発明の実施形態では、オペレーター32は、入力装置42(あるいはペダルスイッチ又はハンドル30のボタンのような任意の他のタイプの入力装置)を用いて、凝固モジュール60、モータ64及び吸引モジュール66を個々に制御することができる。これにより、オペレーター32が、凝固の時間を変えるために凝固モジュール60から導電性素子52へのエネルギーの流れを制御し、そして(すなわち、内側チューブ70の回転を制御することにより)切開時間及び切開ブレード74の速度を変えるためにモータ64へのエネルギーの流れを制御することを可能にする。
【0033】
追加の実施形態では、医療システム20は、内側チューブの回転と導電性素子に伝達されるエネルギーとを独立して制御するように構成され得る。例えば、制御コンソール26は、オペレーター32がモータ64を制御するために操作できる第1の所与された入力装置42と、オペレーター32が凝固モジュール60を制御するために操作することができる第2の所与された入力装置42とを含んでもよい。代替的な実施形態では、医療システム20は、オペレーター32がモータ64と凝固モジュール60とを独立して制御するために操作することができる、他のタイプの入力装置(例えば、ペダルスイッチ)を含んでもよい。オペレーター32が、モータ64と凝固モジュール60とを独立して制御することを可能にすることによって、医療システム20は、オペレーター32が創傷清拭時間(すなわち、切開ブレード74を用いて組織を切開すること)と凝固時間(すなわち、鼻腔82内の血液を加熱するため導電性素子52を用いること)の比を変えることを可能にする。
【0034】
上記に述べた実施形態はあくまで実例として挙げたものにすぎず、本発明は上記に詳細に示し、説明したものに限定されない点は理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の種々の特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者が想起するであろう、先行技術に開示されていない変形形態及び改変を含む。
【0035】
〔実施の態様〕
(1) 医療装置であって、
挿入チューブであって、
近位端部と体腔の中に挿入するように構成された遠位端部とを有する外側チューブであって、前記遠位端部に近接して前記外側チューブの壁を通る半径方向切開窓開口部を備える外側チューブ、及び、
内側チューブであって、前記外側チューブに収容され、かつ前記外側チューブ内を回転するように構成され、前記内側チューブが回転する際に前記半径方向切開窓開口部を横断する切開ブレードを備える内側チューブを含む、挿入チューブと、
前記挿入チューブの前記遠位端部の外面の上に配設された導電性素子と、
前記挿入チューブに沿って前記近位端部から前記遠位端部まで延び、かつ前記導電性素子にエネルギーを供給するために結合された導体と、
を備える、医療装置。
(2) 前記遠位端部の前記外面が、前記外側チューブの前記外面を含む、実施態様1に記載の医療装置。
(3) 前記遠位端部の前記外面が、前記内側チューブの前記外面を含む、実施態様1に記載の医療装置。
(4) 前記導体は、前記切開ブレードが前記半径方向切開窓を閉じるときに前記導電性素子に前記エネルギーを供給するように構成されている、実施態様3に記載の医療装置。
(5) 前記切開ブレードは第1切開ブレードを含み、前記半径方向切開窓開口部の縁部に配設された第2切開ブレードを含んでいる、実施態様1に記載の医療装置。
【0036】
(6) 前記第2切開ブレードは体腔組織を把持するように構成された1セットの把持用歯を含む、実施態様5に記載の医療装置。
(7) 前記導電性素子は前記第2切開ブレードの上に配設されている、実施態様5に記載の医療装置。
(8) 前記遠位端部は外側チューブの遠位端部を含み、前記内側チューブは内側チューブの遠位端部と内側チューブの近位端部とを有し、かつ前記内側チューブの遠位端部に近接して前記内側チューブの壁を通る半径方向吸引窓開口部を含み、前記半径方向吸引窓開口部は特定の回転角度で前記半径方向切開窓開口部を横断するように構成されており、前記内側チューブの近位端部は、前記半径方向吸引窓開口部を介してデブリを抽出するように構成された吸引装置に結合されている、実施態様1に記載の医療装置。
(9) 前記切開ブレードは、前記半径方向吸引窓開口部の縁部に配設されている、実施態様8に記載の医療装置。
(10) 切開時間と加熱時間の比を変えるために前記内側チューブの前記回転と前記導電性素子への前記エネルギーの前記供給とを独立して制御する入力装置を含む、実施態様1に記載の医療装置。
【0037】
(11) 前記体腔は、鼻腔及び副鼻腔からなる群から選択される、実施態様1に記載の医療装置。
(12) 前記エネルギーは高周波エネルギーを含む、実施態様1に記載の医療装置。
(13) 方法であって、
体腔の中に挿入するように構成され、かつ近位端部及び遠位端部を有する外側チューブと、前記外側チューブに収容され、かつ前記外側チューブ内で回転するように構成された内側チューブとを含む挿入チューブを供給することと、
前記外側チューブに、前記遠位端部に近接して前記外側チューブの壁を通る半径方向切開窓開口部を構成することと、
前記内側チューブに、前記内側チューブが回転する際に前記半径方向切開窓を横断する切開ブレードを位置決めすることと、
前記外側チューブの前記遠位端部の外面の上に配設された導電性素子を供給することと、
前記挿入チューブに沿って前記近位端部から前記遠位端部まで延び、かつ前記導電性素子にエネルギーを供給するために結合された導体を供給することと、
を含む、方法。
(14) 前記遠位端部の前記外面は、前記外側チューブの前記外面を含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記遠位端部の前記外面は、前記内側チューブの前記外面を含む、実施態様13に記載の方法。
【0038】
(16) 前記導体は、前記切開ブレードが前記半径方向切開窓を閉じるときに前記導電性素子に前記エネルギーを供給する、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記切開ブレードは第1切開ブレードを含み、前記半径方向切開窓開口部の縁部に第2切開ブレードを配設することを含む、実施態様13に記載の方法。
(18) 前記第2切開ブレードは体腔組織を把持するように構成された1セットの把持用歯を含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記導電性素子を前記第2切開ブレードの上に配設することを含む、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記遠位端部は外側チューブの遠位端部を含み、前記内側チューブは内側チューブの遠位端部と内側チューブの近位端部とを有し、前記内側チューブの遠位端部に近接して前記内側チューブの壁を通る半径方向吸引窓開口部を供給することであって、前記半径方向吸引窓開口部は特定の回転角度で前記半径方向切開窓開口部を横断するように構成されている、ことと、前記内側チューブの近位端部に、前記半径方向吸引窓開口部を介してデブリを抽出するように構成された吸引装置用のカップリングを供給することとを含む、実施態様13に記載の方法。
【0039】
(21) 前記半径方向吸引窓開口部の縁部に前記切開ブレードを配設することを含む、実施態様20に記載の方法。
(22) 1つ又は2つ以上の入力装置を用いて、切開時間と加熱時間の比を変えるために、前記内側チューブの前記回転と前記導電性素子への前記エネルギーの前記供給を独立して制御することを含む、実施態様13に記載の方法。
(23) 前記体腔は、鼻腔及び副鼻腔からなる群から選択される、実施態様13に記載の方法。
(24) 前記エネルギーは高周波エネルギーを含む、実施態様13に記載の方法。
【外国語明細書】