【解決手段】電動アクチュエータ10は、軸方向に延びるモータシャフト21を有するモータ20と、モータシャフト21に連結される減速機構30と、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される出力シャフト部41を有する出力部40と、出力部40の回転を検出する回転検出装置60と、モータシャフト21と出力部40とを互いに相対回転可能に連結する第1ベアリング51と、を備える。出力部40は、軸方向他方側から軸方向一方側に窪む第1凹部40aを有する。モータシャフト21の軸方向一方側の端部は、第1凹部40a内に収容される。第1ベアリング51は、第1凹部40aの径方向内側面に固定される。回転検出装置60の少なくとも一部は、第1凹部40aと径方向に重なる位置に配置される。
前記回転検出装置の少なくとも一部は、前記モータシャフトにおける前記第1凹部内に収容された部分と径方向に重なる位置に配置される、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ10は、ケース11と、第1中心軸J1の軸方向に延びるモータシャフト21を有するモータ20と、減速機構30と、出力部40と、回転検出装置60と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、第3ベアリング53と、ブッシュ54と、を備える。第1ベアリング51、第2ベアリング52および第3ベアリング53は、例えば、ボールベアリングである。第1中心軸J1の軸方向は、上下方向と平行である。
【0010】
以下の説明においては、第1中心軸J1の軸方向を単に「軸方向」と呼び、軸方向における
図1の上側を単に「上側」と呼び、軸方向における
図1の下側を単に「下側」と呼ぶ。また、第1中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、第1中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。なお、上側は、軸方向他方側に相当し、下側は、軸方向一方側に相当する。
【0011】
ケース11は、モータ20および減速機構30を収容する。ケース11は、モータ20を収容するモータケース12と、減速機構30を収容する減速機構ケース13と、を有する。モータケース12は、ケース筒部12aと、上蓋部12gと、ケースフランジ部12bと、円環板部12dと、ベアリング保持部12eと、コネクタ部12cと、を有する。
【0012】
ケース筒部12aは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。ケース筒部12aは、軸方向両側に開口する。ケース筒部12aは、モータ20の径方向外側を囲む。ケース筒部12aの内部のうち円環板部12dよりも上側の部分は、制御基板収容部12fである。上蓋部12gは、ケース筒部12aの上端開口、すなわち制御基板収容部12fの上端開口を塞ぐ板状の蓋である。
【0013】
ケースフランジ部12bは、ケース筒部12aの下端部から径方向外側に拡がる円環板状である。円環板部12dは、ケース筒部12aの内周面から径方向内側に拡がる円環板状である。円環板部12dは、モータ20の後述するステータ23の上側を覆う。ベアリング保持部12eは、円環板部12dの下面から下側に突出する円筒状である。ベアリング保持部12eは、第1中心軸J1を中心とし、下側に開口する。ベアリング保持部12eの内周面には、第3ベアリング53が固定されて保持される。コネクタ部12cは、ケース筒部12aの上端部における外周面から径方向外側に延びる柱状である。コネクタ部12cは、径方向外端部から径方向内側に窪む凹部を有する。コネクタ部12cには、図示しない外部電源が接続される。
【0014】
減速機構ケース13は、蓋部13aと、筒部13bと、突出筒部13cと、を有する。すなわち、ケース11は、蓋部13aを有する。蓋部13aは、第1中心軸J1を中心とする円環板状である。蓋部13aの径方向外端は、ケース筒部12aよりも径方向外側に位置する。蓋部13aは、減速機構30の下側を覆う。蓋部13aは、蓋部13aの上側の面から下側に窪む第2凹部13dを有する。第2凹部13dは、周方向に延びる環状である。
【0015】
筒部13bは、蓋部13aの径方向外縁部から上側に突出する円筒状である。筒部13bの上端部は、ケースフランジ部12bの下面の径方向外縁部に接触して固定される。突出筒部13cは、蓋部13aの径方向内縁部から下側に突出する円筒状である。突出筒部13cは、下側に開口する。
【0016】
