【解決手段】本発明の通信機1は、電子部品が設けられた回路基板3を有し、警報器と通信するように構成された、室外に設けられる通信機1であって、通信機1が、取付対象体に取付けられる取付面21を有する筐体2と、回路基板3を支持し、取付面21の筐体2内面側となる内面21aに対向して配置される基板支持体とを備え、基板支持体の回路基板3側の面4aと取付面21の内面21aとの間に断熱空間SPを有していることを特徴とする。
前記基板支持体が、前記回路基板と対向する平板状の基部と、前記基部から前記取付面に向かって立設する立設部とを有し、前記基部、前記立設部および前記取付面の内面の間に断熱空間が形成される請求項1記載の通信機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように室外に無線端末などの通信機が設けられる場合、通信機の筐体内外の外的要因によって回路基板に結露が生じて回路基板へ悪影響をもたらすことがある。たとえば、通信機の筐体が、通信機が取り付けられて接触するガスメータ、ガス管、建物の外壁などから冷やされたり、天候などにより通信機の筐体が冷やされることにより、通信機の筐体内部に設けられた回路基板に熱が伝達され、回路基板の温度が低下する場合がある。回路基板の温度が低下すると、通信機の筐体内部の水蒸気を含んだ空気が回路基板と接触して冷やされると、水蒸気を含んだ空気が露点温度以下となり、回路基板に結露が生じてしまう場合がある。回路基板に結露が生じると、回路のショートなど、回路基板に悪影響を及ぼし、通信機の故障の一因となる。
【0006】
そこで、本発明はかかる問題点に鑑みて、ガスメータ、ガス管、建物の外壁など、室外の取付対象体に取り付けられる通信機の筐体内部において、通信機の回路基板が結露することを抑制し、結露による回路基板への影響を低減することを目的とする。特に、本発明は、通信機が接触する取付対象体からの通信機の筐体の取付面からの熱伝導に起因する結露を抑制し、結露による回路基板への影響を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通信機は、電子部品が設けられた回路基板を有し、警報器と通信するように構成された、室外に設けられる通信機であって、前記通信機が、取付対象体に取付けられる取付面を有する筐体と、前記回路基板を支持し、前記取付面の筐体内面側となる内面に対向して配置される基板支持体とを備え、前記基板支持体の前記回路基板側の面と前記取付面の内面との間に断熱空間を有していることを特徴とする。
【0008】
また、前記基板支持体が、前記回路基板と対向する平板状の基部と、前記基部から前記取付面に向かって立設する立設部とを有し、前記基部、前記立設部および前記取付面の内面の間に断熱空間が形成されることが好ましい。
【0009】
また、前記断熱空間が、前記立設部により、前記基部に略平行な方向に複数の小断熱空間に分割されていることが好ましい。
【0010】
また、前記立設部が、第1の方向に延びる第1立設部と、前記第1の方向に略垂直な方向に延びる第2立設部とを備えて格子状に設けられていることが好ましい。
【0011】
また、前記基板支持体が、前記小断熱空間は前記筐体の上端側よりも下端側が大きくなるように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記筐体の正面から前記回路基板までの距離が、前記筐体の取付面の内面から前記回路基板までの距離よりも大きいことが好ましい。
【0013】
また、前記回路基板は、前記回路基板の基板支持体側の面と反対側の面に熱源が設けられていることが好ましい。
【0014】
また、前記取付面の取付対象体側の外面が、前記外面から立設する取付面側立設部を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の通信機によれば、ガスメータ、ガス管、建物の外壁など、室外の取付対象体に取り付けられる通信機の筐体内部において、通信機の回路基板が結露することを抑制し、結露による回路基板への影響を低減することができる。特に、本発明は、通信機が接触する取付対象体からの通信機の筐体の取付面からの熱伝導に起因する結露を抑制し、結露による回路基板への影響を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の通信機を説明する。
