【解決手段】本実施形態では、集合体構成データとして、構成品についての集合体識別情報、集合体個別識別情報、構成品識別情報および構成品ロット識別情報を紐づけて記憶し、同一の集合体に含まれる前記構成品に対しては、同一の集合体識別情報および同一の集合体個別識別情報が付されており、前記集合体識別情報、前記集合体個別識別情報、前記構成品識別情報および前記構成品ロット識別情報の少なくとも1つを入力できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る構成品管理装置、構成品管理方法および構成品管理プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
[1.概要]
医療機器業界、特に整形インプラントを取り扱っている企業においては、病院、ディーラー等に対して、症例毎のセット(サイズ別インプラント一式、工具等)を貸出し、使用結果に基づき売上計上をしている。前記症例毎のセットを、医療業界においては、箱(以下、単に「箱」という)と称している。箱の在庫管理および所在管理を行うことにより、緊急な手術の場合に箱を手配したり、箱を余剰貸出している施設から別の施設への振替をタイムリーに行うことができる。
【0016】
ここで、箱について、詳細に説明する。箱が、例えば、症例「鎖骨骨折セット用BOX(管理No.=S−001)」の箱である場合、箱の中身は、各種サイズのインプラント、ボルト、工具等となる。箱は、通常、症例ごとに何セットも用意されており(箱ごとにナンバリングしシリアル管理している)、箱に装填された構成商品は、在庫管理、ロット管理(トレーサビリティ)することが必要である。また、箱には、滅菌包装された商品が入っている箱と、滅菌されていない未滅菌の商品が入っている箱とが存在する。
【0017】
箱貸出の流れとしては、(1)手術に応じた症例ごとに、箱が用意され貸出が行われ、(2)手術で使用した商品のみが売上計上される(すなわち、箱が返却されて、なくなっている構成商品が売上対象となる)。そして、(3)洗浄、使用がなされた構成商品については、新たな在庫を棚からもってきて箱に補充し、出荷用の新しい箱を完成させる。このように、緊急時等に即出荷できるように、基本的には、箱を予め準備しておく。なお、箱の貸出には、短期貸出と長期貸出とが存在する。短期貸出は、手術が決まっている場合に、その目的のために貸出し、手術が終われば箱は返却される。そして、箱の中の商品は補充されて、次の手術に備えられるという流れを繰り返す。長期貸出は、手術頻度の高い病院に対して、数セットの箱を長期間貸出したままにして、使用した商品のみ、補充をかける(すなわち、補充分のみ追加貸出する)。
【0018】
ここで、箱は、単に器という考え方ではなく、症例に応じた構成品がすべて装填された1つの商品(ただし、貸出用であって売り物ではない)であり、実務上、病院等への出荷後に箱のみを追跡することにより、箱内の構成品の数量や構成品のロット番号を把握できることが必要であり、また、出荷時の緊急性が高い中で、いかにその情報を管理するかを検討すべきであるという問題があった。なお、箱の中の構成品は、多い場合は、100明細近くなる。
【0019】
また、従来、症例単位で管理する「箱」での出荷業務を行える仕組みがなかったため、出荷時に、箱内の構成品のロット番号を1件1件入力する必要があった。そして、箱の返却後にも構成品を準備する作業には多大な負荷がかかっていた。さらに、システムにおいて、単なるセット品という扱いで管理するのではなく、外側(箱)および内側(構成品)という二重のシリアル管理を行えるデータ構造が必要とされていた。
【0020】
そこで、本実施形態においては、箱と構成品を各々の目線(箱目線、構成品目線)で管理する仕組みを実装し、出荷時の即時性向上、箱の所在管理、構成品の在庫管理を行うことを可能とした。また、本実施形態においては、施設間の振替の際、箱の振替のみ行えば良いため、所在管理の実務を大幅に効率化することにも成功した。さらに、本実施形態においては、構成品の有効期限や工具の使用期限も付属の情報として取得可能であるため、単にものを管理するというのみではなく、医療業界独自の管理要素(有効期限、使用期限、工具の使用回数等)も把握することが可能となった。さらに、本実施形態においては、単なるセット品として箱を管理するのではなく、箱と構成品とを各々で管理しつつ、両者に紐付がなされるようにデータベースを構築し、箱を管理することで、構成品の情報も連動させることができる。さらに、前述の長期貸出の場合には、補充した構成品を箱の構成データと連動させることにより、箱の再構成の処理に要する労力を軽減した。
【0021】
