特開2018-115401(P2018-115401A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-115401(P2018-115401A)
(43)【公開日】2018年7月26日
(54)【発明の名称】帽子
(51)【国際特許分類】
   A42B 1/04 20060101AFI20180629BHJP
   A42B 1/16 20060101ALI20180629BHJP
【FI】
   A42B1/04 F
   A42B1/16 Z
   A42B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-5698(P2017-5698)
(22)【出願日】2017年1月17日
(71)【出願人】
【識別番号】504391569
【氏名又は名称】株式会社ブラウニー
(71)【出願人】
【識別番号】301015967
【氏名又は名称】株式会社コカジ
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】嵜中 宏司
(72)【発明者】
【氏名】古鍛治 正嘉
(57)【要約】
【課題】ツインテールのテール部などの髪の毛の束ねた部分を必要に応じてクラウン部外に引き出した状態で容易に被ることができるとともに、髪の毛を束ねているリボンやシュシュ等が外れたりすること無く容易に帽子を脱ぐことができる帽子を提供する。
【解決手段】クラウン部1aを形成する帽子Aの左右の第2レンゲ12と第3レンゲ13の端縁同士をそれぞれ重ね合わせて、非縫着状態の重ね合わせ部17を帽子Aの両側に設けるとともに、重ね合わせ部17の下端部を重ね合わせ状態を保持、解除可能なスナップボタン18を設けた。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向の一部に下端縁からクラウン部の上端部まで非縫着状態かつ帽子形成部材の重ね合わせ部を備え、
前記重ね合わせ部は、下端側に、重ね合わせ部下端の重ね合わせ状態を保持する保持解除可能な重ね合わせ状態保持手段を有していることを特徴とする帽子。
【請求項2】
重ね合わせ部の上下方向中間位置に、中間位置の重ね合わせ状態を保持する保持解除可能な重ね合わせ状態保持手段を備えている請求項1に記載の帽子。
【請求項3】
重ね合わせ部が、少なくとも帽子の両側に設けられている請求項1または請求項2に記載の帽子。
【請求項4】
重ね合わせ部の重なり幅が、上端側から下端側に向かって徐々に幅広になっている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の帽子。
【請求項5】
重ね合わせ状態保持手段が、スナップボタンである請求項1〜請求項4のいずれかに記載の帽子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、サイドテール、ツインテールやポニーテールなどのように髪の毛をリボンやシュシュなどによって束ねて形成したテール部を必要に応じてクラウン部外に出した状態で着用できる帽子に関する。
【背景技術】
【0002】
若い女性、特に、ティーンエイジャーなどは、おしゃれのために、髪の毛を、ワンサイドに束ねるサイドテールや、両サイドに束ねるツインテールや、後頭部に束ねるポニーテールなどと称される髪型にする場合がある。
しかし、日差しを避けるために、帽子をかぶろうとすると、折角のツインテールやポニーテールのテール部分が邪魔になったり、リボンやシュシュ等が外部から見えず、ファッション性が損なわれたりする。
【0003】
そこで、束ねた髪の毛のテール部を帽子の外におしゃれに出せるように、クラウン部分に蓋布付きの穴を備えた帽子が提案されている(特許文献1)。
すなわち、この帽子は、束ねた髪の位置に合う穴の布蓋を取り外した後、穴を介して上記テール部を帽子の内側から外側に出して、ツインテールやポニーテールのテール部を帽子外に出してファッション性を備えたものとすることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3098627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記帽子の場合、クラウン部に設けた穴にテール部を帽子の内側から通す必要があるため、帽子を被りづらい。また、穴からテール部をクラウン部外に引き出す際に、テール部先端の髪の毛部分が、穴の周縁部にひっかかり、折角テール部の髪型が型崩れしたり、毛先がばらばらになって見栄えの悪いものになってしまうおそれがある。
