【課題】プロジェクタが投影する画像のアスペクト比と異なるアスペクト比の画像をスクリーンに表示する際に、表示される画像の画質を向上させることができる画像投影装置を提供する。
【解決手段】画像投影装置10は、画像を形成する光を照射する光源部300と、光源部200から照射された光を走査する走査部106と、走査部106によって走査された光を所定の領域20に導く反射部200と、を備え、反射部200は、第1、第2、及び第3反射部200a〜200cを有し、第1反射部200aは、光の入射方向と交差する第1方向に第2反射部200bと隣接して配置され、第3反射部200cは、第1反射部200aに対して、第1方向と直交する第2方向に配置され、第1乃至第3反射部200a〜200cは、それぞれ入射した光を、所定の領域20上にて、一列に位置する第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cに導く。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0023】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0024】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略Z方向などの表現を用いている場合がある。例えば、略Z方向は、完全にZ方向と一致する方向であることを意味するだけでなく、実質的に一致する方向、すなわち、数%程度のZ方向からのずれた方向を含むことも意味する。
【0025】
また、以下の図において、スクリーンの水平方向及び垂直方向は、それぞれX方向及びY方向と定義され、スクリーンの法線方向はZ方向と定義されている。なお、X方向は第1方向の一例であり、Y方向は第2方向の一例である。
【0026】
(実施の形態1)
[画像投影装置の構成]
図1は、実施の形態1に係る画像投影装置10の斜視図である。本実施の形態に係る画像投影装置10は、光を走査することによりスクリーン20に画像を形成する。
図1に示すように、画像投影装置10は、プロジェクタ100と、導光部200とを備える。
【0027】
ここでは、画像とは、機械的な処理により、感光材料、紙、スクリーン等の上に映し出された像を意味する。また、光とは、人間の目に明るさを感じさせるものであり、目を刺激して視覚を起こさせる物理的な原因である。
【0028】
プロジェクタ100は、レーザ走査型のプロジェクタである。具体的には、プロジェクタ100は、レーザ光を走査し、走査したレーザ光を導光部200に照射する。本実施の形態では、プロジェクタ100は、スクリーン20から離れる方向に光を照射している。
【0029】
ここでは、照射とは、光や放射線などを当てることを意味する。また、走査とは、画像に対応する各点の明るさの光を順に照射することにより画像を組み立てる操作を意味する。
【0030】
導光部200は、反射部の一例であり、プロジェクタ100から照射された光をスクリーン20に導く。
図1に示すように、導光部200は、4つの光学部材(第1光学部材200a、第2光学部材200b、第3光学部材200c及び第4光学部材200d)を備える。
【0031】
ここでは、4つの光学部材は、ミラーである。第1光学部材200a、第2光学部材200b、第3光学部材200c及び第4光学部材200dの各々は、プロジェクタ100から照射された光をスクリーン20に向けて反射する。
【0032】
スクリーン20は、所定の領域の一例であり、プロジェクタ100から照射された光によって画像を表示する面である。
図1に示すように、スクリーン20は、X方向に一列に並ぶ4つの表示領域(第1表示領域20a、第2表示領域20b、第3表示領域20c及び第4表示領域20d)を有する。
【0033】
[プロジェクタの構成]
次に、プロジェクタ100の構成の一例について説明する。
図2は、実施の形態1に係るプロジェクタ100の構成を示すブロック図である。
【0034】
プロジェクタ100は、光源部111と、走査部106と、光検出部107と、ミラー駆動部108と、光源駆動部109と、制御部110と、を備える。以下に、プロジェクタ100に含まれるこれらの各構成要素について説明する。
【0035】
光源部111は、スクリーン上に画像を形成する光を照射する。光源部111は、第1光源101と、第2光源102と、第3光源103と、ビームスプリッタ104、105と、を備える。