言い換えると、本実施形態においては、出荷前に症例単位で出荷セット(箱)を準備できる仕組みをシステム化し、その「箱」単位での数量管理、箱番号管理(箱自体のシリアル管理)、箱内のインプラントのロットおよびシリアル管理、貸出、返却、滅菌処理が出来るようになった。また、一般的なセット品管理では、在庫管理はセット品単位で行うが、これに対して、本実施形態においては、「箱」の仕組みを用いることで、在庫管理単位は単品(構成品)としながらも、症例に応じた「箱」を事前にマスタとして準備することで、「箱」単位で出荷貸出管理を行うことができる。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0022】
[2.構成]
本実施形態に係る構成品管理装置100の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、構成品管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
構成品管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、構成品管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0024】
構成品管理装置100は、
図1に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。構成品管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0025】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、構成品管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、構成品管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する記憶部106に格納されるデータは、サーバ200に格納されてもよい。
【0026】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114を、表示部としてのモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0027】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0028】
記憶部106は、商品マスタ106aと、箱構成マスタ106bと、在庫データ106cと、集合体構成データとしての箱構成データ106dと、受注データ106eと、貸出データ106fと、売上データ106gと、補充貸出データ106hと、を備えている。これらのうち、箱構成データ106d以外は、任意の構成要素であるが、記憶部106に含まれることが好ましい。
【0029】
ここで、本実施形態における集合体および構成品について説明する。集合体とは、1つ以上の構成品を束ねる概念である。前記集合体および前記構成品は特に制限されないが、例えば、前記集合体が、医療用の箱であり、前記構成品が、前記医療用の箱中に収納される医療品であるという組合せ好ましい。前記箱は、例えば、症例ごとに用意されている箱である。前記医療品は、例えば、各症例の手術において体内に埋め込む材料・原料(インプラント等)、各症例の手術において用いる手術工具等である。以下においては、(前記集合体、前記構成品)の組合せを、(箱、医療品)として説明することがあるが、本実施形態における(前記集合体、前記構成品)の組合せは、これには限定されない。
【0030】
以下、各データおよび各マスタが含む内容の概略について説明する。各データおよび各マスタが含む項目の詳細は、以下の[3.処理の具体例]で説明する。
【0031】
商品マスタ106aは、商品(箱としての商品、構成品としての商品の両方を含む)に関する基本情報を記憶する。箱構成マスタ106bは、箱内の構成内容、すなわち、構成品として何が箱に含まれるかを記憶する。在庫データ106cは、在庫(箱の在庫、構成品の在庫の両方を含む)に関する情報を記憶する。箱構成データ106dは、箱に関する情報と構成品に関する情報とを紐づけて記憶する。
【0032】
受注データ106eは、病院側から受注した商品に関する情報を記憶する。貸出データ106fは、病院側に貸し出す商品に関する情報を記憶する。
【0033】
売上データ106gは、売上された商品に関する情報を記憶する。補充貸出データ106hは、箱構成データ106dに補充する商品に関する情報を記憶する。
【0034】
制御部102は、構成品管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0035】