さらに、帽子を脱ぐ際にも、髪の毛を束ねているリボンやシュシュ等が穴の縁に引っかかり、リボンやシュシュ等が外れてしまい、髪を結いなおさなければならない恐れもある。
【0006】
また、上記帽子の場合、着脱自在に設けたいずれかの布蓋を取り外して穴を開放状態にして上記のように使用するようになっているため、布蓋をなくしてしまったりしやすいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて、ツインテールのテール部などの髪の毛の束ねた部分を必要に応じてクラウン部外に引き出した状態で容易に被ることができるとともに、髪の毛を束ねているリボンやシュシュ等が外れたりすること無く容易に帽子を脱ぐことができる帽子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる帽子(以下、「本発明の帽子」と記す)は、周方向の一部に下端縁からクラウン部の上端部まで非縫着状態かつ帽子形成部材の重ね合わせ部を備え、前記重ね合わせ部は、下端側に、重ね合わせ部下端の重ね合わせ状態を保持する保持解除可能な重ね合わせ状態保持手段を有していることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の帽子は、上記構成に加えて、重ね合わせ部の上下方向中間位置に、中間位置の重ね合わせ状態を保持する保持解除可能な重ね合わせ状態保持手段を備えている構成や、重ね合わせ部の重なり幅が、上端側から下端側に向かって徐々に幅広になっている構成としてもよい。
【0010】
本発明の帽子は、重ね合わせ部が、少なくとも帽子の両側に設けられている構成としてもよい。
すなわち、かかる構成とすることによって、たとえば、ツインテールの両側のテール部をクラウン部外に出した状態にして容易に帽子を被ることができる。
【0011】
本発明の帽子において、重ね合わせ状態保持手段としては、重ね合わせ状態を保持して、帽子を被った状態に保持できれば、特に限定されず、スナップボタンを用いる方法、面状ファスナー(商標名マジックファスナー)を用いる方法、重ね合わせ部の一方にボタンを取り付け、他方にこのボタンが係止できるボタンホールを設ける方法などが挙げられ、スナップボタンを用いることが好ましい。
【0012】
本発明の帽子の形状としては、特に限定されず、たとえば、キャップ形状、ハット形状、ハンチング形状などが挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる帽子は、以上のように、クラウン部の一部にクラウン下端から上端近傍まで非縫着状態のクラウン部形成部材の重ね合わせ部を備え、前記重ね合わせ部は、下端側に、重ね合わせ部下端の重ね合わせ状態を保持する保持解除可能な重ね合わせ状態保持手段を有しているので、束ねた髪の毛をクラウン部外に出すには、まず、束ねた髪の毛の位置に相当する重ね合わせ部の重ね合わせ状態保持手段を保持解除状態にして、重ね合わせ部を拡げた状態にして、帽子を被るようにすれば、束ねた髪の毛が型崩れすることなく、帽子を被ることができる。
また、重ね合わせ状態保持手段を保持解除状態にして、帽子を被った後、重ね合わせ部に隣接する部分の髪の毛を手で束ねた状態で重ね合わせ部を拡げながら、重ね合わせ部を構成するクラウン部形成部材の非縫着部によって形成されるスリット状の隙間を介してクラウン部外に出た状態にする。
その後、束ねた髪の毛の下方で、重ね合わせ状態保持手段を重ね合わせ保持状態にすることで、束ねた髪の毛が、重ね合わせ部を構成するクラウン部形成部材の非縫着部によって形成されるスリット状の隙間を介してクラウン部外に出た状態に帽子を被ることができる。
【0014】
また、帽子を脱ぐ際には、まず、重ね合わせ状態保持手段を保持解除状態にして帽子を持ち上げるようにすれば、束ねた髪の毛を型崩れさせることなく、帽子を脱ぐことができる。
