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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-116072(P2018-116072A)
(43)【公開日】2018年7月26日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/05 20060101AFI20180629BHJP
   G03B 17/04 20060101ALI20180629BHJP
   G03B 15/03 20060101ALI20180629BHJP
【FI】
   G03B15/05
   G03B17/04
   G03B15/03 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-4769(P2017-4769)
(22)【出願日】2017年1月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】水谷 将馬
【テーマコード(参考)】
2H053
2H101
【Fターム(参考)】
2H053CA14
2H053CA42
2H053DA05
2H101BB02
(57)【要約】
【課題】発光ユニットを撮像装置本体の背面から大きく突出させることなくバウンス撮像を行えるようにする。
【解決手段】撮像装置は、被写体に面する前面とその反対側の背面とを有する撮像装置本体1と、発光部40を有し、撮像装置本体に対して、格納位置と、発光部が被写体とは異なる方向を向くバウンス発光位置とに移動が可能な発光ユニット4と、発光ユニットを回動中心軸410aの回りで回動させて格納位置およびバウンス発光位置との間で移動させる移動機構7とを有する。移動機構は、格納位置において、撮像装置本体に対して第1の位置にある回動中心軸よりも前面側に発光部を位置させ、バウンス発光位置において、回動中心軸を第1の位置よりも前面側の第2の位置に位置させ、かつ発光部を回動中心軸よりも背面側に位置させる。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に面する前面とその反対側の背面とを有する撮像装置本体と、
発光部を有し、前記撮像装置本体に対して、格納位置と、前記発光部が前記被写体とは異なる方向を向くバウンス発光位置とに移動が可能な発光ユニットと、
前記発光ユニットを回動中心軸の回りで回動させて前記格納位置および前記バウンス発光位置との間で移動させる移動機構とを有し、
前記移動機構は、
前記格納位置において、前記撮像装置本体に対して第1の位置にある前記回動中心軸よりも前記前面側に前記発光部を位置させ、
前記バウンス発光位置において、前記回動中心軸を前記第1の位置よりも前記前面側の第2の位置に位置させ、かつ前記発光部を前記回動中心軸よりも前記背面側に位置させることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記発光ユニットは、前記バウンス発光位置において、前記背面から突出しない位置に位置することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記背面は、ファインダ接眼窓を含むことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記発光ユニットは、前記格納位置において、前記前面および前記背面が配置された前後方向での長さが該前後方向に直交する方向の長さより長い外装部材を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記発光ユニットは、前記格納位置と前記バウンス発光位置との間において、前記発光部が前記被写体の方向を向く正面発光位置に移動が可能であり、
前記移動機構は、前記正面発光位置において、前記回動中心軸を前記第1の位置よりも前記前面側であって、前記第2の位置よりも前記背面側に位置させることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記移動機構は、前記撮像装置本体を固定節とし、前記発光ユニットを従動節とする4節リンク機構を用いて構成され、
前記4節リンク機構の原動節を構成するリンク部材と前記発光ユニットを回動可能に接続する軸を前記回動中心軸としていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記4節リンク機構は、前記発光部と前記撮像装置本体とを電気的に接続するケーブルを内部に配置したリンク部材を有することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記移動機構は、前記発光ユニットおよび前記撮像装置本体に回動可能に接続されたリンク部材と、前記前面および前記背面が配置された前後方向に前記回動中心軸をスライド可能にガイドするレールとを含むスライダリンク機構を用いて構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記移動機構は、第1のギアと、該第1のギアの中心軸の回りで回動可能な支持部材と、該支持部材に回転可能に保持されて前記第1のギアに噛み合う第2のギアとを含む遊星ギア機構を用いて構成され、
前記支持部材と前記発光ユニットを回動可能に接続する軸を前記回動中心軸としていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ユニットを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュ光を被写体に直接照射して撮像を行うと不自然な明るさの画像が取得される場合には、フラッシュ光を壁や天井に向けて照射し、反射した間接光を被写体に照射して撮像を行うバウンス撮像が行われる。特許文献1には、このようなバウンス撮像が可能な内蔵発光ユニットを有する撮像装置が開示されている。この撮像装置では、撮像装置本体に対してポップアップする発光ユニットの先端に設けられた発光部の向きを可変とすることで被写体に直接光を照射するフラッシュ撮像とバウンス撮像とを可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−078506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された撮像装置では、発光ユニットの先端に発光部の向きを可変とする構造を設けているため、発光ユニットの先端が大型化して、撮像装置のデザイン性を損ねるおそれがある。
