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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-120841(P2018-120841A)
(43)【公開日】2018年8月2日
(54)【発明の名称】全固体電池用電極部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20180706BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20180706BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20180706BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20180706BHJP
【FI】
   H01M10/0585
   H01M10/0562
   H01M10/052
   H01M4/134
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-139653(P2017-139653)
(22)【出願日】2017年7月19日
(31)【優先権主張番号】特願2017-10707(P2017-10707)
(32)【優先日】2017年1月24日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】高田 和典
(72)【発明者】
【氏名】大西 剛
(72)【発明者】
【氏名】太田 鳴海
(72)【発明者】
【氏名】南田 善隆
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ03
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL11
5H029AM12
5H029CJ03
5H029CJ16
5H029DJ09
5H029EJ03
5H029HJ15
5H029HJ19
5H050AA08
5H050BA15
5H050CA01
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB11
5H050EA10
5H050GA03
5H050GA18
5H050HA15
5H050HA19
(57)【要約】
【課題】エネルギー密度の高い全固体電池用の電極部材の製造方法を提供する。
【解決手段】Liを含有する正極活物質を含む正極材料部、負極活物質としてSi単体粉末を含み且つ結着材及び固体電解質を含まない負極材料部、並びに、前記正極材料部と前記負極材料部の間に配置された固体電解質材料部を備えた1次組立体を準備する準備工程、並びに、
前記1次組立体に、前記正極材料部、前記固体電解質材料部及び前記負極材料部の配列方向に100MPa以上の拘束圧を印加した状態で、前記正極材料部側から前記固体電解質材料部を経由して前記負極材料部側に至る方向へ、負極材料部に含まれるSi単体粉末1g当たり910mAh以上の電気量となるように通電し、前記負極材料部にLiイオンを挿入する通電工程を有する、全固体電池用電極部材の製造方法を提供する。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、当該正極及び当該負極の間に配置される固体電解質層と、を備える全固体電池用の電極部材の製造方法であって、
Liを含有する正極活物質を含む正極材料部、負極活物質としてSi単体粉末を含み且つ結着材及び固体電解質を含まない負極材料部、並びに、前記正極材料部と前記負極材料部の間に配置された固体電解質材料部を備えた1次組立体を準備する準備工程、並びに、
前記1次組立体に、前記正極材料部、前記固体電解質材料部及び前記負極材料部の配列方向に100MPa以上の拘束圧を印加した状態で、前記正極材料部側から前記固体電解質材料部を経由して前記負極材料部側に至る方向へ、負極材料部に含まれるSi単体粉末1g当たり910mAh以上の電気量となるように通電し、前記負極材料部にLiイオンを挿入する通電工程を有する、全固体電池用電極部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全固体電池用電極部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。
リチウムイオン全固体電池は、リチウムイオンの移動を伴う電池反応を利用するためエネルギー密度が高いという点、また、正極と負極の間に介在する電解質として、有機溶媒を含む電解液に替えて固体電解質を用いるという点で注目されている。
【0003】
Si系材料からなる活物質は、体積当たりの理論容量が大きいことから、Si系材料を負極に用いたリチウムイオン全固体電池が提案されている。
