【解決手段】本開示の一態様は、管体の成形方法である。管体は、大径部と、大径部に連続するテーパ部とを備える。管体は、テーパ部の外周面の一部が大径部の外周面よりも大径部の半径方向外側に突出する。管体成形方法は、板状素材の絞り加工により、筒状体を中心軸と平行な切断線で展開した展開素材を形成する工程と、展開素材の管体の内側となる面に芯金を配置する工程と、芯金を包むように展開素材を曲げて管状体を成形する工程と、管状体の内部から芯金を取り出す工程と、を備える。芯金は、突出部分成形用芯金を有する。突出部分成形用芯金は、管状体を成形する工程において、テーパ部の突出部分の内面に少なくとも一部が当接すると共に、大径部の内面のうち、大径部の中心軸に対しテーパ部の突出方向とは反対側の領域に当接しない。
大径部と、前記大径部に連続するテーパ部とを備え、前記テーパ部の外周面の一部が前記大径部の外周面よりも前記大径部の半径方向外側に突出する管体の成形方法であって、
板状素材の絞り加工により、筒状体を中心軸と平行な切断線で展開した展開素材を形成する工程と、
前記展開素材の前記管体の内側となる面に芯金を配置する工程と、
前記芯金を包むように前記展開素材を曲げて管状体を成形する工程と、
前記管状体の内部から前記芯金を取り出す工程と、
を備え、
前記芯金は、突出部分成形用芯金を有し、
前記突出部分成形用芯金は、前記管状体を成形する工程において、前記テーパ部の突出部分の内面に少なくとも一部が当接すると共に、前記大径部の内面のうち、前記大径部の中心軸に対し前記テーパ部の突出方向とは反対側の領域に当接しない、管体成形方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態の管体成形方法のフロー図である。
【
図2】
図2Aは、実施形態の管体成形方法で成形した管体の模式的な正面図であり、
図2Bは、
図2Aの管体の模式的な底面図であり、
図2Cは、
図2Aの管体の模式的な右側面図であり、
図2Dは、
図2Bの管体のIID−IID線における模式的な断面図である。
【
図3】
図3Aは、実施形態の管体成形方法で形成する展開素材の模式的な斜視図であり、
図3Bは、実施形態の管体成形方法で成形される管状体の模式的な斜視図である。
【
図4】
図4Aは、実施形態の管体成形方法における芯金の配置を示す模式的な断面図であり、
図4Bは、
図4Aの突出部分成形用芯金を移動させた状態を示す模式的な断面図であり、
図4Cは、
図4Aとは異なる実施形態の管体成形方法における芯金の配置を示す模式的な断面図であり、
図4Dは、
図4Cの突出部分成形用芯金を移動させた状態を示す模式的な断面図であり、
図4Eは、
図4A及び
図4Cとは異なる実施形態の管体成形方法における芯金の配置を示す模式的な断面図であり、
図4Fは、
図4Eの突出部分成形用芯金を移動させた状態を示す模式的な断面図であり、
図4Gは、
図4A、
図4C及び
図4Eとは異なる実施形態の管体成形方法における芯金の配置を示す模式的な断面図であり、
図4Hは、
図4Gの突出部分成形用芯金を移動させた状態を示す模式的な断面図であり、
図4Iは、
図4Hの突出部分成形用芯金のIVI−IVI線における模式的な断面図である。
【
図5】
図5Aは、実施形態の管体成形方法における芯金の配置を示す模式的な断面図であり、
図5Bは、
図5Aの突出部分成形用芯金を取り出した状態を示す模式的な断面図である。
【
図6】
図6Aは、実施形態の管体成形方法における芯金の配置を示す模式的な断面図であり、
図6Bは、
図6Aの大径部成形用芯金を取り出した状態を示す模式的な断面図であり、
図6Cは、
図6Aとは異なる実施形態の管体成形方法における芯金の配置を示す模式的な断面図であり、
図6Dは、
図6Cの大径部成形用芯金を取り出した状態を示す模式的な断面図であり、
図6Eは、
図6A及び
図6Cとは異なる実施形態の管体成形方法における芯金の配置を示す模式的な断面図であり、
図6Fは、
図6Eの大径部成形用芯金を取り出した状態を示す模式的な断面図である。
【
図7】
図7Aは、実施形態の管体成形方法における芯金の配置を示す模式的な断面図であり、
図7Bは、