【0036】
第1光源101は、所定の波長を有するレーザ光を出射する。具体的には、第1光源101は、例えば青色のレーザ光を出射するレーザダイオードである。第1光源101から出射されたレーザ光は、ビームスプリッタ104を通って走査部106に到達する。
【0037】
第2光源102及び第3光源103は、それぞれ、第1光源101が出射するレーザ光とは波長が異なるレーザ光を出射する。具体的には、第2光源102及び第3光源103は、それぞれ、例えば緑色のレーザ光及び赤色のレーザ光を出射するレーザダイオードである。第2光源102及び第3光源103から出射された緑色のレーザ光及び赤色のレーザ光は、ビームスプリッタ105、104を通って走査部106に到達する。
【0038】
走査部106は、例えば、2軸走査型のMEMSミラーユニットである。走査部106は、互いに直交する2つの走査方向に光を走査する。具体的には、走査部106は、共振駆動によりミラーを高速で第1軸(例えば垂直軸)を中心に揺動させることにより、レーザ光を第1走査方向(例えば水平方向)に高速で走査する。また、走査部106は、直流駆動によりミラーを低速で第2軸(例えば水平軸)を中心に揺動させることにより、レーザ光を第2走査方向(例えば垂直方向)に低速で走査する。
【0039】
光検出部107は、走査部106によって光検出部107の方向にレーザ光が走査されたときに、第1光源101、第2光源102及び第3光源103から出射されたレーザ光の光強度(optical power)を検出するセンサである。光検出部107は、例えばフォトダイオードである。
【0040】
ミラー駆動部108は、走査部106に駆動信号を供給することにより、走査部106のミラーを揺動させる。ミラー駆動部108は、制御部110に制御される。
【0041】
光源駆動部109は、第1光源101、第2光源102及び第3光源103の各々に駆動電流を供給することにより、第1光源101、第2光源102及び第3光源103の各々を駆動する。光源駆動部109は、制御部110に制御される。
【0042】
制御部110は、例えば、プロセッサ及びメモリ、又は、専用電子回路によって実現される。制御部110は、光検出部107の出力信号に基づいて、ミラー駆動部108を介して走査部106を制御する。具体的には、制御部110は、走査部106のミラーの揺動を制御して、第1光源101、第2光源102及び第3光源103から出射されたレーザ光を走査する。
【0043】
さらに、制御部110は、入力画像信号に基づいて、光源駆動部109を介して第1光源101、第2光源102及び第3光源103の光出力を制御する。制御部110は、第1光源101、第2光源102及び第3光源103の各々に供給される駆動電流値を制御することにより、第1光源101、第2光源102及び第3光源103の各々から出射されるレーザ光の光強度を制御する。
【0044】
[光学部材の配置]
次に、このような画像投影装置10の導光部200に含まれる光学部材の配置について説明する。
図3は、実施の形態1に係る画像投影装置10の上面図である。
図4は、実施の形態1に係る画像投影装置10の断面図である。具体的には、
図4は、
図3におけるIV−IV線断面図である。
【0045】
第1光学部材200aは、第1反射部の一例であり、光を反射する第1投影領域200apを有するミラーである。第1光学部材200aは、プロジェクタ100とスクリーン20との間の光の経路上に配置されている。第1光学部材200aは、第1投影領域200apに入射した光を第1表示領域20aに反射する。つまり、第1投影領域200apに投影された画像は、第1表示領域20aに映し出される。
【0046】
第2光学部材200bは、第2反射部の一例であり、光を反射する第2投影領域200bpを有するミラーである。第2光学部材200bは、プロジェクタ100とスクリーン20との間の光の経路上に配置されている。また、第2光学部材200bは、第2投影領域200bpへの光の入射方向(ここでは略Z方向)と交差するX方向に第1光学部材200aと隣接して配置されている。
【0047】
第2光学部材200bは、第2投影領域200bpに入射した光を第2表示領域20bに反射する。つまり、第2光学部材200bは、第2投影領域200bpに入射した光を、第1表示領域20aと離れた第2表示領域20bに反射する。つまり、第2投影領域200bpに投影された画像は、第2表示領域20bに映し出される。