特許文献1には、固体電解質層の一方の表面にSi含有活物質の粉末と固体電解質材料の粉末を含む負極用合材を添加し、プレスすることにより前駆層を形成し、固体電解質層の反対側の表面に対極層を形成した電池部材を準備し、当該電池部材に対し、積層方向に150kgf/cm以上の拘束圧を印加した状態で、充放電処理を複数回行うことで、Si含有活物質層を製造する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、無機固体電解質と、式(1):Si(1−x)で表される活物質と、粒子ポリマーを含む固体電解質組成物を集電体上に塗布し、乾燥することにより、負極活物質層を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−035987号公報
【特許文献2】特開2016−149238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2のリチウムイオン全固体電池においては、負極中にSi系材料と共に結着材や固体電解質を含有している。
一方、全固体電池の電極中にSi系材料と共に結着材や固体電解質を共存させない場合には、Si系材料の粒子相互の接触性が不十分となり、充分な電池性能が得られにくくなる。
そのため、全固体電池の電極にSi系材料を用いる場合には、Si系材料の粒子相互の接触性を向上させるために電極内に結着材や固体電解質を含有させる必要がある。
しかし、全固体電池の電極中にSi系材料と共に結着材や固体電解質を共存させる場合には、Si系材料そのものの体積当たり理論容量は大きいにもかかわらず、電極中でのSi系材料の含有量が少なくなるため、電池全体としてのエネルギー密度が低くなるという問題がある。
本開示は、上記実情に鑑み、活物質としてSi系材料を含む負極を有し、エネルギー密度が高い全固体電池用の電極部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、正極と、負極と、当該正極及び当該負極の間に配置される固体電解質層と、を備える全固体電池用の電極部材の製造方法であって、
Liを含有する正極活物質を含む正極材料部、負極活物質としてSi単体粉末を含み且つ結着材及び固体電解質を含まない負極材料部、並びに、前記正極材料部と前記負極材料部の間に配置された固体電解質材料部を備えた1次組立体を準備する準備工程、並びに、
前記1次組立体に、前記正極材料部、前記固体電解質材料部及び前記負極材料部の配列方向に100MPa以上の拘束圧を印加した状態で、前記正極材料部側から前記固体電解質材料部を経由して前記負極材料部側に至る方向へ、負極材料部に含まれるSi単体粉末1g当たり910mAh以上の電気量となるように通電し、前記負極材料部にLiイオンを挿入する通電工程を有する、全固体電池用電極部材の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
上記製造方法によれば、活物質としてSi系材料を含む負極を有し、エネルギー密度が高い全固体電池用の電極部材の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本開示の全固体電池用電極部材の製造方法における1次組立体を概念的に示す図である。
図1B】本開示の全固体電池用電極部材の製造方法における通電工程を概念的に示す図である。
図1C】本開示の全固体電池用電極部材の製造方法により得られた全固体電池用電極部材を概念的に示す図である。
図1D】本開示の全固体電池用電極部材の製造方法により得られた全固体電池用電極部材を用いた全固体電池を概念的に示す図である。
図2A】本開示の全固体電池用電極部材の製造方法の一実施形態における固体電解質粉末の加圧成形工程を概念的に示す図である。
図2B】本開示の全固体電池用電極部材の製造方法の一実施形態における固体電解質材料層を概念的に示す図である。
図2C】本開示の全固体電池用電極部材の製造方法の一実施形態における負極材料粉末の加圧成形工程を概念的に示す図である。
図2D】本開示の全固体電池用電極部材の製造方法の一実施形態における負極材料層及び固体電解質材料層を概念的に示す図である。
図2E】本開示の全固体電池用電極部材の製造方法の一実施形態における正極材料粉末の加圧成形工程を概念的に示す図である。
図2F】本開示の全固体電池用電極部材の製造方法の一実施形態における1次組立体を概念的に示す図である。
図2G】本開示の全固体電池用電極部材の製造方法の一実施形態における通電工程を概念的に示す図である。
図2H】本開示の全固体電池用電極部材の製造方法の一実施形態により得られた全固体電池用電極部材を概念的に示す図である。
図2I】本開示の全固体電池用電極部材の製造方法の一実施形態により得られた全固体電池用電極部材を用いた全固体電池を概念的に示す図である。