【0005】
また、発光ユニットの基端部に設けた軸を中心として該発光ユニットをポップアップさせる従来の撮像装置において、単に発光ユニットを発光部が天井等を向く位置まで回動可能とすると、発光ユニットが撮像装置本体の背面から大きく後方に突出する。この場合に、ユーザがファインダ接眼窓を覗きながらバウンス撮像を行おうとすると、発光ユニットがユーザの顔に干渉する。
【0006】
本発明は、発光ユニットを撮像装置本体の背面から大きく突出させることなくバウンス撮像を行えるようにした撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての撮像装置は、被写体に面する前面とその反対側の背面とを有する撮像装置本体と、発光部を有し、撮像装置本体に対して、格納位置と、発光部が被写体とは異なる方向を向くバウンス発光位置とに移動が可能な発光ユニットと、発光ユニットを回動中心軸の回りで回動させて格納位置およびバウンス発光位置との間で移動させる移動機構とを有する。移動機構は、格納位置において、撮像装置本体に対して第1の位置にある回動中心軸よりも前面側に発光部を位置させ、バウンス発光位置において、回動中心軸を第1の位置よりも前面側の第2の位置に位置させ、かつ発光部を回動中心軸よりも背面側に位置させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
発光ユニットを撮像装置本体の背面から大きく突出させることなくバウンス撮像を行えるようにした撮像装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1であるデジタル一眼レフカメラの外観を示す正面斜視図および背面斜視図。
図2】実施例1であるカメラの電気的構成を示すブロック図。
図3】実施例1であるカメラの正面発光位置およびバウンス発光位置での外観を示す斜視図。
図4】実施例1におけるフラッシュユニットの分解図。
図5】実施例1におけるフラッシュユニットの他の分解図。
図6】実施例1におけるクリックボードと第2のリンク部材の外観を示す斜視図。
図7】実施例1における第2のリンク部材の分解図。
図8】実施例1において格納位置にあるフラッシュユニットの正面図、A−A断面図および。
図9】実施例1におけるフラッシュユニットの正面発光位置での正面図、B−B断面図およびC−C断面図。
図10】実施例1におけるフラッシュユニットのバウンス発光位置での正面図、D−D断面図およびE−E断面図。
図11】実施例1における第1および第2のリンク部材を含む拡大図。
図12】実施例1におけるフラッシュユニットの格納位置での上面図と、格納位置、正面発光位置およびバウンス発光位置でのI−I断面図。
図13】実施例1のカメラにおけるフラッシュユニットが格納位置、正面発光位置およびバウンス発光位置にあるときの側面図。
図14】実施例1におけるフラッシュ撮像の操作手順を示すフローチャート。
図15】本発明の実施例2であるカメラに設けられるフラッシュユニットの外観斜視図。
図16】実施例2におけるフラッシュユニットの格納位置での上面図と、格納位置、正面発光位置およびバウンス発光位置でのK−K断面図。
図17】実施例2におけるフラッシュユニットが格納位置、正面発光位置およびバウンス発光位置にあるときの側面図。
図18】本発明の実施例3であるカメラに設けられるフラッシュユニットの外観斜視図。
図19】実施例3におけるフラッシュユニットの格納位置での上面図と、格納位置、正面発光位置およびバウンス発光位置でのK−K断面図。
図20】実施例3におけるフラッシュユニットが格納位置、正面発光位置およびバウンス発光位置にあるときの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、図1(a),(b)を参照して、本発明の実施例1である撮像装置としてのデジタル一眼レフカメラの構成について説明する。図1(a)は、斜め正面から見た撮像装置本体としてのカメラ本体1を示している。カメラ本体1には、図3(a),(b)に示す撮像レンズユニット3が取り外し可能に装着される。図1(b)は、斜め背面から見たカメラ本体1を示している。
【0012】
図1(a),(b)において、カメラ本体1は、撮影者であるユーザがカメラ本体1を保持するためのグリップ部1aを有する。グリップ部1aの上部には、ユーザが撮像開始を指示するためのスイッチであるシャッターボタン14が設けられている。
【0013】
2はレンズマウント部を示し、上述した撮像レンズユニット3が取り外し可能に装着される。マウント接点21は、カメラ本体1と撮像レンズユニット3とを電気的に接続し、カメラ本体1から撮像レンズユニット3への電力供給およびカメラ本体1と撮像レンズユニット3との間での制御信号やデータ等の通信を可能とする。撮像レンズユニット3をカメラ本体1から取り外す際には、ユーザがレンズロック解除ボタン12を押すことにより、撮像レンズユニット3のカメラ本体1に対する装着を解除することができる。
【0014】
撮像レンズユニット3内の撮像光学系を通った撮像エリア(に含まれる被写体)からの光は、ミラーボックス5に導かれる。ミラーボックス5の内部にはミラーユニット51が設けられている。
【0015】
また、カメラ本体1におけるマウント部2より上部には、カメラ本体1に対して図に示す格納位置と後述する発光位置との間で回動(移動)可能な内蔵発光ユニットとしてのフラッシュユニット4が設けられている。フラッシュユニット4の構成や動きについては後述する。
【0016】
さらに、カメラ本体1の上部には、アクセサリシュー6が設けられている。アクセサリシュー6には外付けフラッシュユニットやマイク等のアクセサリを取り付けることができる。アクセサリシュー6には、装着されたアクセサリとの電気的接続を行うためのアクセサリ接点61が設けられている。
【0017】
カメラ本体1の背面部1bには、カメラの起動およびシャットダウンを行うための電源スイッチ11が設けられている。また、背面部1bにおけるアクセサリシュー6の下部にはファインダ8が設けられており、ファインダ接眼窓81を通して撮像エリア内の被写体を観察することができる。
【0018】
