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  • 特開2018114106-遊技機 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-114106(P2018-114106A)
(43)【公開日】2018年7月26日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180629BHJP
【FI】
   A63F7/02 309
   A63F7/02 304D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-6726(P2017-6726)
(22)【出願日】2017年1月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 公一
(72)【発明者】
【氏名】小西 敦
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 広幸
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA46
2C088BC12
(57)【要約】
【課題】発射強度を示す指数の精度を実際の遊技状況に対応させて向上させる。
【解決手段】発射強度を打ち分ける例えば左打ちと右打ち等にて遊技する場合に、左打ちと右打ちとに区分して発射電圧と強度指数との対応関係が成立するように設定し、発射電圧が左打ちに対応すれば、左打ちに対応する演算処理にて強度指数を特定する一方、発射電圧が右打ちに対応すれば、右打ちに対応する演算処理にて強度指数を特定する。調整精度をより高く必要とする左打ちでは細かい範囲設定を行う一方、調整精度を余り高く必要としない右打ちでは細かくない範囲設定を行う等、実際の遊技状況に応じて必要な箇所について発射強度を示す指数の精度を向上させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手段に対する操作量に応じて遊技盤面へ発射する玉の発射強度を調整可能であり、当該発射強度を指数化した強度指数を報知する遊技機であって、
前記操作手段に対する操作量、及び玉の発射強度の少なくとも一方を示す測定値を測定する測定手段と、
測定値の範囲を第1範囲と、第2範囲とに区分する区分手段と、
測定値の第1の基準値となる第1基準測定値、及び当該第1基準測定値に対応した第1基準強度指数の対応関係と、測定値の第2の基準値となる第2基準測定値、及び当該第2基準測定値に対応した第2基準強度指数の対応関係とが成立する演算処理であって、第1範囲に対応した第1演算処理、及び第2範囲に対応した第2演算処理を導出可能な設定情報を設定する設定手段と、
前記測定手段により測定された測定値が第1範囲に対応する場合には第1演算処理により当該測定値に対応する強度指数を特定する一方、前記測定手段により測定された測定値が第2範囲に対応する場合には第2演算処理により当該測定値に対応する強度指数を特定する指数特定手段と、を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記演算処理は、前記測定手段により測定された測定値と第1基準測定値との差分に対する仮強度指数と第1基準強度指数との差分の割合が、第2基準測定値と第1基準測定値との差分に対する第2基準強度指数と第1基準強度指数との差分の割合に対応する仮強度指数に、第1基準強度指数を加算した値を示す演算値を、当該測定値に対応する強度指数として特定可能な演算処理であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記操作手段に対する操作量が第1操作量となるまでは玉を発射しない発射手段により玉を発射し、第1操作量となり玉を発射しても第2操作量に対応した発射強度で玉を発射しなければファール玉として玉を返却する遊技機であって、
前記操作手段は、操作量に応じて前記発射手段へ出力される電圧を調整することにより発射強度を調整する一方、第1操作量とならなくとも電圧を出力し、
測定値は、前記操作手段に対する操作量、当該操作量に応じて変動する電圧、又は当該電圧を調整するための抵抗値を対象とした測定値であり、
第1範囲に対応した第1基準測定値は、第1操作量、又は第2操作量に対応した測定値であることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記設定手段は、前記測定手段により測定された測定値を、第1基準測定値、及び第2基準測定値の少なくとも一方として設定可能であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