【0018】
図1に示されるように、本実施形態の通信機1は室外に設けられ、警報器ALと通信するように構成されている。本実施形態では、通信機1は、警報器ALと通信することにより、警報器ALと連動し、警報器ALが検知した状態(たとえば、ガス漏れや火災などの異常状態など)を他の機器に送信することができる。より具体的には、本実施形態では、通信機1は、ガスメータMと通信可能に構成され、警報器ALから受信した状態に基づいてガスメータMと通信を行い、たとえば、ガス漏れや火災などの異常状態を警報器ALが検知した際に、ガスメータMの弁を閉鎖して、ガスの供給を停止するように構成されている。なお、本実施形態で説明する通信機1の用途はあくまで一例であり、本発明の通信機は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
警報器ALは、家庭の台所など室内に設けられ、室内の異常を検知して警報を行う。また、警報器ALは、たとえば無線などにより、通信機1と通信できるように構成されている。警報器ALの構成は特に限定されないが、たとえば、警報器ALは、検知対象を検知するセンサ部と、センサ部により検知対象が検知されたときに、音や光など所定の警報手段により警報を発生させる警報部と、通信機1と通信するための送受信部とを有している。警報器ALが検知する検知対象は特に限定されず、警報器ALは、たとえば、LPガスセンサ、可燃性ガスセンサ、都市ガスセンサ、COセンサ、火災センサ、温湿度センサを有する警報器とすることができる。警報器ALのセンサ部により異常が検出されると、警報器ALの警報部が警報を生じるとともに、警報器ALの送受信部から通信機1に対して、異常状態を示す信号が送信される。
【0020】
通信機1は、本実施形態では、警報器ALと通信するとともに、室外に設けられたガスメータMとも通信可能に構成されている。なお、本明細書において、「室外」とは、屋外など、家屋やビルなどの建物の居室の外側全般をいい、建物の完全に外側だけでなく、廊下など建物の共用部分や、居室の外側にあり、開閉可能な扉を有するガスメータMなどが収容されるパイプスペースなども含む。
【0021】
通信機1と警報器ALとの間の通信と同様に、通信機1とガスメータMとの間の通信はたとえば無線により行うことができる。本実施形態では、通信機1、警報器ALおよびガスメータMを備えた異常監視システムに用いられており、異常通信システムは、室内の異常状態の警報を行うとともに、異常状態においてガスの供給を停止させるように構成されている。本実施形態では、通信機1は、警報器ALおよびガスメータMとの間で通信を行うための通信部(アンテナ部)と、警報器ALから異常状態を示す信号が通信機1に送信された場合に、ガスメータMに信号を送信するための制御部とを備えている。これにより、警報器ALから異常状態を示す信号が送信された後、通信機1からガスメータMに異常状態を示す信号が送信されることにより、ガスメータMに設けられた、ガスの供給を停止させることが可能な遮断弁が閉鎖されるように構成されている。したがって、たとえば、ガス漏れや火災時などに、警報器ALが異常を検知すると、ガスの供給が停止され、ガス漏れや火災などによる被害の拡大を防ぐことができる。なお、
図1においては、通信機1、警報器ALおよびガスメータMは、それぞれ1つずつ設けられているが、それぞれが複数設けられていても構わない。たとえば、共同住宅など複数のガスメータMや警報器ALを有する場合に、1または複数の通信機1が警報器ALから異常状態を受信し、複数のガスメータMにおけるガスの供給を停止するように構成してもよい。また、通信機1と警報器ALとの間に、中継器を設けて、通信機1と警報器ALとの間の通信を中継してもよい。
【0022】
通信機1は、通信機能を有する装置であり、室外の取付対象体O(
図1参照)に取り付けることができる筐体2を有している(
図2〜
図5参照)。本実施形態では、取付対象体Oは、