突出筒部13cの内部は、第1大径部13eと、小径部13fと、第2大径部13gと、を有する。第1大径部13eは、突出筒部13cの内部の上端部であり、上側に開口して、筒部13bの内部と繋がる。小径部13fは、第1大径部13eの下側において、第1大径部13eの下端と繋がる。小径部13fの内径は、第1大径部13eの内径よりも小さい。第2大径部13gは、小径部13fの下側において、小径部13fの下端に繋がる。第2大径部13gは、突出筒部13cの内部の下端部であり、下側に開口して、ケース11の外部と繋がる。第2大径部13gの内径は、小径部13fの内径よりも大きい。第2大径部13gの内径は、例えば、第1大径部13eの内径と同じである。なお、第2大径部13gの内径は、第1大径部13eの内径より小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0017】
突出筒部13cの内部には、軸方向に延びる円筒状のブッシュ54が配置される。ブッシュ54は、小径部13fに嵌め合わされて、突出筒部13c内に固定される。ブッシュ54の下端は、小径部13fの下端よりも上側に位置する。ブッシュ54は、上端部に径方向外側に突出するフランジ部を有する。ブッシュ54のフランジ部は、第1大径部13eと小径部13fとの間の段差に上側から接触する。これにより、ブッシュ54が小径部13fから下側に抜けることが抑制される。
【0018】
モータ20は、モータシャフト21と、ロータ22と、ステータ23と、制御部24と、を有する。モータシャフト21は、第1ベアリング51と第2ベアリング52と第3ベアリング53とによって、第1中心軸J1周りに回転可能に支持される。モータシャフト21は、第1軸部21aと、第2軸部21bと、第3軸部21cと、を有する。
【0019】
第1軸部21aは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる。第1軸部21aは、ロータ固定軸部21dと、上側軸部21eと、下側軸部21fと、を有する。ロータ固定軸部21dの外周面には、ロータ22が固定される。上側軸部21eは、ロータ固定軸部21dの上側において、ロータ固定軸部21dの上端と繋がる。上側軸部21eは、第1軸部21aの上端部であり、モータシャフト21の上端部である。上側軸部21eの外径は、ロータ固定軸部21dの外径よりも小さい。上側軸部21eは、第3ベアリング53に支持される。
【0020】
下側軸部21fは、ロータ固定軸部21dの下側において、ロータ固定軸部21dの下端と繋がる。下側軸部21fは、第1軸部21aの下端部である。下側軸部21fの外径は、ロータ固定軸部21dの外径よりも小さく、上側軸部21eの外径よりも大きい。下側軸部21fの外径は、第2ベアリング52の内輪の内径よりも大きい。下側軸部21fは、第2ベアリング52の内輪の上側において、第2ベアリング52の内輪と軸方向に対向する。
【0021】
第2軸部21bは、第1軸部21aの下側において、第1中心軸J1に対して偏心した第2中心軸J2を中心として延びる。第2中心軸J2は、第1中心軸J1と平行である。
図1では、第2中心軸J2は、第1中心軸J1に対して左側に偏心する。第2軸部21bは、第1軸部21aの下端と繋がる。第2軸部21bの外径は、下側軸部21fの外径よりも小さい。第2軸部21bは、第2ベアリング52に支持される。
【0022】
第3軸部21cは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる。第3軸部21cは、第2軸部21bの下側において、第2軸部21bの下端と繋がる。第3軸部21cの外径は、第2軸部21bの外径よりも小さい。第3軸部21cは、モータシャフト21の下端部である。第3軸部21cは、第1ベアリング51に支持される。
【0023】
ロータ22は、ロータ固定軸部21dの外周面に固定される円筒状のロータコアと、ロータコアの外周面に固定されるマグネットと、を有する。ステータ23は、ロータ22の径方向外側を囲む環状のステータコアと、ステータコアに装着される複数のコイルと、を有する。ステータ23は、ケース筒部12aの内周面に固定される。
【0024】
制御部24は、制御基板70と、第2取付部材73と、第2マグネット74、第2回転センサ71と、バスバー80と、を有する。制御基板70は、軸方向と直交する平面に拡がる板状である。制御基板70は、制御基板収容部12f内に収容され、円環板部12dの上面に固定される。図示は省略するが、制御基板70には、ステータ23のコイルが電気的に接続される。
【0025】
第2取付部材73は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。第2取付部材73の内周面は、ロータ固定軸部21dにおけるロータ22よりも上側の部分の外周面に固定される。第2取付部材73の径方向外縁部は、上側に突出した位置に配置される。第2取付部材73の径方向外縁部は、第3ベアリング53およびベアリング保持部12eの径方向外側を囲む。第2取付部材73は、例えば、非磁性体製である。なお、第2取付部材73は、磁性体製であってもよい。