図3】実施例1で製造された全固体電池用電極部材の負極の断面のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、正極と、負極と、当該正極及び当該負極の間に配置される固体電解質層と、を備える全固体電池用の電極部材の製造方法であって、
Liを含有する正極活物質を含む正極材料部、負極活物質としてSi単体粉末を含み且つ結着材及び固体電解質を含まない負極材料部、並びに、前記正極材料部と前記負極材料部の間に配置された固体電解質材料部を備えた1次組立体を準備する準備工程、並びに、
前記1次組立体に、前記正極材料部、前記固体電解質材料部及び前記負極材料部の配列方向に100MPa以上の拘束圧を印加した状態で、前記正極材料部側から前記固体電解質材料部を経由して前記負極材料部側に至る方向へ、負極材料部に含まれるSi単体粉末1g当たり910mAh以上の電気量となるように通電し、前記負極材料部にLiイオンを挿入する通電工程を有する、全固体電池用電極部材の製造方法を提供する。
【0011】
上記製造方法には、次の一態様が含まれる。
正極と、負極と、当該正極及び当該負極の間に配置される固体電解質層と、を備える全固体電池用の電極部材の製造方法であって、
Liを含有する正極活物質を含む正極材料層、負極活物質としてSi単体粉末を含み且つ結着材及び固体電解質を含まない負極材料層、並びに、前記正極材料層と前記負極材料層の間に配置された固体電解質材料層を備えた1次組立体を準備する準備工程、並びに、
前記1次組立体に、前記正極材料層、前記固体電解質材料層及び前記負極材料層の積層方向に100MPa以上の拘束圧を印加した状態で、前記正極材料層側から前記固体電解質材料層を経由して前記負極材料層側に至る方向へ、負極材料層に含まれるSi単体粉末1g当たり、910mAh以上の電気量となるように通電し、前記負極材料層にLiイオンを挿入する通電工程を有する、全固体電池用電極部材の製造方法を提供する。
【0012】
本開示の上記製造方法では、負極活物質としてSi単体粒子を含み且つ結着材及び固体電解質を含まない負極材料部を用いることにより、体積当たりの理論容量が大きいSi系材料からなる負極活物質を高密度に含む負極が形成されるため、電池全体としてのエネルギー密度が高い全固体電池用電極部材を得ることができる。
【0013】
また、本開示の上記製造方法では、前記1次組立体を、当該1次組立体に含まれる正極材料部、固体電解質材料部及び負極材料部の配列方向に高い拘束圧を印加した状態で、当該正極材料部側から当該固体電解質材料部を経由して当該負極材料部側に至る方向へ、一定量以上の電気量となるように通電することで、Si系材料の粒子同士が接着するため、負極中に結着材及び固体電解質を含まないにもかかわらず、Si系材料の粒子相互の接触性が向上し、充分な電池性能を得ることができる。
したがって、本開示の全固体電池用電極部材の製造方法によれば、Si系材料からなる活物質を含む負極を有し、エネルギー密度が高く、負極内においてSi系材料からなる活物質の粒子相互の接触性が良好な全固体電池用電極部材が得られる。
【0014】
以下、本開示の全固体電池用電極部材の製造方法について詳細に説明する。
A.製造方法の概略
図1A図1Dは、本開示の全固体電池用電極部材の製造方法を概念的に示す図である。
先ず図1A(準備工程)に示すように、Liを含有する正極活物質を含む正極材料部3、負極活物質としてSi単体粉末を含み且つ結着材及び固体電解質を含まない負極材料部2、並びに、前記正極材料部と前記負極材料部の間に配置された固体電解質材料部1を備えた1次組立体101を準備する準備工程を行う。この1次組立体101は、正極材料部3、固体電解質材料部1及び負極材料部2が、この順序で配列された配列構造を有する。
次に、図1B(通電工程)に示すように、前記1次組立体101に、前記正極材料部3、前記固体電解質材料部1及び前記負極材料部2の配列方向に100MPa以上の拘束圧を印加した状態で、前記正極材料部3側から前記固体電解質材料部1を経由して前記負極材料部2側に至る方向へ、負極材料部2に含まれるSi単体粉末1g当たり910mAh以上の電気量となるように通電して、前記負極材料部2にLiイオンを挿入することにより、図1Cに示すように、正極6、負極5及び前記正極6と前記負極5の間に接合された固体電解質層4を有する、電極部材(正極−固体電解質層−負極集合体)102が得られる。
次に、図1Dに示すように、電極部材102に他の部材7を取り付けることにより全固体電池103が得られる。
【0015】
図2A図2Iは、本開示の全固体電池用電極部材の製造方法の一実施形態を概念的に示す図である。
先ず図2Aに示すように、固体電解質の粉末(固体電解質粉末1’)を加圧成形することにより、図2Bに示すように、固体電解質材料層(固体電解質材料部1)を成形する。
次に図2Cに示すように、前記固体電解質材料層の一面側に負極材料の粉末(負極材料粉末2’、これを「負極用合材」ということもある。)を堆積し、加圧成形することにより、図2Dに示すように、固体電解質材料層の上に負極材料層(負極材料部2)を成形する。