図1に示されるように、建物の外壁として示されているが、筐体2を取り付けることが可能な、室外に設けられた対象物であれば特に限定されず、たとえば、ガスメータMの筐体やガスメータMに接続されているガス管などであっても構わない。より具体的には、通信機1は、
図6〜
図8に示されるように、取付対象体Oに取付けられる取付面21を有する筐体2と、電子部品が設けられた回路基板3と、回路基板3を支持し、取付面21の筐体内面側となる内面21aに対向して配置される基板支持体4とを備えている。
【0023】
回路基板3は、通信機1の上述した通信部や制御部の機能を実現するために、所定の電子部品、電池等の電源および所定の回路を有している。本実施形態では、熱源となる電子部品等は、回路基板3のうち、基板支持体4側の面3aとは反対側の面(正面側の面)3bに設けられている。なお、
図7および
図8においては、理解を容易にするために、回路基板3上の電子部品を一部省略し、簡略化して示している。
【0024】
筐体2は、基板支持体4に支持された回路基板3を内部に収容し、取付対象体Oに取り付けられる。筐体2は、基板支持体4に支持された回路基板3を内部に収容し、取付対象体Oに取り付けることができれば、特にその形状や構造は限定されない。本実施形態では、筐体2は、電子部品や電池などが設けられた回路基板3を内部に収容できる収容空間を有している。本実施形態では、筐体2は、
図2〜
図4に示されるように、取付対象体Oに筐体2を固定するための固定部22を有している。本実施形態では、固定部22は筐体2の上下端に設けられているが、固定部22を設ける位置は特に限定されない。固定部22は、本実施形態では、筐体2を取付対象体Oに取り付けるためのネジや結束バンド等を入れる孔が形成されているが、取付対象体Oに筐体2を固定することができれば、任意の形状、構造とすることができる。また、筐体2の材料は、たとえば合成樹脂とすることができるが、筐体2の材料は特に限定されない。筐体2は取付面21を有し、取付面21を介して取付対象体Oに取り付けられ、室外に設置される。なお、筐体2の取付面21は、筐体2のうち、取付対象体Oに対向する面をいい、取付面21の少なくとも一部が取付対象体Oに接触することができればよく、必ずしも取付対象体Oに取付面21全体が面接触する必要はない。本実施形態では、
図6〜
図8に示されるように、筐体2の背面側に設けられ、回路基板3および基板支持体4に略平行に設けられている。
【0025】
本実施形態では、筐体2は、
図6〜
図8に示されるように、取付面21を含む第1の筐体部2aと、筐体2の正面部を構成し、第1の筐体部2aに対して取り付けられる第2の筐体部2bとを有している。なお、本明細書において、「正面」、「背面」、「上」、「下」、「側部」という用語は、通常の筐体等の設置状態における位置関係を示すために用いられており、特に本発明を限定するものではない。
【0026】
第1の筐体部2aは、
図6〜
図9に示されるように、略平板状の取付面21と、取付面21の両側縁から筐体2の正面側に向かって突出する一対の側壁23(
図8参照)と、取付面21の(上下方向における)一端側(
図6における上端側)において、筐体2内に配置された回路基板3の一端(上端)近傍の周囲を取り囲む囲い部24とを有している。
【0027】
囲い部24は、基板支持体4が第1の筐体部2aに取り付けられた状態において、回路基板3の上端部の周囲(回路基板3の上方、側方、正面側)を、
図6に示されるように、取付面21とともに取り囲むように形成されている。本実施形態では、囲い部24は取付面21と一体的に形成されており、たとえば、第2の筐体部2bが取り外されているときなど、回路基板3の上端側に設けられたアンテナ部(図示せず)に外部からの水等が接触することが防止される。なお、本実施形態では、第1の筐体部2aは、取付面21、側壁23、囲い部24以外に、筐体2の上下端に設けられた固定部22と、取付面21の取付対象体O側の外面21bから立設する取付面側立設部210とを有している。
【0028】
本実施形態では、第1の筐体部2aは、一対の側壁23の間の正面側と、下端側が開放しており、
図9に示されるように、第1の筐体部2aの下端側から上端側に向かって回路基板3を支持する基板支持体4をスライドさせて、基板支持体4を第1の筐体部2aに取り付けるように構成されている。また、第1の筐体部2aは、
