特開2018-120798(P2018-120798A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-120798(P2018-120798A)
(43)【公開日】2018年8月2日
(54)【発明の名称】コネクタ構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/518 20060101AFI20180706BHJP
   H01R 13/514 20060101ALI20180706BHJP
【FI】
   H01R13/518
   H01R13/514
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-12414(P2017-12414)
(22)【出願日】2017年1月26日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前田 勇紀
(72)【発明者】
【氏名】小山 勝三郎
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE11
5E087FF03
5E087FF06
5E087JJ08
5E087RR04
5E087RR25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型化の妨げにならない複数個の単位ソケットが収容可能なコネクタ構造
【解決手段】一方向に揃うソケットコンタクトを有するソケットハウジング11と、ソケットハウジング11を嵌合状態で収容するソケット収容部2151を備えるベースハウジング21とを備え、ソケットハウジング11は隣り合うソケットコンタクト同士を隔てる単位ソケット110の集合体であり、分割された単位ソケット110は嵌合状態でベースハウジング21に対峙する側面に挿入方向に沿う案内突条部が備わり、ベースハウジング21の対応する後壁には案内突条部に対応する位置に案内溝部2121が備わり、ベースハウジング21はカバー部230とホルダー部210とに分離可能で、ホルダー部210の内側面には案内溝部2121が備わり、分離状態のホルダー部210は底壁をカバー部230の底壁に近づける姿勢で嵌合される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に揃うソケットコンタクトを有するソケットハウジングと、前記ソケットハウジングを嵌合状態で収容する収容室を備えるベースハウジングとを備えるコネクタ構造であって、
前記ソケットハウジングは隣り合う前記ソケットコンタクト同士を隔てるように少なくとも一つの分割面で二つ以上に分割された単位ソケットの集合体であり、
分割された前記単位ソケットは前記嵌合状態で前記ベースハウジングに対峙する側面に挿入方向に沿う案内機構が備わり、前記ベースハウジングの対応する側面には前記案内機構に対応する位置に被案内機構が備わるところに特徴を有するコネクタ構造。
【請求項2】
前記ベースハウジングは外周部のカバー部と内周部のホルダー部とに分離可能で、前記ホルダー部の内側面には前記被案内機構が備わり、
分離状態の前記ホルダー部は底壁を前記カバー部の底壁に近づける姿勢で嵌合されるところに特徴を有する請求項1記載のコネクタ構造。
【請求項3】
前記ベースハウジング又は前記ホルダー部は前記ソケットハウジングを2個以上収容可能な前記収容室を備え、隣り合う前記収容室の間には仕切り壁が備わるところに特徴を有する請求項1又は2記載のコネクタ構造。
【請求項4】
前記単位ソケットの前記案内機構が嵌合方向に沿って延びる突条部であり、前記ベースハウジング又は前記ホルダー部の前記被案内機構が前記突条部に対応する位置に形成された溝部であるところに特徴を有する請求項1から3の内一項記載のコネクタ構造。
【請求項5】
前記突条部が備わる前記単位ソケットの側面には片持ち梁状の係止突部が備わり、前記ベースハウジング又は前記ホルダー部の対応する側面には前記係止突部に対応する位置に係止穴が備わるところに特徴を有する請求項1から4の内一項記載のコネクタ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はソケットハウジングとベースハウジングのコネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この分野の技術として、特許文献1記載の技術が知られている。複数個のコネクタ保持部を備えたホルダー部に複数個のコネクタを着脱可能に保持し、これら複数のコネクタとホルダー部とを一体化した後、複数個のコネクタをジョイントコネクタの収容部に嵌合するものである。