次に図2Eに示すように、前記固体電解質材料層の他の一面側に正極材料の粉末(正極材料粉末3’、これを「正極用合材」ということもある。)を堆積し、加圧成形することにより、図2Fに示すように、固体電解質材料層の前記負極材料層とは反対側の面に、正極材料層(正極材料部3)を成形する。
【0016】
上記した一連の工程を経ると、図2Fに示すように、1次組立体101が得られる。この例の1次組立体101は、正極材料層、負極材料層、及び、前記正極材料層と前記負極材料層の間に固体電解質材料層が接合した構造を有する積層体(正極材料部−固体電解質材料部−負極材料部集合体)の形態をとっている。
この1次組立体101を、図2Gに示すように、正極材料層、固体電解質材料層及び負極材料層の積層方向に100MPa以上の拘束圧を印加した状態で、前記正極材料層側から固体電解質材料層を経由して前記負極材料層側へ、負極材料層に含まれるSi単体粉末1g当たり910mAh以上の電気量となるように通電することにより、前記負極材料層にLiイオンを挿入する。
この通電を行うことにより、図2Hに示すように、正極6、負極5及び前記正極6と前記負極5の間に接合された固体電解質層4を有する、電極部材102が得られる。
次に、図2Iに示すように、電極部材102に、集電体、外装体等の他の部材7を取り付けることにより、全固体電池103が得られる。
【0017】
B.準備工程
(1)負極材料部
本開示の製造方法において、負極材料部は、負極活物質としてSi単体粉末を含み、結着材及び固体電解質を含まず、必要に応じ、他の成分を含む。電池のエネルギー密度を上げる観点から、負極材料部はSi単体粉末のみ含んでいてもよい。
Si単体粉末を構成するSi単体の粒子は、平均粒径(D50)が通常10nm以上50μm以下の範囲内、さらに50nm以上5μm以下の範囲内である。粒子の平均粒径が小さすぎると、取り扱い性が悪くなる可能性があり、粒子の平均粒径が大きすぎると、平坦な負極材料部を得るのが困難になる場合がある。Si単体粒子同士の接触性を十分に高くする観点から、Si単体粒子の平均粒径は、1μm以下、特に100nm以下であってもよい。
負極材料部中のSi単体粉末の割合は、特に限定されるものではないが、活物質をできるだけ多く充填する観点から、例えば50質量%以上であり、60質量%以上100質量%以下の範囲内であってもよく、70質量%以上100質量%以下の範囲内であってもよく、100質量%であってもよい。
【0018】
負極材料部は、他の成分として導電材を含んでいてもよい。当該導電材としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等の炭素材料を挙げることができる。
前記負極材料部を形成するための材料(最終的に、負極を形成するための材料)、すなわち負極用合材は、電池のエネルギー密度を高くする観点から、典型的にはSi単体粉末のみ含有するが、必要に応じSi単体粉末以外の成分を含んでいてもよく、例えば、負極材料部を形成する途中で除去される成分を含んでいてもよい。
負極用合材中に含まれるが、負極材料部を形成する途中で除去される成分としては、溶剤や除去可能な結着材が挙げられる。
除去可能な結着材としては、負極用合材層を形成するときには結着材として機能するが、負極用合材層を焼成することにより分解又は揮散等し除去され、結着材を含まない負極材料部とすることができる結着材を用いることができる。そのような除去可能な結着材としては、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0019】
負極材料部を形成する方法としては、Si単体粉末を含む負極用合材の粉末を加圧成形する方法が挙げられる。
Si単体粉末を含む負極用合材の粉末を加圧成形する場合には、通常、1MPa以上400MPa以下程度のプレス圧を負荷する。
その他の方法としては、例えば、Si単体粉末及び除去可能な結着材を含む負極用合材の粉末を加圧成形して負極用合材層を形成した後、焼成することにより結着材を除去する方法や、Si単体粉末、溶剤及び除去可能な結着材を含む負極用合材の分散液を固体電解質材料部の上又は他の支持体の上に塗布、乾燥して負極用合材層を形成した後、焼成することにより結着材を除去する方法などを行うことができる。
【0020】
(2)正極材料部
正極材料部は、Liを含有する正極活物質を含み、必要に応じ、結着材、固体電解質、及び導電材等の他の成分を含む。
本開示においてLiを含有する正極活物質は、Li元素を含む活物質であれば特に制限されるものではなく、単体状態のLiに限られず、リチウム化合物であってもよい。対極との関係で電池化学反応上の正極として機能し、Liイオンの移動を伴う電池化学反応を進行させる物質であれば、特に制限されず正極活物質として用いることができ、従来リチウムイオン電池の正極活物質として知られている物質も、本開示において用いることができる。
