【解決手段】1以上の第1ロータユニットと、1以上の第2ロータユニットと、を備え、前記第1ロータユニットと前記第2ロータユニットの各々は、筒体と、ロータと、を備え、前記第1ロータユニットと前記第2ロータユニットを駆動させる中心軸を回転させたときに、前記第1ロータユニットの前記ロータが前記中心軸を押圧するときの荷重に対応する少なくとも1以上の第1荷重ベクトルと、前記第2ロータユニットの前記ロータが前記中心軸を押圧するときの荷重に対応する少なくとも1以上の第2荷重ベクトルと、を足し合わせた合計荷重ベクトルの絶対値は、前記第1荷重ベクトルの絶対値及び前記第2荷重ベクトルの絶対値のいずれよりも小さいポンプモータ。
  低圧のオイルを吸い込んで高圧のオイルに変化させて吐出する少なくとも1以上の第1ロータユニットと、前記高圧のオイルを吸い込んで低圧な空間に吐出する少なくとも1以上の第2ロータユニットと、を有するポンプモータであって、
  前記第1ロータユニットと前記第2ロータユニットの各々は、
  筒体と、
  前記筒体の内部に配置され、回転中心線を有する中心軸周りに回転可能で前記回転中心線から離間する方向に開口する複数の凹部を有するロータ本体、および前記凹部の各々にて前記回転中心線に対して接近可能および離間可能に挿入されるベーン、を有し、前記回転中心線に対して前記筒体の偏心中心線が偏心しているロータと、
  を備え、
  前記中心軸を回転させたときに、前記第1ロータユニットの各々が有する前記ロータが前記中心軸を押圧するときの荷重に対応する少なくとも1以上の第1荷重ベクトルと、前記第2ロータユニットの各々が有する前記ロータが前記中心軸を押圧するときの荷重に対応する少なくとも1以上の第2荷重ベクトルと、を足し合わせた合計荷重ベクトルの絶対値は、前記第1荷重ベクトルの絶対値及び前記第2荷重ベクトルの絶対値のいずれよりも小さいポンプモータ。
  前記第1ロータユニットの中で、前記筒体、前記ロータ本体、および隣接する2枚の前記ベーンで囲まれて外部と連通し、前記ロータの回転により前記ロータの回転前よりも低圧化する空間を第1空間、および前記ロータの回転により前記ロータの回転前よりも高圧化する空間を第2空間とし、
  前記第2ロータユニットの中で、前記筒体、前記ロータ本体、および隣接する2枚の前記ベーンで囲まれて外部と連通し、前記第2空間で高圧化したオイルの流入により高圧となる空間を第3空間、およびオイルが流出する低圧な空間を第4空間とした場合に、
  第1荷重ベクトルは、前記第2空間側から前記第1空間側へと向かうベクトルであり、
  第2荷重ベクトルは、前記第3空間側から前記第4空間側へと向かうベクトルである請求項1に記載のポンプモータ。
  前記筒体、前記ロータ本体、および隣接する2枚の前記ベーンで囲まれて外部と連通し、前記ロータの回転により前記ロータの回転前よりも低圧化する空間を第1空間、ならびに、
  前記筒体、前記ロータ本体、および隣接する2枚の前記ベーンで囲まれて外部と連通し、前記ロータの回転により前記ロータの回転前よりも高圧化する空間を第2空間とした場合に、
  前記荷重ベクトルは、前記第2空間側から前記第1空間側へと向かうベクトルである請求項6に記載のポンプ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
  以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
 
【0012】
  また、以下の説明では、便宜上、
図1及び
図2の紙面の上方をポンプモータ300の上方とし、紙面の下方をポンプモータ300の下方として説明していく。なお、ポンプモータ300の実際の使用にあたっては、どの面を上や下として用いても良い。同様に、
図6の紙面の上方をポンプ400の上方とし、紙面の下方をポンプ400の下方として説明する。同様に、
図8の紙面の上方をモータ500の上方とし、紙面の下方をモータ500の下方として説明する。
 
【0013】
(第1実施形態)
  
図1は、本発明の第1実施形態に係るポンプモータ300の側面図である。
図2は、
図1のポンプモータ300を中心軸30の回転中心線30Xに沿って
図1の表面と平行に切った断面図である。
図2に示されるように、ポンプモータ300(ポンプモータ複合体)は装置筐体300Aを有する。装置筐体300Aの内部には、低圧のオイル(流体)を吸い込んで高圧のオイルに変化させて吐出する少なくとも1以上の第1ロータユニット100Aと、高圧のオイルを吸い込んで低圧な空間に吐出する少なくとも1以上の第2ロータユニット200Aと、が設けられる。本実施形態では、装置筐体300Aの内部には、1つの第1ロータユニット100Aと、第2ロータユニット200Aと、が設けられる。
 
【0014】
  また、装置筐体300Aの内部では、第1ロータユニット100Aと第2ロータユニット200Aに中心軸30が挿嵌されている。中心軸30にはキー溝30Z(
図3参照)が設けられている。ロータ20にはキー溝20B(
図3参照)が設けられている。これらのキー溝30Zとキー溝20Bとにキー31(
図3参照)が挿入されている。このために、中心軸30とロータ20とが一体的に回転する。なお、キー31の場所は、
図2中で2点鎖線で示されている。
 