【0048】
そのため、第2投影領域200bpを有するミラー面は、第1投影領域200apを有するミラー面と異なる方向に向いている。具体的には、第2投影領域200bpを有するミラー面と、第1投影領域200apを有する面とは、Y方向からみて、スクリーン20の側に頂点を有する山形状に連結されており、X方向に互いに離れる方向へ光を反射する。
【0049】
第3光学部材200cは、第3反射部の一例であり、光を反射する第3投影領域200cpを有するミラーである。第3光学部材200cは、プロジェクタ100とスクリーン20との間の光の経路上に配置されている。また、第3光学部材200cは、第3投影領域200cpへの光の入射方向(ここでは略Z方向)及びX方向と直交するY方向に第2光学部材200bと隣接して配置されている。第3光学部材200cは、第3投影領域200cpに入射した光を、第1表示領域20a及び第2表示領域20bの間に位置する第3表示領域20cに反射する。つまり、第3投影領域200cpに投影された画像は、第3表示領域20cに映し出される。
【0050】
第4光学部材200dは、第4反射部の一例であり、光を反射する第4投影領域200dpを有するミラーである。第4光学部材200dは、プロジェクタ100とスクリーン20との間の光の経路上に配置されている。また、第4光学部材200dは、X方向に第2光学部材200bと隣接して配置され、かつ、Y方向に第1光学部材200aと隣接して配置されている。第4光学部材200dは、第4投影領域200dpに入射した光を、第1表示領域20a及び第2表示領域20bの間に位置し、かつ、第3投影領域200cpと隣接する第4表示領域20dに反射する。つまり、第4投影領域200dpに投影された画像は、第4表示領域20dに映し出される。
【0051】
以上のように、第1投影領域200ap、第2投影領域200bp、第3投影領域200cp及び第4投影領域200dpは、行列状に配置されており、互いに異なる方向に光を反射する。具体的には、第1投影領域200apは、X方向に第2投影領域200bpと隣接しており、かつ、Y方向に第4投影領域200dpと隣接している。また、第3投影領域200cpは、X方向に第4投影領域200dpと隣接しており、かつ、Y方向に第2投影領域200bpと隣接している。
【0052】
なお、各投影領域のサイズは、プロジェクタ100及び各光学部材のミラー面の間の距離とプロジェクタ100の走査角度とによって定まる。例えば、プロジェクタ及び各ミラー面との間の距離をLと表し、水平走査角度をα及び垂直走査角度をβと表した場合、水平方向のミラー面の大きさは2Ltanαであり、垂直方向のミラー面の大きさは2Ltanβである。
【0053】
[投影画像及び表示画像の関係]
ここで、プロジェクタ100によって導光部200の投影領域に形成される画像(以下、投影画像という)と、スクリーン20上に形成される画像(以下、表示画像という)との関係について説明する。
図5は、実施の形態1における投影画像30Aの一例を示す図である。
図6は、実施の形態1における表示画像30Bの一例を示す図である。
【0054】
プロジェクタ100から照射された光によって、導光部200の第1投影領域200ap、第2投影領域200bp、第3投影領域200cp及び第4投影領域200dpには、それぞれ、第1部分画像30a、第2部分画像30b、第3部分画像30c及び第4部分画像30dが形成される。第1部分画像30a、第2部分画像30b、第3部分画像30c及び第4部分画像30dは、X方向及びY方向に行列状に配置され、投影画像30Aを形成する。投影画像30Aは、おおむね従来のアスペクト比(例えば、4:3又は16:9)を有する。
【0055】
導光部200から反射された光によって、スクリーン20の第1表示領域20a、第2表示領域20b、第3表示領域20c及び第4表示領域20dには、それぞれ、第1部分画像30a、第2部分画像30b、第3部分画像30c及び第4部分画像30dが形成される。第1部分画像30a、第2部分画像30b、第3部分画像30c及び第4部分画像30dは、X方向に一列に並んで配置され、表示画像30Bを形成する。表示画像30Bは、投影画像30Aのアスペクト比と異なるアスペクト比を有し、ここでは、より横長なアスペクト比(例えば、16:3又は64:9)を有する。
【0056】