図9に示されるように、一対の側壁23の間の正面側が回路基板3の少なくとも一部が露出するように開放している。したがって、第2の筐体部2bを第1の筐体部2aから取り外したときに、基板支持体4に支持された回路基板3上の電子部品へのアクセスが容易となる。
【0029】
第2の筐体部2bは、たとえばネジ等の固定手段により、第1の筐体部2aに取り付けられる。第2の筐体部2bは筐体2の正面部を構成している。第2の筐体部2bは、回路基板3を支持する基板支持体4が取り付けられた第1の筐体部2aを閉鎖することができれば、その形状や構造は特に限定されない。
【0030】
本実施形態では、第1の筐体部2aおよび第2の筐体部2bとの間に、雨水など外部からの水の浸入を防止するための防水構造が設けられている。具体的には、第1の筐体部2aの一対の側壁23、囲い部24の下端に、ゴム材料などから構成されるシール部材Sを収容する溝Gが形成されている。本実施形態では、溝Gは、
図9に示されるように、一対の側壁23および囲い部24の下端側に沿って略U字状に延び、略U字状の溝Gに沿ってシール部材Sが設けられている。なお、溝Gやシール部材Sの形状は図示するものに限定されない。
図6〜
図8に示されるように、第2の筐体部2bには、第1筐体部2aに設けられたシール部材Sに沿うように延び、第2の筐体部2bの内面側から突出する押圧部Pが設けられている。これにより、第2の筐体部2bが第1の筐体部2aにネジ止め等されることにより、シール部材Sの表面が押圧部Pにより押圧されて隙間がシールされ、筐体2の側方および上方側から筐体2の内部への水の浸入が防止される。また、囲い部24の下端側におけるシール部材Sの上側には、
図6に示されるように、第1の筐体部2aおよび第2の筐体部2bのそれぞれから互いに向かって延びる突条Pa、Pbを有している。第2の筐体部2bが第1の筐体部2aに取り付けられた際に、突条Pa、Pbが互いに噛み合うラビリンス構造を形成することにより、隙間からの水が筐体2の内側へと浸入しにくい。
【0031】
また、筐体2は、
図5に示されるように、筐体2の下端に、筐体2の内部に外部から浸入した水や、筐体2の内部で結露が生じた場合に、筐体2の外部に水を排出するための水抜き孔Hを有している。水抜き孔Hは、筐体2の内部から水を排出することが可能で、かつ、虫の筐体2の内部への侵入を防止することができる大きさに開口していることが好ましい。本実施形態では、水抜き孔Hとして高さ(
図5における上下方向の長さ)が0.3〜0.5mmの横長のスリットを設けている。このような水抜き孔Hを設けることで、虫の侵入を防ぎつつ、幅(
図5における左右方向の長さ)を大きくすることで水の排出を効率よく行うことができる。また水抜き孔Hの筐体2の下端における位置は特に限定されないが、本実施形態では、後述するように、筐体2の内部のうち取付面21側で結露が生じた場合にその結露水を排出するために、筐体2の下端のうち取付面21側(背面側)に設けられることが好ましい。また断熱空間SPで生じた結露水を排出可能なように、断熱空間SPの下端部側と連通していることが好ましい。
【0032】
基板支持体4は、回路基板3を支持する支持体である。基板支持体4は、
図10および
図11に示されるように、回路基板3を支持し、回路基板3と対向する基部41を有している。本実施形態では、回路基板3は、
図6〜
図8に示されるように、回路基板3の基板支持体4側の面3aと、基板支持体4(基部41)の回路基板3側の面4aとが離間するように基板支持体4に支持されている。基板支持体4による回路基板3を支持する方法は特に限定されないが、たとえば、基部41の回路基板3側の面4aに、回路基板3を基板支持体4に対して離間した状態で取り付けられる基板取付部41aが設けられ、基板取付部41aを介して回路基板3を支持することができる。本実施形態では、基板取付部41aは、基部41の回路基板3側の面4aから突出した、回路基板3の周縁部が載置される載置部として示されているが、基板取付部41aは、回路基板3を基板支持体4に取り付けることができれば特に限定されない。
【0033】