【0015】
  また、この中心軸30は、軸受22(ベアリング)により装置筐体300Aに回転自在に支持されている。中心軸30は、回転中心線30Xを中心として回転する。また、装置筐体300Aには、内部で流動するオイル50(
図3参照)の漏出を抑制するオイルシール60が設けられている。
 
【0016】
  装置筐体300Aには、開口301a、開口301b、開口302a、開口302bが形成されている。開口301aは、第1ロータユニット100Aの第1連通孔91bと連通している。開口301bは、第1ロータユニット100Aの第2連通孔92bと連通している。開口302aは、第2ロータユニット200Aの第3連通孔93bと連通している。開口302bは、第2ロータユニット200Aの第4連通孔94bと連通している。
 
【0017】
  第1ロータユニット100Aに関しては、以下のように動作する。図示しない外部の電動機により中心軸30が回転する。そうすると、オイル50(
図3参照)は、開口301a、第1連通孔91b、第1ロータユニット100A、第2連通孔92b、開口301bを順に通過していく。このように、第1ロータユニット100Aの内部では、前述の図示しない外部の駆動機の駆動によりオイル50が流動する。
 
【0018】
  第2ロータユニット200Aに関しては、以下のように動作する。オイル50は、開口302a、第3連通孔93b、第2ロータユニット200A、第4連通孔94b、開口302bを順に通過していく。そうすると、モータの中心軸30が電動機の回転方向に回転させられる。なお、この第2ロータユニット200Aの駆動力は、前述の図示しない外部の駆動機の駆動力と共に、第1ロータユニット100Aを駆動するのに用いられる。第1ロータユニット100Aと第2ロータユニット200Aの構成に関しては、以下に詳述していく。
 
【0019】
  図3(A)は、
図2の矢印X1−X2線で切った1連目の第1ロータユニット100Aの断面図である。
図3(B)は、
図2の矢印X3−X4線で切った2連目の第2ロータユニット200Aの断面図である。
 
【0020】
  図3(A)に示されるように、第1ロータユニット100Aは筐体100A1を有する。筐体100A1の四方にはネジ穴100bが形成されている。このネジ穴100bが装置筐体300Aの図示しないネジ穴と揃えられ、図示しないネジによって筐体100A1が装置筐体300A(
図2参照)に締結される。
 
【0021】
(筐体・筒体・ロータ)
  第1ロータユニット100Aの各々は、筐体100A1の内部で空間Pを介して配置される筒体10(リング)を有し、筒体10の内部で空間Qを介して配置されるロータ20を有する。同様に、第2ロータユニット200Aの各々は、筐体100A1の内部で空間Pを介して配置される筒体10を有し、筒体10の内部で空間Qを介して配置されるロータ20を有する。
 
【0022】
  図3(A)中で、筐体100A1の内周面と筒体10の外周面との間に空間Pが設けられている。そして、筒体10は、筐体100A1に対して位置が可変に構成されている。
図3(A)中で、筒体10の内周面とロータ20の外周面との間に空間Qが設けられている。また、ロータ20は、ロータ本体20Aと、ベーン25と、を有する。
 
【0023】
(凹部・ベーン)
  
図3(A)に示されるように、中心軸30の回転中心線30Xに対して、筒体10の偏心中心線10Xが偏心している。偏心中心線10Xが回転中心線30Xに対して偏心しているのは、本実施形態の第1ロータユニット100Aが非平衡型のポンプであるからであり、また、1回の回転で1回の吸込と1回の吐出をするタイプであるからである。また、ロータ本体20Aは、複数の凹部21を有する。複数の凹部21は、回転中心線30X周りに回転可能で回転中心線30Xから離間する方向に開口する。
 
【0024】
  ベーン25は、凹部21の各々にて回転中心線30Xに対して接近可能および離間可能に挿入される。すなわち、ベーン25は、ロータ本体20Aと筒体10とが接近している位置では回転中心線30Xに接近した位置に配置される。このとき、ロータ20が回転してベーン25に遠心力が働いてもベーン25の先端は筒体10の内周面に当接し、ベーン25が凹部21から飛び出している距離は短い。
 
【0025】
  また、ベーン25は、ロータ本体20Aと筒体10とが離間している位置では回転中心線30Xから離間した位置に配置される。このとき、ロータ20が回転してベーン25に遠心力が働いてベーン25の先端が筒体10の内周面へと飛び出して当接し、ベーン25が凹部21から飛び出している距離は長い。
 
【0026】
(空間Q・第1空間・第2空間)
  前述のように、第1ロータユニット100Aの中には空間Qが区画されており、空間Qは、第1空間91a1〜91a4と、空間Nと、第2空間92a1〜92a4と、を有する。第1空間91a1〜91a4は、筒体10、ロータ本体20A、および隣接する2枚のベーン25で囲まれており、第1連通孔91bを通して外部と連通する。第2空間92a1〜92a4は、筒体10、ロータ本体20A、および隣接する2枚のベーン25で囲まれており、第2連通孔92bを通して外部と連通する。空間Nは、外部とは連通していない。
 
【0027】
  第1空間91a1〜91a4は、ロータ20の回転によりロータ20の回転前よりも低圧化する空間である。空間Nは、ロータ20が回転してもロータ20の回転前と圧力が理論的にはほぼ変化しない空間である。第2空間92a1〜92a4は、ロータ20の回転によりロータ20の回転前よりも高圧化する空間である。
 
