【課題】本発明は、代行販売可能な資産の管理に際し、手間、特には仕入計上にかかる手間を軽減することができる資産管理データ作成装置、資産管理データ作成方法、及び資産管理データ作成プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る資産管理データ作成装置は、代行販売可能な資産に関する資産管理データを作成するための資産管理データ作成装置である。この資産管理データ作成装置の制御部は、売上に係る資産が、資産に関する資産情報と当該資産の在庫数量に関する在庫数量情報とが互いに関連付けられている在庫データに登録されているかどうかを判別し、判別の結果、売上に係る資産が在庫データに登録されている場合に、当該売上に係る資産の売上データと、在庫データに含まれる資産情報とに基づき、資産管理データの一つとして、売上に係る資産の仕入データを作成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来技術は、仕入計上のタイミングを、全ての商品が販売されることを前提に、納入時点から代金決済完了時点にずらす技術であるため、全てが販売されるか定かでない商品の管理には不向きである。
【0005】
ここで、全てが販売されるか定かでない商品としては、販売委託品を挙げることができる。販売委託品とは、他社(委託元)から自社で借り受けて商談に供される商品、又は、委託元(他社)からの委託を受けて商談に供する商品(受託品)である。そして、商談が成立した場合には仕入計上を行い、一方で、商談が成立しなかった場合や委託期間が満了した場合等には商品は委託元に返品される。このような商品は、一般に、貴金属の加工品等の高級品や、腕時計及び宝飾品等の希少品であり、商談を行う事業者の商品を見極める能力やブランド力などによって販売数量が左右される。しかしながら、商談を行う事業者にとっては、商談に供する商品は、一の会社からの委託を受けた商品に限られることはなく、別の会社から委託を受けた商品や自社の商品も含まれる。
【0006】
したがって、取り扱う商品に販売委託品が含まれていても、商品の管理を行うことができることが求められていた。しかしながら、そのような商品は、委託先にとっては他社の商品であることから、通常は、販売委託品である旨を内部で管理するにとどまっており、商談が成立した後、改めて計上に必要な手続きを手作業で行っていた。このように、他社の商品を扱うための手間がかかるという課題がある。なお、このような問題は、販売委託品に限らず、代行販売可能な資産を扱う際に同様に生じる。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、代行販売可能な資産の管理に際し、手間、特には仕入計上にかかる手間を軽減することができる資産管理データ作成装置、資産管理データ作成方法、及び資産管理データ作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る資産管理データ作成装置は、代行販売可能な資産に関する資産管理データを作成するための、制御部を備えた資産管理データ作成装置であって、前記制御部は、売上に係る資産が、資産に関する資産情報と当該資産の在庫数量に関する在庫数量情報とが互いに関連付けられている在庫データに登録されているかどうかを判別する在庫判別手段と、前記在庫判別手段での判別の結果、前記売上に係る資産が前記在庫データに登録されている場合に、当該売上に係る資産の売上データと、前記在庫データに含まれる前記資産情報とに基づき、前記資産管理データの一つとして、前記売上に係る資産の仕入データを作成する仕入データ作成手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る資産管理データ作成装置は、前記在庫データが、前記資産情報として、前記資産を特定するための資産特定情報と、前記資産を管理するための資産管理情報とを含み、かつ、前記在庫判別手段が、前記資産特定情報及び前記資産管理情報に基づいて、前記売上に係る資産が前記在庫データに登録されているかどうかを判別することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る資産管理データ作成装置は、前記資産情報が、前記資産の単価に関する単価情報を含み、前記仕入データ作成手段が、前記売上に係る資産の仕入データとして、前記在庫データに含まれる前記資産情報及び前記単価情報を含む仕入データを作成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る資産管理データ作成装置は、前記制御部が、前記仕入データ作成手段で作成された仕入データに対応する在庫データを前記資産管理データの一つとして作成する在庫データ作成手段をさらに含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る資産管理データ作成装置は、前記在庫データ作成手段が、前記仕入データ作成手段で仕入データが作成されるたびに前記在庫データに含まれる在庫数量情報を更新する更新手段をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る資産管理データ作成装置は、前記在庫データが、資産を管理すべき場所又は所属に関する情報をさらに含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る資産管理データ作成方法は、制御部を備えた情報処理装置において実行される、代行販売可能な資産に関する資産管理データを作成するための資産管理データ作成方法であって、前記制御部において