ここで、第1部分画像30a及び第2部分画像30bは、投影画像30A内では互いにX方向に隣接しているが、表示画像30B内では互いにX方向に離間されている。そして、表示画像30Bにおいて、第3部分画像30c及び第4部分画像30dは、第1部分画像30aと第2部分画像30bとの間に位置する。具体的には、表示画像30Bにおいて、第2部分画像30b、第3部分画像30c、第4部分画像30d及び第1部分画像30aは、この順にX方向に並んでいる。
【0057】
[効果]
以上のように、本実施の形態に係る画像投影装置10によれば、互いに隣接する第1投影領域200ap及び第2投影領域200bpに入射した光を互いに離間する第1表示領域20a及び第2表示領域20bに導き、第3投影領域200cp及び第4投影領域200dpに入射した光を第1表示領域20a及び第2表示領域20bの間に位置する第3表示領域20c及び第4表示領域20dに導くことができる。このように、4つの投影領域の各々に適した表示領域に光を導くことで、表示される画像の歪みを減少させることができ、画質を向上させることができる。
【0058】
この効果について、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は、実施の形態1に係る画像投影装置10による効果を説明するための比較例における走査線を示す図である。
図8は、実施の形態1に係る画像投影装置10による効果を説明するための実施例における走査線を示す図である。
【0059】
図7及び
図8において、縦軸は、スクリーン上の垂直方向の位置を示し、横軸は、スクリーン上の水平方向の位置を示す。そして、
図7及び
図8に描かれた線は、スクリーン上に走査される光線の軌跡(以下、走査線と呼ぶ)を示す。この走査線は、シミュレーションによって求められた。また、
図7及び
図8に描かれた矩形は、スクリーン上の表示領域を示す。
【0060】
図7の比較例では、特許文献1に記載されているように、垂直方向に並ぶ2つの投影領域に入射した光を、水平方向に並ぶ2つの表示領域に反射している。
【0061】
一方、
図8の実施例では、上述したように、行列状に配置された4つの投影領域に入射した光を、水平方向に並ぶ4つの表示領域(第1表示領域20a、第2表示領域20b、第3表示領域20c及び第4表示領域20d)に反射している。プロジェクタ100から各光学部材までの距離は、約50mmである。また、第1投影領域200ap及び第2投影領域200bpが形成されたミラー面は、X方向に14.2度傾いている。第3投影領域200cp及び第4投影領域200dpが形成されたミラー面は、それぞれ、X方向に2.7度及びY方向に17度傾いている。
【0062】
図7では、水平方向に対する走査線の傾きが大きく、スクリーンに表示される画像の歪みも大きくなることが分かる。また、
図7では、矩形で示される表示領域の左下には光が走査されない領域も存在する。一方、
図8では、水平方向に対する走査線の傾きが小さく、表示領域に均一に光が走査され、スクリーンに表示される画像の歪みが小さくなることが分かる。つまり、
図8では、
図7に比べてスクリーンに表示される画像の画質が向上している。
【0063】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、3つの投影領域を用いて、3つの表示領域に画像を表示する点が実施の形態1と主として異なる。以下に、本実施の形態について、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0064】
[光学部材の配置]
まず、画像投影装置11に含まれる光学部材の配置について説明する。
図9は、実施の形態2に係る画像投影装置11の上面図である。
図10は、実施の形態2に係る画像投影装置11の断面図である。具体的には、
図10は、
図9におけるX−X線断面図である。
【0065】
本実施の形態では、プロジェクタ100は、スクリーン20に近付く方向に光を照射している。
図9及び
図10に示すように、導光部201は、第1光学部材201a、第2光学部材201b、第3光学部材201c及び第4光学部材201dを備える。
【0066】
第1光学部材201aは、光を反射する第1投影領域201apを有するミラーである。第1光学部材201aは、プロジェクタ100とスクリーン20との間の光の経路上に配置されている。第1光学部材201aは、第1投影領域201apに入射した光を第1表示領域21aに反射する。