【0028】
(空間Q・第3空間・第4空間)
  前述のように、第2ロータユニット200Aの中にも空間Qが区画されており、空間Qは、第3空間93a1〜93a4と、空間Nと、第4空間94a1〜94a4と、を有する。第3空間93a1〜93a4は、筒体10、ロータ本体20A、および隣接する2枚のベーン25で囲まれて外部と第3連通孔93bを通して連通する。第4空間94a1〜94a4は、筒体10、ロータ本体20A、および隣接する2枚のベーン25で囲まれて外部と第4連通孔94bを通して連通する。空間Nは、外部とは連通していない。
 
【0029】
  第3空間93a1〜93a4は、高圧なオイル50の流入により高圧になる空間である。空間Nは、ロータ20が回転してもロータ20の回転前と圧力が理論的にはほぼ変化しない空間である。第4空間94a1〜94a4は、オイル50が流出していく低圧な空間である。第4空間94a1〜94a4は、第4連通孔94bを出た箇所が略大気圧に設定されているので低圧になっている。
 
【0030】
(第1荷重ベクトルに対応する荷重と第2荷重ベクトルに対応する荷重)
  ここで、以下に述べる第1荷重ベクトルF1に対応する荷重と第2荷重ベクトルF2に対応する荷重とを想定する。
 
【0031】
  第1荷重ベクトルF1は、第1ロータユニット100Aの内部で中心軸30とロータ20が回転することにより、筒体10とロータ20との間に圧力が高圧となる空間と低圧となる空間ができ、その高圧と低圧との圧力差によってロータ20が高圧側から低圧側へと付勢されて中心軸30にかかる荷重のベクトルである。
 
【0032】
  また、第1荷重ベクトルF1は、第1ロータユニット100Aの各々に生じ、回転中心線30Xを通り、第2空間92a1〜92a4側から第1空間91a1〜91a4側へと向かうベクトルでもある。また、第1荷重ベクトルF1は、第1ロータユニット100Aの各々のロータ20が中心軸30を押圧するときに、中心軸30に負荷される荷重のベクトルとも言える。
 
【0033】
  第2荷重ベクトルF2は、筒体10とロータ20との間の圧力が高圧となる空間と低圧となる空間ができており、第2ロータユニット200Aの内部で中心軸30とロータ20が回転するときにロータ20が高圧側から低圧側へと付勢されて中心軸30にかかる荷重のベクトルである。
 
【0034】
  また、第2荷重ベクトルF2は、第2ロータユニット200Aの各々に生じ、回転中心線30Xを通り、第3空間93a1〜93a4側から第4空間94a1〜94a4側へと向かうベクトルでもある。また、第2荷重ベクトルF2は、第2ロータユニット200Aの各々のロータ20が中心軸30を押圧するときに、中心軸30に負荷される荷重のベクトルとも言える。
 
【0035】
  第1荷重ベクトルF1と第2荷重ベクトルF2とを足し合わせた合計荷重ベクトルの絶対値は、特定の場合を除いて、第1荷重ベクトルF1の絶対値及び第2荷重ベクトルF2の絶対値のいずれよりも小さい。つまり、中心軸30にかかる第1荷重ベクトルF1は、第2荷重ベクトルF2が加えられることで低減され、中心軸30にかかる第2荷重ベクトルF2は、第1荷重ベクトルF1が加えられることで低減されることになる。ただし、以下のことも考えられる。
 
【0036】
  第1荷重ベクトルF1と第2荷重ベクトルF2とが同一の大きさを有するベクトルであった場合には、第1荷重ベクトルF1と第2荷重ベクトルF2との間の角度が120°であると、第1荷重ベクトルF1と第2荷重ベクトルF2とを足し合わせた荷重ベクトルが小さくならない。もしも、第1荷重ベクトルF1や第2荷重ベクトルF2が第1荷重ベクトルF1と第2荷重ベクトルF2とを足し合わせた荷重ベクトルよりも小さくなるようにしたい場合には、第1荷重ベクトルF1と第2荷重ベクトルF2との間の角度を、120°よりも大きく、240°よりも小さく設定しなければならない。
 
【0037】
  なお、複数の荷重ベクトルが存在する状態の場合にも、以下のように考える。複数の第1荷重ベクトルF1と複数の第2荷重ベクトルF2が回転中心線30Xにて複数足し合された合計ベクトルは、いずれの第1荷重ベクトルF1よりも小さく、また、いずれの第2荷重ベクトルF2よりも小さい。このことに関して、
図4を参照しつつ以下に説明する。
 
【0038】
  図4(A)は、中心軸30に対して複数の第1荷重ベクトルF1に対応する荷重と複数の第2荷重ベクトルF2に対応する荷重がかかる状態を、中心軸30と直交する方向から見た概念図である。
図4(B)は、中心軸30に対して複数の第1荷重ベクトルF1に対応する荷重と複数の第2荷重ベクトルF2に対応する荷重がかかる状態を、中心軸30に沿う方向から見た概念図である。
 
【0039】
  図4(A)に示されるように、中心軸30に対して、第1荷重ベクトルF1に対応する荷重が上からm個かかり(図中では、F1(1)、F1(2)、F1(3)、F1(4)、・・・F1(m)と記載)、第2荷重ベクトルF2に対応する荷重が下からn個かかる(図中では、F2(1)、F2(2)、F2(3)、F2(4)、・・・F2(n)と記載)。そして、これらの第1荷重ベクトルF1(1)〜F1(m)と第2荷重ベクトルF2(1)〜F2(n)とを足し合わせた合計が合計荷重ベクトルFsとなる。
 