基板支持体4は、本実施形態では、上述したように筐体2に対して上下方向に移動可能で、筐体2の下端側からスライド式に取り付けられる。具体的には、
図9に示されるように、回路基板3が支持された基板支持体4を筐体2の取付面21の内面に対してスライドさせて、基板支持体4が筐体2に取り付けられる。回路基板3が基板支持体4に支持された状態で、筐体2に対してスライドさせることで取り付ける場合、(基板支持体4を有しない)従来の回路基板の縁を筐体に設けられた差し込み溝やスロットに差し込んで取り付けるもののように、回路基板の縁と差し込み溝との間の位置合わせなどが不要となる。したがって、本実施形態のように、回路基板3が支持された基板支持体4をスライドさせて筐体2に取り付けることにより、回路基板3の位置合わせが不要で取り付けが容易となり、従来の回路基板の縁を差し込み溝に差し込む方式のもののように回路基板が破損することが防止される。また、本実施形態では、基板支持体4の回路基板3を支持する部分の両側部がスライド方向で先端側(
図10および
図11における上側)が先細となるように形成されている。これにより基板支持体4の筐体2の内部空間へのスライドによる挿入を容易にしている。基板支持体4は、本実施形態では、
図11に示されるように、基板支持体4の取付面21との対向面4bに係止部(係止爪)41bを有し、その係止部41bが筐体2の取付面21に設けられた被係止部(係止孔)211(
図4参照)に係止されることにより、基板支持体4が筐体2に取り付けられる。
【0034】
また、本実施形態では、基板支持体4は、基板支持体4の下端部に基部41に対して略垂直に延び、筐体2の下端を閉鎖する閉鎖部42を有し(
図6参照)、基板支持体4の筐体2の内部空間への挿入が完了したときに、筐体2の下端側の開口が閉鎖されるように構成されている。なお、本実施形態では、基板支持体4は筐体2にスライド式に取り付けられているが、基板支持体4の筐体2への取付方法は特に限定されず、たとえば、筐体2の取付面21に対して基板支持体4を垂直な方向に移動させて取り付けても構わない。
【0035】
図7および
図8に示されるように、本実施形態の通信機1は、基板支持体4の回路基板3側の面4aと取付面21の内面21aとの間に断熱空間SPを有している。断熱空間SPは、通信機1の取付面21側からの熱を回路基板3の表面に伝達しにくくすることにより、回路基板3の表面と、回路基板3の周囲の空気との温度差が大きくならないようにする。それにより、回路基板3の表面に接触する空気の温度が低下することによる結露を抑制する。断熱空間SPは、取付面21に対して垂直な方向に、基板支持体4と取付面21とを離間させる空間である。本実施形態では、断熱空間SPは、
図7および
図8に示されるように、基板支持体4の取付面21との対向面4bと取付面21の内面21aとの間に形成されている。しかし、断熱空間SPは、基板支持体4の回路基板3側の面4aと取付面21の内面21aとの間に形成され、回路基板3への熱伝達を抑制することができれば、図示するものに限定されない。たとえば、基板支持体4が、互いに離間する2枚の板状体を有し、一対の板状体の間に断熱空間SPが形成されたものであってもよい。また、断熱空間SPは、本実施形態では基板支持体4が筐体2に取り付けられたときに、回路基板3の周囲の空気に対して閉じられた空間であってもよいし、連通した空間であってもよい。
【0036】
本実施形態の通信機1は、基板支持体4の回路基板3側の面4aと取付面21の内面21aとの間に断熱空間SPを有していることにより、上述したように回路基板3の表面での結露を抑制し、結露による回路基板3への影響を低減することができる。より具体的に説明すると、筐体2の内部に水蒸気を多く含んだ暖かい空気が存在する状態において、通信機1の外部環境などにより、取付対象体Oの温度が低下することがある。取付対象体Oの温度が低下すると、取付対象体Oと接触する筐体2の取付面21の温度が低下する。取付面21の温度が低下すると、取付面21から基板支持体4に熱が伝わるが、本実施形態では、基板支持体4と取付面21との間に断熱空間SPを有しているため、基板支持体4の回路基板3側の面4aに熱が伝わりにくくなる。