【解決手段】電化区間および非電化区間の双方を走行する運搬車であって、架線に接触することによって電力を取り込むパンタグラフと、前記パンタグラフからの電力によって充電される蓄電池と、前記運搬車の駆動力を発生させるサーボモータと、前記電化区間ではパンタグラフを介して前記架線からの電力を前記サーボモータと前記蓄電池とに供給することで前記駆動力を発生させるとともに前記蓄電池を充電し、前記非電化区間では前記蓄電池に充電された電力を前記サーボモータに放電することで前記駆動力を発生させる制御装置と、を備える。
前記電源供給部は、前記非電化区間から前記電化区間への接近が検出されてから、前記運搬車が前記電化区間に進入した場合には、前記架線に対する交流電力の供給を再開する請求項4に記載の運搬システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0014】
実施形態における運搬車は、トンネル坑内において資材や人員などを運搬する運搬車であって、トンネル坑内の電化区間では架線からの電力で走行するとともにその電力で蓄電池(バッテリー)を充電し、トンネル坑内の非電化区間では蓄電池に充電された電力で走行する。
以下、実施形態の運搬車を、図面を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における運搬車を備えた運搬システム4の概略構成の一例を示す図である。
図1は、本実施形態における運搬車が使用されるトンネル坑内の状態例を側面方向により模式的に示す図である。
図1に示すように、運搬システム4は、運搬車10、架線5、電源供給部35及び発磁体50を備える。
トンネル坑内1は、例えばトンネル工事が行われている現場であり、運搬車10が使用される場所である。
【0016】
運搬車10は、トンネル坑内1において資材や人員などを運搬する。例えば、運搬車10は、資材を積んだ台車20に連結され、その台車20を切羽側や抗口側に運搬する。
台車20は、資材やセグメントなどの物や作業員などの人を積載する。なお、台車20自体は動力を有しておらず、運搬車10の走行に伴って移動する。
運搬車10と台車20との各車輪は、トンネル坑内1に敷設された軌条2の上に置かれる。これにより、運搬車10と台車20とは、トンネル坑内1において軌条2上を走行しながら移動する。
【0017】
図1に示す運搬車10は、軌条2に沿って、切羽側に進む方向を示す前進方向と、抗口側に進む方向を示す後退方向とのいずれの方向にも移動することができる。例えば、前進方向に運搬車10が移動(前進)するとき、運搬車10は、連結された台車20を牽引する。一方、後退方向に車両設備10が移動(後退)するとき、運搬車10は、連結された台車20を後押しする。
【0018】
図1に示すように、トンネル坑内1を運搬車10が走行する区間は、架線5が配設された電化区間と、架線5が配設されていない非電化区間とを備える。
運搬車10は、電化区間を走行する際には、上部に備えられたパンタグラフ11を架線5に接触させることで、架線5から電力を取り込む。そして、運搬車10は、架線5から取り込んだ電力を駆動源として走行するとともに、その電力で自装置に備えられた蓄電池15(後述する)に充電する。一方、運搬車10は、非電化区間を走行する際には、蓄電池15に充電した電力を駆動源として走行する。これにより、トンネル坑内1が長距離である場合においても、蓄電池15の交換作業を低減できる。
【0019】
電源供給部35は、架線5に交流電力を供給する。
また、軌条2の上の所定の位置には発磁体50が設置されており、運搬車10は、発磁体50の磁界を検出することで、走行している区間が非電化区間と電化区間のいずれかであるかを判定することができる。すなわち、運搬車10は、発磁体50の磁界を検出することで、自装置が走行している位置を検出することができる。したがって、運搬車10は、発磁体50の磁界を検出することで、非電化区間から電化区間への接近、及び電化区間から非電化区間への接近も検出することができる。
【0020】
以下に、本実施形態における運搬車10について、具体的に説明する。
【0021】
図2は、本実施形態における運搬車10の概略構成の一例を示す図である。
図2に示すように、運搬車10は、パンタグラフ11、交流用解除器12、整流装置13、第1スイッチング部14、蓄電池15、直流用解除器16,17,40、サーボドライバ19、サーボモータ30、制動抵抗31、コンバータ41、制御電源部42、制御装置100及び検出部200を備える。