【0040】
  そして、この合計荷重ベクトルFsの絶対値は、特定の場合を除いて、
図4(B)に示されるように、いずれの第1荷重ベクトルF1の絶対値よりも小さく、また、いずれの第2荷重ベクトルF2の絶対値よりも小さくなる。なお、
図4(B)中では、荷重ベクトルの先端の矢印は見え難いが、中心軸30に向いている。
 
【0041】
  第1ロータユニット100Aと第2ロータユニット200Aとが異なる大きさの動力の2つのロータユニットである場合を想定する。この場合に、第1ロータユニット100Aの荷重ベクトルに対応する荷重と第2ロータユニット200Aの荷重ベクトルに対応する荷重とが180°異なる向き(すなわち逆向き)になるように、荷重がかかっていても良い。そうすることで、一方の荷重ベクトルに対応する荷重と他方の荷重ベクトルに対応する荷重とが一部で打ち消し合い、中心軸30にかかる負荷が低減される。なお、一方の荷重ベクトルに対して、他方の荷重ベクトルが120°よりも大きく240°よりも小さく異なる向きになるように、荷重がかかっていても同様な効果が望める。この場合にも、一方の荷重ベクトルに対応する荷重と他方の荷重ベクトルに対応する荷重とが一部で打ち消し合い、中心軸30にかかる負荷が低減される。
 
【0042】
  図5(A)は、図中の左に平衡型ベーンモータを配置して、図中の右に平衡型ベーンポンプを配置した場合において、荷重ベクトルの釣り合い状態を示す概念図である。この
図5(A)の左図では、第2ロータユニット200Aにて、中心軸30が軸受22で支持されており、その中心軸30に対して第2ロータユニット200Aのロータ20の負荷がかかっている状態を示す。
 
【0043】
  第2ロータユニット200Aの荷重ベクトルFに対応する荷重は、2つの軸受22の間の距離の丁度真ん中にかかる。図中の1という寸法は、第2ロータユニット200Aから一方の軸受22までの距離であると共に、第2ロータユニット200Aから他方の軸受22までの距離である。また、平衡型の第2ロータユニット200Aの場合には、中心軸30に対して荷重ベクトルFに対応する荷重の釣り合いが取れているので、一方向に荷重ベクトルFに対応する荷重がかかると、一方向とは逆方向(他方向)に同一の大きさの荷重ベクトルFに対応する荷重がかかることになる。
 
【0044】
  そのために、上からの荷重ベクトルFに対応する荷重と下からの荷重ベクトルFに対応する荷重とが打ち消し合い、中心軸30に荷重ベクトルFに対応する荷重が大きく作用することはなく、中心軸30の寿命が低下する可能性は小さい。また、中心軸30にかかる負荷が0[kgf]であることから、軸受22にかかる負荷R1と負荷R2も0[kgf]である。
 
【0045】
  次に
図5(A)の右図では、第1ロータユニット100Aにて、中心軸30が軸受22で支持されており、その中心軸30に対して第1ロータユニット100Aのロータ20の負荷がかかっている状態を示す。
 
【0046】
  第1ロータユニット100Aの荷重ベクトルFに対応する荷重は、2つの軸受22の間の距離の真ん中にかかる。図中の1という寸法は、第1ロータユニット100Aから一方の軸受22までの距離であると共に、第1ロータユニット100Aから他方の軸受22までの距離であることを示している。また、平衡型の第1ロータユニット100Aの場合には、中心軸30に対して荷重ベクトルFに対応する荷重の釣り合いが取れているので、一方向に荷重ベクトルFに対応する荷重がかかると、一方向とは逆方向(他方向)に同一大きさの荷重ベクトルFに対応する荷重がかかることになる。
 
【0047】
  そのために、上からの荷重ベクトルFに対応する荷重と下からの荷重ベクトルFに対応する荷重とが打ち消し合い、中心軸30に荷重ベクトルFに対応する荷重が大きく作用することはなく、中心軸30の寿命が低下する可能性は小さい。また、中心軸30にかかる負荷が0[kgf]であることから、軸受22にかかる負荷R1と負荷R2も0[kgf]である。
 
【0048】
  図5(B)は、図中の左に非平衡型ベーンモータを配置して、図中の右に非平衡型ベーンポンプを配置した場合において、荷重ベクトルの釣り合い状態を示す概念図である。この
図5(B)の左図では、第2ロータユニット200Aにて、中心軸30に対してかかる荷重ベクトルFに対応する荷重が釣り合っていないので、上から下へと荷重ベクトルFに対応する荷重がかかるものの、下から上へと荷重ベクトルFに対応する荷重がかかっていない。
 
【0049】
  第2ロータユニット200Aの荷重ベクトルFに対応する荷重は、2つの軸受22の間の距離の丁度真ん中にかかる。図中の1という寸法は、第2ロータユニット200Aから一方の軸受22までの距離であると共に、第2ロータユニット200Aから他方の軸受22までの距離である。また、非平衡型の第2ロータユニット200Aの場合には、中心軸30に対して荷重ベクトルFに対応する荷重の釣り合いが取れていないので、一方向に荷重ベクトルFに対応する荷重がかかると、軸受22にて一方向とは逆方向(他方口)に半分のF/2に対応する荷重がかかる。すなわち、荷重ベクトルFに対応する荷重が一方向へとかかっていることから、2つの軸受22がその負荷を受けて、一つの軸受22の負荷がF/2[kgf]となる。
 