このようにホルダー部を備えることで複数個のコネクタを一括で嵌合できるメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−151677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ホルダー部のソケットハウジング収容部には隣接するソケットハウジング同士を隔てる仕切り壁が備わるので、壁厚相当分コネクタの小型化が妨げられる。また収容可能なソケットハウジングは2個のコンタクトが組み付く2極用ソケットコネクタが示されるのみなので、収容可能なソケットハウジングの組み合わせは制限的である。
【0005】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、コネクタ構造の小型化の妨げにならない複数個のソケットハウジングが収容可能なコネクタ構造の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタ構造は、(1)一方向に揃うソケットコンタクトを有するソケットハウジングと、前記ソケットハウジングを嵌合状態で収容する収容室を備えるベースハウジングとを備えるコネクタ構造であって、前記ソケットハウジングは隣り合う前記ソケットコンタクト同士を隔てるように少なくとも一つの分割面で二つ以上に分割された単位ソケットの集合体であり、分割された前記単位ソケットは前記嵌合状態で前記ベースハウジングに対峙する側面に挿入方向に沿う案内機構が備わり、前記ベースハウジングの対応する側面には前記案内機構に対応する位置に被案内機構が備わるところに特徴を有するものである。
【0007】
この発明によれば、ベースハウジングは複数個の単位ソケットが収容可能な収容室を備える。単位ソケット同士は分割面が密接する状態で収容されるので単位ソケット同士を隔てる仕切り壁は備わらない。これにより、小型化の妨げにならない複数個の単位ソケットが収容可能なコネクタ構造が得られる。
【0008】
単位ソケットは装着されるコンタクトの個数に制限はなく、ベースハウジングに組み付く組み合わせにも制限はない。単位ソケットが4個組み付く場合であってよく、その際2極、3極、4極、及び3極からなる単位ソケットの組み合わせであってもよい。もちろん同極数からなる単位ソケットの組み合わせであってもよい。
【0009】
好ましくは、本発明のコネクタ構造は、(2)前記ベースハウジングは外周部のカバー部と内周部のホルダー部とに分離可能で、前記ホルダー部の内側面には前記被案内機構が備わり、分離状態の前記ホルダー部は底壁を前記カバー部の底壁に近づける姿勢で嵌合されるところに特徴を有する(1)記載のものである。
【0010】
この発明によれば、ホルダー部はカバー部に着脱可能である。これにより、複数個の単位ソケットが所定の位置に組み付けられたホルダー部を対応するカバー部に組み付けることができるので1回の操作で複数個の単位ソケットの一括嵌合が可能である。
【0011】
好ましくは、本発明のコネクタ構造は、(3)前記ベースハウジング又は前記ホルダー部は前記ソケットハウジングを2個以上収容可能な前記収容室を備え、隣り合う前記収容室の間には仕切り壁が備わるところに特徴を有する(1)又は(2)記載のものである。
【0012】
この発明によれば、ベースハウジングは少なくとも一つの仕切り壁で隔たれた少なくとも2個以上の収容室を備えるので、複数個の単位ソケットの組み付け個数や異なる極数の組み合わせの自由度が増す。たとえば収容室を一軸状に配置してもよく、n行×m列からなる碁盤目状態に配置してもよい。なおn、mは自然数である。
【0013】
好ましくは、本発明のコネクタ構造は、(4)前記単位ソケットの前記案内機構が嵌合方向に沿って延びる突条部であり、前記ベースハウジング又は前記ホルダー部の被案内機構が前記突条部に対応する位置に形成された溝部であるところに特徴を有する(1)から(3)の内一項記載のものである。
【0014】
この発明によれば、単位ソケットはベースハウジングあるいはホルダー部に対する組み付け位置が案内機構によって調整され、位置合わせがおこなわれたところから嵌合完了深さまで案内機構に沿って進む。
【0015】
好ましくは、本発明のコネクタ構造は、(5)前記突条部が備わる前記単位ソケットの側面には片持ち梁状の係止突部が備わり、前記ベースハウジング又は前記ホルダー部の対応する側面には前記係止突部に対応する位置に係止穴が備わるところに特徴を有する(1)から(4)の内一項記載のものである。