正極活物質としては例えば、リチウム単体金属、リチウム合金及びリチウム含有金属酸化物が挙げられる。リチウム合金としては、例えば、In−Li合金等を用いることができる。リチウム含有金属酸化物としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、LiMn、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO等のオリビン型活物質等を挙げることができる。
前記正極活物質の形状は特に限定されないが、膜状であっても粒子状であってもよい。
正極材料部中の正極活物質の割合は、特に限定されるものではないが、例えば50質量%以上であり、60質量%以上100質量%以下の範囲内であってもよく、70質量%以上100質量%以下の範囲内であってもよい。
【0021】
前記結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ブチレンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルブチラール(PVB)、アクリル樹脂等を用いることができる。
前記導電材としては、前記負極材料部に用いるものと同様のものを用いることができる。
前記固体電解質としては、固体電解質結晶、非晶性固体電解質、固体電解質ガラスセラミックスのいずれであってもよく、後述する固体電解質材料部に用いられる固体電解質と同様のものを用いることができる。
【0022】
正極材料部を形成するための材料(最終的に、正極を形成するための材料)、すなわち正極用合材は、さらに、正極材料部を形成する途中で除去される成分を含んでいてもよい。
正極用合材中に含まれるが、正極材料部を形成する途中で除去される成分としては、負極用合材に含有させることができる溶剤や除去可能な結着材と同様の成分が挙げられる。
正極材料部を形成する方法としては、負極材料部を形成する方法と同様の方法が挙げられる。
【0023】
(3)固体電解質材料部
固体電解質材料部は、固体電解質を含み、必要に応じ、他の成分を含む。
固体電解質としては、Liイオンの伝導度が高い酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質等が挙げられる。
前記酸化物系固体電解質としては、例えばLi6.25LaZrAl0.2512、LiPO、LiPON等が挙げられ、前記硫化物系固体電解質としては、例えばLi11、LiPS、Li、Li13GeP16、Li10GeP12等が挙げられる。
固体電解質材料部を形成するための固体電解質として、粉末状の固体電解質を用いてもよく、その場合に粉末を構成する固体電解質粒子の平均粒径(D50)は、通常10nm以上50μm以下の範囲内、さらに50nm以上10μm以下の範囲内である。
【0024】
前記固体電解質は、1種単独で、又は2種以上のものを用いることができる。また、2種以上の固体電解質を用いる場合、2種以上の固体電解質を混合してもよく、又は2層以上の固体電解質それぞれの層を形成して多層構造としてもよい。
固体電解質を2層構造とする場合には、例えば、正極側に硫化物固体電解質、負極側に酸化物固体電解質を配置してもよいし、その逆の順序で配置してもよい。固体電解質の電位窓に対応した配置であれば、どのような配置順序にしてもよい。
固体電解質材料部中の固体電解質の割合は、特に限定されるものではないが、例えば50質量%以上であり、60質量%以上100質量%以下の範囲内であってもよく、70質量%以上100質量%以下の範囲内であってもよく、100質量%であってもよい。
固体電解質材料部に含まれる他の成分としては、バインダー、可塑剤、分散剤等が挙げられる。
【0025】
固体電解質材料部を形成する方法としては、固体電解質及び必要に応じ他の成分を含む固体電解質材料の粉末を加圧成形する方法が挙げられる。固体電解質材料の粉末を加圧成形する場合には、通常、負極用合材の粉末を加圧成形する場合と同様に、1MPa以上400MPa以下程度のプレス圧を負荷する。
また、他の方法としては、固体電解質及び必要に応じ他の成分を含有する固体電解質材料の溶液又は分散液を用いたキャスト成膜法などを行うことができる。
【0026】
(4)1次組立体
本開示において1次組立体は、正極材料部、固体電解質材料部、及び、負極材料部がこの順序で配列され、直接または他の材料からなる部分を介して接合しており、さらに、正極材料部上の固体電解質材料部が存在する位置とは反対側(正極材料部の外方側)、及び、負極材料部上の固体電解質材料部が存在する位置とは反対側(負極材料部の外方側)のうちの片方又は両方の側に、他の材料からなる部分が接合していてもよい配列構造を有する各部の集合体(正極材料部−固体電解質材料部−負極材料部集合体)である。