【0067】
第2光学部材201bは、光を反射する第2投影領域201bpを有するミラーである。第2光学部材201bは、プロジェクタ100とスクリーン20との間の光の経路上に配置されている。また、第2光学部材201bは、第2投影領域201bpへの光の入射方向(ここでは略Z方向)と交差するX方向に第1光学部材201aと隣接して配置されている。第2光学部材201bは、第2投影領域201bpに入射した光を第1表示領域21aとは離れた第2表示領域21bに反射する。
【0068】
第3光学部材201cは、光を反射する第3投影領域201cpを有するミラーである。第3光学部材201cは、プロジェクタ100とスクリーン20との間の光の経路上に配置されている。また、第3光学部材201cは、第3投影領域201cpへの光の入射方向(ここでは略Z方向)及びX方向と交差するY方向に第1光学部材201a及び第2光学部材201bと隣接して配置されている。第3光学部材201cは、第3投影領域201cpに入射した光を、第1表示領域21a及び第2表示領域21bの間に位置する第3表示領域21cに反射する。
【0069】
以上のように、第2投影領域201bpは、X方向に第1投影領域201apと隣接しており、第3投影領域201cpは、Y方向に第1投影領域201ap及び第2投影領域201bpと隣接している。
【0070】
第4光学部材201dは、光を反射するミラーである。第4光学部材201dは、プロジェクタ100と第1光学部材201a、第2光学部材201b及び第3光学部材201cとの間の光の経路上に配置されている。第4光学部材201dは、プロジェクタ100から照射された光を、第4光学部材201dへの光の入射位置に応じて第1投影領域201ap、第2投影領域201bp又は第3投影領域201cpに反射する。
【0071】
[投影画像及び表示画像の関係]
ここで、プロジェクタ100によって導光部201の投影領域に形成される投影画像と、スクリーン20上に形成される表示画像との関係について説明する。
図11は、実施の形態1における投影画像31Aの一例を示す図である。
図12は、実施の形態1における表示画像31Bの一例を示す図である。
【0072】
プロジェクタ100から照射された光によって、導光部201の第1投影領域201ap、第2投影領域201bp及び第3投影領域201cpには、それぞれ、第1部分画像31a、第2部分画像31b及び第3部分画像31cが形成される。第1部分画像31a、第2部分画像31b及び第3部分画像31cは、X方向及びY方向に隣接しており、投影画像31Aを形成する。投影画像31Aは、おおむね従来のアスペクト比(例えば、4:3又は16:9)を有する。
【0073】
導光部201から反射された光によって、スクリーン20の第1表示領域21a、第2表示領域21b及び第3表示領域21cには、それぞれ、第1部分画像31a、第2部分画像31b及び第3部分画像31cが形成される。第1部分画像31a、第2部分画像31b及び第3部分画像31cは、一列に並んで配置され、表示画像31Bを形成する。表示画像31Bは、投影画像31Aのアスペクト比と異なるアスペクト比を有し、ここでは、より横長なアスペクト比を有する。
【0074】
第1部分画像31a及び第2部分画像31bは、投影画像31A内では互いにX方向に隣接していたが、表示画像31B内では互いにX方向に離間されている。そして、表示画像31Bにおいて、第3部分画像31cは、第1部分画像31aと第2部分画像31bとの間に位置する。具体的には、表示画像31Bにおいて、第2部分画像31b、第3部分画像31c及び第1部分画像31aは、この順にX方向に並んでいる。
【0075】
[効果]
以上のように、本実施の形態に係る画像投影装置11によれば、互いに隣接する第1投影領域201ap及び第2投影領域201bpに入射した光を、互いに離れた第1表示領域21a及び第2表示領域21bに導くことができ、その第1表示領域21a及び第2表示領域21bの間に第3表示領域21cを配置することができる。このように、3つの投影領域の各々に適した表示領域に光を導くことで、表示される画像の歪みを減少させることができ、画質を向上させることができる。
【0076】
この効果について、
図13を用いて説明する。
図13は、実施の形態2に係る画像投影装置11による効果を説明するための実施例における走査線を示す図である。
【0077】
