特開2018-12457(P2018-12457A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-12457(P2018-12457A)
(43)【公開日】2018年1月25日
(54)【発明の名称】可動荷台付きトラック
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/02 20060101AFI20171222BHJP
   B60S 9/02 20060101ALI20171222BHJP
【FI】
   B60P1/02 Z
   B60S9/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-144481(P2016-144481)
(22)【出願日】2016年7月22日
(11)【特許番号】特許第6072969号(P6072969)
(45)【特許公報発行日】2017年2月1日
(71)【出願人】
【識別番号】516221568
【氏名又は名称】株式会社パドック
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】岡本 辰彦
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026EA04
3D026EA27
(57)【要約】
【課題】貨物の設置スペースを制限することなく、構造の複雑化を防ぎ大幅な重量増を抑えることができる可動荷台付きトラックを提供する。
【解決手段】貨物の積み降ろしを行う荷台が可動する可動荷台付きトラック1であって、平行リンク機構6により可動荷台7を昇降させる昇降機構3を備えており、可動荷台7は、平行リンク機構6により、貨物の運搬時の位置である上昇位置と貨物の積み降ろしの位置である降下位置との間で昇降し、可動荷台7は、降下位置に可動荷台付きトラック1の側方から横方向に延出しながら下降し、可動荷台7はトラックが本来備える重量物運搬用の荷台に相当する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物の積み降ろしを行う荷台が可動する可動荷台付きトラックであって、
平行リンク機構により前記可動荷台を昇降させる昇降機構を備えており、
前記可動荷台は、前記平行リンク機構により、貨物の運搬時の位置である上昇位置と貨物の積み降ろしの位置である降下位置との間で昇降し、
前記可動荷台は、前記降下位置に前記可動荷台付きトラックの側方から横方向に延出しながら下降し、
前記可動荷台はトラックが本来備える重量物運搬用の荷台に相当することを特徴とする可動荷台付きトラック。
【請求項2】
前記可動荷台は前記降下位置において接地する請求項1に記載の可動荷台付きトラック。
【請求項3】
前記可動荷台は、前記上昇位置において前記可動荷台付きトラックの全幅に亘り配置されている請求項1又は2に記載の可動荷台付きトラック。
【請求項4】
転倒防止用ジャッキを備えており、前記転倒防止用ジャッキは、前記可動荷台付きトラックの側方から引き出した支持ロッドを傾斜させて前記支持ロッドを接地させるように構成している請求項1から3のいずれかに記載の可動荷台付きトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイクの機体等の貨物の積み降ろしを行う荷台が可動する可動荷台付きトラックに関する。
【背景技術】
【0002】
貨物を運搬するトラックにおいて、貨物の積み降ろしを行うための昇降装置を備えたトラックが知られている。例えば、下記特許文献1に記載のトラックは、荷台に対して平行に配置したパレットが、荷台上に格納される第1の位置と、荷台の側方でかつ荷台の下方の第2の位置とにアクチュエータによって選択的に駆動可能になっている。
【0003】
この構成によれば、第2の位置にあるパレットは、荷台より低い位置にあって地表に近いので、その上に容易に重量貨物や嵩ばった貨物を装架することができ、その後アクチュエータを作動させることによって貨物と共にパレットを荷台上に格納することができる。したがって、高価な荷役機器を利用しなくても効率良く貨物の荷役を行うことができ、また荷役機器を運転できない狭いスペースでも能率的に荷役を行うことができるという効果が得られる(特許文献1の3頁16行目〜4頁5行目)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1―68246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のトラックにおける昇降装置は、トラックの荷台とは別に設けたパレットを第1の位置と第2の位置との間で移動させるものであった。この構成では、パレットが荷台上にあるときは、荷台の約半分の面積をパレットで占有してしまうので、荷台上の貨物の設置スペースが制限されてしまうという問題があった(特許文献1の第2図参照)。また、荷台とは別にパレットが必要になるので、構造が複雑になり重量増の問題もあった。