【0016】
この発明によれば、単位ソケットはベースハウジングあるいはホルダー部に対して嵌合完了深さで係止部で保持される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態に係るコネクタ構造の外観斜視図であって、(A)は斜め上方からの斜視図、(B)は斜め下方からの斜視図である。
図2図2は、同コネクタ構造の単位ソケットと分離された状態の電線に接続されたコンタクトとの外観斜視図である。
図3図3は、同コネクタ構造の単位ソケット、ホルダー部、及びカバー部の組み付け工程で単位ソケットがホルダー部に組み付けられる段階を示す外観斜視図である。
図4図4は、同コネクタ構造の組み付け工程で単位ソケットが組み付けられたホルダー部がカバー部に組み付けられる段階を示す外観斜視図である。
図5図5は、同コネクタ構造の組み付け工程で単位ソケットがホルダー部に組み付けられる段階を示すもので図3の裏面を示す外観斜視図である。
図6図6は、同コネクタ構造の単位ソケットがカバー部の対応するところに嵌合する工程図であって、(A)は嵌合前の状態、(B)は嵌合途中の状態、(C)は嵌合完了の状態を示す外観斜視図であり、(D)はホルダーの底面図である。
図7図7は、同コネクタ構造のホルダー部がカバー部に装着された状態のベースハウジングに単位ソケットが組み付けられる様子を示す外観斜視図である。
図8図8は、他の実施形態に係る仕切り壁で区画される複数個の収容部からなるカバー部及び対応する複数個のホルダー部が示されるコネクタ構造の外観斜視図である。
図9図9は、他の実施形態に係る仕切り壁で区画される複数個のソケット収容部からなるホルダー部及び対応するカバー部が示されるコネクタ構造の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<コネクタ構造概説>
本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で実施することができる。図1は、本発明の実施形態に係るコネクタ構造の外観斜視図であって、(A)は斜め上方からの斜視図、(B)は斜め下方からの斜視図である。図2は、同コネクタ構造の単位ソケットと分離された状態の電線に接続されたコンタクトとの外観斜視図である。図3は、同コネクタ構造の単位ソケット、ホルダー部、及びカバー部の組み付け工程で単位ソケットがホルダー部に組み付けられる段階を示す外観斜視図である。図4は、同コネクタ構造の組み付け工程で単位ソケットが組み付けられたホルダー部がカバー部に組み付けられる段階を示す外観斜視図である。図5は、同コネクタ構造の組み付け工程で単位ソケットがホルダー部に組み付けられる段階を示すもので図3の裏面を示す外観斜視図である。図6は、同コネクタ構造の単位ソケットがカバー部の対応するところに嵌合する工程図であって、(A)は嵌合前の状態、(B)は嵌合途中の状態、(C)は嵌合完了の状態を示す外観斜視図であり、(D)はホルダーの底面図である。なお説明中の方向指示は図中の方向定義に従う。
【0019】
本実施形態のコネクタ構造1は、図1に示されるように、電線Wに接続するソケットコネクタ10と図示しない回路基板に接続するベースコネクタ20とからなる。ソケットコネクタ10は電線接続側を上に向け嵌合側が下に向く姿勢でベースコネクタ20の上面の開口部から挿入されて嵌合完了姿勢にいたる。
【0020】
ソケットコネクタ10は非導電性の合成樹脂からなるソケットハウジング11と、導電性の銅合金からなるソケットコンタクト12とを備える。ソケットコンタクト12は電線Wに接続する接続部を上端部に備え、相手側コンタクトに接続する接触部を下端部に備える。
【0021】
ソケットハウジング11は左右方向に沿って一列状に並ぶ複数個の単位ソケット110に分割されている。ソケットハウジング11は独立した単位ソケット110の集合体である。集合状態で隣接ずる単位ソケット110は互いの側面同士が対峙する姿勢で接する。対峙する側面同士は略平坦で互いの動きを規制する規制手段は備わらない。単位ソケット110は単独で挿抜操作が可能である。単位ソケット110は隣り合う単位ソケット110と同極数のソケットコンタクト12を備えるものであってよく、異極数のソケットコンタクト12を備えるものであってもよい。
【0022】
ベースコネクタ20はL字状のベースコンタクト22とベースコンタクト22を底壁で保持する非導電性の合成樹脂からなるベースハウジング21とを備える。
