特開2018-115576(P2018-115576A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フタバ産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2018115576-マフラ 図000003
  • 特開2018115576-マフラ 図000004
  • 特開2018115576-マフラ 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-115576(P2018-115576A)
(43)【公開日】2018年7月26日
(54)【発明の名称】マフラ
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/08 20060101AFI20180629BHJP
【FI】
   F01N1/08 K
   F01N1/08 B
   F01N1/08 G
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-5789(P2017-5789)
(22)【出願日】2017年1月17日
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 岳広
(72)【発明者】
【氏名】貝沼 克彦
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004AA02
3G004BA05
3G004DA08
3G004DA09
3G004DA11
(57)【要約】
【課題】熱膨張の影響を抑制するのが望ましい。
【解決手段】マフラは、車両に搭載され、外殻部材と、セパレータと、第1パイプとを備える。外殻部材は、マフラの外面をなす板状の部位である。また、セパレータは、外殻部材の内部の空間を第1空間と第2空間とに仕切り、第1空間と第2空間とを繋ぐパイプ穴部を有する板状の部位である。また、第1パイプは、第1空間に繋がった状態で外殻部材に設けられた第1外側穴部から外殻部材の内部に延び、パイプ穴部に挿入された状態で配置される。そして、セパレータは、第1パイプがパイプ穴部に挿入される方向に沿って移動可能な状態で、パイプ穴部の縁により第1パイプを支持する。また、第1パイプは、第1外側穴部の縁に付着している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるマフラであって、
前記マフラの外面をなす板状の外殻部材と、
前記外殻部材の内部の空間を第1空間と第2空間とに仕切り、前記第1空間と前記第2空間とを繋ぐパイプ穴部を有する板状のセパレータと、
前記第1空間に繋がった状態で前記外殻部材に設けられた第1外側穴部から前記外殻部材の内部に延び、前記パイプ穴部に挿入された状態で配置される第1パイプと、
を備え、
前記セパレータは、前記第1パイプが前記パイプ穴部に挿入される方向に沿って移動可能な状態で、前記パイプ穴部の縁により前記第1パイプを支持し、
前記第1パイプは、前記第1外側穴部の縁に付着している
マフラ。
【請求項2】
請求項1に記載されたマフラにおいて、
前記セパレータは、前記パイプ穴部を囲む縁から前記第1空間又は前記第2空間に突出する部位であって、前記パイプ穴部に挿入された前記第1パイプを囲み、前記第1パイプを支持する支持部を有し、
前記支持部の根元をなす屈曲した部分であって、前記支持部の内側に位置する部分には、丸みが設けられている
マフラ。
【請求項3】
請求項1に記載されたマフラにおいて、
前記セパレータは、
前記パイプ穴部を囲む縁から前記第1空間又は前記第2空間に突出する部位であって、前記パイプ穴部に挿入された前記第1パイプを囲み、前記第1パイプを支持する支持部と、
前記支持部を囲む板状の壁部と、有し、
前記壁部には、前記支持部を囲み、前記支持部と同じ方向に突出する段差が設けられている
マフラ。
【請求項4】
請求項3に記載されたマフラにおいて、
前記第2空間に繋がった状態で前記外殻部材に設けられた第2外側穴部から延び、一端が前記第2空間に配置される第2パイプをさらに備え、
前記第2パイプの前記一端に位置する開口の縁は、前記セパレータの前記壁部における前記段差に沿って配置される
マフラ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載されたマフラにおいて、
前記第2空間に繋がった状態で前記外殻部材に設けられた第2外側穴部から延び、一端が前記第2空間に配置され、前記第1パイプよりも短い第2パイプをさらに備える