【0006】
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、貨物の設置スペースを制限することなく、構造の複雑化を防ぎ大幅な重量増を抑えることができる可動荷台付きトラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の可動荷台付きトラックは、貨物の積み降ろしを行う荷台が可動する可動荷台付きトラックであって、平行リンク機構により前記可動荷台を昇降させる昇降機構を備えており、前記可動荷台は、前記平行リンク機構により、貨物の運搬時の位置である上昇位置と貨物の積み降ろしの位置である降下位置との間で昇降し、前記可動荷台は、前記降下位置に前記可動荷台付きトラックの側方から横方向に延出しながら下降し、前記可動荷台はトラックが本来備える重量物運搬用の荷台に相当することを特徴とする。
【0008】
前記本発明の可動荷台付きトラックによれば、可動荷台は可動荷台付きトラックの側方から横方向に移動して下降するので、可動荷台付きトラックの後方には貨物の積み降ろしのためのスペースは不要であり、可動荷台付きトラックの後方に車両が停車した状態においても、貨物の積み降ろしを行うことができる。貨物の積み降ろしの際には、可動荷台付きトラックの側方に可動荷台を下降できるだけのスペースがあればよいので、貨物の積み降ろしのために、長いスペースや広いスペースは不要となる。
【0009】
また、本発明の可動荷台付きトラックにおいては、可動荷台はトラックが本来備える重量物運搬用の荷台に相当するので、可動荷台は追加的な荷台ではなく、トラックが本来備える重量物運搬用の荷台として設計可能であるので、トラックが本来備える重量物運搬用の荷台としての耐久性を確保でき、大きさや重量の大きい貨物を運搬可能な荷台として設計可能である。加えて、前記のとおり可動荷台はトラックが本来備える重量物運搬用の荷台に相当するので、可動荷台を設けたことにより、貨物の設置スペースを制限することはなく、荷台が複数になって構造が複雑になることもなく、大幅な重量増も抑えることができる。
【0010】
前記本発明の可動荷台付きトラックにおいては、前記可動荷台は前記降下位置において接地することが好ましい。この構成によれば、降下位置にある可動荷台に対して貨物の積み降ろしが容易になる。特にバイク等の車輪付きの貨物においては、貨物を前進又は後退させるだけで、貨物の積み降ろしを行うことができる。
【0011】
また、前記可動荷台は、前記上昇位置において前記可動荷台付きトラックの全幅に亘り配置されていることが好ましい。前記のとおり、本発明の可動荷台付きトラックにおいては、可動荷台はトラックが本来備える重量物運搬用の荷台に相当するので、可動荷台は追加的な荷台ではなく、トラックが本来備える重量物運搬用の荷台として設計可能であるので、可動荷台は可動荷台付きトラックの全幅に亘り配置でき、通常のトラックの荷台と同様に大きさの大きい貨物を運搬可能になる。
【0012】
また、転倒防止用ジャッキを備えており、前記転倒防止用ジャッキは、前記可動荷台付きトラックの側方から引き出した支持ロッドを傾斜させて前記支持ロッドを接地させるように構成していることが好ましい。この構成によれば、可動荷台が横方向に移動し可動荷台付きトラックの重心が横方向に移動したときの可動荷台付きトラックの転倒防止を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果は前記のとおりであり、要約すれば、本発明によれば、貨物の積み降ろしの際には、可動荷台付きトラックの側方に可動荷台を下降できるだけのスペースがあればよいので、貨物の積み降ろしのために、長いスペースや広いスペースは不要となる。また、可動荷台はトラックが本来備える重量物運搬用の荷台として設計可能であるので、トラックが本来備える重量物運搬用の荷台としての耐久性を確保でき、大きさや重量の大きい貨物を運搬可能な荷台として設計可能であり、可動荷台を設けたことにより、貨物の設置スペースを制限することはなく、荷台が複数になって構造が複雑になることもなく、トラックが本来備える荷台の設置スペースを制限することもなく、大幅な重量増も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る可動荷台付きトラックの側面図。