図13において、縦軸は、スクリーン上の垂直方向の位置を示し、横軸は、スクリーン上の水平方向の位置を示す。そして、
図13に描かれた線は走査線を示す。この走査線は、シミュレーションによって求められた。また、
図13に描かれた矩形は、スクリーン上の表示領域を示す。
【0078】
図13の実施例では、上述したように、3つの投影領域に入射した光を、水平方向に並ぶ3つの表示領域(第1表示領域21a、第2表示領域21b及び第3表示領域21c)に反射又は透過している。プロジェクタ100から各光学部材までの距離は、約50mmである。また、第1投影領域201ap及び第2投影領域201bpが形成されたミラー面は、X方向に12.4度及びY方向に18.3度傾いている。
【0079】
図13では、水平方向に対する走査線の傾きが小さく、表示領域に均一に光が走査され、スクリーンの両端に表示される画像の歪みが小さくなることが分かる。つまり、
図13では、
図7に比べてスクリーンの両端に表示される画像の画質が向上している。
【0080】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3では、第3光学部材が光を透過してスクリーンに光を導く点が実施の形態1、2と主として異なる。以下に、本実施の形態について、実施の形態1、2と異なる点を中心に説明する。
【0081】
[光学部材の配置]
まず、画像投影装置12に含まれる光学部材の配置について説明する。
図14は、実施の形態3に係る画像投影装置12の上面図である。
図15は、実施の形態3に係る画像投影装置12の断面図である。具体的には、
図15は、
図14におけるXIV−XIV線断面図である。
【0082】
本実施の形態では、プロジェクタ100は、スクリーン20に近付く方向に光を照射している。
図14及び
図15に示すように、導光部202は、第1光学部材202a、第2光学部材202b、第3光学部材202c及び第4光学部材202dを備える。
【0083】
第1光学部材202aは、光を反射する第1投影領域202apを有するミラーである。第1光学部材202aは、プロジェクタ100とスクリーン20との間の光の経路上に配置され、第1投影領域202apに入射した光を第1表示領域21aに反射する。
【0084】
第2光学部材202bは、光を反射する第2投影領域202bpを有するミラーである。第2光学部材202bは、プロジェクタ100とスクリーン20との間の光の経路上に配置されている。また、第2光学部材202bは、第2投影領域202bpへの光の入射方向(ここでは略Z方向)と交差するX方向に第1光学部材202aと隣接して配置されている。第2光学部材202bは、第2投影領域202bpに入射した光を第2表示領域21bに反射する。つまり、第2光学部材202bは、第2投影領域202bpに入射した光を、第1表示領域21aとは離れた第2表示領域21bに反射する。
【0085】
第3光学部材202cは、光を透過する第3投影領域202cpを有するレンズである。第3光学部材202cは、プロジェクタ100とスクリーン20との間の光の経路上に配置されている。第3光学部材202cは、第3投影領域202cpに入射した光を透過して、第1表示領域21a及び第2表示領域21bの間に位置する第3表示領域21cに出射する。
【0086】
第4光学部材202dは、光を反射するミラーである。第4光学部材202dは、プロジェクタ100と第1光学部材202a及び第2光学部材202bとの間の光の経路上に配置されている。第4光学部材202dは、第3光学部材202cとY方向に隣接して配置され、プロジェクタ100から照射された光を、第4光学部材202dへの光の入射位置に応じて第1投影領域202ap又は第2投影領域202bpに反射する。
【0087】
[投影画像及び表示画像の関係]
ここで、プロジェクタ100によって導光部202の投影領域に形成される投影画像と、スクリーン20上に形成される表示画像との関係について説明する。
図16は、実施の形態3における投影画像32Aの一例を示す図である。
図17は、実施の形態3における表示画像32Bの一例を示す図である。
【0088】
プロジェクタ100から照射された光によって、導光部202の第1投影領域202ap、第2投影領域202bp及び第3投影領域202cpには、それぞれ、第1部分画像32a、第2部分画像32b及び第3部分画像32cが形成される。第1部分画像32a、第2部分画像32b及び第3部分画像32cは、投影画像32Aを形成する。投影画像32Aは、おおむね従来のアスペクト比(例えば、4:3又は16:9)を有する。