マフラ。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載されたマフラにおいて、
前記第2パイプは、前記第1パイプよりも太い
マフラ。
【請求項7】
請求項4から請求項6のうちのいずれか1項に記載されたマフラにおいて、
前記第2パイプの前記一端は、前記セパレータにより支持されている
マフラ。
【請求項8】
請求項7に記載されたマフラにおいて、
前記第2パイプは、前記セパレータにより支持された前記一端に位置する開口が、前記パイプ穴部を覆った状態で配置される
マフラ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうちのいずれか1項に記載されたマフラにおいて、
前記第1パイプにおける前記第2空間に繋がる開口の全部又は一部を覆う蓋部をさらに備え、
前記セパレータは、前記第1空間と前記第2空間とを繋ぐ1又は複数の連通穴部を有し、
前記第1パイプは、側面における前記第1空間に位置する部分に、1又は複数の第1側面穴部を有する
マフラ。
【請求項10】
請求項9に記載されたマフラにおいて、
前記第1パイプにおける前記1又は複数の第1側面穴部は、前記マフラが前記車両に搭載された際に上側に位置するように配置されている
マフラ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のうちのいずれか1項に記載されたマフラにおいて、
前記第2パイプは、前記一端に位置する開口の全部又は一部が覆われており、側面に1又は複数の第2側面穴部を有する
マフラ。
【請求項12】
請求項11に記載されたマフラにおいて、
前記第2パイプにおける前記1又は複数の第2側面穴部は、前記マフラが前記車両に搭載された際に上側に位置するように配置されている
マフラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載されるマフラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、両端に開口が設けられた細長い円筒形状のマフラが知られている。該マフラの内部には、これらの開口を繋ぐ複数のパイプが中央に設けられている。また、これらのパイプの側面には、複数の孔部が設けられている。そして、一方の開口からパイプに流入した排気の流れを、これらの孔部を介して径方向に広げることで、騒音が低下される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−127587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のマフラは、細長い形状をしており、また、内部に長いパイプが配置されている。しかし、このような長いパイプは、熱膨張により長さ方向に延びる度合いが大きい。このため、高温時にパイプ又はマフラ構成が変形する恐れがあった。
【0005】
熱膨張の影響を抑制するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面であるマフラは、車両に搭載される。該マフラは、外殻部材と、セパレータと、第1パイプとを備える。外殻部材は、マフラの外面をなす板状の部位である。また、セパレータは、外殻部材の内部の空間を第1空間と第2空間とに仕切り、第1空間と第2空間とを繋ぐパイプ穴部を有する板状の部位である。また、第1パイプは、第1空間に繋がった状態で外殻部材に設けられた第1外側穴部から外殻部材の内部に延び、パイプ穴部に挿入された状態で配置される。そして、セパレータは、第1パイプがパイプ穴部に挿入される方向に沿って移動可能な状態で、パイプ穴部の縁により第1パイプを支持する。また、第1パイプは、第1外側穴部の縁に付着している。
【0007】
ここで、第1パイプがパイプ穴部へ挿入される方向を、挿入方向とする。上記構成によれば、第1パイプが挿入方向に沿って移動可能な状態で、セパレータがパイプ穴部の縁により第1パイプを支持する。また、第1パイプは、外殻部材における第1外側穴部に付着している。このため、第1パイプに熱膨張が生じた際、マフラに含まれる他の部材に負荷を与えるのを抑制しながら、第1パイプをセパレータ側に延ばすことができる。つまり、熱膨張による第1パイプの延びを吸収できる。したがって、熱膨張の影響が抑制される。
【0008】