勿論、束ねた髪の毛をクラウン外に出さない場合は、重ね合わせ状態保持手段を重ね合わせ保持状態で帽子をそのまま被れば、普通の帽子の使用状態として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明にかかる帽子の第1の実施の形態をあらわし、その右側面である。
図2図1の帽子の左側面図である。
図3図1の帽子の重ね合わせ部を開放した状態の右側面図である。
図4図1の帽子の重ね合わせ部を開放した状態の左側面図である。
図5図1の帽子において、ツインテールのテール部を、クラウン部の両側から外部に出した状態の正面図である。
図6図5の右側面図である。
図7】本発明にかかる帽子の第2の実施の形態をあらわす側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1図6は、本発明にかかる帽子の第1の実施の形態をあらわしている。
【0017】
図1図6に示すように、この帽子Aは、クラウン部1aと、鍔部2と、エンブレム3を備えるキャップ形状をしている。
クラウン部1aは、クラウン部形成部材としての左右一対の第1レンゲ(ハギ)11,11、左右一対の第2レンゲ12,12、左右一対の第3レンゲ13,13、左右一対の第4レンゲ14,14およびアジャスター15から形成されている。
【0018】
2つの第1レンゲ11は、クラウン部1aの前面部を構成し、その隣接する側縁同士が上端から下端まで縫い合わされて他方の第1レンゲ11と一体化されているとともに、下端縁が鍔部2にそれぞれ縫い合わされている。
2つの第2レンゲ12は、一方がその一側縁を左側の第1レンゲ11の他側縁と、他方がその一側縁を右側の第1レンゲ11の他側縁と、それぞれ上端から下端まで縫い合わされて第1レンゲ11と一体化されている。
【0019】
また、第2レンゲ12の第1レンゲ11側の下端が鍔部にそれぞれ縫い合わされている。
すなわち、鍔部2が、第1レンゲ11および第2レンゲ12に支持固定されて、クラウン部1aに一体化されている。
【0020】
2つの第3レンゲ13は、一方がその一側縁を左側の第2レンゲ12の他側縁と重なり幅が下方に向かって徐々に幅広となるように、第2レンゲ12の他側縁に下方から重ね合わされ、他方がその一側縁を左側の第2レンゲ12の他側縁と重なり幅が下方に向かって徐々に幅広となるように、第2レンゲ12の他側縁に下方から重ね合わされている。
すなわち、第2レンゲ12と、第3レンゲ13によって重ね合わせ部17が形成されている。
【0021】
そして、左右の第2レンゲ12と第3レンゲ13は、それぞれ、上端および上端から2cm〜3cm程度下方の位置に設けられた縫製部16でのみ縫い合わせられ、その他の部分は縫い合わされていない。
【0022】
重ね合わせ部17は、図3図5に示すように、第2レンゲ12側の下端端縁側に重ね合わせ状態保持手段としての第1スナップボタン18の係着部材(または被係着部材)となる凹(雌)部材18aが取り付けられ、第3レンゲ13の重ね合わせ部17の凹部材18aに対応する部分に第1スナップボタン18の被係着部材(または係着部材)となる凸(雄)部材18bが取り付けられている。
また、重ね合わせ部17の縫製部16と、第1スナップボタン18の間には、第2レンゲ12の第3レンゲ13側の面に第2スナップボタン19の凹部材19aが取り付けられ、第3レンゲ13の第2スナップボタン19の凹部材119aに対応する面に第2スナップボタン19の凸部材19bが取り付けられている。
【0023】
2つの第4レンゲ14は、下端の一側に切欠部14aが設けられた対称形状をしていて、切欠部14aが向き合うように端縁同士が縫い合わされているとともに、他側縁が、第3レンゲ13の他側縁(重ね合わせ部17と反対側の縁)が縫い合わされている。
また、2つの第4レンゲ14は、切欠部14aの下端部間が、アジャスター15で連結されている。
【0024】
エンブレム3は、猫のぬいぐるみ様をした立体形状になっていて、クラウン部1aの正面中央に縫製または接着によってクラウン部1aに固定されている。
【0025】