図7Aの突出部分成形用芯金の取り出し方を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示す管体成形方法は、
図2A,2B,2C,2Dに示す管体1の成形方法である。管体1は、車両のマフラやコンバータ等に使用される部材である。
【0014】
管体1は、大径部2と、大径部2に連続するテーパ部3とを備える。大径部2は、径が一定の直管状の部分である。テーパ部3は、大径部2との接続端から大径部2とは反対側の端に向かって縮径する部分である。なお、本明細書における「テーパ」とは、中心軸方向に管体が縮径していることを意味し、中央断面における外縁が曲線であるものも含む概念である。
【0015】
管体1において、大径部2の中心軸とテーパ部3の中心軸とは、所定の角度で交差している。つまり、テーパ部3の中心軸は、大径部2の中心軸に対し偏角している。また、管体1は、テーパ部3の外周面の一部(以下、「突出部分」ともいう)3Aが大径部2の外周面よりも大径部2の半径方向外側に突出する複合形状を有する。つまり、テーパ部3の突出部分3Aは、大径部2の中心軸方向から視て、大径部2の外周面よりも外側に存在する。
【0016】
図1の管体成形方法は、展開素材形成工程S1と、トリム工程S2と、芯金配置工程S3と、管状体成形工程S4と、仮溶接工程S5と、芯金取出工程S6と、本溶接工程S7とを備える。
【0017】
<展開素材形成工程>
本工程では、板状素材に絞り加工を施し、筒状体を中心軸と平行な切断線で展開した展開素材を形成する。なお、絞り加工を行う板状素材としては、スケッチ材又はラフブランクが使用できる。
【0018】
<トリム工程>
本工程では、展開素材形成工程S1で絞り加工により得た展開素材にトリム加工を施し、
図3Aに示す展開素材10を得る。具体的には、展開素材10は、管体1の大径部2に対応する第1部分12と、管体1のテーパ部3に対応する第2部分13とを有する。第2部分13は、管体1の突出部分3Aに対応する突出部分形成領域13Aを有する。また、展開素材10は、第1部分12と第2部分13とを有する筒状体に対し、半径方向において突出部分形成領域13Aと対向する外周面を中心軸と平行な線で切り開いた形状を有する。
【0019】
なお、展開素材10において、筒状にした際に中心軸に対し突出部分形成領域13A側となる内面は、突出部分形成領域13Aを除いて、中心軸側に凸となるように湾曲している。一方で、突出部分形成領域13Aは、平坦面とされている。これにより、成形時に突出部分3Aにおけるしわの発生を抑制できる。
【0020】
<芯金配置工程>
本工程では、トリム工程S2で得た展開素材10の管体1の内側となる面上に管体1の形状に沿った外形の芯金を配置する。具体的には、展開素材10の中心軸と重なる部分に芯金を配置する。
【0021】
本実施形態の芯金は、
図4Aに示すように、複数の分割片を組み合わせたものである。この芯金は、突出部分成形用芯金21Aと、大径部成形用芯金22Aとの2つの分割片を有する。
【0022】
突出部分成形用芯金21Aは、次の管状体成形工程S4において、テーパ部3の突出部分3Aの内面全体に少なくとも一部が当接する。また、突出部分成形用芯金21Aは、テーパ部3の内面のうち、テーパ部3の中心軸に対し突出部分3Aとは反対側の(つまり、突出部分3Aと対向する)領域(以下、「突出部分対向領域」ともいう。)と、大径部2の内面のうち、大径部2の中心軸に対しテーパ部3の突出方向とは反対側(図中上側)の領域(以下、「上側領域」ともいう。)とには当接しない。
【0023】
具体的には、突出部分成形用芯金21Aは、テーパ部3の突出部分3Aの内面全体と、大径部2の内面のうち、大径部2の中心軸よりも突出部分3A側(図中下側)の領域(以下、「下側領域」ともいう。)とに当接する柱状体である。また、突出部分成形用芯金21Aの管状体11の内面と当接しない外面(つまり上面)は、大径部2の中心軸及びテーパ部3の中心軸と平行である。
【0024】
一方、大径部成形用芯金22Aは、突出部分成形用芯金21Aに対し、半径方向に一定距離離間しつつ対向するように配置される。大径部成形用芯金22Aは、次の管状体成形工程S4において、大径部2の上側領域に当接する。