第1範囲と第2範囲とは連続した範囲であり、
第1範囲に対応した第2基準測定値と、第2範囲に対応した第1基準測定値とが同値であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の遊技機。
【請求項6】
操作手段に対する操作量に応じて遊技盤面へ発射する玉の発射強度を調整可能であり、当該発射強度を指数化した強度指数を報知する遊技機であって、
前記操作手段に対する操作量、及び玉の発射強度の少なくとも一方を示す測定値を測定する測定手段と、
複数の指数強度に対して測定値の範囲をそれぞれ設定する設定手段と、
前記測定手段により測定された測定値が前記設定手段により設定される測定値の範囲の何れに属するかを特定し、当該属する範囲に対応する強度指数を、当該測定値に対応する強度指数として特定する指数特定手段と、を備え、
前記設定手段により設定される測定値の範囲は、遊技盤面の所定の箇所に玉が到達する発射強度に対応した連続する複数の強度指数である連続強度指数に対応した範囲と、当該所定の箇所に玉が到達し得ない発射強度に対応した連続強度指数と同数の連続する複数の強度指数に対応した範囲とが異なるように設定可能であることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機では、ハンドルを操作して玉を遊技盤面へ発射するが、例えば特許文献1のように発射強度を指数化し、インジケータ等による発射強度の報知や発射強度に応じた入賞状況の管理を行えば、遊技者にとって遊技の参考となり非常に有意である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−65938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遊技機では、ハンドルから発射装置へ出力される電圧をハンドル操作により可変化することで、発射強度を変更可能としているので、その電圧や当該電圧を調整する可変抵抗値を測定することで、発射強度を特定することが想定される。ハンドルから出力される電圧が例えば2V〜5Vの場合に発射強度を100段階にて指数化して表示するのであれば、3Vを100段階にて均等に按分した0.03Vが1単位となるが、このような単純な按分では、今一歩、実際の遊技に対応した精度とならず、参考とすることが難しくなる虞がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、発射強度を示す指数の精度を実際の遊技状況に対応させて向上させることができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、発射強度を打ち分ける例えば左打ちと右打ち等にて遊技する場合に、調整精度をより高く必要とする左打ちでは細かい範囲設定を行う一方、調整精度を余り高く必要としない右打ちでは細かくない範囲設定を行う等、実際の遊技状況に応じて必要な箇所について発射強度を示す指数の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態を示す遊技機の正面図
図2】遊技機の機能ブロック図
図3】第2の実施形態を示す遊技機の機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1及び図2を参照して説明する。図1に示すように、遊技機1は、パチンコ遊技機であり、玉を遊技盤面2に発射するために遊技者が操作するハンドル3(操作手段に相当する)、上受皿4、下受皿5を有する。上受皿4には、貸出釦6、返却釦7が設けられている。遊技盤面2には、普図始動口8,9、第1始動口10、第2始動口11、入賞口12、大入賞口13、普図表示部14、普図保留数表示部15、特図表示部16、特図保留数表示部17、特別情報表示部18が設けられている。
【0009】
遊技機1は以下のように動作する。
(1)第1始動口10は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口11は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。
(2)各始動口10,11への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果を特図表示部16における図柄変動(単位遊技)にて報知し、その変動結果に応じて大当り(特賞)となる。