この帽子Aは、上記のように、クラウン部1aの両側に重ね合わせ部17を備えていて、第1スナップボタン18の凹部材18aと凸部材18bの嵌合を解除するとともに、第2スナップボタン19の凹部材19aと凸部材19bの嵌合を解除することによって、重ね合わせ部17を構成する第2レンゲ12と第3レンゲ13との間を開放することができる。
したがって、第2レンゲ12と第3レンゲ13との間を開放しつつ、帽子Aを被るようにすれば、図3に示すように、ツインテールに束ねた左右のテール部H1が、第2レンゲ12と第3レンゲ13との間にスムーズに入り込む。
【0026】
そして、この状態で、第1スナップボタン18の凹部材18aと凸部材18bを嵌合させれば、テール部H1が、縫製部16と第1スナップボタン18の間に形成される第2レンゲ12と第3レンゲ13の隙間Sを介してクラウン部1a外に出た状態に保持される。
すなわち、図6に示すように、ツインテールに束ねた両側のテール部H1が帽子Aのクラウン部1aの両側で外側に露出した状態に帽子Aをおしゃれに被ることができる。
【0027】
また、第1スナップボタン18と縫製部16との間に、第2スナップボタン19が設けられているので、髪の毛を外側に出すことなく帽子Aを使用する場合には、第1スナップボタン18の凹部材18aと凸部材18bを嵌合させるとともに、第2スナップボタン19凹部材19aと凸部材19bを嵌合させた状態にすれば、重ね合わせ部17が開かず、通常の帽子として使用することができる。
さらに、この帽子Aは、重ね合わせ状態保持手段として第1スナップボタン18と第2スナップボタン19が用いられているので、面ファスナを用いた場合に比べ、重ね合わせ状態保持手段に髪の毛が絡むということが少ない。
【0028】
図7は、本発明の帽子の第2の実施の形態をあらわしている。
図7に示すように、この帽子Bは、第2レンゲ12と第3レンゲ13の重ね合わせ部17に加えて、第3レンゲ13と第4レンゲ14の重ね合わせ部17を設けた以外は、すなわち、クラウン部1bの周方向に4つの重ね合わせ部17を設けた以外は、上記第1の実施の形態の帽子Aと同様になっている。
【0029】
この帽子Bは、上記のようになっているので、テール部H1を帽子Bの両側方だけでなく、クラウン部1bの斜め後方から外側に出すことができる。
したがって、1つの帽子で、いろいろな髪型に対応することができる。
【0030】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、アジャスターを備えていたが、アジャスターはなくても構わないし、アジャスターを設ける代わりに、重ね合わせ部を設けて、ポニーテールに束ねた髪の毛を上記と同様にしてクラウン部外に出せるようにしても構わない。
上記の実施の形態では、クラウン部の正面中央に立体的なぬいぐるみ様のエンブレムが縫製によって取り付けられていたが、エンブレムはなくても構わないし、エンブレムに代えて、文字や絵を印刷するようにしても構わない。
【0031】
上記の実施の形態では、クラウン部が、四対のレンゲを用いて形成されていたが、レンゲの枚数は、所望形状のクラウン部および重ね合わせ部を形成できれば、四対より少なくても多くても構わないし、奇数枚で構成してもよい。
上記の実施の形態では、第1スナップボタンと縫製部との間に第2スナップボタンが設けられていたが、第2スナップボタンはなくても構わないし、第2スナップボタンを2つ以上間欠的に設けるようにしても構わない。
【0032】
上記の実施の形態では、帽子がキャップ形状をしていたが、全周にわたって鍔部をそなえたハット形状をしていても構わない。かかる全周にわたって鍔部を備えたハット形状の帽子の場合、クラウン部から鍔部に連続する重ね合わせ部を設けるようにすればよい。
【符号の説明】
【0033】
A,B 帽子
1a,1b クラウン部
2 鍔部
3 マスコット
11 第1レンゲ(クラウン部形成部材)
12 第2レンゲ(クラウン部形成部材)
13 第3レンゲ(クラウン部形成部材)
14 第4レンゲ(クラウン部形成部材)
15 アジャスター
16 縫製部
17 重ね合わせ部
18 第1スナップボタン
19 第2スナップボタン
18a,19a 凹部材(係着部材または被係着部材)
18b,19b 凸部材(係着部材または被係着部材)
14a 切欠部
H1 テール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7