実行される、売上に係る資産が、資産に関する資産情報と当該資産の在庫数量に関する在庫数量情報とが互いに関連付けられている在庫データに登録されているかどうかを判別する在庫判別ステップと、前記在庫判別ステップでの判別の結果、前記売上に係る資産が前記在庫データに登録されている場合に、当該売上に係る資産の売上データと、前記在庫データに含まれる前記資産情報とに基づき、前記資産管理データの一つとして、前記売上に係る資産の仕入データを作成する仕入データ作成ステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る資産管理データ作成プログラムは、制御部を備えた情報処理装置において実行させるための、代行販売可能な資産に関する資産管理データを作成するための資産管理データ作成プログラムであって、前記制御部において実行させるための、売上に係る資産が、資産に関する資産情報と当該資産の在庫数量に関する在庫数量情報とが互いに関連付けられている在庫データに登録されているかどうかを判別する在庫判別ステップと、前記在庫判別ステップでの判別の結果、前記売上に係る資産が前記在庫データに登録されている場合に、当該売上に係る資産の売上データと、前記在庫データに含まれる前記資産情報とに基づき、前記資産管理データの一つとして、前記売上に係る資産の仕入データを作成する仕入データ作成ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、代行販売可能な資産の管理に際し、手間、特には仕入計上にかかる手間を軽減することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0019】
[1.構成]
本実施形態に係る資産管理データ作成装置を含む資産管理データ作成システムの構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、資産管理データ作成装置を含む資産管理データ作成システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
図1に示す資産管理データ作成システム1000は、情報処理装置としての資産管理データ作成装置100と、サーバ200と、資産管理データ作成装置100及びサーバ200を通信可能に接続するネットワーク300とを含んでいる。
【0021】
資産管理データ作成装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータであり、代行販売可能な資産に関する資産管理データを作成するための情報処理装置である。この資産管理データ作成装置100は、例えば、事業者において在庫管理を行う部署(例えば倉庫を管理する部門)又は販売管理を行う部署(例えば商談を行う外商部門)に1台設置されている。なお、資産管理データ作成装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。また、資産管理データ作成装置100は、資産管理データ作成システム1000内において複数台設置されていてもよい。
【0022】
資産管理データ作成装置100は、制御部102と、通信インターフェース部104と、記憶部106と、入出力インターフェース部108とを備えている。資産管理データ作成装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0023】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、資産管理データ作成装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、資産管理データ作成装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。したがって、通信インターフェース部104は、他の部署(例えば外商部門)に備え付けの情報処理装置からの入力情報、代行販売を委託した委託元又は顧客からの入力情報等を、ネットワーク300又はネットワーク300及びサーバ200を介して受け付けることが可能に構成されているとともに、所定の情報処理装置や、委託元や顧客に対して所定の情報を出力することが可能に構成されている。
【0024】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラム(本発明のプログラムを含む)が記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。また、この記憶部106には、本発明のプログラムを実施するために用いられる各種のデータが書き出し/読み出し可能に格納されている。
【0025】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
【0026】
制御部102は、資産管理データ作成装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0027】
さらに
図1を参照しながら、記憶部106及び制御部102の構成について詳述する。
【0028】
記憶部106は、
図1に示されるように、在庫データ記憶領域106aと、売上データ記憶領域106bと、資産管理データ記憶領域106cとを含む。
【0029】