次に図2を用いて、本実施例のカメラにおける電気的構成について説明する。なお、図2において、図1に示した構成要素には図1と同符号を付す。100はカメラ本体1に内蔵された演算処理装置としてのMPUである。MPU100はカメラ本体1の動作に関する様々な処理や制御を行う。MPU100は、EEPROM100aを有し、時刻計測回路108による時刻情報や各種設定情報等を記憶することができる。
【0019】
また、MPU100には、ミラー駆動回路101、焦点駆動回路102、シャッター駆動回路103、スイッチセンス回路104、電源供給回路105、バッテリーチェック回路106および上述した時刻計測回路108が接続されている。また、MPU100には、映像信号処理回路109および係止フック駆動回路110も接続されている。さらにMPU100は、マウント接点21を介して、撮像レンズユニット3内に設けられたレンズ制御回路300と通信を行う。これにより、MPU100はAF駆動回路301や絞り駆動回路302を介して、フォーカスレンズ31や電磁絞り32の動作を制御することが可能となる。なお、図2では模式的にフォーカスレンズ31を1枚のレンズとして示しているが、実際には複数のレンズにより構成されている。また、撮像光学系も、該フォーカスレンズ31を含む複数のレンズにより構成されている。
【0020】
AF駆動回路301は、不図示のステッピングモータ等のアクチュエータを駆動してフォーカスレンズ31をレンズ光軸3aが延びる方向(レンズ光軸方向)に移動させ、撮像素子91上に合焦した被写体像を形成させる。絞り駆動回路302は、電磁絞り32を駆動してその絞り開口径(絞り値)を変化させることで、光量を調節する。
【0021】
ミラーボックス5の内部には、メインミラー51とサブミラー52が配置されている。メインミラー51は、撮像レンズユニット3からの光の一部を反射してペンタプリズム82に導くとともに、他の一部を透過する。サブミラー52は、メインミラー51を透過した光を反射して焦点検出センサユニット53に導く。焦点検出ユニット53は、位相差検出方式による焦点検出を行う、メインミラー51およびサブミラー52は、ミラー駆動回路101によって制御される不図示のモータによって撮像前は撮像光路内に配置され、撮像時には撮像光路から退避するように駆動される。
【0022】
焦点検出ユニット53は、サブミラー52からの光のうち互いに異なる瞳領域を通過した一対の光に一対の被写体像を形成させ、これら一対の被写体像を光電変換センサ(ラインセンサ)によって電気信号に変換することで一対の位相差像信号を生成する。焦点検出回路102は、一対の位相差像信号に対して相関演算を行ってこれらの位相差を算出し、該位相差の情報をMPU100に出力する。
【0023】
MPU100は、焦点検出回路102からの位相差の情報を用いて被写体に対する撮像光学系のデフォーカス量(焦点状態)を算出し、該デフォーカス量から合焦状態を得るためのフォーカスレンズ31の駆動量(駆動方向を含む)を算出する。MPU100は、算出したフォーカスレンズ31の駆動量の情報を含むフォーカス制御信号をレンズ制御回路300に送信する。レンズ制御回路300は、受信したフォーカス制御信号に基づいて、AF駆動回路301を介してフォーカスレンズ31を被写体に対する合焦状態が得られる合焦位置まで移動させる。
【0024】
82はペンタプリズムであり、メインミラー51によって反射された光を正立正像に変換する。ユーザは、前述したファインダ8を通して正立正像としての被写体像を観察することができる。
【0025】
また、メインミラー51で反射された光の一部は測光センサ83にも導かれる。測光回路84は、測光センサ83からの出力値により撮像エリア内の輝度情報を生成し、MPU100に出力する。MPU100は、輝度情報に基づいて露出値を算出し、該露出置に応じて電磁絞り32を駆動して絞り値を設定する。
【0026】
10はフォーカルプレーンシャッターであり、シャッター駆動回路103により駆動される。シャッター駆動回路103は、ユーザがファインダ8を通して被写体を観察しているときはシャッター92を閉じる。一方、シャッター駆動回路103は、ユーザがシャッターボタン14を押すことに応じてフォーカルプレーンシャッター10の不図示の先幕を走行させてシャッター開口を開き、所定の露光時間の経過に伴って不図示の後幕を走行させてシャッター開口を閉じる。このようにして、撮像素91の露光時間を制御する。
【0027】
撮像素子91は、CMOSセンサやCCDセンサ等により構成され、被写体像を電気信号に変換する光源変換素子である。92は赤外カットフィルタであり、撮像素子91に向かう光から不要な赤外光成分を除去する。109は映像信号処理回路であり、撮像素子91から出力された電気信号(撮像信号)に対してフィルタ処理やデータ圧縮処理等の映像信号処理を行う。
【0028】
104はスイッチセンス回路であり、ユーザが操作可能な各種操作インタフェースの操作状況を取得してその情報をMPU100に出力する。105は電源供給回路であり、カメラ本体1内の各構成要素および撮像レンズユニット3に電源107からの電力を供給する。電源107には、バッテリーチェック回路106が接続されており、電源107の残量情報等をMPU100に伝えるという機能を有する。
【0029】
フラッシュユニット4は、撮像環境に光量を付加して撮像を行いたい場合に発光位置に回動(ポップアップ)して、閃光を発することができる。401は光源であり、キセノン管やLED等の発光素子が用いられる。充電回路112は、発光用コンデンサ(メインコンデンサ)113に電荷を蓄え、発光回路111が光源401に電圧を印加することによりコンデンサ113の電荷が解放されて光源401が発光する。正確な調光を行うために、撮像前にプリ発光と呼ばれる予備発光を行い、撮影時のメイン発光の発光量を制御することもできる。ポップアップ中にユーザがFEロックボタン16を押すことで、フラッシュユニット4がプリ発光を行う。この際、測光センサ83を通じて測光回路84が測光を行い、その測光結果に応じてメイン発光における発光量が設定される。
【0030】