【0022】
パンタグラフ11は、一端が架線5に接続され、交流電力を受電する。また、パンタグラフ11は、他端が交流用解除器12にそれぞれ接続されている。パンタグラフ11により架線5から受電された電力は、交流用解除器12を介して整流装置13に供給される。本実施形態では、パンタグラフ11は、架線5から3相の交流電力を受電する。ただし、本発明における運搬車10は、3相の交流電力を受電する場合に限定されず、直流電力を受電してもよい。
【0023】
交流用解除器12は、一端がパンタグラフ11に接続されており、他端が整流装置13に接続されている。交流用解除器12は、制御装置100からの制御信号に基づいて、パンタグラフ11と整流装置13との間の経路を開閉する。
例えば、交流用解除器12は、各相に交流用解除器12a〜12cが設けられている。
【0024】
整流装置13は、交流用解除器12を介してパンタグラフ11から供給された交流電力を直流電力に整流する。例えば、整流装置13は、複数のスイッチング素子とスイッチング素子に並列に接続された転流ダイオ―ドを組み合わせた電力変換回路として構成される。このスイッチング素子は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。整流装置13は、スイッチング素子のゲート端子が制御装置100に接続されており、制御装置100から出力される第1の駆動信号によりスイッチング素子の通電状態が制御される。整流装置13は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御を適用することができる。本実施形態では、整流装置13は、交流用解除器12を介してパンタグラフ11から供給された三相の交流電力を直流電力に整流する。
【0025】
第1スイッチング部14は、パンタグラフ11と蓄電池15との電気的接続を接続又は解除する。具体的には、第1スイッチング部14は、第1端子14aが整流装置13に接続されており、第2端子14bが蓄電池15のプラス端子に接続されている。第1スイッチング部14は、制御装置100から制御信号が出力されるとオン状態になり、第1端子14aと第2端子14bとを電気的に接続される。したがって、第1端子14aと第2端子14bとが電気的に接続されると、整流装置13から出力される直流電力によって蓄電池15が充電される。一方、第1端子14aと第2端子14bとの電気的接続が解除されると、蓄電池15は充電した電力を放電する。
【0026】
直流用解除器16は、蓄電池15の後段に接続されている。直流用解除器16は、制御装置100からの制御信号に基づいて、蓄電池15の後段に対する電力の供給を停止する。例えば、直流用解除器16は、直流用解除器16a及び直流用解除器16bを備える。直流用解除器16aは、一端が蓄電池15のプラス端子に接続され、他端が直流用解除器17に接続されている。直流用解除器16bは、一端が蓄電池15のマイナス端子に接続され、他端が直流用解除器17に接続されている。
【0027】
直流用解除器17は、直流用解除器16とサーボドライバ19との間の経路を開閉する。例えば、直流用解除器17は、直流用解除器17a及び直流用解除器17bを備える。直流用解除器17aは、一端が直流用解除器16aの他端に接続され、他端が第2スイッチング部18の第1端子18aに接続されている。直流用解除器17bは、一端が直流用解除器16bの他端に接続され、他端がサーボドライバ19に接続されている。
【0028】
第2スイッチング部18は、整流装置13とサーボドライバ19と蓄電池15との電気的接続を接続又は解除する。例えば、第2スイッチング部18は、第1端子18aが直流用解除器17aの他端に接続されており、第2端子18bがサーボドライバ19に接続されている。第2スイッチング部18は、制御装置100から制御信号が出力されると、第1端子18aと第2端子18bとを電気的に接続する。したがって、第1端子18aと第2端子18bとが電気的に接続されると、整流装置13から出力される直流電力又は蓄電池15に蓄電された直流電力がサーボドライバ19に供給される。一方、第1端子18aと第2端子18bとが電気的に解除されると、直流電力がサーボドライバ19に供給されない。