在庫データ記憶領域106aは、在庫データを記憶するための領域であり、必要に応じて出力可能に在庫データを保持する。在庫データでは、資産に関する資産情報と、当該資産の在庫数量に関する在庫数量情報とが互いに関連付けられている。好ましくは、在庫データは、資産情報として、資産を特定するための資産特定情報と、資産を管理するための資産管理情報とをさらに含む。また、好ましくは、在庫データは、資産情報として、資産の単価に関する単価情報をさらに含む。また、好ましくは、在庫データは、資産を管理すべき場所又は所属に関する情報(例えば、倉庫情報、倉庫管理部門情報)をさらに含む。在庫データは、資産管理データ作成装置100によって作成されたものであってもよいし、他の記憶媒体から読み出したものであってもよい。
【0030】
売上データ記憶領域106bは、資産の売上に関する売上データを記憶するための領域であり、必要に応じて出力可能に売上データを保持する。売上データは、資産管理データ作成装置100によって作成されたものであってもよいし、他の記憶媒体から読み出したものであってもよい。
【0031】
資産管理データ記憶領域106cは、代行販売可能な資産に関する資産管理データを記憶するための領域であり、必要に応じて出力可能に資産管理データを保持する。資産管理データは、少なくとも後述する仕入データを含み、さらに仕入データに対応する在庫データを含んでもよい。資産管理データは、資産管理データ作成装置100によって作成される。なお、在庫データ記憶領域106a及び資産管理データ記憶領域106cは、互いに統合されていてもよい。
【0032】
制御部102は、
図1に示されるように、複数のモジュールを備えている。
図1に示す例では、制御部102は、在庫データ作成部102aと、在庫判別部102bと、仕入データ作成部102cと、更新部102dとを備えている。
【0033】
在庫データ作成部102aは、仕入データに対応する在庫データを資産管理データの一つとして作成する在庫データ作成手段として機能するモジュールである。また、この在庫データ作成部102aは、仕入データに対応する在庫データだけでなく、取り扱う資産に関する在庫データを作成するモジュールであってもよい。
【0034】
在庫判別部102bは、売上に係る資産が、在庫データに登録されているかどうかを判別する在庫判別手段として機能するモジュールであり、好ましくは、資産特定情報及び資産管理情報に基づいて、売上に係る資産が在庫データに登録されているかどうかを判別するモジュールである。
【0035】
仕入データ作成部102cは、売上に係る資産の売上データと、在庫データに含まれる資産情報とに基づき、資産管理データの一つとして、売上に係る資産の仕入データを作成する仕入データ作成手段として機能するモジュールである。仕入データ作成部102cは、在庫判別部102bでの判別の結果、売上に係る資産が在庫データに登録されている場合に、仕入データを作成する。更新部102dは、仕入データ作成部102cで仕入データが作成されるたびに在庫データに含まれる在庫数量情報を更新する更新手段として機能するモジュールである。更新部102dは、在庫データ作成部102aに包含されていてもよい。
【0036】
[2.処理]
次に、
図1に示す資産管理データ作成システム1000において実行される資産管理データ作成方法を例示的に説明する。
【0037】
図2は、
図1の資産管理データ作成システム1000において、資産管理データ作成装置100が実行する資産管理データ作成方法の処理手順を示すフローチャートである。この
図2に示す処理は、概略的には、代行販売可能な資産を含む資産を管理するに際し、そのような資産に関する資産管理データとして、仕入データ及び在庫データを作成するというものであり、本処理の大部分は、資産管理データ作成装置100の制御部102において実行される。以下では、主として、他社からの受託品を受け入れ、一部の商品につき商談が成立して仕入計上を行うまでを例に挙げて説明する。
【0038】
図2において、まず、ステップS201では、受け入れた受託品につき、その在庫データを作成する。本実施形態では、在庫データとして、移動データと現在庫データとが作成される。移動データとは、在庫データに対する商品の移動(入庫、店舗間移動、又は出庫若しくは返却)を管理するためのデータである。現在庫データとは、商品の現在の在庫数量に関する在庫数量データを含むデータであり、本実施形態では、現在庫データは移動データに基づいて更新されるようになっている。在庫データは、所定の受託品入庫入力画面を介して入力された内容に基づいて作成されてもよいし、予め用意されたデータを読み出し、必要に応じて編集を施すことによって作成されてもよい。
【0039】
図3には、
図2のステップS201で作成される在庫データの一例が模式的に示されており、
図3(a)は、受け入れた受託品の入庫に係る移動データを示し、
図3(b)は、
図3(a)の移動データを反映させた現在庫データを示す。
図3(a)に示されるように、移動データは、商品の移動区分に関する情報と、受託元を示す情報(例えば仕入先情報)と、資産を管理すべき場所又は所属に関する情報(例えば、倉庫情報)と、資産(商品)を特定するための資産特定情報(例えば、商品コード)と、資産(商品)を識別するための資産識別情報(例えば、ロット番号)と、単価に関する単価情報と、数量に関する数量情報とを含む。また、現在庫データは、
図3(b)に示されるように、移動データに含まれる情報を含み、さらに、在庫区分情報として、代行販売可能な資産である旨の情報(受託品である旨の情報)を含む。
【0040】
次に、ステップS202では、在庫データに登録されている受託品につき、移動があったかどうかを判別する。ここにいう「移動」とは、例えば商品の店舗間移動等により、商品を管理すべき場所又は所属が変更になることをいう。ステップS202における受託品の移動があったかどうかの判別は、具体的には、所定の移動入力画面を介して受託品の移動に関する入力がなされたかどうかを判別する。ステップS202の判別の結果、移動がない場合には(ステップS202でNo)、別の商品の入庫を受け付けるべくステップS201の処理に戻る。