前記1次組立体は、後述の通電工程において、均一に拘束圧を負荷しながら、正極材料部側から固体電解質材料部を経由して負極材料部側に至る方向へ通電できる限り、他の材料からなる部分が付属していてもよい。正極材料部と固体電解質材料部の間には、例えば、LiNbO、LiTi12、LiPOのような被覆層が設けられていても良く、負極材料部と固体電解質材料部の間にも、同様の被覆層が設けられていても良い。
正極材料部の外方側及び負極材料部の外方側のいずれか一方又は両方の側には、例えば、集電体や外装体が後述する通電工程における通電前に付属していてもよい。
上記1次組立体は、典型的には、正極材料部、負極材料部、及び、前記正極材料部と前記負極材料部の間に配置された固体電解質材料部が直接接合し、且つ、正極材料部の外方側及び負極材料部の外方側のいずれにも他の材料からなる部分が接合していない配列構造を有する集合体である。
【0027】
上記1次組立体を作製する方法の一つとして、図2A図2Iに示した方法がある。すなわち、固体電解質材料の粉末、負極材料の粉末、及び、正極材料の粉末を用い、固体電解質材料の粉体加圧成形を行うことにより固体電解質材料部を形成し、固体電解質材料部の一面上での負極材料の粉末の粉体加圧成形、及び、固体電解質材料部の負極材料を形成した面とは反対側の面上での正極材料の粉末の粉体加圧成形を順次行う方法である。
この場合、固体電解質材料の粉末、負極材料の粉末及び正極材料の粉末を加圧成形する際のプレス圧は、通常1MPa以上600MPa以下程度である。
ただし、上記1次組立体を作製する方法は、図2A図2Iの方法に限定されない。
例えば、粉体加圧成形の加圧シリンダー内に、Si単体粉末を含む負極材料の粉末を投入し均一な厚みに堆積して負極材料粉末堆積層を形成する。
上記負極材料粉末堆積層の上に、固体電解質粉末及び必要に応じ他の成分を含む固体電解質材料の粉末を投入し均一な厚みに堆積して固体電解質材料粉末層を形成する。
上記固体電解質材料粉末層の上に、Liを含有する正極活物質を含む材料の粉末を投入し均一な厚みに堆積して正極材料粉末層を形成する。
その後、このようにして形成された3層の粉末堆積層を有する粉末堆積体を一度に加圧成形することにより、1次組立体を作製してもよい。
また、固体電解質材料部、負極材料部、及び、正極材料部は、粉体加圧成形以外の手法で作製してもよい。具体的な方法は、本明細書中で上記したとおりである。例えば、固体電解質材料部は、固体電解質を含む固体電解質材料の溶液又は分散液を用いたキャスト成膜法により成形してもよい。負極材料部及び正極材料部は、例えば、負極材料の粉末又は正極材料の粉末、及び、除去可能な結着材を含む分散液を固体電解質材料部の上に塗布することにより塗膜を形成した後、この塗膜を加熱して塗膜から結着材を除去する方法や、あるいは、負極材料の粉末又は正極材料の粉末、及び、除去可能な結着材を含む粉末を加圧成形して正極材料部又は負極材料部の形状とした後、この成形体を加熱して塗膜から結着材を除去する方法により形成してもよい。
また、負極材料部及び正極材料部は、固体電解質材料部以外の支持体上に形成してもよい。その場合、当該支持体から負極材料部及び正極材料部を剥離し、剥離した負極材料部又は正極材料部を、固体電解質材料部の上に接合する。
【0028】
C.通電工程
本開示の製造方法において、通電工程は、1次組立体に対して、当該1次組立体に含まれる正極材料部、固体電解質材料部及び負極材料部の配列方向に100MPa以上の拘束圧を印加した状態で、当該1次組立体の正極材料部側から固体電解質材料部を経由して負極材料部側に至る方向へ通電して、負極材料部に含まれるSi単体粉末1g当たり、910mAh以上の電気量となるように通電することにより、前記負極材料部にLiイオンを挿入する工程である。
負極材料部にLiイオンを挿入することにより、Si単体の粒子同士が接着し、負極が作製される。
【0029】
ここで、「1次組立体に対して前記正極材料部側から前記固体電解質材料部を経由して前記負極材料部側に至る方向へ通電する」とは、図1Bに示すように、外部電源に電気抵抗体としての1次組立体101を接続するときに、外部電源の正極(電圧が高い側の端子)を1次組立体101の正極材料部3側に接続し、外部電源の負極(電圧が低い側の端子)を1次組立体101の負極材料部2側に接続し、電流を流すことを意味する。
【0030】
1次組立体に負荷する拘束圧は、100MPa以上であればよいが、電極部材内部のラミネーションを防止する観点から、400MPa以下であってもよい。
また1次組立体の通電量は、負極材料部に含まれるSi単体粉末1g当たり、910mAh以上であればよいが、Si単体粉末のLi挿入容量の観点から、負極材料部に含まれるSi単体粉末1g当たり、4200mAh以下であってもよく、2100mAh以下であってもよい。
【0031】
上記通電工程により得られた負極の内部では、Liが挿入されることでSi系材料の粒子が形状を変化させながら膨張する。その際に一定以上の拘束圧が印加されていると、負極内部の隙間を埋めるように粒子形状が変化するため、Si粒子同士が接着する。