【0025】
具体的には、大径部成形用芯金22Aは、大径部2及びテーパ部3の内面のうち、突出部分成形用芯金21Aが当接しない領域、つまり上側領域及び突出部分対向領域に当接する柱状体である。また、大径部成形用芯金22Aの管状体11の内面と当接しない外面(つまり下面)は、大径部2の中心軸及びテーパ部3の中心軸と平行である。
【0026】
突出部分成形用芯金21Aは、大径部成形用芯金22Aに対し管状体11の半径方向に一定距離離間するように配置される。突出部分成形用芯金21Aと大径部成形用芯金22Aとの離間距離は、後述する芯金取出工程S6において、突出部分成形用芯金21Aが大径部2の外周面よりも内側に移動可能なように設計される。
【0027】
<管状体成形工程>
本工程では、
図3Bに示すように、芯金配置工程S3で配置した芯金を包むように展開素材10を曲げて管状体11を成形する。具体的には、管体1の外形を形成するように展開素材10を芯金の外面に沿わせながら曲げ、展開素材10の端同士を突き合わせる。これにより管体1の外形を有する管状体11が成形される。
【0028】
<仮溶接工程>
本工程では、管状体成形工程S4で成形した管状体11における展開素材10の端同士を部分的に溶接し、仮固定を行う。なお、溶接は例えばTIG(タングステン−不活性ガス)溶接が使用できる。
【0029】
<芯金取出工程>
本工程では、管状体11の内部から芯金を取り出す。具体的には、本工程は、突出部分成形用芯金21Aをテーパ部3の突出部分3Aから離間するように管状体11内で移動させる工程と、突出部分成形用芯金21Aの移動後、突出部分成形用芯金21A及び大径部成形用芯金22Aを大径部2側から取り出す工程とを有する。
【0030】
本実施形態では、
図4Bに示すように、突出部分成形用芯金21Aを大径部成形用芯金22Aと当接するように大径部2の半径方向に移動させ、突出部分3Aから離間させる。これにより、突出部分成形用芯金21Aは、大径部2の中心軸方向から視て、大径部2の外周面よりも内側の領域に移動する。そのため、突出部分成形用芯金21Aを管状体11の大径部2側から引き抜くことができる。
【0031】
<本溶接工程>
本工程では、芯金取出工程S6で芯金を取り出した管状体11に対し、
図3Bに示す展開素材10の端同士の接合部11Aを完全に溶接する。これにより、
図1に示す管体1が得られる。
【0032】
なお、得られた管体1に対し、テーパ部3の大径部2とは反対側の端部に、径が一定かつ大径部2よりも径の小さい小径部を形成してもよい。小径部は、テーパ部3に対し、ローラを用いたスピニング加工を行うことで形成できる。また、小径部は、ネッキング、バルジ成形、玉出しバーリング成形、曲げ成形等でも形成できる。
【0033】
[1−2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)突出部分成形用芯金21Aは、管状体成形工程S4において、大径部2の内面のうち、テーパ部3の突出方向とは反対側の領域に当接しない。そのため、テーパ部3が大径部2よりも半径方向外側に突出する管状体11において、管状体11内で突出部分成形用芯金21Aを移動させることで、突出部分成形用芯金21Aを大径部2側から管状体11の中心軸方向に取り出すことができる。つまり、一度の芯金を用いた曲げ成形によってテーパ部3が大径部2よりも半径方向外側に突出する管体1を成形することができ、テーパ部3を突出させるための二次加工を省略することができる。そのため、管体1を低コストで得ることができる。
【0034】
(1b)管状体成形工程S4において、大径部2の内面のうち、テーパ部3の突出方向とは反対側の領域に当接する大径部成形用芯金22Aを用いるので、管体1の成形精度を高められる。
【0035】
[2.第2〜9実施形態]
第2実施形態から第9実施形態までの管体成形方法は、用いる芯金が異なる以外は、第1実施態の管体成形方法と同じである。つまり、以下の実施形態では、展開素材形成工程S1と、トリム工程S2と、芯金配置工程S3と、管状体成形工程S4と、仮溶接工程S5と、本溶接工程S7とは、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0036】