【0023】
ベースハウジング21は二つの構成要素に分割可能で内側を構成するホルダー部210と外側を構成するカバー部230とからなる。ホルダー部210はカバー部230の内側に合体して一体的にベースハウジング21を構成する。ホルダー部210はバスタブ状で全体的に内側面でソケット収容部2151を区画する。カバー部230は外側面でベースハウジング21の輪郭を形成する。
【0024】
ベースハウジング21のカバー部230には、図1に示されるように、図示しない回路基板に接続するベースコンタクト22が装着される。ベースコンタクト22は外部に露出する接続部と、相手方コンタクトに接続する図示しない接触部とを備える。接触部と接続部との間には図示しない保持部が備わり、保持部はカバー部230の対応する位置に圧入保持される。接触部はカバー部230の底壁236から上方へ直進しベースハウジング21の内側で左右方向に沿って等間隔に並ぶ。
【0025】
ベースコンタクト22の接続部はベースハウジング21の底面に沿って後方に延び図示しない回路基板のターミナルに接続する。ベースコンタクト22は左右方向に沿って等間隔に並ぶ。
【0026】
<単位ソケット>
単位ソケット110は、図2に示されるように、集合して一組のソケットハウジング11を構成する。単位ソケット110は、本実施形態のように左右方向一列に並ぶものに限定されるものではない。たとえば前後方向に集合する場合があってもよい。集合状態を構成する単位ソケット110は隣接する単位ソケット110の動きを規制しない。単位ソケット110は単独で挿抜できる。単位ソケット110は隣接する単位ソケット110に極数を合わせることを要しない。
【0027】
単位ソケット110は、図2に示されるように、周囲が壁面で囲われた箱体状である。壁面は内部にコンタクト収容室1150を区画する。コンタクト収容室1150は複数個備わり上壁115の開口部はコンタクト収容室1150に連通する。前壁111にはソケットコンタクト12を所定位置で保持するための係止部1110が備わる。電線Wの先端部に接続するソケットコンタクト12は先端が下に向く姿勢でコンタクト収容室1150に装着される。装着位置でソケットコンタクト12のランスは単位ソケット110の前壁111の係止部1110に係止して保持される。
【0028】
単位ソケット110の左右側壁113、113及び前壁111には、図3図5に示されるように、凸凹のない平坦面が備わる。単位ソケット110の後壁112には左右端部に上下方向に延びる隆起した案内突条部1120、1120が形成され中央部には片持ち梁状の係止片1123が備わる。
【0029】
<ホルダー部>
ホルダー部210は、図3に示されるように、上面に開口部が形成された周囲が壁面で囲われる箱体状である。壁面は内部に開口部に連通するソケット収容部2151を区画する。ホルダー部210の前壁111の外側面には中央部に前後方向に弾性変形可能なロックレバー2111が備わる。ロックレバー2111の上端部には一回り厚みが増した操作部2112があり、外側面には左右方向に延びる突起部2113が備わる。ロックレバー2111は下端を基端部にする片持ち梁であって前後方向に弾性的に変形する。前壁211の外側面の左右端部には上下方向に突状に延びる案内突条部2110、2110が備わる。案内突条部2110は側壁213の前端部が全体的にそのまま前方に張り出す態様である。
【0030】
ホルダー部210の上面には、図3図5に示されるように、前壁211から左右側壁213、213の上端部をカバーするように外方向に張り出すフランジ2100が備わる。フランジ2100は前壁211中央でロックレバー2111の動きを妨げないように所定範囲に亘る窪み部が備わる。操作部2112周囲のフランジ2100はロックレバーの反転防止の機能を有する。
【0031】
ホルダー部210は上面に壁際まで広がる開口部2150が備わり、開口部2150は
ソケット収容部2151に連通している。単位ソケット110は開口部2150を通してソケット収容部2151に組み付けられる。
【0032】
ホルダー部210の後壁212には、図3図5に示されるように、内側面に上下方向に延びる案内溝部2121が形成されている。案内溝部2121は単位ソケット110の案内突条部1120の対応する位置にあり一対で単位ソケットに対応する。案内溝部2121に案内突条部1120が嵌る姿勢で進み単位ソケット110はソケット収容部2151に組み付けられる。案内溝部2121と案内溝部2121との間には係止穴2120が形成された後壁212が備わる。