15は係止フックであり、不図示のモータにより回動が可能である。係止フック15は、不図示のばねによって付勢されてフラッシュユニット4を格納位置に係止する。フラッシュ発光時には、ユーザがフラッシュボタン13を押すことに応じてMPU100が係止フック駆動回路110を介して上記モータを駆動し、係止フック15をばね付勢力に抗して回動させることでフラッシュユニット4の格納位置での係止を解除する。係止が解除されたフラッシュユニット4は後述するポップアップばねの付勢力によって発光位置にポップアップする。なお、ユーザがフラッシュボタン13を押さなくても、撮像環境の光量不足を検出したMPU100が自動的に上記モータを駆動してフラッシュユニット4をポップアップさせ発光させる場合もある。
【0031】
図3(a),(b)を用いて、本実施例におけるフラッシュユニット4の発光位置について説明する。図3(a)は、フラッシュユニット4が図1(a)に示した格納位置から光出射面403が被写体の方向である正面(レンズ光軸方向)を向く位置にポップアップした状態を示す。以下の説明では、この位置を正面発光位置という。図3(b)は、フラッシュユニット4が正面発光位置から光出射面403がレンズ光軸3aに対して上方(被写体とは異なる方向)を向く、つまりは正面発光位置とは発光部40の向きが異なる位置に回動した状態を示す。以下の説明では、この位置をバウンス発光位置(第2の発光位置)という。
【0032】
図3(b)はバウンス発光位置の1つを示しており、実際にはフラッシュユニット4を光出射面403が上方における互いに異なる方向(バウンス角)を向く、すなわち発光部40の向きが互いに異なる複数のバウンス発光位置に回動および保持することができる。
【0033】
次に、図9(a)〜(c)を併せ用いて、フラッシュユニット4をポップアップさせるポップアップ機構について説明する。図9(a)は正面発光位置におけるフラッシュユニット4、第1のリンク部材410および第2のリンク部材420を正面から見て示す。図9(b)は図9(a)のB−B断面を、図9(c)は図9(a)のC−C断面をそれぞれ示す。
【0034】
フラッシュユニット4は、第1のリンク部材410および第2のリンク部材420を介してカメラ本体1に接続される。第1のリンク部材410は、第1の回動軸410aにより、第2のリンク部材420は第2の回動軸420aによりそれぞれフラッシュユニット4に対して回動可能に接続される。また、第1のリンク部材410は第1の固定軸410bにより、第2のリンク部材420は第2の固定軸420bによりそれぞれ、カメラ本体1に対して回動可能に接続される。
【0035】
本実施例では、カメラ本体1を固定節とし、第1のリンク部材410を原動節とし、フラッシュユニット4を第1の従動節とし、第2のリンク部材420を第2の従動節とする4節リンク機構7をフラッシュユニット4の移動機構として用いる。フラッシュユニット4は、この4節リンク機構7(以下、単に4節リンクという)の動きによって回動する。なお、カメラ本体1やフラッシュユニット4に一体的に設けられた別部材を固定節や第1の従動節としてもよく、このような構成は「カメラ本体1を固定節とする」および「フラッシュユニット4を第1の従動節とする」と等価である。4節リンク7は、第1のリンク部材410を介して後述するポップアップばね43によってフラッシュユニット4が格納位置から正面発光位置に回動する方向に付勢される。
【0036】
図4および図5を参照して、本実施例におけるフラッシュユニット4の構成について説明する。図4は、フラッシュユニット4を分解して示す。フラッシュユニット4は、発光部40、フラッシュケース41、フラッシュカバー42、ポップアップばね43およびクリック機構44により構成されている。フラッシュケース41およびフラッシュカバー42は、格納位置において、カメラ本体1のレンズ光軸方向(前後方向)での長さが該前後方向に直交する方向である左右方向の長さより長い外装部材である。
【0037】
フラッシュケース41には、図3(a),(b)に示したフック掛け部41aと、ストッパー受け部41bと、第1の回動軸410aを保持するための第1の軸受41cと、第2の回動軸420aを保持するための第2の軸受41dとが設けられている。
【0038】
発光部40は、光源401と、反射部材402と、光出射面403とを有する。フラッシュ発光時には、光源401から発せられた光を反射部材402により反射しながら光出射面403に向けて集光する。
【0039】
ポップアップばね43は、第1の回動軸410a上(回り)に配置されている。該ポップアップばね43の固定端はフラッシュケース41に、可動端は第1のリンク部材410にそれぞれ掛けられる。このように4節リンク7とポップアップばね43を用いて構成される駆動機構において、ポップアップばね43は、第1のリンク部材410を格納位置から正面発光位置に向かう方向に付勢する付勢力を発生する。
【0040】
クリック機構44は、クリックボード441、クリックピン442、クリック付勢ばね443およびクリックピンホルダー444により構成される。クリックボード441は、第1の回動軸410aの回りに配置され、第1のリンク部材410に固定される。クリックピン442およびクリック付勢ばね443は、クリックピンホルダー444によって保持され、フラッシュケース41に取り付けられる。クリックピン442は、フラッシュケース41に対して移動可能であり、クリック付勢ばね443によってクリックボード441の中心方向に向けて付勢される。
【0041】
図5は、クリックボード441の形状を示している。クリックボード441は、その円周方向に空走部441a、複数の凸部441bおよび複数の凹部441cを有する。空走部441aは、径方向における凹凸を有さず、ここに向けて付勢されたクリックピン442とは接触しない半径を有する。一方、複数の凸部441bは、付勢されたクリックピン442がここに当接してクリック付勢ばね443を圧縮しながら乗り越えることで、フラッシュユニット4の回動に伴うクリック感を発生させる。複数の凸部441bの間に形成された複数の凹部441cにクリックピン442が入り込む(嵌まり込む)ことで、フラッシュユニット4をバウンス角が異なる複数のバウンス発光位置に停止させることができる。
【0042】
なお、本実施例のクリック機構44は、バウンス角を変更する際の操作性を向上させる構成の一例であり、フラッシュユニット4の停止位置を限定するものではない。
【0043】
次に、図6および図7を参照して、第2のリンク部材420の詳細な構成について説明する。図6は、第2のリンク部材420の外観を示す。第2のリンク部材420は、4節リンク7のリンク要素としての機能に加え、ポップアップしたフラッシュユニット4を正面発光位置に停止させる機能を有し、そのための部材であるバウンスボタン421を有する。図6(a)はバウンスボタン421が押される前の状態を示し、図6(b)はバウンスボタン421が押された状態を示す。図7には、第2のリンク部材420を分解して示している。
