(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-124255(P2018-124255A)
(43)【公開日】2018年8月9日
(54)【発明の名称】時刻表示部の拡大縮小表示を可能にする装置を持った時計
(51)【国際特許分類】
G04G 9/00 20060101AFI20180713BHJP
【FI】
G04G9/00 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-26409(P2017-26409)
(22)【出願日】2017年1月30日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.iPhone
2.アンドロイド
(71)【出願人】
【識別番号】517051393
【氏名又は名称】白井 順二
(72)【発明者】
【氏名】白井 順二
【テーマコード(参考)】
2F002
【Fターム(参考)】
2F002AA06
2F002EA01
2F002EB11
2F002EB12
2F002EH03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】時計使用者は、通常、時計の文字盤表示上の針の位置または数字を視覚的にとらえ、現在時、経過時間、残り時間などの認識の補正や確認をしている。この視覚認識による時間の把握を人間の自然な感覚にもとづき容易かつ的確に可能にする時計を提供する。
【解決手段】標準表示においては表示デバイス上で経過時間を表示するために、現在時間の経過に応じて表示デバイスの、基準色と異なる背景色の30分に当たる面積が1分ごとに時計回りに移動する。表示デバイス上の任意の時間表示文字間の面積部分をタップの回数により拡大又は縮小する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計の各時刻の数字を含む文字盤を表示する手段と、前記時計の文字盤の任意の時刻の領域を指定したかを検出する手段と、指定した時刻の領域を拡大し、その他の時刻の領域の表示を縮小する手段を備える時計。
【請求項2】
請求項1記載の時計において、現在時刻を含む特定の時刻範囲までの領域をその他の領域とは異なる色で表示する時計。
【請求項3】
上記請求項1又は2又は3記載の時計において各々の手段の実行手順を可能にさせるためのコンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般計時装置による時間表示を人間の時間経過に対する自然な感覚に沿った表示方法にする装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のディジタル技術を使い、液晶パネル上に1〜24時(又は1〜12時)までの数字を表示し、時針分針など、あるいは数字を使って国際標準時に従って使用される地域の設定時刻に合わせて、国際的に決められた一定速度で動かしながら時間を表示する時計は多種多様に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献】特開2006−284365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記(0002)に述べた従来のディジタル技術を使った時計の表示デバイス上での時間表示は、その色彩や文字のフォントは多様であるが、各時刻ごとの表示間隔はすべて等間隔で表示されるものと決まっている。しかるに人間の意識下に於ける経過時間に関する認識は非常に不確かなもので、時計使用者がそれを確認するためには通常、時計の文字盤表示上の針の位置または数字を視覚的にとらえ、現在時、経過時間、残り時間などの認識の補正や確認をしている。この視覚認識による時間の把握を人間の自然な感覚にもとづき容易かつ的確に可能にすることを、この発明は課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記(0002)に記述した従来の時計の各時間ごとの表示間隔を、1日24時間の長さを変更することなく、その時計の使用者がその一部の時間帯を任意に視覚的に伸縮させることを可能にすることによって、時計使用者が自身のもっとも意識を集中したい時間帯とその時間経過を容易に確認出来るように拡大表示設定をしたり、あるいは就寝などで時間を特に意識しない場合は時間表示間隔を縮小しておくなど、一日24時間の視覚的な配分を使用者の好みに合わせて自由に設定出来るようにする。