(3)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各始動口10,11に4つずつ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に、保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0010】
(4)大当り抽選の当選確率(大当り確率)は1/260であり、大当りがその後確変状態(確変)となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率は(通常状態、確変状態共に)50%である。大当りが発生すると12ラウンド(R)分だけ大入賞口13を開放する。1Rの上限入賞数は8個であり、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0011】
(5)確変中は大当り確率が1/50に向上すると共に、各始動口10,11への入賞率が高くなる時短状態(時短)になる。尚、確変は次回大当りまで継続するので、大当り後に大当りでも確変でもない状態である通常遊技状態(通常状態)となる大当り(通常大当り)が発生するまで継続し、その後は所定数(例えば100回)の図柄変動を行うまで時短状態となり、その後に通常状態となる。
【0012】
(6)第2始動口11は普図入賞口8,9への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。又、開放時間は通常状態では0.3秒であり時短状態では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放時間は長くなることで第2始動口11の入賞率が高くなる。
【0013】
遊技者は通常の遊技では以下のように遊技を行う。通常状態時では、第1始動口10への入賞率の高い左打ちルート(図1中「L」にて示すルート)により第1始動口10に入賞するように所謂ぶっこみ(図1中「A1」にて示す範囲)と呼ばれる箇所を狙って遊技し、遊技盤面2の中央、即ち右打ち下限(図1中「A2」にて示す範囲)よりも左側を玉が通過する強度で玉を発射する左打ちを行う。一方、大当り時では、大入賞口13への入賞率の高い右打ちルート(図1中「R」にて示すルート)により大入賞口13に入賞するように遊技し、右打ち下限よりも右側を玉が通過する強度で玉を発射する右打ちを行う。即ち、右打ち下限とは、この箇所よりも右側へ玉が到達した場合には表示役物(特図表示部16)の上部を玉が通過して右打ちルートとなる玉の到達地点の下限であり、右打ちの発射強度の下限に対応した玉の到達地点である。時短中は両ルートにて第2始動口11への入賞が期待されるので、遊技者の任意のルートにより遊技する。
【0014】
遊技者は大当り中の攻略として以下のように遊技を行う。大入賞口13へは1Rに8個入賞すると大入賞口13が閉鎖するが、以下の攻略打法により9個以上の所謂オーバーフローとなる入賞を見込むことができる。即ち、ラウンド開始時から6個目までは一般の遊技と同様に強めの発射強度にて発射し、7個目と8個目は少し弱め(右打ち下限よりも少し強い程度)の発射強度にて発射し、その後は強めの発射強度に戻す。すると、7個目と8個目とが他よりも少し遅れたタイミングで大入賞口13に到達するので、その到達時期が9個目以降の到達時期と同程度となり、8個目の入賞に応じた大入賞口13の閉鎖前に9個目以降のオーバーフローとなる入賞を見込むことができる。
【0015】
遊技機1は、図2に示すように、電気的な構成として、メイン基板19、払出制御基板20、発射制御基板21、表示制御基板22、音声制御基板23、ランプ制御基板24、電源回路25を有する。メイン制御基板19は、CPU19a(区分手段、設定手段、指数特定手段に相当する)、ROM19b、RAM19c、信号を送受信するためのインターフェースからなるI/O19d等を備えたマイクロコンピュータを含んで構成され、電源回路25から電源が供給される。メイン制御基板19は、第1始動口10及び第2始動口1への入賞を検知する始動入賞口入賞検知器26、入賞口12への入賞を検知する入賞口入賞検知器27、普図始動口8,9への入賞(玉の通過)を検知する普図入賞ゲート入賞検知器28、大入賞口13への入賞を検知する大入賞口入賞検知器29、操作釦30から入力する信号に基づいて遊技機1を制御する。遊技者がハンドル3を操作(ハンドル操作)すると、その操作情報が比較増幅回路31を介して発射制御基板21に入力され、発射制御基板21により発射装置32が駆動され、遊技盤面2に玉が発射される。
【0016】