【0026】
第2マグネット74は、第1中心軸J1を中心とし、軸方向と直交する平面に拡がる円環板状である。第2マグネット74は、第2取付部材73の径方向外縁部の上端面に固定される。第2マグネット74の第2取付部材73への固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤等である。第2取付部材73と第2マグネット74とは、モータシャフト21とともに回転する。第2マグネット74は、第3ベアリング53およびベアリング保持部12eの径方向外側を囲み、第3ベアリング53と径方向に重なる位置に配置される。第2マグネット74は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。
【0027】
第2回転センサ71は、制御基板70の下面に取り付けられる。第2回転センサ71は、円環板部12dを軸方向に貫通する孔部の内側に配置される。第2回転センサ71は、第2マグネット74と隙間を介して軸方向に対向する。第2回転センサ71は、第2マグネット74によって生じる磁界を検出する。第2回転センサ71は、例えばホール素子である。図示は省略するが、第2回転センサ71は、周方向に沿って複数、例えば3つ設けられる。第2回転センサ71用いて、モータシャフト21とともに回転する第2マグネット74によって生じる磁界の変化を検出することで、モータシャフト21の回転を検出することができる。
【0028】
バスバー80は、コネクタ部12cに埋め込まれて保持される。バスバー80の一端は、制御基板70の上面に固定される。バスバー80の他端は、コネクタ部12cの径方向外端部に設けられた凹部からケース11の外部に露出する。バスバー80は、コネクタ部12cに接続される外部電源と電気的に接続される。バスバー80および制御基板70を介して、外部電源からステータ23のコイルに電源が供給される。
【0029】
減速機構30は、モータシャフト21の下側の部分の径方向外側に配置される。より詳細には、減速機構30は、第2軸部21bおよび第3軸部21cの径方向外側に配置される。減速機構30は、減速機構ケース13の内部に収容される。減速機構30は、蓋部13aとケースフランジ部12bとの軸方向の間に配置される。減速機構30は、外歯ギア31と、内歯ギア33と、接続部34と、を有する。
【0030】
外歯ギア31は、第2中心軸J2を中心として、軸方向と直交する平面に拡がる略円環板状である。
図2に示すように、外歯ギア31の径方向外側面には、歯車部が設けられる。
図1および
図2に示すように、外歯ギア31は、第2軸部21bに第2ベアリング52を介して接続される。すなわち、第2軸部21bは、第2ベアリング52を介して、減速機構30接続され、減速機構30は、モータシャフト21に連結される。外歯ギア31は、第2ベアリング52の外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第2ベアリング52はモータシャフト21と外歯ギア31とを、第2中心軸J2周りに相対的に回転可能に連結する。なお、
図2においては、後述する円筒部34bの図示を省略している。
【0031】
外歯ギア31は、複数のピン32を有する。
図1に示すように、ピン32は、下側に突出する円柱状である。
図2に示すように、複数のピン32は、第2中心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
図2では、ピン32は、例えば、8つ設けられる。
【0032】
内歯ギア33は、外歯ギア31の径方向外側を囲んで固定され、外歯ギア31と噛み合う。
図1および
図2に示すように、内歯ギア33は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。
図1に示すように、内歯ギア33の径方向外縁部は、筒部13bの内周面に設けられた径方向外側に窪む凹部内に配置されて固定される。
図2に示すように、内歯ギア33の内周面には、歯車部が設けられる。内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と噛み合う。より詳細には、内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と一部(
図2では左側部分)において噛み合う。
【0033】
図1に示すように、接続部34は、外歯ギア31の下側に配置される。接続部34は、円環部34aと、円筒部34bと、を有する。円環部34aは、第1中心軸J1を中心として径方向に拡がる円環板状である。円環部34aは、円環部34aを軸方向に貫通する複数の孔34cを有する。すなわち、接続部34は、複数の孔34cを有する。