【0006】
液晶パネルまたは有機ELのような表示デバイスによる時刻表示を基本とする時計の種類を、時計単体では腕時計、懐中時計、置き時計、壁掛け時計および変型時計(自由形状)など日常生活に活用される形式の5種類に限定する。この装置の基になるアプリを既存の携帯端末(例えばiPhoneやアンドロイドなどの携帯電話)などに組み込んで利用する場合は、その表示形状は自由とする。また表示盤の形は円形、矩形、正方形、自由形あるいは立体型など特定しない。表示デバイスは液晶パネル素材の平面固定型、有機ELが可能とするフレキシブル素材のどちらも限定しない。
【0007】
そして、本発明は(0005、0006)に記述した目的を達成するために以下のようなソフトウエア・システムを構築し起用するものである。
【0008】
前記(0004)に記述した時計において、標準表示においては表示デバイス上で経過時間を表示するために、現在時間の経過に応じて表示デバイスの、基準色と異なる背景色の30分に当たる面積が1分ごとに時計回りに移動する。各時とその毎時30分時を知らせるためにこの背景色はその時点で10秒間点滅する。拡大表示部分の色が基準色と異なる色を保つ部分は30分に相当する面積とし、それ以前の経過時間は以下(0009)に記述する拡大部分、標準部分を含めてそれぞれ30分に相当する面積の色彩の輝度が最先端部分の輝度の半分ずつ減少し、1時間半遡って基準色に戻る。
【0009】
前記(0004)に記述した時計において、表示デバイス上の任意の時間表示文字間の面積部分を2度タップすることによってその面積の30分に相当する面積(当該面積の2分の1)で拡大、同じ動作を繰り返すごとに基本表示の30分に当たる面積が拡大する。エラーの場合は同じ場所を1度タップすることによって基本表示の30分に当たる面積の縮小を可能にする。腕時計のような表示面積の小さい時計の場合は電子ペンなどでタップするか、竜頭またはボタンを使って表示デバイス上のカーソルを動かし所定の時間部分に移動させた後、竜頭またはボタンを所定回数押すことで拡大・縮小を可能にする。表示デバイスの周囲長さ(24時間)は一定不変なので、拡大された時間帯に応じてその他拡大されていない時間帯は相対的に等間隔を保って自動縮小表示される。
【0010】
前記(0004)に記述した時計において、一旦設定した時間帯の拡大・縮小部分は状況に応じて随時変更することが可能。拡大・縮小の変更度合いは(0008)に記述されたものに準ずる。変更に際しては既に拡大表示されている他の時間帯の設定には影響を与えず、変更を行う時間帯部分(1時間相当)のみで変更指示に対応する。
【0011】
前記(0004)に記述した時計において、午前、午後の把握を容易にするためや、電車や航空機などの交通機関の標準発着時刻表示と同じ表示にさせるために、この時計は時間表示をデフォルトで24時間方式とするが、使用者の好みによって12時間表示とすることもできる。時間表示面の拡大縮小に関係なく24時または12時の位置は表示デバイスと正対した場合向かって真上の位置とする。
【0012】
前記(0004)に記述した時計において、時間が拡大表示された指定時間帯の終わりに近づいた場合または下記(0013)で説明されるようにアラーム設定をした場合、その5分前に警告音を5秒鳴らし基準色と異なる時間表示部分を5秒間点滅、1分前に10秒間の警告音と10秒間点滅、当該アラーム設定時間に到達した場合は連続音で警告と点滅を継続する。その継続音を消す場合はその時間帯部分を警告音および点滅の継続中に1度タップする。
【0013】
前記(0004)に記述した時計において、表示デバイスの中央に空白の部分を設け、数字による通常の24時表記での時刻表示を行い、使用者が所在する国の標準時刻の変化を一分ごとに数字によって表記する。また任意の時間でのアラーム設定も可能にする。
【0014】
前記(0004)に記述した時計において、前記(0012)アラーム設定用の部分をアラームまたは時刻表示に使用しない場合、任意の写真やパターンなどの画像を無線LANやWiFiなどを介してダウンロードし、表示に使用することもできる。
【0015】
前記(0004)に記述した時計において、前記(0013)の数字による時間表示か、任意の写真やパターンの画像にするかは、随時任意に選択することが出来る。