遊技盤面2に発射された玉が遊技盤面2を流下する際に普図始動口8,9を通過すると、普図入賞ゲート入賞検知器28は、普図始動口8,9を通過する玉を検知し、玉が通過する毎に信号をメイン基板19へ出力する。メイン基板19は、普図入賞ゲート入賞検知器28から信号を入力すると、乱数発生部にて発生した乱数の1つを乱数抽出部にて抽出して普図抽選を実行し、普図表示部14や普図保留数表示部15のLEDを点灯又は消灯させる。メイン基板19は、普図抽選において普図当選になると、ハネ開放用ソレノイド33を駆動する。
【0017】
遊技盤面2に発射された玉が遊技盤面2を流下する際に第1始動口10又は第2始動口11に入賞すると、始動入賞口入賞検知器26は、第1始動口10又は第2始動口11に入賞した玉を検知し、玉が入賞する毎に信号をメイン基板19へ出力する。メイン基板19は、始動入賞口入賞検知器26から信号を入力すると、乱数発生部にて発生した乱数の1つを乱数抽出部にて抽出して特図抽選を実行し、特図表示部16において図柄の変動を開始し、特図保留数表示部17のLEDを点灯又は消灯させる。メイン基板19は、特図抽選において小当り又は大当りになると、大入賞開放用ソレノイド34を駆動する。尚、普図抽選において使用する乱数発生部及び乱数抽出部と特図抽選において使用する乱数発生部及び乱数抽出部とは、同じであっても良いし別々であっても良い。
【0018】
遊技盤面2に発射された玉が遊技盤面2を流下する際に入賞口12に入賞すると、入賞口入賞検知器27は、入賞口12に入賞した玉を検知し、玉が入賞する毎に信号をメイン基板19へ出力する。メイン基板19は、入賞口入賞検知器27から信号を入力すると、音声制御基板23によりスピーカ35からの音声出力を制御すると共にランプ制御基板24によりランプ36の点灯を制御して各種演出を実行し、払出制御基板20により払出装置37からの玉の払出を制御する。
【0019】
メイン基板19は、遊技者による遊技の進行に応じて、遊技盤面2に発射された玉の数であるアウトを特定可能なアウト信号(パルス出力)、遊技者に付与した玉の数であるセーフを特定可能なセーフ信号(パルス出力)、第1始動口10又は第2始動口11への入賞に伴って発生する図柄変動表示の開始(スタート)を特定可能なスタート信号(パルス出力)、大当りを特定可能な大当り信号(レベル出力)、確変状態を特定可能な確変信号(レベル出力)、ラウンド中であることを特定可能なラウンド信号(レベル出力)等の遊技信号を出力する。
【0020】
ハンドル3は、発射強度VSW(ボリュームスイッチ)38、電圧測定部39、タッチセンサ40、発射停止SW41を有する。ハンドル3が操作されると、発射強度VSW38は、その操作量に応じて抵抗値を変更し、比較増幅回路31へと出力する電圧(発射電圧)を調整する。発射制御基板21は、比較増幅回路31から電圧を入力すると、その入力した電圧に応じて発射装置32の発射強度を調節する。
【0021】
ここで、ハンドル3から出力される電圧の範囲は2V〜5Vであるが、発射制御基板21の入力可能な電圧の上限が4Vであるので、比較増幅回路31は、ハンドル3から入力した電圧が2V以下の場合には発射制御基板21へ出力しない一方、2V以上の場合には上限が4Vになるように1V下げる等変圧して発射制御基板21へ出力する。即ち、比較増幅回路31は、ハンドル3から入力した電圧が例えば3Vであれば、その入力した3Vを2Vに変圧して発射制御基板21へ出力する。
【0022】
電圧測定部39は、ハンドル3から比較増幅回路31へと出力される電圧(測定値)を測定する。尚、出力される電圧は可変抵抗器の抵抗値の変更により調整されるので、その抵抗値やギア等によりハンドル3の操作量を測定する構成としても良いが、以下では電圧を想定する場合を例示して説明する。
【0023】
ハンドル3から比較増幅回路31へと出力される電圧は、ハンドル3が操作されていない状態では2Vであり、ハンドル3の操作量が最大にされた状態では5V(第2範囲に対応した第2基準測定値)である。よって、従来は、この電圧により発射強度を示す100段階等の強度指数を特定するのであれば、単純に3Vを100段階にて均等に按分した0.03Vを1単位とした強度指数が想定されていた。
【0024】
しかしながら、発射装置32には所謂遊びがあり、ハンドル操作が開始されてから例えば電圧が2.3V(第1範囲に対応した第1基準測定値)になるまでは(操作手段に対する操作量が第1操作量となるまでは)玉を発射しない玉を発射しない構成となっており、実質的には2.3V〜5.0Vで発射強度が調整される。よって、本発明では、2.3V〜5.0Vで発射強度の指数(強度指数)を対応付ける一方、2.0V〜2.3Vで発射強度の指数を対応付けていない。
【0025】