【0034】
図2に示すように、複数の孔34cは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
図2では、孔34cは、例えば、8つ設けられる。孔34cの軸方向に沿って視た形状は、円形状である。孔34cの内径は、ピン32の外径よりも大きい。
図1および
図2に示すように、複数の孔34cには、外歯ギア31に設けられた複数のピン32がそれぞれ通される。ピン32の外周面は、孔34cの内周面と内接する。孔34cの内周面は、ピン32を介して、外歯ギア31を第1中心軸J1周りに揺動可能に支持する。
【0035】
図1に示すように、円筒部34bは、円環部34aの内縁から下側に延びる円筒状である。円筒部34bは、軸方向両側に開口する円筒状の円筒部本体34dと、円筒部本体34dの下端部から径方向内側に突出し、周方向に延びる円環板状の円環底板部34eと、を有する。円筒部本体34dの上端部における内周面には、第1ベアリング51が固定される。円筒部本体34dの下端部および円環底板部34eは、第1大径部13eに挿入される。円環底板部34eの下面は、ブッシュ54のフランジ部の上面と接触する。本実施形態において接続部34は、単一の部材である。
【0036】
出力部40は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。出力部40は、上述した減速機構30の接続部34と、出力シャフト部41と、を有する。上述したように、接続部34の円筒部本体34dの上端部における内周面には、モータシャフト21を支持する第1ベアリング51が固定される。これにより、第1ベアリング51は、モータシャフト21と出力部40とを互いに相対回転可能に連結する。
【0037】
出力シャフト部41は、軸方向に延び、モータシャフト21の下側に配置される。本実施形態において出力シャフト部41は、第1中心軸J1を中心とする多段の円柱状である。出力シャフト部41は、被支持部41aと、フランジ部41bと、被取付部41cと、を有する。
【0038】
被支持部41aは、ブッシュ54の径方向内側に挿入される。被支持部41aは、ブッシュ54に、第1中心軸J1周りに回転可能に支持される。被支持部41aの下端は、第2大径部13g内に位置する。フランジ部41bは、被支持部41aの上端部から径方向外側に拡がる。フランジ部41bは、円筒部本体34dの径方向内側に位置する。フランジ部41bの下面は、円環底板部34eの上面と接触する。被取付部41cは、被支持部41aの下側において、被支持部41aの下端と繋がる。被取付部41cは、突出筒部13cよりも下側に突出する。被取付部41cには、電動アクチュエータ10の駆動力が出力される他の部材が取り付けられる。
【0039】
出力シャフト部41は、接続部34に固定されて接続される。より詳細には、出力シャフト部41は、例えば、被支持部41aまたはフランジ部41bが円環底板部34eと溶接されることで、接続部34に固定される。これにより、出力シャフト部41は、円筒部34bの下側の端部に接続される。
【0040】
出力部40は、上側から下側に窪む第1凹部40aを有する。本実施形態において第1凹部40aは、円筒部本体34dの内周面と出力シャフト部41の上端面とによって構成される。より具体的には、第1凹部40aの径方向内側面は、円筒部本体34dの内周面の上側部分であり、第1凹部40aの下側の底面は、出力シャフト部41の上端面である。すなわち、本実施形態において第1凹部40aの内側面の少なくとも一部は、円筒部34bの内側面である。このように、本実施形態では、出力部40が、互いに別部材の接続部34と出力シャフト部41とによって構成されるため、第1凹部40aを設けやすく、出力部40を作りやすい。
【0041】
上述したように、第1ベアリング51は円筒部本体34dの上端部における内周面に固定されるため、第1ベアリング51は、第1凹部40aの径方向内側面に固定される。また、第1ベアリング51に支持される第3軸部21c、すなわちモータシャフト21の下側の端部は、第1凹部40a内に収容される。
【0042】
第1凹部40aの下側の底面、すなわち本実施形態では出力シャフト部41の上端面と、モータシャフト21の下側の端面、すなわち本実施形態では第3軸部21cの下端面との間には、隙間DPが設けられる。
【0043】
モータシャフト21が第1中心軸J1周りに回転されると、第2軸部21b(第2中心軸J2)は、第1中心軸J1を中心として周方向に公転する。第2軸部21bの公転は第2ベアリング52を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、孔34cの内周面とピン32の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア33の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア33に外歯ギア31を介してモータシャフト21の回転力が伝達される。