図2図1に示したトラックの背面図。
図3図1に示したトラックを背面側から見た斜視図。
図4】本発明の一実施形態に係る転倒防止用ジャッキの動作を説明するための図であり、転倒防止用ジャッキを作動させていないときの状態を示した背面図。
図5】本発明の一実施形態に係る転倒防止用ジャッキの動作を説明するための図であり、ジャッキ本体から支持ロッドを引き出した状態を示した背面図。
図6】本発明の一実施形態に係る転倒防止用ジャッキの動作を説明するための図であり、ジャッキ本体を傾斜させた状態を示した背面図。
図7】本発明の一実施形態に係る昇降機構の動作について説明する図であり、図3の状態からシリンダ機構のロッドを縮ませた状態を示した斜視図。
図8】本発明の一実施形態に係る昇降機構の動作について説明する図であり、図7の状態からシリンダ機構のロッドがさらに縮んだ状態を示した斜視図。
図9】本発明の一実施形態に係る昇降機構の動作について説明する図であり、荷台の下降が完了した状態を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る可動荷台付きトラック1(以下、単に「トラック1」という。)の側面図である。図2図1に示したトラック1の背面図であり、図3図1に示したトラック1を背面側から見た斜視図である。トラック1は、運転席を含むキャビン2とこの後方の昇降機構3とで要部を構成し、キャビン2の下部に前輪4が配置され、昇降機構3の下部に後輪5が配置されている。本実施形態に係るトラック1は、昇降機構3に関する構造や配置に特徴があり、本実施形態の各図においては特徴部分に直接関係のない構造物は適宜省略している。
【0016】
図2及び図3において、昇降機構3は平行リンク機構6を要部とし、可動荷台7を昇降可能に構成したものである。詳細は後に説明するとおり、平行リンク機構6の動作により、可動荷台7は貨物の運搬時の位置である上昇位置と貨物の積み降ろしの位置である降下位置との間で昇降する。図1図3は可動荷台7が上昇位置にあるときの状態を図示している。
【0017】
通常トラックは、キャビンの後方に貨物を搭載するための荷台を備えており、この荷台はトラックに固定されている。図3に示したように、本実施形態に係るトラック1は、通常のトラックの荷台に相当する可動荷台7を備えており、可動荷台7に貨物を搭載し、この状態でトラック1を運転して貨物を運搬する。すなわち、本実施形態に係るトラック1においては、可動荷台7がトラックが本来備える重量物運搬用の荷台に相当する。可動荷台7は通常のトラックの荷台の位置に設けており、可動荷台7の他に荷台は設けていない。
【0018】
以下、主に図2及び図3を参照しながら、昇降機構3の構造を説明する。図3において、昇降機構3は主に平行リンク機構6及びシリンダ機構10で構成されており、これらの構造物は、トラック1の進行方向(矢印a方向)において、可動荷台7の両側に配置されている。以下、トラック1の進行方向(矢印a方向)を前後方向といい、前輪4側を前側、後輪5側を後側といい、前後方向と直交する方向を横方向(矢印b方向)という。
【0019】
前記のとおり、昇降機構3は可動荷台7の前後方向において両側に配置されているが、両側の各機構は同一の機構であるので、片側の機構を説明しながら、昇降機構3の構造を説明する。平行リンク機構6は、一対のアーム14及び15で構成され、アーム14及び15の上端側は可動荷台7と一体の支持体13に軸支され、下端側は基台20と一体の軸支体21及び22に軸支されている。本実施形態においては、軸支とは軸を中心に回転可能に支持されていることをいう。アーム14は軸16及び軸17を中心に回転可能であり、アーム15は軸18及び軸19を中心に回転可能である。
【0020】
シリンダ機構10は、シリンダ11とロッド12を備えており、油圧によりロッド12がシリンダ11に対して伸縮する。シリンダ11の下端がアーム14の下端に軸支され、ロッド12の先端がアーム15の上端に軸支されている。この構成では、シリンダ11及びロッド12は、アーム14と共通の軸16及びアーム15と共通の軸19を中心に回転可能である。
【0021】