【0029】
サーボドライバ19は、第2スイッチング部18を介して供給される直流電力から三相の交流電力を生成する。サーボドライバ19は、複数のスイッチング素子とスイッチング素子に並列に接続された転流ダイオ―ドを組み合わせた電力変換回路として構成される。スイッチング素子は、例えばIGBTを用いることができる。
【0030】
サーボドライバ19は、スイッチング素子のゲート端子が制御装置100に接続されている。サーボドライバ19は、制御装置100から出力される第2の駆動信号によりスイッチング素子の通電状態が制御される。実施形態ではスイッチング素子の制御方式としてPWM制御を適用することができる。
【0031】
サーボドライバ19は、スイッチング素子が高速でオン(通電状態)/オフ(非通電状態)を繰り返すことで、直流から三相交流を発生させる。サーボドライバ19は、発生させた三相交流電力をサーボモータ30に供給する。
【0032】
サーボモータ30は、サーボドライバ19から、例えば三相交流電力が供給されることで回転駆動する。すなわち、サーボモータ30は、サーボドライバ19から交流電力が供給されることで運搬車10の駆動力を発生させる。また、サーボモータ30を非常時に停止させるためには、第2スイッチング部18をオフ状態とすることでサーボドライバ19の動作を停止させる。そして、慣性で回転するサーボモータ30の給電線に発生する電力を制動抵抗31で短絡して熱エネルギーとして消費させ、エネルギー吸収させて制動をかける。
【0033】
直流用解除器40は、直流用解除器16とコンバータ41との間の経路を開閉する。例えば、直流用解除器40は、直流用解除器40a及び直流用解除器40bを備える。直流用解除器40aは、一端が直流用解除器16aの他端に接続され、他端がコンバータ41に接続されている。直流用解除器40bは、一端が直流用解除器16bの他端に接続され、他端がコンバータ41に接続されている。
【0034】
コンバータ41は、直流用解除器40に接続されており、直流用解除器40を介して整流装置13から出力される直流電力又は蓄電池15に蓄電された直流電力を所定の直流電力に変換するDC−DCコンバータである。コンバータ41は、変換した直流電力を制御電源部42に出力する。制御電源部42は、コンバータ41から出力される直流電力を、制御電源として、主に制御装置100に供給する。
【0035】
検出部200は、発磁体50の磁界を検出すると、その磁界を検出したことを示す検出信号を制御装置100に出力する。ただし、検出部200は、運搬車10の走行位置を検出できるものであればよい。
【0036】
制御装置100は、電化区間では第1スイッチング部14をオン状態に制御する。したがって、制御装置100は、パンタグラフ11を介して架線5から取得した電力をサーボモータ30と蓄電池15とに供給することで、サーボモータ30の駆動力を発生させるとともに蓄電池15を充電する。一方、制御装置100は、非電化区間では第1スイッチング部14をオフ状態に制御する。したがって、制御装置100は、蓄電池15に充電された電力をサーボドライバ19を介してサーボモータ30に放電することで、サーボモータ30の駆動力を発生させる。
【0037】
以下に、本実施形態における制御装置100について、具体的に説明する。
制御装置100は、駆動制御部110、区間判定部120及び開閉器制御部130を備える。
【0038】
駆動制御部110は、整流装置13に第1の駆動信号を出力することにより、パンタグラフ11から供給された交流電力を直流電力に整流する。また、駆動制御部110は、サーボドライバ19に第2の駆動信号を出力することにより、運搬車10が走行する地面の傾斜に係わらず、運搬車10の走行速度を一定に制御する。
【0039】
区間判定部120は、検出部200から出力される検出信号に基づいて、運搬車10が走行する区間が電化区間及び非電化区間のいずれかなのかを判定する。区間判定部120は、検出部200から出力される検出信号に基づいて、運搬車10が走行する区間が電化区間であると判定した場合には、その判定結果を示す電化区間信号を開閉器制御部130に出力する。一方、区間判定部120は、検出部200から出力される検出信号に基づいて、運搬車10が走行する区間が非電化区間であると判定した場合には、その判定結果を示す非電化区間信号を開閉器制御部130に出力する。