【0044】
第2のリンク部材420には、第2の回動軸420aおよび第2の固定軸420bが設けられている。また、第2のリンク部材420は、バウンスボタン421、リンクカバー422、リンクケース423、シャフト424およびバウンスボタン付勢ばね425を含む。バウンスボタン421は、ストッパー部421aと操作部としての押し込み部421bとを含み、バウンスボタン付勢ばね425によって、図6(a)に示すように押し込み部421bがリンクカバー422の外側に露出する方向に付勢される。ユーザが押し込み部421bを押し込むことで、ストッパー部421aを図6(a)に示す状態から図6(b)に示す状態にスライドさせることができる。
【0045】
また、リンクケース423は、その内部にフラッシュユニット4の発光部40とカメラ本体1とを電気的に接続するケーブルを図中の矢印方向に通すためのリンク中空部423aを有する。
【0046】
本実施例では、第2のリンク部材420に設けたバウンスボタン421の押し込みによってフラッシュユニット4の正面発光位置での停止を解除する解除機構を採用する。ただし、これは例に過ぎず、カメラ本体1やフラッシュユニット4の内部にストッパー機構を設ける等、他の構成を採用してもよい。
【0047】
次に、図8(a)〜(c)を参照して、格納位置におけるフラッシュユニット4の係止について説明する。図8(a)は、格納位置に位置するフラッシュユニット4を正面から見て示している。図8(b)は、図8(a)に示したフラッシュユニット4のA−A断面を示している。また、図8(c)は、係止フック15によるフラッシュユニット4の格納位置での係止を解除した際のA−A断面を示す。
【0048】
フラッシュ撮像を行わない場合には、ユーザは図1(a)に示すようにフラッシュユニット4をカメラ本体1に格納することができる。このとき、図8(b)に示すように、カメラ本体1に設けられた係止フック15がフラッシュユニット4に設けられたフック掛け部41aに係合することで、図4に示したポップアップばね43に付勢されたフラッシュユニット4が格納位置にて係止(保持)される。
【0049】
図14には、フラッシュ撮像を行う際のユーザによる操作とフラッシュユニット4の動作とカメラ本体1の動作の流れを示している。Sはステップを意味する。また、図11(a),(b)は、図9(b)に示した第1のリンク部材410および第2のリンク部材420を含む4節リンク7を拡大して示している。図11(a)は格納位置から正面発光位置へのポップアップ途中の状態を、図11(b)は正面発光位置での状態を、図11(c)はバウンスボタン421が押し込まれた状態を、図11(d)はバウンス発光位置での状態をそれぞれ示している。
【0050】
S11にてカメラ本体1の電源スイッチ11をオンし、S12にてフラッシュ撮像を行うと判断したユーザは、S13にて図1(a)に示したフラッシュボタン13を押す。MPU100はスイッチセンス回路104からフラッシュボタン13が押されたことを示す信号を受けると、S14にて不図示のモータを駆動し、図8(c)にも示したように係止フック15を係止解除方向に回動させる。これにより係止が解除されたフラッシュユニット4は、ポップアップばね43の付勢力によって正面発光位置にポップアップする。このとき、図11(a)に矢印で示すように、バウンスボタン421に設けられたストッパー部421aとフラッシュケース41に設けられたストッパー受け部41bとが第2の回動軸420a回りで互いに近づく方向に回動する。
【0051】
その後、図11(b)に示すように、ストッパー部421aはストッパー受け部41bに当接する(図中に太線で当接部を示す)ことで、フラッシュユニット4はポップアップを停止する。これにより、フラッシュユニット4は、図3(a)に示した正面発光位置で停止する。
【0052】
このように本実施例では、ストッパー部421aとの当接によりフラッシュユニット4を正面発光位置で停止させ、バウンスボタン421のユーザ操作によりフラッシュユニット4のバウンス発光位置への回動を許容する停止機構および解除機構を採用する。この構成により、正面発光位置にて高い位置精度で停止させることができる。
【0053】
また、図8(b)に示すように、格納位置ではバウンスボタン421の押し込み部421bはフラッシュカバー42により覆われて露出しないため、ユーザが押し込み部421bを押すことはできない。一方、図9(a)に示すように、正面発光位置ではバウンスボタン421の押し込み部421bが露出するため、ユーザが押し込み部421bを押すことが可能となる。バウンスボタン421はフラッシュユニット4のポップアップ後に役割を有し、格納位置では不要である。このため、フラッシュユニット4のポップアップによってユーザ操作が可能となるようにバウンスボタン421が露出する構成を採用することで、ユーザに混乱を与えないようにすることができる。
【0054】
さらに、クリック機構44において、図5および図9(c)に示すように、正面発光位置においてクリックボード441とクリックピン442とが当接しないようにクリックボード441上に空走部441aが設けられている。格納位置から正面発光位置までのポップアップ中にはクリック感は不要である。このため、空走部441aを設けることで、ポップアップばね43の付勢力によるポップアップ駆動に対して、クリックピン442と凸部441bの当接による抵抗を生じさせないようにすることができる。これにより、ポップアップばね43のばね力を、クリック機構44の影響を考慮することなく、フラッシュユニット4をポップアップ駆動するための最適な値に設定することができる。
【0055】
続いてバウンス撮像を行う際のユーザによる操作とフラッシュユニット4の動作について説明する。図10(a)は、バウンス発光位置におけるフラッシュユニット4、第1のリンク部材410および第2のリンク部材420を正面から見て示す。図10(b)は、図10(a)のD−D断面を、図10(c)は図10(a)のE−E断面をそれぞれ示す。
【0056】
