【解決手段】本実施形態では、選択された伝票区分識別情報と、選択された伝票区分識別情報に対応する受注確度と紐づく売上予定データ中の案件識別情報および売上予定金額と、前記紐づく案件識別情報と紐づく見積データ中の費目識別情報および費目別見積金額と、が記載された仕訳を作成する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る仕訳作成装置、仕訳作成方法および仕訳作成プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
[1.概要]
IT(Information Technology)業界、人材派遣業界等において、従来の販売システムでは、案件の売上結果の実績ベースに基づく収益認識しかできなかった。
【0014】
ここで、例えば、受注した案件をSES(システムエンジニアリングサービス)等の業務委託契約により外注している企業においては、引合・見積の時点で売上予定データを作成したいという要望があった。
【0015】
そこで、本実施形態においては、例えば、各案件に関する引合・見積情報を元に、仮伝票として仕訳データの作成を行うことで、損益計算書上で損益の着地予想を行うことを可能とした。
【0016】
また、本実施形態においては、例えば、前記仮伝票を作成する際に、各案件に関する引合・見積情報に対して受注確度のランクを付与することで、受注確度別の仕訳データを作成し、損益の着地予想を行うことを可能とした。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0017】
[2.構成]
本実施形態に係る仕訳作成装置100の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、仕訳作成装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
仕訳作成装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、仕訳作成装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0019】
仕訳作成装置100は、
図1に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。仕訳作成装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0020】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、仕訳作成装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、仕訳作成装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する記憶部106に格納されるデータは、サーバ200に格納されてもよい。
【0021】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114を、表示部としてのモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0022】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0023】
記憶部106は、売上予定データとしての案件情報データ106aと、見積データとしての見積原価データ106bと、伝票区分マスタとしての伝票区分紐付けマスタ106cと、仮伝票データ106dと、を備えている。これらのうち、仮伝票データ106dは、仕訳作成部102aによって作成されるデータであるため、記憶部106に含まれていても含まれていなくてもよい。
【0024】
以下、案件情報データ106a、見積原価データ106bおよび伝票区分紐付けマスタ106cが含む各項目について、
図3を用いて説明するが、各項目の後ろに示すかっこ内の表記は、各項目の具体例のことであり、
図3においては、この具体例を示している。例えば、売上予定金額(受注金額)と記載した場合には、売上予定金額の具体例として、受注金額があげられることを意味する。
【0025】
なお、以下の説明においては、依頼元から、案件A〜Dを受注したある会社が、案件Aを他会社に外注する場面を想定している。
【0026】
案件情報データ106aは、例えば、依頼元から受注した案件に関する情報を記憶する。具体的には、案件情報データ106aは、
図3に示すように、案件識別情報(案件名)、受注確度(確度)および売上予定金額(受注金額)を紐づけて記憶する。案件情報データ106aは、これらの項目に加えて、
図3に示すように、例えば、引合/受注の区分情報、受注月、売上月等の項目を含んでいてもよい。
【0027】
前記受注確度とは、受注の確定の度合いのことであり、前記受注確度が高いほど、受注が確定状態に近いことを意味する。
図3においては、受注確度は、確度A、確度B、確度Cの順に高い。なお、前記受注確度は、確度A〜Cという様なランクでの表現に限定されず、例えば、何%等の具体的な数値での表現であってもよい。前記売上予定金額は、前記案件に対する売上予定金額である。前記引合/受注の区分情報は、前記案件が引合段階にあるのか、または、受注か済んだ段階にあるのかを示す区分である。前記受注月および前記売上月は、それぞれ、前記案件を受注した月および前記案件に対する売上計上がなされる月である。
【0028】
見積原価データ106bは、例えば、依頼元から受注した案件を処理するのにかかる費用の見積を記憶する。具体的には、見積原価データ106bは、
図3に示すように、案件識別情報(案件名)、費目識別情報(費目)および費目別見積金額(金額)を紐づけて記憶する。見積原価データ106bは、これらの項目に加えて、
図3に示すように、計上月等の項目を含んでいてもよい。
【0029】
前記費目識別情報は、前記案件にかかる各費用の種類であり、
図3に示すように、例えば、外注費、経費等がある。前記費目別見積金額は、前記費目識別情報それぞれに対する見積金額である。前記計上月は、前記費目識別情報に対する費用計上がなされる月である。
【0030】
伝票区分紐付けマスタ106cは、
図3に示すように、受注確度(確度)およびこれに対応する伝票区分識別情報を紐づけて記憶する。伝票区分紐付けマスタ106cは、これらの項目に加えて、
図3に示すように、引合/受注の区分情報の項目を含んでいてもよい。前記伝票区分識別情報は、
図3に示すように、伝票区分および伝票区分名の少なくとも一方である。
【0031】
制御部102は、仕訳作成装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0032】