【0033】
ホルダー部210の底壁216には、図6に示されるように、ベースコンタクト22用の開口部220が備わる。ホルダー部210がカバー部230に組み付けられた状態でベースコンタクト22の接触部は開口部220を通して上方へ延びる。
【0034】
<カバー部>
カバー部230は、図3に示されるように、上面に開口部2300が形成された周囲が壁面で囲われる箱体状である。壁面は内部に開口部2300に連通するホルダー収容部2301を区画する。前壁231の内側面の中央部には上下方向に延びる凹状のロックレバー溝2311が備わる。前壁231内側面の左右端部には上下方向に延びる凹状の案内溝部2312、2312が備わる。案内溝部2312はホルダー部210の案内突条部2110の対応する位置にある。案内溝部2312に案内突条部2110が嵌る姿勢で進みホルダー部210はカバー部230に組み付けられる。
【0035】
カバー部230は上面に開口部2300を有し、開口部2300はホルダー収容部2301に連通する。ホルダー部210は開口部2300を通してホルダー収容部2301に組み付けられる。
【0036】
カバー部230は、図3に示されるように、左右側壁233、233に補強金具2331を保持するためのスリット2330を備える。圧延金属板の切り出しからなる補強金具2331はスリット2330に圧入保持される。保持状態で補強金具2331の下辺部及び角部はスリット2330の隙間部から露出する。補強金具2331はベースコネクタ20と図示しない回路基板との接続強度を補強するものである。
【0037】
カバー部230の底壁236には図示しない圧入孔が備わる。圧入孔はベースコンタクト22を保持部で保持する。
【0038】
カバー部230の後壁232及び左右側壁233、233の内側面には凹凸のない平坦面が備わる。底壁236には等間隔に配置されたベースコンタクト22が備わる。
【0039】
<組み付け工程>
単位ソケット110は、図3に示されるように、4個で一組のソケットハウジング11を構成する。集合が解かれた状態のソケットハウジング11は4個の単位ソケット110に分割される。一組のソケットハウジング11を構成する単位ソケット110は単体でホルダー部210の対応するソケット収容部2151に収容される。隣接する単位ソケット110は側壁113、113同士が近接する状態で組み付けられる。側壁113と側壁113との間には互いを隔てる仕切り壁はなく密接状態で隣接する。これにより仕切り壁を設置することによるコネクタ構造の大型化が抑制される。
【0040】
複数個の単位ソケット110は2個以上を一体としてホルダー部210の対応するソケット収容部2151に組み付けてよい。或いは単位ソケット110単位でソケット収容部
2151に組み付けてもよい。このときソケット収容部2151の一端から順次隣接する単位ソケット110を組み付けて他端で終わってよい。また組み付け完了時にソケット収容部2151に単位ソケット110の空席が生じる場合があってもよい。
【0041】
単位ソケット110がソケット収容部2151の対応する位置にすべて組み付くとソケットハウジング11とホルダー部210とは一体化する。これによりソケットハウジング11とベースハウジング21との嵌合は単位ソケット110が組み付けられたホルダー部210とカバー部230との嵌合に変換される。
【0042】
単位ソケット110が対応する場所にすべて組み付けられたホルダー部210は、図4に示されるように、カバー部230のホルダー収容部2301に組み付けられる。カバー部230に組み付けられたホルダー部210は一体的にベースハウジング21を構成する。これによりソケットハウジング11とベースハウジング21との嵌合によるコネクタ構造1が得られる。
【0043】
ホルダー部210は、図4に示されるように、底面を下にする姿勢でカバー部230の上方位置からホルダー収容部2301に組み付けられる。位置合わせの目安はホルダー部210前壁211左右端の案内突条部2110、2110の下端と、カバー部230前壁231内側面の左右端に備わる案内溝部2312、2312の上端との水平方向の一致である。このように水平方向の位置が合わされるところでホルダー部210はカバー部230に対する組み付け位置にある。
【0044】
ホルダー部210の案内突条部2110とカバー部230の案内溝部2312の水平方向の位置が合わされるところからホルダー部210を案内溝部2312に沿って降下させる。これによりホルダー部210の底壁216下面がカバー部230の底壁236上面に当接して停止する。このようにしてホルダー部210はカバー部230のホルダー収容部2301に組み付けられる。