フラッシュユニット4が正面発光位置までポップアップした後、S15にてバウンス撮像を行うと判定したユーザは、S21にてバウンスボタン421の押し込み部421bを押す。これにより、S22において、図11(c)に示すように、ストッパー部421aが図中の矢印方向にスライドしてストッパー部421aとストッパー受け部41bとの当接(フラッシュユニット4の正面発光位置での停止)が解除される。このため、図11(d)および図10(b)に示すように、フラッシュユニット4のバウンス発光位置への回動が可能となる。フラッシュユニット4は、ポップアップばね43の付勢力によってバウンス発光位置の方向に。フラッシュユニット4は、ポップアップばね43の付勢力によってバウンス発光位置の方向に(つまりは複数のバウンス発光位置に向かって)回動される。
【0057】
クリックピン442がクリックボード441の複数の凸部441bのうち空走部441aに最も近い凸部441bの側面に当接すると、フラッシュユニット4の回動が停止する。この位置が、複数のバウンス発光位置のうち1番目のバウンス発光位置である。
【0058】
続いて、S23におけるバウンス角を変更するための操作とフラッシュユニット4の動作について説明する。フラッシュユニット4が複数のバウンス位置のうちいずれかのバウンス発光位置にて停止した状態からバウンス角を変更する際には、ユーザは、図10(c)に矢印で示すようにフラッシュユニット4を手動操作により回動させる。これにより、クリックピン442がクリック付勢ばね443を圧縮しながらそれまで入り込んでいた凹部441cに隣接する凸部441bを乗り越えて次の凹部441cに入り込み、フラッシュユニット4は次のバウンス発光位置にて保持される。クリックピン442が凸部441bを乗り越えるごとにクリック感が発生する。このように、ユーザがバウンス角を変更する際には、クリック感を受けながらフラッシュユニット4を任意のバウンス発光位置に回動させるように手動操作することでそのバウンス発光位置にて停止させることができる。
【0059】
こうしてフラッシュユニット4が正面発光位置または任意のバウンス発光位置に停止した状態において、S16にてフラッシュユニット4にプリ発光を行わせると判断したユーザは、S24にて図1(b)に示したFEロックボタン16を押す。これに応じて、MPU100は、S25においてフラッシュユニット4にプリ発光を行わせ、測光センサ83および測光回路84に測光を行わせる。そして、MPU100は、プリ発光に対する測光結果に基づいてメイン発光の発光量を算出する。
【0060】
S12でフラッシュ撮像を行わないと判断したユーザ、S16でプリ発光を行わないと判断したユーザまたはS16でプリ発光を行うと判断してS25にてプリ発光が行われるのを待ったユーザは、S30にてシャッターボタン14を押す。MPU100はスイッチセンス回路104からシャッターボタン14が押されたことを示す信号を受けると、S31にて撮像を行う。この際、MPU100は、ユーザがS12でフラッシュ撮像を行わないと判断した場合を除いて撮像と同時にフラッシュユニット4にメイン発光を行わせる。
【0061】
図12(a)〜(d)および図13(a)〜(c)を参照して、格納位置、正面発光位置およびバウンス発光位置におけるフラッシュユニット4と第1の回動軸410aとの位置関係について説明する。図12(a)〜(d)および図13(a)〜(c)では、カメラ本体1においてレンズマウント部2が設けられ、被写体に面する前面の側(以下、前側という)をFで示し、前面とは反対側の背面部1bが設けられた後側(背面側)をRで示す。
【0062】
図12(a)は、格納位置に位置するフラッシュユニット4を上面から見て示している。図12(b)は、図12(a)におけるI−I断面を表す。図12(c),(d)はそれぞれ、正面発光位置およびバウンス発光位置に位置するフラッシュユニット4のI−I断面を示す。また、図中のP1,P2,P3は、第1の回動軸(回動中心軸)410aのレンズ光軸方向(前後方向)での位置の変化を示す。図中のS1は第1のリンク部材410の回動中心となる第1の固定軸410bの位置を示す。図13(a)は、図12(a),(b)に示すようにフラッシュユニット4が格納位置に位置するときのカメラ本体1を側面から見て示している。図13(b)は、図12(c)に示すようにフラッシュユニット4が正面発光位置に位置するときのカメラ本体1を側面から見て示している。図13(c)は、図12(d)に示すようにフラッシュユニット4がバウンス発光位置に位置するときのカメラ本体1を側面から見て示している。
【0063】
図12(a),(b)および図13(a)に示すように、フラッシュユニット4が格納位置にあると、光出射面403は前側の斜め下方向を向き、第1の回動軸410aよりも前側Fに位置する。このときの第1の回動軸410aの位置がP1(第1の位置)である。
【0064】
図12(c)および図13(b)に示すように、フラッシュユッニト4が正面発光位置にポップアップすると、光出射面403はレンズ光軸方向を向く。この際、第1のリンク部材410が第1の固定軸410bを中心として回動することにより、カメラ本体1に対して第1の回動軸410aはP1からP2へと前側Fに移動する。この結果、第1の回動軸410aをカメラ本体1に対して移動させずにフラッシュユニット4をポップアップさせた場合に比べて、光出射面403がより前側Fに移動する。このため、被写体に向けて照射される光が撮像レンズユニット3によって遮られにくくなる。
【0065】
図12(d)および図13(c)に示すように、フラッシュユニット4がバウンス発光位置に回動すると、第1のリンク部材410は正面発光位置における位置からさらに回動する。これにより、第1の回動軸410aはP2からより前側FのP3に移動する。この移動により、バウンス発光位置では、第1の回動軸410aが光出射面403より前側Fに位置する。光出射面403を含むフラッシュユニット4の先端部が後側Rに回動するとともに第1の回動軸410aが前側に移動することで、カメラ本体1に対するフラッシュユニット4の先端部の後側Rへの移動量を減らすことができる。このため、図13(a)〜(c)に示すように、格納納位置および正面発光位置においてはもとより、バウンス発光位置においてもフラッシュユニット4を背面部1bの最後端に位置するファインダ(接眼窓)8よりも前側Fに位置させることができる。したがって、ユーザがカメラ本体1を顔に近づけてファインダ8を覗いた状態において、フラッシュユニット4をバウンス発光位置に位置させることによりフラッシュユニット4がユーザの顔に干渉(接触)することを回避することができる。