<第2実施形態>
第2実施形態の管体成形方法は、
図4Cに示す芯金を用いる。
図4Cに示す芯金は、突出部分成形用芯金21Bと、大径部成形用芯金22Bとの2つの分割片を有する。
【0037】
突出部分成形用芯金21Bは、管状体成形工程S4において、テーパ部3の突出部分3Aの内面全体に当接する。突出部分成形用芯金21Bは、テーパ部3の中心軸方向と平行な外面を有する柱状体である。突出部分成形用芯金21Bは、大径部2の上側領域及びテーパ部3の突出部分対向領域には当接しない。突出部分成形用芯金21Bは、テーパ部3の中心軸に沿って、大径部2側にスライド可能に大径部成形用芯金22Bに支持される。
【0038】
大径部成形用芯金22Bは、大径部2及びテーパ部3の内面のうち、テーパ部3の突出部分3A以外の領域に当接する。大径部成形用芯金22Bは、内部に突出部分成形用芯金21Bがテーパ部3の中心軸方向にスライド可能な空間を有する。芯金配置工程S3では、突出部分成形用芯金21Bがこの空間内で突出部分3Aに当接するように配置される。なお、突出部分成形用芯金21Bの支持機構としては、バネ等の弾性体や、シリンダを用いることができる。
【0039】
本実施形態では、芯金取出工程S6において、
図4Dに示すように、突出部分成形用芯金21Bをテーパ部3の中心軸に沿って突出部分3Aと離間する方向に(つまり大径部2に向かって)スライドさせる。これにより、突出部分成形用芯金21Bを管状体11の大径部2側から引き抜くことができる。
【0040】
<第3実施形態>
第3実施形態の管体成形方法は、
図4Eに示す芯金を用いる。
図4Eに示す芯金は、突出部分成形用芯金21Cと、大径部成形用芯金22Cとの2つの分割片を有する。
【0041】
突出部分成形用芯金21Cは、管状体成形工程S4において、テーパ部3の突出部分3Aの内面全体に当接する。突出部分成形用芯金21Cは、テーパ部3の中心軸と平行な中心軸を有する柱状体である。突出部分成形用芯金21Cは、大径部2の上側領域及びテーパ部3の突出部分対向領域には当接しない。突出部分成形用芯金21Cは、中心軸を中心とした回転(つまり自転)が可能なように大径部成形用芯金22Cに支持される。
【0042】
突出部分成形用芯金21Cは、中心軸に対し非対称な形状をしている。突出部分成形用芯金21Cは、中心軸を中心とした回転移動により突出部分3Aから離間し、かつ大径部2の中心軸方向から視て、大径部2の外周面よりも内側の領域に移動するように構成される。
【0043】
大径部成形用芯金22Cは、大径部2及びテーパ部3の内面のうち、テーパ部3の突出部分3A以外の領域に当接する。大径部成形用芯金22Cは、内部に突出部分成形用芯金21Cが中心軸を中心に回転可能な空間を有する。芯金配置工程S3では、突出部分成形用芯金21Cがこの空間内で突出部分3Aに当接するように配置される。
【0044】
本実施形態では、芯金取出工程S6において、
図4Fに示すように、突出部分成形用芯金21Cを中心軸を中心として回転移動させ、突出部分3Aと離間させる。これにより、突出部分成形用芯金21Cを管状体11の大径部2側から引き抜くことができる。
【0045】
<第4実施形態>
第4実施形態の管体成形方法は、
図4Gに示す芯金を用いる。
図4Gに示す芯金は、突出部分成形用芯金21Dと、大径部成形用芯金22Dと、第1補助芯金23D、第2補助芯金24D、第3補助芯金25D、及び第4補助芯金26Dとの6つの分割片を有する。
【0046】
突出部分成形用芯金21Dは、テーパ部3の突出部分3Aの内面全体に当接する。突出部分成形用芯金21Dは、大径部2の内面及びテーパ部3の突出部分対向領域には当接しない。また、突出部分成形用芯金21Dの管状体11の内面と当接しない外面のうち、大径部2側の外面は大径部成形用芯金22Dに当接し、テーパ部3の半径方向における突出部分3Aと反対側の外面(つまり上面)は、第3補助芯金25D及び第4補助芯金26Dに当接する。
【0047】
