特開2018-119428(P2018-119428A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本車輌製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2018119428-エンジン作業機 図000003
  • 特開2018119428-エンジン作業機 図000004
  • 特開2018119428-エンジン作業機 図000005
  • 特開2018119428-エンジン作業機 図000006
  • 特開2018119428-エンジン作業機 図000007
  • 特開2018119428-エンジン作業機 図000008
  • 特開2018119428-エンジン作業機 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-119428(P2018-119428A)
(43)【公開日】2018年8月2日
(54)【発明の名称】エンジン作業機
(51)【国際特許分類】
   F02B 77/13 20060101AFI20180706BHJP
   F02B 63/00 20060101ALI20180706BHJP
   F02B 63/04 20060101ALI20180706BHJP
【FI】
   F02B77/13 R
   F02B63/00 B
   F02B63/00 C
   F02B63/04 B
   F02B63/04 C
   F02B77/13 C
   F02B77/13 L
   F02B77/13 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-9974(P2017-9974)
(22)【出願日】2017年1月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 勇人
(57)【要約】
【課題】複雑な構造変更を要することなく、エンジンなどから飛散した油分の漏洩防止機能を向上させることができる防油堤を備えたエンジン作業機を提供する。
【解決手段】防油堤16は、該防油堤の側板外面とケーシングを支持する架台13の側板内面との間に離間部17を設けて配置され、架台の内面に、該架台の側板内面を伝わって流下する液体を防油堤の内部に流下させるためのガイド部18aを設け、防油堤の上縁とガイド部の下面との間に、離間部を通じて吸い込まれた空気を防油堤の内部に噴出させるための導入隙間19を設ける。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの内部に、作業機と、該作業機を駆動するエンジンとを収納し、燃焼用及び冷却用の空気を前記ケーシングの内部に吸い込む吸気口を前記ケーシングの側壁部に設けるとともに、上部が前記ケーシングの内部に開口した防油堤を前記ケーシングの下部に備えたエンジン作業機において、前記防油堤は、該防油堤の側板外面と前記ケーシングを支持する架台の側板内面との間に離間部を設けて配置され、前記架台の内面に、該架台の側板内面を伝わって流下する液体を前記防油堤の内部に流下させるためのガイド部を設け、前記防油堤の上縁と前記ガイド部の下面との間に、前記離間部を通じて吸い込まれた空気を前記防油堤の内部に噴出させるための導入隙間を設けたことを特徴とするエンジン作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン作業機に関し、詳しくは、エンジン及び作業機を収容するケーシングの下部に、外部への油分の漏洩を遮断するための防油堤を設けたエンジン作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機や圧縮機などの作業機と、該作業機を駆動するエンジンとをケーシングの内部に収容したエンジン作業機では、ケーシングを支持する架台の内側に防油堤(オイルガード)を設け、エンジンや燃料タンクから漏れた油分がエンジン作業機の外部に流出することを防止するようにしている。また、ケーシングの内壁に付着した油分を防油堤の内部に流下させるためのガイド部材を設けることも行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−47049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、防油堤は、架台の捩れが防油堤に直接伝わって破損しないように、防油堤と架台との間に離間部を設けて配置される場合がある。この場合、エンジン作業機の運転中に、ホースの穴あき等で油分が飛散、滴下した場合に、油分が前記離間部を通じてエンジン作業機の外部に流出する虞があった。このため、上述のガイド部材を更に発展させて、組み立てコストの上昇を招くことなく、油分の漏洩を確実に防止できる方策が望まれていた。
【0005】
そこで本発明は、複雑な構造変更を要することなく、エンジンなどから飛散した油分の漏洩防止機能を向上させることができる防油堤を備えたエンジン作業機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のエンジン作業機は、ケーシングの内部に、作業機と、該作業機を駆動するエンジンとを収納し、燃焼用及び冷却用の空気を前記ケーシングの内部に吸い込む吸気口を前記ケーシングの側壁部に設けるとともに、上部が前記ケーシングの内部に開口した防油堤を前記ケーシングの下部に備えたエンジン作業機において、前記防油堤は、該防油堤の側板外面と前記ケーシングを支持する架台の側板内面との間に離間部を設けて配置され、前記架台の内面に、該架台の側板内面を伝わって流下する液体を前記防油堤の内部に流下させるためのガイド部を設け、前記防油堤の上縁と前記ガイド部の下面との間に、前記離間部を通じて吸い込まれた空気を前記防油堤の内部に噴出させるための導入隙間を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエンジン作業機によれば、エンジンなどから飛散した油分をガイド部によって防油堤の内部に流下させるとともに、防油堤の上縁とガイド部の下面との隙間から噴出する空気の流れによって、ガイド部に付着した油分を防油堤の内部に吹き戻すことができるので、油分が防油堤と架台との離間部を通じてエンジン作業機の外部に流出することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一形態例を示すエンジン作業機の正面図である。