【0016】
前記(0004)に記述した時計において、腕時計のような時刻表示デバイスが小さく限られている場合、時間帯を使用者個人の好みに合わせて拡大した場合は、拡大部分の視認性を高めるため中心部を右または左に指またはペンでドラッグすることによってオフセットさせ非拡大部分を任意の小面積に表示する。
【0017】
前記(0004)に記述した時計において、時計表示盤の拡大縮小表示の必要が無くなった場合、表示デバイスの特定の箇所を3回連続的にタップすることで全表示デバイスを標準表示(デフォルト)に即座に戻すことが出来る。また不用意にデフォルトした場合は同じ場所を1回タップすることで一段階前に戻ることを可能とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明品の使用者が、従来の時計の等間隔に配置された数字による時刻表示では得られなかった時間そのものの長さを、視覚的に強調・実感することによって、個人的にまた仕事上、時間を有効に使う習慣を身につけ、デートや食事会などの自由時間の有効な使い方が出来、その時間帯の到来への期待をより強く持つこと、又その拡大表示された時間帯を適宜容易に確認することによって残り時間を有効に使うなど、毎日をより楽しく過ごすことが出来るという精神的にプラスな効果を本発明は発揮できる。
【0019】
列車や航空機などの交通機関への搭乗までの時間は、出発前の準備に向けて時間の有効利用が欠かせないが、この発明品の拡大された時間表示を随時確認する事によってストレスがなく無駄なく過ごすことが出来る。これは乗客には有効であると同時に、乗務員や関係者の出発前のブリーフィング、各種チェック項目を遺漏なく行うための詳細な時間の割り振りを視覚的に可能にする。
【0020】
学期末試験や大学や会社入試などでは指定された試験解答時間を、この発明品を使用することによって拡大表示でき、容易に残り時間の確認が出来る。
【0021】
医療機関や保育施設などにおいて患者や児童に与えられた自由時間を視覚的に確認、または医師の指示に従って安静を保つ時間の確認、保護者の面会や迎えを待ったりする時間をより的確に視覚的に確認することなどによって、精神的な安定と期待感の高揚を促す効果が期待できる。また諸条件のもと忍耐を要する待ち時間などは、時間帯の拡大とは逆に縮小することによって、視覚的に時間の短縮を意識し、待ち時間を短く感じる効果を生む。
【0022】
一定時間内に行われるスポーツ競技の経過および残り時間の拡大表示によって、監督やインストラクターに、より細かな作戦構築や士気の鼓舞に充てる時間の認識を容易にする。これはスポーツを観戦する客側にも、拡大された時間帯の表示によってゲームの進行や作戦の駆け引きの詳細をより的確に時系列で把握することができ、観戦をより楽しむことが出来る。
【0023】
出場時間が厳格に決められている演劇やスポーツ競技などでは、出番までの最終調整のための残り時間の正確な理解は必要であり、残り時間を拡大表示できる本発明品ではその認識が容易になり、出演者、競技者などの準備運動や精神の統一と安定に大きく寄与する。
【0024】
日常、大小にかかわらず特定の行動を起こす前、それまでの準備時間をいかように配分するかは茶飯事であるが、本発明品の時間拡大表示を習慣的に使用することによって経過時間を容易に確認しながら準備を遺漏なく行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】 本発明の第1の形態、すなわち拡大・強調された表示デバイスの例を示す図である。
【
図2】 本発明の標準的(デフォルト)表示デバイスの例を示す。
【
図3】 本発明が角型表示盤に応用された場合の、拡大・強調された表示デバイスの例を示す。
【
図4】 本発明がiPhoneなどのスマートフォンにアプリとして使用された場合の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を
図1〜
図6に基づいて説明する。
【0027】