【0089】
導光部201から反射された光によって、スクリーン20の第1表示領域21a、第2表示領域21b及び第3表示領域21cには、それぞれ、第1部分画像32a、第2部分画像32b及び第3部分画像32cが形成される。第1部分画像32a、第2部分画像32b及び第3部分画像32cは、一列に並んで配置され、表示画像32Bを形成する。表示画像32Bは、投影画像32Aのアスペクト比と異なるアスペクト比を有し、ここでは、より横長なアスペクト比を有する。
【0090】
また、第1部分画像32a及び第2部分画像32bは、投影画像32A内では互いに隣接していたが、表示画像32B内では互いに離間されている。そして、表示画像32Bにおいて、第3部分画像32cは、第1部分画像32aと第2部分画像32bとの間に位置する。具体的には、表示画像32Bにおいて、第2部分画像32b、第3部分画像32c及び第1部分画像32aは、この順に並んでいる。
【0091】
[効果]
以上のように、本実施の形態に係る画像投影装置12によれば、光源部とスクリーンとの間の光の経路上に配置された3つの光学部材によって、3つの投影領域に入射した光を3つの表示領域に適切な角度で透過又は反射することができる。
【0092】
この効果について、
図18を用いて説明する。
図18は、実施の形態3に係る画像投影装置12による効果を説明するための実施例における走査線を示す図である。
【0093】
図18において、縦軸は、スクリーン上の垂直方向の位置を示し、横軸は、スクリーン上の水平方向の位置を示す。そして、
図18に描かれた線は走査線を示す。この走査線は、シミュレーションによって求められた。また、
図18に描かれた矩形は、スクリーン上の表示領域を示す。
【0094】
図18の実施例では、上述したように、3つの投影領域に入射した光を、水平方向に並ぶ3つの表示領域(第1表示領域22a、第2表示領域22b及び第3表示領域22c)に反射又は透過している。プロジェクタ100から各光学部材までの距離は、約50mmである。また、第1投影領域202ap及び第2投影領域202bpが形成されたミラー面は、X方向に12.4度及びY方向に18.3度傾いている。
【0095】
図18では、水平方向に対する走査線の傾きが小さく、表示領域に均一に光が走査され、スクリーンに表示される画像の歪みが小さくなることが分かる。つまり、
図18では、
図7に比べてスクリーンに表示される画像の画質が向上している。
【0096】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4では、各光学部材が光を透過してスクリーンに光を導く点が実施の形態1〜3と主として異なる。以下に、本実施の形態について、実施の形態1〜3と異なる点を中心に説明する。
【0097】
[光学部材の配置]
まず、画像投影装置13に含まれる光学部材の配置について説明する。
図19は、実施の形態4に係る画像投影装置13の上面図である。
図20は、実施の形態4に係る画像投影装置13の断面図である。具体的には、
図20は、
図19におけるXIX−XIX線断面図である。
【0098】
本実施の形態では、プロジェクタ100は、スクリーン20に近付く方向に光を照射している。導光部203は、第1光学部材203a、第2光学部材203b、第3光学部材203cを備える。
【0099】
第1光学部材203aは、光を透過する第1投影領域203apを有するレンズである。具体的には、第1光学部材203aは、例えば、屈折により光を偏向させるウェッジプリズムである。第1光学部材203aは、プロジェクタ100とスクリーン20との間の光の経路上に配置され、第1投影領域203apに入射した光を透過して第1表示領域21aに向けて出射する。
【0100】
第2光学部材203bは、光を透過する第2投影領域203bpを有するレンズである。具体的には、第2光学部材203bは、例えば、屈折により光の進行方向を変化させるプリズムである。第2光学部材203bは、プロジェクタ100とスクリーン20との間の光の経路上に配置されている。また、第2光学部材203bは、第2投影領域203bpへの光の入射方向(ここでは略Z方向)と交差するX方向に第1光学部材203aと隣接して配置されている。第2光学部材203bは、第2投影領域203bpに入射した光を透過して第2表示領域21bへ向けて出射する。つまり、第2光学部材203bは、第2投影領域203bpに入射した光を、第1表示領域21aとは離れた第2表示領域21bに出射する。