制御部102は、機能概念的に、(1)集合体識別情報、集合体個別識別情報、構成品識別情報および構成品ロット識別情報の少なくとも1つを入力するための入力手段としての入力部102aと、(2)入力された集合体識別情報、前記入力された集合体識別情報と紐づく集合体個別識別情報、構成品識別情報および構成品ロット識別情報を含む貸出データを作成する貸出データ作成手段としての貸出データ作成部102bと、(3)前記集合体構成データを更新する更新手段としての更新部102cと、を備えている。これらのうち、貸出データ作成部102bおよび更新部102cは、任意の構成要素であるが、制御部102に含まれることが好ましい。なお、各部が実行する処理の詳細については、以下の[3.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0036】
[3.処理の具体例]
以下、本実施形態に係る処理の具体例について、
図2〜
図7を用いて説明する。
図2および
図3は、本実施形態に係る処理フローおよびテーブル構造の概略の一例を示す図である。
図4は、貸出情報および在庫情報の一例を示す図である。
図5および
図6は、本実施形態に係る処理フローおよびテーブル構造の詳細の一例を示す図である。
図7は、本実施形態に係る処理フローおよびテーブル構造の具体例の一例を示す図である。
【0037】
本実施形態に係る処理フローおよびテーブル構造の概略を、
図2を用いて説明する。
図2に示すように、(1)病院への箱貸出に備えて予め、箱構成入力により、箱構成データ106dが作成され、次に、(2)病院側から貸出依頼がくると、貸出入力として、箱商品コードを入力するのみで、貸出データ106fが作成される。貸出データ106fの情報は、在庫データ106cに反映される。在庫データ106cは、箱商品および構成品の在庫情報を記憶し、在庫データ106c中における倉庫とは、貸出先ごとに設けた疑似倉庫のことである。そして、
図2に示すように、(3)貸出売上入力(返却入力)により、売上データ106gの情報が作成され、更に、売上データ106gの情報が箱構成データ106dに反映されることにより、箱構成データ106dが更新される。前記(3)の処理フローについて、長期貸出の場合、短期貸出の場合、貸出先振替の場合に分けて、
図3を用いて、より具体的に以下に説明する。
【0038】
長期貸出(箱は病院等に貸出したままで、返却されない)の場合、医療機器メーカ等の担当者は、病院側から使用した構成品の連絡を受けると、前記使用した構成品について、売上データ106gを作成し、これを元に、
図3(4)に示すように、前記使用した構成品を補充するための補充貸出データ106hを作成する。こうして、補充した構成品のロット番号等を、箱構成データ106dに反映することにより、箱構成データ106dが更新される。なお、この長期貸出の場合については、後に
図5〜
図7を用いて、更に具体的に説明する。
【0039】
短期貸出(箱は病院から返却される)の場合、医療機器メーカ等の担当者は、箱の返却後、箱からなくなっている構成品を、売上が上がった商品として、売上データ106gを作成する。そして、売上データ106gにおける売上された商品のリスト=補充リストとし、前記補充リストを参照して、箱に補充する新たな構成品をロット番号まで指定して、
図3(5)に示すように、箱構成データ106dが更新される。
【0040】
貸出先振替(A病院から医療機器メーカ担当者へと箱が返却されずに、直接B病院へと箱が移動する)の場合、
図3に示すように、貸出振替先と貸出振替元の貸出データの赤黒を起こし、更に同時に、在庫データの赤黒も起こす。
【0041】
本実施形態に係る処理フローおよびテーブル構造の詳細を、長期貸出(箱は病院等に貸したままで、返却されない)の場合を例にとり、
図5〜
図7を用いて説明する。処理フローとしては、
図5および
図6に示すように、事前のマスタ・データ登録、受注・貸出、補充・再構成の3つの処理に分かれるため、以下、この順で項目立てて説明する。なお、これら3つの処理は、入力部102aにより、前記集合体識別情報、前記集合体個別識別情報、前記構成品識別情報および前記構成品ロット識別情報の少なくとも1つを入力することにより行うことができる。
【0042】
[3−1.事前のマスタ・データ登録]
まず、事前のマスタ・データ登録について、主に
図5および
図7を用いて説明する。
【0043】
図5に示すように、医療機器メーカ等の担当者は、病院に箱を貸し出す前に、前もって、商品マスタ106a、箱構成マスタ106b、在庫データ106cおよび箱構成データ106dにおける各項目の内容を登録する。
【0044】
以下、各マスタおよび各データの詳細について説明するが、各項目の後ろに示すかっこ内の表記は、各項目の具体例のことであり、例えば、集合体識別情報(箱商品コード)と記載した場合には、集合体識別情報の具体例として、箱商品コードがあげられることを意味し、図には、この具体例を記載している。