【0050】
  こういったことから、中心軸30に荷重ベクトルFに対応する荷重が大きく作用し、中心軸30の寿命が低下する可能性が高い。
 
【0051】
  次に
図5(B)の右図では、第1ロータユニット100Aにて、中心軸30に対してかかる荷重ベクトルFに対応する荷重が釣り合っていないので、上から下へと荷重ベクトルFに対応する荷重がかかるものの、下から上へと荷重ベクトルFに対応する荷重がかかっていない。また、荷重ベクトルFに対応する荷重が一方向へとかかっていることから、2つの軸受22がその負荷を受けて、一つの軸受22の負荷がF/2[kgf]となる。
 
【0052】
  第2ロータユニット200Aの荷重ベクトルFに対応する荷重は、2つの軸受22の間の距離の丁度真ん中にかかる。図中の1という寸法は、第2ロータユニット200Aから一方の軸受22までの距離であると共に、第2ロータユニット200Aから他方の軸受22までの距離である。また、非平衡型の第2ロータユニット200Aの場合には、中心軸30に対して荷重ベクトルFに対応する荷重の釣り合いが取れないので、一方向に荷重ベクトルFに対応する荷重がかかると、軸受22にて一方向とは逆方向(他方口)に半分のF/2に対応する荷重がかかる。すなわち、荷重ベクトルFに対応する荷重が一方向へとかかっていることから、2つの軸受22がその負荷を受けて、一つの軸受22の付加がF/2[kgf]となる。
 
【0053】
  従って、左側の第2ロータユニット200Aと右側の第1ロータユニット100Aとで、両方とも上から下へと荷重ベクトルFに対応する荷重がかかっており、そのために、中心軸30には、2つの荷重ベクトルFに対応する荷重が同一方向に作用してしまい、中心軸30の寿命が低下する可能性が高い。
 
【0054】
  図5(C)は、本実施形態にかかるポンプモータ300の構成を用いた場合において、荷重の状態を示す概念図である。
図5(C)に示されるように、左側の非平衡型の第2ロータユニット200Aでは、中心軸30に対して上向きの第2荷重ベクトルF2に対応する荷重が負荷され、右側の平行型の第1ロータユニット100Aでは、中心軸30に対して下向きの第1荷重ベクトルF1に対応する荷重が負荷される。
 
【0055】
  図中の1という寸法は、一方の軸受22から第2ロータユニット200Aまでの距離であり、第2ロータユニット200Aと第1ロータユニット100Aとの間の距離であり、第1ロータユニット100Aから他方の軸受22までの距離である。この第2荷重ベクトルに対応する荷重と第1荷重ベクトルに対応する荷重は互いに打ち消し合うので、中心軸30にかかる負荷が低減され、中心軸30の寿命が上がることになる。また、軸受にかかる負荷はF/3[kgf]となり、
図5(B)の状態よりも下がる。
 
【0056】
  なお、第1荷重ベクトルF1と第2荷重ベクトルF2とを足し合わせた合計荷重ベクトルの絶対値は、略ゼロになるように構成しても良く、このような構成が望ましい。なお、第1荷重ベクトルF1と第2荷重ベクトルF2は、各々一つずつとして説明してきたが、第1荷重ベクトルF1が複数(少なくとも1以上)、第2荷重ベクトルF2が複数(少なくとも1以上)であっても、同様に、それらの荷重ベクトルを足し合わせた合計荷重ベクトルの絶対値は略ゼロとなるように構成されても良い。
 
【0057】
  第1荷重ベクトルF1と第2荷重ベクトルF2は、回転中心線30Xに直交する方向に分力した分力ベクトルであっても良い。すなわち、
図5(C)に示されるように、第1荷重ベクトルF1と第2荷重ベクトルF2は、中心軸30に対して直交している成分しか考慮しなくても良い。中心軸30に沿う方向の成分も考えられるが、本実施形態では、中心軸30に沿う方向の成分は考慮しない。
 
【0058】
  第1空間91a1〜91a4と連通する第1連通孔91bが設けられる。この第1連通孔91bは、オイル50が第1空間91a1〜91a4へと流入するのをガイドする。第2空間92a1〜92a4と連通する第2連通孔92bが設けられる。この第2連通孔92bは、オイル50が第2空間92a1〜92a4から流出するのをガイドする。
 
【0059】
  第3空間93a1〜93a4と連通する第3連通孔93bが設けられる。この第3連通孔93bは、オイル50が第3空間93a1〜93a4へ流入するのをガイドする。第4空間94a1〜94a4と連通する第4連通孔94bが設けられる。この第4連通孔94bは、オイル50が第4空間94a1〜94a4から流出するのをガイドする。
 
【0060】
  第1ロータユニット100Aと第2ロータユニット200Aとが略同じ大きさの動力を有する場合を想定する。第1ロータユニット100Aに関し、回転中心線30Xに対して偏心中心線10Xが偏心する第1偏心方向L1を想定する(
図3(A)参照)。第2ロータユニット200Aに関し、回転中心線30Xに対して偏心中心線10Xが偏心する第2偏心方向L2(
図3(B)参照)を想定する。この場合に、第1偏心方向L1と第2偏心方向L2は、略同じである。
 