したがって、負極中に結着材及び固体電解質を含まないにもかかわらず、Si系材料相互の接触性が向上し、充分な電池性能を得ることができる。
なお、Si系材料の粒子が膨張する際に印加される拘束圧が十分でない場合には、Si系材料の粒子同士の接着が不十分となる。
本開示において、Si系材料の粒子同士が接着するとは、負極材料部の内部又は負極の内部に存在し、隣接し合うSi系材料の粒子の接触界面(粒界部)が融合し、粒界の一部または全部が消失する現象をいう。
負極材料部に通電工程を行うことにより形成された負極の内部においてSi系材料の粒子が接着していることは、本開示の製造方法により得られた全固体電池用電極部材を切断し、負極の切断面をSEM(走査電子顕微鏡)により観察することで確認することができる。
【0032】
上記したようなSi系材料の粒子同士の接着状態は、1次組立体を、当該1次組立体に含まれる正極材料部、固体電解質材料部及び負極材料部の配列方向に高い拘束圧を印加した状態で、当該正極材料部側から当該固体電解質材料部を経由して当該負極材料部側へ一定量以上の電気量となるように通電することにより得られる。
100MPa以上という拘束圧は非常に高い圧力である。例えば、上記特許文献1では、電池部材(本開示における1次組立体に相当する)に対し積層方向に150kgf/cm以上の拘束圧を印加した状態で、充放電処理を複数回行うことでSi含有活物質層を製造することが記載されているが、「150kgf/cm以上の拘束圧」をPa単位に換算すると「14.70983MPa」になる。したがって本開示において設定された拘束圧は、特許文献1に記載された拘束圧と比べて格段に大きい値である。
<計算式>
前提条件:1kgf/cm=9.80665×10Pa
したがって、
150kgf/cm
=150×9.80665×10Pa
=1.5×9.80665×10Pa
=1.5×9.80665MPa
≒14.70983MPa
【0033】
前記1次組立体に拘束圧を印加する方法としては、前記1次組立体に均等に拘束圧を印加することができる方法であれば特に制限されないが、例えば、油圧ポンプ(理研精機社製、P−6型)を用いて圧力を付加する方法が挙げられる。
【0034】
D.全固体電池用電極部材及び全固体電池
上記1次組立体は、上記「C.通電工程」による通電を経て、正極−固体電解質層−負極集合体となる。
上記正極−固体電解質層−負極集合体は、正極、固体電解質層及び負極がこの順序で配列され、直接または他の材料からなる部分を介して接合しており、さらに、正極上の固体電解質層が存在する位置とは反対側(正極の外方側)、及び、負極上の固体電解質層が存在する位置とは反対側(負極の外方側)のうちの片方又は両方の側に、他の材料からなる部分が接合していてもよい配列構造を有する各部の集合体である。
正極−固体電解質層−負極集合体の正極と負極それぞれの厚みは、通常0.1μm以上100μm以下程度であり、固体電解質層の厚みは、通常0.1μm以上1mm以下程度である。
上記の正極−固体電解質層−負極集合体に、集電体、外装体等の他の部材を取り付けることにより、全固体電池の機能的単位であるセルが得られ、複数のセルを集積して電気的に接続することにより、全固体電池が得られる。
すなわち、本開示における全固体電池は、初回充電後の状態のものとする概念である。
【実施例】
【0035】
(固体電解質Aの合成)
アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、LiS及びPをモル比で4:1の組成となるように混合し、原料組成物を得た。次に、原料組成物1gを、ジルコニアボール(5mmφ、80個)とともに、ジルコニア製のポット(45ml)に入れ、ポットを完全に密閉した(アルゴン雰囲気)。このポットを遊星型ボールミル機(フリッチュ・ジャパン社製P7)に取り付け、台盤回転数500rpmで、20時間メカニカルミリングを行った。これにより、固体電解質AとしてLiの粉末を得た。
【0036】
(固体電解質Bの準備)
固体電解質Bとしては、直径φ10mm、厚み0.5mmのLi6.25LaZrAl0.2512(豊島製作所製)焼結体を用いた。
【0037】
[実施例1]
(1次組立体の作製)
1.まず、固体電解質Aの粉末150mgを、PET製のシリンダに添加し、3.5ton/cm(≒343MPa)でプレスし、固体電解質材料部を形成した。
2.全固体電池の正極活物質としては、LiCoO等のリチウム含有金属酸化物が現状では一般的であるが、本実施例では、本開示の電極部材の作用を示すモデルセルを作製するために、In箔(ニラコ社製φ10mm、厚さ0.1mm)にLi箔(本庄ケミカル社製)を貼付したLiIn箔を用いた。当該LiIn箔を前記固体電解質材料部の一方の表面に配置し、続けて当該固体電解質材料部の他方の表面に、負極活物質であるSi単体の粉末(Alfa aesar社製 平均粒径100nm)を、単位面積当たりの添加量を0.6mg/cmとして堆積させ、固体電解質材料部、LiIn箔とあわせて5ton/cm(≒490MPa)でプレスし、1次組立体を得た。