図3の状態からシリンダ機構10のロッド12を縮ませると、アーム14は軸16を中心に反時計方向に回転し、アーム15は軸18を中心に反時計方向に回転する。この回転が進むにつれて、支持体13と一体の可動荷台7は、略平行状態を保ちつつ横方向(矢印c方向)に移動しつつ最終的には接地するまで下降する。可動荷台7が下降して接地した状態からシリンダ機構10のロッド12を伸ばすと、アーム14は軸16を中心に時計方向に回転し、アーム15は軸18を中心に時計方向に回転し、可動荷台7は、ロッド12を縮ませたときと逆の動きをして、上昇しながら定位置に戻っていく。
【0022】
以下、可動荷台7へ貨物を積み降ろす際の動作について、工程順に説明する。前記のとおり、図3において、シリンダ機構10のロッド12を縮ませることにより、最終的には可動荷台7を接地させるまで下降させることができる。このことにより、可動荷台7上の貨物を降ろすことができ、可動荷台7上に貨物が無い場合は、下降させた可動荷台7に貨物を積むことができる。可動荷台7が下降する工程において、可動荷台7が横方向に移動し、トラック1の重心が横方向に移動する。このため、本実施形態では、昇降機構3を作動させる際には、転倒防止用ジャッキ30の先端を接地させるようにしている。このため、昇降機構3の動作について説明する前に、転倒防止用ジャッキ30について説明する。
【0023】
図1及び図3に示したように、トラック1は可動荷台7の下部に転倒防止用ジャッキ30を備えている。転倒防止用ジャッキ30は、ジャッキ本体31、支持ロッド32及びシリンダ機構33を備えている。支持ロッド32はジャッキ本体31に格納されており、ジャッキ本体31から引き出すことが可能である。シリンダ機構33は、シリンダ34及びロッド35(図6参照)を備えており、油圧により、ロッド35をシリンダ34に対し伸縮させることができる。
【0024】
図4図6は転倒防止用ジャッキ30の動作を説明するための図であり、図示の便宜のため、トラック1の背面側の一部を破断して図示し、破断部分には転倒防止用ジャッキ30及びその支持部品のみを図示し、他の構造物の図示は省略している。図4は、転倒防止用ジャッキ30を作動させていないときの状態を図示している。シリンダ機構33の一端は支持体38に軸支され、他端はジャッキ本体31に軸支されている。ジャッキ本体31は、支持ロッド32と反対側が支持体(図示せず)に軸支されている。本図の状態では、シリンダ機構33は作動しておらず、ジャッキ本体31は水平状態が保たれている。
【0025】
図5は、ジャッキ本体31から、支持ロッド32を引き出した状態を示している。この状態は、図4においてジャッキ本体31に格納されていた支持ロッド32の先端を人の手で掴んで引き出した状態を示している。図6はジャッキ本体31を傾斜させた状態を示している。この状態は図5の状態からシリンダ機構33を作動させ、ロッド35を伸ばした状態を示している。シリンダ機構33の作動は、操作盤39(図1参照)で操作する。
【0026】
ロッド35を伸ばすことにより、シリンダ機構33が軸支部分を中心に回転移動しながら、ジャッキ本体31も軸支部分を中心に回転移動する。これにより、図6に示したように、ジャッキ本体31と一体に支持ロッド32が傾斜し、支持ロッド32の先端が地面に接地する。このことにより、可動荷台7が横方向に移動しトラック1の重心が横方向に移動したときのトラック1の転倒防止を図ることができる。
【0027】
次に、昇降機構3の動作について説明する。図7は、図3の状態から操作盤39(図1参照)の操作により、シリンダ機構10のロッド12を縮ませた状態を示している。図7の状態は、図3の状態と比べると、アーム14は軸16を中心に反時計方向(矢印d方向)に回転し、アーム15は軸18を中心に反時計方向(矢印d方向)に回転している。これに伴い、支持体13と一体に可動荷台7は上昇し、かつ横方向(矢印c方向)に移動している。
【0028】
図8は、図7の状態からシリンダ機構10のロッド12がさらに縮んだ状態を示している。図8の状態は、図7の状態と比べると、アーム14は軸16を中心に反時計方向(矢印d方向)にさらに回転し、アーム15は軸18を中心に反時計方向(矢印d方向)にさらに回転している。これに伴い、支持体13と一体に可動荷台7は横方向(矢印c方向)にさらに移動している。図8の状態からシリンダ機構10のロッド12がさらに縮むと、可動荷台7は横方向(矢印c方向)にさらに移動するともに、地面に向けて下降していく。
【0029】
図9は、可動荷台7の下降が完了した状態を示している。本図の状態では、シリンダ機構10のロッド12(図8参照)は縮み切った状態であり、可動荷台7も下降し切った状態である。可動荷台7の先端側は接地しているので、この状態においては、貨物を持ち上げることなく、可動荷台7に貨物を搭載することができる。例えば、可動荷台7にバイクを搭載する場合は、図9の状態において、可動荷台7近傍まで運転したバイクを前進させるだけで、可動荷台7上にバイクを搭載することができる。