【0044】
ここで、本実施形態では、内歯ギア33は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア33に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が第2中心軸J2周りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト21の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の第2中心軸J2周りの回転は、孔34cとピン32とを介して、接続部34に伝達される。これにより、接続部34が第1中心軸J1周りに回転し、出力部40が第1中心軸J1周りに回転する。このようにして、出力シャフト部41には、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。
【0045】
出力部40の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。具体的に、本実施形態の減速機構30の構成では、モータシャフト21の回転に対する出力部40の回転の減速比Rは、R=−(N2−N1)/N2で表される。減速比Rを表す式の先頭の負符号は、モータシャフト21の回転する向きに対して、減速される出力部40の回転の向きが逆向きとなることを示している。N1は、外歯ギア31の歯数であり、N2は、内歯ギア33の歯数である。一例として、外歯ギア31の歯数N1が59で、内歯ギア33の歯数N2が60の場合、減速比Rは、−1/60となる。
【0046】
このように、本実施形態の減速機構30によれば、モータシャフト21の回転に対する出力部40の回転の減速比Rを比較的大きくできる。そのため、出力部40の回転トルクを比較的大きくできる。
【0047】
回転検出装置60は、出力部40の回転を検出する。回転検出装置60の少なくとも一部は、第1凹部40aと径方向に重なる位置に配置される。出力部40とモータシャフト21とが連結される第1ベアリング51が配置される第1凹部40aは、本実施形態の電動アクチュエータ10のように出力シャフト部41がモータシャフト21の軸方向一方側に配置されて、軸方向に連結される構成の場合、必然的に設けられる。そのため、回転検出装置60の少なくとも一部を第1凹部40aと径方向に重ねて配置することで、出力部40の回転を検出する回転検出装置60を設けても、電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。これにより、回転検出装置60によって出力部40の回転を精度よく検出でき、大型化を抑制できる構造を有する電動アクチュエータ10が得られる。
【0048】
また、回転検出装置60を設ける場合、回転検出装置60の電源をモータ20の電源から得ることで、電動アクチュエータ10に接続される外部電源を1つにすることができ、電動アクチュエータ10の構成を簡単化できる。具体的には、本実施形態の場合、コネクタ部12cに接続される外部電源から、回転検出装置60の電源を得ることで、電動アクチュエータ10に接続される外部電源を一つにできる。この場合、回転検出装置60とモータ20の制御部24とを電気的に繋ぐ必要があるが、回転検出装置60がモータ20から離れて配置される程、回転検出装置60と制御部24とを繋ぐ配線が長くなり、配線の引き回しが困難になる。
【0049】
これに対して、本実施形態では、モータシャフト21と出力部40とを連結する第1ベアリング51が配置される第1凹部40aに、回転検出装置60の少なくとも一部が径方向に重なる位置に配置される。そのため、例えば、回転検出装置60が出力シャフト部41の下側部分と径方向に重なるような場合に比べて、回転検出装置60をモータ20に近づけて配置できる。したがって、回転検出装置60と制御部24とを繋ぐ配線を短くすることができ、配線の引き回しを容易にできる。これにより、電動アクチュエータ10の構成を簡単化できるとともに、電動アクチュエータ10を組み立てやすくできる。
【0050】
回転検出装置60は、回路基板61と、第1取付部材64と、第1マグネット63と、第1回転センサ62と、を有する。回路基板61には、第1回転センサ62が取り付けられる。回路基板61は、軸方向と直交する平面に拡がる板状である。本実施形態において回路基板61は、円筒部本体34dの径方向外側を囲む円環板状である。回路基板61の少なくとも一部は、第1凹部40aと径方向に重なる位置に配置される。そのため、本実施形態のように回転検出装置60が回路基板61を有する構成であっても、電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0051】