【0066】
このように本実施例では、フラッシュユニット4の格納位置では、カメラ本体1に対してP1に位置する第1の回動軸410aよりも前側Fに発光部40を位置させる。また、バウンス発光位置では、第1の回動軸410aをP1よりも前側FのP3に位置させ、発光部40を第1の回動軸410aよりも後側Rに位置させる。これにより、フラッシュユニット4(発光部40)がカメラ本体1の背面部1bから後方に突出してユーザの顔に干渉することを防止できる。
【0067】
そして、正面発光位置では、第1の回動軸410aをP1よりも前側Fであって、P3よりも後側Rに位置させる。これにより、発光部40の位置を前側Fに移動させ、該発光部40の光が撮像レンズユニット3によって遮られないようにすることができる。
【実施例2】
【0068】
実施例1では、移動機構として4節リンク機構を用いてフラッシュユニット4を正面発光位置にポップアップし、さらに複数のバウンス発光位置への回動を可能とする場合について説明した。これに対して本実施例では、4節リンク機構に代えて、スライダリンク機構を移動機構として用いる。なお、本実施例において実施例1と共通する構成要素には実施例1と同符号を付して説明に代える。
【0069】
図15および図16(b)〜(d)を参照して、本実施例におけるスライダリンク機構の構成について説明する。図15は、正面発光位置にあるフラッシュユニット4の外観を示しており、図16(b)〜(d)はフラッシュユニット4の格納位置、正面発光位置およびバウンス発光位置での断面を示している。断面は、図16(a)に上面から見て示すフラッシュユニット4のK−K断面である。
【0070】
これらの図において、1cはカメラ本体1の上部を示し、510はスライダリンク部材、520はスライドレールである。フラッシュユニット4は、実施例1と同様に、発光部40、フラッシュケース41およびフラッシュカバー42を含む。また、発光部40は、光源401、不図示の反射部材402と、光出射面403から構成される。フラッシュケース41は、フック掛け部41aおよびスライド回動軸530を有する。
【0071】
フラッシュユニット4は、スライダリンク部材510とスライドレール520を介してカメラ本体1に接続される。スライダリンク部材510は、回動軸510aによってフラッシュユニット4に回動可能に接続され、固定軸510bによってカメラ本体1に回動可能に接続される。
【0072】
スライドレール520は、カメラ本体1に固定されている。フラッシュケース41に設けられたスライド回動軸530は、スライドレール520のレール溝部に挿入されており、スライドレール520によりガイドされてレンズ光軸方向(前後方向)にスライド可能である。スライダリンク部材510、スライドレール520およびスライド回動軸530によりスライダリンク機構が構成される。
【0073】
スライド回動軸530がスライドレール520に沿って前後方向にスライドすると、回動軸510aによりスライダリンク部材510と接続されているフラッシュユニット4は、該スライド回動軸(回動中心軸)530を中心として回動する。これにより、フラッシュユニット4の格納位置から正面発光位置へのポップアップとバウンス発光位置への回動が行われる。
【0074】
なお、本実施例ではスライドレール520をカメラ本体1に別部品として固定されているが、カメラ本体1自体に設けてもよい。
【0075】
図16(b)〜(d)および図17(a)〜(c)を参照して、格納位置、正面発光位置およびバウンス発光位置における発光部40とスライド回動軸530との位置関係について説明する。図16(b)〜(d)および図17(a)〜(c)では、カメラ本体1においてレンズマウント部2が設けられた前面側(以下、前側という)をFで示し、背面部1bが設けられた後側(背面側)をRで示す。また、Q1,Q2,Q3はスライド回動軸530のレンズ光軸方向に対する位置の変化を示し、T1は固定軸510bの位置を示す。
【0076】
図16(b)および図17(a)に示す格納位置においては、光出射面403は前側斜め下方向を向き、スライド回動軸530に対して前側Fに位置する。このときのスライド回動軸530の位置がQ1(第1の位置)である。
【0077】
スライド回動軸530は不図示のポップアップばねによって図16(b)中の矢印方向に付勢されている。実施例1でも説明した係止フック15による係止が解除されることで、フラッシュユニット4は格納位置から正面発光位置に向かってポップアップする。さらに同様の動作により、フラッシュユニット4はバウンス発光位置に回動する。
【0078】
図16(c)および図17(b)に示すようにフラッシュユニット4が正面発光位置にポップアップすると、光出射面403はレンズ光軸方向を向く。ポップアップに際して、スライド回動軸530はスライドレール520に沿ってQ1からQ2に前側Fに移動する。実施例1と同様に、スライド回動軸530を移動させずにフラッシュユニット4をポップアップさせた場合に比べて、光出射面403がより前側Fに移動する。このため、被写体に向けて照射される光が撮像レンズユニット3によって遮られにくくなる。
【0079】
図16(d)に示すようにフラッシュユニット4がバウンス発光位置に向かって回動する際に、スライド回動軸530はスライドレール520に沿ってQ2からQ3へとさらに前側Fに移動する。この移動により、バウンス発光位置では、スライド回動軸530が光出射面403より前側Fに位置する。実施例1と同様に、光出射面403を含むフラッシュユニット4の先端部が後側Rに回動するとともにスライド回動軸530が前側Fに移動することで、カメラ本体1に対するフラッシュユニット4の先端部の後側Rへの移動量を減らすことができる。
【0080】
このため、図17(a)〜(c)に示すように、格納納位置および正面発光位置においてはもとより、バウンス発光位置においてもフラッシュユニット4をカメラ本体1の背面部1bの最後端に位置するファインダ(接眼窓)8より前側Fに位置させることができる。したがって、ユーザがカメラ本体1を顔に近づけてファインダ8を覗いた状態において、フラッシュユニット4をバウンス発光位置に位置させることによりフラッシュユニット4がユーザの顔に干渉(接触)することを回避することができる。
【実施例3】
【0081】