【0061】
(ポンプの動力→オイルの流動力)
  前述してきたポンプモータ300の動作に関して以下に説明する。
図2には中心軸30にキー溝61とキー62が記載される。図示しない電動機にもキー溝が形成されている。キー62がキー溝61と電動機のキー溝に差し込まれて、ポンプモータ300と電動機とが接続され。そして、電動機の動力を受けて第1ロータユニット100Aと第2ロータユニット200Aが駆動するように構成されている。図示しない外部の電動機の駆動力によって、
図3(A)の中心軸30が回転する。このときに、第1ロータユニット100Aでは、オイル50が、第1連通孔91bを通過し、筒体10、ロータ本体20A、および2つのベーン25で囲まれて第1連通孔91bと連通する第1空間91a1、91a2、91a3、91a4に流入する。第1空間91a1、第1空間91a2、第1空間91a3、第1空間91a4の順に空間が大きくなるので、オイル50がその順に進むに従って次第に低圧になる。
 
【0062】
  空間Nを通過する間には、空間Nが第1連通孔91bや第2連通孔92bと連通していないので、オイル50が第1連通孔91bから流入することはない。
 
【0063】
  次に、第2空間92a1、92a2、92a3、92a4は、この順に空間が狭くなり、かつ、第2連通孔92bと連通しているので、オイル50がその順で進むに従って次第に高圧になり、オイル50が第2連通孔92bから流出する。こうして第1ロータユニット100Aの動力がオイル50の流動力に変換される。
 
【0064】
(オイルの流動力→モータの動力)
  この一方で、
図3(A)の第1ロータユニット100Aの中では、オイル50に勢いがついていて流れており、その流れの勢いがついたオイル50が
図3(B)の第2ロータユニット200Aに流れ込む。そして、そのようなオイル50の勢いのある流動力が、今度は第2ロータユニット200Aの中心軸30を回転させる。
 
【0065】
  すなわち、オイル50が第3連通孔93bに到達し、第3空間93a1に流入するため、この第3空間93a1の中は高圧になる。中心軸30が回転すると、第3空間93a1の位置、第3空間93a2の位置、第3空間93a3、第3空間93a4の位置に行くに従って空間が順に大きくなるが、第3空間93a1〜93a4の各々間は、ほぼ同じ高圧である。
 
【0066】
  空間Nを通過する間には、空間Nが第3連通孔93b、第4連通孔94bと連通していないので、オイル50が第3連通孔93bから流入しない。
 
【0067】
  次に、第4空間94a1、94a2、94a3、94a4は、この順に次第に空間が狭くなり、かつ、第4連通孔94bと連通する。第4連通孔94bの出口が略大気圧に設定されている。そのために、オイル50が第4空間94a1、94a2、94a3、94a4の位置を順に進んで第4連通孔94bから流出するときに、第4空間の圧力も低下していく。
 
【0068】
  なお、本実施形態の構成に関しては、この場合には、第2ロータユニット200Aは、第1ロータユニット100Aから生まれたオイル50の流動力を適宜に中心軸30の回転力に変換すると共にその動力を第1ロータユニット100Aに使用するような形態を取ることからハイブリッド型のポンプとして機能する。第1ロータユニット100Aを駆動させるために、第2ロータユニット200Aが使用される。この場合には、第1ロータユニット100Aとして動力が大きいものを使用し、第2ロータユニット200Aとして動力が小さいものを使用することも考えられる。
 
【0069】
(第2実施形態)
  
図6は、ポンプ400を中心軸30の回転中心線30Xに沿って
図2と同様に切った断面図である。
図7(A)は、
図6の矢印X1−X2線で切った1連目の第1ロータユニット100Aの断面図である。
図7(B)は、
図6の矢印X3−X4線で切った2連目の第1ロータユニット100Aの断面図である。
 
【0070】
  第2実施形態に係るポンプ400(ポンプ)は、複数の第1ロータユニット100Aを有する。複数の第1ロータユニット100Aの各々は、筐体100A1の内部で空間Pを介して配置される筒体10を有し、筒体10の内部で区画される空間Qを介して配置されるロータ20と、を有する。ロータ20は、筒体10の内部に配置され、ロータ本体20Aと、ベーン25と、を有する。空間Qは、第1空間91a1〜91a4と、空間Nと、第2空間92a1〜92a4と、を有する。第1空間91a1〜91a4と第2空間92a1〜92a4は、筒体10、ロータ本体20A、および隣接する2枚のベーン25で囲まれて外部と連通する。
図7(A)中で、筐体100A1の内周面と筒体10の外周面との間に空間Pが設けられている。
図7(A)中で、筒体10の内周面とロータ20の外周面との間に空間Qが設けられている。
 
【0071】
  図7(A)に示されるように、回転中心線30Xに対して筒体10の偏心中心線10Xが偏心している。ロータ本体20Aは、複数の凹部21を有する。複数の凹部21は、回転中心線30X周りに回転可能で回転中心線30Xから離間する方向に開口する。
 
【0072】
  ベーン25は、凹部21の各々にて回転中心線30Xに対して接近可能および離間可能に挿入される。
 
【0073】
  第1空間91a1〜91a4は、ロータ20の回転によりロータ20の回転前よりも低圧化する空間である。第2空間92a1〜92a4は、ロータ20の回転によりロータ20の回転前よりも高圧化する空間である。
 