一方で、ハンドル3が操作され続けていると、図1に示す右打ち下限辺りに到達する電圧を電圧測定部39が別途測定する。右打ち下限辺りに到達する電圧を例えば3.35V(第1範囲に対応した第2基準測定値及び第2範囲に対応した第1基準測定値)と測定した場合、2.3V〜3.35V(第1範囲)が左打ち、3.35V〜5.0V(第2範囲)が右打ちに対応した電圧となる。これに対し、別途強度指数として左打ちは0(第1基準強度指数)〜75(第2基準強度指数)、右打ちは75(第1基準強度指数)〜100(第2基準強度指数)と設定し、これらの強度指数を上記両者に対応した電圧に対応付ける。
【0026】
左打ちに対応した2.3V〜3.35Vは1.05Vの差分があるので、強度指数が対応付けられた0〜75の範囲となる75段階にて均等に按分した0.014V(=1.05V÷75)を左打ちに対応した強度指数の1単位とする。例えば対象となる電圧が3Vであれば、下限となる2.3Vとの差が0.7Vであるので、強度指数は50(=0.7V÷0.014V)となる。このような演算は、2.3V(第1基準測定値)と0(第1基準強度指数)との対応関係と、3.35V(第2基準測定値)と75(第2基準強度指数)との対応関係とが成立する(第1基準測定値であれば第1基準強度指数、第2基準測定値であれば第2基準強度指数が導出される)第1範囲に対応した演算処理(第1演算処理)であり、想定した電圧が第1範囲に対応する場合には上記のような第1演算処理により対応する強度指数を特定する。
【0027】
右打ちについても同様であり、右打ちに対応した電圧3.35V〜5.0Vは1.65Vの差分があるので、強度指数が対応付けられた75〜100の範囲となる25段階にて均等に按分した0.066V(=1.65V÷25)を右打ちに対応した強度指数の1単位とする。例えば対象となる電圧が4Vであれば、下限となる3.35Vとの差が0.65Vであるので、仮強度指数は10(0.65V÷0.066V=9.8…を切上げ)となり、強度指数は仮強度指数である10に下限の強度指数である75を加算した85となる。このような演算も同様に、3.35V(第1基準測定値)と75(第1基準強度指数)との対応関係と、5V(第2基準測定値)と100(第2基準強度指数)との対応関係とが成立する第2範囲に対応した演算処理(第2演算処理)であり、想定した電圧が第2範囲に対応する場合には上記のような第2演算処理により対応する強度指数を特定する。尚、第1演算処理では第1基準強度指数が0であるために加算することを例示しなかったが、導出される演算値としては加算した値となるので、0の場合は加算してもしなくとも同様の演算処理となる。
【0028】
このように本発明では、左打ちに対応した強度指数の1単位分の発射強度(電圧)を、右打ちや単純に発射強度範囲を均等に按分した発射強度よりも小さくすると共に、左打ちに対応した強度指数の範囲を、右打ちや単純に発射強度範囲を均等に按分した強度指数よりも広くすることで、右打ちよりも細かい調整を必要とする左打ちの強度指数をより高い精度で特定することができる。一方で、右打ちは左打ち程、精度の高い強度指数を報知しないが、図1にて説明した大当り中の攻略打法を行う場合には右打ちの下限が把握可能となれば十分に参考となる。
【0029】
上記の場合、本発明を採用せずに発射強度範囲に応じた単純な按分を採用すると、2V〜5Vを100段階にて示すので、2.3Vは下限となる2.0Vとの差が0.3Vであるので、強度指数は10(=0.3÷0.03)となり、3.35Vは下限となる2.0Vとの差が1.35Vであるので、強度指数は45(=1.35÷0.03)となる。つまり、左打ちの強度指数を10〜45の35単位でしか表すことができない。これに対し、本発明では上記したように左打ちの強度指数を0〜75の75単位で表すことができるので、例えば左打ちと右打ちとの連続した複数の強度指数(例えば30〜40と80〜90)の対応範囲では左打ちの方が右打ちよりも電圧範囲が小さくなり(例えば2.72V(=2.3V+30×0.014V)〜2.86V(=2.3V+40×0.014V)と3.68V(=3.35V+(80−75)×0.066V)〜4.34V(=3.35V+(90−75)×0.066V))、高い精度の強度指数を示すことになる。
【0030】
次に、強度指数の報知方法について説明する。
強度指数は図1に示す特別情報表示部18での表示による報知を採用している。図1の例示では7セグにて「A060」と示されているが、7セグ以外の液晶表示等の他の表示方法を採用しても良いし、音声等により報知しても良い。強度指数の報知方法としては3種類の報知方法を設けており、特別情報表示部18の表示の左端のアルファベット(図1の例示では「A」)にて何れの報知方法であるかを示している。報知方法として「A」は0〜100の100段階(1単位毎の更新)、「B」は0〜100の20段階(5単位毎の更新)、「C」は0〜10の10段階(1単位毎の更新)となっている。何れも上記した特定方法にて1単位の強度指数を特定し、「B」では5単位毎、「C」では10単位毎に端数を切上げ、特定した指数を更に10分の1として報知対象としている。