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例では、遊星ギア機構を移動機構として用いる。なお、本実施例において実施例1と共通する構成要素には実施例1と同符号を付して説明に代える。
【0082】
図18および図19(b)〜(d)を参照して、本実施例における遊星歯車機構の構成について説明する。図18は、正面発光位置にあるフラッシュユニット4の外観を示しており、図19(b)〜(d)はフラッシュユニット4の格納位置、正面発光位置およびバウンス発光位置での断面を示している。断面は、図19(a)に上面から見て示すフラッシュユニット4のL−L断面である。
【0083】
これらの図において、1cはカメラ本体1の上部を示し、610は遊星キャリアアーム、620は太陽ギア(第1のギア)、631は第1の遊星ギア(第2のギア)、632は第2の遊星ギアである。フラッシュユニット4は、実施例1と同様に、発光部40、フラッシュケース41、フラッシュカバー42を含む。発光部40は、光源401、反射部材402および光出射面403により構成される。フラッシュケース41は、フック掛け部41aを有する。
【0084】
フラッシュユニット4は、支持部材である遊星キャリアアーム610を介してカメラ本体1に接続されている。遊星キャリアアーム610は、回動軸(回動中心軸)610aによりフラッシュユニット4に回動可能に接続され、固定軸610bによりカメラ本体1に回動可能に接続されている。太陽ギア620は、固定軸610b上(回り)に配置されており、カメラ本体1に固定されている。第2の遊星ギア632は、回動軸610a上(回り)に配置され、フラッシュユニット4に固定されている。
【0085】
なお、本実施例では、第2の遊星ギア632をフラッシュユニット4とは別部品として設けているが、第2の遊星ギア632の形状をフラッシュケース41に設けてもよい。
【0086】
第1の遊星ギア631は、遊星キャリアアーム610に回転可能に保持され、太陽ギア620と第2の遊星ギア632に噛み合っている。なお、本実施例では、遊星ギアを2つ用いているが、偶数であれば、回動方向は変わらないため、数に制限はない。
【0087】
カメラ本体1とフラッシュユニット4を接続する遊星キャリアアーム610が固定軸610bを中心としてレンズ光軸方向(前後方向)に回動すると、第1の遊星ギア631が太陽ギア620の回りで自転しながら公転する。これに伴って、キャリアアーム610とフラッシュユニット4を接続する回動軸610aがレンズ光軸方向に移動する。そして、第1の遊星ギア631の自転によって第2の遊星ギア632が回転されると、フラッシュユニット4が回動軸610aを中心に回動する。これにより、フラッシュユニット4の格納位置から正面発光位置へのポップアップとバウンス発光位置への回動が行われる。
【0088】
図19(b)〜(d)および図20(a)〜(c)を参照して、格納位置、正面発光位置およびバウンス発光位置における発光部40と回動軸610aとの位置関係について説明する。図19(b)〜(d)および図20(a)〜(c)では、カメラ本体1においてレンズマウント部2が設けられた前面側(以下、前側という)をFで示し、背面部1bが設けられた後側(背面側)をRで示す。また、L1,L2,L3はスライド回動軸530のレンズ光軸方向に対する位置の変化を示し、K1は固定軸610bの位置を示す。
【0089】
図19(b)および図20(a)に示す格納位置においては、光出射面403は前側斜め下方向を向き、回動軸610aに対して前側Fに位置する。このときの回動軸610aの位置がL1(第1の位置)である。
【0090】
遊星キャリアアーム610は不図示のポップアップばねによって図19(b)中の矢印方向に付勢されている。実施例1でも説明した係止フック15による係止が解除されることで、フラッシュユニット4は格納位置から正面発光位置に向かってポップアップ可能となる。遊星キャリアアーム610がポップアップばねの付勢力によって前側F(図の時計回り方向)に回動すると、第1の遊星ギア631が太陽ギア620の回りを時計回り方向に自転しながら同方向に公転する。第1の遊星ギア631の自転は、第2の遊星ギア632にこれを反時計回り方向に回転させるように伝達される。第2の遊星ギア632はフラッシュユニット4に固定されているため、フラッシュユニット4は遊星キャリアアーム610とは逆方向である反時計方向に回動して、正面発光位置にポップアップする。さらに同様の動作により、フラッシュユニット4はバウンス発光位置に回動する。
【0091】
図19(c)および図20(b)に示すようにフラッシュユニット4が正面発光位置にポップアップすると、光出射面403はレンズ光軸方向を向く。ポップアップに際して、回動軸610aはL1からL2に前側Fに移動する。実施例1と同様に、回動軸610aを移動させずにフラッシュユニット4をポップアップさせた場合に比べて、光出射面403がより前側Fに移動する。このため、被写体に向けて照射される光が撮像レンズユニット3によって遮られにくくなる。
【0092】
図19(d)に示すようにフラッシュユニット4がバウンス発光位置に向かって回動する際に、回動軸610aはL2からL3へとさらに前側Fに移動する。この移動により、バウンス発光位置では、回動軸610aが光出射面403より前側Fに位置する。実施例1と同様に、光出射面403を含むフラッシュユニット4の先端部が後側Rに回動するとともに回動軸610aが前側Fに移動することで、カメラ本体1に対するフラッシュユニット4の先端部の後側Rへの移動量を減らすことができる。
【0093】
このため、図20(a)〜(c)に示すように、格納納位置および正面発光位置においてはもとより、バウンス発光位置においてもフラッシュユニット4をカメラ本体1の背面部1bの最後端に位置するファインダ(接眼窓)8より前側Fに位置させることができる。したがって、ユーザがカメラ本体1を顔に近づけてファインダ8を覗いた状態において、フラッシュユニット4をバウンス発光位置に位置させることによりフラッシュユニット4がユーザの顔に干渉(接触)することを回避することができる。
【0094】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 カメラ本体
4 フラッシュユニット
7 4節リンク機構
40 発光部
410a 第1の回動軸(回動中心軸)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20