【0074】
(荷重ベクトル)
  複数の第1ロータユニット100Aの各々に生じ、回転中心線30Xを通り、第2空間92a1〜92a4側から第1空間91a1〜91a4側へと向かう荷重ベクトルF1、F2を想定する。この荷重ベクトルF1、F2は、第1ロータユニット100Aの各々が有するロータ20が中心軸30を押圧することによる荷重のベクトルとも言える。本実施形態のポンプ400では、この各々の荷重ベクトルF1、F2を足し合わせた合計荷重ベクトルの絶対値は、各々の荷重ベクトルの絶対値よりも小さい。
 
【0075】
  荷重ベクトルF1、F2は、回転中心線30Xに直交する方向に分力した分力ベクトルであっても良い。
 
【0076】
  また、前述の複数の荷重ベクトルF1、F2を足し合わせた合計荷重ベクトルの絶対値は、略ゼロであるように構成しても良い。
 
【0077】
  第1連通孔91bは、第1空間91a1〜91a4と連通し、オイル50が第1空間91a1〜91a4へと流入するのをガイドする。第2連通孔92bは、第2空間92a1〜92a4と連通し、オイル50が第2空間92a1〜92a4から流出するのをガイドする。
 
【0078】
  複数の第1ロータユニット100Aが略同じ大きさの動力の2つの第1ロータユニット100Aである場合を想定する。この場合に、2つの第1ロータユニット100Aの各々に関し、回転中心線30Xを通ると共に第2空間92a1〜92a4側から第1空間91a1〜91a4側へと向かう荷重ベクトルFは、各々回転中心線30Xを中心として180°異なるという構成であっても良い。この場合に、荷重ベクトル同士が互いに逆方向から向かい合い、打ち消し合う。
 
【0079】
  複数の第1ロータユニット100Aが異なる大きさの動力の2つの第1ロータユニット100Aである場合を想定する。この場合に、2つの第1ロータユニット100Aのうちの一方の荷重ベクトルに対応する荷重と他方の荷重ベクトルに対応する荷重とが180°異なる向き(すなわち逆向き)になるように、荷重がかかっていても良い。そうすることで、一方の荷重ベクトルに対応する荷重と他方の荷重ベクトルに対応する荷重とが一部で打ち消し合い、中心軸30にかかる負荷が低減される。なお、一方の荷重ベクトルに対して、他方の荷重ベクトルが120°よりも大きく240°よりも小さく異なる向きになるように、荷重がかかっていても同様な効果が望める。この場合にも、一方の荷重ベクトルに対応する荷重と他方の荷重ベクトルに対応する荷重とが一部で打ち消し合い、中心軸30にかかる負荷が低減される。
 
【0080】
  複数の第1ロータユニット100Aが略同じ大きさの動力の3つの第1ロータユニット100Aである場合を想定する。この場合に、3つの第1ロータユニット100Aの各々に関し、回転中心線30Xを通ると共に第2空間92a1〜92a4側から第1空間91a1〜91a4側へと向かう荷重ベクトルFは、各々回転中心線30Xを中心として120°異なる(
図5(D)参照)という構成であっても良い。この場合に、荷重ベクトル同士が互いに逆方向から向かい合い、打ち消し合う。
 
【0081】
  複数の第1ロータユニット100Aが異なる大きさの動力の3つの第1ロータユニット100Aである場合を想定する。この場合に、3つの第1ロータユニット100Aのうちの一つにおける荷重ベクトルと3つの第1ロータユニット100Aのうちの他の二つにおける荷重ベクトルの合計ベクトルとが180°異なっていることが望ましい。そうすることで、一つにおける荷重ベクトルに対応する荷重と他の二つにおける荷重ベクトルの合計ベクトルに対応する荷重とが一部で打ち消し合い、中心軸30にかかる負荷が低減される。なお、一つにおける荷重ベクトルに対して、他の二つにおける荷重ベクトルの合計ベクトルが120°よりも大きく240°よりも小さく異なる向きになるように、荷重がかかっていても同様な効果が望める。この場合にも、一つの荷重ベクトルに対応する荷重と他の二つの荷重ベクトルの合計ベクトルに対応する荷重とが一部で打ち消し合い、中心軸30にかかる負荷が低減される。
 
【0082】
(第3実施形態)
  
図8は、モータ500を中心軸30の回転中心線30Xに沿って
図2と同様に切った断面図である。
図9(A)は、
図8の矢印X1−X2線で切った1連目の第2ロータユニット200Aの断面図である。
図9(B)は、
図8の矢印X3−X4線で切った2連目の第2ロータユニット200Aの断面図である。
 
【0083】
  第3実施形態に係るモータ500(モータ)は、複数の第2ロータユニット200Aを有する。複数の第2ロータユニット200Aの各々は、筐体100A1の内部で空間Pを介して配置される筒体10を有し、筒体10の内部で区画される空間Qを介して配置されるロータ20と、を有する。ロータ20は、筒体10の内部に配置され、ロータ本体20Aと、ベーン25と、を有する。空間Qは、第3空間93a1〜93a4と、空間Nと、第4空間94a1〜94a4と、を有する。第3空間93a1〜93a4と第4空間94a1〜94a4は、筒体10、ロータ本体20A、および隣接する2枚のベーン25で囲まれて外部と連通する。
図9(A)中で、筐体100A1の内周面と筒体10の外周面との間に空間Pが設けられている。
図9(A)中で、筒体10の内周面とロータ20の外周面との間に空間Qが設けられている。
 