【0031】
このような報知方法の切替えは操作釦30の操作に応じてA→B→C→A・・・と順に切替えられる。又、特別情報表示部18は時短中では強度指数に優先して時短中の残り変動回数や実行した図柄変動数等を表示する。大当り中には図1に示す「A」位置に大入賞口13への入賞数(大入賞数)を表示することで、強度指数と大入賞数とを比較可能となり、図1にて説明した大当り中の攻略打法をより実行し易くしている。
【0032】
このように強度指数を特定することで以下のような遊技方法のアシスト等も可能となる。即ち、図1にて説明した通り、大当り中は右打ちとなるが、大当りとなっても右打ちに対応しない強度指数の場合には「大当り中は右打ちして下さい」等の音声メッセージを遊技者に報知し、右打ちを遊技者に促すことができる。
【0033】
又、従来は図柄変動が行われていない期間が所定期間(例えば1分)に達すると特図表示部16等で客待ち表示等の所謂デモ画面へ表示を切り替えていたが、図柄変動が行われていない期間が所定期間に達するか否かに関わらず、強度指数が一定値(例えば1)に達しているか否かによりデモ画面を表示するか否かを特定しても良い。
【0034】
又、強度指数を安定化するために以下の構成も採用している。即ち、電圧測定部39は0.5ms間隔で電圧を測定し、10回分の測定値の平均値により強度指数を特定する。即ち、5msに1回の割合で強度指数を更新するので、強度指数を更新する毎の測定値により強度指数を特定すると、強度指数のバラつきが大きく安定化が図れないことが懸念されるが、複数回分の測定値の平均値により強度指数を特定することで、強度指数の安定化を図っている。
【0035】
強度指数は上記した通り設定すれば良いが、遊技機1の設置状況に応じてハンドル3から出力される電圧が変動する虞もあるので、以下のように強度指数の設定を変更可能とする。例えば、操作釦30を所定期間(例えば20秒)押下し続ける等の特別設定開始操作を行うことにより遊技機1を通常の遊技モードから設定モードに移行させる。設定モードであっても遊技モードと同様に玉を発射可能であり、まず、玉の発射が開始される程度にハンドル3を操作した状態で、操作釦30を再度押下すると、そのときの電圧を強度指数0の電圧として設定する。その後、右打ち下限となる程度にハンドル3を操作した状態で、操作釦30を再度押下すると、そのときの電圧を右打ちの下限、即ち強度指数75に対応した電圧として設定する。これらの設定に応じて上記したように強度指数が設定し直される。このような設定が終われば、操作釦30を所定期間(例えば20秒)押下し続ける等の特別設定終了操作を行うことにより遊技機を遊技モードへ移行させる。以上のようにして測定された測定値を第1基準測定値や第2基準測定値として設定可能としている。尚、特別設定開始操作や特別設定終了操作は操作釦30の押下だけでなく、例えば遊技機1の裏側に設けられる設定釦の押下や、従業員が携帯するリモコンの操作等により受付けても良い。
【0036】
通常状態に左打ち、大当りや特別状態に右打ちというように各打ち方に対応する状態を対応付け、その打ち方に対応する電圧範囲をそれぞれ100段階にて均等に按分して強度指数を報知しても良い。例えば上記した75の強度指数を通常状態では100とする一方、大当りでは0とすることで、状態に対応した更に細かい強度指数の特定が可能となる。この場合、状態別に強度指数の表示色を変更する等、強度指数の特定基準が変更された旨を報知することが望ましい。又、上記した通り遊技状態に対応していない電圧となった場合には、対応する電圧となるようにハンドル3を操作する旨を案内したり、強度指数を数値以外にて報知したりすると、更に効果的な報知が可能となる。
【0037】
強度指数を例えばホールコンピュータ等の外部装置に対して出力可能な構成として報知しても良い。強度指数を外部装置に対して出力することで、外部装置にて強度指数に応じた遊技情報の管理が可能となる。同様に遊技機1においても強度指数に応じた情報管理を行っても良い。例えば始動入賞率や採用される頻度の高い強度指数となった(例えば最も高くなった、又は基準値よりも高くなった)場合に、強度指数を点滅させたり表示色を変更したりする等してその旨を報知することで、遊技者による効率の良い遊技のサポートが可能となる。
【0038】
以上に説明したように第1の実施形態によれば、次に示す効果を得ることができる。