なお、セパレータは、パイプ穴部を囲む縁から第1空間又は第2空間に突出する部位であって、パイプ穴部に挿入された前記第1パイプを囲み、第1パイプを支持する支持部を有していても良い。そして、支持部の根元をなす屈曲した部分であって、支持部の内側に位置する部分には、丸みが設けられていても良い。
【0009】
このような構成によれば、第1パイプに熱膨張が生じた際、より円滑に、第1パイプを挿入方向に移動させることができる。このため、より確実に、熱膨張による第1パイプの延びを吸収できる。
【0010】
また、セパレータは、支持部と壁部とを有していても良い。支持部は、パイプ穴部を囲む縁から第1空間又は第2空間に突出する部位であって、パイプ穴部に挿入された第1パイプを囲み、第1パイプを支持しても良い。また、壁部は、支持部を囲む板状の壁部の部位であっても良い。そして、壁部には、支持部を囲み、支持部と同じ方向に突出する段差が設けられていても良い。
【0011】
このような構成によれば、第1パイプに熱膨張が生じた際、より円滑に、第1パイプを挿入方向に移動させることができる。このため、より確実に、熱膨張による第1パイプの延びを吸収できる。
【0012】
また、マフラは、第2空間に繋がった状態で外殻部材に設けられた第2外側穴部から延び、一端が第2空間に配置される第2パイプをさらに備えても良い。そして、第2パイプの一端に位置する開口の縁は、セパレータの壁部における段差に沿って配置されても良い。
【0013】
このような構成によれば、マフラの製造工程において、セパレータの段差に基づき、第2パイプを配置する位置を定めることができる。このため、第2パイプの配置を容易且つ確実に行うことができ、マフラの製造がより容易になる。
【0014】
また、マフラは、第2空間に繋がった状態で外殻部材に設けられた第2外側穴部から延び、一端が第2空間に配置され、第1パイプよりも短い第2パイプをさらに備えていても良い。
【0015】
パイプが長くなるに従い、熱膨張により長さ方向に延びる度合いが大きくなる。これに対し、上記構成によれば、マフラに配置された複数のパイプのうち、長い方のパイプについて、熱膨張による延びを吸収できる。このため、熱膨張の影響が、より好適に抑制される。
【0016】
また、第2パイプは、第1パイプよりも太くても良い。
このような構成を有する場合においても、熱膨張による第1パイプの延びを吸収できる。
【0017】
また、第2パイプの一端は、セパレータにより支持されていても良い。
このような構成によれば、セパレータにより第1及び第2パイプが支持される。このため、マフラの部品数を低減することが可能となる。
【0018】
また、第2パイプは、セパレータにより支持された一端に位置する開口が、パイプ穴部を覆った状態で配置されても良い。
このような構成によれば、第1及び第2パイプが並んだ状態で配置される。このため、マフラの小型化が可能となる。
【0019】
また、マフラは、第1パイプにおける第2空間に繋がる開口の全部又は一部を覆う蓋部をさらに備えていても良い。また、セパレータは、第1空間と第2空間とを繋ぐ1又は複数の連通穴部を有していても良い。そして、第1パイプは、側面における第1空間に位置する部分に、1又は複数の第1側面穴部を有していても良い。
【0020】
このような構成によれば、排気がセパレータにおける1又は複数の連通穴部を通過する際に、排気の流れが拡張される。これにより、マフラの騒音を好適に低減可能となる。
また、第1パイプにおける1又は複数の第1側面穴部は、マフラが車両に搭載された際に上側に位置するように配置されていても良い。
【0021】
マフラの外殻部材における底部には、凝縮水が溜まる場合がある。凝縮水とは、排気に含まれた水蒸気が凝縮することにより生成された水である。上記構成によれば、外殻部材の底部に溜まった凝縮水が、第1パイプに流入するのを抑制できる。このため、該凝縮水が、マフラに繋がる外部の排気管に流出するのを抑制できる。
【0022】
また、第2パイプは、一端に位置する開口の全部又は一部が覆われており、側面に1又は複数の第2側面穴部を有していても良い。
このような構成によれば、第2パイプを流下した排気が1又は複数の第2側面穴部を通過する際に、排気の流れが拡張される。これにより、マフラの騒音を好適に抑制できる。
【0023】
また、第2パイプにおける1又は複数の第2側面穴部は、マフラが車両に搭載された際に上側に位置するように配置されていても良い。
このような構成によれば、外殻部材の底部に溜まった凝縮水が、第2パイプに流入するのを抑制できる。このため、該凝縮水が、マフラに繋がる外部の排気管に流出するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1Aは、本実施形態のマフラの内部を透過的に示した側面図である。図1Bは、正面視されたセパレータを示す、図1Aにおける1B−1B断面図である。