また、第1回転センサ62が取り付けられる回路基板61が設けられることで、第1回転センサ62を配置しやすい。本実施形態では、回路基板61のほぼ全体が、第1凹部40a内における隙間DPと径方向に重なる位置に配置される。回路基板61の下面は、出力シャフト部41の上端部、すなわちフランジ部41bと径方向に重なる位置に配置される。
【0052】
回路基板61は、第2凹部13d内に配置される。そのため、例えば、第2凹部13dが設けられずに回路基板61が蓋部13aの上面に配置されるような場合に比べて、電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。したがって、電動アクチュエータ10をより小型化できる。回路基板61は、第2凹部13dの底面に固定される。回路基板61は、図示しない配線を介して、制御基板70と電気的に接続される。これにより、回転検出装置60と制御部24とが電気的に接続され、コネクタ部12cに接続される外部電源から回転検出装置60に電源が供給される。
【0053】
第1取付部材64は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。第1取付部材64は、出力部40に固定される。より詳細には、第1取付部材64は、接続部34に固定される。第1取付部材64は、円筒部本体34dの径方向外側に嵌め合わされる。第1取付部材64の上面は、円環部34aの下面と接触する。第1取付部材64を接続部34に固定する方法は、特に限定されず、例えば、接着剤等である。
【0054】
第1取付部材64の径方向外縁部は、下側に突出する位置に配置される。第1取付部材64の径方向外縁部は、円環部34aの下面よりも下側に間隔を空けて配置される。第1取付部材64の径方向外縁部の上面は、ピン32よりも下側に位置する。そのため、例えば、ピン32が
図1に示す位置よりも径方向内側の位置に配置されても、ピン32が第1取付部材64と接触することを抑制できる。第1取付部材64は、例えば、非磁性体製である。なお、第1取付部材64は、磁性体製であってもよい。
【0055】
第1マグネット63は、第1中心軸J1を中心とし、軸方向と直交する平面に拡がる円環板状である。第1マグネット63は、第1取付部材64の径方向外縁部の下端面に固定される。これにより、第1マグネット63は、第1取付部材64を介して出力部40に固定される。そのため、第1マグネット63を直接的に出力部40に固定するような場合に比べて、第1マグネット63を出力部40に対して固定しやすい。
【0056】
また、上述したように、第1取付部材64の径方向外縁部を円環部34aから下側に離して配置することによって、第1マグネット63がピン32と干渉することを抑制しやすい。第1マグネット63の第1取付部材64への固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤等である。第1取付部材64と第1マグネット63とは、出力部40とともに回転する。第1マグネット63は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。
【0057】
本実施形態において第1取付部材64および第1マグネット63は、第1凹部40aの径方向外側を囲み、それぞれ全体が第1凹部40aと径方向に重なる位置に配置される。より詳細には、第1取付部材64および第1マグネット63は、モータシャフト21における第1凹部40a内に収容された部分、すなわち本実施形態では第3軸部21cと径方向に重なる位置に配置される。また、第1取付部材64および第1マグネット63は、第1ベアリング51と径方向に重なる位置に配置される。本実施形態では、第1取付部材64および第1マグネット63は、それぞれ全体がモータシャフト21における第1凹部40a内に収容された部分および第1ベアリング51と径方向に重なる位置に配置される。
【0058】
このように、本実施形態では、回転検出装置60の少なくとも一部が、モータシャフト21における第1凹部40a内に収容された部分、あるいは第1ベアリング51と径方向に重なる位置に配置される。したがって、回転検出装置60をよりモータ20に近い位置に配置することができ、回転検出装置60と制御部24とを繋ぐ配線をより短くすることができる。
【0059】