発射強度を打ち分ける例えば左打ちと右打ち等にて遊技する場合に、左打ちと右打ちとに区分して発射電圧と強度指数との対応関係が成立するように設定し、発射電圧が左打ちに対応すれば、左打ちに対応する演算処理にて強度指数を特定する一方、発射電圧が右打ちに対応すれば、右打ちに対応する演算処理にて強度指数を特定するようにしたので、調整精度をより高く必要とする左打ちでは細かい範囲設定を行う一方、調整精度を余り高く必要としない右打ちでは細かくない範囲設定を行う等、実際の遊技状況に応じて必要な箇所について発射強度を示す指数の精度を向上させることができる。
【0039】
又、ハンドル操作を開始してから電圧が2.3Vになるまでは玉を発射しない構成を考慮し、2.3V〜5.0Vで強度指数を対応付ける一方、2.0V〜2.3Vで発射強度の指数を対応付けないようにしたので、ハンドル3の操作に所謂遊びがある場合を考慮した上で発射強度を特定可能となり、精度をより向上させることができる。
【0040】
又、発射電圧の下限や上限を実際の測定値により設定したので、基準測定値となり得る電圧等を微調整することができる。
又、左打ちに対応する発射電圧の上限と右打ちに対応する発射電圧の下限とを同値とし、即ち兼用したので、設定処理等の容易化を図ることができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図3を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態と比較し、遊技機51において、ハンドル3に代えてハンドル52、表示制御基板22及び音声制御基板23に代えてサブ基板53が設けられ、中継基板54が新たに設けられている点が異なる。第2の実施形態では、ハンドル3の電圧測定部39が省かれた構成がハンドル52であり、発射強度VSW38から出力される電圧を一旦中継基板54にて変圧した上でサブ基板53へと入力し、サブ基板53にて強度指数を特定した上で特別情報表示部18にて強度指数を報知する構成である。又、第1の実施形態と比較し、ハンドル42から出力される電圧の範囲を1.4V〜3.6V等に変更している。
【0042】
サブ基板53は、第1の実施形態で説明した表示制御基板22と音声制御基板23とを統合した基板であり、CPU53a、ROM53b、RAM53c、信号を送受信するためのインターフェースからなるI/O53d等を備えたマイクロコンピュータを含んで構成され、表示や音声等の出力系統を制御する基板である。中継基板54は、上記したようにハンドル52から出力される電圧の範囲が1.4V〜3.6V等であるが、サブ基板53の入力可能な電圧の上限が3.3Vであるので、発射強度VSW38から出力される電圧を変圧し、発射強度VSW38から入力した電圧を、サブ基板53の入力可能な電圧の上限を考慮して1.0V下げている。よって、サブ基板53が入力する電圧は0.4V〜2.6Vであり、この電圧にて強度指数を特定するが、他は第1の実施形態と同様の構成となる。
【0043】
玉の発射を開始する電圧が0.7Vであり、右打ち下限辺りに到達する電圧が1.69Vの場合、0.7V〜1.69Vが左打ち、1.69V〜2.6Vが右打ちに対応した電圧となる。左打ちの強度指数の範囲は0〜75であるので、1単位の電圧は(1.69V−0.7V)÷75=0.0132Vとなり、例えば入力した電圧が1.3Vの場合、強度指数は(1.3V−0.7V)÷0.0132=45.45…の演算により46となる。右打ちの強度指数の範囲は75〜100であるので、1単位の電圧は(2.6V−1.69V)÷25=0.0364Vとなり、例えば入力した電圧が2Vの場合、強度指数は(2V−1.69V)÷0.0364+75=83.51…の演算により84となる。
【0044】
このように構成することで、メイン基板19を介することなく、ハンドル52から出力される電圧を、表示等を制御するサブ基板53へ入力して強度指数を特定することが可能となり、その構成の幅を広げることが可能となる。尚、発射制御基板21の入力可能な電圧の上限もサブ基板53と同様に3.3Vであるので、第1の実施形態と同様に比較増幅回路31では1V電圧を下げており、サブ基板53と発射制御基板21とに入力される電圧を同値とすることも可能となる。第2の実施形態によれば、上記した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形又は拡張できる。
特別情報表示部18を特図表示部16と別途設けることを例示したが、特別表示部16の一部に強度指数を表示する等兼用しても良い。又、表示役物等、遊技盤面2内に特別情報表示部18を設けることを例示したが、例えば操作釦30の隣やハンドル3の近辺等、遊技盤面2外に特別情報表示部18に相当する表示部を設けても良い。