図2図2Aは、本実施形態のマフラにおけるセパレータが配置された部分を側面視した断面図である。図2B〜2Dは、該マフラにおけるバーリング部の一部を側面視した断面図である。
図3図3Aは、変形例1のマフラにおけるセパレータが配置された部分を側面視した断面図である。図3Bは、該マフラにおけるバーリング部の一部を側面視した断面図である。図3Cは、変形例2のマフラにおける第1パイプの内側端部を含む部分の側面図である。図3Dは、該マフラにおける第1パイプの内側端部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0026】
[構成の説明]
本実施形態のマフラは、車両に搭載され、車両のエンジンからの排気が流下する。より詳しくは、該マフラは、オートバイではない自動車に搭載されても良い。図1Aに示すように、マフラ1は、外殻部材2と、第1パイプ3と、第2パイプ4と、セパレータ5とを有する。
【0027】
外殻部材2は、マフラ1の外面をなす板状の部材である。外殻部材2は、マフラ1の内部と外部とを隔てる。外殻部材2は、伸長方向2aに延びる細長い形状となっている。また、一例として、外殻部材2の両端をなす部分は、それぞれ、テーパー形状となっている。なお、これらの部分は、テーパー形状でなくても良い。また、これらの部分の中央には、それぞれ、伸長方向2aに向かう第1外側穴部20及び第2外側穴部21が設けられている。第1外側穴部20は、第1パイプ3における長手方向に直交する断面と同じ形状を有する。一方、第2外側穴部21は、第2パイプ4における長手方向に直交する断面と同じ形状を有する。また、第1外側穴部20及び第2外側穴部21は、伸長方向2aに沿って並んでおり、互いに対面する。なお、第1外側穴部20及び第2外側穴部21は、伸長方向2aとは異なる方向を向いていても良い。また、第1外側穴部20及び第2外側穴部21は、伸長方向2aとは異なる方向に沿って並んでいても良い。
【0028】
また、外殻部材2における伸長方向2aに直交する断面は、一例として円形状となっている。しかし、外殻部材2は、該断面が円形状ではない筒状に構成されていても良い。具体的には、該断面は、例えば、楕円形状、又は、多角形状等であっても良い。また、一例として、第1外側穴部20及び第2外側穴部21は、それぞれ、排気の流下方向の下流側、上流側に位置する。つまり、第2外側穴部21からマフラ1の内部に排気が流入し、第1外側穴部20からマフラ1の外部に排気が流出する。しかし、これとは反対に、第1外側穴部20及び第2外側穴部21は、それぞれ、排気の流下方向の上流側、下流側に位置していても良い。
【0029】
セパレータ5は、図1Bに示すように、伸長方向2aに直交又は略直交した状態で、外殻部材2の内部に配置される円形状の板状の部材である。セパレータ5は、外殻部材2の内部の空間を、第1空間6と第2空間7とに仕切る。なお、第1外側穴部20は、第1空間6に繋がり、第2外側穴部21は、第2空間7に繋がる。また、セパレータ5は、第1空間6と第2空間7とを繋ぐ1又は複数の連通穴部56を有する。
【0030】
また、セパレータ5は、その外周を囲む当接部57を有する。当接部57は、セパレータ5の外周をなす縁から、第2空間7に突出する板状の部位である。なお、当接部57は、第1空間6に突出していても良い。当接部57は、外殻部材2の内側に当接した状態となる。
【0031】
また、セパレータ5は、その中央に、第1空間6と第2空間7とを繋ぐパイプ穴部55を有する。詳細は後述するが、パイプ穴部55の縁をなす部分には、バーリング部50が設けられている。そして、パイプ穴部55には、第1パイプ3が挿入されている。パイプ穴部55は、第1パイプ3における長手方向に直交する断面と同じ形状を有する。
【0032】
第1,第2パイプ3,4は、一例として円筒状であり、伸長方向2aに沿って直線状に延びる。つまり、第1,第2パイプ3,4は、その長手方向に直交する断面が、円形状となっている。しかし、該断面は、例えば、楕円形状、又は、多角形状等であっても良い。また、第1,第2パイプ3,4は、伸長方向2aとは異なる方向に沿って延びていても良い。また、第1,第2パイプ3,4は、屈曲又は湾曲していても良い。
【0033】
第1パイプ3は、第1外側穴部20から外殻部材2の内部に延びる。以後、第1パイプ3における第1外側穴部20側に位置する端部を、外側端部30とし、外側端部30の反対側に位置する端部を、内側端部31と記載する。