図1において時刻表示盤の形を円形(楕円を含む)の例とし、24時間表示として説明する。例として任意の18時から24時までの6時間を均等に拡大した場合を示す。図中1は任意に拡大された時間帯の時間進行を、基本色とは異なる色彩で30分に相当する帯状の面積が1分毎に移動する様子を示している。この色彩はそれ以前の30分に当たる部分で輝度が半減し、さらにそれ以前の30分で前者の輝度の半分となり、過去1時間半を超えた部分で標準色となる。標準色と異なる色彩を持ったこの1時間半に相当する面は、通常の時計の分針の役目をしており、その部分は1分ごとに前進移動するため時間経過を視覚的により認識しやすくする効果がある。
【0028】
図中2は任意に拡大された表示部分に呼応してその他の拡大されなかった時間帯の各時間あたりの面積が均等に縮小されている状態を示す。
【0029】
図中3は表示盤の中央部分で数字による時刻表示(1分毎に時刻を刻む)が標準で表示されるが、アラーム設定を可能にしたり、任意の写真や図柄を表示したりする事を可能にする領域であることを示す。図中の数字は例として18時30分にアラームを設定していることを示す。一旦アラーム設定が終わるとその2秒後に設定時間は消え、標準の数字による時間表示か、写真や図柄の場合は設定された画像に戻る。
【0030】
図2に於いて、図中4は拡大表示を行わない場合でも、時間経過は1時間に当たる面積の標準色と異なる色彩部分の1分毎の移動によって表示される。標準色と異なる色彩を持った帯状の部分の色彩輝度の経過時間に対応する減少率は
図1の説明におけるものに準ずる。 図中5は標準色。図中6は数字による時刻表時またはアラーム設定あるいは写真や図柄を表示させる場所とする。標準的時間表示の場合の時間経過を示す標準色とは異なる部分(図中4)は拡大表示の場合の30分幅でなく1時間に相当する幅としたのは、腕時計などの極小な表示デバイスの場合の視認性を容易にするためである。
【0031】
図3に於いて、腕時計や携帯端末などで本発明が利用された場合など表示面積が比較的小さい場合、拡大された部分を視認しやすくするために、中心部を右、左、又は上、下に指又は電子ペンで移動させることが出来る。移動された中心部は先の
図1の説明の図中3に当たる部分で、アラーム表示又は写真や図柄を、
図1で説明された方法で表示することが出来る。腕時計や携帯端末などで本発明が利用され、部分拡大を行わず標準表示のままである場合は、中央部分は表示盤の中央に位置する。時刻の経過を示す標準色と異なる色彩部分の表示方法は、部分拡大をする、しないに関わらず
図1の説明における表示方法に準ずる。
【0032】
図4は現在普及しているスマートフォンにアプリとして本発明がダウンロードされた場合の表示の例を示す。スマートフォン表示部分の縦横比の関係で中央部に空白のスペースが出来るので、図中13に任意の画像やメモを書き込んだり、場合によっては広告などを表示することも可能とする。
【0033】
図5は本発明のフローチャートである。使用者は標準デザイン表示を持った本発明品に対して、12時間表示又は24時間表示の選択をする。次に拡張認識をしたい時間帯を拡張するための操作をする。拡張されなかった部分の時間帯は拡張された部分の拡張度合いに応じて自動縮小される。またこれらの作業に関わりなく随時画像の取り込みやアラーム設定を行う。
【0034】
図6は装置の構成図である。 図中1はこの発明の心臓部とも言える制御部で、充電機能を備えた電池3によって2の電源制御装置を介して電力が供給される。1の制御部には使用者の所属する国と地域の時間帯に合わせた世界標準時を正確に刻むための時計部6と、時刻表示盤上で時間表示を拡大したり縮小したりするプログラムやアラーム設定を可能にする機能を備えた本機能用プログラム部7と、任意の写真や図柄を入手するためのダウンロード機能用データメモリ8と、表示デバイス上において拡大縮小を行った際の指示を記憶する表示用データメモリ10と、ダウンロード通信用プログラム、時計表示プログラム、その他のダウンロード用プログラムを内包したメモリ9によってサポートされている。
操作部4は制御部1に対して表示盤の拡大又は縮小指令を出し、制御部1はそれらに応じて表示部5に指示を送る。
制御部1は、サーバ16から情報を得るインターネット15からISP14を介してデータを取得する入出力制御部11とも繋がっており、無線リンク13や送受信部12からの信号に基づき、使用者の指示に従って必要なデータを適宜取り入れ、操作部を介して意図した画像を表示盤上で表示する。
【符号の説明】
【0035】
100 拡大強調された表示盤
200 標準表示時の表示盤
300 拡大強調された表示盤(角型)
400 拡大強調された表示盤(iPhoneなどのスマートフォンの例)