【0030】
また、前記の一連の工程において、可動荷台7に貨物を搭載した状態で可動荷台7の下降を完了させたときは、貨物はすでに降ろされているので、可動荷台7から貨物をそのまま持ち運べばよい。前記のバイクの例では、図9の状態において、可動荷台7上のバイクを前進又は後退させるだけで、可動荷台7上からバイクをそのまま持ち運ぶことができる。
【0031】
本実施形態においては、可動荷台7は、トラック1の側方から横方向に移動して下降するので、トラック1の後方には貨物の積み降ろしのためのスペースは不要であり、トラック1の後方に車両が停車した状態においても、貨物の積み降ろしを行うことができる。貨物の積み降ろしの際には、トラック1の側方に可動荷台7を下降できるだけのスペースがあればよいので、貨物の積み降ろしのために、長いスペースや広いスペースは不要となる。例えば、トラック1を道路に停車させた場合は、道路の側道に可動荷台7を接地させて、貨物の積み降ろしを行うことができる。
【0032】
また、前記のとおり、本実施形態に係るトラック1においては、可動荷台7がトラックが本来備える重量物運搬用の荷台に相当し、可動荷台7は通常のトラックの可動荷台7の位置に設けており、可動荷台7の他に荷台は設けていない。このため、本実施形態に係る可動荷台7は追加的な荷台ではなく、トラックが本来備える重量物運搬用の荷台として設計可能である。すなわち、可動荷台7はトラック1の全幅に亘り配置でき、トラックが本来備える重量物運搬用の荷台としての耐久性を確保でき、通常のトラックの荷台と同様に、大きさや重量の大きい貨物を運搬可能な荷台として設計可能である。加えて、前記のとおり可動荷台7はトラックが本来備える重量物運搬用の荷台に相当するので、可動荷台7を設けたことにより、貨物の設置スペースを制限することはなく、荷台が複数になって構造が複雑になることはなく、大幅な重量増も抑えることができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限るものではなく適宜変更した構成も含まれる。例えば前記実施形態では、可動荷台7が接地する例で説明したが、これに限るものではなく、可動荷台7の降下位置において可動荷台7と地面40との間に隙間があってよい。隙間が大き過ぎなければ、貨物も積み降ろしへの影響も小さくなる。
【0034】
また、転倒防止用ジャッキ30の構成は一例であり、これに限るものではなく、トラックの側方から引き出した支持ロッド32を傾斜させて支持ロッド32を接地させるように構成したものであればよい。
【符号の説明】
【0035】
1 可動荷台付きトラック
3 昇降機構
6 平行リンク機構
7 可動荷台
10,33 シリンダ機構
13 支持体
30 転倒防止用ジャッキ
31 ジャッキ本体
32 支持ロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2016年11月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物の積み降ろしを行う荷台が可動する可動荷台付きトラックであって、
平行リンク機構により前記可動荷台を昇降させる昇降機構を備えており、
前記可動荷台は、前記平行リンク機構により、貨物の運搬時の位置である上昇位置と貨物の積み降ろしの位置である降下位置との間で昇降し、
前記可動荷台は、前記降下位置に前記可動荷台付きトラックの側方から横方向に延出しながら下降し、
前記可動荷台はトラックが本来備える重量物運搬用の荷台に相当し、前記可動荷台の他に荷台は設けておらず、
前記可動荷台は前記降下位置において接地し、
前記平行リンク機構の前記可動荷台への固定位置を、前記可動荷台が延出する方向において、前記可動荷台の先端と反対側の端部とすることにより、前記可動荷台のうち前記可動荷台付きトラックの後方側を開放させて、前記後方側から貨物を前進させて前記可動荷台上に貨物を搭載できるようにしたことを特徴とする可動荷台付きトラック。
【請求項2】
前記可動荷台は、前記上昇位置において前記可動荷台付きトラックの全幅に亘り配置されている請求項1に記載の可動荷台付きトラック。
【請求項3】
転倒防止用ジャッキを備えており、前記転倒防止用ジャッキは、前記可動荷台付きトラックの側方から引き出した支持ロッドを傾斜させて前記支持ロッドを接地させるように構成している請求項1又は2に記載の可動荷台付きトラック。