【0034】
第1パイプ3は、内側端部31側が、セパレータ5のパイプ穴部55に挿入された状態で配置される。そして、第1パイプ3は、内側端部31に位置する側面が、伸長方向2aに沿って移動可能な状態で、セパレータ5のバーリング部50により、支持される。なお、図1Aでは、説明の為、バーリング部50の周辺が透過的に示されている。また、伸長方向2aとは、換言すれば、第1パイプ3がパイプ穴部55に挿入される方向である。このため、第1パイプ3の内側端部31の開口は、第2空間7に繋がった状態となる。また、第1パイプ3の内側端部31を含む部分は、第2空間7に突出した状態となる。なお、第1パイプ3は、第2空間7に突出しない状態で配置されても良い。また、第1パイプ3の内側端部31に位置する開口は、蓋部32により全部覆われている。なお、蓋部32に1又は複数の穴部を設け、蓋部32が該開口の一部を覆うようにしても良い。
【0035】
また、第1パイプ3は、外側端部30に位置する側面が、例えば溶接又はかしめ等により、第1外側穴部20の縁に付着されている。なお、第1パイプ3は、外側端部30を含む部分が、第1外側穴部20から外殻部材2の外部に突出した状態で配置されていても良い。
【0036】
また、第1パイプ3の側面における第1空間6に位置する部分には、複数の第1側面穴部33,34が設けられている。具体的には、第1パイプ3の側面におけるセパレータ5の付近には、1又は複数の穴部33が設けられている。また、第1パイプ3の側面における第1外側穴部20に隣接する部分には、1又は複数の穴部34が設けられている。そして、複数の第1側面穴部33,34は、マフラ1が車両に搭載された際、上側に位置するように配置されていても良い。なお、第1パイプ3には、1つの第1側面穴部が設けられていても良い。
【0037】
第2パイプ4は、第2外側穴部21から延び、一端が第2空間7に配置される。以後、第2パイプ4における第2外側穴部21側に位置する端部を、外側端部40とし、外側端部40の反対側に位置する端部を、内側端部41と記載する。なお、一例として、第2パイプ4は、第1パイプ3よりも短く、第1パイプ3よりも太い。しかし、第2パイプ4は、第1パイプ3よりも細くても良い。また、第2パイプ4は、第1パイプよりも長くても良い。
【0038】
第2パイプ4は、外側端部40に位置する側面が、例えば溶接又はかしめ等により、第2外側穴部21の縁に付着されている。また、第2パイプ4の内側端部41は、セパレータ5により支持される。具体的には、例えば、第2パイプ4の内側端部41は、セパレータ5に当接した状態となっていても良い。さらに、第2パイプ4の内側端部41は、例えば溶接又はかしめ等により、セパレータ5に付着されていても良い。
【0039】
この時、第2パイプ4の内側端部41の開口は、セパレータ5及び蓋部32により全部覆われた状態となる。しかし、蓋部32が1又は複数の穴部を有する場合、内側端部41の開口は、一部が覆われた状態となる。また、第2パイプ4の内側端部41は、セパレータ5に付着すること無く、セパレータ5に当接した状態となっていても良い。また、第2パイプ4の内側端部41は、セパレータ5から離れた状態となっていても良い。
【0040】
また、第2パイプ4の内側端部41の開口は、セパレータ5のパイプ穴部55を覆った状態となる。より詳しくは、内側端部41の開口の縁は、バーリング部50の外側に沿って配置される。このため、セパレータ5のバーリング部50、及び、第1パイプ3における第2空間7に突出する部分は、第2パイプ4の内側に位置する。なお、第2パイプ4の内側端部41の開口は、セパレータ5におけるパイプ穴部55とは別の領域を覆った状態となっても良い。
【0041】
また、第2パイプ4の側面には、1又は複数の第2側面穴部42が設けられている。1又は複数の第2側面穴部42は、マフラ1が車両に搭載された際、上側に位置するように配置されていても良い。
【0042】
[バーリング部の説明]
図2A,2Bに示すように、バーリング部50は、セパレータ5のパイプ穴部55の縁に設けられる。バーリング部50は、支持部51を有する。支持部51は、パイプ穴部55を囲む縁から第2空間7に突出する。支持部51は、パイプ穴部55に挿入された第1パイプ3を囲み、該第1パイプ3の側面に当接した状態となる。なお、支持部51と第1パイプ3とが当接する領域は、第1パイプ3の側面を一周する。また、第1パイプ3は、支持部51に付着されていない。このため、第1パイプ3は、伸長方向2aに沿って移動可能な状態で、支持部51により支持される。なお、支持部51と第1パイプ3との間に、例えば、ワイヤメッシュが配置されていても良い。