そのため、基板支持体4の回路基板3側の面4aの温度が下がりにくく、回路基板3の温度低下が抑制される。したがって、回路基板3の表面において、回路基板3の表面と接触する空気が冷却されにくく、回路基板3の表面における結露が抑制される。特に夏場などの気温が高く湿度が高いときに、突然激しい雨が降った場合などは結露が生じやすいが、本実施形態では、そのような急激な温度差が生じた際であっても、断熱空間SPが熱伝導の緩衝作用をもたらし、回路基板3の表面における結露を抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態では、
図6〜
図8に示されるように、回路基板3は筐体2には直接接触しておらず、断熱空間SPを形成する基板支持体4を介して取り付けられている。そのため、回路基板3が筐体2や取付対象体Oが冷却されることによる影響を受けにくく、より回路基板3の表面における結露を抑制することができる。また、回路基板3は回路基板3の周縁部において基板支持体4に支持され、回路基板3と基板支持体4との間には、第2の断熱空間SP2が形成される。そのため、取付面21側から回路基板3へ、より熱が伝達されにくい。
【0038】
本実施形態では、筐体2の表面から回路基板3までの距離(平均の距離)は、筐体2の取付面21の内面21aから回路基板3までの距離(平均の距離)よりも大きくなるように構成されている。この場合、筐体2の表面の内面から回路基板3までの間には充分な空間が存在することにより、回路基板3の表面側は結露しにくく、回路基板3の裏面側は断熱空間SPを形成する基板支持体4により、回路基板3から取付面21までの距離が小さい場合であっても、結露を防止することができる。そのため、回路基板3を取付面21に近付けても結露の発生を抑えることができるため、通信機1の厚さ(回路基板3に対する垂直方向の厚さ)を薄くすることができる。
【0039】
また、上述したように、回路基板3は、回路基板3の基板支持体4側の面3aと反対側の面3bに熱源が設けられている。このため、熱を発生する電子部品や電池など、熱源が設けられた回路基板3の反対側に、断熱空間SPを有しているので、熱が伝わりにくく、熱源による温度上昇に起因する結露発生を抑制することができる。
【0040】
本実施形態では、
図7、
図8および
図11に示されるように、基板支持体4は、回路基板3と対向する平板状の基部41と、基部41から取付面21に向かって立設する立設部43とを有し、基部41、立設部43および取付面21の内面の間に断熱空間SPが形成される。これにより、本実施形態では、取付面21と基板支持体4との間の接触面積が小さくなり、取付面21からの熱の伝達が抑制されるとともに、取付面21の内面21aと、立設部43の部分において、周囲の空気が冷やされ、回路基板3との関係において、取付面21の内面21aと立設部43において優先的に結露が生じる。取付面21の内面21aと立設部43の部分で生じた結露水は、基部41の取付面21との対向面4bまたは取付面21を伝って、通信機1の下端側に向かって移動し、水抜き孔Hから排出される。結露水が生じた場合であっても、本実施形態では、基板支持体4の取付面21との対向面4b側において結露を生じさせており、回路基板3は、基板支持体4の基部41により基板支持体4の取付面21との対向面4b側とは隔てられている。そのため、回路基板3は結露水による影響を受けにくい。また、結露が進行するにつれ、結露した水が集まって大きな水滴を形成する場合であっても、回路基板3に接触することがない。したがって、回路基板3を基板支持体4に近付けて配置することもできる。
【0041】
立設部43は、
図7および
図8に示されるように、取付面21の内面21aに少なくとも一部が当接するように設けられているが、立設部43は、断熱空間SPが筐体2内の他の空間と気密状態で隔離されておらず、空気および水が流通可能となるように設けられている。そのため、断熱空間SP内で結露が生じると筐体2内全体の湿度が下がり、回路基板3の周囲での結露がより一層生じにくくなる。なお、立設部43は、空気および水が流通しやすいように、断熱空間SP内同士、または、断熱空間SPと筐体2内の他の空間との間で、空気および水が流通可能な流通路(たとえば、切欠きや溝など)が形成されていてもよい。そして、本実施形態では、回路基板3の結露を、断熱空間SPを形成する基板支持体4により抑制しているため、通信機1の筐体2に通気性を良くする孔などの機構を設ける必要がなく、水抜き孔H以外は、筐体2の外部に開口を設ける必要もない。そのため、通気性を良くするために設けられた開口から水や虫などが浸入することがなく、浸入を防止する特殊な機構などを別途設ける必要もない。