【0040】
開閉器制御部130は、交流用解除器12及び直流用解除器16,17,40開閉を制御する。通常状態において、開閉器制御部130は、交流用解除器12を閉状態とすることで、パンタグラフ11により架線5から受電された電力を整流装置13に供給される。ただし、開閉器制御部130は、整流装置13に入力される交流電力に異常(過電流や過電圧)が検出された場合には、交流用解除器12を開状態にすることで、整流装置13に対する交流電力の供給を停止する。
【0041】
通常状態において、開閉器制御部130は、直流用解除器16を閉状態とすることで、整流装置13から出力される直流電力又は蓄電池15に蓄電された直流電力を、サーボモータ30を駆動するモータ駆動系統(サーボドライバ19及びサーボモータ30)と、制御電源を生成する電源系統(コンバータ41及び制御電源部42)とに供給する。ただし、開閉器制御部130は、モータ駆動系統及び電源系統に供給する直流電力に異常が検出された場合には、直流用解除器16を開状態にすることで、モータ駆動系統及び電源系統に対する直流電力の供給を停止する。
【0042】
通常状態において、開閉器制御部130は、直流用解除器17を閉状態とすることで、整流装置13から出力される直流電力又は蓄電池15に蓄電された直流電力を、モータ駆動系統に供給する。ただし、開閉器制御部130は、モータ駆動系統に供給する直流電力に異常が検出された場合には、直流用解除器17を開状態にすることで、モータ駆動系統に対する直流電力の供給を停止する。同様に、開閉器制御部130は、通常状態において、直流用解除器40を閉状態とすることで、整流装置13から出力される直流電力又は蓄電池15に蓄電された直流電力を、電源系統とに供給する。ただし、開閉器制御部130は、電源系統に供給する直流電力に異常が検出された場合には、直流用解除器40を開状態にすることで、電源系統に対する直流電力の供給を停止する。
【0043】
また、開閉器制御部130は、第1スイッチング部14及び第2スイッチング部18のン状態又はオフ状態を制御する。
開閉器制御部130は、区間判定部120から電化区間信号を取得すると、第1スイッチング部14をオン状態に制御することで、モータ駆動系統及び電源系統に対して整流装置13から出力される直流電力を供給するとともに、その直流電力で蓄電池15を充電させる。また、開閉器制御部130は、区間判定部120から非電化区間信号を取得すると、第1スイッチング部14をオフ状態に制御することで、モータ駆動系統及び電源系統に対して蓄電池15に充電された直流電力を供給する。
【0044】
開閉器制御部130は、第2スイッチング部18をオン状態に制御することで、サーボドライバ19に直流電力を供給し、サーボモータ30を駆動する。これにより、運搬車10を一定の速度で走行させることができる。また、開閉器制御部130は、第2スイッチング部18をオフ状態に制御することで、サーボドライバ19に対する直流電力の供給を停止し、サーボモータ30の駆動を停止する。これにより、運搬車10の走行が停止される。
【0045】
以下に、本実施形態における制御装置100の処理の流れを説明する。
図3は、本実施形態における制御装置100の処理の流れを示す図である。なお、初期条件として、運搬車10が電化区間にある場合について、説明する。
開閉器制御部130は、第1スイッチング部14をオン状態に制御する。そして、開閉器制御部130は、第2スイッチング部18をオン状態に制御することで、整流装置13から出力される直流電力をサーボドライバ19に供給し、サーボモータ30の駆動を開始する(ステップS101)。これにより、運搬車10は、電化区間を走行する。
【0046】
また、運搬車10が電化区間を走行している間、蓄電池15は、整流装置13から出力される直流電力により充電される(ステップS102)。
区間判定部120は、検出部200から出力される検出信号に基づいて、運搬車10が走行する区間が電化区間及び非電化区間のいずれかなのかを判定する(ステップS103)。区間判定部120は、検出部200から出力される検出信号に基づいて、運搬車10が走行する区間が電化区間であると判定した場合には、その判定結果を示す電化区間信号を開閉器制御部130に出力する。一方、区間判定部120は、検出部200から出力される検出信号に基づいて、運搬車10が走行する区間が非電化区間であると判定した場合には、その判定結果を示す非電化区間信号を開閉器制御部130に出力する。