【0043】
図2Bに示すように、支持部51の根元部分は、第2空間7側に屈曲している。そして、該屈曲部分における支持部51の内側に位置する内側面51aには、丸み(換言すれば、湾曲した部分)が設けられている。該丸みの度合い(換言すれば、該丸みの半径R)は、随時調整される。
【0044】
ここで、セパレータ5における第2パイプ4の内側端部41の開口の縁と当接する部分を、当接部52とする。当接部52は、バーリング部50の外側を囲む。一例として、図2Cに示すように、支持部51の内側面51aのRは、内側面51aが、当接部52に隣接する部分から、支持部51の先端にわたって湾曲するように調整されていても良い。
【0045】
また、図2Dに示すように、バーリング部50は、上述した支持部51に加え、段差53を有していても良い。ここで、セパレータ5における支持部51を囲む板状の部分を、壁部54と記載する。段差53は、支持部51を囲んだ状態で、支持部51に沿って壁部54に設けられる。段差53は、壁部54における第2空間7側(換言すれば、支持部51が突出する方向と同じ方向)に突出するように屈曲した部分である。
【0046】
また、第2パイプ4の内側端部41の開口の縁は、段差53の外側に、段差53に沿って配置される。換言すれば、該開口の縁は、段差53に隣接して配置される。なお、該開口の縁は、段差53から離れた状態で配置されても良い。
【0047】
また、バーリング部50の支持部51、又は、支持部51及び段差53は、第1空間6に突出した状態で、同様にして設けられても良い。
[変形例について]
次に、マフラ1の変形例1,2について説明する。変形例1,2のマフラ1は、上記実施形態と同様の構成を有しているが、第1パイプ3の内側端部31の構成が上記実施形態と相違している。
【0048】
すなわち、図3A,3Bに示すように、変形例1では、第1パイプ3は、内側端部31が、上記実施形態に比べ第2空間7側に突出した状態で配置される。また、変形例1のマフラ1は、内側端部31の開口を覆う蓋部32を有さず、内側端部31を含む部分が、内側端部31に向かうに従い細くなる形状(例えば、テーパー形状等)となっている。そして、内側端部31の開口は、第1パイプ3の長手方向に直交する断面よりも小さくなっている。
【0049】
また、図3C,3Dに示すように、変形例2においても、第1パイプ3は、内側端部31が、上記実施形態に比べ第2空間7側に突出した状態で配置され、内側端部31の開口を覆う蓋部32が設けられていない。そして、第1パイプ3は、内側端部31を含む部分を変形させることで、内側端部31の開口が狭められている。なお、該部分を変形させることで、内側端部31は完全に閉塞された状態となっても良い。
【0050】
具体的には、一例として、内側端部31を含む部分がX状に潰されている。すなわち、該部分は、第1パイプ3の壁部が2重に重なった状態となるように潰されている。また、この2重に重なった部分は、X状に配置される。そして、内側端部31には、その中央に、X状に潰された第1パイプ3の壁部の隙間をなす開口31aが設けられる。該開口31aは、第1パイプ3の内側の空間に連通している。
【0051】
[効果]
(1)上記実施形態によれば、第1パイプ3が伸長方向2aに沿って移動可能な状態で、セパレータ5が、パイプ穴部55の縁により、第1パイプ3の内側端部31を支持している。具体的には、例えば、第1パイプ3は、パイプ穴部55の縁をスライドすることで、伸長方向2aに沿って移動しても良い。また、例えば、セパレータ5がたわむことで、第1パイプ3が伸長方向2aに沿って移動しても良い。
【0052】
また、第1パイプ3は、外側端部30が、溶接等により、外殻部材2の第1外側穴部20の縁に付着されている。このため、第1パイプ3に熱膨張が生じた際、マフラ1に含まれる他の部材に負荷を与えるのを抑制しながら、第1パイプ3をセパレータ5側に延ばすことができる。つまり、熱膨張による第1パイプ3の延びを吸収できる。したがって、熱膨張の影響が抑制される。
【0053】
また、外殻部材2の底部には、凝縮水が溜まる場合がある。凝縮水とは、排気に含まれた水蒸気が凝縮することにより生成された水である。これに対し、第1パイプ3と外殻部材2の第1外側穴部20の縁とが溶接されている場合、第1パイプ3と第1外側穴部20の縁との間に隙間が生じるのが抑制される。このため、外殻部材2の底部に溜まった凝縮水が、第1外側穴部20からマフラ1の外部に流出するのを抑制できる。