【0045】
商品マスタ106aは、
図5に示すように、商品識別情報(商品コード)、商品名、箱区分、工具区分等の項目を記憶する。前記商品識別情報は、集合体識別情報(箱商品コード)および構成品識別情報(構成品コード)の両方を包含する。すなわち、前記商品識別情報として、箱商品コードを入力してもよいし、構成品コードを入力してもよい。前記商品名に関しても同様で、箱の商品名を入力してもよいし、構成品の商品名を入力してもよい。前記箱区分の項目には、商品が箱である場合に、「1」を入力する。前記工具品の項目には、商品が構成品である場合に、「1」を入力する。
【0046】
箱構成マスタ106bは、
図5および
図7に示すように、前記集合体識別情報(箱商品コード)、行番号、前記構成品識別情報(構成品コード)、構成品員数等の項目を記憶する。前記集合体識別情報および前記構成品識別情報は、それぞれ、各集合体および各構成品を識別するための情報であり、
図7に示すようなコード情報であってもよいし、具体的名称であってもよい。前記構成品員数は、前記構成品の数を意味する。
【0047】
在庫データ106cは、
図3および
図5に示すように、倉庫識別情報(倉庫コード)、前記商品識別情報(商品コード)、集合体個別識別情報(箱商品シリアル番号)、構成品ロット識別情報(構成品ロット番号)、有効期限、数量、前記箱区分、前記工具区分等の項目を記憶する。前記集合体個別識別情報は、シリアル番号のように、ある集合体を一意的に認識するための識別情報のことである。これに対して、前段落で説明した前記集合体識別情報については、個々として異なる集合体同士であっても、同一種類の商品であるならば、同一の集合体識別情報が振られることとなる。前記有効期限は、医療分野である場合、例えば、医療品の使用期限等であり、食品分野である場合、例えば、賞味期限・消費期限等である。
【0048】
箱構成データ106dは、
図3、
図5および
図7に示すように、前記構成品についての前記集合体識別情報(箱商品コード)、前記集合体個別識別情報(箱商品シリアル番号)、前記構成品識別情報(構成品コード)および前記構成品ロット識別情報(構成品ロット番号)を紐づけて記憶する。箱構成データ106dは、これらの項目に加えて、
図3、
図5および
図7に示すように、行番号、構成品数量、構成品有効期限等の項目を記憶していてもよい。ここで、同一の集合体に含まれる前記構成品に対しては、同一の集合体識別情報(箱商品コード)および同一の集合体個別識別情報(箱商品シリアル番号)が付されている。例えば、
図7の箱構成データ106dに示すように、構成品コードがK−001〜K−005の5種類の構成品は、すべて同一の集合体(箱)に含まれるため、同一の箱商品コードHA−001および同一の箱商品シリアル番号SIR001が付されている。このように、箱構成データ106dにおいては、各集合体についての情報(箱商品コード、箱商品シリアル番号)と、各構成品についての情報(構成品コード、構成品ロット番号、構成品数量、構成品有効期限)と、が紐づけされているため、集合体の情報と構成品の情報とを連動させて把握することができる。前記把握とは、具体的には、ある箱を選択すれば、その箱に含まれる構成品が何であるかに加えて、構成品の最新情報をも迅速に把握することができ、逆に、ある構成品を選択すれば、その構成品がどの箱に含まれているのかを迅速に把握することができる。
【0049】
[3−2.受注・貸出]
次に、受注・貸出について、
図5および
図7を用いて説明する。
【0050】
図5に示すように、医療機器メーカ等の担当者が、病院側から受注および貸出の依頼を受けると、受注データ106eおよび貸出データ106fを作成する。
【0051】
受注データ106eは、
図5に示すように、受注番号、受注行番号、受注日、貸出先、前記構成品識別情報(構成品コード)、前記構成品ロット識別情報(構成品ロット番号)、構成品数量、前記集合体識別情報(箱商品コード)、前記集合体個別識別情報(箱商品シリアル番号)等の項目を記憶する。
【0052】
貸出データ106fは、
図5および
図7に示すように、貸出番号、貸出行番号、貸出日、貸出先、前記構成品識別情報(構成品コード)、前記構成品ロット識別情報(構成品ロット番号)、構成品数量、前記集合体識別情報(箱商品コード)、前記集合体個別識別情報(箱商品シリアル番号)等の項目を記憶する。ここで、前述のとおり、各集合体についての情報と各構成品についての情報とは紐づいているため、貸出データ作成部102bは、入力された集合体識別情報(箱商品コード)、前記入力された集合体識別情報(箱商品コード)と紐づく集合体個別識別情報(箱商品シリアル番号)、構成品識別情報(構成品コード)および構成品ロット識別情報(構成品ロット番号)を含む貸出データ106fを作成することができる。言い換えると、箱商品コードを入力するのみで、