【0101】
第3光学部材203cは、光を透過する第3投影領域203cpを有するレンズである。具体的には、第3光学部材203cは、例えば、屈折により光の進行方向を変化させるプリズムである。第3光学部材203cは、プロジェクタ100とスクリーン20との間の光の経路上に配置されている。また、第3光学部材203cは、第3投影領域203cpへの光の入射方向(ここでは略Z方向)及びX方向と交差するY方向に第1光学部材203a及び第2光学部材203bと隣接して配置されている。第3光学部材203cは、第3投影領域203cpに入射した光を透過して、第1表示領域21a及び第2表示領域21bの間に位置する第3表示領域21cに出射する。
【0102】
[投影画像及び表示画像の関係]
ここで、プロジェクタ100によって導光部203の投影領域に形成される投影画像と、スクリーン20上に形成される表示画像との関係について説明する。
図21は、実施の形態3における投影画像33Aの一例を示す図である。
図22は、実施の形態3における表示画像33Bの一例を示す図である。
【0103】
プロジェクタ100から照射された光によって、導光部203の第1投影領域203ap、第2投影領域203bp及び第3投影領域203cpには、それぞれ、第1部分画像33a、第2部分画像33b及び第3部分画像33cが形成される。第1部分画像33a、第2部分画像33b及び第3部分画像33cは、投影画像33Aを形成する。投影画像33Aは、おおむね従来のアスペクト比(例えば、4:3又は16:9)を有する。
【0104】
導光部201を透過した光によって、スクリーン20の第1表示領域21a、第2表示領域21b及び第3表示領域21cには、それぞれ、第1部分画像33a、第2部分画像33b及び第3部分画像33cが形成される。第1部分画像33a、第2部分画像33b及び第3部分画像33cは、一列に並んで配置され、表示画像33Bを形成する。表示画像33Bは、投影画像33Aのアスペクト比と異なるアスペクト比を有し、ここでは、より横長なアスペクト比を有する。
【0105】
また、第1部分画像33a及び第2部分画像33bは、投影画像33A内では互いにX方向に隣接していたが、表示画像33B内では互いにX方向に離間されている。そして、表示画像33Bにおいて、第3部分画像33cは、第1部分画像33aと第2部分画像33bとの間に位置する。具体的には、表示画像33Bにおいて、第2部分画像33b、第3部分画像33c及び第1部分画像33aは、この順にX方向に並んでいる。
【0106】
[効果]
以上のように、本実施の形態に係る画像投影装置13によれば、光源部111とスクリーン20との間の光の経路上に配置された3つの光学部材によって、3つの投影領域に入射した光を3つの表示領域に適切な角度で透過させることができる。したがって、光源部111、導光部200及びスクリーン20を直線的に配置することが可能となり、画像投影装置13の小型化を図ることができる。
【0107】
(他の実施の形態)
以上、本発明の1つまたは複数の態様に係る画像投影装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0108】
例えば、上記実施の形態2では、第4光学部材が用いられていたが、実施の形態1と同様に、プロジェクタ100から直接的に第1光学部材、第2光学部材及び第3光学部材に光が照射されてもよい。
【0109】
なお、上記各実施の形態において、複数の表示領域は、水平方向に並べられていたが、これに限定されない。例えば、複数の表示領域は、垂直方向に並べられてもよい。
【0110】
なお、上記各実施の形態において、複数の光学部材が用いられていたが、これらの複数の光学部材は、一体に形成されてもよい。例えば、実施の形態4において、3つの光学部材は、光学特性が異なる複数の領域を有する単一の光学部材として形成されてもよい。
【0111】
なお、上記各実施の形態において、プロジェクタと導光部とは、別々に設けられていたが、導光部は、プロジェクタの筐体内に内蔵されてもよい。
【0112】
なお、上記各実施の形態では、画像が形成される所定の領域がスクリーンである場合について説明したが、所定の領域はスクリーンに限定されない。例えば、所定の領域は、感光材料あるいは紙であってもよい。