図2】同じくエンジン作業機の要部平面図である。
図3】同じくエンジン作業機の要部正面図である。
図4図2のIV−IV断面図である。
図5図3のV−V断面図である。
図6】同じくエンジン作業機の要部断面斜視図である。
図7】同じくエンジン作業機の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1乃至図7は本発明のエンジン作業機の一形態例を示すものである。まず、図1に示すように、エンジン作業機11は、防音構造を有するケーシング12の下部に設けられている架台13の上に、発電機や圧縮機、油圧ユニットなどの作業機や、該作業機を駆動するディーゼルエンジンなどの機器(図示せず)を収容したものであって、ケーシング12は、略直方体の箱状に形成され、側壁12aには、機器の保守作業を行うための両開き方式の点検扉14が設けられている。側壁12a及び点検扉14には、ケーシング12の内部に冷却用及び燃焼用の空気を取り入れるための吸気口15がそれぞれ設けられている。
【0010】
架台13は、図2乃至図4に示すように、長手方向に設けられた一対のベースフレーム13a,13aと、両ベースフレーム13aの上部に掛け渡されて機器を支持する機器支持部材13bと、両ベースフレーム13aの下部に掛け渡されて防油堤16を支持する防油堤支持部材13cとで形成されている。
【0011】
防油堤16は、長方形状の底板16aと、該底板16aの四方を囲む側板として、底板16aの対向する長辺部にそれぞれ立設した一対の長側板16b,16bと、底板16aの対向する短辺部にそれぞれ立設した一対の短側板16c,16cとを備えており、上部に開口を有した箱形に形成されている。
【0012】
さらに、防油堤16には、長側板16bの内外を連通させるパイプ部材16dが設けられており、防油堤16の内部に溜まった油分をパイプ部材16dに接続されたホースなどのドレン管(図示せず)を通じてエンジン作業機11の外部に排出して、適宜な容器に回収することができる。
【0013】
また、防油堤16は、上縁を機器支持部材13bの下側に潜り込ませた状態で、防油堤支持部材13cの上面に載置されているので、エンジンなどから直接飛散した油分のみならず、機器支持部材13bを伝わって間接的に飛散した油分も防油堤16の内部に流下させることができる。
【0014】
さらに、防油堤16は、図5及び図6に示すように、一対のベースフレーム13a,13aの内側に配置されるとともに、長側板16bの外面とベースフレーム13aの内面との間に離間部17を設けているので、架台13に生じる捩れが防油堤16に直接伝わることはなく、防油堤16が架台13と共に捩れて破損することを防止できる。
【0015】
ベースフレーム13aの内面には、断面コ字状の内フレーム18が設けられ、内フレーム18の下辺は、先端を防油堤16の上方に突出させてガイド部18aを形成している。また、ガイド部18aの下面を長側板16bの上端から僅かに離間させることによって、離間部17から吸い込まれた空気を防油堤16の内部に噴出させるための導入隙間19が設けられている。
【0016】
このように形成したエンジン作業機11は、運転スイッチを投入してエンジンを始動すると、ラジエータファン(図示せず)の回転によってケーシング12の内部の空気がエンジン作業機11の外部に排出される。このとき、ケーシング12の内部は負圧になるので、吸気口15からケーシング12の内部に空気が吸引される。さらに、吸引された空気は、ラジエータファンに向かう流れとなってケーシング12の内部で掻き乱され、図7に矢印L1で示すように、ケーシング12内に飛散、流出した油分を吹き上げて飛散させる。
【0017】
飛散した油分は、内フレーム18の内壁に付着すると、矢印L2で示すように、内フレーム18の内壁を伝わって流下し、内フレーム18の内壁からガイド部18aの傾斜面を下って防油堤16の上方に誘導され、ガイド部18aの先端から防油堤16の内部に流下する。このように、ケーシング12の内部が負圧になっているので、架台13の内壁を伝わって流下した油分が、離間部17を通じてエンジン作業機11の外部に流出することを防止できる。
【0018】
さらに、ケーシング12内に吸引される空気の一部は、矢印A1で示すように、離間部17を上昇し、導入隙間19から防油堤16の内部に噴出されるとともに、導入隙間19によって流通経路が絞られて流速が上昇するので、防油堤16の内部への噴出が高速になる。このため、油分が、ガイド部18aの下面を伝わって導入隙間19に向かって流れようとしても、導入隙間19から噴出する空気によって防油堤16の内部に吹き戻されるので、油分が離間部17を通じてエンジン作業機11の外部に流出することを確実に防止できる。
【0019】
このように、防油堤16の上縁とガイド部18aの下面との間に僅かに隙間を設けるだけで、エンジン作業機11の運転中にエンジンなどから飛散した油分の外部への漏洩を防止できる。さらに、シール材などで離間部17を閉塞する必要がないので、製造コストの増加も抑制できる。また、エンジン作業機11の停止中は、ケーシング12内に空気の流れが発生しないので、油分が吹き上げられて導入隙間19から防油堤16の外部に流出することはない。
【0020】
なお、ガイド部は、防油堤の上縁に僅かに隙間を設けて形成することで空気の吹き出しを増速できればよく、離間部の大きさや機器の配置状態に応じて、適宜な形状で形成することができる。例えば、ケーシング内の負圧状態などの条件によって異なるが、導入隙間は2〜5mm程度が適当である。
【符号の説明】
【0021】
11…エンジン作業機、12…ケーシング、12a…側壁、13…架台、13a…ベースフレーム、13b…機器支持部材、13c…防油堤支持部材、14…点検扉、15…吸気口、16…防油堤、16a…底板、16b…長側板、16c…短側板、16d…パイプ部材、17…離間部、18…内フレーム、18a…ガイド部、19…導入隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7