図7の貸出データ106f示すような、箱商品コード、箱商品シリアル番号、構成品コードおよび構成品ロット番号のすべてが含まれるデータが自動作成されるといえる。このように、本実施形態に係る構成品管理装置100によれば、貸出データ作成時に行う処理は、前記集合体識別情報(箱商品コード)の選択のみであるため、非常に効率よくかつミスなく貸出データを作成することができる。なお、貸出データ106fから、貸出伝票を作成してもよい。
【0053】
ここで、
図7の貸出データ106fを参照しつつ、病院側に貸し出す構成品について説明する。
図7の貸出データ106fに示すように、構成品コードK−001、K−002、K−003の構成品を1個ずつ(構成品数量が1)、構成品コードK−004、K−005の構成品を2個ずつ(構成品数量が2)、の計7個の構成品を貸し出すこととなる。
【0054】
[3−3.補充・再構成]
最後に、補充・再構成について、
図6および
図7を用いて説明する。
【0055】
図6に示すように、長期貸出において、病院側からどの構成品を使用したかの連絡がくると、医療機器メーカ等の担当者は、その連絡を元にして、売上データ106gおよび補充貸出データ106hの作成を行い、また、箱構成データ106dが更新される。
【0056】
売上データ106gは、
図6および
図7に示すように、売上番号、売上行番号、売上日、貸出先、前記構成品識別情報(構成品コード)、前記構成品ロット識別情報(構成品ロット番号)、売上数、返却数、貸出番号、前記集合体識別情報(箱商品コード)、前記集合体個別識別情報(箱商品シリアル番号)等の項目を記憶する。
図7の売上データ106gの場合、構成品コードK−002の構成品を1個(売上数が1)、構成品コードK−004の構成品を1個(売上数が1)、の計2個の構成品が使用されたとの連絡が病院側より来て、売上として入力することとなる。
【0057】
なお、売上された構成品のリストのデータ(売上データ106g)を、箱構成情報(箱構成データ106d)とリンクさせれば、その箱の補充に必要な商品、数量を、箱構成リストとしてアウトプットすることができる。また、売上データ106gの入力後に、売上された構成品の情報を初期表示すれば、次の貸出データ106hの作成をそのまま(容易に)行うことができる。
【0058】
補充貸出データ106hは、
図6および
図7に示すように、貸出番号、貸出行番号、貸出日、貸出先、前記構成品識別情報(構成品コード)、前記構成品ロット識別情報(構成品ロット番号)、構成品数量、元貸出番号、前記集合体識別情報(箱商品コード)、前記集合体個別識別情報(箱商品シリアル番号)等の項目を記憶する。
図7の補充貸出データ106hの場合、使用された2つの構成品(構成品コードがK−002で、構成品ロット番号がLT−015の構成品と、構成品コードがK−004で、構成品ロット番号がLT−002の構成品)それぞれに関して、ロット番号を1つ新しいものに差し替えた構成品(構成品コードがK−002で、構成品ロット番号がLT−016の構成品と、構成品コードがK−004で、構成品ロット番号がLT−003の構成品)が、箱構成データ106dに補充される2つの構成品となる。
【0059】
前記補充される2つの構成品が、箱構成データ106dに補充されることにより、更新部102cは、箱構成データ106dを更新する。ここで、前記補充される2つの構成品は、以下のようにして、元の箱である箱商品シリアル番号SIR001の箱と紐づいて補充される。すなわち、補充貸出データ106hにおける構成品コード002の構成品を例にとって説明すると、補充貸出データ106hの構成品コードK−002−補充貸出データ106hの元貸出番号KAS0001−貸出データ106fの貸出番号KAS0001−貸出データ106fの箱商品シリアル番号SIR001という様に紐づくことによって、補充貸出データ106hにおける構成品コードK−002の構成品は、箱商品シリアル番号SIR001の箱と紐づいて補充される。このようにして、
図7の箱構成データ106d(更新後)に示すように、行番号2の構成品と、行番号5の構成品と、が補充される。言い換えると、
図7の箱構成データ106dの行番号2の構成品(LT−015)が、
図7の箱構成データ106d(更新後)の行番号2の構成品(LT−016)という最新ロットに洗い替えられ、また、
図7の箱構成データ106dの行番号4の構成品(LT−002)の2つのうちの1つが、
図7の箱構成データ106d(更新後)の行番号5の構成品(LT−003)という最新ロットに洗い替えられたということもできる。
【0060】
なお、箱構成データ106dにおける更新として、最新ロットへの洗い替えではなく、構成品自体の追加(