【0041】
一方、ステップS202の判別の結果、移動がある場合には(ステップS202でYes)、移動入力画面を介して入力された内容に基づいて受託品の移動に関する移動データを作成し(ステップS203)、作成された移動データに基づき現在庫データを更新する(ステップS204)。
【0042】
図4には、
図2のステップS202の判別の結果、移動がある場合に作成されるデータの一例が模式的に示されており、
図4(a)は、移動対象の受託品の店舗間移動に係る移動データを示し、
図4(b)は、
図3(b)に示した現在庫データに、
図4(a)の移動データを反映させた現在庫データを示す。
図4(a)に示されるように、移動がある場合には、資産を管理すべき場所又は所属が変更になるため、移動データには、移動元に関する情報と、移動先に関する情報が記録される。移動先に関する情報としては、移動元に関する情報に含まれる資産を管理すべき場所又は所属とは異なる場所又は所属が記録される。また、
図4(a)の移動データを現在庫データに反映させることにより、資産を管理すべき場所又は所属の変更が現在庫データの振替(すなわち移動元の受託品の数量が減少し、移動先の受託品の数量が増大すること)によって表現されることになる。
【0043】
次に、ステップS205では、売上入力がなされたかどうかを判別する。売上入力は、所定の売上入力画面を介して行われてもよいし、レジスター(レジ)又はPOS端末等からの売上データを読み出すことによって行われてもよく、例えば商談が成立した場合又は商談後に精算が完了した場合に行われる。
図5には、
図2のステップS205の判別の結果、売上入力がなされた場合に作成される売上データが模式的に示されている。
図5に示されるように、売上データには、資産(商品)を特定するための資産特定情報(商品コード)に加えて、資産(商品)を識別するための資産識別情報(ロット番号)も含まれている。売上入力がなされた場合(ステップS205でYes)、続くステップS206では、売上入力に係る商品が在庫データに登録されている受託品であるかどうかを判別する。ここで、売上入力がなされなかった場合(ステップS205でNo)、及び、売上入力に係る商品が在庫データに登録されている受託品ではない場合(ステップS205でYesかつステップS206でNo)、別の商品の入庫又は移動を受け付けるべくステップS201の処理に戻る。
【0044】
ステップS206の判別の結果、売上入力に係る商品が在庫データに登録されている受託品である場合には、売上入力に係る商品につき、仕入データを作成する(ステップS207)。ここで、売上入力に係る商品が在庫データに登録されている受託品であるかどうかは資産特定情報と資産識別情報を用いることで判別することができる。このステップS207における仕入データの作成は、売上データと現在庫データに基づいて自動的に作成される。
図6には、
図2のステップS207で作成される仕入データの一例が模式的に示されている。
図6に示す仕入データは、
図5に示した売上データに含まれる情報と、在庫データに含まれる情報とに基づいて作成される。このため、仕入データは、単価情報を含むことができる。
【0045】
続いて、ステップS208では、ステップS207で作成された仕入データに基づき、新たな在庫データを作成し、さらに、作成された在庫データに基づき、在庫データを更新する(ステップS209)。ここで作成される新たな在庫データとは、仕入にともない他社の受託品を社内品として扱うための出庫に係る移動データと、仕入にともない他社の受託品を社内品として扱うための現在庫データである。ただし、仕入データに係る受託品は売上データとして計上された商品であるので、在庫データの更新の結果、新たに作成された社内品に係る現在庫データにおける数量はゼロ又はNullである。
【0046】
図7には、
図2のステップS208で作成される在庫データの一例が模式的に示されており、
図7(a)は、
図6に示す仕入データに対応する移動データを示し、
図7(b)は、
図4(b)に示した現在庫データに、
図7(a)の移動データを反映させた現在庫データを示す。
図7(a)に示されるように、売上に係る商品については、在庫からは出庫扱いとなるため、仕入データに対応する移動データが作成される。また、
図7(b)に示されるように、売上に係る商品については、受託品としての現在庫であったものが社内品としての現在庫に振替えられ、さらに、売上対象であるため、現在庫データにおける在庫数量情報が示す数値は出庫扱いの移動データを反映させた結果ゼロ又はNullとなる。
【0047】
上述したようにして、
図2に示した処理を完了する。
【0048】
以上詳細に説明したように、
図2に示す資産管理データ作成方法の処理によれば、売上に係る資産(代行販売可能な資産としての受託品)が、在庫データに登録されているかどうかを判別し(ステップS206)、判別の結果、売上に係る資産が在庫データに登録されている場合に(ステップS206でYes)、当該売上に係る資産の売上データと、在庫データに含まれる前記資産情報とに基づき、売上に係る資産の仕入データが自動的に作成される。これにより、ユーザは、代行販売可能な資産の管理に際し、手間、特には仕入計上にかかる手間を軽減することができる。さらには、仕入データが自動的に作成されるので、誤計上等のミスを防止することもできる。また、仕入データを用いて代行販売可能な資産を管理することができる。さらに、売上計上と仕入計上につき二重に伝票を作成する等の手間を省くことができる。