大径部成形用芯金22Dは、大径部2の内面全体に当接する柱状体である。大径部成形用芯金22Dには、大径部2の中心軸方向に貫通する孔が設けられる。この孔に第1補助芯金23Dが挿通される。
【0048】
第1補助芯金23Dは、棒状体であり、芯金配置工程S3では、大径部成形用芯金22Dの貫通孔に挿入される。このとき、棒状体の先端は、テーパ部3の内側に設けられた、突出部分成形用芯金21D、第2補助芯金24D、第3補助芯金25D及び第4補助芯金26Dの間の空隙まで到達する。
【0049】
第2補助芯金24D、第3補助芯金25D及び第4補助芯金26Dは、テーパ部3の内面のうち、突出部分成形用芯金21Dが当接しない領域に当接する。また、第2補助芯金24Dは、第3補助芯金25D及び第4補助芯金26Dと当接する。
【0050】
突出部分成形用芯金21D、第2補助芯金24D、第3補助芯金25D及び第4補助芯金26Dは、テーパ部3の内部において、第1補助芯金23Dの先端部分により、テーパ部3の半径方向に一定距離離間されて配置される。突出部分成形用芯金21D、第2補助芯金24D、第3補助芯金25D及び第4補助芯金26Dの離間距離は、芯金取出工程S6において、突出部分成形用芯金21Dが大径部2の外周面よりも内側に移動可能なように設計される。
【0051】
本実施形態では、芯金取出工程S6において、まず、
図4Hに示すように、第1補助芯金23Dを大径部2側から引き抜く。次に、
図4H,4Iに示すように、突出部分成形用芯金21D、第2補助芯金24D、第3補助芯金25D及び第4補助芯金26Dをテーパ部3の中心軸側に移動させ、突出部分成形用芯金21Dを突出部分3Aと離間させる。これにより、突出部分成形用芯金21D、第2補助芯金24D、第3補助芯金25D及び第4補助芯金26Dを管状体11の大径部2側からそれぞれ引き抜くことができる。なお、テーパ部3内に配置される芯金の分割数(突出部分成形用芯金と補助芯金との合計数)は、4つに限定されず、2つあるいは3つ、又は5つ以上でもよい。
【0052】
<第5実施形態>
第5実施形態の管体成形方法は、
図5Aに示す芯金を用いる。
図5Aに示す芯金は、突出部分成形用芯金21Eと、大径部成形用芯金22Eとの2つの分割片を有する。
【0053】
突出部分成形用芯金21Eは、管状体成形工程S4において、テーパ部3の突出部分3Aの内面全体と、大径部2の内面のうち、突出部分3Aと連続する部分とに当接する。突出部分成形用芯金21Eは、大径部2の上側領域及びテーパ部3の突出部分対向領域には当接しない。突出部分成形用芯金21Eの管状体11に当接しない外面は、大径部成形用芯金22Eと当接する。
【0054】
大径部成形用芯金22Eは、大径部2及びテーパ部3の内面のうち、突出部分成形用芯金21Eが当接しない領域に当接する。大径部成形用芯金22Eは、管状体11の形状に沿った柱状体から、突出部分3A近傍部分を切欠いた形状を有する。この切欠いた部分に突出部分成形用芯金21Eが嵌め込まれるように配置される。
【0055】
本実施形態では、芯金取出工程S6は、
図5Bに示すように突出部分成形用芯金21Eをテーパ部3側から取り出す工程と、突出部分成形用芯金21Eの取り出し後、大径部成形用芯金22Eを大径部2側から取り出す工程とを有する。これらの工程により、管状体11から芯金をすべて取り出すことができる。
【0056】
<第6実施形態>
第6実施形態の管体成形方法は、
図6Aに示す芯金を用いる。
図6Aに示す芯金は、突出部分成形用芯金21Fと、大径部成形用芯金22Fとの2つの分割片を有する。
【0057】
突出部分成形用芯金21Fは、管状体成形工程S4において、テーパ部3の突出部分3Aの内面全体と、テーパ部3の突出部分対向領域のうち先端側(つまり大径部2とは反対側)の一部と、大径部2の下側領域とに当接する柱状体である。また、突出部分成形用芯金21Fの管状体11の内面と当接しない外面(つまり上面)は、大径部2の中心軸と平行である。
【0058】
大径部成形用芯金22Fは、大径部2及びテーパ部3の内面のうち、突出部分成形用芯金21Fが当接しない領域に当接する柱状体である。大径部成形用芯金22Fの管状体11の内面と当接しない外面(つまり下面)は、大径部2の中心軸と平行であり、突出部分成形用芯金21Fと当接する。