【0045】
ホルダー部210とカバー部230との組み付け過程でホルダー部210の前壁211に備わるロックレバー2111は全体的に後方へたわむ。嵌合の進行に応じてたわみ量は増す。ホルダー部210が組み付け完了位置にあるときロックレバー2111に備わる突起部2113がカバー部230のロックレバー溝2311に形成される係止穴2310に嵌りあう。これによりロックレバー2111の後方へのたわみは多少弱まり、組み付け完了の係止位置でホルダー部210はカバー部230に保持される。
【0046】
<単位ソケットの組み付け工程>
単位ソケット110は、図6に示されるように、底面を下にする姿勢でホルダー部210に組み付けられる。このときホルダー部210は開口部2150を上にする姿勢にある。図6は、同コネクタ構造の単位ソケットがカバー部の対応するところに嵌合する工程図であって、(A)は嵌合前の状態、(B)は嵌合途中の状態、(C)は嵌合完了の状態を示す外観斜視図であり、(D)はホルダーの底面図である。
【0047】
単位ソケット110のホルダー部210に組み付く位置は案内突条部1120、1120と案内溝部2121、2121との対応関係による。単位ソケット110は装着するソケットコンタクト12の個数によって大きさが相違し特に左右方向の幅寸法が相違する。案内突条部1120は後壁112の左右端部に備わるので装着するソケットコンタクト12の個数によって案内突条部1120の備わる間隔が相違する。これに対応する位置にホルダー部210の案内溝部2121は備わるので、案内溝部2121の間隔は対応する単位ソケット110によって決まる。
これにより単位ソケット110は対応するソケット収容部2151の位置に組み付けら
れる。
【0048】
単位ソケット110は、図6に示されるように、対応するソケット収容部2151に収容される。単位ソケット110の後壁112左右端部の案内突条部1120、1120はホルダー部210の対応する位置で案内溝部2121、2121に沿って下方に進む。
【0049】
単位ソケット110の後壁112に備わる係止片1123は下端を基端部とし上端を可動部とする片持ち梁である。係止片1123は上端にある厚みのある操作部1124を作用点として全体が前後方向に弾性的に変位する。組み付け工程初期の係止片1123は操作部1124が壁側にやや近づいた位置にある。
【0050】
組み付け工程が進み単位ソケット110の下端が3分の1ほどソケット収容部2151に収容される位置で係止片1123の外側面はホルダー部210の後壁212内側面の上端部に当接する。当接により係止片1123は壁側である前方へ弾性的に変位する。組み付け工程の進行に応じて係止片1123の変位は増す。
【0051】
単位ソケット110がソケット収容部2151の組み付け完了位置まで挿入されると、単位ソケット110の底面はホルダー部210底壁216の上面に当接する。組み付け完了位置で係止片1123は倒れた姿勢で外側面をホルダー部210後壁212内側面に当接し付勢力を加える。係止片1123の外側面に備わる係止突部1125はホルダー部210後壁212に備わる対応する係止穴2120の位置にある。係止突部1125が係止穴2120に係止し単位ソケット110はホルダー部210の組み付け完了位置で保持される。
【0052】
収容された単位ソケット110のホルダー部210からの抜き出しは、係止片1123の操作部1124を前方の壁側に倒し係止突部1125と係止穴2120との係止状態を解除しておこなう。抜き出し操作は組み付け工程と逆手順でおこなわれる。係止状態が解除された単位ソケット110は上方向への移動によってソケット収容部2151から抜去される。
【0053】
<別の組み付け順序>
単位ソケット110は、図7に示されるように、ホルダー部とカバー部が一体化した状態のホルダー部に組み付けてもよい。このときの単位ソケット110の組み付け要領は、カバー部230から分離された状態のホルダー部210に組み付ける操作手順と概ね同じである。また、このときのホルダー部210とカバー部230との組み付け要領は、単位ソケット110が組み付けられたホルダー部210をカバー部230に組み付ける操作手順と概ね同じである。
【0054】
<効果>
本実施形態に係るコネクタ構造1は複数個の単位ソケット110の集合体を一つのベースハウジング21に組み付け可能である。これにより小型化可能なコネクタ構造1が得られる。