図7の箱構成データ106d(更新後)の場合、構成品コードK−006の構成品を追加)をしたい場合、医療機器メーカ等の担当者は、手動で、箱構成データ106dの更新をして構成品自体の追加を行うことができる。
【0061】
このように、本実施形態に係る構成品管理装置100においては、前述のように、各集合体についての情報(箱商品コード、箱商品シリアル番号)と、各構成品についての情報(構成品コード、構成品ロット番号、構成品数量、構成品有効期限)と、が紐づけされているため、以下のような効果が生じる。
【0062】
一つ目に、箱における構成品の情報を、実務処理と併せて更新していくことができる。このため、大量に存在する構成品のロット番号の管理および在庫管理の処理を軽減することができる。
【0063】
二つ目に、箱を病院に長期貸出している場合において、箱内の構成品の最新情報をロット番号まで含めて把握することができる。この把握は、例えば、医療機器メーカ等の担当者等が、自社の商品を管理するために在庫照会をする場合においても役に立つし、または、長期貸出している病院に対して、棚卸時等に、貸出している構成品の最新情報一覧を示す場合においても役に立つ。
【0064】
三つ目に、箱情報の照会をすれば、箱にはどの構成品が含まれているかを把握でき、逆に、構成品の情報を照会すれば、前記構成品はどの箱に含まれているかを把握できる。すなわち、箱商品と構成品のどちらの目線でも、商品の状態を把握することができる。更に、前記構成品の情報を照会すれば、前記構成品が箱に含まれていない単独の状態なのか、または、箱に含まれている状態なのかを把握することができる。
【0065】
四つ目に、例えば、A病院からB病院への箱の移動の際(貸出先振替の際)には、一旦A病院から箱を返却してもらい、その後、B病院に貸出する必要があった。これに対して、本実施形態に係る構成品管理装置100は、各集合体についての情報と各構成品についての情報とが紐づけされているため、貸出間の箱の移動(貸出先変更)を1アクションで処理できるため、医療機器メーカ等の担当者が行う処理が軽減し、管理ミスも防止することができる。
【0066】
五つ目に、本実施形態に係る構成品管理装置100は、構成品のメインの情報(構成品コード、構成品ロット番号)だけではなく、構成品の付属情報(構成品数量、構成品有効期限、貸出日等)も併せて把握できるため、構成品の有効期限管理、返却期限管理、滞留管理等を効率よく行うことができる。また、前記構成品が工具である場合には、工具の使用回数管理も行うことができる。
【0067】
六つ目に、
図4に示すように、貸出一覧表、貸出確認書、貸出伝票、在庫一覧表の作成や、在庫照会を行うことができる。
【0068】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0069】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0070】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0071】
また、構成品管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0072】
例えば、構成品管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて構成品管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0073】
また、このコンピュータプログラムは、構成品管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0074】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム商品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本明細書で説明したような処理又は処理方法を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
【0075】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0076】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0077】
また、構成品管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、構成品管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0078】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。