【0046】
強度指数の設定として遊技場の管理者等により変更可能な設定方法を例示したが、遊技機メーカにより予め設定されるものの、遊技場の管理者等によっては設定不能な設定方法等を採用しても良い。この点、他の設定値も同様であり、遊技場の管理者等によって変更可能に設定する構成としても良いし、変更不能に設定する構成としても良い。又、右打ちや左打ちに対応する強度指数の範囲を変更可能に設定する構成としても良い。
【0047】
強度指数の報知として数値の表示や音声出力等を例示したが、数値をインジケータにより報知する等、必ずしも数字自体を報知対象としなくとも良い。又、ハンドル3からの出力電圧により強度指数を特定したが、比較増幅回路31からの出力電圧を測定する等、他の箇所の電圧、又は抵抗値により強度指数を特定しても良いし、発射装置32から発射される玉の速度の測定値により特定する等、発射強度を示す測定値の測定方法は例示した以外のどのような方法を採用しても良い。
【0048】
各範囲の上限と下限とに対応する電圧と強度指数とに基づき演算処理を特定する方法を例示したが、上限や下限以外の任意の地点を対象とした複数地点の電圧と強度指数とに基づき演算処理を特定しても良い。又、範囲として上限と下限とを設けた範囲を例示したが、上限と下限との一方のみを対象とした範囲を採用しても良い。例えば右打ちの下限を強度指数75、電圧3.35Vとし、右打ちに対応した任意の電圧(例えば4.35V)に任意の発射強度(例えば100)を対応付けて強度指数の1単位に対応する電圧(例えば(4.35V−3.35V)÷(100−75)=0.04V)を特定し、この1単位の電圧と下限とに基づき強度指数(電圧が4.95Vであれば(4.95V−3.35V)÷0.04+75=115)を特定する等しても良い。このような場合も考慮し、上限以上の強度指数や下限以下の強度指数を報知対象としても勿論良い。
【0049】
左打ちの強度指数の下限を、玉の発射を開始する電圧(2.3V)に対応させたが、所謂ファール玉となって返却されるような発射強度を強度指数の対象としなくとも良いと考えられるので、左打ちの強度指数の下限に対応した発射強度(第2操作量に対応した発射強度)をファール玉とならない程度としても良い。
【0050】
左打ちと右打ちとで上限と下限との電圧の幅を按分した値を1単位としたが、例えば上限と下限とに対応した電圧と強度指数との関係が成立するように、電圧と強度指数とを利用した数列等の按分以外の演算式を特定し、その演算式により強度指数を特定する等、必ずしも按分しなくとも良い。
【0051】
第1範囲と第2範囲として左打ちと右打ちとに対応する箇所を例示したが、更に範囲を狭め、遊技者が左打ち時に狙う、図1に示すような所謂ぶっこみの対応箇所と、他の箇所との対応箇所を第1範囲と第2範囲とする等、必ずしも左打ちと右打ちとに対応させなくとも良い。
ハンドル操作に応じて変動する電圧を測定することに応じた演算により強度指数を特定することを例示したが、予め強度指数に対応した電圧の範囲をそれぞれ設定し、測定した電圧が何れの範囲に属するかを特定することにより強度指数を特定しても良い。
電圧等の測定値を測定した上で基準値を特定することを例示したが、遊技機1を大量生産する場合に遊技機毎に電圧等の測定値を測定しなくとも、他の遊技機と同じ測定値を設定すれば良いので、必ずしも測定値を測定した上で特定しなくとも良い。
【0052】
上限と下限とを測定した上で調整可能としたが、右打ち下限に対応した左打ちの上限と右打ちの下限とが最も調整が必要となる箇所なので、この箇所だけを、即ち上限と下限との一方のみの電圧を測定して基準測定値を調整可能な対象としても良い。又、例示した数値や構成等は単なる例示であり、本発明の主旨を逸しない限り、どのような数値や構成を採用しても良い。
【0053】
対象となる遊技機はパチンコ遊技機におけるセブン機を例示することができるが、例示した以外の遊技機を対象としても勿論良い。この場合、所謂ハネモノ等の他のパチンコ遊技機や、遊技媒体を排出せずデータ上のポイントを遊技に応じて更新する所謂封入式の遊技機等も想定できるので、玉やメダル等の遊技媒体や上記ポイントを包含する遊技価値という表現を適宜使用した。
例示した構成を適宜設定に応じて採用するか否かを変更しても良いし、変形例を含む例示した構成をどのように組み合わせても良いし、適宜構成を除外しても良い。
【符号の説明】
【0054】
図面中、1,51は遊技機、2は遊技盤面、3,52はハンドル(操作手段)、19aはCPU(区分手段、設定手段、指数特定手段)である。
図1
図2
図3