【0049】
また、
図2に示した処理によれば、在庫データが、資産情報として、資産を特定するための資産特定情報と、資産を管理するための資産管理情報とを含んでいるので、ステップS207における売上に係る資産が在庫データに登録されているかどうかの判別を容易に実現することができる。具体的には、ユーザは、在庫データに特別な識別情報(例えば受託品である旨のフラグ)を設定する手間を省くことができる。特に、代行販売可能な資産が貴金属の加工品等の高級品や、腕時計及び宝飾品等の希少品であり、種類が少ない場合には好適である。一方で、種類が多い場合には受託品である旨のフラグを設定してもよい。また、
図2に示した処理によれば、在庫データに含まれる資産情報が資産の単価に関する単価情報を含んでいるので、単価情報を含む仕入データが自動的に作成される。これにより、仕入計上にかかる手間をさらに軽減することができる。
【0050】
また、
図2に示した処理によれば、仕入データだけでなく、当該仕入データに対応する在庫データも自動的に作成される(ステップS208)。これにより、ユーザは、在庫データを用いて代行販売可能な資産を管理することができ、もって、在庫管理にかかる手間も軽減することができる。
【0051】
また、
図2に示した処理によれば、仕入データが作成されるたびに在庫データに含まれる在庫数量情報が更新されるので(ステップS209)、在庫管理にかかる手間を大幅に軽減することができる。さらに、在庫データが、資産を管理すべき場所又は所属に関する情報をさらに含んでいるので、代行販売可能な資産を管理すべき場所又は所属が変わっても容易に追跡することができ、もって、在庫管理にかかる手間を軽減することができる。
【0052】
なお、
図2に示す処理において、受託品が委託元に返却される場合には、ステップS202〜S203において返却若しくは出庫の旨の移動データを作成してステップS204で在庫データを更新してもよいし、ステップS205〜S207でマイナスの売上入力に係る仕入データを作成してステップS208〜S209で在庫データを更新してもよいし、在庫データから単に除外又は削除する処理を行ってもよい。
【0053】
また、上述した実施形態では、受託品が在庫データに登録されているかどうかを判別しているので(ステップS206)、ステップS201で作成される在庫データには、代行販売可能な資産以外の在庫のデータが含まれていてもよい。
【0054】
なお、上述した実施形態では、
図5に示したように売上データに対応する受託品が1種類の場合について説明したが、売上データに対応する受託品が複数種類である場合には、上述した処理を受託品の種類ごとに行ってもよいし、各種類の受託品に係る処理を並行して行ってもよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、売上データに対応する仕入データを作成する例について説明したが、仕入データに代えて、委託元に対する債務に関するデータを作成してもよい。すなわち、仕入データが含む情報は上述の例に限られることはなく債務に関する情報であればよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、代行販売可能な資産として商品を扱う場合について説明したが、不動産等の資産を扱う場合にも同様に説明される。
【0057】
[3.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0058】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0059】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0060】
また、資産管理データ作成装置100及び資産管理データ作成システム1000に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0061】
例えば、資産管理データ作成装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて資産管理データ作成装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0062】
また、このコンピュータプログラムは、資産管理データ作成装置100に対して任意のネットワーク(例えばネットワーク300)を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0063】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本明細書で説明した処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
【0064】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0065】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0066】
また、資産管理データ作成装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、資産管理データ作成装置100は、当該装置に本明細書で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0067】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。