【0084】
  図9(A)に示されるように、回転中心線30Xに対して筒体10の偏心中心線10Xが偏心している。ロータ本体20Aは、複数の凹部21を有する。複数の凹部21は、回転中心線30X周りに回転可能で回転中心線30Xから離間する方向に開口する。
 
【0085】
  ベーン25は、凹部21の各々にて回転中心線30Xに対して接近可能および離間可能に挿入される。
 
【0086】
  第3空間93a1〜93a4は、高圧なオイル50の流入により高圧になっている空間である。第4空間94a1〜94a4は、オイル50が流出していく低圧な空間である。
 
【0087】
(荷重ベクトル)
  複数の第2ロータユニット200Aの各々に生じ、回転中心線30Xを通り、第3空間93a1〜93a4側から第4空間94a1〜94a4側へと向かう荷重ベクトルF1、F2を想定する。この荷重ベクトルF1、F2は、第2ロータユニット200Aの各々が有するロータ20が中心軸30を押圧することによる荷重のベクトルとも言える。本実施形態のモータ500では、各々の荷重ベクトルF1、F2を足し合わせた合計荷重ベクトルの絶対値は、各々の荷重ベクトルF1、F2の絶対値よりも小さい。
 
【0088】
  荷重ベクトルF1、F2は、回転中心線30Xに直交する方向に分力した分力ベクトルであっても良い。
 
【0089】
  また、前述の複数の荷重ベクトルF1、F2を足し合わせた合計荷重ベクトルの絶対値は、略ゼロであるように構成しても良い。
 
【0090】
  第3連通孔93bは、第3空間93a1〜93a4と連通し、オイル50が第3空間93a1〜93a4へと流入するのをガイドする。第4連通孔94bは、第4空間94a1〜94a4と連通し、オイル50が第4空間94a1〜94a4から流出するのをガイドする。
 
【0091】
  複数の第2ロータユニット200Aが略同じ大きさの動力の2つの第2ロータユニット200Aである場合を想定する。この場合に、2つの第2ロータユニット200Aの各々に関し、回転中心線30Xを通ると共に第3空間93a1〜93a4側から第4空間94a1〜94a4側へと向かう荷重ベクトルFは、各々回転中心線30Xを中心として180°異なるという構成であっても良い。この場合に、荷重ベクトル同士が互いに逆方向から向かい合い、打ち消し合う。
 
【0092】
  複数の第2ロータユニット200Aが異なる大きさの動力の2つの第2ロータユニット200Aである場合を想定する。この場合に、2つの第2ロータユニット200Aのうちの一方の荷重ベクトルに対応する荷重と他方の荷重ベクトルに対応する荷重とが180°異なる向き(すなわち逆向き)になるように、荷重がかかっていても良い。そうすることで、一方の荷重ベクトルに対応する荷重と他方の荷重ベクトルに対応する荷重とが一部で打ち消し合い、中心軸30にかかる負荷が低減される。なお、一方の荷重ベクトルに対して、他方の荷重ベクトルが120°よりも大きく240°よりも小さく異なる向きになるように、荷重がかかっていても同様な効果が望める。この場合にも、一方の荷重ベクトルに対応する荷重と他方の荷重ベクトルに対応する荷重とが一部で打ち消し合い、中心軸30にかかる負荷が低減される。
 
【0093】
  複数の第2ロータユニット200Aが略同じ大きさの動力の3つの第2ロータユニット200Aである場合を想定する。この場合に、3つの第2ロータユニット200Aの各々に関し、回転中心線30Xを通ると共に第3空間93a1〜93a4側から第4空間94a1〜94a4側へと向かう荷重ベクトルFは、各々回転中心線30Xを中心として120°異なる(
図5(D)参照)という構成であっても良い。この場合に、荷重ベクトル同士が互いに逆方向から向かい合い、打ち消し合う。
 
【0094】
  複数の第2ロータユニット200Aが異なる大きさの動力の3つの第2ロータユニット200Aである場合を想定する。この場合に、3つの第2ロータユニット200Aのうちの一つにおける荷重ベクトルと3つの第2ロータユニット200Aのうちの他の二つにおける荷重ベクトルの合計ベクトルとが180°異なっていることが望ましい。そうすることで、一つにおける荷重ベクトルに対応する荷重と他の二つにおける荷重ベクトルの合計ベクトルに対応する荷重とが一部で打ち消し合い、中心軸30にかかる負荷が低減される。なお、一つにおける荷重ベクトルに対して、他の二つにおける荷重ベクトルの合計ベクトルが120°よりも大きく240°よりも小さく異なる向きになるように、荷重がかかっていても同様な効果が望める。この場合にも、一つの荷重ベクトルに対応する荷重と他の二つの荷重ベクトルの合計ベクトルに対応する荷重とが一部で打ち消し合い、中心軸30にかかる負荷が低減される。
 
【0095】
  第1実施形態乃至第3実施形態のいずれかの構成によれば、複数のロータユニット100、200のロータ20を一体的に回転させる中心軸30に関し、その中心軸30にかかる荷重ベクトルが低減する。