本実施形態に係るコネクタ構造1は異なる極数の単位ソケット110の集合体を一つのベースハウジング21に組み付け可能である。これにより組み合わせる単位ソケット110の自由度が高いコネクタ構造1が得られる。
【0055】
本実施形態に係るコネクタ構造1は単位ソケット110の案内突条部1120をホルダー部210の案内溝部2121の位置にあわせて組み付けられるので、スムーズな挿入が可能なコネクタ構造1が得られる。
本実施形態に係るコネクタ構造1は単位ソケット110の案内突条部1120をホルダ
ー部210の対応する案内溝部2121に合わせて組み付けられるので、異なる極数同士の単位ソケット110を誤挿入することがないコネクタ構造1が得られる。
【0056】
本実施形態に係るコネクタ構造1は単位ソケット110の係止片1123を倒して対応するホルダー部210の係止穴2120との係止を解除することで抜出が可能状態となる。これによりたとえばマイナスドライバ等の道具を必要としない解除可能なコネクタ構造1が得られる。
本実施形態に係るコネクタ構造1は複数個の単位ソケット110を収容するソケット収容部2151が単位ソケット110単位の仕切り壁で区画される構造ではなく、隣接する単位ソケット110の側壁113同士が接する構造である。これにより小型化が可能なコネクタ構造1が得られる。
【0057】
本実施形態に係るコネクタ構造1はベースハウジング21がカバー部230とホルダー部210に分割可能なセパレート構造である。一方分割された単位ソケット110はホルダー部210に組み付けられて一括挿入される。これにより組み付け操作が容易なコネクタ構造1が得られる。
本実施形態に係るコネクタ構造1は単位ソケット110には係止片1123が備わり、対応するホルダー部210には係止穴2120が備わる。これにより組み付け完了位置に組み付けられた単位ソケット110はホルダー部210に保持されるコネクタ構造1が得られる。
【0058】
本実施形態に係るコネクタ構造1はホルダー部210にはロックレバー2111が備わり、対応するカバー部230には係止穴2310が備わる。これにより組み付けられたホルダー部210はカバー部230に保持されるコネクタ構造1が得られる。
【0059】
<他の実施形態>
本発明の技術的範囲は本実施形態によって限定的に解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の態様を取りうるものである。他の実施形態について図面に基づいて説明する。図8は、他の実施形態に係る仕切り壁で区画される複数個の収容部からなるカバー部及び対応する複数個のホルダー部が示されるコネクタ構造の外観斜視図である。図9は、他の実施形態に係る仕切り壁で区画される複数個のソケット収容部からなるホルダー部及び対応するカバー部が示されるコネクタ構造の外観斜視図である。
【0060】
カバー部5230は、図8に示されるように、4個のホルダー収容部52301を備える。ホルダー収容部52301は2列2行の配列で備わる。隣接するホルダー収容部52301は仕切り壁500で区画されている。各ホルダー部5210には複数個の単位ソケット5110が収容可能なソケット収容部2151が備わる。
また、図9に示されるように、仕切り壁を備えたホルダー部がカバー部に組み付けられる構造であってもよい。
このような構成をとる場合でも概ね上述した効果が得られる。
【符号の説明】
【0061】
1 コネクタ構造
10 ソケットコネクタ
11 ソケットハウジング
12 ソケットコンタクト
110 単位ソケット
111 前壁
1110 係止部
112 後壁
1120 案内突条部
1123 係止片
1124 操作部
1125 係止突部
113 側壁
115 上壁
1150 コンタクト収容室
116 底壁
20 ベースコネクタ
21 ベースハウジング
22 ベースコンタクト
210 ホルダー部
2100 フランジ
211 前壁
2110 案内突条部
2111 ロックレバー
2112 操作部
2113 突起部
212 後壁
2120 係止穴
2121 案内溝部
213 側壁
215 上壁
2150 開口部
2151 ソケット収容部
216 底壁
220 開口部
230 カバー部
2300 開口部
2301 ホルダー収容部
231 前壁
2310 係止穴
2311 ロックレバー溝
2312 案内溝部
232 後壁
233 側壁
2330 スリット
2331 補強金具
235 上壁
236 底壁
W 電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9