【0047】
開閉器制御部130は、区間判定部120から非電化区間信号を取得すると、第1スイッチング部14をオフ状態に制御する(ステップS104)。すなわち、開閉器制御部130は、運搬車10が電化区間から非電化区間に進入した場合に、パンタグラフ11から電力が供給されないため、第1スイッチング部14をオフ状態に制御してモータ駆動系統及び電源系統に対して蓄電池15に充電された直流電力を供給する(ステップS105)。これにより、蓄電池15から放電された直流電力がサーボドライバ19に供給され、サーボモータ30の駆動が継続される(ステップS106)。これにより、運搬車10は、非電化区間を走行する。
【0048】
次に、運搬車10が非電化区間を走行している場合を初期条件として、本実施形態における制御装置100の処理の流れを説明する。
図4は、運搬車10が非電化区間を走行している場合を初期条件として、本実施形態における制御装置100の処理の流れを示す図である。
【0049】
開閉器制御部130は、第1スイッチング部14をオフ状態に制御してモータ駆動系統及び電源系統に対して蓄電池15に充電された直流電力を供給することでサーボモータ30が駆動される(ステップS201)。これにより、運搬車10は、非電化区間を走行することができる。
【0050】
区間判定部120は、検出部200から出力される検出信号に基づいて、運搬車10が走行する区間が電化区間及び非電化区間のいずれかなのかを判定する(ステップS202)。区間判定部120は、検出部200から出力される検出信号に基づいて、運搬車10が走行する区間が電化区間であると判定した場合には、その判定結果を示す電化区間信号を開閉器制御部130に出力する(ステップS202)。
【0051】
開閉器制御部130は、区間判定部120から電化区間信号を取得すると、第1スイッチング部14をオン状態に制御する(ステップS203)。すなわち、運搬車10は、非電化区間から電化区間に進入した場合に、パンタグラフ11から電力が供給される。そのため、開閉器制御部130は、第1スイッチング部14をオン状態に制御してモータ駆動系統及び電源系統に対して、整流装置13から出力される直流電力を供給する。これにより、サーボモータ30の駆動が継続される(ステップS204)。また、運搬車10が電化区間を走行している間、蓄電池15は、整流装置13から出力される直流電力により充電される(ステップS205)。
【0052】
上述したように、本実施形態における運搬車10は、電化区間では架線5からの電力をサーボモータ30と蓄電池15とに供給することで運搬車10の駆動力を発生させるとともに蓄電池15を充電し、非電化区間では蓄電池15に充電された電力をサーボモータ30に放電することで運搬車10の駆動力を発生させる。これにより、運搬車10は、蓄電池15の交換作業を低減できる。したがって、長距離トンネル施工における資機材搬送においても、蓄電池15の交換作業が低減できるため、作業を大幅に削減できる。
【0053】
(第1の変形例)
次に、本実施形態における運搬システム4の第1の変形例について説明する。第1の変形例の運搬システム4Aは、電源供給部35及び運搬車10Aが無線又は有線で通信する。そして、電源供給部35は、パンタグラフ11が架線5に接触又は離間する際に、架線5に対する交流電力の供給を停止する。これにより、第1の変形例の運搬システム4Aは、パンタグラフ11が架線5に接触又は離間する際に発生するスパークを抑制することができる。
図5は、本実施形態における運搬システム4Aにおける運搬車10Aの構成概略図である。運搬システム4Aは、運搬車10A、架線5、電源供給部35及び発磁体50を備える。
図5に示すように、運搬車10Aは、パンタグラフ11、交流用解除器12、整流装置13、第1スイッチング部14、蓄電池15、直流用解除器16,17,40、サーボドライバ19、サーボモータ30、制動抵抗31、コンバータ41、制御電源部42、制御装置100A及び検出部200を備える。
【0054】
制御装置100Aは、駆動制御部110、区間判定部120、開閉器制御部130及び通信部140を備える。