また、出力部40を支持する第1ベアリング51と径方向に重なる位置に回転検出装置60の少なくとも一部を配置することで、出力部40を支持するために必要な軸方向の空間を利用して回転検出装置60を配置できる。したがって、出力部40が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0060】
また、第1マグネット63が第1ベアリング51の径方向外側を囲む円環状であるため、第1マグネット63の周方向位置を第1回転センサ62によって精度よく検出しやすい。また、第1マグネット63を第1取付部材64に接着剤等で固定する際に、接着面積を大きくしやすく、第1マグネット63を強固に固定できる。
【0061】
第1回転センサ62は、回路基板61の上面に取り付けられる。第1回転センサ62は、第1マグネット63と隙間を介して軸方向に対向する。第1回転センサ62は、第1マグネット63によって生じる磁界を検出する。第1回転センサ62は、例えばホール素子である。図示は省略するが、第1回転センサ62は、周方向に沿って複数、例えば3つ設けられる。第1回転センサ62用いて、出力部40とともに回転する第1マグネット63によって生じる磁界の変化を検出することで、回転検出装置60は、出力部40の回転を検出することができる。
【0062】
第1回転センサ62の少なくとも一部は、第1凹部40aと径方向に重なる位置に配置される。例えば、回転検出装置60の構成を最小限にする場合であっても、回転を検出する第1回転センサ62等のセンサは、必須の構成要素である。そのため、第1回転センサ62の少なくとも一部を第1凹部40aと径方向に重ねて配置することで、より電動アクチュエータ10を軸方向に小型化しやすい。本実施形態では、第1回転センサ62の全体が、第1凹部40aと径方向に重なる位置に配置される。
【0063】
また、本実施形態において第1回転センサ62の少なくとも一部は、隙間DPと重なる位置に配置される。すなわち、回転検出装置60の少なくとも一部は、隙間DPと径方向に重なる位置に配置される。本実施形態の電動アクチュエータ10のように出力シャフト部41がモータシャフト21の軸方向一方側に配置されるような構成の場合、モータシャフト21と出力シャフト部41との軸方向の間には必然的に隙間DPが設けられる。そのため、回転検出装置60の少なくとも一部を隙間DPと径方向に重ねて配置することで、回転検出装置60を設けても、電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することをより抑制しやすい。
【0064】
また、本実施形態では、第1回転センサ62の少なくとも一部、および回路基板61の少なくとも一部が、隙間DPと径方向に重なる位置に配置されるため、回路基板61を設けて第1回転センサ62を配置しやすくしつつ、より電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することを抑制しやすい。本実施形態において第1回転センサ62は、全体が隙間DPと径方向に重なる位置に配置される。
【0065】
本実施形態において第1回転センサ62は、第2凹部13d内に配置される。そのため、第1回転センサ62が第2凹部13dの上側に突出して配置されるような場合に比べて、電動アクチュエータ10を軸方向に小型化しやすい。
【0066】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。接続部34と出力シャフト部41とは、互いに相対的に回転しなければ、どのように固定されてもよい。例えば、ピン等を用いて接続部34と出力シャフト部41との相対的な回転を抑制する構成であってもよいし、接続部34にDカットされた孔が設けられ、その孔に出力シャフト部41が挿入される構成であってもよい。また、出力部40を単一の部材として、接続部34と出力シャフト部41とを、それぞれ一つの単一部材の部分としてもよい。
【0067】
また、回転検出装置60の構成は、出力部40の回転を検出でき、少なくとも一部が第1凹部40aと径方向に重なる位置に配置されるならば、特に限定されない。例えば、回路基板61は、設けられなくてもよい。また、第1回転センサ62は、出力部40の回転を検出できるならば特に限定されず、磁気抵抗素子であってもよい。また、第2回転センサ71についても同様に、磁気抵抗素子であってもよい。また、減速機構30の構成は、モータシャフト21の回転を減速できるならば、特に限定されない。また、第1ベアリング51、第2ベアリング52および第3ベアリング53は、モータシャフト21を支持できるならば、特に限定されず、例えば、滑り軸受等であってもよい。
【0068】
また、本発明の電動アクチュエータの用途は限定されず、本発明の電動アクチュエータは、いかなる機器に搭載されてもよい。また、上述した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。