【0038】
(全固体電池用電極部材の作製)
得られた1次組立体を6Nmのトルクでネジ締めすることにより、積層方向に100MPaの拘束圧を印加した状態で、0.1mA/cmでの電流密度でSi単体粉末1gあたり2100mAhを通電することにより、前記負極材料部にLiイオンを挿入し、全固体電池用電極部材を得た。
【0039】
[実施例2]
(1次組立体の作製)
1.まず、固体電解質Aの粉末150mgを、ポリエチレンテレフタラート(PET)製のシリンダに添加し、3.5ton/cm(≒343MPa)でプレスし、次に固体電解質Bの焼結体(φ10mm×t0.5mm)を、ポリエチレンテレフタラート(PET)製のシリンダ内に配置することで固体電解質材料部を形成した。
2.In箔(ニラコ社製φ10mm、厚さ0.1mm)にLi箔(本庄ケミカル社製)を貼付した正極材料部(LiIn箔)を用意し、固体電解質A側の表面に配置し、続けて当該固体電解質B側の表面に、負極活物質であるSi単体の粉末(Alfa aesar社製 平均粒径100nm)を、単位面積当たりの添加量を0.6mg/cmとして堆積させ、固体電解質A、固体電解質B、LiIn箔とあわせて5ton/cm(≒490MPa)でプレスし、1次組立体を得た。
【0040】
(全固体電池用電極部材の作製)
得られた1次組立体において、実施例1と同様に通電工程を行うことにより、実施例2の全固体電池用電極部材を得た。
【0041】
(比較例1〜4)
実施例1において、通電量を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1及び2の全固体電池用電極部材を作製した。
また、実施例2において、拘束圧、及び通電量を表1のように変更したこと以外は、実施例2と同様にして比較例3及び4の電極部材を作製した。
なお、比較例3と比較例4においては、電極部材としての抵抗が大きく、通電に時間がかかりすぎたため、表1に記載された通電量まで通電した時点で通電工程を中断した。
【0042】
【表1】
【0043】
〔評価方法〕
得られた全固体電池用電極部材を切断し、SEM(日本電子株式会社製の走査電子顕微鏡 JSM−7800F)を使用して負極の切断面のSi粒子同士の接着を観察した。その結果、Si粒子同士の接着が確認できたものを「○」、接着が確認できなかったものを「×」として表1に示す。
実施例1のSEM画像を図3に示す。
なお、比較例3及び4については、通電量が極端に少ないことからLiの挿入量が十分でなく、Si粒子同士の接着も不十分であることが予測されるため、SEM画像を確認せずに「×」と判断した。
【0044】
[結果]
実施例1と比較例1〜2を比較すると、通電量が630mAh/g以下である場合には粒界の融合が十分に進行せず、Si粒子同士の接着が不十分であることが分かった。
実施例2と比較例3〜4を比較すると、拘束圧が100MPa未満である場合には粒界の融合が十分に進行せず、Si粒子同士の接着が不十分であることが分かった。また、Si粒子同士の接着の進行が遅いため、負極中の導電性が低いままの状態が継続し、電極部材全体としての抵抗が大きくなりすぎたと推測される。
【0045】
(比較例5)
1.まず、固体電解質Aの粉末150mgを、PET製のシリンダに添加し、3.5ton/cm(≒343MPa)でプレスし、固体電解質材料部を形成した。
2.全固体電池の正極活物質としては、In箔(ニラコ社製φ10mm、厚さ0.1mm)にLi箔(本庄ケミカル社製)を貼付したLiIn箔を用いた。当該LiIn箔を前記固体電解質材料部の一方の表面に配置し、続けて当該固体電解質材料部の他方の表面に、負極活物質であるSi単体の粉末(Alfa aesar社製 平均粒径100nm)を、単位面積当たりの添加量を0.9mg/cmとして堆積させた。
その後、負極材料部、固体電解質材料部、正極材料部(LiIn箔)をあわせて、プレスを行わずに、1次組立体を得た。
得られた1次組立体を0.4Nmのトルクでネジ締めすることにより、積層方向に7MPaの拘束圧を印加し、電極部材を得た。結果を表1に示す。なお、比較例5で得られた電極部材の負極の切断面のSi粒子同士の接着は、通電できなかったため、比較例3〜4と同様にSEM画像を確認せずに「×」と判断した。
【符号の説明】
【0046】
1 固体電解質材料部(固体電解質材料層)
1’ 固体電解質粉末
2 負極材料部(負極材料層)
2’ 負極材料粉末(負極用合材)
3 正極材料部(正極材料層)
3’ 正極材料粉末(正極用合材)
4 固体電解質層
5 負極
6 正極
7 他の部材
101 1次組立体
102 全固体電池用電極部材
103 全固体電池
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図3