通信部140は、区間判定部120において、運搬車10が非電化区間から電化区間に接近していることを検出された場合には、運搬車10が非電化区間から電化区間に接近していることを示す第1接近信号を電源供給部35に有線又は無線で送信する。例えば、区間判定部120は、検出部200から出力される検出信号を取得した場合には、運搬車10が非電化区間から電化区間に接近していると判定し、第1接近信号を通信部140に出力する。
【0055】
電源供給部35は、通信部140から第1接近信号を取得した場合には、架線5に対する交流電力の供給を停止する。これにより、パンタグラフ11が架線5に接触する際に発生するスパークを抑制することができる。そして、電源供給部35は、パンタグラフ11が架線5に接触された場合には、架線5に交流電力を供給する。なお、電源供給部35は、通信部140との通信によりパンタグラフ11が架線5に接触されたことを検出してもよい。
【0056】
また、通信部140は、区間判定部120において、運搬車10が電化区間から非電化区間に接近していることが検出された場合には、運搬車10が電化区間から非電化区間に接近していることを示す第2接近信号を電源供給部35に有線又は無線で送信する。例えば、区間判定部120は、検出部200から出力される検出信号を取得してから所定の時間が経過した場合には、運搬車10が非電化区間から電化区間に接近していると判定し、第2接近信号を通信部140に出力する。
【0057】
電源供給部35は、通信部140から第2接近信号を取得した場合には、架線5に対する交流電力の供給を停止する。これにより、パンタグラフ11が架線5から離間する際に発生するスパークを抑制することができる。
【0058】
(第2の変形例)
次に、本実施形態における運搬車10の第2の変形例について説明する。
図6は、本実施形態における運搬車10の第2の変形例を示す構成概略図である。
第2の変形例の運搬車10Bは、パンタグラフ11を昇降させるパンタグラフ制御装置300をさらに備える。運搬システム4Bは、運搬車10B、架線5、電源供給部35及び発磁体50を備える。
図6に示すように、運搬車10Bは、パンタグラフ11、交流用解除器12、整流装置13、第1スイッチング部14、蓄電池15、直流用解除器16,17,40、サーボドライバ19、サーボモータ30、制動抵抗31、コンバータ41、制御電源部42、制御装置100A、検出部200及びパンタグラフ制御装置300を備える。
【0059】
パンタグラフ制御装置300は、区間判定部120において、運搬車10が非電化区間から電化区間に接近していることが検出された場合には、パンタグラフ11を上昇させる。これにより、運搬車10が電化区間に進入した場合には、パンタグラフ11と架線5とを接触させることができる。また、パンタグラフ制御装置300は、区間判定部120において、運搬車10が電化区間から非電化区間に進入したことが検出された場合には、パンタグラフ11を下降させる。これにより、運搬車10の走行時の空気抵抗を低減させる。
【0060】
なお、上述の実施形態において、運搬車10は、検出部200からの検出信号に基づいて、運搬車10が電化区間と非電化区間のいずれかを走行しているか判定したが、これに限定されない。例えば、運搬車10は、パンタグラフ11に印加される電圧値を測定することで、運搬車10が電化区間と非電化区間のいずれかを走行しているか判定してもよい。また、上述の実施形態において、運搬車10は、検出部200からの検出信号に基づいて、運搬車10が非電化区間から電化区間に接近していること、及び運搬車10が電化区間から非電化区間に接近していることを検出したが、これに限定されない。
【0061】
運搬車10各部は、ハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェアにより実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。また、プログラムが実行されることにより、コンピュータが、運搬車10の一部として機能してもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。
【0062】
上述した実施形態における制御装置100をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0063】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。