【0054】
(2)また、セパレータ5のパイプ穴部55の縁に設けられたバーリング部50では、支持部51の根元における内側面51aに、Rが設けられている。これにより、第1パイプ3に熱膨張が生じた際、より円滑に、第1パイプ3を伸長方向2aに移動させることができる。このため、より確実に、熱膨張による第1パイプ3の延びを吸収できる。
【0055】
(3)また、バーリング部50に段差53を設けることも考えられる。このような場合においても、第1パイプ3に熱膨張が生じた際、より円滑に、第1パイプ3を伸長方向2aに移動させることができる。このため、より確実に、熱膨張による第1パイプ3の延びを吸収できる。
【0056】
(4)また、第2パイプ4の内側端部41の開口の縁は、バーリング部50の段差53に隣接して配置される。このため、マフラ1の製造工程において、セパレータ5の段差53に基づき、第2パイプ4を配置する位置を定めることができる。このため、第2パイプ4の配置を容易且つ確実に行うことができ、マフラ1の製造がより容易になる。
【0057】
(5)また、パイプが長くなるに従い、熱膨張により長さ方向に延びる度合いが大きくなる。これに対し、上記実施形態によれば、マフラに配置された第1及び第2パイプ3,4のうち、長い方の第1パイプ3の熱膨張による延びが吸収される。このため、熱膨張の影響が、より好適に抑制される。
【0058】
(6)また、上記実施形態では、セパレータ5は、第1パイプ3に加え、第2パイプ4の内側端部41も支持する。このため、マフラ1の部品数を低減することが可能となる。
(7)また、上記実施形態では、第2パイプ4の内側端部41の開口は、セパレータ5のパイプ穴部55を覆った状態となる。つまり、第1パイプ3における第2空間7への突出部分は、第2パイプ4の内側に配置される。これにより、第1及び第2パイプ3,4が一列に並んだ状態となり、マフラ1の小型化が可能となる。
【0059】
(8)また、上記実施形態によれば、第2パイプ4に流入した排気が、1又は複数の第2側面穴部42を通過する際に、排気の流れが拡張される。さらに、1又は複数の第2側面穴部42を通過した排気が、セパレータ5における1又は複数の連通穴部56を通過する際に、排気の流れが拡張される。つまり、第2パイプ4における1又は複数の第2側面穴部42と、セパレータ5における1又は複数の連通穴部56との2か所で、排気の流れが拡張される。このため、マフラの騒音を好適に抑制できる。
【0060】
特に、オートバイではない自動車において、低速時における排気による騒音を抑制するためには、マフラの配置位置をより前方にするのが好適と考えられる。しかし、小型の自動車においてこのようにマフラを配置する場合、マフラを小型化する必要がある。このため、外殻部材2の内部空間が小さくなる。これに対し、上記実施形態のように2か所で排気の流れを拡張することにより、外殻部材2の内部空間が小さくても、効果的に騒音を抑制できる。
【0061】
(9)また、上記実施形態によれば、第1パイプ3における1又は複数の第1側面穴部33,34、及び、第2パイプ4における1又は複数の第2側面穴部42は、マフラ1が車両に搭載された際に上側に位置するように配置されている。このため、外殻部材2の底部に溜まった凝縮水が、第1及び第2パイプ3,4に流入するのを抑制できる。このため、該凝縮水が、第1及び第2外側穴部20,21から外部に流出するのを抑制できる。
【0062】
[他の実施形態]
上記実施形態のマフラ1の外殻部材2は、伸長方向2aに延びる細長い柱状の形状を有している。しかしながら、外殻部材は、例えば、伸長方向2aに延び、且つ、伸長方向2aに直交又は略直交する方向に広がる扁平な形状を有していても良い。
【0063】
また、このような外殻部材が用いられた場合において、第1及び第2外側穴部20,21の双方又は一方は、外殻部材の側面をなす部分に設けられていても良い。そして、第1及び第2パイプ3,4の双方又は一方を湾曲又は屈曲させた構成とし、上記実施形態と同様にして、第1及び第2パイプ3,4がセパレータにより支持されるようにしても良い。
【符号の説明】
【0064】
1…マフラ、2…外殻部材、2a…伸長方向、3…第1パイプ、4…第2パイプ、5…セパレータ、6…第1空間、7…第2空間、20…第1外側穴部、21…第2外側穴部、31…内側端部、32…蓋部、33,34…第1側面穴部、41…内側端部、42…第2側面穴部、50…バーリング部、51…支持部、51a…内側面、53…段差、54…壁部、55…パイプ穴部、56…連通穴部。
図1
図2
図3