【0059】
本実施形態では、芯金取出工程S6は、
図6Bに示すように大径部成形用芯金22Fを大径部2側から取り出す工程と、大径部成形用芯金22Fの取り出し後、突出部分成形用芯金21Fを大径部2側から取り出す工程とを有する。
【0060】
突出部分成形用芯金21Fは、大径部成形用芯金22Fを取り出した後の空間を使用して、管状体11内で中心軸方向に位置をずらしながら移動させることで、大径部2側から取り出すことができる。
【0061】
<第7実施形態>
第7実施形態の管体成形方法は、
図6Cに示す芯金を用いる。
図6Cに示す芯金は、突出部分成形用芯金21Gと、大径部成形用芯金22Gとの2つの分割片を有する。
【0062】
突出部分成形用芯金21Gは、管状体成形工程S4において、テーパ部3の内面全体に当接する。突出部分成形用芯金21Gは、大径部2の内面には当接しない。また、突出部分成形用芯金21Gの大径部2側の外面(つまり側面)は、大径部成形用芯金22Gと当接する。大径部成形用芯金22Gは、大径部2の内面全体に当接する柱状体である。大径部成形用芯金22Gのテーパ部3側の側面は、突出部分成形用芯金21Gと当接する。
【0063】
本実施形態では、芯金取出工程S6において、第6実施形態と同様、
図6Dに示すように大径部成形用芯金22Gを大径部2側から取り出すことで、突出部分成形用芯金21Gを大径部2側から取り出せる。
【0064】
<第8実施形態>
第8実施形態の管体成形方法は、
図6Eに示す芯金を用いる。
図6Eに示す芯金は、複数の突出部分成形用芯金21H,21I,21J,21Kと、複数の大径部成形用芯金22H,22I,22J,22Kとの複数の分割片を有する。
【0065】
複数の突出部分成形用芯金21H,21I,21J,21Kは、
図6Cの突出部分成形用芯金21Gをテーパ部3の中心軸方向に分割したものである。また、複数の大径部成形用芯金22H,22I,22J,22Kは、
図6Cの大径部成形用芯金22Gを大径部2の中心軸方向に分割したものである。複数の突出部分成形用芯金21H,21I,21J,21K及び複数の大径部成形用芯金22H,22I,22J,22Kの半径方向の中心には、1本の紐状部材27Hが挿通される。なお、紐状部材27Hとしては、ワイヤ、糸等の張力が伝達できる部材が例示される。
【0066】
管状体成形工程S4において、複数の突出部分成形用芯金21H,21I,21J,21K及び複数の大径部成形用芯金22H,22I,22J,22Kは、管状体11の中心軸方向に連結され、隙間なく配置される。
【0067】
本実施形態では、芯金取出工程S6において、
図6Fに示すように、複数の大径部成形用芯金22H,22I,22J,22K及び複数の突出部分成形用芯金21H,21I,21J,21Kを大径部2側から連続して取り出すことができる。
【0068】
<第9実施形態>
第9実施形態の管体成形方法は、
図7Aに示す芯金を用いる。
図7Aに示す芯金は、単一の突出部分成形用芯金21Lから構成される。突出部分成形用芯金21Lは、
図6Aの突出部分成形用芯金21Fと同様のものである。
【0069】
本実施形態では、突出部分成形用芯金21Lの上側に他の芯金が配置されない。そのため、芯金取出工程S6において、突出部分成形用芯金21Lは、
図7Bに示すように、管状体11内で中心軸方向に位置をずらしながら移動させることで、大径部2側から取り出すことができる。
【0070】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0071】
(3a)上記各実施形態における突出部分成形用芯金及び大径部成形用芯金の数は、変更が可能である。したがって、突出部分成形用芯金及び/又は大径部成形用芯金を任意の数にさらに分割してもよい。
【0072】
(3b)上記各実施形態の管体成形方法において、仮溶接工程は必須の工程ではなく、省略が可能である。また、本溶接工程を芯金取出工程前に行ってもよい。さらに、上記以外の工程を適宜行ってもよい。
【0073】
(3c)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。