制御部102は、機能概念的に、(1)選択された伝票区分識別情報と、選択された伝票区分識別情報に対応する受注確度と紐づく前記売上予定データ中の案件識別情報および売上予定金額と、前記紐づく案件識別情報と紐づく前記見積データ中の費目識別情報および費目別見積金額と、が記載された仕訳を作成する仕訳作成手段としての仕訳作成部102aと、(2)仕訳置換部102bと、を備えている。これらのうち、仕訳置換部102bは、任意の構成要素であるが、制御部102に含まれることが好ましい。なお、各部が実行する処理の詳細については、以下の[3.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0033】
[3.処理の具体例]
以下、本実施形態に係る処理の具体例について、
図2および
図3を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係る処理フローの一例を示す図である。
図3は、案件情報データ、見積原価データ、伝票区分紐付けマスタおよび仮伝票データの一例を示す図である。
【0034】
本実施形態の概略を、
図2を用いて説明する。まず、
図2に示すように、見積管理、受注管理、売上管理をすることにより、部門別・月別・確度別の案件情報データ106aおよび見積原価データ106bが作成される。また、仮伝票区分(伝票区分識別情報)を複数作成し確度のグレードと連携させた伝票区分紐付けマスタ106cが作成される。そして、伝票区分紐付けマスタ106cにおける仮伝票区分(伝票区分識別情報)の任意選択を行うことにより、各確度グレードの帳票、すなわち、確度A・確度B・確度Cの見込損益計算書を作成することができる。以下、本実施形態の詳細を、
図3を用いて説明する。
【0035】
(仕訳作成処理)
仕訳作成部102aは、選択された伝票区分識別情報が記載された仕訳を作成する。具体的には、
図3においては、前記伝票区分識別情報として、伝票区分「21」が選択されると仮定する。この場合、仕訳作成部102aは、
図3の仮伝票データ106dに示すように、伝票区分の項目に「21」が記載された5つの伝票を作成する。なお、選択される伝票区分識別情報は、伝票区分ではなく、伝票区分名であってもよい。
【0036】
また、仕訳作成部102aは、選択された伝票区分識別情報(伝票区分「21」)に対応する受注確度(確度A)と紐づく案件情報データ106a中の案件識別情報および売上予定金額として、「案件A」および「1,000,000」が記載された仕訳を、
図3の仮伝票データ106dの伝票番号00000005の伝票に示すように作成する。具体的には、
図3の伝票番号00000005の伝票には、伝票摘要の項目に「案件A」が記載され、借方金額および貸方金額の項目に「1,000,000」が記載されている。
【0037】
そして、仕訳作成部102aは、前記紐づく案件識別情報(案件A)と紐づく見積原価データ106b中の費目識別情報および費目別見積金額として、計上月9月の「外注費」および「200,000」、計上月9月の「経費」および「30,000」、計上月10月の「外注費」および「200,000」、計上月10月の「経費」および「30,000」が記載された仕訳を、
図3の仮伝票データ106dの伝票番号00000001〜00000004の伝票に示すように作成する。具体的には、例えば、見積原価データ106b中の計上月9月の外注費に対応する伝票番号00000001の伝票には、借方勘定科目の項目に「外注費」が記載され、借方金額および貸方金額の項目に「200,000」が記載されている。
【0038】
このようにして、仕訳作成部102aは、受注確度Aに関する仕訳を作成することができる。なお、本実施形態に関して、以下の留意点が存在する。
【0039】
まず、本実施形態では、受注確度Aに関する仕訳を作成する場合について説明したが、受注確度Bおよび受注確度Cに関する仕訳も、図示していないが、同様の方法で作成することができる。
【0040】
次に、仕訳作成部102aが、仮伝票データ106d中に含まれる各項目を作成する順序は、本実施形態で説明した、伝票区分識別情報、案件識別情報、売上予定金額、費目識別情報、費目別見積金額という順序に限定されない。
【0041】
そして、仕訳作成部102aが作成する仕訳は、
図3の仮伝票データ106dに示すような、借方勘定科目および貸方勘定科目が記載された伝票形式に限定されず、例えば、
図2に示すような損益計算書の形式等であってもよい。
【0042】
(仕訳置換処理)
仕訳置換部102bは、次回操作で伝票区分識別情報が選択された際に、既存の仮伝票データ106dを履歴テーブルに退避した後に削除し、操作ごとに毎回、最新の仮伝票データ106dに置き換える。これにより、オペレータは、常に、最新の売上予定および最新の見積金額から作成された仕訳を参照することができる。
【0043】
このように、本実施形態に係る仕訳作成装置100によれば、各案件の受注確度別に仕訳を作成し、収益予想をできる。
【0044】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0045】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0046】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0047】
また、仕訳作成装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0048】
例えば、仕訳作成装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて仕訳作成装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0049】
また、このコンピュータプログラムは、仕訳作成装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0050】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム商品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本明細書で説明したような処理又は処理方法を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
【0051】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0052】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0053】
また、仕訳作成装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、仕訳作成装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0054】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。