【0042】
また、本実施形態では、
図7、
図8および
図11に示されるように、断熱空間SPは、立設部43により、基部41に略平行な方向に(たとえば、後述する第1の方向および第2の方向の少なくとも一方の方向に沿って)複数の小断熱空間SSPに分割されていることが好ましい。断熱空間SPが複数の小断熱空間SSPに分割されていることにより、基部41に略平行な方向での断熱効果がさらに向上する。したがって、たとえば、取付面21が温度の低い取付対象体Oに局所的に接触する場合に(たとえば、通信機1が通信機1の幅よりも幅が狭いガス管などに取り付けられる場合や、熱伝導率が異なる素材にまたがるようにして通信機1が取付対象体Oに取り付けられる場合)、温度の低下が基部41において全体に広がることを抑制し、結露を部分的なものに収め、回路基板3への影響をさらに低減することができる。また、断熱空間SPを複数の小断熱空間SSPに分割する場合、立設部43が基板支持体4の強度を向上させるリブとしても機能し、基板支持体4の変形が防止される。
【0043】
複数の小断熱空間SSPに分割する場合の立設部43の構造は特に限定されないが、本実施形態では、
図11に示されるように、立設部43は、第1の方向に延びる第1立設部43aと、第1の方向に略垂直な第2の方向に延びる第2立設部43bとを備えて格子状に設けられている。これにより、断熱空間SPは、第1の方向および第2の方向に沿って、複数の小断熱空間SSPに分割されている。本実施形態では、第1の方向は、通信機1の上下方向(
図11における上下方向)、第2の方向は通信機1の左右方向(
図11における左右方向)として示されているが、第1および第2の方向は通信機1の上下方向または左右方向に対して傾斜していてもよい。本実施形態のように、立設部43が第1および第2立設部43a、43bを有し、断熱空間SPが、第1の方向および第2の方向に沿って複数の小断熱空間SSPに分割されている場合、基板支持体4の強度を向上するとともに、第1の方向および第2の方向における熱の伝達を抑制することができる。なお、本実施形態では、第1立設部43aおよび第2立設部43bは、互いに略垂直な方向に設けられているが、第1立設部43aおよび第2立設部43bがなす角度は特に限定されない。また、第1立設部43aおよび第2立設部43bは、本実施形態では直線状に延びているが、第1立設部43aおよび第2立設部43bは、それぞれ屈曲または湾曲していても構わない。
【0044】
また、本実施形態では、
図11に示されるように、基板支持体4は、小断熱空間SSPは筐体2の上端側よりも下端側が大きくなるように構成されている。なお、図面においては、小断熱空間SSPの下端側が上端側に比べてわずかに大きくなるように構成されているが、下端側と上端側との間の大きさの比率は適宜変更しても構わない。結露水は、上述したように、基板支持体4の背面側を伝って基板支持体4の下部側へと流れ、水抜き孔Hから排出されるが、水抜き孔Hの寸法は虫が入らないように非常に小さい。そのため、結露水の量が多くなると、基板支持体4の最下部に溜まってから排出される。この場合に、下端側の小断熱空間SSPを大きくすることにより、結露水の量が多くなっても、容積の大きい下端側の小断熱空間SSPに結露水が貯留された後、下端側の小断熱空間SSPと連通する水抜き孔Hから結露水を筐体2の外部に容易に排出することができる。
【0045】
また、本実施形態では、
図4および
図6〜
図8に示されるように、取付面21の取付対象体O側の外面21bが、外面21bから立設する取付面側立設部210を有している。これにより、取付面21の外面21bと取付対象体Oとの間に断熱空間が形成され、さらに断熱効果を高めることができる。